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◆◆◆ -- 2005年10月のお話 -- ◆◆◆

 

-- 051030--                    

 

         

                                    ■■ 鈴虫の森 ■■

     
 
 
 
 
 
 ごきげんよう、紅い瞳です。
 ええと、まぁ、ごきげんようです。いつもごきげんでよろしくお願い致します。
 ふぅ。
 で、そうですね、なにからお話しましょうか、ええと、うん、どうしましょうかね。
 やはりこう、なんていうんですか、ああそうだ、読書の秋という言葉がありますよね。
 なにげに紅い瞳という人はその通りに動いているようなところが御座いまして、
 案の定本の虫となっていたりするのですよ。
 ええ、もう実際のところは2・3ヶ月前からそうだったのですけれど、いいじゃないですかそんなことは。
 それで、はい、本読む愉しみというのを色々と新しく味わっていこうという心懸けをしておりまして、
 ええ、実際は結果的にそうなっているように見えるだけで、いつもと同じようにして読んでいるのですが、
 それでもなぜかこうすーっと本に引き込まれてしまうような、なんというのでしょう、よくわかりません。
 その、ええと、文字が良くみえます。
 一粒一粒の文字の欠片を丁寧になぞっていって、気付いたら頭の中に文章の集合、
 としての本の中の世界がわーっと頭の中に湧き出てくるというのでしょうか。
 そうするとこう、そのひとつひとつの言葉からですら、なんだかぽっと出てくることもあったりして、
 なんだか不思議な面もちになれてしまうのです。
 一度読んだことのある本を再度読んだときなどそれはより顕著になりまして、
 ああ、このお話ってこういうことでもあったのか、とごく自然に新しいことに気付いてしまうのです。
 うわぁ、愉しぃ。
 このまま本漬けのままどこまでも飛んでいこうか、それとも少し落ち着いてみようか、迷っています。
 ふぅ。
 
 ◆ ◆
 
 ええと、うん、大人しく本音を小出しにしていきましょうか、ぶっちゃけ今はアニメ話の方が私はいい。
 どうですか、みなさん、今期のアニメは、一応出揃いましたし、その顔ぶれをさらっとみてみるのも。
 私はまぁ、以前から言っていますけれど、今期は豊作です。祭りだわっしょい。・・・・こほん。
 で、うん、なんでしたっけ、ああううん、じゃあ顔ぶれ紹介というところで、ああ、私のみてるアニメですけど。
 
 ・地獄少女
 ・ARIA
 ・ローゼンメイデントロイメント
 ・蟲師
 ・ノエイン
 
 今期のアニメはこれだけですけれど、その他にブリーチ・ブリーチ(再)・ぱにぽにも見てます。
 で、うん、なにからどうやってお話しましょうかというお話から始めてみましょうか。
 そうですね、そのお話は飛ばして、うん、ええと、そうですね、ええと、うん。
 今期の一番の作品、という位置づけを敢て皆様に示す作品としては、
 これは文句無く私は蟲師 だと思います。
 断然ですね、他の追随を許さない、居眠りしない兎です。あとは亀の足比べです。
 ええ、まぁ紅い瞳の中の評価眼を使えばそういうことになります。
 たぶん、どなたが「評価」してもその圧倒的さには目を覆うばかりで逃げ出したくなるような、
 まぁ、そういうことです。なにいってんだ。
 映像・音楽・演出、それだけを単品で取り出した場合においても複合させた場合においても、
 並び立つものは無いでしょうし、肝心のお話の方も解釈がどうとか云々する以前に、
 ああすごいというのを肌でビリビリジンジンと感じてしまうこの強迫感は否定のしようが無い。
 私なんて思わず胸押さえちゃいましたもんね、今にも心臓が崩れ落ちそうで。
 他の作品は面白いところを見つけていく、という愉しみかたなのですけれど、
 蟲師 においてはもはやどうやったら面白さに押し潰されなくて済むか、というていたらく。
 全然、全然違うのですねぇ、嬉しいことに。
 久しぶりにまみえた大波に飲まれていく快感の如く、ただもうそこでじたばたと気持ちよく溺れていく、
 ええもう、そういう感じですね、蟲師 は。相変わらずたとえが微妙で申し訳無い。ああもう。
 とにもかくにも、全身全霊で受け身をとってそのままぶん投げられれば気が遠くなるような深さを味わえる、
 そういうこちらが全力を出しても受けきれないものを蟲師 は持っている、という意味において、
 私は蟲師 をこの中では一番とあえて言ってみたいと思うのです。
 ていうか、観てて鳥肌立ちっぱなし。
 
 で、ええまぁ、そういうことなのですけれども、他の作品はそういう方向性では無く、
 つまり評価を与える必要が無く、まずはこっちからなにかを見つけてやろうという、そういう野心作揃いで。
 地獄少女のなんて、ほんと馬鹿みたいに弱っこい作品ですけれど、
 そのちゃぷちゃぷとひっついてくるさざ波を掬い上げて良く見てみると、これはなかなかの小宇宙なのです。
 なんだかそのちっちゃいけれどでっかい世界の中でずっと探検してられそうな、気安くて、
 それでいて失敗したら帰って来れないぞみたいな緊迫感も妙にあって、
 だからそういう意味では私は蟲師 を差し置いて地獄少女を今でも感想を書く題材としては一番と、
 そう思っていたりします。蟲師 はさ、感想書くの、難しすぎ。まだ感想書くまでにいけないです。
 それとローゼンメイデントロイメントですか、これはどうなんでしょうね。
 正直今現在最も次回が気になる作品になっていて、落ち着いて感想を書いていられません。
 水銀燈がどうやっていつ復活するのかとかも興味津々ですし、またお父様たるローゼンの動向や、
 薔薇水晶がどうやって描かれていくのか、そしてそういったものをどうやって繋げて感想を書くか、
 お陰様で次回やそれ以降の感想を書くことばかり夢想して当の今回の感想がおざなりに、とか、
 まぁ、その、紅い瞳もたいへんなんですねぇと、御同情申し上げます。あーあ。
 取り敢えず、毎回一番愉しみにしていて、かつ毎回見終わったあとに一番浮かれている作品、
 という感じでしょうか。ぶっちゃけ、祭り。
 あとはまぁ前作で作り上げた自分のローゼンメイデンのイメージに押し潰されることなく、
 かつしっかりとそれを継承発展させる形の感想を書くことに努力するのみです。押忍。
 そしてARIA。この子はね、ちょっと扱いが難しくなってきたのですね。
 そうですね、なんといったらいいか、ワンフレーズでぴぴっとさせてくれる事が無いと反応しにくい、
 というなんだかあまり賢くない状態に紅い瞳めを誘ってくださっています。ええと。
 シメのひとこと、というのでしょうか、今回のお話ではこういう療法を行いました、という説明が無い、
 なんというかただただ平和な時間の羅列がどばーっと一遍に放置されてしまっているときはどうしようもなく、
 もう少しそこに作為的な干渉を施してわざとらしく教訓めかしてもいいのじゃないか、と。
 私はその教訓だかなんだか知れないような、
 ぽやーっとしたセリフが出ればそれをイジれるのですけれども、ただ風景がさーっと流れるだけだとね。
 その、言葉にしにくくて、どうもね、困っちゃった。
 というか、まだまだ紅い瞳も修行が足りん若造よな、ということに落ち着くのでは御座いますけれど。
 むー、まだまだきっと、ARIAでやってけます! ます! ます!・・・・・・・・かも。
 さて、遅くなってしまいましたが、ノエインです。初言及になります。
 そうですね、まずはこれは最初に前提としていっておいても悪くないことですけれど、
 ノエインはその映像表現として大変に面白く、かつドキドキとさせてくれるものを持っています。
 かなり色々なことに作品内で挑戦していて、風景の描写、キャラクターの動きのみならずその表情も、
 そういったものを破綻ギリギリ(或いは破綻すらも挿入して)のラインで縫い付けて、
 その全体性を意識せずに全部をひとつひとつ見渡すとどうしてもいびつなのに不思議とまとまっている、
 或いは混沌としての安定さがあるというんでしょうか、そういう感じじゃないでしょうか?(疑問形)
 まるで実験的絵画を観ているような、ああこんな仕掛けがあるんだ!と驚嘆の声をあげてしまう、
 そういった映像表現としてのアニメの愉しみの側面を魅せてくれるのがノエイン、
 としてまずは私は受け取っていますし、またそれがどうやってあのストーリーに深く染み込んでいくのか、
 それが楽しみです。というか、あのストーリー自体にはどう反応すればいいのか未知です。
 まさに未知との遭遇直前。直前で逃げるなよ、紅い瞳。はい、努力します。
 
 
 ごめんなさい。
 ほんとは今日はざっくりと更新一回分全部使って蟲師 の感想を書きたかったのですけれども、
 こんな感じになってしまいました。あーあ、あーあ、あーあ。
 でもね、蟲師 は実際難しいし。
 それこそ、ふたことみことくらいにふっとすべてを集約したような言葉でしか感想書けないと思うし、
 またそのふたことみことがさっぱり浮かんでこないのですから、しょーがない。
 私なんてせいぜいすごいとか綺麗とか美しいとか深いとか冷たいとか悲しいとか、
 まぁそれしか書けたとしても書けないですし。
 ごめん、来週はなんとか書いてみたいです。
 ということで、お疲れ様。
 
 
 
 

 

-- 051028--                    

 

         

                                    ■■薔薇平和■■

     
 
 
 
 
 
 『アリスゲームは、ボクたち全員の問題だ。ローゼンメイデン全員の悩みだ。』
 

                        〜ローゼンメイデントロイメント・第2話・蒼星石の言葉より〜

 
 
 
 
 
 
 
 落ち着いていく雪の狭間を縫うように、溶けた氷の山の残骸に触れないように。
 一歩一歩後ずさりしながら、精一杯この身を抱きしめて。
 止めなければ止まらない開放を、なんとか足止めするので精一杯。
 このまま、はじけ飛んでしまうの・・・・・
 
 暗く長い夜の果てに限りがあることを、うすうすと感じないでいることなどできない。
 破滅とも裁きのときとも知れぬ静黒の朝の芽生えが、みしみしとさざ波を伴い押し寄せてくる。
 その波を押し留めるこの手に刻まれる罅の重みがこの体の確かさを上回ったとき、
 一体なにが起こるのかを想像しないでいられることなど有り得ない。
 それでも、どうしても、私が止めなければならないと思う根拠はなにかしら。
 なぜ私は、一体いつから、私がそんな大それたことができるだなんて、思うようになれたのかしら。
 止めなければ起きてしまう事態を知るがゆえに?
 そこに私しか居なかったがゆえに?
 そうじゃない・・
 私は・・・・
 
 
 止めなければならないもの。
 その正体を、私は知らない。
 大手を広げて、逃げ周りながら、そうしてなにかを守っている自分の姿を見せつけて。
 誰に見せつけていたのかなんて、愚問ね。
 他ならぬ私自身に、私のこの姿を見せつけていたわ。
 一体なんのためにかしら。
 なぜ、私がすべて背負わねばならないのかしら。
 その私の姿に、一体なんの価値があるというのかしら。
 
 私のその行為は、もはやその見かけだけにしか意味がないことは、明白なのに。
 
 私が独り背負ってそのまま押し潰されてしまうことくらい、誰にだってわかることだわ。
 それなのに、それしかないと、その方法を限定してしまったのは、一体誰かしら。
 なぜ無駄だとわかっていることを選んでしまうのかしら。
 どうして無駄ではない方法を選ぶ勇気を選択できないのかしら。
 なぜ、助けてって、言えないのかしら。
 眠ったふりをして誤魔化して、我慢しているふりをして逃げ出して。
 こんなに・・・こんなに助けて欲しいのに・・・・・
 
 
 第七ドールが復活した。
 それはお父様のアリスゲームに励めというメッセージ。
 私はだから、他の姉妹に第七ドール復活の話をしなかった。
 余計な不安を与えないために。無駄な混乱を引き起こさないために。
 このまま・・・このまま平和に暮らしていれば・・・・・
 私はもう、戦いたくない。
 姉妹たちを戦いに巻き込みたくない。
 それが私の意志。
 そしてそれが私の選択。
 この事自体に、間違いは、無いわ。
 私は、間違ってない・・・間違ってない・・・
 だから私は、ひたすら眠らずに・・・誰ともあまり話さずに・・・・不機嫌に・・・
 ・・・・・・全然、駄目ね。
 ジュンの言うとおり、全然うまくないわ。
 隠すなら、徹底的に・・・・・でもそれができないってことは、私がそれを独りで背負うことができないと、
 そう私のこの冷たい体が叫んでいるということなのよね・・・・・
 それなのに、そう叫んでおきながら、この冷たい体は私の叫びを押し留めて・・・・・・
 一体、私は、なにがしたいと、いうの?
 
 
 私は、姉妹達と平和に生きたい。
 
 
 姉妹達、と。
 そう、私とあの子達と。
 その平和の守り手が私であると、私は自分に言い聞かせたわ。
 でも、その肝心の私は戦いを拒否しているのよ。
 明らかな矛盾が目の前にあるのに、それから逃げて、ただ自分だけが壊れてしまえばそれでいいと・・・
 ジュン。
 私ね、蒼星石に叱られてしまったわ。
 勝手に自分だけ壊れてしまって、あとの破滅をボク達に押し付けるな、と。
 全部を独り占めするな、って。
 そうね。まったくだわ。
 私に、あなた達の運命を勝手に量って良い権利なんて、無かったのだわ。
 もの凄く、当たり前のような気がするわ。
 
 
 でも私は、私のこの冷たい体は、なによりもその蒼星石の暖かい言葉を待っていたのだわ。
 
 
 私がどんなに叫ぼうとしても、それを引き留めた私の体に憤りを感じたけれども、
 きっとこれを待っていた故に私を引き留めたのね・・・・
 私は・・・どうやら全部を始めからわかっていたようだわ・・・・
 誰かになにかを求められて、人形の私は初めて動くことができる。
 そしてその誰かが私になにかを求めてくれるのは、
 それは私がその求めに応じられる意志を示しているからだわ。
 私はそういう人形だと、私は真紅であると。
 私には、それを認めてくれる誰かが、居る。
 
 
 『ボクらには、いつも見守ってくれる人がいる。』
 そうね、蒼星石。その通りだわ。
 私達は人形。
 私を見つめる人々の眼差しを吸って、そうして生きていけるのだわ。
 その人になにも返せなくても、なにもできずにただ座っているだけだとしても。
 私達はお人形。
 いつだって、その人たちになにかを伝えたいと思っているわ。
 その想いを、その私達の示す意志を受け取ってくれる誰かを、私達は信じているわ。
 なぜなら。
 私達は、共に生きているのだから。
 
 
 
 『大丈夫だって。みんなで一緒に居れば、きっと。』
 
 
 
 私はだから、ずっとあなた達と生きていくことに力を尽すわ。
 
 
 だから、言うわ。
 
 
 
 
 
 
 
 お父様が、私達の平和に気付いたわ。
 
 
 
 
 
                      ◆ 『』内文章、アニメ「ローゼンメイデントロイメント」より引用 ◆
 
 

 

-- 051026--                    

 

         

                                  ■■聞こえる地獄■■

     
 
 
 
 
 
 『できない・・・・できないわ・・!許して・・・キャンディ・・・・・
  キャンディはあんなに苦しんで死んだのに・・・・私は・・・・・・私は・・・』
 

                         〜地獄少女・第四話・純子の言葉より〜

 
 
 
 
 今晩わ。
 今夜は地獄少女の第四話についてお話させて頂きましょう。
 今回のお話はなかなかに難しく、色々と頭を捻って悶えておりますゆえ、
 恥ずかしながら書きながら考えを進め、それとともに書き進めていきたく存じます。
 
 お話の筋を先にお話しておきましょう。
 両親をはやくに亡くし、愛犬のキャンディと生活していた純子は、
 とある事故でキャンディを失ってしまう。
 評判の獣医である本條に診て貰え、それで悲しいながらも満足してその死を受け入れた純子であるが、
 しかし実は本條の手抜きが原因で助かる命が失われたと、本條の助手関本に告白されてしまう。
 そしてその怒りを進化させて、純子は地獄少女と契約を結び、本條は地獄送りとなる。
 はい。
 そうで御座いますね。
 まずなにに着目してみるかということで御座いますが、それはやはり純子のその怒りの進化の過程、
 それに尽きるかと存じます。
 なぜ、純子は本條を地獄送りにしたいと思うほど怨んだのか。
 ではまず、いつから純子は本條を怨むことになったか、というところからお話させて頂きましょう。
 純子はずばり、関本の告白を受けて、そして本條を怨むようになったのではありません。
 それは確かに、そのとき純子を支配した感情を、
 怨み以外のなにかであるというのは無理で御座いましょうが、
 しかしながら、そのときの怨みだけで地獄少女と契約したと考えるのも同じほどに無理が御座います。
 純子が地獄少女と契約を結ぶことに直接結びつく怨みは、まだこの段階では発生していない。
 そしてそのときの怨みは、これは実は方向を違えば関本に向けられていた類の怨みでもある。
 純子にとって、本條の手抜きの事実させ知らなければ、
 悲しいけれどもなんとかやっていける残された者としての人生をいきていけたのに、
 それを関本が自分が黙っている苦しみから逃れるためだけに純子にそれを知らせ、
 そして純子は居ても立ってもいられない苦しみに支配されてしまったのですから。
 なんで、そんな事を言うの。知らなければ、穏やかで居られたのに。
 はい。
 最初に考えたのは、そういう見方で御座いました。
 けれども、勿論これだけではお話を尽したとは申せません。
 純子は、ふと地獄通信の噂を耳にしてしまい、怨みとも怒りとも苦しみとも知れぬ、
 その想いのままに地獄通信にアクセスするので御座いますが、
 しかし現れた閻魔あいに相手を地獄送りにすれば自分も地獄に堕ちる、といわれ、
 その前に感じた怨みとも怒りとも苦しみとも知れぬ想いを、
 それを遙かに凌駕する恐怖に囚われてしまうので御座います。
 愛犬の無念を晴らす想いより、自分を責める想いより、自分が堕ちる地獄の実感に震える純子。
 ほんとうに、純子は本條への怨みを晴らすべきであるのか、 
 ほんとうに、私がしなければならないことはなんであるのか。
 純子は、改めてその恐怖に苛まれる中で考え始めるので御座います。
 
 『あとは、あなたが決めることよ。』
 
 純子の中にあるのは、本條への怒り、キャンディの無念の死への悼み、
 そして本條がそうであるのがわかってさえいれば、キャンディを助けられたはずの自分への非難。
 今現在、この中で最も大きなものは、それは純子の自己非難の想いで御座いましょう。
 なぜなら、自分が地獄へ堕ちることが怖いあまりになにもできない自分を知ってしまったから。
 その自分への怒り、それが自己非難の力を増大させ、
 そしてそれはそもそもの非難理由を書き換えてしまうので御座います。
 私が地獄に堕ちるのを怖れるからキャンディは浮かばれない。
 だから、本條を地獄送りにしなくてはいけない。
 いいえ、むしろ本條を地獄送りにすることこそ、自分への非難の解消、
 そしてそれ自体がキャンディへのたむけにもなると純子は考えるので御座います。
 そもそも純子の自己非難の理由は、自分が本條の元にキャンディを運んだことにあるはずなのに。
 純子はさらにそれに社会正義、つまりこのまま本條を放置しておけばキャンディのような子が増える、
 そのような想いを上書きして、本條に対峙していってしまうので御座います。
 地獄少女との契約を結ぶ前に、証拠をあげて社会的刑事的に本條を倒そうとしますが、
 しかし守りの固い本條の牙城を崩すことはできずに、そしてそのどうしようも無い鬱憤も上書きします。
 さらに、さらに。
 その際に本條の動物の命に対するあまりに酷い認識、そしてキャンディに対する侮辱、
 それを純子は受けてしまうので御座います。
 あな、恐ろしや。
 上書きし重ねてきた理屈に、さらに純粋なる怒りを最後に付けて生まれいでた、問答無用のこの怨み。
 もはや純子には制御すること叶わず、否、すっかりそれに取り込まれてしまったので御座います。
 嗚呼・・・純子がほんとうに求めていた想いとはなんぞや・・
 
 キャンディを失って、たった独りになってしまった悲しみ。
 けれども、失われた者たちを想い、そのために笑顔で幸せに生きていこうとする力強くも暖かい想い。
 純子は、それを手に入れたので御座います。
 本條を、殺して。
 そして、自らがの胸に罪と地獄への招待状の刻印を抱えて。
 禍々しく縁取られた失われた者達への想いが、純子の空から襲いかかり。
 純子の未来は全くの余生となりて、今にも途切れそうなほどに冷たくなっていくその想い。
 嗚呼・・嗚呼・・・生きれば生きるほどに地獄が近づいてくる・・・・
 
 聞こえなければ。聞こえさえしなければ。
 
 関本の告白が。
 地獄少女の存在が。
 そして。
 キャンディの苦しむ声が。
 自分の中の激しい怨みが。
 全部、全部聞こえなければ・・・・・・
 純子の死者への冒涜が、すべてを変えてしまったので御座います。
 知らず知らずにして、そしてほんとうはすべてを知っていたゆえに。
 純子がほんとうに求めていた想い。
 もはや純子には、それすら聞こえないでいることはできなくなっているので御座います。
 お父さん・・お母さん・・キャンディ・・・
 
 『まだひとりぼっちは慣れないけど、いつまでもくよくよしてても仕方ないですし・・・
  それにキャンディは幸せだったと思います。
  本條先生みたいな良い先生に最後まで診て貰えたんだから。』
 
 このどう耳を塞いでも聞こえてくる自分の言葉を必死に打ち消して、
 そして純子は地獄へと堕ちる道を歩いていくので御座います、
 というところで今夜は幕とさせて頂きましょう。
 
 
 
 
 
                            ◆ 『』内文章、アニメ「地獄少女」より引用 ◆
 
 

 

-- 051023--                    

 

         

                                  ■■海は青かった■■

     
 
 
 
 
 
 ごきげんよう、紅い瞳ですこんばんわ。
 寒いです。あはは、寒いですよ。
 ということで、というかそれとはなんの関係も無く今日は海行ってきました。
 海行って見てへぇーすげぇーって言って、そんで感動とかしたりしてきました。
 だって、綺麗なんだもの。風が気持ちいいんだもの。寒いけど。寒かった。寒いって。
 あーここが私の住んでるところなのかーとか、まぁ無理矢理いつもは言い聞かせてたけど、
 でもなんだか自然にわーいふるさとわっしょい、みたいな、そんな感じでした。
 最近歩くことが多くなったので、色々と探索中でその中で色々感じられていくものとか、やっぱいい。
 当たり前っちゃあ当たり前な事なんですけど、だからそれが心地いいんですよねー。
 あー私、こんな当たり前の風景も知らんかったんかーとか。
 ええうん、今度は雨の日とかに行ったらどうなるやろかとか、画策中。
 まぁ風邪ひくのがオチかと。寒いし。
 
 で、そういうことで、ローゼン第二期きました。
 なんだかもうアニメばっかりでいいよ日記はもう。
 で、うん、なんていうの? グッジョブ! という感じ? あはは、会心の笑みが止まらないって感じ?
 ていうか、第一話を観た方にはおわかり頂けると思われる、この祭りっぷりはどうですか。
 もうね、第一期の粋を集めたという感じでした。
 翠星石のあのはっちゃけっぷりはどうですか。雛苺の非力な甘えっぷりはどうですか。
 蒼星石の力ないツッコミはどうですか。あはは、大好き! 先生はみんなが大好きですっ!!
 はい。
 もういいでしょう。これ以上なにか書くと鼻血が出そうですのでよしときます。
 ローゼンメイデントロイメント、いきます。
 
 さてさてさて、お次は地獄少女。
 なんだかもう視覚的体感的には閻魔あいの出陣シーンに釘付けなのですけれども。
 あいとそのおばあちゃんとの陰影轟く会話など、いつどこで悲鳴があがるかわからないような、
 ゾクゾクとして、それでいて無性に穏やかな、そう嵐の前の心停止というか、それは静か過ぎ。
 さめざめと入り乱れる情感をどう表現していいか、
 きっとその表現技法を体得するにはあまりに時間が無さ過ぎて、そうしているうちにあいは出陣して。
 絶対的になにかこう、あの光景と私達との間に広がる歴史の重厚さの違いがあって、
 どうしても私達はあいには追いつけない、そういったすがりついてでもなんとか魅入ろうとする、
 なんていうのかな、切実な安定感みたいのがあるのではないかしら。
 ずるずると、どう足掻いても薄皮一枚分の差が変わらない安定度の高さ。
 やっぱり、地獄少女のあのシーンが重く深く、そして微妙な力加減で物語りを支えているのであるなぁ。
 とか、まぁそんな感じで御座います。さぁ、どんどん行ってみよう!
 
 ブリーチ。意表をついてブリーチ。くどい。
 で、その、意表というか意外というか紅い瞳もここまできたかというか、ぶっちゃけブリーチにハマったヨ。
 いやいやいや、いいじゃんブリーチ。ていうかさ、いい。
 これこそどう言葉で表現していいかわからない感じでさ、それこそ血湧き肉躍る興奮ていうの?
 そんな使い古されて、ってほんとは私自身にとっては使い古しどころか新品同然の言葉だけど、
 それをなんとか使いこなして説明してみよう、みたいな? 血湧き肉躍る=ブリーチ!
 なに言ってんのかあっというまにわからなくなりました。最近はやいなぁ自分。
 で。
 今はキッズステーションで再放送も始まって(有り得ないことに第1・2話見逃した!なんたる失態!)、
 なんだかもうブリーチ熱が最高潮!ってところなのよ。
 これでもうあなた、本放送の方であのまま隊長同士のバトルにいこうものなら、鼻血出しまくりデスヨ。
 ていうか、そうなりそうですけどねぇ、まさか京楽隊長がああでるなんて・・・・・くぅ〜カッコイイ!
 わたしゃ浮竹隊長はあんま好きじゃないんですけど、この人はいいよねぇ〜♪
 剣ちゃん隊長と並んで自分の道進んでたら裏切り者になりまして候、みたいな、うん、いけ!
 で、一方の朽木隊長の静かなるブチ切れぶりにも期待大。散れ、千本桜。
 てか、正直一護が強くなりすぎてるのがちょっと怖い。もはや副隊長クラスは雑魚扱い。
 下手すれば隊長も2・3人まとめて相手できそうな(現に一護に負けた剣ちゃんは2人相手)、
 このパワーバランスの壊れっぷりはどうですか。もうちょっとこうさぁ押さえてさぁ・・・・・・駄目?(駄目)
 では、来週にまた期待。
 
 
 ◆ ◆
 
 今週の「ARIA」と「蟲師」の感想をフュージョン! フュージョンて。
 
 感情っていうのはさ、それ自体を能動的に発生させることはできないんだよね。
 いつだってなにかを受けて発生する、受動的なものなの。
 でもその「なにか」自体を能動的に発生させることはできるのですよね。
 笑うって。
 それは心から面白いと思ったことを受けて、そして自然に流れ出ていく所作であって、
 そこには決して無理さが無く、笑っているときの当人にはなんの努力も発生しないんですよね。
 どうしてあんなに素直に笑えるんだろう、というのは、それはただ笑えるから、なんですよね。
 だからそれは面白くないものを努力して笑う愛想笑いとは全然違う。
 ほんとうに面白いから、ただ面白かったよという感情の表明として笑顔がこぼれる。
 それゆえに、ほんとうに心の底から笑うためには、
 心の底から面白いと思えるものを受けなければいけない。
 そうすればほら、その心の底から面白いと思える「なにか」というものを受ければ笑顔になれる、
 という答えが得られる訳です。
 それならあとは、その答えという名の机上の空論を実践に移すのみ。
 その面白さを、自分の外に広がる世界の中に見つけてみましょう。
 それはものすごく大変なことのように思えて、実はものすごく簡単。
 じっと耳を澄ませて、じっと目を凝らして、じっと考え込んで、そうして最後に全部をすかーっとやめて、
 そうしてそのまま流れに身を任せていれば、色んなコトが楽しくて面白いことに気づけちゃう。
 それはたぶん、他の人と共有することはできないものでしょう。
 だって、その面白さを見つけた人、それがそれぞれ「違う」人なのですから。
 感情というのは内的な発生現象なのですから、同じものを受けたとしても、
 それに対して発生させる感情は、同じ「言葉」で綴られても違うものになるのです。
 でもそれは逆にいえば、おなじものを見て「面白い」とそれをみたふたりが思ったとき、
 その「面白さ」は違うものなのですけれども、もし一方が笑顔で「面白い」と言ったとき、
 きっともうひとりの方も自分の中に発生した「面白さ」を元手にしてきっと笑顔になれる。
 もっと言えば、誰かの笑顔を見ただけで、自分もなんだか面白くなってきた、という感じ。
 「面白さ」は共有できなくても、「笑顔」は共有できる。
 そしてその笑顔の共有の可能性自体に喜びを感じられれば、はい、きっとあなたも笑えます。
 そしてもし、その「面白さ」自体も共有できてしまったら。
 それはものすごい衝撃になるでしょうね。
 だって「面白さ」というのは、その人が重ねてきた歴史の産物なわけですから、
 その歴史を経ない「面白さ」をぽんと外から投げて寄越されてしまったら、大変です。
 もう、感情がぞくぞくと自転を始めて堪らないかもしれない。
 自分の知らない言葉、自分の知らないぬくもり、自分の知らない速度、自分の知らない知識。
 それらが一統を為して自分の中にそっくり入ってきたとしたら、身も凍る快感に包まれちゃいますよね。
 それは自分とは違うモノであるはずなのに、なぜか自分と同じモノとなって自分の中にある。
 でもそれはあくまで自分の中にあるものであって、自分自身では無い。
 そこに究極の一体感を離れて見ることができる絶対感が発生するんですね。すごい。
 あの人のあのときの悲しみが、苦しみが、わかる。
 でもその悲しみや苦しみは自分の悲しみや苦しみでは、無い。
 可哀想なあの人。哀れなあの人。嗚呼、わかる、わかるから。
 それを、共有できる。
 その共有から始まる「なにか」が、いったいそのふたりになにを共有させるのか。
 涙か・・・・それとも笑顔か。
 私はきっと、その両方だと、想った。
 
 
 恥ずかしいセリフ、禁止。
 
 
 
 P.S:
 「蟲師」が面白かったという大打撃を受けてしまいました。面白いアニメが多すぎる!
 いびつさをこねてこねてそれを途中で放り出したものがひとりでに動き出したのを観ているような、
 圧倒的な生命感と、そして背徳感を覚えました。ていうか知ってはいけないものを知ったみたいな?
 盃が枯れてすっと入り込んできた絶望感をこじあけて、「かえらなきゃ」と想った瞬間、
 自分の中のそのかえらなきゃという想いだけが実体化して先に行ってしまい、
 それを呆然と、あまりにも呆然と見送った廉子のあの瞬間、ああ、もう、死ぬかと。
 ごめん、「蟲師」も捨てがたい。
 
 
 
 

 

-- 051021--                    

 

         

                                    ■■薔薇生誕■■

     
 
 
 
 
 
 『あの子を失ってわかったの。姉妹を失うことがどれだけ辛いか。戦うことがどれだけ苦しいか。』
 

                         〜ローゼンメイデントロイメント・第1話・真紅の言葉より〜

 
 
 
 
 
 
 
 黒く寂れた光の轟きが瞳を包みて。
 蒼くまみれた血の響きが体を濡らして。
 優しくたなびく暴風が奏でる囁きに震えていく魂と手を繋ぎ、
 踊りながら息を潜めていた幻覚。
 この溢れて燃え上がるどよめきは、何?
 私は何処に居るの?
 その言葉が喉を潤していくたびに、そこにある私の姿が鮮明に浮かび上がっていった。
 
 なにかを創っている音。
 それを心地良く聴くことができるのが、それが望まれて生まれてきたことのなによりの証。
 けれども、それだけでは物足りなくて、なんとかして満ち足りていく体を巡らして、
 そうして目の前の人に微笑みかける。
 その微笑みが、確かに綺麗に受け取られていくことを感じることで、その私の生誕に華を添える。
 おはよう御座います・・・お父様。
 その幼い儀式を取り巻く陽光にさえその華を忍ばせていく力強さに、軽やかな重みを感じていく。
 嬉しいわ・・・・・
 それが私が創られた朝の幕開けだった。
 そして、誰かの死の始まりだった。
 
 
 ずるずると、引きずり上げて殺したわ。
 戦って、戦って、そうしなければアリスにはなれないからといって。
 仕方が無い。
 その言葉にすべてを詰め込んだ気になって、それだけで生きている実感をすり減らして。
 それができなかった子を同じ舞台に引き上げて、そして無理矢理に踊らせて、
 力尽きたものから殺していった。
 その舞台に上がる資格を持っていない者を嘲笑い、
 そしてその者の心をまるごと憎悪で塗り替えさせてしまったわ。
 憎かったでしょうね・・・悔しかったことでしょうね・・・・・・
 私は・・・
 同じ舞台に誰かを無理矢理引きずり上げたり、力尽きるまで踊らせたりはしなかった。
 けれど、その舞台で踊る私の姿を観る者に憎悪を植え付け、
 そしてその者がそこでは踊ることができないことを知っていたのにそれを止めることをせずに、
 そしてその者を踊る前に力尽きさせてしまった。
 それを、その者の愚かさと無力さとして嘲笑うことなど、私にはできない・・・・
 あの子は・・・・・それでも私達と戦いたがって・・・・でもほんとうは・・戦わなくてもあの子は・・・・
 
 『じゃあ・・・あなたは・・なんのために戦ったの・・・なんのために・・・・!!!』
 
 私は、あの子を殺すつもりなんかなかった。
 私は、あの子を殺してアリスになるつもりなんかなかった。
 そして私は、あの子をあの子として、ちゃんと最初からその生誕を認めていた。
 それなのに・・・・
 そうよ、一体なんで私はあの子と戦ったのよ。
 どうして私は、あの子が舞台に上がらなければいけないようにしてしまったのよ!
 あの子の生誕を言祝いで、優しく嬉しく笑い合って、ただ暮らしていけるよう・・ただそう思って・・・・。
 それなのに私は、アリスゲームに参加しなければならないという使命に没頭することで、
 その私の思いは受け入れられないということを自分に言い聞かせ、そしてあの子の生誕を踏みにじった。
 あの子を失って後、初めて私はそのことを思い知った。 
 あの子の・・・・・あの子の・・・・・・・・私は・・・・・・・・・・・・・・
 あの子のアリスへの激しい執着を育てたのは、私。
 そしてあの子のアリスへの道筋を絶ったのも、私。
 あの子を除くすべての姉妹が、誰もあの子をあの子として認めることは無かった。
 そして、あの子以外のすべての姉妹が、
 あの子は本当はなによりもあの子自身を愛していたのを知らなかった。
 あの子の目の前に拓かれていたはずの未来を、すべてアリスゲームで押し潰してしまった私達。
 そしてあの子の先にあった可能性を消してしまった私達。
 
 なぜ誰も、あの子だけでもあの子として生まれていくことを許さなかったの?
 
 アリスゲームに参加しなければならない、という使命に支配された私達の命。
 けれど本当は、私達の命はそれを遙かに上回る可能性を持って初めてアリスになれる、
 それは恐ろしく困難で、そして広大な世界に抱かれているものだったの。
 それがなぜか、ということを、私はもう知っているわ。
 私達は、何度でも目覚め、そして幾万回でも生まれてくるからよ。
 私達は断続的な命を繋ぎながら、いいえ、ほんとうは次繋がるはずの命がどういうものかも知らずに、
 それでもそれを怖れずに生まれることができるわ。
 私達は、誰かがネジを巻いてくれなければ二度と目覚めることが無いことを知っているのに、
 それでも深い眠りにつくことができるわ。
 私達は、どんな体や世界や使命や運命が待ち受けているのかも知らずに、
 それでも恐ろしい生誕を嬉々として受け入れることができるわ。
 それなのに。
 
 私は、水銀燈を、殺した。
 
 
 
 次の命への渡し場が、私を呪うために待っている。
 夜の静寂の示す無としての意味が、それがそこに確かにある実体として迫ってくる。
 夢を観るのが・・・・怖いわ・・・・
 これは私の問題と、そう心懸けて懸命に誰にも言わずにトランクを閉めて、
 そうして決して閉じてはいけない瞳をされるがままに閉じさせて、そうして私は夢に堕ちた。
 みしみしと、引きずる影の断末魔が私の中を這いずり回る。
 『私は、ジャンクなんかじゃ無い。』
 私は、アリスになりたい。
 このふたつの想いだけを頼りに生きてきたことの償いが、夜を徹して行われる地獄。
 私は、私で居られなくなることが怖かったの?
 私は私になりたかったの?
 私が私になるということは、私が私で居られなくなるということなのに・・・・
 私は・・・なんのために水銀燈を殺したの・・・・?
 私は・・ただ・・・・・・・・・姉妹と一緒に生きたかっただけなのに・・・・・・
 嗚呼・・・・・・ああ・・・・・・あの子がずっと・・・ずっと・・・・叫んで・・・・泣いて・・・・・
 
 
 
 
 『ジュン・・・・・私は正しかったの・・・?』
 
 
 
 
 水銀燈の、未来を求めるその魂が、私の目の前で踊っているわ。
 
 
 
 ◆ ◆ ◆
 
 最高です。
 そう、言うしかないでしょう。
 OPで完全に第一期との色彩的断絶を達成し、それをひとつの死と再生になぞらえ、
 そして始まった新生はけれどまるで前世と変わらぬ世界の進展そのままであり、
 思わず違和感を感じる寸前に陥りつつもそれを上回る懐かしさによって見事に意識が明瞭となり、
 しばらくその新しくも懐かしい物語と人物の織りなす風景に心奪わるる。
 楽しい、とただその想いのままくるくると流れていく時間を経て、そして。
 すべてを包括した上でそこからひとつ完全に突き抜けた一歩を刻んでいて。
 第一期にて自分達がやってきたこと、その意味を改めて問い直した真紅。
 今までの総括にして、それ自体が導き出す新たな命題とそのステージ。
 そして、はっと気付いて改めて今回のそれぞれの人物の仕草を観るにつけ、こう思うのです。
 みんな・・・進化してる・・・
 今までの積み重ねとしてのその少しばかり新しい姿の展開。
 ジュンが、のりが、巴が、雛苺が、翠星石が、蒼星石が、なんだかすごい。
 そして。
 その今までの積み重ねの重みが押し潰したすべての底辺によって発生した、無限の落下。
 それは進化という幻想、前進という名の螺旋構造の展開であると同時に、
 その幻想と構造の展開を意識した上でそれを乗りこなすことができる可能性の示唆でもあるのです。
 落ちて、堕ちて、そして、わかる。
 あのEDがどこまで深まっていくのか、そして、
 その奈落の果てで見上げた空がどうなっていくのか、その期待だけでもう、最高です。
 
 
 あはは。祭じゃ! ローゼン祭りの始まりじゃ! ←脳内薔薇化完了
 
 
 
 
                      ◆ 『』内文章、アニメ「ローゼンメイデントロイメント」より引用 ◆
 
 

 

-- 051019--                    

 

         

                                ■■無力で正しい地獄■■

     
 
 
 
 
 
 『あなたが本当に怨みを晴らしたいと思うのなら、その紅い糸を解けばいい。』
 

                         〜地獄少女・第三話・閻魔あいの言葉より〜

 
 
 
 
 今晩わ。
 今夜は地獄少女の第三話についてお話させて頂きましょう。
 今回のお話で随分とそのお話の基礎を固めたように見受けられました。
 これぞ地獄流、と申しましょうか、安心してその流れに身を任せることができたので御座います。
 それをよしとして、今夜もひとつお話の真意を探ってみたく存じます。
 それでは、参りましょう。
 
 今回のお話の構造はこういうもので御座いました。
 将来を嘱望される野球部の先輩に友人を殺した罪をなすりつけられ、
 そしてその怨みを晴らすために地獄通信にアクセスする、というお話。
 はい。
 これだけみて、既に違和感を禁じ得ない、そう思われたのならなかなかのもので御座います。
 ええ、私もなんだろうこれは、と思いましたのです。
 怨みを晴らして先輩を地獄送りにしたって、自分にかけられている殺人の嫌疑は晴れないのに。
 さて、それでは改めて細かくお話を振り返ってみましょう。
 野球部に所属する室井は、エースで先輩の花笠にストレス解消のためにバットに殴られる。
 そしてそれをみていた石井に花笠はお前達が巫山戯て遊んでいて怪我したということにしておけ、
 とそう言う。
 反抗しようとする石井を室井は今不祥事が発覚すれば甲子園出場が無くなるといって制止する。
 それに渋々従った石井だが、数日が室井はそのときの怪我が元で死んでしまう。
 そして石井は室井の母親に人殺し呼ばわりされて窮地に陥り、
 花笠に真実を明かすよう求めるもけんもほろろに断られ逃げ場無し、そして地獄通信にアクセス。
 はい。
 この状態、確かに逃げ場が無いといえば無いですけれども、それはある意味で石井が無くしたもので、
 もっと賢くそして覚悟を決めて立ち回れば、いくらでも回避できた行き止まりなので御座います。
 そもそも、花笠が殺したという証拠、そして石井が殺したという証拠もどこにも無いので御座います。
 石井が神妙にすべてを話せば、その線での捜査も始まるで御座いましょうし、
 現に後にあっさりと目撃者の証言もあって石井の潔白は証明されるので御座います。
 石井はあのとき、一度もはっきりと事の次第の説明と身の潔白を叫ばなかったので御座います。
 自分の潔白を証明することができない、それができるのは花笠の自白だけ、でも花笠はしてくれない、
 だから逃げ場は無い、というのはこれはまったくの石井の無知及びその動転ゆえの事で御座いましょう。
 石井の潔白の証明など、それはそもそも警察の方々のお仕事なので御座います。
 ゆえに、真に逃げ場が無いといえるのは、石井がすべて話してのち、それでも事態が変わらなかったとき、
 そのときになってからなので御座います。
 けれども、石井は花笠の名を書いて、地獄通信にアクセス。
 なんたる、無知蒙昧にして軽率なる振る舞いで御座いましょうか。
 せめて両親だけにでも話ておけば、その両親に責められるという地獄を味わうことも無かったでしょうに。
 しかも花笠が居なくなってしまえば、もはや石井の潔白を自白してくれるものもいないというのに。
 石井の行動は、これはもはや事態解決としての怨みでは御座いません。
 ただ、花笠が憎い。
 けれども、実はそうではない、ということに気づけるので御座います。
 石井の行動は、少なくとも彼自身にとっては事態解決の方法として為されているので御座います。
 なぜならば、彼に迫る「事態」をすべて「花笠」という存在に集約させてしまっているので御座いますから。
 ゆえに、「花笠」が消えるということが「事態」を解消する、という単純構造が発生するので御座います。
 石井は、その構造の発生に全く抗うことができずに、
 完全にその虜と成り果ててしまいますので御座います。
 嗚呼、恐ろしや恐ろしや。
 自分が逃げ出したいばかりに、花笠を地獄送りにしようとしている人が、ここにおひとり。
 
 けれども、石井は最後に花笠に自白を迫ります。
 花笠の良心を信じて。
 ところが花笠は全くその良心とやらを示さないばかりか、全く反省無し。
 さらには、自分の肩を大会に出ることで消耗することを避けるために出場停止は望むところ、
 だから石井と室井には感謝している、といけしゃあしゃあと言うので御座います。
 そして極めつけは、石井がそのためにわざとやったのかと問い詰めると、花笠はわざとだったら?と答える。
 石井の憎悪に、新たな色合いが覆い被さっていくのが、はっきりとわかりまして御座います。
 怒り、或いは義憤と申せましょうか。
 室井の無念を想い悔し泣きに暮れ、それを自らの怨みに上書きし、地獄少女との契約を成す。
 正義の鉄槌を、下す。
 そこにはもはや、石井個人の怨みは無く、ただ純粋なる花笠の懲罰への意欲があるのみ。
 許せない、こんな奴は許してはおけない。
 そして、地獄少女は出陣するので御座います。
 そこにあったはずの怨みは、既に義憤へと昇華しているのに、で御座います。
 
 けれども、地獄少女はそれを受諾し、そして花笠を地獄に流すので御座います。
 
 前回と同様、花笠へ悔い改めるよう迫る地獄少女一味のやりようには、
 説得性の欠片も御座いません。
 自分の罪を認める気になったかい? という骨女の問いは全くの無意味。
 花笠はそもそも自分のしたことを当然と認識しているので御座いますから。
 そんなことは、彼らにもわかっていたことで御座いましょうに。
 そして、それゆえに、なので御座いましょうね。
 彼ら地獄少女一味は、なんなく花笠を地獄送りにしてしまえるので御座います。
 まるで、あそこで花笠に悔い改められてしまっては困るかのように。
 これは実は、石井の行動そのままであるということに、お気づきで御座いましょうや?
 石井のそもそもの目的は、花笠に自白させることで御座いましたが、
 いつのまにやら「なんやかや」と理由を上書きしてその怨みのままに花笠を殺してしまったので御座います。
 地獄少女一味は、まっさらにそれを踏襲しているので御座います。
 石井は自らの中に芽生えた怨みを浄化すること無く義憤へと昇華させ、そして実行した、
 それが一体どういうことであったのか、それがこれからの人生を通して彼は知っていくことで御座いましょう。
 彼に、智恵と力が備わっていくたびに、彼は自らの過去の行いの愚かさに気付いていく・・・・
 義憤という名の紛れも無い「怨み」で人ひとりを殺した罪。
 それですべてを片づけてしまったこと、その罪を負って。
 しかし、果たして石井はそれに気付くことがあるので御座いましょうか?
 答えは、はい、で御座います。
 なぜなら、彼はすっかりと壊れた両親及び世間との関係の中を生きて行かねばならないのですから。
 なぜあのあと花笠の罪が明かされ自分の潔白は証明されたのに、
 それなのにどうしてこうなってしまったのか、それを考えずに済むことは無いと私は思うので御座います。
 花笠の良心の無さのせいにして、室井の無念で感じた義憤のせいにして、
 それがどれだけのものを残したのかを、石井は思い知っていくので御座います。
 
 
 花笠への地獄少女一味のやりようの解釈をば、最後に。
 彼はあのとき野球をやらされます。
 そして彼は、明らかに異様な光景であるにも関わらず、まっすぐに野球をプレイするので御座います。
 相手より強く、相手より早く、相手より多く相手を出し抜き、相手に倒される前に相手を倒す。
 その通り、忠実に花笠はプレイするので御座います。
 輪入道: 『野球がちょっとできるからって、自分は特別な人間で、
 なにをやっても許されるたぁ思い上がりもいいとこだ。』
 野球というひとつの「スタイル」にすべてを託して生きている花笠。
 正義というひとつの「スタイル」にすべてを託して花笠を殺した石井。
 同じで御座います。
 ふたりはほんとうに、心の底からそのスタイルを望んでいたのかどうか。
 その答えを待たずして、ひとりは地獄へ、そしてひとりは生き地獄へ流される。
 これを以て今夜は幕とさせて頂きましょう。
 
 
 
 
 
                              ◆ 『』内文章、アニメ「地獄少女」より引用 ◆
 
 

 

-- 051016--                    

 

         

                                     ■■苺半分■■

     
 
 
 
 
 
 ごきげんよう、はやくも苺ましまろ分が切れた紅い瞳です。むしろご機嫌斜めデス。
 ということでこの我が儘っこの性根と機嫌をたたき直すために苺トークを開始開始。ツッコミ禁止。
 で。
 なにかと。
 いやなに、苺ましまろ終わっちゃったとか、もう言わない方向で。苺ましまろは永遠に不滅ですの方向で。
 永遠です。
 で。
 うん。苺ましまろさ、早速ビデオを巻き戻して第一話まで遡って見たヨ。久しぶりのこの有言実行ぶり。
 で、うん、そうだね、なんていうかさ、ええっとさ、絵的には後頭部ぽりぽり掻いちゃうようなさ、
 なんていうの、うんとさ、伸恵お姉ちゃんてしょっぱなからどうしようも無い人だったんだなぁ、みたいな?
 あとみっちゃんによるちぃちゃんのイスを下げて嫌がらせをする発想はこの人からだったかぁ、みたいな?
 ほんと、どうしようも無い。
 あと、みっちゃんっていつになったら玄関からちゃんと入ってくるのかなとか、あそれはなんかもう無理とか、
 あ、えっと、ぺちゃパイ。(脈絡とか無いです)
 ああもう、くそぅ。駄目だ。結局駄目だ。
 苺ましまろを書けとか、なんだ、このころの私の安易な命令は。無理だろ。いくらなんでも。うん。
 全部見終わった改めてわかりました。リアルタイムで書かなきゃ全然駄目もうなんか駄目とか。
 苺ましまろを書くってこと自体既におもいっきしタイムラグ発生してるってさ、ようやく思い知った。
 てか、惨敗。負けた。ああ負けた。ああ、笑ったよ、笑ってるだけでした、ええもう笑え笑え!
 くそぅ、腹立つのになんで笑ってるんですか私はってそりゃ苺ましまろだからねぇ。(自己完結)
 ごめん、もう、負け惜しみしか言えない。いえ、負け惜しみも言えないだって完敗だもの。
 あ、なんか思いついた。 
 苺ましまろって始めの頃は結構間の取り方とかのきっちりさが全面に出てきてたけど、
 後半になるとそれを押し抜けてなんか出てきてたよね。
 マサチューセッツ。
 で、えっとなんだっけ、ほんとみっちゃんて邪魔だなぁ、あ、うんこっちの話、で、その、なんだっけ?
 あ、なんか出てきたとか、そんな話? そだね、なんていうかぬるい「話」そのものっていうか?
 そうそう、お話にちょっとしたエッセンスをきらっと入れてみたりとかさ、特に伸恵お姉ちゃんの優しさとか、
 なんていうのかそのあったりまえに入ってるからわざわざ主成分表示しなかったけどさ、みたいな、
 でもあれってささやかながらの必須要項みたいなっていうかコレが無かったら落第とか、うん、ええと、
 どっかの感想サイトで話芸としての面白さとかゆうのがあってさ、へぇーとか、そだよね、とか、
 単純に話のリズムとか繋ぎ方とかの整調ぶりだけじゃなくて、そこにぽいっと簡単なモノをひとついれて、
 それでその簡単なモノをきらきらっと磨いちゃうっていうかさ、なにいってんの?
 要するに、そうやって間の取り方とかで地ならししといて、そんでそういうのを種まきしたっていうか、
 ただその種だけ蒔いてもぜったい枯れるぞそれみたいなのをちゃんと育ててるっていう感じ?
 伸恵ちゃんのいわゆる優しさっていうのは、やっぱりあの苺ましまろのゆるゆるさ加減でこそ生きる。
 まー、あの人自体はどうしようも無い人なんだけどさ。だからか。
 
 なんか、気付いたらまた毎週苺ましまろ観てるような気がするのは気のせいでしょうか。
 っていうか気にするなよもう。永遠だし?
 
 ◆ ◆
 
 
 「ARIA」第二話で、れっつごー。
 なんかいつもと違う一日の始まりを迎えて、そうしたらなんかいつもと違うことしてみましょとかノリノリで、
 そして水浸しの道路を裸足でのびのびと歩いたりして、すごく気持ちよくて、
 ほら、足の裏で感じる石畳の冷たさと水の冷たさの境界線なんかもさらさらと肌の上を流れていって、
 そうなってくると次第に歩き方とかも変えてみたくなっちゃって、
 そしたらなんだかすーっと前に踏み出す歩幅が変わって足の重たさを感じるところが、
 いつもと違う体の温かみを感じちゃったりして、ぽっぽっと胸を打つ呼吸もリズムが変わってきて、
 そのままの勢いで鼻歌を奏でてれっつごー、ということでキョロキョロ辺りを見回すと、
 あららいつもと違うとこ来ちゃった。よーし、そのままそのまま、でこの歩き方練習練習〜。
 そしてそのまま歩いて次の日を迎えたら、あら不思議、いつもと同じ朝がまた新しくなっちゃった。
 はい。
 いつもと同じ場所から飛び出して違うものと出会えたら、
 そしたら元の場所に戻ってきたらそれが新しくなってる。
 いつもと同じ朝は全然変わらないけど、変わってる自分が居る。
 髪型変えたり行く場所変えたりいつもと違うことしたり、
 そうしていつもと同じ場所から飛び出すって事自体、それがひとつの大きな経験となって自分を変える。
 それで変わった自分がいつもの場所を見つめてみれば、それはもう新しいものが見えてくる。
 うーんうんうん、そゆこと。うあー、爽快!
 そこまで心ゆくまでスカっとしたら、これはもういつもと同じことなんて全然無いさってなっちゃうよねー。
 毎朝毎朝、新しくなってく自分! 自分が変われば世界も変わる!
 よし、気持ちいいぞー。
 この気持ちよさが、きっと次の日の朝を変えていく力になるんでしょね。
 そういう新しくなっていく次の日の朝を経ることに、どんどん自然に今まで見えなかったものがみえてくる。
 見えそうで見えなかった、いやいや、見えてたけどそれの受け取り方がわからなかったものとか、いっぱい。
 『いつもの景色がいつもと違ってみえると、いつもは見えない大切ななにかがみえてくるような気がします。』
 by ARIA第二話の灯里のセリフより
 ということで。
 セーフ! (特に意味はありません)
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 (特にこの間に意味はありません)
 
 
 
 
 
 

 

-- 051014--                    

 

         

                                ■■苺たちがやってくる■■

     
 
 
 
 
 
 私達を 許して あげなさい〜♪
 
 はいはいっと、そういうことで苺ましまろの始まり始まり〜。
 やーなんど観ても聴いても苺ましまろは愉快爽快心ゆくまでノリ切れるよ〜。
 うーん、いい! これはいいですよっ!
 これが始まるとまさに居ても立ってもいられない、完全苺モードでふわふわっと飛んでっちゃう!
 どうしろっていうんだよー、ってもうそうやって勝手に飛んでいっちゃう私を追いかけてオロオロとかさ、うん。
 はい。
 そんな楽しくて嬉しくてなんかもう私の語彙の貧弱さで吊し上げるには最適な苺ましまろが終わりました。
 てか、おわっちゃったよ! どうすんだよ! むしろどうしてくれるんですかっ!!
 ああ、なんかもうアニメが終わってしまうこの落胆感というかなんというのか、
 そういうのをおもくそ久しぶりにがっちりと味わってしまいましたよー。
 なんだよ、他のアニメが終わったときはさ、ふーん、って感じだったのにさ。
 なんで苺ましまろの終わりは素通りしないのさー自分!
 次に始まる新しいアニメが楽しみで終わるものに構ってらんないとか、なに恩知らずなことゆってるとか、
 そんなことを考えたことも無い癖に堂々と未練たらたらでさ。
 なんなら後番がローゼンじゃ役不足とでもいいたいのか、自分! おいそこの私!
 うう、明日からどうやって生きていけっていうのさ。
 普通に生活必需品を奪われる苦しさを実感しちゃったよ。
 ていうかさ、いきなり最終回だもんね。油断した。ていうか最終回の存在を忘れてた。
 てか苺ましまろって終わるのとか素で思ってた。なんだこいつ。苺が終わる?はぁ?ナニ言ってん?
 駄目だ。最後で逆転された。頭の中喪失感で一杯です。ぎゃー。
 
 ええっと、キリが無いのでいつものやつを書き出してみます。(半泣きで)
 
 
 朝起きて異様な寒さを感じたとき、たいてい外は雪景色。
 しかしそれよりもゴっゴっというくぐもった音で目を覚まされたちぃちゃんが窓開けると眼前に雪が。
 あぐ。 ←みっちゃんの投げた雪玉が顔面ヒット
 みっちゃんすでに全開。
 ちぃちゃんおはよう。
 そして寒さで目を覚まして外みて雪だったので勘弁してよとかいい大人ぶりを示して、
 吐いた白い息を煙草の煙に見立てて悦に入る姉の方はどうよ。
 今日はクリスマスイブ〜byみっちゃん
 はい、ごもっとも。ではそういう感じで今日もいきまっしょい。
 
 朝早々に雪かきに嫌々精を出す伸恵おねえちゃんはやってられるか〜と早くも激怒。
 ちぃちゃんとみっちゃんにも手伝わせようとするも、ふたりは雪だるまの下敷きになったサタケ(犬)救出中。
 雪だるまが崩れて庭駈け回っていた犬が下敷きになってそして懸命に掘り返す小学生の図はすごい。
 呆れたのあの字をいうのも億劫になった伸恵お姉様にご褒美進呈という方向に。
 伊藤家の前の坂の手前で遭難しかけている五年生ずの悲鳴を堪能。雪ってそこまで滑ったっけ?
 此処まで来るのに何時間かかるか、というその何時間がお姉様のお楽しみタイム。うわぁ。
 次。
 クリスマス話大会。
 アナちゃんちの飾り付けがすごいとか伸恵おねえちゃんの体から湯気がでてるとかはよくて、
 それより問題は茉莉ちゃん。
 サンタの存在をがっちり信じてる茉莉ちゃんをいかにしてみっちゃんの魔の手から守るか、
 という方向性で約1名を除いて全面合意。
 その約一名が間隙を縫って茉莉ちゃんに迫りますが、金色の閃光が。
 あら失礼、足が滑りましたわ〜おほほ。by英国淑女の卵
 雪中にひれ伏した悪魔の手先(約一名)はほうっておいて、さぁ次いこう次〜。
 こらぁ〜!冷たいの我慢してんだからつっこめよ!byボケが生き甲斐の少女
 インザハウス。
 伸恵お姉様がちぃちゃんず部屋のドアを開けると、そこにはリ○ちゃんハウスを取り囲む少女達が。
 なにやってんだおまえら。
 懐かしかったから出してきたみたいな感じでせっかく片づけたのにとかそういう応酬。
 それは取り敢えずおいといて、オママゴト開始。みっちゃんはパパを裸のまま使用。シュールを越えた。
 パパの格好さえ気にしなければごく普通に進行していくオママゴト内ストーリーですが、
 案の定というかそうきたかというか、みっちゃんがクリスマス話を華麗にサンタ話題に繋げて、
 そのまま茉莉ちゃんにセンタリング。流れるようなパスワーク!
 必死に防戦するアナちゃんをかわして、さぁみっちゃんは余裕でアナちゃんごと倒されます(伊藤姉妹に)
 ぎぶ、ぎぶ〜by一番下敷きの子
 もしかして、みうちゃんの家にはサンタさんこないの?というあまりにも無謀なパスミスをした茉莉ちゃん、
 それを逃すみっちゃん様では無いわっということで自信満々に次のセリフを言おうとたら脅迫。
 下手なこと言ったら、刺す。←無言でみっちゃんの背になにかを突き付けるお姉様
 さぁ、どうするどうなるみっちゃん。
 
 
 私は六歳のときにサンタに勝ったから。 byみっちゃん
 
 
 ・・・・・・・・。
 
 3才のとき:信号を頼んだら、懐中電灯(三色)が三本届いて。
 4才のとき:温泉頼んだら、秘湯巡り温泉セット(温泉の元)が届いて。
 5才のとき:せきとりを頼んだら、まげのカツラと肌襦袢が届いて。
 6才のとき:おっきなおやまを頼んだら、白旗が届いてサンタ降参。父母と選手交代を余儀なく。
 
 みうちゃんののぞみはおおきすぎててにはおえません。
 
 
 口ほどにもないサンタだよね! byみっちゃん
 
 なんだか知ってはいけない歴史を紐解いてしまったような感じで一杯ですが、
 茉莉ちゃんの言うとおりみっちゃん可哀想そうということにしておきましょう。
 そうじゃなきゃマズイ(笑いが止まらん)
 とはいえ、取り敢えずみっちゃんは試合に負けて勝負に勝ったことに満足してる様子なので安心と、
 しかしいずれはバレることなのだからお姉ちゃんのため息は止まりません。
 茉莉ちゃんどうしよ。
 しかし思えばみっちゃんの言葉はなかなか重くて、そういえばうちにサンタが来なくなったのはいつだっけか、
 とかつてちぃちゃんにサンタさんとしてプレゼントあげてたお姉様は黄昏れてしまいます。
 ちぃちゃんが友達かなにかからサンタはいないと聞いて泣いていたのをみて、サンタを続けたお姉様。
 いくらなんでも鼻眼鏡にジャージのサンタはどうかと思ったけれども、それよりも、
 ちぃもおぼえちゃいないだろうなぁと、茉莉ちゃんのこともそのままバレるままに流そうとしてしまいますが。
 
 (CM)
 
 クリスマスイブの夜道を三匹のトナカイとひとりのサンタが歩いていたら見てみぬ振りをしないと大変です。
 もしあなた達がカップルだったらさぁたいへん、独り者のトナカイの逆鱗に触れてしまいます。
 雉も鳴かねば撃たれまいに(合掌)
 ということで、配役はトナカイがアナちゃんちぃちゃんお姉様、サンタがみっちゃん。
 どうあってもミスキャストにしか思えないのですがそこはご愛敬。でもサンタがサンタがぁーっ。
 これはどういうことかというと、お姉ちゃんが意地でも茉莉ちゃんにサンタを信じさせたくなったとか、
 なんかそのもう絶対達成されなさそうな手段とメンツのような気がします。お姉様、これは無理です。
 なんだかんだで茉莉ちゃん家に侵入成功の面々(どう見ても集団窃盗グループ)。
 煙突の無い茉莉ちゃん家は窓からサンタさんが入ってくることになっているので、
 ちゃんと窓を開けて寝ている茉莉ちゃんにすっかりほだされたお姉様はやる気上昇。いけ、お姉様。
 さっそく茉莉ちゃんの欲しがっていたハリポ○本をサンタのみっちゃんに出させますが、
 当然みっちゃんはピコピコハンマーを出してお姉様にのされます。
 ベタなボケは許さん。 by目がすわってるトナカイお姉さん
 それでも敢えてボケを重ねるみっちゃんを沈めていよいよ本番。
 と、既に茉莉ちゃんの枕元にはハリポ○本が。そっか、既に本物のサンタさんが来てたか。
 無駄足ぃ?と愚痴るちぃちゃんを黙らせようとするお姉様の背後で茉莉ちゃんがお目覚め。あ。
 変身ポーズを決めるサンタなどぽい(窓の外へ>ここ2階)して年かさのトナカイが応対。
 仕方がないので、既にあったハリポ○を自分があげたことにして撤収。
 帰り際に茉莉ちゃんに頑張ってねサンタさんと言われたお姉ちゃんの心中やいかに。
 まったく、わたしゃなにやってんだかbyお姉様
 帰り道、でもとりあえずバレなかったからよかったじゃないというちぃちゃんに、
 いつかはバレんのにこんなことして引き延ばしても意味ねぇよなと不満げなお姉ちゃん。ふぅ。
 つれないお姉ちゃんをよそに、アナちゃんはいつまでサンタ信じてた?ときくちぃちゃんに、
 アナちゃんが素敵アンサー。
 イギリスのおばあちゃまがサンタクロースだったの?byみっちゃんサンタはいるって信じてる人のところには
 ちゃんとやって来るんだよって。
 それ聞いたみっちゃんはもうひとつ説得力にかけるかなって伸恵お姉様はふふって笑って。
 あー来ちゃう来ちゃう。ていうか、行っちゃうね、うん! by笑顔一杯のお姉ちゃん
 お疲れ様でした。
 そして来年も。
 
 次の日の朝。
 渋々雪かきにでたお姉ちゃんを待っていたのは、仲良く五人並ぶ雪だるまの列。せんきゅ。
 次の次の次のえっと結構次の日の朝。
 桜舞う穏やかな朝日の中駆けめぐるいつもの調子とノリで始まる今日一日。
 ちぃちゃんみっちゃんアナちゃん茉莉ちゃんを追い越して上滑りにバイク走らせる伸恵お姉ちゃん。
 こんな早くに学校いくのは最近みつけたカッコイイ人に会うためってむしろ恋人候補?
 無理無理〜あははは by彼女を良く知るとあるふたりの証言
 久しぶりの授業風景。お、懐かしい。
 そして懐かしの先生がこのようにして何事もなかったことのように季節は繰り返す訳だがという単語説明。
 しっかりとそれをノートする笹塚くんに、脇目もふらずか笹塚、廊下に立ってろ。繰り返す理不尽。
 え・・・嫌です。by何事もなかったかのように今までの流れを断ち切った笹塚くん
 万物流転ならぬ大逆転。無言で廊下に立つ先生。この人はやはりすごい。
 アナちゃんは相変わらずイギリス人ぶって茉莉ちゃんはなんにも気付かずスルー。いつものこと。
 そういえばお姉ちゃんはどうなったって?
 途中でやる気無くなって家路に付きました。速攻。
 そしてみっちゃんはちぃちゃんが宿題写させてくれなくて駄菓子奢ってくれないことに憤激して、
 先生! ちぃちゃんが宿題写させてくれないし買い食いで奢ってくれないしケチなんです、とかいう。
 つくづく、良い度胸だな、松岡。by先生
 うん、だよね。
 最後まで、みっちゃんはみっちゃんでしたね。
 
 
 うわーうわーうわーっ、苺ましまろが終わっちゃう終わっちゃう! 巻き戻し巻き戻し!(虚しい行為)
 
 
 
 ということで、なんかもう全然お別れ気分になれないままのお別れですが、その、バイバイ!
 
 
 
 思い出したら、こんどまたなんか書きます。
 ていうか、苺ましまろは第二期をやりなさい。
 
 
 
 

 

-- 051012--                    

 

         

                                  ■■すれ違う地獄■■

     
 
 
 
 
 
 『あとは、あなたが決めることよ・・・・・・』
 

                         〜地獄少女・第二話・閻魔あいの言葉より〜

 
 
 
 
 今晩わ。
 今夜は地獄少女第二話についてのお話をさせて頂きましょう。
 今回からOPがついたようで御座いまして、これで体裁は整った由に御座います。
 OPについては、そうで御座いますね、とても不思議な感じがした、とだけ申し上げておきましょう。
 それで充分、とも敢えて付け加えさせて頂くのもそれほど悪いことでは無いかもしれませぬが。
 いやいや、せっかくですので敢えて敢えて付け加えさせて頂きましょう。
 無機質な世界の中にみつけたぬくもりが無機質な形をしていたのを見つけたような、その気持ち悪さ。
 そういうものをちらっと感じてしまいましたので御座います。
 
 
 さて。
 第二話の物語はといいますと、こうで御座います。
 ストーカーに付きまとわれている女子高生鷹村涼子が、
 その誰ともしれない「つきまとう人」の名を地獄通信に書き込み、その相手は・・・・。
 という至極簡単な形となっております。
 しかもそれを彩る諸々の展開もそれほど意匠を凝らしたものでもなく、
 それはあまりにもあっけらかんと簡潔に終わってしまうので御座いました。
 悪質なストーカーを地獄送りにする。
 言ってみれば、勧善懲悪そのままで御座います。
 その手の「物語」を堪能し尽した方にとりましては、
 なんのこんなもの凡百の中のひとつに過ぎぬと、その今更感を得てご不満のことかと存じます。
 まったく、まったくその通りで御座います。
 少なくとも、この「物語」は、で御座いますけれども。
 ええ、ここからが今夜のお話の始まり始まりなので御座います。
 宜しゅう御座いますね?
 
 さて、さて。
 このお話に、加害者と被害者、というふたつの視点と立場をまずは生成致します。
 無論、ストーカーをした如月が加害者で、ストーカーされた涼子が被害者で御座います。
 では今度はそれを、ふたりの人間、とただ同じ視点と立場に設定し直してみると如何なりましょうや?
 如月はただ涼子が望んだものを涼子にプレゼントし、そして涼子はそれを受け取っておきながら、
 涼子はその受け入れたはずの如月から逃げる、という裏切り行為に出る、
 ゆえに彼女を怨む、これが彼の視点と立場。
 涼子はそんなものを望まず受け取りもせず、そもそも如月を受け入れるどころか明確に拒否している、
 そして疲れ果てて彼を怨む、それが彼女の視点と立場。
 如月の涼子への想いというものは、彼の中では元々双方向性のものでは無い、という訳では無い。
 彼は一応、涼子は自分の想いを受け入れているという「観察」を冷静に行っているので御座います。
 つまり、彼は自分の想いは片思いなのは知っているけれどそれでもいい、とは想っていず、
 この自分の想いは涼子もわかってくれてそして始めて成り立つと、ちゃんとそう思っているので御座います。
 彼はそうして涼子をよく観て、そしてちゃんと涼子もわかってくれていると「結論」したのです。
 勿論、実際は涼子はわかるどころかつけ回されることに苦しんでいるので御座いますが。
 ゆえに、その彼の出した「結論」は彼にとっては正しくて、涼子にとっては正しくないということ。
 けれども、その「結論」を導き出した理屈、つまり愛は双方向であって成立するということ自体は正しく、
 そして如月にとっては自分はちゃんと正しいことをしているという自覚を持っているので御座いますし、
 また涼子の言動をみるに、涼子自体もその理屈にはちゃんと賛成しているようですし、
 それなのに涼子が自分を拒否するのはおかしい許せないと、まぁこういう訳になる訳で御座います。
 問題になるのは、要はこのふたりの物事の観察の仕方の違いと、そういうことになるで御座いましょうか。
 ええ、ええ、勿論世間様の大多数の方には、如月の観察の仕方が間違っているだけと感じるのは、
 これはもう当たり前ということで御座います。
 ですが。
 
 なぜ、地獄少女は彼を罰したか、ということを考えるほうが、それに頷くよりも面白いかと存じます。
 
 如月の観察の仕方が間違っている、というのは「被害者」が存在して始めてそう言える。
 世界中の皆が如月のような人間で、それぞれが同じように無茶な観察をしあって傷つけ合う、
 そういう世界でしたならば、そこには間違った観察の仕方など存在しない。
 では、ここでちょっと違うお話を致しましょう。
 涼子が地獄通信にアクセスした理由、とはなんで御座いましょうか?
 それはまぁ、簡単な話、ストーカーからの被害を終わらせたい、ということで御座いましょう。
 そして、涼子は「つきまとう人」と書いて送信する。
 ええ、わざとこういう書き方をしたので御座いますけれど、
 この苦しい状況を脱するのに、涼子はその「誰とも知れぬ」人の命を奪うことを選ぶので御座います。
 確かに、それは名前を知らないというだけで、明らかに特定人物を指してはいるので御座いますが、
 けれどどことなく違和感を禁じ得ないので御座います。
 なにやら、涼子がその誰とも知れぬ人を無条件に勝手に裁いているように見えるので御座います。
 その人がどういう人かを知りもせず、その人がしたことだけでその人の命を奪う。
 こうしてくると、少し地獄少女という存在が見えてくるので御座います。
 地獄少女は、裁判官では無い。
 地獄少女はただの暗殺請負人。
 なんだか物騒な言葉が選ばれて出てきてしまいましたけれど、
 つまり誰かを殺すも殺さないも、それを決める指針なり規定なり、
 それらはすべて地獄少女を呼んだ者に依る、ということになるので御座います。
 それはつまり、その者の「怨み」がすべてを決め、そしてすべての責任を負う、ということで。
 涼子は地獄少女に会ったとき、こう言うので御座います。
 苦しむ自分を見て苦しむパパとママをもう見たくない、と。
 その言葉を聞いて、地獄少女はこれを解けば契約が成る紅い糸を巻いた藁人形を渡す。
 怨みを晴らせば、あなたも地獄に堕ちる。
 今回はご丁寧に、地獄に堕ちるのは死んだあとからだけどね、と説明まで付けて。
 はい。
 パパとママは苦しむ自分を見て苦しんでいる、
 それなら怨みを晴らすことで自分も死んでしまったらパパとママはもっと苦しむ、だからできないと、
 そういう涼子の引き返す道を見事に埋め立ててしまうので御座います。
 そう、死んでから地獄に堕ちるのなら、自分だけが苦しめる、だからできる、と。
 逆にいえば、パパとママのせいにできない、という意味にもなるので御座います。
 契約を結んだのは、あくまで地獄少女と涼子。
 その恐怖に怯む涼子に、ついに如月が襲いかかるので御座います。
 そして涼子はそのまま藁人形の紅い糸を解いてしまうので御座います。
 如月に迫る地獄少女とその一味。
 けれども、如月は全く自分の観察の仕方を否定することなく、地獄に流されてしまいます。
 まるで、観察の仕方を顧みて反省されるのを防ぐかのように、ただ驚かしてから地獄にぽい。
 力ある説得の無き仕置き。
 自分のしたことを詫びる気になったか、など誰がみたって通じるはずの無い言葉を敢えて贈る。
 如月は最後の最後まで涼子を怨んで、そして地獄少女に連れて行かれたので御座います。
 賢い読者の皆様にはもうおわかりのことで御座いましょうね。
 
 もし如月の方が先に涼子の名を地獄通信に書いていたら、涼子が地獄行きなので御座います。
 
 まぁ如月は怨みを晴らすために自分の命を提供する、ということを拒めば別で御座いますが。
 地獄少女が聞き届けるのはただ、「怨み」を晴らす願いだけ。
 怨み自体に善い悪いは無いので御座いましょうし、それならば如月の怨みが晴らされない道理は無い。
 けれども。
 私は地獄少女・閻魔あいを観て、こう思ったので御座います。
 たぶん如月は、怨みを晴らすために自分の命を提供するのを拒む、と。
 なぜならば、恐らく閻魔あいは如月には地獄に堕ちるのは死んだあと、とは言わないであろうゆえに。
 或いは、そもそも如月には地獄通信の噂自体耳に入らないのでは無いかと思うので御座います。
 「地獄少女」という世界の根底にある、巨大な意志を感じるので御座います。
 地獄少女一味の言動を観るにつけ、それが非常に「一般的」な、或いは人情味溢れている、
 そのように感じるので御座いますが、けれど「怨み」はそれがどういうものであれ晴らさなくてはいけない、
 その宿業を負わされており、しかしその中でなんとかその自分たちの人情を示そうと、
 そう見えるので御座います。
 それ自体が、「地獄少女」の世界に流れる強烈な意志に見えるので御座います。
 そして、その意志の中で生かされている私達の姿が見えてくるので御座います。
 殺伐とした現代社会を生きる私達を、闇より浮上した強力な「人情」が襲う。
 これが幸せなことか恐ろしいことであるのか、その曖昧さによる不安が、
 今回のこの「物語」の足下から浮き上がってくるので御座います。
 それを利用できるものと利用できぬ者の選別。
 そして。
 その両者ともがそれに飲み込まれていく悪寒。
 両者は決してその中で出会えないうちに地獄行き。
 みんな、みんな、逃げられないの・・
 現代の怪談と言うには、あまりにも生々しいお話で御座いました、
 というところで今夜は幕とさせて頂きましょう。 
 
 
 
 
 
 
                             ◆ 『』内文章、アニメ「地獄少女」より引用 ◆
 
 

 

-- 051010--                    

 

         

                                      ■■ ひとり ■■

     
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 流黒の隙間を這う闇の眼差しを感じて震える影。
 陽炎の中に踊る灯火を眺めて通り過ぎる視線。
 なにを、視ているの。
 
 
 水気を含んだ夜の静寂の中に、音を探す。
 体の中から洩れ出す僅かな律動を捕えるために、その瞬間まで身を潜めている。
 虚ろに翳っていく瞳の向く先には、堅牢な天井がただ控えて待っていた。
 
 ぬるい・・・
 
 風の止んだ畳の上から滑るように濡れ縁に座り込み、体にかぶせた着物をどろりと受け流す。
 整列を成して乱れる髪の穂先を首筋で舐め上げて、腐るように燃え広がっていく夜の吐息を胸に灯す。
 清涼な時間の点滅を操り淫らな拍子を乗りこなし、その勢いを駆って吐血する。
 なんて、薄い血・・・。
 昏黒の末路が垂れ込める濡れ縁と夜の狭間へと散らばっていく、
 その冷たい吐息の色は本当に紅かったのだろうか。
 それすらも知らないこの言葉は、一体これからなにを綴っていけるというのだろう・・・。
 
 決壊の予兆を捉えることもせず、ただその瞬間を待ち侘びていた。
 一体、誰が誰の壊れるのを待っていたというのだろう。
 その問いはそのままこの体を素通りし、そして夜の奥へと吸い込まれていった。
 視える・・・・・・・だから、魅せて頂戴。
 
 私が気付くよりも早くに、障子を適度に閉めその適度に空いた隙間が運ぶ風を呼ぶこの手があった。
 これが、私の視たもの。
 これが、私のしたこと。
 だからお願い。私に私を魅せて。
 
 
 緩やかにしなだれかかる血潮の流れが、その行く先々で私に私を魅せていく。
 その刻む一歩で噛み千切るほどに狂おしく私の体を蝕む高城の血が、
 私の体のすべてを私に魅せ、そして私にその甘い痛みを噛みしめさせていった。
 この血が、私を拓いていく・・・・・。
 冷たく朽ちていた体の中を破壊しながら駆けめぐる暴虐の血煙が、そこに私がいることを教えてくれた。
 夜気に映える白い肌がその奥底より熱く染められていくのがわかる。
 じゅくじゅくと音を立て始めた、充実。
 ゆっくりと激動を始める、鼓動。
 そのなによりも美しい生命の律動に満たされた闇の中に、私が在った。
 ただそれだけが、私の始まりだった。
 
 目を凝らす力を振り絞るほどに、すべてが朧に映っていく加減の修得。
 指先を張り詰めてなぞる足首の逞しい細さが、この吐き出す息の色彩を深めていく。
 私が私を感じるほどに、私は私でなくなっていく・・・。
 くるくると切なげに廻る月光を背に、満ちていく終わりの完成を早めていく。
 なにを言うのよ・・・・終わりを作るのが私の願いじゃないの。
 着実にその重みを高める私の感触が、
 それ自体が死への道筋を拓いていることに感謝しなくてはいけないの。
 私が終わりに臨めば臨むほどに、私は私であることを感じていられるわ。
 私は私であることを感じれば感じるほどに、その私の終わりは近づいていくわ。
 忌わしくも愛おしい高城の血。
 愛おしくも忌わしい高城の血。
 この家がそれを砕く言葉の住処で無いことなど、始めから・・・・・・。
 あるのはただ・・・・・・。
 
 
 
 どうして、死なせてはくれないの・・・・?
 どうして、生きてはいけないの・・・・?
 
 
 
 私は私を殺せない。
 私はただ死んでいく自分を観てるだけ。
 ただそれだけ。
 そして。
 私が生きることだけが本当は私が私を殺せる唯一の方法だと、私は遙か昔から知っていた。
 この体を心ゆくまで透かして生きれば、やがてこの身を滅ぼすべきだと思える言葉が視えてくる・・・・。
 あの夜の下から空を貫く桜の紅い瞳が・・・・ずっと・・・・・ずっと・・・
 
 
 生きたい・・・・・生きたいわ・・・・・お母さん
 
 
 でも・・一砂が・・・・一砂が・・・・
 
 違う・・・・私が・・・・・・
 
 父さんは・・・・・・
 
 
 
 
 この静かな肌の火照りが示すものがなんであるのか、私にはもはやわからなくなっていた。
 
 
 
 ◆◆◆
 
 ひたすらに通り過ぎていく風から抜け出して、厳かにひとり舞いながら、
 それでいて躊躇いつつも降りてきた桜の花。
 漂いながら遙か地面を目指して落ち行くその数を、いちまい、にまい、とゆっくりと数えるうちに、
 そうして数えることができなかった残りの花の海が、私を優しく包んでいてくれた。
 最初にそれに気付いたのは、それは確かに私のこの暖かい指先だった。
 じりと、僅かな痛覚と共に訪れたその感触が、そうして空ばかりみていた私の視線を押し下げ、
 やがて私の瞳に辺りを見渡す力を与えてくれた。
 嗚呼・・散ってはいけないものが、散っている・・・。
 私の死無き生の魂を吸い上げて、いつまでも満開の姿を晒していられるはずなのに・・・・。
 でも、知ってるわ、私。
 ほんとうは、この桜は毎年しっかりと散っていたのを。
 私には、ほんとうは、生があった。
 自分を殺さなくても良い、そんな生があったのよ。
 けれど私は、その現実を夢として観、桜の花の中に押し込めてしまったのよ。
 私は、自ら死を選べないゆえに死を選びたかったのじゃなく、最初から死に逃げていた。
 たとえ、私には最初から死しか無い生のみが与えられていたのだとしても。
 
 桜が満開になる春までは、確かに生きることができたのだ。
 
 私は、死からさえも逃げていた。
 一度きりの死としての満開を怖れるあまり、私は日々桜の花を咲かせ続けることに力を尽していたのよ。
 春なんて、無くなってしまえばいいのよ。
 一年中咲き誇る桜を眺めて、そうして私の周りを見渡すことをせずに済んでいた。
 この体を冷たく凍り付かせていたのは、他ならぬ私。
 この指先に、決して舞い落ちた桜の花のぬくもりを感じさせないために。
 馬鹿ね。
 ほんとうに、馬鹿よね・・・・。
 懸命に散り積もる桜の命を拾い集め噛みしめて、そうして春になったらそれを桜の木の上に咲かせる、
 そのような儚くて悲しい、そしてなによりも幸せに満ちた生を生きることができたのに・・・・・。
 音を立てて体から零れ落ちていく私の命を、ただその喜びのうちに感じることはできていたのに・・・・。
 でもその喜びを、私の生に使うことはしなかった。
 ただ刹那の愉しみとして、壊れていく自分を悲しみ弄んでいただけなのよ。
 そして、その刹那の愉しみをもまた、幸せに生きることの糧として感じていくこともしなかった。
 自分が終わりに近づくこと、それはごく自然にやってくることのはずなのに、
 私はそれを早めることに執心してすべてを無視し、それでいて、私は生きたいのになんて言って・・・・。
 気が狂うほどに、愚かだわ。
 無視なんててんで出来ないくせに、それをわかっているくせにわかっていないふりをするのに命を削って。
 そして私は、一砂と出会った。
 
 
 私は綺麗に、そして完全に逃げ場を失った。
 
 
 轟々と空を引き裂くようにして桜は散り始め、そしてそこに生じたうねりが私を巻き込んだ。
 そのすべてを圧倒的に凌駕する力が、私の中に命を放り込み始めたのだ。
 気息奄々と、などと自分で言うのも馬鹿らしいけれど、
 私はそこで生きることから逃げることができなくなったのよ。
 生きるので精一杯で、そして一砂の事を想うことで張り裂けそうな私を生きていたの。
 私はあの日、この家に戻ってきたとき、新しい生活を始められる予感がしていたの。
 だって、こんなにも桜は散っているのだもの。
 私は力一杯畳の上に寝転んで、そうして自分の今までのすべてを思い出し、
 そしてそれを笑い、嗤い、悲しんで、愉しんで。
 私変われるかしら、なんて水無瀬さんに嫌がらせのように聞いてみたりして、
 そうしてまた次の日からふっつりとその愉しみを消去する運命に身を委ねて冷たくて白い肌を晒し、
 ずっとそのままで朽ち果てていくのを確信していた。
 そして、その確信を綺麗に破壊してくれた一砂が居た。
 私はずるずると、それでいて確かな足取りを以て、静かに激しく落ちていったわ。
 私の体に私を降らせ、そしてその降り落ちてきた私を甘受するために。
 私は、今までの私をすらすべて私の元に降らせていったわ。
 悲しくて、切なくて、苦しくて、許せなくて、逃げたくて、愚かで、嬉しくて、楽しくて、幸せで。
 諸々の生が私を見上げて、そして私めがけて咲くために力を尽して。
 私はこの一年間、確かに、ほんとうに死んでしまいたいくらいに、幸せだったわ。
 後悔は、無いわ。
 いいえ、後悔すら、もはや私の幸せな死を彩る凄艶な華でしか無いのよ。
 生まれてきて、ほんとうに良かったわ。
 私のこの充実感の増加を止めることなど、私にもできなくなっていた。
 どんなに嘘を付こうとも、どんなに牙を突き立てようとも、
 私が生きていることを誤魔化すことも、そして切り裂くこともできなかった。
 そして、遂に・・・・・・
 私の生は限界を超える膨張を遂げ、そして見事にそれを美しく散らせたの。
 ううん、私は散ることができたことが嬉しいなんて思わないわ。
 私はまだ、そしてこれからも永遠にその限界を超えて生きることを望み続けているのだから。
 たとえこの忌わしくも愛しい体が燃え尽きても、私はずっと一砂の元に降り続けるわ。
 何度でも、何度でも、私の存在が嘘であれ滅ぼさなければいけないものであれ、何度でも。
 かつて、桜の木の上に視た人影を追い続けていたときのように。
 ああ・・・・・私はそんな昔から生きていたんだ・・・・・。
 私は夢を追い続ける。 
 生きたくて、生きたくて、永遠に、永遠に。
 その夢を散らして初めて、それは視るだけのもので無くそれと生きるものになることを知るがゆえに。
 だから・・・
 
 
 
 一砂・・・・・私の夢になってくれた人・・・・
 
 私を・・・・・ひとりに・・・・・しないで
 
 
 
 
 
 ◆ ◆ ◆ ◆
 
 先日の冬目作品話を中心とするチャット会は、無事終了致しました。
 参加してくださった方々に厚く御礼申し上げます。
 今回のこの文章は、実に紅い瞳が初めてまともに書いた漫画版羊のうたの感想になります。
 (OVA版感想: 羊のうた〜あにめの場合〜/難しきを易きへと〜羊のうたOVA〜/
  恐れ〜高城一砂の場合〜/恐れ〜高城千砂の場合〜/桜の木の下の紅い月
  桜の木の下の紅い月2
  実写版感想: ふたりの孤独
 これを書こうと思った動機付けを行えたことは、ひとえに今回のチャット会開催の賜物です。
 改めて、紅い瞳に付き合ってくださった方々にありがとう御座いましたと言わせて頂きます。
 そして今まで散々羊のうたはすごいすごいと言いながらも、ちゃんとした感想を書かなかったことを、
 此処にお詫び申し上げます。ごめんごめん。
 この「ひとり」という文章は、ご覧の通り千砂を使って書いてみました。
 実は、昨日書いていて◆◆◆の手前で書き終える予定だったのですけれど、
 どうも自分の中に納得できない部分があり、こうして以降を本日改めて書き足してみたところ、
 ようやく納得できることが書けたのです。
 そして、わざわざ書くことじゃないのですが、この◆◆◆以降の文章の大元にあるのは、
 「カレイドスター」だったりします。ていうか今日第一期最終話たまたま観て泣いた泣いた。
 ぶっちゃけ、これだ、いやこれしかない!ない!ない!!ということになり、
 そしてその勢いのままに書き足しにつぐ書き足しを重ねて、ようやくこれで良し、というものが書けたのです。
 これは別に、私がカレイドスターを都合良く使って、千砂を改竄したという訳ではありません。
 私は、千砂にはこういう部分もあるということを、漫画最終巻を読んで新たに気付いたからです。
 具体的には、桜にまつわるシーン、234・5ページの水無瀬の回想を基底にして、
 その他のシーンにおける千砂の数々の表情を丁寧に観察していったゆえの、この文章の帰結なのです。
 「この静かな肌の火照りが示すものがなんであるのか、私にはもはやわからなくなっていた。」
 ほんとうに、千砂はこの想いのまま死を迎えたのか。
 自らの生と死がそれは所詮一緒であるという実感だけが、その肌の火照りの由来だったのだろうか。
 違う、と私は想ったのです。なにか、違う、と。
 ゆえに、一砂を舞い降らせてみたのです、千砂の元に。
 自分の綴った言葉が崩壊していく様を眺めていた千砂が、
 再びそれを繕って自らが生きるために再利用する。
 千砂の再生が、そしてその再生を含んだ千砂のまったく新しい生が、そこに見えてきたのです。
 一砂を目の前にした、この止めどない興奮としての肌の火照り。
 それはすなわち、千砂が夢を追い続けて上気していることに相違ありません。
 一砂は千砂の夢。
 
 だから、あなたは生きて・・・
 
 「羊のうた」については、私はまだほとんどなにも書けていないのが現状です。
 千砂のラストひとつをとっても、既に幾通りかの解釈が自分の中に発生していますし、
 今回のこの文章も、まだいくらでも補強の余地があります。
 千砂は、自分の側に最後まで一砂に居て欲しいと言いますが、
 自分の死を一砂に見せつけることで、それを以て千砂と高城の血を捨てて欲しいと、
 それはそういう意味での言葉です。
 千砂にとって自分が幸せに生きるということは、この一砂の解放に全力を尽す、ということなのです。
 ですから、千砂は自分の幸せを放棄してまで、徹底的に最後の最後まで虚勢を張り続け、
 一砂をこの家から出すことに徹したのです。
 それが千砂の最大の幸せだからなのです。
 千砂の死顔が穏やかだったのは、恐らく一砂が切り札として出した薬、それが死に至る毒薬などでなく、
 記憶を消去する薬であることを知っていたからなのかもしれません。
 一砂が高城の記憶を失えば、一砂の解放を行える、これで千砂の幸せな生の目的は達せられた、
 そう解釈をしていくのが、今回の私の文章の続きにはあります。
 けれども、あの薬がほんとうに死に至る毒薬であった場合(作品としてはそういう設定かと)、
 千砂の目論みは最後の最後にして完全に失敗したことになるのです。
 もしあの千砂の死顔を穏やかでないとみれば、まさにそれを以て終わった悲劇、ということになるでしょう。
 でも、あれが死に至る薬であり、なおかつ千砂の死顔が穏やかであったとすれば。
 それは、千砂が自分の生の目的を瞬時に切り替えた、ということです。
 そしてそれは、夢を見つめている自分との対面、ということでもあるのです。
 言い方を変えれば、千砂は自身が一砂の夢になることを、それをこそ自分の新たな夢にし、
 そしてそれを最後に獲得したのです。
 そして、それは他ならぬ千砂の幸せの生の達成、ということになったのです。
 自身の死を以て、有り得たはずの普通の女の子としての生の獲得を、
 一砂の死を得ることで果たしたのです。
 千砂の求めていた、もうひとつの夢。
 それが、自分と一緒に居てくれるものの獲得、そして自分と一緒に死んでくれるものの獲得なのです。
 生きることは死ぬことと同義で在り続けた、千砂の動かすことのできないその歴史。
 すべての言葉と生への希望を越えて、その「死」自体に幸福を感じる瞬間。
 今までのすべてを否定しても、その瞬間を肯定するために感じた至福の時間。
 すべてを否定することなどできず、けれどもだからこそ否定するためにすべての言葉を駆使し、
 そして生への希望すら、この死の瞬間に捧げるために抱き続けてきた、と。
 図らずもこれは、千砂の散るために咲き続けていた、という「嘘」の現実化に他ならないのです。
 
 たったこれだけの異なる千砂を融合させるだけで、また新しい千砂が見えてきました。
 千砂は、その「嘘」すら「夢」へと瞬時に変換する力を持っていた、
 いいえ、それはつまりその「力」を獲得するためにこそ千砂は全力で生きていたのかもしれません。
 一砂を高城の家の外に出す、その目論みが崩れ、一砂が自分と一緒に死ぬと言った瞬間、
 千砂はその絶望と悲しみと許し難き自分の存在を糧として、
 その無様な死すら永遠に甘受する「当たり前の生」を最後に得ることができたのでしょう。
 ごめんね、一砂・・・・・でも、ありがとう。
 私が本日書いた文章「ひとり」の根幹を為すものがこれであると、敢えてここに付記したく思います。
 
 
 改めて、漫画「羊のうた」が私の中で漫画の最高点という認識に至りました。
 その無尽蔵の可能性を深く実感したゆえに。
 千砂のラスト以外のシーンが当然まだいくらでもあり、
 またそれぞれにさらに何通りかの解釈が想定できる、
 そしてさらにさらに、その解釈達をひとつふたつと統合していく、そしてそれを無惨にも解体して、
 また何度も何度も読んで、新しい感触を掴むことが可能故の、その余地の圧倒的さゆえの最高点。
 まだまだまだ、私の羊のうたは終わりません。
 本日は此処までお付き合い頂き、誠にありがとう御座いました。
 
 
 
 

 

-- 051007--                    

 

         

                                   ■■かわいい苺■■

     
 
 
 
 
 
 かわいいは正義! (挨拶)
 
 はい、紅い瞳です、ごきげんよう。
 今週も苺ましまろ感想のお時間がやって参りました。
 すっかりノってきた私としましては、もうなにがなんでも苺ましまろで笑ってたいなんて、
 もうそんな青臭いことはいいませんよ、と小生意気なことを言いながらえへんと笑えるこの感じ、
 いよいよ苺ましまろが楽しくなって参りました、ともうそれだけで御座います。
 さぁ、とっと始めてしまいましょう!
 
 
 夜店の金魚釣りで買ってきたリチャードとジェイムスもしっかり大きくなってきた冬この頃。
 茉莉ちゃんとアナちゃんはわーっと眺めて楽しそうですが、しかしみっちゃんにとってはただの遊び場。
 ヘンな人形一号(ていうか埴輪)を投げ込んであっさりと茉莉ちゃんとアナちゃんの気分を害します。
 まぁこれくらいはいつものことなのでどうということは無いので、普通に流す一同。貫禄あり。
 そしてそれを前フリとしてみっちゃんが次に展開する遊びは、ちぃちゃんの邪魔。ちぃちゃん最近受難続き。
 冬休みの宿題を律儀にやっているちぃちゃんのイスを下げて遊んだり、
 「糞、真面目。」とあえて区切って呼ばわったりとか、
 ていうか伸恵お姉ちゃんも一緒に言ってるし。この姉は。
 ふたりともあとで困っても知らないからね、と、
 完全防御態勢に入ったちぃちゃんに正攻法は無理と判断したふたりは、アナちゃんと茉莉ちゃんに照準。
 五年生ずは大して宿題が無いらしく、茉莉ちゃんは既に休み時間に終わらしてしまったとか、
 やーいやーいくそ真面目〜と茉莉ちゃんを揶揄するみっちゃんをお姉ちゃんが制止。
 茉莉ちゃんはいいんだよそれで。byお姉ちゃん
 ですよね。byみっちゃん
 ちぃちゃん切れる。だからお前ら五月蠅いっ!
 とあっさりとツッコミを入れてしまってはっと気付いて悔しがるちぃちゃん。相手にしないって決めてたのにぃ。
 さも当たり前のようにちぃちゃんが突っ込んでくれなきゃ誰が突っ込むんだよというみっちゃんを、
 あっさりと拒否するちぃちゃんを受け流して再びみっちゃんの名案炸裂。
 しょうがない、じゃ今日は茉莉ちゃんがツッコミね。
 ということで、くしゃみをしてティッシュを要求する伸恵お姉ちゃんにゴミ箱に捨てられてるのを渡して
 反応を待つみっちゃん。とお姉ちゃん。勿論、茉莉ちゃんのを。
 ・・・・・。
 ・・・・・。
 ・・・・!
 ・・え、っとこっちでしょう。(テーブルの上のティッシュ箱を指して)
 満場一致(ちぃちゃんを除く)で駄目出し。悪いけど、つまんない。
 ということで焦りまくる茉莉ちゃんを尻目にちぃちゃんに手本を見せて貰うことにというかこれが目的。
 ちぃちゃんの机の上に丸めたティッシュを置いてみました。
 邪魔すんな、のひと声のもとゴミ箱へホールインワン。おーそういうやり方があったのか。byお姉ちゃん
 さすがにトサカにきたちぃちゃんはみんなに外で遊べと言いますが寒いのひと言でなかったことにされます。
 天候も悪くなるし、夜からは雨か雪だとか、雪の方がいいなという茉莉ちゃん、
 なぜかというとサンタさんのソリのために、そしたらお姉ちゃんはそれを聞いて急にタバコ吸いたくなったとか。
 一応、推理してみる五年生ず。お姉ちゃんのいつものどうしようもない気まぐれ説は却下。
 サンタさんてタバコ吸うの?・・・・・・・・!  エントツ!byアナ・茉莉
 短大生の思考回路が小学五年生に説明されたとある冬の日の一幕で御座いました。
 そんな感じでドロップアウトしたお姉ちゃんを置いて、紙ずもうを始める残り三人。
 勿論ちぃちゃんが勉強してる横で。ふたり悪気無し。ひとり確信犯。
 茉莉ちゃんは小兵でアナちゃんは大きい力士でみっちゃんは千佳の鼻、じゃなくて千佳ノ花。
 ちぃちゃんのクレームをものともせず千佳大海のがいいとか、上の名前をかえろというちぃちゃんに、
 じゃあみそぎ千佳、とか言う。まぁみっちゃんだし。
 ということで、茉莉丸VS千佳ノ太(ちかのふとし)。
 はっけよいのこったのこったのこったと、ガタガタと炬燵の縁を叩いての勝負勝負。あー五月蠅いなこれ。
 そして勝負あり。ちぃちゃん弱っbyみっちゃん
 自分で作っておいて千佳ノ太名乗るのは10年はやいね腹出過ぎだし、
 と明らかにちぃちゃんのまわしに手をかけているみっちゃんですが、ちぃちゃんは我慢。さすが。
 茉莉丸関に力士風の今日の一番の感想をいうことを求めるみっちゃんですが、茉莉ちゃん。思考中。
 仕方がないので解説のアナちゃんに意見を求めるみっちゃんですが、
 アナちゃんの相撲ファンぶりを見せつけられて幻滅。あーあ、アナちゃん。あーあ。
 そしてここで思考終了した茉莉丸関がひとこと。ご、ごっつぁんです。by目つきを力士っぽくした茉莉ちゃん
 今、一番この部屋の中で我慢している(突っ込むのを)のはちぃちゃんです。
 そして次なる一番の開始。千佳ノ太vs栃ノ骨洞(とちのこっぽら) 勝手にしこ名をつけないでくださいっ。
 はっけよ〜いのこった。
 駄目ですわ有利ですわ怒濤のかぶりですわそこ無双ですわ無双をきってぇ〜 by英国人
 どうみても相撲ファンなアナちゃんをじっとみつめるみっちゃんは、これじゃ弱い(ボケが)と判断したか、
 コッポラコッポラコッポラと連呼しながら炬燵をバシバシ。アナちゃん逆上。あー五月蠅い。
 そして怒りの栃ノ骨洞の勝利! 
 負けた千佳ノ太を弱っちい呼ばわりして放り投げたら、そした千佳ちゃんの脳天にぽてっと。あ。
 追い出されました。(三人まとめて)
 
 不満たらたらみっちゃんですが、そんな廊下の三人の前にくしゃみしながら登場のお姉様。
 どうしたん?っていうかどこいってたん?という感じですが、ええと、
 コンビニのタバコ自販機にバイク乗ったままお金いれようとしたらお金落して、
 バイク乗ったまま後退して拾おうとしたらバランス崩してコケて側にあったバケツの水をばしゃーん。
 この人の全人柄が垣間見えるお話でした。
 炬燵に潜り込んでみっちゃんの差し出したティッシュにちーんってやってそのティッシュをほれとかみっちゃん
 がアナちゃんにまわすも拒否されてお風呂が沸いたと思ったら水風呂でほぎゃーっで修理は明日とか。
 このフロに入ろうと思った私の気持ちはどうなるのよ〜by炬燵独り占めの短大生
 そしてふと思い立って銭湯いこうぜ、とかいう。
 
 「そう、体がふやけるほどにな。」 by伊藤伸恵(20)
 
 
 (CM)
 
 
 銭湯初体験の茉莉ちゃんとアナちゃんを差し置いて目立つフル装備のみっちゃん。
 銭湯はプール違うから。
 そしてまたアナちゃんが大嘘をついた模様。イギリスから取り寄せたシャンプー。ふーん。
 茉莉ちゃんに興味を示されすぎて慌ててさぁいきましょうとか銭湯初体験イギリス少女が先頭を切る絵。
 あーみんなみてるみんなみてる。(その金色の後ろ頭を)
 銭湯到着。
 そして再びタバコを吸いたくなるお姉ちゃん。 うん、エントツだよねアナちゃん。そうよね茉莉ちゃん。
 靴箱の札に書かれている文字をどれにしようかと探す茉莉ちゃんとアナちゃん。 
 茉莉ちゃんは「ま」を探して、アナちゃんはみっちゃんに「こ」「つ」「ぽ」「ら」を渡されます。この子は。
 そして番台に人がいるのに驚いた銭湯初体験児の茉莉ちゃんに、
 ごにょごにょっと「ま」の札の使い方を教える悪い子ひとり。
 た、頼も〜っ! by 気合い充分の茉莉ちゃん
 いや、もういいから。もういいんだよ、茉莉ちゃん。お姉ちゃんナイス回収。
 そして罠とか仕掛けるみっちゃん、餌とかないしというかそれ以前に誰がかか・・・・・あ。
 片足で靴下脱ごうとしてバランス崩してコケった茉莉ちゃん捕獲。かかったんかい。そうだね。
 いざお風呂。だからプール違くて、風呂だし。>みっちゃん
 そしてアナちゃん正念場。
 シャンプーとリンスと思って持ってきたのは、ハンドソープと育毛剤。うわぁ。
 しかもよりによって、それをイギリス製のシャンプーと思ってる伸恵おねーちゃんにそれを所望されます。
 断ることもできずにゴシゴシと頭を洗い出したお姉様の姿を見ていて、遂に高笑いのアナちゃん。どした。
 「お姉様のシャンプー貸して頂けます? たまには日本のものを。」by小悪魔
 逃げたな。しかも自分だけ助かる気だ。
 基本的に銭湯の事ならなんにもわからない茉莉ちゃんは、蛇口とシャワーの使い方もわかりません。
 しょうがないなぁ、ということでお姉ちゃんが洗ってあげますが、みっちゃんが焼き餅で私もーとか。
 お約束ということで、みんな一列に並んで背中あらいっこ。みっちゃんの背中はおねえちゃんが。ふふん。
 なんか背中についてるぞなにが?ボタンがじゃあ押して「へぇー。」ボタンなんてついてる訳ないじゃん。
 みっちゃん至福の時間ということで、ひとつ許してやってください。>お姉様
 ではみんなでお風呂。
 ・・・・。
 すりー、つー、わん、ぜろ。
 
 人前では○はこくなぁっ! by怒りのお姉様>一体なに食ってるのか不明なみっちゃん
 
 みっちゃん至福の時間ということで、ひとつ許してやってください。>お姉様>無理か>無理だね
 またコケってる茉莉ちゃんとイギリス製のシャンプーの効力を疑わないお姉ちゃんはほっといて、次。
 みんなで牛乳をぐいっと。
 ・・・・・・まじでじま。
 全員、吹きます。(約1名を除いて)
 ていうかアナちゃんもわかるってのがなんかすごい。って、あ。すもうファンなんだっけ。それにアナちゃんだし。
 帰り道、いい湯加減の残り香(みっちゃんの○じゃありません)を噛みしめる間もない湯冷め展開、
 しかし雪がほんわかと降ってきたので、一同満足。
 茉莉ちゃんはサンタさんの実在を信じ切ってると夢少女全開っぷりを披露するのをみつめる一同。
 さっそくみっちゃんが茉莉ちゃんに真実を伝えようとしてお姉様にのされてしまいます。
 サンタさんに会ったことあるの?と聞くお姉ちゃんに、毎年夜遅くまで待ってるんだけどという茉莉ちゃん。
 そっか。 by 優しい優しいお姉様
 そういうことで、じゃ、みんないこうか。
 伸恵お姉ちゃんのながーいマフラーに包まれて、雪空を見上げる女の子達。(約一名転倒中)
 こーすりゃあったかいー、と女の子三人を独り占めで大満足のお姉様の頬ずりの先には茉莉ちゃん。
 そしてその四人をぶった押してひとりで雪の上でえ?とか言って立ってる女の子ひとり。
 
 
 いいよね、苺ましまろって。
 ほんと、つくづくと思います。
 
 
 
 

 

-- 051006--                    

 

         

                             ■■この世界が幸福の証■■

     
 
 
 
 
 
 ああ・・・いいなぁ・・・・もう・・・・・・。(挨拶)
 
 改めまして、紅い瞳ですごきげんよう。
 もう一回改めまして、えーとまぁうん、最近楽しいことばっかりですごくてねー。
 なんていうの? 楽しいことしたいーとかどっかに楽しいこと落ちてないかなーとか、
 そんな夢みて笑ってため息ついてることなんてとうの昔に忘れた仕草ですけれど、
 なんてか、もう楽しくしたいしたいしたい!って叫んで全身全霊を大開放して色々感じまくってたら、
 なんだかもう楽しいじゃーありませんか。
 気付いたら楽しくて楽しくて、っていうのはまぁそれなりの心懸けがあって待ってたから受け取れたんだけど、
 今はそういうのもあるけれど、取り敢えず私が頑張って頑張って楽しくするって感じでさ、
 それこそ極端な話体の細胞一個一個で世界を感じ取ろうというかさ、まぁ、うん、
 実際自分の脳みそ付近だけでしのごの考えたり感じてるだけだとさ、やっぱ辛いよなーとか、
 で、もうこの頃そんな感じですげー疲れてたけど、えーいもうやったれーって感じで、
 とにかく自分の一個一個の動作に関係する自分の体の変化とか感じ取ってみたりとか、、
 或いはそれで得られる外からの刺激とかをしっくりかんじてみたりとか、あと作業とかもめっちゃ丁寧に、
 っていうかそれから感じ取れたり感じさせたり(物は感じないけど)することを注意して見つめてたら、
 なんていうかなそれ自体が私っていうかまぁうんいいやそのあたりは面倒なので嘘っぽいし。
 で、うん、細かいことはいいけどつまりさ、なんていうか感じられるものとかって、
 そうしようって思えば思うほど、それに真剣になればなるほど、
 自分でも驚くくらいわかってくることはあるんだよね。
 いやさ、だって、楽しめることって滅茶苦茶いっぱいあるんですよ、本当にいっぱい。
 どんなに些細なことでも、それに一瞬でも没頭すれば、もの凄い発見ができると思う。
 極端な話、私達って指一本動くことを完全にすべて楽しみ尽すのには一生使えちゃうんですよねー。
 足の裏を通して感じる大地の感触、ぱーっと大きく伸びをしたときに体中を流れていく血の感覚。
 今までなにげなく素通りしていたことに、ちょっと、というかかなり本気で立ち止まってみて、
 そうしてそのことにすーっと入り込んじゃってやってみると、実際それについてのことと、
 そしてそこから導き出されるなにか大切な核のようなものが、それが他の色んなことにも使えるとか、
 っていうかむしろすべての核になれるようななにか、っていうかそんなのを見つけられちゃうと思う。
 なんだって、突き詰めれば、重いよ。
 それが言葉じゃなくて、実際に感じ取れちゃったりしたとき、すごく、楽しい。
 そして、楽しいからこそ、もっともっと楽しくしたいって欲張りになれるんですよねー。
 ふふふ。
 えっとね、「ARIA」観たよ。
 すごく、すごく良かったんです。
 この言葉聞いて、ああーすげーやこれ、ってなんかもうほっとした。
 「その奇跡は、努力で起こすことができるんですねぇ」byARIA
 嬉しいね、こういう言葉は。安心するよね、この言葉。
 そして、だから頑張ろうって思える。
 楽しいことを見つけていこうとする私の目の前には世界があって、
 そしてほんとはその世界があるってことはもう楽しいことが山積みってことでさ。
 それはほんと山積みだからさ、楽しんでも楽しんでも全部片づけることはなかなかできないけどさ、
 でもそれはそもそも楽しいんだから、全然辛くないんだよねぇ。
 うわぁ・・・いいなぁ・・・・そうだよなぁ・・・わかるわかる。
 全部自分でできる、全部自分がトライできる、全部自分で感じられる、全部自分は楽しめる、
 そうなったときの「ひとり」って、断然すごいよね。うん。
 
 てか、ARIA超面白かったし。
 感想を書き続けられる類のものでは無いけれど、なんてかカレイドスターみたいな超前進主義みたいな、
 違うか、むしろ超道草主義かなぁこれは立ち止まってゆっくりじっくり楽しみましょうっていうか、
 まぁひたすら前進を楽しむっていうのと同じかぁっていや道草の中に前進も含まれてるかって、
 うんそう、ARIA万歳。
 やばいなぁ、今期はもう既に地獄少女とこれで2つ目のスゴイ作品登場ですよ。
 むぅ、なんだかんだで毎週こうして感想書いちゃうかもなぁ、
 紅い瞳は少々感想に敷居を設けすぎる癖がある! もっとこう簡単に書いていい感想とかさ、
 そういうのをそろそろやってみてもいいかなぁとか、よし挑戦。(即決)
 なんだかこの調子じゃまだまだいけそうなアニメ出てきそうな気配ですし、
 っていうかなんか今期はそういうオーラが出まくりなんだよねぇ、
 ってなんだ大地震の前兆なのか!?そうなんだな!!(縁起でもない)
 
 
 そういやほら、ブリーチとか、ゴールデンに移ったし。別にゴールデンかどうかは興味ないが。
 あれがもうなにやら私の血湧き肉躍るを求める欲望を魅了してやまないのだよ諸君。どうよこの様。
 てか、もう紅い瞳的には十一番隊がまことにあつい! 更木剣八が燃えてる!
 うんそう、剣ちゃんが一番面白いねぇ私は。あの圧倒的なブチ切れっぷりはどうですか。
 別に狂ってる訳じゃなくて、ただそのちょっと生きるより戦うことの方が好きっていうか、うわー。
 だって、これだよ? この人。こういうことあっさり言う人なんだよ?
 
 「(高笑いして) 殺し合いか。いいじゃねぇか。そういうことなら遠慮無くいくぜ。
  死んだら化けて、もう一回殺しに来い!」 by剣ちゃん
 
 ・・・。
 あ、ごめん、自分でセリフ出しといて呆れちゃってました。
 うあー! この!この剣ちゃん最高!(←自分に呆れてた)
 あーうん、そのえっと、ブリーチはお勧めですヨ。(説得力にやや不安を感じます>ややってとこに問題)
 
 
 はい。
 地獄少女ね。
 なんでこれを一番最後に持ってきたのかとか聞かない。聞いてないか。
 ここ数週間の更新率がすごいことになってますけど、まだまだいけちゃうっていうか、
 そのなんか書きたい症候群っていうかなんだそれ、ええと、どうしちゃったんだろ自分。(急に不安に)
 ま、どうでもいいんで書きたいときに書きまくれーとかこの際いけるとこまで精進させて頂きますとか、
 でもまぁ今は結構時間あるから割と平気だし、それに最近執筆速度がすごい速くてさ、
 なんだかしっかり書いてもあまり時間かからなくなってきてさ、その上それでもちゃんとまとまっててさ、
 うわー少しは上達したのかなぁとか、そんなことを思ってたらいきなりコケた。
 ぐはー、地獄少女難しいー。
 地獄少女ってもう紅い瞳的には既に第一話だけでアニメオブジイヤーとお呼びしたいとかもうね、
 そういう感じで大評価中というか目が眩みまくってるというか、眩んでるね。むしろ眩め。
 現代的な浮遊感の中にぽっぽっと灯る人間が放つぬくもり、その点在を覆う見えない夜の闇、
 その浸食としての和風テイストで綴る妖怪の挿入、っていうかまぁそういう混沌とした確実さが在って、
 それが全体を通して敷かれる色彩感覚とともに今まさに浮上してくる、
 まさにその緊迫感の上であやふやに展開していく物語、そう敢えて「物語」形式ってところが恐い。
 ものすごくリアルな御伽噺としての現実、現実ってのはそもそもただの時間の羅列にしかすぎないのに、
 それが物語っていう不自然な形を与えられてそこにぽっかり浮かんでいる感覚、
 それが映像的にはもうほとんど完成されていて、あとはどれだけその「物語」をらしく創れるか、
 ただもうそれだけで、すごいすごいすごい!
 という辺りできっちり実感的思考が途切れて、あっさりと理論的思考が頭をもたげてきて、
 そうしてえいっと書いちゃったわけよ、昨日の第一話の感想をさ。あーあ、負けた。ぐぅ。
 まぁ感想の中身的には別にあれはあれでいいんだけどさ、断然物足りない訳で、
 まだ第一話なんだし慣れてないってことで仕方ないっしょとか慰めてる自分も慰められてる自分にも喝!
 とか叫びたいんだけどなんとか寸止めが効いて今日に至ると。なんかもう、満身創痍だよね。(ため息)
 でもさでもさ、閻魔あいがさ、こう着物をしゅゆしゅるっと着込んでさ、
 こうふっともたげた表情のおぞましい色気とかさ、
 それでヘンな乗り物に乗って現世に出陣していくときのあの底知れない浮上感のリズムとかさ、
 あーもう暗黒としての紅い世界の色とかさ、もうさもうさ、それでぐーっとそそられちゃうんだよね!
 
 つーか、あいの「いっぺん、死んでみる?」は反則でしょ。
 
 でまぁ、そうするとこう、普通に第二話も感想も書きたくなってくるわけで、
 なんなら第一話の感想なんてもういいよとかさ、よし、行け。(Go!)
 
 
 
 
 
 
 
 
 なんか、私のこの先が見えないんですけど。 (たぶん崖です)
 
 
 
 

 

-- 051005--                    

 

         

                                    ■■生き地獄■■

     
 
 
 
 
 
 『あなたの怨み、晴らします。』
 

                         〜地獄少女・第一話・閻魔あいの言葉より〜

 
 
 
 
 
 
 
 
 -- これは、たいへんに恐ろしい物語 --
 
 
 こんばんわ、紅い瞳で御座います。
 本日より、アニメ「地獄少女」についてのお話を始めさせて頂きたく存じます。
 このお話の中心にある設定は、午前0時にだけアクセスする事のできるサイト上に、
 恨みを晴らしたい対象の名前を書くとそれが実行される、というもので御座います。
 その設定を軸として、第一話が始まる前から既に色々と想像を膨らませて先入観を築いておりまして、
 そうしてその先入観をもとにして観たこの作品は、私にとっては驚くべき発展を瞬時に開始し、
 そして30分後には完全にその先入観は破壊され、
 紅い瞳の中はその廃墟の中に蠢くなにかで満たされてしまいましたので御座います。
 これは、恐い。とてもとても、恐い。
 その恐怖心の由来を説明することを以て、まずはこの地獄少女の始まりを飾りたく存じます。
 
 クラスの募金で集めた10万円を預かることになった学級委員の橋本まゆみは、
 早々にそれを紛失してしまいます。
 級友の黒田亜矢が立て替えてくれたのは良いけれど、
 今度はその亜矢にそれを元に強請られてしまうまゆみ。
 それは次第にエスカレートし、まゆみは恨みを晴らしてくれるという「地獄通信」にアクセスし、
 亜矢の名を書いて送信してしまう。
 そして亜矢の元には・・・・。
 
 まゆみは、亜矢にジュースを買いにいくように命じられたときに、初めて地獄通信の存在と、
 それを利用した者の末路を知ります。
 その直前までのまゆみの中には、おそらく「亜矢への恨み」というものは無かったはずなので御座います。
 なぜならば、まゆみはこれは募金を紛失してしまった自分の罪滅ぼしなのだと、
 そう思っていたからで御座います。
 勿論、だからといって亜矢という特定個人にこき使われる理由は無いのですけれども、
 そこはそれまゆみの内面の問題で御座いますゆえに、贖罪の対象は誰でも良かった訳ですし、
 敢えていえば亜矢は大金を立て替えてくれた恩人なのですから、どうせするなら恩人に、
 ということにもなりますでしょう。
 それに、なんといっても亜矢に逆らえば自分が10万円を紛失していたことをバラされてしまうのですし。
 けれどこの最後の想いは前述の罪の意識を上回るものでは無くて、あくまで悪いのは自分なんだ、
 そうまゆみは思ってそれでもいいなりになっていたのです。
 ところが。
 まゆみは「地獄通信」の存在を知ることで、この状況を打破する安易な手段を意識してしまうのです。
 今ここで、黒田亜矢が居なくなれば、すべて解決するんじゃないだろうか。
 勿論、この段階でまゆみはそんななことは冗談でも思わない、と自分に言い聞かせ、
 そして充分納得することができていました。
 そんなのなんの解決にもならないじゃないの、としっかりとまゆみは自覚しているので御座います。
 けれど、まゆみの心には、しっかりと「地獄通信」の存在が埋め込まれたのは確か。
 そしてそれはたとえ弱々しい存在でしかないとしても、
 段々とその存在意義を発揮し始めるので御座います。
 
 亜矢達のイジメがエスカレートしていくうちに、まゆみはただもうそれに耐えていくことしかできなくなります。
 解決するしない以前の問題で、ただもうどうにかならないだろうか、
 という切実な状態に陥ってしまうのです。
 誰か、助けてよ。
 けれどもまゆみを助けてくれるものは居ないのです。
 母親はまゆみの金の持ち出しの罪の追求者になる可能性を秘めた者でしかなく、
 父親は帰りが遅くて不在がち。
 気付けばどうにもならない状況で、そしてまゆみはその状況と対峙する。
 その状況の対峙が、まゆみのすべてを支配していってしまうので御座います。
 そうして初めて、まゆみは「地獄通信」にアクセスしてしまうのです。
 なんのためらいも、無く。
 もはやこの段階において、まゆみの中には自分が犯した罪の意識など欠片も無く、
 ただもう亜矢が居なくなればいいという恨みで満ちてしまっているので御座います。
 この圧倒的な飛躍の発生、
 それがまゆみの中に埋め込まれた地獄通信の情報の存在意義なので御座います。
 けれども、いざ亜矢の名前を打ち込んで送信する段になってまゆみはためらいます。
 まゆみがためらったのは、これを押せば亜矢を地獄に送ることになる事では御座いません。
 なにものかを地獄に送ったものもまた地獄に堕ちる、というもうひとつの地獄通信の「情報」を思い出し、
 そして自分の死に値するほどの価値を亜矢を地獄におくることに見出せなかったからでしょう。
 現に、ためらっているときに亜矢から呼び出しを受けたときに、まゆみはそれに従った。
 死ぬくらいならまだイジメられていた方がマシ、このときの亜矢はまゆみの救世主であったことは、
 不覚にもまゆみにも否めないことで御座いましょう。
 いえ、むしろまゆみは少し嬉しかったのかもしれません。
 まだ、自分が生きられることが。
 だいぶ、このお話の恐いところがわかって頂け始めてきた頃と存じます。
 
 亜矢に呼び出しを受けた次の日、今度は先生に呼び出されてしまいます。
 まゆみが夜遊びしているのを目撃しているものがいる、と先生にその素行を疑われてしまうのです。
 先生は学級委員としてまゆみを信頼しているから、そんな話は信じないと言うのですけれど、
 しかしまゆみは実際に夜遊びしているのですから、その先生の信頼は逆にまゆみを追い詰めます。
 さらに帰宅したまゆみに最近の家の金の減少の原因の疑いをかけるも、
 それでいてお母さんは信じているからねという母に対する絶望を深めるまゆみ。
 そのまゆみの絶望はしかし、いっそのこと私が犯人って言ってよという、
 有り得ない事実を求めてのものでは無く、この段階には不似合いな、
 なんとかバレないようにしなくちゃという叫びが作ったものに由来するので御座います。
 或いは、それはもう既にまゆみの中では同じことなのかもしれません。
 生きたい、でも、生きられない。
 その究極のせっぱ詰まった状況が、さらにまゆみを次の段階へと押し上げるので御座います。
 私の罪がバレたら、生きていられない。いえ、死ぬ。
 その想いが全てを押し進め、そして亜矢抹殺だけを念じて送信ボタンを押すのです。
 なんのためらいも、無く。
 亜矢が死んだって、「バレてはいけないなにか」が無くなる訳ではないのに。
 それを押したら自分が死ぬのかもしれないのに。
 そして送信ボタンを押した次の瞬間に、携帯に地獄通信より「受け取りました」とのメールが。
 この瞬間、まゆみの後戻りは完全に不可能になったのです。
 有り得ないことをした結果に、有り得ない事実が起きたので御座いますから。
 
 次の日になってもなにも変わったことが起きないことに絶望と希望を抱くまゆみ。
 そしていつも通りにエスカレートしていくイジメが、まゆみを昨夜以前の状態へと連れ出します。
 夜の街で逆ナンを仕掛けることを命じられ、耐えられずに寸前で逃げ出すも男とのツーショットを撮られ、
 まゆみはビルの屋上に上りそして飛び降ります。
 なんのためらいも、希望も、絶望も、恨みも、無く。
 そしてまゆみは、その落下の内に、地獄少女、閻魔あいと出会うのです。
 
 
 
 地獄通信に書き込まれた願いの実行者、閻魔あい。
 あいはまゆみに、紅い糸の巻かれた藁人形を渡します。
 ほんとうに「恨み」を晴らしたいと思うのなら、その糸を解け。
 そして、あいはこういいます。
 「人を呪わば、穴二つ。」
 まゆみに改めて自分の死の恐怖を植え付けるあい。
 そして、それ以上の事はしないあいの真の怖ろしさ。
 まゆみは現実に戻ったのも束の間、亜矢が送った写真により学校に逆ナンがバレて、
 まゆみは全くの憎悪の化身となって、全力を以て藁人形の紅い糸を解くので御座います。
 あな恐ろしや。
 遂に、まゆみはただその「亜矢に対する恨み」のみで事態を解決してしまうので御座います。
 いいえ、さらに恐ろしいことには。
 まゆみはもはや、事態の解決すら本当は考えていず、
 ただもう亜矢への恨みそのものになってしまったので御座います。
 これもすべて地獄通信の情報そのもののお陰、そして閻魔あいがトドメをさした、といえましょうか。
 そうして亜矢を恐ろしい出来事が襲い、亜矢は地獄へと連れて行かれてしまうので御座います。
 
 『この恨み、地獄に流します。』 by閻魔あい
 
 すっかりと元気になったまゆみ。
 彼女は恨みを晴らした代償としての死を迎えることも無く、生きている。
 しかし。
 彼女の胸には、死んでから後地獄へ堕ちるという契約を結んだ証しがくっきりと刻まれている。
 まゆみは、人を殺しながらも未だ生きていられるので御座います。
 自分の恨みによって、人をひとり殺した、という明確な自覚を持たされて。
 まゆみの笑顔が、それがその覚悟のゆえにか、それともその自覚に押し潰されたしまったゆえなのか。
 或いは、ただその「恨み」にあいがすべてを詰めて持っていき、今までの平和だった日常が戻ってきたこと、
 それをただただ喜んだだけの笑顔なのか、それは紅い瞳にはまだ分かりかねることで御座いました。
 ただひとつ、最後にわかりますことは。
 
 まゆみは、亜矢が募金を盗んだ張本人であったことを最後まで知らなかった、ということ。
 
 まゆみの胸にめり込む刻印は、きっとまゆみを地獄の底まで追い続けることで御座いましょう。
 決して逃げられぬ罪として。
 
 
 
 ◆◆◆◆
 
 まゆみは死んだあとに地獄に堕ちるということですけれども、
 或いはそれは、もう既にこれからの生自体が地獄になる、ということなので御座いましょう。
 まさに、生き地獄の始まり。
 亜矢を地獄送りにしたこと、おそらくこのことがどういうことであったのかを、
 この後まゆみは嫌でも思い知り、そして苦しみ続けていくので御座います。
 亜矢は確かに憎かったけれど、でもそれで私が殺しちゃってもいいのとはほんとは繋がらない、
 と、まゆみのような子なら、きっと冷静になれば気付くことで御座いましょう。
 本当は亜矢が募金を盗んだことを知らないまゆみにとっては、
 あくまで募金を無くしたことをみなに告白して謝罪することを怖れ、
 そしてそれから逃げることの片棒を亜矢に担がせて、その結果それを利用されただけなので御座います。
 その責をすべて亜矢への恨みに込めて地獄に流してしまったまゆみの、その払うべき代償、
 それはこれからのまゆみの人生、ということになるので御座いましょう。
 亜矢を殺した罪悪感に責め苛まれ、
 かといって死んでも地獄に堕ちることがわかっているゆえに死ぬことさえできない。
 まさに、生き地獄。
 そして。
 そのすべての仕掛けを行ったのが、地獄少女・閻魔あいなので御座います。
 あいは、亜矢では無く、まゆみをこそ罰するために動いていたので御座います。
 おそらく、まゆみが亜矢を地獄送りにしたことを悔いもしないような人間ならば、
 また違った形の仕掛けを施していたことで御座いましょう。
 この閻魔あいの存在が、これ以降のお話の展開にしっかりとした指針を与えているので御座います。
 そして、おそらく閻魔あい自身をこの仕掛けの外と中でどう捉えていくか、
 それが最も重要な試練では無いだろうか、というところで今夜は幕とさせて頂きましょう。
 
 
 
 
 
                               ◆ 『』内文章、アニメ「地獄少女」より引用 ◆
 
 
 

 

-- 051003--                    

 

         

                                ■■雲の上の白い空■■

     
 
 
 
 
 
 崩れ落ちるようにしなだれかかってくる体を、ふと力を込めて起きあがらせると、
 そこには満天を包む夜の静寂が広がっていました。
 つぅと一息吐き出すまでも無く、自分が眠ってしまっていたのに気付いたのは、
 それは誰のお陰だったのでしょうか。
 その誰かの姿を視界に捉えるよりも早く、窓辺にもたれているこの体の重さを感じてしまうのが、
 それが嫌でもう二度と目を閉じたくないと思っていたのに・・・・。
 虚ろに晴れ渡っていくこの眼差しの先にあるものに、色鮮やかな光が戻っていく瞬間を、
 本当はなによりも待ち望んでいるというのに・・。
 それなのに、どうして・・・・・・・・。
 
 夜明けには程遠い空の下に這い出して、それがすべての始まりと位置付けるために体に力を入れて、
 そうして成り立たせたこの身の姿の中にはなにも見えなくて。
 この体を狂おしく動作させていく悲哀の中に、それこそが嬉しいと何度囁き続けたことでしょうか。
 けれどもこの体は、その私の囁きをあまりにも綺麗に無視し、
 そうして気付いたときには私をすっかりと置き去りにして、
 それでいて私の遙か後方で突っ伏していたのです。
 嗚呼・・・そうか・・・・私はただ呼んでいただけなんだ・・・。
 私はこの空の下に生まれた瞬間から、もうただ真っ直ぐに先を目指して歩いているのに、
 それなのに私の体は未だその始まりを維持するのに精一杯で。
 いいえ、それは精一杯、ということでは無いのです。
 この体は、確かににやりと、必死に早く追いついてきてと呼ぶ私を見て、ただ嗤ったのです。
 無謀にも突き進む、そして一生懸命な私を嘲笑うかのように・・・・・。
 そのときから、私の緩やかな髪を照らす空の色彩は失われたのです。
 
 一歩一歩を刻むたびに、激しい地響きをたてて現れる道行き。
 私と私の体がかわす視線が、凄惨な静寂だけをそれに飾り付けていく。
 静かに、穏やかに、愛するほどに憎み合って。
 離れるほどに一方は相手を求め、そして一方はただそれを嗤う。
 それなのに、向かう先はまったく同じ。
 なぜ、私はそれを知っているのだろう。
 どうして、私にはこの道しか無いのだろう・・・・。
 私はそれを思うたびに心の底からこの体を呪うのです。
 ほんとうは、この道しか歩けない私を呪うべきであるのに。
 でも、私には到底そんな事はできないのです。
 だって・・・・・私には・・・それしか・・・。
 
 
 いつしか歩いていた道が坂道であるのを忘れ、ずるずるとその傾斜に身を任せていくのを、
 ただそれを呆然と見つめているのが私であると気付かせてくれたのは、一体誰だというのでしょうか。
 ただぺたりとしゃがみ込む余裕すら持てずに、ひたすら前を向いての後退を続けていた私は、
 前方にあるひたすら斜めにせり上がっていく路面を目の当たりにしてすっかり立ち止まった私の瞳を閉じて、
 そうして、ようやく思い至ったのです。
 
 
 
 
 あ・・・・・・雨が・・・・・・・降っている・・・・。
 
 
 
 
 雨に濡れて奪われていくぬくもりの姿を見つけて、初めて此処に私の体があることに気付いたのです。
 降りしきる雨と交わって溶けていくかのようにしてある私の肌の内側に、
 確かに私が在ることを感じたのです。
 ぐにゃりといびつに錯乱し始めた斜めにねじ曲がった坂道を打ち据える雨の喊声が、
 私の体が響かせる嘲笑を、やがて私の瞳の奥底へと導いてきてくれました。
 私はそのとき、確かに笑ったのです。
 たった独り、このなにも無い真っ白な空から落ちてくるはずの無い雨に打たれて、笑ったのです。
 そして、私の笑顔が伝える波動がこの体を震撼させ、その震えは雨に打たれた寒さと同化し、
 より一層私は笑う自分に没頭してしまったのです。
 冷たくて、寒くて、心細くて、憎らしくて、悲しくて、そしてそれがこんなに嬉しいだなんて・・・。
 降り続く雨はやがて豪雨となって、私の笑い声と競い合うようにして激しく道を叩く音を轟かせ、
 そうして私はさらにその笑いの衝動を発現させるために、しっかりとその歩みを刻み始めたのです。
 強く、強く、なによりも力強く道を打つこの足に私を込めて。
 私の瞳と相対するものは既に私の体からその坂道へと成り代わっていました。
 そして私は、さらにその坂道の続く先にあるものを、今やはっきりと捉えていました。
 夜の闇と寸分違わぬ暗黒さと重さを持った雲が、そこには垂れ込めていたのです。
 その上に頂く空の色彩を奪うほどに、それは圧倒的な存在感を以てそこにあったのです。
 この雨を降らせていた者の正体。
 そしてその分厚い雲の中に、さらに他の誰かの影があることを、私は知ったのでした。
 
 
 
 お姉様。
 
 
 
 一心不乱に平静さを保つことに執心して、足取りも決して軽くならないように適度な重さを添えて、 
 間違ってもこの顔に一点の苦渋の色も付けないように。
 その手順を懸命に辿りながら、すべての力を込めて私はそこにしゃがみ込んだのです。
 
 
 
 
 お姉様・・・・・お会いしたかった・・。
 
 
 
 
 結局のところ、私は私では居られませんでした。
 その力の抜けていく感触を通じて、私はまた私の体を遙か後方に置き去りにしてしまったのです。
 でも、此処からでは見えないけれど、きっとこの雲の下で私の体はお姉様に抱きついているはずです。
 なによりも私が、この坂道を転がり落ちるようにして駆け上がっていったのですから。
 転がり落ちていった私の体を抱いてくださらないお姉様を、私は最初から知りません。
 今はまだ、この肌を通してそのお姉様のぬくもりを感じることはできないけれども。
 それでも私は、お姉様がその私の姿を見ていてくださることを信じています。
 私の周りを包むのは未だその暗雲垂れ込めるびしょ濡れの坂道だけで、
 さらにその上で輝くはずの空は色を失い無と化しているのだとしても。
 それがすべての可能性を示す純白の空であるということを、私は知っているのですから。
 坂の途中で見上げた、雲の上の白い空。
 お姉様はいつも、雲の中からその上の空を目指して、そうして私を待っていてくださるのです。
 そのお姉様も、空を目指すその瞳の裏側で私を見つめていてくださっているのですから。
 私の体、そしてお姉様の体が坂の下の海底で未だ私達を嘲笑いながら待っているのだとしても。
 むしろ、今やそれゆえに。
 私達の静かな追いかけっこは、決して、決して終わりません。
 なぜって。
 
 
 この白い空は、決して消えることは無いのだから。
 
 
 
 
 
 ◆ ◆ ◆
 
 この文章は8月に記した「海の底に降る雨」と対を為すものとして新たに記されたものです。
 「海の底に降る雨」は聖様を使用して綴ったものですが、
 この「雲の上の白い空」は聖様の妹である志摩子さんを使用して綴りました。
 これで旧白白についてまとめて書くことができた、という体裁を整えることはできましたが、
 書いた後で思うことはこれはむしろ旧白白では無くて、
 「聖様」と「志摩子さん」、ではないか、ということでした。
 ふたりの関係を描いたと言うよりは、それぞれの目を通してのそれぞれ自身の姿を描いた、
 つまり単品をふたつ並べたという形式になるのではと思ったのでした。
 或いはこれは、聖様と志摩子さんが同じスタートラインに立ったまさにその瞬間まで、
 それを描いたことになるのでしょうか。
 もしそうならば、以降私が書いてみたいのは、その同じ始まりに立ったふたりの関係、
 それこそふたりが互いをそれぞれの抜き差しならない、絶対的な「雨」として捉えていく、
 その様子をこそ書けたならばいいなと、そう改めて思った次第です。
 まだまだ、書きたいことは山積のようで、なによりです。
 
 
 

 

-- 051001--                    

 

         

                                    ■■考える苺■■

     
 
 
 
 
 
 なにも考えてないんじゃん? (挨拶)
 
 
 
 軽快さの中に鈍重さを溜め込んで続く暖かい道路を滑り、
 その身を委ねる風が向かい風であることに抵抗をそれとして覚えない。
 まるでその風が浮力を与えてくれるかのようにして、この体を上滑りに走らせる。
 気分は上々、天気も良好。
 さて、と。
 
 ふと立ち寄ったお店で本日限定品のケーキを見つけて、さらにその幸先の良さを伸びやかにするも、
 それをツマミにして一服しようとドアを開けようとしたときに、店内に赤ちゃんとその親御さんを発見。
 ふと見ると入り口には乳母車が。
 こんなときになにを思えばいいのか、なんてこの幸せな気分に諮る必要も無く、
 時計を眺めて外で少し時間を潰すかと軽快に答えている自分に満足するまでも無くさっさと退散。
 ごゆっくり、赤ちゃん。
 そうして見上げた湖の手前には、やっぱり同じくひとり微笑んで咲く一輪の花が。
 あなたもなんかいいことあったんですかぁ、とふと笑顔で尋ねてしまえる、そんな安堵感。
 こんな私とあなたの出会いに感謝感謝。
 求めた訳じゃないけれど、やっぱりいいことしたらまたさらにいいことあるんだよねぇ。
 はいちょっと失礼、とその流れのままにその花を携帯でパチリ。
 ああ、幸せだねぇ〜こういうの〜。
 
 
 
 いつもの小学生の面々はお家で催眠術番組の視聴大会。
 早速みっちゃんさんが誰かにかけられたいと発言。
 まぁ誰かにかけたい、といわれるよりは被害は軽微なので渋々ながらかけてみるちぃちゃんですが、
 当然のようにいつものみっちゃんをみせられてその効果に疑問たらたら。
 とはいえ基本的にどうでも良いのでみっちゃんはそのままボケさせておこうかと思うも束の間、
 今度はみっちゃんが誰かにかけたいとかもう今までのはなんの意味も無かったとかそんな感じになって、
 速攻で顔を逸らして知らないフリをした五年生ふたりに押し出されたちぃちゃんが犠牲者に。
 結局みっちゃんによる被害を押さえようとする人が一番の被害を受けるこの理不尽さ。
 ちぃちゃんをサタケ(犬)に変えてみせますとか、
 既に催眠術の領域を越えた試みに身を投じる覚悟のみっちゃんを前にしてさすがに逃亡のちぃちゃん。
 それを追って(トイレまで)いったみっちゃんが連れ帰ったのはサタケ(犬)。
 うわ〜美羽ちゃんすご〜い。by茉莉ちゃん
 仕掛け人のみっちゃんにすら将来を心配されてしまった茉莉ちゃんですが、
 私はちぃちゃんの意見に賛成です。
 お前(みっちゃん)が一番心配だよ。byちぃちゃん
 
 次はケーキ番組を見てケーキを食べたがるみっちゃん。
 取り敢えず催眠術で使った五円玉をちぃちゃんに渡して反応を見ます。
 それはつまりその五円でケーキを買ってこい、ということなのかどうか。
 さすがにそれは無いと少しはまともな経済観念を発動したみっちゃんは発想転換。
 つまり、催眠術で!
 あなたはケーキを買いに行きたくなーるとジョン(フェレット)に催眠術をかけようとするも、
 あっさりとちぃちゃんばりに逃げられてしまいます。
 五円でケーキ買うのと同じくらい無理あると思うのが常識ですが何事もトライがみっちゃんのモットー。
 次はちぃちゃんに催眠術を! (サタケの前で五円玉を振って)
 じゃあこっちの(人間の)ちぃちゃん!
 もはやヤケクソを通り越して泣きの入ってきたみっちゃんですが(催眠術がかかるよりケーキケーキ!)、
 そんなみっちゃんを茉莉ちゃんがフォローというか余計なことを。
 私達がたまたまかからなかっただけで、この広い空の下にはかかる人がいるのかもしれないなぁ・・って。
 あーあ。
 早速窓を開け放って空に向かって催眠術にかかってくれる人を募集するみっちゃん。
 あーあ、茉莉ちゃん黙らせて。
 
 伸恵おねーちゃんからここに来て呼び出し。
 幸せ気分ついでにケーキを奢ってやろうという割と平和的魂胆だったのですが、
 携帯で説明するのが面倒になったのか、っていうか来い、と命令形で適当に。
 このおねーさまのどうしようもなさはたまりませんね、ほんとうにもう。
 案の定面倒とか言い出すちぃちゃん渋々モード発令になってしまいます。
 まったく、嫌々ながらの小学生達が、すんなり目的地に着く訳ないじゃないですかぁ。
 おまけに天下のみっちゃん様がいらっしゃるとなれば、もう。
 キックボードのみっちゃんと、ほんとは自転車の予定がパンクしてたので徒歩なちぃちゃんの二人旅。
 年下二人組はバスで直行。
 見知らぬオジサンと競争するみっちゃんの横をすり抜けていくバスの中にアナちゃんと茉莉ちゃん発見。
 そしてみっちゃんはバスで。キックボードは投げ捨て。ちぃちゃんは見捨てて。
 停留所にふたりより一歩先んじて降り立ったみっちゃんが勝利宣言。美羽ちゃんのプライド無き勝利!
 ようやく追いついたちぃちゃんをびりっけつ呼ばわりして罰ゲームまで付けちゃうというみっちゃんは、
 茉莉ちゃんからバス賃借り逃げと華麗。うわぁなんだこの小学生。
 事態はそれを追うちぃちゃんと、置き去りにされた五年生ずの別行動パターンへと進展。退転か。
 
 (CM)
 
 紅葉舞う路をてくてくとお喋りしながら歩く二人組。
 話題は北。
 北はノース。スノーの逆で冷たいから北って覚えればいいんですわ。byアナちゃん
 と珍しく英語の解説ができた母国語を忘れたイギリス人は鼻高々ですが、
 スノーの逆だったらかえって熱くない? と茉莉ちゃんに聞かれて、あーあ。
 ごめん、まだこの子に英語は早かったみたい。
 もういい、もういいんだ、アナちゃん。
 そんなこんなで話に華を咲かせているうちに、現実の北がどっちだかわからなくなってしまいます。
 どうしようと狼狽える茉莉ちゃんを前にして、アナちゃんは一計を案じます。
 靴を片方脱いで投げて、向いた方向が北。(ジェスチャーで)
 なんだこの英国人。
 茉莉ちゃんが疲れたので一息をついている間に、ぽいっと逃げ出すジョン(フェレット)。
 それを捕まえてくれたのはなんと外国のおひと。
 お礼もそこそこにアナちゃんにバトンを押し付ける茉莉ちゃんの果敢な行動に目を見張るも、
 あいきゃんとすぴーくいんぐりっしゅ、と紛れも無い英語を喋ったアナちゃん(英)にさらに目を見張ります。
 少し、イギリスに近づいたね、アナちゃん。(遠のいた気もしますが)
 そしてなんだかんだでアナちゃんよりはイギリスに近い茉莉ちゃんが通訳してこと無きを得ます。
 どうやら図書館にいきたい外国のおひと。
 茉莉ちゃんは図書館までつれていくといって、茉莉ちゃんがそういうのなら、と
 アナちゃんは自分が矢面から逃れられる事に一瞬ほっとするも、やはりそこはしっかり羞恥。
 アナちゃんの奥底(かなり深い)に眠る英語を母国語とするブリティッシュ魂見たり。
 そして一方の二人組の動向については敢えて触れず。言わずもがな。
 
 湖畔でみんなの到着を待つ伸恵おねーちゃんの幸福気分の持続が危ぶまれてきた今この頃。
 ようやく到着した面々を前にしてケーキを奢るという計画をブチ明けてやっぱりやめたと宣言。
 えぇーーーーっっ!!by一同
 なんかもうどうでもよくなったよていうか帰る、と背中で語るお姉様のどうしようもなさが爆発ですが、
 一同結託してお姉ちゃんに五円玉を振ってみます。
 そんな、ちぃちゃんまで。いや、ちぃちゃんだからこそか。(一番苦労したものね)
 ま、しゃーないか、とそんなみんなの顔を見てて自己発言の責任を取るつもりになったお姉ちゃん。
 そしてお待ちかねのケーキタイムも暮れに暮れ、
 自らの気まぐれな善意に後悔たらたらなお姉ちゃんですが、
 ちぃちゃんによくこんなお店知ってたよね、と言われてふとため息。
 あー、ただお店見つけただけじゃないんだけどねー。
 ちょっぴりまったりの傷心をよいしょっと背中に背負って歩く帰り道。
 ひょいっと一輪の花を見つけた小学生達。
 へー花ってこんな雑草ばっかりのとこにも咲くんだなーとかなんの花か調べてみようか、とか。
 お前らは単純でいいよなぁ。by伸恵
 けれど、ちぃちゃんに、お姉ちゃんにはこういうのわかんないよねぇと言われてあっと転換。
 そういや、そうだな、って。
 私がなに想ったかお前らにはわかんなくても、私もお前らの想いはほんとはわかんないんだもんな。
 お互い様ってことで引き分けにして、いっちょう一緒に帰りますか。
 どうだーお前ら、今日は楽しかったかぁ?
 
 
 そうして、伸恵ねーちゃんの幸せはその一日を全うできたのでした。
 えへへ、おわりです。
 
 
 
 
 
 

 

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