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◆◆◆ -- 2006年11月のお話 -- ◆◆◆

 

-- 061129--                    

 

         

                                   ■■ 光×闇 ■■

     
 
 
 
 
 ブララグ2第9話、見ました。
 はい。
 
 んー。
 
 まず見終わって、というか実は最初のシーンから最後のシーンまで徹頭徹尾、うーんって唸ってたんで
 すよ。
 なんか、違うなって。
 んー。
 いや、冒頭の少女な年頃なバラライカの姐さんの声がまんまおばさん声だったのに、正直にどっと萎えた
 のかなーって思ったんだけど。ていうか萎えたけど。あれじゃ姐さんがモノマネやってるみたい。
 あのシーンの映像的なイメージは、でも綺麗だったんですけどね。
 光る木漏れ日とそれが映える薄い金色の髪と純白の服に赤いタイの組み合わせが、まさに少女バラ
 ライカのみずみずしさってのをよく表してたし、それなのにその隣を歩いてるおじさまが軍服で話してる
 内容が父の名誉の回復とかなんとかいう、ひどく現実的なものでその対比は良かったんだけど。
 オリンピック?
 あのバラライカの一連のエピソードは、普通な生活からの転落という形を持っているのだろうけど、
 でもその中身がまるっきりすっぽり抜けていて、まるで臨場感というか実感を得られなかった。
 しかもオリンピックて。
 とってつけたように、オリンピックを目指しているような真っ直ぐに光り溢れた世界を生きていけるはずの
 少女が、ただただその射撃の腕を戦場でしか活かすことのできない地獄に堕ち、さらにその地獄からも
 放り出されるという、そのほんと形骸としてのものとしかそこには転がって無くて。
 せっかくあの光り輝く少女に差す影として、軍服をまとったおじさまとの生臭くも絵空事な嘘をコマとして
 並べたのに、それをまるっきり料理することなくただ転がしていて。
 わたしにゃ、あのバラライカの共同墓地でのあの叫びが一体どんなエネルギーを持っているのか、まるで
 わかりませんでした。
 なんだか、笑ってしまうくらいに、わからない。
 
 こんな感じで、実はそれだけに留まらず、今回の話は違和感というか致命的な不足感に満ち満ちていて
 、ほんとに今自分がブララグ観てるのか疑ったくらいでした。
 雪緒のお嬢が後輩ちゃんと別れるシーンにおいても、お嬢がヤクザな人たちのお迎えを受けて去っていく
 のみた後輩ちゃんの魅せた涙の意味がわかりませんでした。
 いや、理屈としては、言葉としては、充分に、充二分にわかりますよ?
 でもね、あれじゃただ後輩ちゃんが「泣いている」という記号しか無かったじゃないですか。
 全然、涙で語ってない。
 ただ「泣いている」ということがわかるだけ。
 「泣いている」ことでなにかがわかる、そういうのに満ち満ちているのがブララグなのに。
 ぶっちゃけ誤解を恐れずにくだけていえば、あの涙を見てあの後輩ちゃんの感じたものを感じることができ
 ないっていうか。
 泣いているのはわかるけど、私は泣けないというか。
 でも理屈として言葉として、あそこは断然泣けて泣けて仕方ないシーンでもある。
 普通、というのが適切かわかりませんけど、感覚的に私だったらあの場面においてはただおろおろするだけ
 で、泣くなんてずばっとしたとこまで辿りつけやしません。
 なのに、画面の中の人は確かに泣いていた。
 あのときあの人の中で、なにかが終わりそしてなにかが確かにしっかりと始まっていたがゆえの、あの涙。
 現実的には、というか私的にはあり得ない、それこそ形而上な涙。
 でも、泣いてる。
 だから私は、その泣いている人になって、新しく、そして深く感じ考えることができる。
 本当なら、そこまでで充分なのですけれど、私がブララグに期待してるのは、その涙を見るだけでもう
 なにもかも全部わかってしまうようなものなんです。ていうか今までのブララグは全部そうでしたし。
 
 そしてそのあとの車の中での雪緒の涙も、その直前の冷静に状況分析してそのままストレートにこういう
 事をしなければならなくなった自分に負けてふっと泣いたもので、それが現実的所作としての整合性を
 持っているかどうかはどうでもいいのだけど、少なくともあの涙においてもその涙そのものしか見ることが
 できなかったです。
 あれならむしろ泣かないで、ただ重く深くかつなにも感じられないほどに無表情な様を晒した方が
 まだ深みがあったんじゃないかと、まぁ私らしくないことまで思ったりと。
 無論、だからこそそこで敢えて涙を魅せた雪緒の姿が重く深いわけであって、その意味を考え感じなけ
 ればいけないのだけれど、やっぱりこれもどうしようも無く映像表現的に力不足。
 どうしたブララグ、おまえの力はそんなもんじゃなかったはずだぞ!
 あと銀さんの一番槍任せんさいのコートがずばっと風に翻るシーンも、こうなるともういちいち無意味な
 演出にしか感じられなくなってくる。ていうかカッコよければそれでいいんかい。それもまたそうだけど。
 あとその前の吉田さんの総会でのシーンも、なんかただこういうことがあったよん、みたいなただの報告
 みたいな感じで、もう。
 ああ。
 なんか、違う。全然違う。違うんだよ極道。
 
 
 ふぅ。
 ええと、あとなんだったっけな。
 そうそう。
 まぁ今まで上で書いたのも勿論そうだけど、そこら辺の許容範囲というか感度の高低とか、そういうのは
 そのときの私の精神状態というかなんかそういう感覚の在り方で大きく変わってくるものなので、
 また違う日にみたら印象は全然変わるのかもしれないんですよね。
 まーだからこそ感想と言ってる訳で、だからアニメは何回も何回も観て、その度に感想を書ける愉しみ
 があるんだけども。
 で、そうそう、これが言いたかった。
 ブララグってさ、暴力シーン多いじゃん? 
 ていうかそのシーンのために全部向かってるっていうか、それが無いのは体の中に血が流れてないからっぽ
 の人間しか無いみたいな軽さという、そういう名実(?)揃った意味合いがあると思うんだよね。
 ていうかそういう名分無しでも、私はグロにまみれたバトルシーンをしっかり悪趣味に愉しんでるけど、
 でもその暴力性を愉しみということの他に、それは必ずそれを越えるというかそれを内包したなにか大きな
 ものが描かれていた場合に、自動的に発露される悪趣味な快感なんだよね。
 ただたんに、血が飛んで殴り斬ってどばーって、そういう事自体が好きな訳じゃないので。
 ま、変な言い方すれば、意味のある暴力っていうか、あーそれだと違うな、暴力は暴力以外のなにもの
 でも無いからなぁ、じゃ、意味の付いた暴力っていうか、意味の中にある暴力っていう感じかな?
 なんていうか、そのシーンを全体の中のひとつ、そしてそのひとつが全体をちゃんと動かしてるっていうのを
 感じたとき、その一体感を動かしているその暴力を感じるというか。
 で。
 まー、今回のあれは、正直、ただ気持ち悪かった。
 あの脇役のロシアンマフィアの幹部さんが銀さんに使えねぇと言ってばっさりやられたとこと、
 雪緒お嬢が容赦無くぼこぼこにされたシーン。
 そこに暴力を見たから、では無いです。
 逆説的な言い方をすると、そこに狂気に満ちた暴力が無かったんです。
 ただ斬って、殴って、辱めて。
 描く意味が、感じられません。
 そのただ斬って殴って辱めて、というその唐突ゆえに純粋な暴力の表出、という名の恐怖がそこに描かれ
 ているのなら、その中でその純粋な暴力性を愉しむことはできても(ていうかなんか書いてて思ったけど、
 これじゃなんか私がこだわりのある暴力中毒みたいな感じですけど、前も言ったけど暴力はそれとして
 愉しむこともできる、という意味でだけですよ)、ただそれを描くだけなら意味が無いです。
 まぁつまり付ける理屈はどうあれ、私的には、ただ気持ち悪い。
 これもまた、そのときの印象で変わることではあるのですけどね。
 印象っていうか、視点の違いというか、自分の体の在る位置っていうか、そんなとこ。抽象万歳。
 双子編のあれだって、見ようによっては正視に耐えないですしね。つか普通そう。やばいな私。>今更
 でもそういう揺れ幅があった方がいいと思うんですけれどね。
 ま、敢えてマシな理屈を残しとくと、ああやって撃って斬っての場合で、それを一体「誰」がやっているのか
 、というのが一番重要なことなんです。
 或いは「何」がやっているのか、かな。
 あの幹部さんを斬ったときの銀さんと、雪緒お嬢をぼこぼこにさせた状況を作ったチャカ坊の、そのどちら
 にもそのそれぞれのふたりの思考や情念をまとった姿が見えてこなかったんですよね。
 或いは、なにも無いという「狂気」を孕んだなにものもそこには無かったのです。
 うーん。
 嘘くさい。狂気ってなんだよ。
 難しい。はず。
 
 とまぁ、作品の造作に関してはそれくらいでしょうか。
 今回のお話は、見所というか中身的にはほとんどなく、ただの繋ぎのものをそのまま形にしただけのよう
 な感じで、たいしてこれ以上書くことは無いんですけれど。
 これだけは一応書いておいた方が良いと思うので、書いておきます。
 タクシーの中での、ロックとレヴィとの会話。
 構図としては、ロックが雪緒を普通の世界に戻そうとし、レヴィはそんなの無駄だアホ抜かせこっちは敵
 だと思われてんだぞ、と。
 で、さらにそれを道具として、ロックは此処はロアナプラと違う日本なんだ、だからあの子は普通の世界に
 いなきゃいけないんだ、俺達の流儀を持ち込んじゃいけないんだと言い、そしてレヴィはざけんなボケ
 そうだからに決まってんだろ、『ここがあんたの国だってことさ。』、だからさっさとあんたの平和なふるさととの
 決別を済ましてこっちにくるんだよ、問題なのはロック、あんたが今この分水嶺のどっちに進むかって事な
 んだていうかさっさと残りの一方ぶっつぶしてさっさとこっち来いやと言う。
 そしてレヴィはあからさまに自分で選べとロックに言う。
 おまえが自分でこっちを選んでくれなきゃ意味ねぇんだからよ。
 そしてレヴィ的には、そういう風にいえばロックが絶対にあっちの道、日本の流儀にいくのを選ぶのをわか
 ってしまっているから、だからこれはレヴィの告白なんでしょうね。
 わたしはこう思ってる、っていうかこれがわたしさ、それをみて、あんたがどうするか、わたしはしりたいんだ
 よ。
 この日本がロックのふるさと、ロックの流儀が安らかに命を得る場所であるからこそ、それを踏みにじり、
 その上にロアナプラの流儀をまとう「現在のロック」を上書きする価値が発生する。
 『どこが違う。どこが違うんだロック。』
 あんたはロアナプラの人間だ。
 そいつの居るところが、すべてそいつの居るところなんじゃねぇのか。
 ふるさとだろうがなんだろうが、今のあんたは今のあんただろうが。
 と、これがレヴィの告白。
 今まではこれは告白じゃなくてロックに対する押しつけだったのに。
 それが、今回の見所でしょうか。
 「今のロック」っていうのが、それが「レヴィの見てる今のロック」にしか過ぎないことの、その悔しさと憧れ。
 ロックはただただ、レヴィの言うように日本だろうが、そしてロアナプラであろうが、変わらずロックであり続け
 ているんですよね。
 ロックは日本で育ち、日本に居たから、ああいう風に考えるロックになった、それはたぶんそうでしょう。
 でも。
 そういう歴史を重ね、そして「今」というその歴史の頂点に居るロックがどう考えるのかは、それはロックが
 決めることなんですよね。
 日本で育ち、日本に居たから、こういう風に考えるようになった自分を、今の自分がどう捉えるのか。
 否定するのか、それとも肯定するのか。
 その選択の自由がロックには、ある。
 そして、それはその自由があることが、レヴィのいう「今のロック」を粉砕するんですね。
 今自分が所属しているロアナプラの流儀の中で生きている自分しか無いのでは無く、そうして生きている
 自分を見つめる「今」の自分だけがあるのですから。
 ロアナプラの中でどう生きようが、それを決めるのは必ずロック。
 そしてレヴィはしっかりとロックにフラれてしまい、結局レヴィはロックの銃になるしかなく、ただただ虚しい笑
 顔を晒すことしかできなくなってしまうのだけれど、でも、それでも、いえ、そうだからこそ、レヴィはその
 自分を突っ切ってそのままぶっ飛んで行ってしまうロックの強さに力強い憧れを改めて抱いてしまうのです。
 間違ってもロックのために銃を撃ったりなんかしないでしょうし、もうほとんど憂さ晴らし全開で大暴れして
 そのままの勢いで自分も蜂の巣にされりゃ他にはなにもねぇよ、みたいな感じでもうレヴィ的には崩壊の
 ひとつ手前なのだろうかれど。
 でもね、たぶん。
 その崩壊の手前としての修羅場もしくは鉄火場に於いて躍動するレヴィ自身の姿を、きっとレヴィは必ず
 深く深く感じるんだと思うんだよね。
 誰のために戦うのでも無く、戦うために戦うのでも無く、ただ戦っている。
 その自分の目の前に、ただただ自分からは最も遠い事を本気で言ったりやったりする奴がいるなんて。
 ぞくぞく、するよね。
 ロックを背にしてるときのレヴィが、一番生き生きしてるって、思うよ私は。
 絶対にロックのためにでは無く、ただただロックの目の前で銃を両手に踊るために、レヴィはふっと笑う。
 そのときの溜息めいた微笑みが、やがて暖かくレヴィの体に溶けていくのを感じます。
 それが、レヴィがロックの銃になるってことなのじゃないかな。
 ロックの前でロアナプラの流儀をぶちかますのが、そのうちその憂鬱を越えて愉しくなってきてるのを、そろ
 そろレヴィは感じはじめているんじゃないかな。
 自分の知らないものに飛び込むことよりも、スリルに満ちた愉しいことなんてないよ。
 ロアナプラの流儀を声高に叫びながら、それでもその中から冒険に飛び出そうとしているレヴィの後ろ姿
 が、なによりも逞しくそして暖かく感じられました。
 レヴィの闇が深ければ深いほどに、その中から見える薄暗い光はより暖かく熱くなっていく。 
 無論、レヴィがロックの世界に飛び込んだって、それこそ飛んで火にいる夏の虫状態のアホな事態にな
 るだけで、そしてだからこの闇から出たって仕方ないいや出るべきでは無いのだとか愚かなことを言う訳で
 、当たり前だろそんなの、その火に飛び込んだって燃えるだけってわかっててやってんだろどこにもいかない
 でいい理由を得るために、てかぶっちゃけロックに帰る場所を奪わせようとしたのだって、自分のやろうと
 してることを正当化したいだけじゃん、レヴィはもう帰るべき行くべき場所が無いんなら仕方ないここに居
 るしかないここで生きるしかないって思ってるだけじゃん。
 レヴィは、その熱い火の目の前に、行くんでしょ?
 レヴィでもロックでも、闇でも光でも無い、新しい場所へ。
 闇を従え光に照らされる、その自分だけが進むことのできる前人未踏の地へ。
 ロックはもう、そうしてる。
 レヴィの闇とロックの光。レヴィの力とロックの知恵。
 そのふたつが共存できる場所を作れるのは、そしてそのふたりだけ。
 これからもふたりの足場がそれぞれ異なり続けるのは当たり前。
 レヴィはレヴィの、ロックにはロックの世界とその中での生がある。
 そしてその中で、自分の力の及ぶ限りを以て、それを越えていこうとする。
 お話の後に広がる、あのブララグのEDに、私はいつもそういう感慨を抱いています。
 
 
 
 という感じです。
 なんか、最初は全然書く意欲なかったんですけど、書いてるうちに案の定滅茶苦茶いってしまいました。
 あー。なんか誤字めっちゃ多いな、たぶん。
 取りあえず思い付いた端から速攻で書き込んでるので、すごいことになってますまぁいつもそうですけど。
 ということで、はい。
 来週こそ、真の修羅場ですね。
 でも、なんかバラライカ組との戦闘じゃ無いんだよねぇ。
 ・・・・・。
 もしかして、あと二話あるの? 日本編て。
 確かに来週で終わりだとあまりにもあんまりなので(終わらすとしたら銀さんお嬢コンビ揃って討ち死にエン
 ドなんだろうしそれもほんと死んだだけって描写で終わるしかないでしょあと一話なんて)、最低二話は
 欲しいところ。
 ま、でも、どんな形になっても合わせてみせますですよ。
 感想書いてみせますですよ。
 押忍。
 
 では、来週。
 
 
 
 
 
                           ◆ 『』内文章、アニメ「BLACK LAGOON」より引用 ◆
 
 

 

-- 061127--                    

 

         

                                ■■寒空の下の縁■■

     
 
 
 
 
 乱暴なのも、嫌いじゃないわ。(挨拶)
 
 改めまして、ごきげんよう、紅い瞳です。
 というか戦国無双2エンパイアーズ略してエンパをようやくゲットしました。
 ほんとは土曜日の時点で手に入れてたんですけど、やっちゃうとその後に予定していたチャット会に
 支障が出まくりになることが予想できましたので、チャット中には言いませんでしたけどええと次の日は
 エンパ一色に染まりましたもう全部エンパ!
 はい。
 もうね、なんかね面白すぎ。
 味方武将に指示とか出して、あーなんかみんなで戦ってるって感覚が気持ちよすぎる。
 ていうかあれ、結構頭使うよねぇ。
 一応ハメ技というかラクに勝てる戦術があるのも気付いたけど、それは封印して真っ向勝負でやってると
 、かなり瞬間的な判断とかも必要になったりで、2には無かったこの戦術性だけでもう、私は万歳です。
 楽しすぎる。
 あとそういった戦闘中の指示に答えたり戦況に応じたりで、色々と武将がセリフ言ったりしてて、あー随分
 エンパ頑張ってつくったなぁコーエーって感じもありました。
 てか、濃姫に指示出すのがなんかた無性に楽しい。快感。
 あと幸村とか健気な感じで武将撃破してくれたりすると、ほんともう頭なでなでしてあげたくなるし、政宗
 が援軍に来てくれたときとかもうほんとあの偉そうな口振りが微笑ましかったりですし、そうやって基本的に
 味方武将に色々やらせるのを楽しんでて、私自身の操作するキャラは補助とか囮とかばっかりで大して
 成長しないのが玉に傷だけど、それでもいいと思った。
 
 あでも新武将で作ったキャラは鬼にしました。ちょっと頑張りすぎた。
 てか、格好良すぎるから。
 巫女モデル(紫?)の武蔵モーションの淑女セリフで、能力タイプ突撃型の戦闘技能奮闘の設定で、
 名前は古河小夜。
 知る人ぞ知る冬目景「黒鉄」の、二刀流「双葉新顕流」の使い手のキャラからの出典。
 ほんとは名前は小宵(さよい)なんですけど、宵の字が無かったので夜で代用(よいとは読まないけど)。
 んでこれがもうカッコ良すぎで自分のプレイにうっとりくるくらいでした。
 ん、このモデルにこのモーションと声は合うね。あと色も。
 で、強さも勿論2での武蔵並に強く、さらに今作では1000人切りすると成長限界突破(階級MAX前に
 普通武将の能力値は最大になるけど、階級MAXになるまで成長し続ける)できるので、現在ぐんぐんと
 パラメータ上昇中だったり。おまけに第四武器も取ったし。あと今作は武器に付ける属性とか付加効果
 とかが戦利品として貰えて、それを選んで自分の武器に付けることができます。
 しかも一度付けた効果に、次の戦闘で得た効果を上書きすることもできるから、いい効果が手に入った
 らどんどん入れ替え可能だから、強くなる一方だしオリジナリティもあります。
 ちなみに第四武器でさえそれは可能なので、ほんとの最強武器を自分で作ることもできます。
 あと、馬関連はレベル観念が付いて育成可能。
 最初からレベルMAXの強い軍馬もあるし、よろず屋で買えるレベル1のしょぼい軍馬もありそれは育てる
 楽しみがあったり。
 それに付随して、馬狩りという特定項目もあるんだけど、それはやってみてのお楽しみ。
 くあー、もっと早く馬狩りできるようにしとけばよかったー!
 
 で現在、というかファーストプレイから引き続きずっと足利家でプレイ中。ていうかまだ一周目です。
 大名の義輝さんと軍師に就任した細川藤孝のおじいちゃんを中心に、そしていつのまにか島津家に
 拾われて健やかに育っていた古河小夜を引き抜いて主力にして、その他適当に無双武将を集めてたら
 、なんかあっという間に半分くらい日本統一してしまい、うあこりゃ普通に戦争してたらあっという間に
 終わっちゃうなということで、現在ひたすら内政及び防衛戦のみに打ち込んでおります。
 あー、おかげで武将全然成長しない。
 あんま敵も攻めてこないし。
 
 
 ◆
 
 そんな感じで、頭の中エンパで一杯です。ていうかまだまだまだやります。全然足りない。
 お陰様を持ちまして、日記の文章が激しく乱れておりますが、その辺りは見なかったことにしていただ
 ければ幸いで御座いますていうかこんなの書いてないではやくエンパやりたい。
 
 話変わりまして。
 最近はなぜか妙に動物さんと触れ合う機会が多い。
 私自身は事情があってちょっと飼いたくても飼えない状況なので、そういう機会は別の場所でいうこと
 なんですけど。
 この間も知人の家の猫さんが妙に人なつっこくて、私の膝の上に乗ってそこで寝てしまい、動くに動けな
 いという某あずまんがの某榊さんを彷彿とさせる幸せに押し潰されそうな時間を過ごさせて貰ったり(てい
 うかマジで20分くらい動けませんでしたが。たぶんこれまでの人生での正座持続時間最長記録w)、
 というか以前にもおじ家のキャバリアキングチャールズスパニエルが私の膝の上で寝てくれたんだけど。
 私の膝絶好調。(飛び膝ではありません。)
 あとは散歩中のゴールデンをぽーっと見てたら、見知らぬ飼い主さんが普通に「頭撫でてやってください」
 とか気さくに言ってくださって、私はもう欣喜雀躍というかもうアレでして、すっかりのぼせ上がっておもむろに
 、かつそれでも落ち着いてゴールデンになでなでしようとしたら警告無しで普通にがぶっといかれて、ちょっ
 と痛かったけどまぁ血も出なかったしこれは甘噛みの力加減をちょっと間違えただけだよね、みたいな
 ニュアンスで必死に噛まれた手をさすりながら笑っていたら、飼い主さんもごくごく普通に笑っていたので、
 ますます笑うしかなくなって、えっとそれでもへこたれるどころか噛まれてもいいからもっとゴールデンに触り
 たいとか思っていたあのときの私はさすがだと思う。
 
 で、またこの間も久しぶりにお寺巡りとかしてたら、そこの境内に放し飼いにされてる猫(雑種でしょうね)
 が、まぁ、嘘みたいな話で。
 境内をぷらぷらして、お賽銭あげて、さて寒いしそろそろ帰ろかと振り返ったら、なんかほぼ私の真っ正面
 からほぼ真っ直ぐに私の方にその猫向かってきたんです。すたすたすた、って擬音が良く似合うくらいに。
 最初私のところ目指してるとは思ってなかったから、ああ可愛い猫だなぁと思いつつそのまま帰途につこう
 としてたんですけど、ふと猫の顔みたら明らかにこっち見てたんです。
 おまけに私がみてるの気付いて、にゃーにゃーとか、ないたんです。
 どきっ。
 ごめん。今思えばもう溜息つくのですらアホらしい自分のその状態ですけど、そのときは素直にその猫に
 惚れちゃったんです。
 ちょっと優しくされたくらいで自分に気があるんじゃないか、みたいな勘違い真っ盛りな状態になっちゃった
 訳です。書いていてあとちょっとで涙が出てきそうですけど、頑張って書きます。
 そんで猫の方を見つめながら猫がこっちにくるまでまってて(かなり距離あったんですよ)、それで近付いて
 きたのでそっとしゃがんでみたら、まず私の足にまとわりついてきて、次にしゃがんで前に突き出されてる
 私の膝に前足をふたつこうがっと乗っけて、そんで私の顔みてにゃーて。私を萌え殺す気ですか。
 別に腰掛ける状態じゃなかったんですけど、とにかくもう私の膝の上に乗りたいらしく、仕方ないので
 やや少し状態をそらして膝と太股に乗りやすい状態にしてあげたら、ぴょんて。
 勘違いじゃなかった!私勘違いしてなかった!! 愛されてる!!
 私別に猫を掴んで無理矢理乗っけた訳じゃありませんし、餌で釣った訳でもありません。
 感動した。しゃがんだまま感動した。
 端から見たら、特に後ろから見た場合、しゃがんでなんかもぞもぞやってる不審者以外の何者でもなか
 った訳なんですけれども、構わない。
 羽織ってた上着で覆うようにしてあげたら、またにゃーって。・・・・・泣
 まぁね、うん、ここまで来たら大体わかってることなんだけど、要はあまりに猫的に寒い状態に耐えかねて
 いたところ、鴨が二本足でぬくぬくと歩いていた訳で、こりゃいいわいと舌なめずりも鮮やかに、すたすたと
 遠慮もなにも無くただ私の体(のぬくもり)が目的で近付いてきただけなんですよね。
 私はただ猫の暖房扱いだったのですよ。
 この寒空の下、ただただ冷たく利用されただけなんですよ。
 でも。
 
 それでも、いい。
 上着の内に感じた、この小さなぬくもりは確かにあったのだから。
 
 あのまま上着の前を留めて猫さんお持ち帰りとかやりたかったのですが。
 超愛してる。
 たとえ私が立ち上がった途端、脇目も振らずに他の参詣者のところに歩いていったのを見ていたとしても。
 
 
 ◆
 
 エンパ全開につき、アニメとか全然です。
 ていうか最近忙しくて、かなり視聴ペースが遅れていたので、なんとか週末にまとめてみようと思って
 いたのにエンパを週末に買うという、もはや無計画というよりは二重人格ばりの無茶を押し通してしま
 い、すっかりもう駄目駄目です。
 ていうかなぜかNANAを録画し忘れるんだよね。これで3回目。
 でその駄目駄目な中でもしっかりと変態武装錬金は見ているところが、私の一番駄目な所なので
 しょうね。むしろテンパってるからこそなのか。私も蝶になりたいです。落ち着け。
 といいつつも、さっきまでに録画した奴をダッシュで見たりして、残るはあさっての方向と僕等がいたとレッド
 ガーデンのみという頑張りをここで披露。
 といっても、さっき見たのがすももとデスノだけだったりとか、考えたらもう全然頑張ってない。
 
 頑張ります。 (PS2の電源を入れながら)
 
 
 
 

 

-- 061124--                    

 

         

                                ■■地獄の曲がり角■■

     
 
 
 
 
 『頑張ってきたのに・・・・・・一生懸命・・・お母さんが喜ぶと思って頑張ったのに・・・・・・・・・・』
 

                         〜地獄少女 二籠 ・第七話・恵美の言葉より〜

 
 
 
 
 
 
 
 
 
 木魚を叩く音が耳の奥に張り付いて離れないまま、ぶつぶつと独り言を言っていた。
 自分でもなにを言っているのかが聞き取れなく、おまけに頭の中でも自分がなにを言おうとしているのか
 をわかっていなかった。
 ただひたすらに口を動かして、そして僅かな声がそこから漏れ出ていた。
 息子を返せ息子を帰せ息子を返せ息子を還せ息子をかえせむすこをかえせ
 気付くと葬式の参列者の手前でこちらを振り向く夫の顔が目に入っていた。
 なんなのだろう、こののっぺりとした顔は。
 まるで悲しさという文字が張り付いただけのような、見ていてなんの感慨も湧かない顔を晒して、その目の
 前の夫はただただ私に背を向けていった。
 大昔、私はこの背中に憧れて、そしていつもなにかを求めるようにすがりついていた。
 大きくて逞しくて、それでいて暖かく私の事を見てくれるその背中の持ち主を、私は心の底から愛し、
 そしてなによりも深く強く求めていた。
 私はこの人と共にいたい。この人無しじゃ生きていられない。
 それが、今は、こんな。
 息子が死んだというのに、なにをへらへらと親戚達に愛想笑いを振りまいているのか。
 悲しみが無いのだ、とは思わない。
 夫だって悲しいのだろうし、それは私に決して引けをとらないはず。
 けれど夫は、その悲しみと正面から向き合うことをせずに、自分までが悲しみに沈んでなにもしなかったら
 、親戚の皆様に申し訳ないだろう、と言うことにすべてを委ねてしまっていた。
 悲しさを紛らわす、というより夫は悲しさから全力で逃げ出していた。
 私たちにとって、息子は、そんな親戚との付き合いとは比べられないほどに大事な事なのに。
 葬式なんてやらなくたっていい、私たちはただただ泣いて泣いて嘆き悲しんで、狂うほどになにもしないま
 まに、いっそそのまま死んでしまえと願うくらいに、そこまでになるのが本当に価値のあることなのじゃ無い
 の。
 いいえ、違うわ、価値とかそんな事じゃなく、ただただ、私たちにはそれしか無かったはずなのに。
 どうしてあなたは、そうやってどんどん私達から離れていってしまうのよ。
 息子がまだ生きていたときだって、ことあるごとに仕事だからと言って、なにも考えてくれなかったわよね。
 そして息子が死んで、あなたは結局そうやって雑務にかまけて、息子の死から目を逸らしていくのよね。
 あの子が・・・・あの子が死んだことって・・・・・いったい・・・・・
 私だけしか・・・・あの子の死を悲しんでいると、あの子に伝えることはできないのかしら。
 私たちはただもう、終わってしまったこととして、そうして息子の死を消費していくだけなのかしら。
 そんなこと・・・・させない。
 あの子は・・・あの子は・・・・・わたしの子よ
 
 
 ・・・・・・
 
 残影も色濃く隠微な水音が響いている。
 誰も居ない深夜の台所。
 私は水の入ったコップを片手に、ただずっとそこに立っていた。
 私の眠れない夜は、あの日から始まった。
 お兄ちゃんが死んだ日。
 ううん、お母さんがお兄ちゃんの死しか見なくなったその日から、私は寝る前の長い時間を、この暗い
 台所の中で過ごしていた。
 あの日以来一切の家事をしなくなったお母さんに代わって、私が家事をこなしていた。
 お母さん・・・・
 夕飯の支度をする私の背中の向こうに、すっかり草臥れ果てたお父さんが居る。
 お父さんがこんなに疲れているのは、お母さんのせいだと、私もお父さんもわかっていながら、それでも
 そのどちらもがどうしてもそれを言えなかった。
 言えば。
 そう言ってしまえば、お母さんと敵対することになってしまうから。
 お母さんが悪いんじゃないんだ、お母さんはただ悲しくて悲しくて仕方が無いんだ、というお父さんの言葉
 に、私は何度ほっとさせられたことだろうか。
 そうだよね、家族仲良く、なんとかこの難局を乗り切っていかなくちゃいけないんだもんね。
 お母さんの悲しみを癒せるのは、私達しかいないんだもんね。
 そうして、ふと握りしめた拳を開くと、その手は真っ赤にあかぎれていた。
 次の日の朝。
 私はお父さんを、見ることができなかった。
 そして。
 ただお母さんのその背だけを、私はずっと睨み付けていた。
 
 
 ・・・・・・
 
 雨は、降っていなかった。
 ただずっとどんよりと重く垂れ込めた雲だけが、残り僅かな力を振り絞って空に張り付いているのが見えた。
 息子は、一体どんな人間だったのか、今もってよくわからない。
 というより、俺にとっては娘のことも妻のことも、わかっているなどとは言えない。
 人の心がわかるなどとよく人は言うが、俺にはそれがどういうことかまるでわからなかった。
 俺がどう受け取るかで、息子の姿は、いくらでも姿を変えることができる。
 だから俺にとっての息子像というものに、意味は無かった。
 「息子のことをわかる」ということ自体が欺瞞にしか思えなかった。
 すべては人それぞれ、そういうものだと受け入れていくところからしか、すべては始められないのでは無いか
 と、そう思うことしかできなかった。
 俺の目の前に居た息子は、いったい俺にとってなんだったのだろうか。
 葬式の手配をし、無事葬式を済ませ、事後の処理も問題無く終え、そうしてただ写真の中の息子と
 向き合っていると、そこには本当に写真に写った息子の画像だけしか無かった。
 俺にとって、息子はただ俺の視界に張り付いた画像でしか無かったのか。
 俺はただ、父親としてできることをやってきただけだった。
 「父親」という役の台本に書かれていたことを、忠実に演じ続けただけなのかもしれない。
 俺はその演技にのみ集中し、そして演技にのみ思いと想いを賭けていただけなのだろう。
 息子はきっと、そんな俺の演技を、ただぼうっと見ていただけなのだろう。
 そして息子は、死んだ。
 あっけない、と言うほどの実感は無かった。
 俺はたぶん、悲しむ資格さえ与えられなかった。
 悲しいといえば悲しいが、悲しくないといえば悲しくなく、わからないといえばなにもかもわからなかった。
 気付いたら、息子が死んでから随分立っていた。
 俺の中の息子は、写真の中の息子と同様に、静かに色褪せていくだけだった。
 その褪色した息子が俺の中にあるのを見抜いている妻は、俺を激しく責めて。
 無論、なにもいえなかった。
 妻の言い分が正当か否かに関わらず、俺はただその妻の姿を、それはそれとして丸ごと受け入れること
 しか知らなかったのだから。
 はやくも、俺の中の妻の写真が色褪せ始めているのを、妻だけは感じていた。
 そして。
 娘は、その事を知らず、そして知らぬがゆえに知る可能性を秘めた、俺にとっての恐怖の対象にして、
 そして俺の恐るべき宝物だった。
 俺にはもう、娘、しか。
 
 
 ・・・・・・
 
 母さんはさ、自分勝手っていうか、弱いっていうか。
 そうそう、溺れてる自分を助けるために川に飛び込んだ人にしがみついて、その人を沈めちゃうって感じ?
 俺はさ、母さんが俺に色々期待してるのは知ってたし、それはうざったい事もあったけど嬉しい事でも
 あったから、まぁできる限りはやってみるよ母さんのために、みたいなさ感じでさ、割と前向きに頑張ること
 とか出来てたんだぜ?
 でも母さんにとっては、その俺の努力は徹底されなきゃいけないものでさ、だから俺は結局のところ努力
 したことの全部が、当たり前のものにしかならなかったんだ。
 母さんは、俺のしたことを認めても、俺のことは全然認めちゃくれなかったんだ。
 あの人にとって、俺は金の卵を産む鶏みたいなもんだったのだろうさ。
 そりゃ、傍目からは絶対にわからないだろうし、そして母さん自身だってそんな事わかりゃしないだろうさ。
 だってさ、母さんにとって俺は、「母さんの俺」でしか無いんだもんな。
 やってらんねぇよ。
 母さんが俺の事認めてくれるんなら、俺はいくらだって金の卵産んでやるよ。
 でも、そうじゃないなら、俺はただ死ぬまで自分の体を金の卵に換えていくだけなんだよな。
 恵美。
 お前もいい加減、その辺り気付けよ。
 お前が家族のためを思って必死に頑張ってんの知ってっけど、あの家は最初からお前のことなんざ認め
 ちゃくれないぞ。
 だからお前も、さっさとあんな親から精神的にも経済的にも独立して、自分の好きなように生きたらいい
 さ。
 んで、そうしてもう親にいいように扱われなくても生きてけるくらいに強くなったら、そのときにお情けで母さ
 んと父さんのオママゴトに付きあってやればいいさ。
 じゃないと、お前、まともな人間になれないぞ?
 あんな生活ずっと続けてたら、ほんとお前、狂うぞ?
 どんなに努力しても、どんなにあいつらのことを思っても、報われないだけじゃなく、すべて無駄にされて
 しまうことだけが続いていくんだからな。
 俺もだから、近い内に家を出る。
 恵美。俺はな、母さんはそんな異常ってほどの人じゃないとは思う。
 俺たちに対する依存心も、強制も、そういうのもそこまでひどい訳じゃ無いと思う。
 だからお前や父さんも、なんとかそれを認めて、そして少なくともお前は少しずつでもそれを変えていこうと
 してるだろ?
 でもな、致命的なのはな。
 母さんは、絶対に変わらないってことなんだ。
 というか、変える気が無くて、そして変えるという概念すら無いんだ。
 だから終わらないんだ、この地獄は。 
 じゃあな、恵美。無理すんなよ。
 
 
 
 ◆
 
 ・・・・・・
 
 ずるずると、毎日が崩れていく音を聞きながら、どこまでも続く空の下で潰れていった。
 醜く拉げていく日常の中の私が立てる音が、私の発する言葉の中に芽吹いていくのをひっそりと感じて
 いた。
 
 『あとは、あなたが決めることよ。』
 
 お兄ちゃんの机の引き出しの中に、紅い糸の巻き付いた藁人形を見つけた。
 知ってる。
 これは、地獄通信にアクセスすると地獄少女がくれるってやつだ。
 私には、お兄ちゃんが誰を怨んでいたのか、たぶんわかっている。
 わかってはいけないことを、わかっている。
 お兄ちゃんは、本当はきっと、自分自身を怨みたかったんだ。
 そしてその怨みのままこの家を出て、そして情けない自分に発破かけて、そして懸命に独りで強く生きよ
 うと、そう思ってたんだと思う。
 でも。
 それでも、お兄ちゃんは、藁人形を手に入れていた。
 きっと毎晩毎晩、その藁人形を握りしめて、必死に我慢していたんだと思う。
 誰を、そう、誰をこそ本当に怨まねばいけないのかを知ってしまうことを。
 地獄よね。
 知ってはいけないと言っても、本当はもうそう思っている時点でちゃんと知っている自分しかそこにいなかっ
 たんだから。
 お兄ちゃんは、でも最後までその知っていることを言葉にすることはなかった。できなかったのかもしれない。
 最後の一線、だったんだよね。
 もしその知ったことを言葉にして、その対象に怨みをぶつけていたら、もう本当に取り返しの付かないこと
 だとわかっていたのだろうから。
 ただただ怨むだなんて、本当に、破局にしかなれないから・・・・
 だからお兄ちゃんは、ずっと自分自身を怨み続けた。
 怨んで、怨んで、なにも見えなくなるまで、知っていることを意識しないでいられるように怨んで、そして
 ほとんど自暴自棄な事故を起こして死んでしまった。
 お兄ちゃんは、ただ自分を怨むことでしか、真の破局を回避することが最終的にはできなかったのね。
 お兄ちゃんは・・・ある意味幸せだったのかもしれない・・・・・あのときに・・・死ねて・・・
 
 
 お母さんを、怨まなくて、済んだんだから。
 
 
 お兄ちゃんが死んで、本当にお兄ちゃんのことしか頭に無くなってしまったお母さん。
 私とお父さんがどんなに頑張っても、お母さんはもうお兄ちゃんのことしか頭に無い。
 私がそのために長く学校を休まねばいけなかったことも、陸上をやめなければいけなくなったことも、
 お母さんにとってはどうでもいいことにしか過ぎなくなっていた。
 お父さんがあんなに草臥れてるのに、それなのにお父さんにきつく当たって、許せない。
 ふふ。
 私も、相当悪い子よね。
 お母さんを責めるために、お父さんを守るなんて。
 お父さんを気遣い、お母さんの魔の手からお父さんを救うためにお母さんと戦う。
 考えれば考えるほどに、私にはお父さんの苦衷と疲労と絶望を感じることができ続け、それはもう本当に
 私の求めに応じるが如くに、どこまでも無限に続けられる自己欺瞞だったのよ。
 お父さんの苦しみを理解できそれを救おうという義侠心に震えることができればできるほどに、私はしっか
 りとお兄ちゃんが必死に隠し続けた、その知ってはいけないことを暴いていった。
 わかっているはずなのよ。
 私がどんなに今の家族の生活を第一に考えて、前を向いていこうよと言ったって、それだけじゃお母さん
 は変わらないということを。
 お母さんを責める私の言葉のすべてが、必ず私がそれ以上の努力をもうしたくないという心より出てきて
 いるということを。
 お父さんは、たぶん、そういうの本当は本能的にわかってたんじゃないかな。
 私たちがお母さんを支えてあげなくちゃいけないという事は、本当に真実だということを。
 
 
 私がお母さんを怨むことは、全くの筋違いだということを。
 
 
 お父さんは結局、最後の最後までお母さんを怨まなかった。
 いや、怨めなかったのかな。
 お父さんはただ、お母さんを守った。
 妻を守る「夫」の役を演じ続けていったのよ。
 もうずっと前からどうでもよくなっているはずなのに、それでもずっとお父さんはお母さんの夫であり続けた。
 そう、お父さんはただの一度も、お母さんをお母さんとして見ることも無かったのよ。
 だから、助けようとか変えようとか、この家族を幸せにしていこうとか、考えてなかった。
 ただただ無為なるままに、無欲のような諦観者を演じ続けていただけだった。
 お母さんを受け入れてあげなければいけないんだよ、とお父さんは言った。何遍も言った。
 そして。
 私は、受け入れた後はどうするの?、とお父さんに言いたかったけど言えなかった。ずっとずっと。
 私はお母さんを責めることで、お父さんはお母さんを守ることで、その私の言いたかった本当に私たちが
 しなければいけなかった事から逃げていたのだから。
 言えなかったんだよね。言ったら、もう逃げられないから。
 そしてね、お父さん。
 お父さんは知らないだろうけど。
 お母さんも、狂っては、いなかったんだよ。
 お母さんもまた、賢く逃げただけ。
 ううん。
 ほんとはお母さんこそが、一番真剣に私達「家族」の事を考えていたのよ。
 お兄ちゃんの事を、お兄ちゃんの死を、私とお父さんは受け入れることができなかったのよ。
 お母さんだけがお兄ちゃんの死を真剣に考え、それと真に向き合い、そしてそれとちゃんと付き合っていこ
 うとしてたんだよ。
 だって、お兄ちゃんは、お兄ちゃんなんだから。
 あんな普通のお葬式で、私達家族にとってのお兄ちゃんとの「お別れ」が得られる訳無いじゃない。
 お兄ちゃんの死を抜きにして、お兄ちゃんとお母さんの関係を無視して、私達家族の未来があるはずが
 無い事を、ほんとうはお父さんだってわかっていたでしょう?
 もし私たちが、お兄ちゃんが死んだときにお母さんと一緒に泣いて悲しんで、そして一緒にお兄ちゃんの
 事を考えて、そして今度は一緒にお母さんの事を考えてあげて、必要ならカウンセリングなんかも一緒に
 受けにいって、そういった家族みんなで協力する一体感が得られていれば、お母さんはここまでひどくは
 ならなかったのかもしれないんだよ。
 なのに私たちは、そういったお母さんの望む根本的な解決を図らずに、ただ上辺だけのそのば凌ぎ的な
 事ばかりして、それはきっとお母さんからしたら堪らないほど悲しく悔しいことで、だから怒り狂うのは当然
 だったと思う。
 なのに。
 なのに私はそのお母さんの怒りに怒り、お父さんはただその怒りを受け入れるだけでなにもしようとはせず
 に逃げ回ったのよ。
 それが、真実。
 そしてそれが。
 
 
 私が一番知ってはいけなかったことだったのよ。
 
 
 
 ◆
 
 
 
 
 
 
 
 
 『わかりたく・・・・・・・なかったよ・・・・』
 
 
 
 
 
 
 私は。
 私は。
 お母さんを、怨む。怨んでる。お母さんなんて。
 お父さんなんて、もう知らない。
 お兄ちゃん・・・
 お兄ちゃんはいいよね・・・・
 家族のことなんか全然考えなくて、好きなことやって、そして自分勝手に死んじゃって・・・・
 なんで・・・
 なんで・・・・私だけが・・・こんなに頑張らなくちゃいけないの・・・・・
 どうして・・・それでも頑張ってる私には苦しみと罰だけしか与えられないの・・・・・
 もう・・・・いや・・・・・
 もう・・・・・・・・・・・・・・いや・・・・・・・・・・・・・・
 お兄ちゃん・・・・
 私も・・・・連れてってよ・・・・・
 私も・・・・お母さんのいない世界に連れて行ってよ・・・・・・・
 なんでよ・・・・私が生きてるから・・? 私がそれでもお母さんを愛してるから・・?
 それなら・・・・
 私、お母さんを怨むよ。怨んでやるよ!
 そのためになら、私も地獄に堕ちたっていいよ!!
 それがお母さんの居ない世界なのならば、何処にだって私は行くよ!
 出して!
 ここから私を出して!!!
 
 お兄ちゃんは、家族のことなんて考えもしなかったのに、いいえ、考えなかったがゆえに、お母さんを真に
 怨むことをせずに済んだ。
 私は、家族のことを考えずにはいられなかったのに、いいえ、考えていたがゆえに、お母さんを真に怨む
 地獄に堕ちることになった。
 皮肉よね。最低よね。
 きっと、もしお兄ちゃんが今生きていたら、お母さんの事を愛することができてるのかもしれない。
 ずっとずっとお母さんの事嫌ってて、嫌い続けてて、でもお母さんには愛されてて、そうして時が経つに
 連れお兄ちゃんはお母さんのことを思い遣り愛せるように・・・・・
 ずっとずっとお母さんの事愛してて、愛し続けてて、でもお母さんには愛されてなくて、そうして時が経つに
 連れ私はお母さんのことを責め怨むように・・・・・
 
 
        ----  な に よ 、 そ れ  
 
 
 
 
 
 
 『お母さんは私が頑張っても喜ばない。』
 
 『今までだってそうだった。
  大会でいくら入賞してもお母さんはおめでとうすら言ってくれなかった。
  お母さんにはお兄ちゃんしかいないの。お兄ちゃんだけいればいいの。
  お母さんにとって家族は、お兄ちゃんだけなの。』
 
 
 
 
 あーあ、お母さん、狂っちゃった。
 これはもう、私のじゃないわ。
 もういらない。
 お父さんも諦めたみたいだし。
 ただ狂うお母さんとただ嗤うお父さんと。
 ただ喧しく過ぎていくだけの世界と。
 そして。
 零れ落ちた私の中の最後の家族への想いが。
 
 
 
 ただただもう、私は怨みへと駆り立てた。
 
 
 
 
 『母さんがいなきゃ、家族はうまくいくのに。』
 
 お兄ちゃん、そう言ってた。
 
 
 『そんなこと言っちゃ、駄目だよ。』
 
 私、そう言ってた。
 
 
 
 
 
 うん。
 
 
 
 
 
 
 うん。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 さようなら
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 誰も居なくなった家の中で、ひとり美味しく地獄を頂きます。
 
 
 
 
 
 
 
 
 『変なの。みーんな揃ってるのに・・ね。
 
  いただきまーす♪』
 
 
 
 
 
 
                                ◆ 『』内文章、アニメ「地獄少女」より引用 ◆
 
 

 

-- 061123--                    

 

         

                                 ■■ 銀さん×お嬢 ■■

     
 
 
 
 
 はい、ブララグ2第8話見ました。
 ていうか、昨日感想書いちゃいました。
 「-夜-」ってタイトルで。
 で、ブララグの感想は基本的に今日みたく、「何々×何々」の形で書いて残しているので、正式なのは
 今日の方でということで、というか、今日のは名ばかりだけのような感じでした。
 書くことありません。
 ぶっちゃけ昨日書いたものを読んで頂ければ幸いです、と言うのが目的みたいな感じです。
 雪緒お嬢に惚れました。
 銀次さんにも惚れました。
 ロックはよく頑張ったと思いました。
 レヴィさんはキレないときの方が怖いと思いました。
 バラライカの姉御はもうなにがあってもなくても怖いと思いました。
 次回が修羅場なのだと思いました。
 日本編万歳。
 
 ていうか、ブララグ、万歳。
 
 
 おしまい。
 
 
 
 

 

-- 061122--                    

 

         

                                    ■■ - 夜 - ■■

     
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 -- 続く雪道の途上にて --
 
 
 
 
 
 
 煌々と照る月が浮かぶまで、沈み往く陽の光の下にいた。
 明るい日差しを遮り、足下に影が出来るのを見つめながら、ふと見上げた空が闇に包まれていたりは
 しないかと、ただ気が気では無かった。
 それでいて必ずやってくるその闇の訪れの連続が、優しくこの影を創る体を育ててきた。
 幾千幾万と続く、光満ちた空から闇に濡れる夜への生まれ変わりが、等しく私を包んでくれた。
 この太陽の恵みを一身に受けられる喜びと。
 この日差しを遮る体が産み出す影の苦しみと。
 昼から夜へと歩み続けるのをただの一度たりともやめたことは無く、そしてその喜びと苦しみが途絶えた
 ことも無い。
 連綿と延々と続くその道の上を歩いていた。
 
 私の目の前には、道があるのか、ないのか。
 
 前に踏み出す一歩の中に感じていたのは、果たしてその前進かそれともその一歩に要した力なのか。
 感じれば感じるほどに、踏み締めたその道のぬくもりは確かとなって私に伝わってくる。
 そのぬくもりは、私の内にあるものか、それとも外にあるものなのか。
 やがて存在を以て刻み続けた足跡は雪に閉ざされ、そしてその先に続くべき前途は既に埋もれていた。
 すべての前進の軌跡を失い、真っ白に積もり広がっていく膨大な黒い雪夜だけが此処にあった。
 それをすら、この足は、この手は、目は耳は、感じている。
 此処に広がっている夜の存在を、その冷たさを以て感じている。
 長く暗い道を歩き続けゆっくりと息の上がるほどのぬくもりを胸にしているこの体のすべてが、その夜の
 存在を証す唯一のものであるということをわかっている。
 前に一歩踏み出すために感じた内なる力のぬくもりが、その踏み締めた道がその夜の中に敷かれている
 のを感じている。
 肌の内に冷たく居座るこの前進へのぬくもりが、すべて道に換わっていく。
 夜の静寂に感じた闇の重さが背中越しにあるのを感じるとき、その闇の存在そのものを感じているのは、
 いつも必ず私の中にあるこの暖かいぬくもり。
 私の中に輝く光を私の肌が遮るとき、その目の前に影たる闇が顕れ、そして私はその闇の重さを深く
 感じていく。
 
 光を遮るもの。
 すべてを感じるもの。
 それがすべて私という存在だということほど、強く深く感じることは無い。
 既にそれは存在し、ただあるがゆえに光を遮りすべてを感じている。
 私という存在そのものが既に為していることのために私は私を感じ、そしてその感じた私がなにを為すの
 かもさえ、本当は私の存在に従属している。
 真に自由になるものなど、存在しない。
 私は、私という雪夜の中に、ただ独り立っている存在。
 私はそして、雪夜の中に独り立っている、ただのひとりの人間。
 ひとりの人間であるという属性を持つ存在として、私は絶対的に自由では無い。
 私自身は決して自由にはなれない。
 けれど。
 だから、自由という事を知ることはできる。
 不自由な存在が紡ぎ出す言葉の海の中にたゆとうことはできる。
 『知識も感情もなにもかも飲み込んで、果てしなく広がるっていうか。』
 その主体たる存在無き言葉の流れに身を任せ、ただただ自らを言葉に浸していくことの中には、決して
 そういうことを感じている私を感じることは無いのだから。
 ただただ一心不乱に、言葉になって。
 思想を読み解き哲学を重ね、その堆積を為すことのみが、真に自由ということ。
 その自由に浸っているときこそ、ただただその自由を疑う必要もないほどの自由を知ることができる。
 でも。
 それでも夜はやってくる。
 本に耽り気付いて見上げた空が闇に染まっていることの恐怖。
 そうして本を読んで自由を得たいと願っているだけの私の存在があることを、どうしても感じずにはいられ
 ない恐怖が訪れる。
 この体を、この私を、この存在を感じたくない。
 恐怖を感じている私を、夜の寂しさを感じている私を、感じたくない。
 『夜をね、連想させるようなものは嫌いなの。』
 自らの存在にすべてが吸い込まれそうで。
 
 
 
 - 雪が、降っている
 
 
 
 誰にも見られない雪化粧を施した夜が在る。
 ぞっとするほどに深い闇がそこには広がっている。
 その闇は、この世で最も巨大な影。
 明るい日差しをこの全存在を以て遮りできたこの影の中に私は居る。
 優しいほどに冷たくて、悲しいほどに暖かいこの夜がすべてを感じている。
 私が、居る。
 肩に舞い落ちた雪が、ゆっくりと溶けていく。
 踏み込んだ雪の中に、くっきりと私の輪郭を描く窪みが出来ている。
 それは私のぬくもりで、それは私の重たさで、それは私の存在で。
 狂うことなど欠片も無いほどに、それは圧倒的に私の目の前に広がっている。
 嗚呼・・
 
 寂しい・・・・
 
 ただ無性に寂しくて。
 ただただ私は賽子を振っていた。
 ころころころ。
 掌で踊る私の涙の行き先を決めることはできても、それが雪に溶け雪を溶かしていくを避けることは
 できない。
 私の投じる一石は、すべて私の存在そのもの。
 いかなる目が出ようとも、その出た目の責を負うのが必ず私であることは変えられない。
 そして、その賽子を投げるか投げないかを、私には選ぶことが絶対にできない。
 投げるしか、無い。
 そこに自由は無く、ただただそこに投げ出されていく私だけがある。
 そして出た目にひたすら翻弄され、ただただ懸命にそれに追いついていこうとするだけ。
 嗚呼・・・・
 夜の闇がまた濃くなって・・・・・・・
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 あ・・・・・雪が・・・・
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 なにも無い、ただ雪の降り積もる夜がみえる。
 髪に残った溶けない雪の一欠片を掌に乗せて、その顕れるぬくもりを感じている。
 『暗くて、寂しい、雪の夜空。』
 気付いたら、外を歩いていた。
 靴下越しに感じる雪の冷たさを、ただただ深く深く感じている私の体温がある。
 雪が・・・・・ああ・・・・・雪が・・溶けている
 点々と続く足跡は、朝を迎える前に降り続ける雪の中に埋もれてしまうのかもしれない。
 目の前に続く真っ暗な雪原は、無数の埋もれた雪道をその下に抱きながら、決してその道へと私を
 誘ってくれるわけでもないのかもしれない。
 歩けども歩けども、私が今ここに在るということしか感じられないのかもしれない。
 でも。
 それでも残酷に降り続けるこの雪がこの体を覆っていくたびに、この体が深い夜に抱かれていくたびに、
 私はこの内なるあたたかいぬくもりを、その果てしなく続く道へと換えていきたい。
 私がこの雪を溶かすことができる限り、私はひたすら前に進むことができていく。
 否。
 本当は、この雪がこの夜の中に降り続けてくれるだけで、私を前進に誘う道を踏み締めることができる
 のではないか。
 なぜならば。
 既に、その雪を溶かして在るこの私が、居るのだから。
 私は。
 私は既に、この雪を溶かして道を伐り拓き踏み締めていくという属性を持った存在であるゆえに、そこに
 はもはやそうして居る私しかいない。
 それはもう、私が居るという意志。 
 
 
 
 
 『 ね ぇ 、 銀 次 さ ん  --
 
          --  雪 の 夜 っ て 、 綺 麗
 
                     今 、 初 め て そ う 思 い ま し た  -- 』
 
 
 
 
 この夜の中に誰も居なくとも。
 ただ独り踏み締める雪しかなくとも。
 それゆえにこの私は深々と熱く燃え上がり、そしてなによりも静かにその一歩を刻んでいくことができる。
 その一歩にこそ、私は真に私を感じることができる。
 そして。
 だから、私は私を感じるまでもなく、ただひたすら私の存在に従属し、そしてなによりも確かな私となって
 いく。
 それは絶対的に私の存在に縛られた不自由な私であり、そして賽子を投げることしか残されていない
 私でありながら、確かにその賽子を投じる自らの力に、すべてを委ねてこの一歩を歩ませることができる。
 私が前に進むことが、そんなに重要なことだろうか、と?
 重要もなにも、私はただ、前に進んでいきたいと思っている、それだけのこと。
 賽子を振るしかなくとも、その賽子を振るのは間違い無く私。
 私の踏み出したその一歩が感じる雪の冷たさと、全身で感じる夜の静寂に触れているのはこの私。
 不自由であるがゆえに、なによりも自由。
 その不自由で確とした私がなければ、私は真に自由にはなれない。
 だから私は、不自由で、自由。
 だから。
 
 私は、自由。
 自由であると言う、私。
 
 だから、歩く。
 私は私として、歩く。
 今まで刻んできたすべての足跡の頂上に、確かに今の私があることを感じながら。
 私を育ててくれた、無限の夜の訪れと共に歩いていく。
 私は日差しを遮ることでできる足下の影からも、そしてその影を産み出す私自身からも逃げはしない。
 逃げる必要すら、無い。
 このなにも無い雪夜に、それでも刻める雪道があると信じて。
 否。
 私が踏み締めるゆえに、踏み締めると思うがゆえに、そこに雪に覆われた道が顕れる。
 果たして、その降り積もった雪の下に最初から道があったのか、それとも雪を踏み締めて歩いたゆえに
 そこに道ができたのか。
 今の私には、まったく同じこと。
 差異を論ずるには値しない。
 そして。
 
 
 闇夜の下の雪道を歩く私の背を、守ってくれる人達がいる。
 
 
 私はその人達のためにも、前に進まなくてはいけない。
 前に進むからこそ、その人達に私を守る価値が出てくる。
 私は独りでひとり。
 けれど。
 目の前には、私の他にその独りでひとりの人達が居る。
 みんな、みんな、歩いている。
 だからもう、誰も。
 私も。
 
 自分しか居ないと、思うことはない。
 
 
 
 『今、銀さんの中に潜む夜を感じてる。それは寂しいものだけど、だからこそ冷たくはなく、体温がある。』
 
 
 
 銀さんのその暖かい背中を、感じます。
 銀さんも私の背を、感じてください。
 互いの背で互いを、そして自分自身を。
 舞い落ちる雪達の瞬く夜空を見上げて。
 私達が、この雪道の上に居ることを感じましょう。
 
 
 
 
 
 
 
 
 『銀次さん。
 
  銀次さんは、私を守ってくださいますか?』
 
 
 
 
 
 
 
 
                           ◆ 『』内文章、アニメ「BLACK LAGOON」より引用 ◆
 
 
 

 

-- 061119--                    

 

         

                             ■■雨降りて地に足付かず■■

     
 
 
 
 
 ごきげんエンパ!
 
 いやべつに異常は御座いませんごく普通のご挨拶を申し上げたまでのことです。
 ただちょっと頭の中が戦国無双2Empires略してエンパのことで一杯なだけでして。
 いやもうその、始めに言っておきますけどね、まだ私このゲーム手に入れてません。
 一体なんてことでしょうどうしてこのゲームをまだ持ってないのか不思議でならなくてうぁーです。泣いた。
 こんなに悔しい思いはしたことは無いと嘘歴史をぶちあげても全然苦にならないくらいにお慕い申し上げ
 ておりますのに、あなたさまはなぜわたくしの元においでくださらないのですか、と白昼妄想。
 うん。まぁ、落ち着こうか。どうどう。
 いやだって、あんましゲームとか買う気無かったんですけどね、丁度某電気店のポイントがいい感じに
 貯まってたんでじゃあ行ってみようか、というノリで買いに言ったら「品切れ中。ごめんね!」とかなにそれ。
 私だって別にそんな欲しいってほどじゃ無いんだから、なけりゃいいよもう、とかつぶやけば呟くほどめらめら
 とファイティングスピリットが燃え上がって子供というなんというか、俄然手に入れたくなってきて、お店の人
 に「再入荷はいつ頃になりますか?」と逸る心を必死に押さえてできるだけどうでもいい風を装いながら
 訊いてみたら、店の人なにもしないでその場で速攻「わかりかねます。」とかもう、ちょっとキレた。
 もう少しなんか調べるフリとかせめて「えーとですね。」くらいのタメは欲しかったのに、そんなツンというかサド
 レベルに冷酷に返されてたりして、そりゃ私はちょっとひるんだけど、でも、萌えじゃなくて燃えた。
 もうなんか、エンパ手に入れることしか頭に無くなった。たとえ地球が滅びても私は手に入れる!
 つかまぁ、他の店で普通に買えばいい話なのだけれど、こうなったからには意地でもポイント使って買って
 やるとか、そういう色々なにも見えない方向に突っ走って、それで他の某電気店を2つほど回ったら、
 「完売」、「soul'd out !!」とかあって、泣いた。雨が、降ってきたな。 (本当に降っていました)
 そして傷心真っ盛りな私は、一応他の店にキャッシュと等価交換で購入可能なのがおいてあるの事前に
 確認してあったので、もうなんか傷心を過ぎて我に返ってきて、いやもう普通に買うよわたしにゃそれが
 お似合いなのだろうさ、とかひとり勝手にやさぐれて、その店に入ったら売り切れてました。もう帰っていい
 ですか?
 
 ということで、19日現在、エンパをプレイしていない私がいます。あーあーあー。
 
 そしてそんなすっかり頭の弱い子としてのアイデンティティを全力で獲得中の紅い瞳ですが、
 あまりに悔しいのでネットで色々とエンパの話とか情報とか読んでたら、ほんとに欲しくなってきてしまい
 ました。 あかいひとみのかしこさが20さがった!!
 ちゃ、ちゃうねん、ちょ、ちょっと気になっただけやねんで。
 そして、あっという間にエンパ信者になってしまいました。ていうか手に入れられないのなら私は死ぬ。
 ・・・・・。
 はい。
 まぁね、ここはもう少し冷静になって、たんたんと記述してみますよ。
 ええとですね、最初は攻略系サイトとか調べてたんですけど、まだ情報に乏しいサイトばかりで、かえって
 ブログとかのプレイ日記などの方が良いということがわかったりしました。一応これトリビアね。
 情報の真偽のほどはともかく、数さえ揃えば、総合的に知りたい情報とかは得られますから。
 だって発売日に購入して、それから連続徹夜でプレイとか、もう5周目終わったとか、すごすぎです。
 あとちなみになぜか私が読んだエンパのブログは○女子系なのが多くて、なんかもう佐和山主従とか
 義レンジャイとか左近エロいとかばっかりで、すっかり私も染まりました。よし、まずは左近使おう左近!
 なんの事だかわからない人は、それでいいです。知らない方が人生を美しく感じられます。
 あーあと悪政プレイで一揆頻発させてみたいと、正直思った。
 「この不義者どもめ!」とかいって哀れな一揆を容赦なく鎮圧する直江がみてみたい。
 
 で、基本的に私は最初エンパは買う気とか無かった訳なんですけど、一応ほんとに買うに値するかを
 冷静に考えてみたんですけど。
 私は無双に対する要求高いので。
 そういう観点で、色々と調べたわけで、要するになにができてなにができないのかが色々わかりました。
 以下はそれについて。情報の精度は保証できません。
 エンディング等のネタバレは書きませんけど、心配なら以下は読まない方が。
 
 ・相変わらず護衛兵はいなさそう。
 ・新武将も相変わらずモデル数少なすぎて最悪だけど、声がなかなかよさそう。
 ・特殊戦闘、というのがあるらしい。関ヶ原の戦いとか。
 ・武器につける付加効果は戦利品として貰えるらしい。
 ・武将の階級上限は20と低めだけれど、育てること自体が大変そうなので問題なさそう。
 ・親密度の高い所属武将を四天王にできる。それと軍師を任命できるらしい。
 ・イベント発生数が飛躍的にアップ。武将同士(政宗と幸村とか)でのイベントが頻発。
 ・敵は相当堅いみたい。500人斬るのさえ大変だとか。
 ・戦場での味方武将に対する指示に指示ボーナスが付く。
 ・小次郎は謙信モーション、勝家は槍系モーションの複合。
 ・シナリオの群雄割拠では、大名や武将の国配置を自分で決められる。
 ・戦場は2の使い回し。
 
 などなど。
 私的には護衛兵は諦めてたけど、新武将には期待していたので、ややがっかり目。
 ただ今回戦場での指示出しなどで音声が多いので、それを新武将で選べるというのはなんか楽しみ。
 あと無双奥義発動中の文字を選べたりとかもするので、なんとかモデル数の少なさを補いたいと思い
 ます。
 選べるモーションもどうやら全武将という訳では無く、三成モーションとかは選べないみたい。
 ただ私は今のところ蘭丸モーションで紅雀の丹を、武蔵モーションで古河小宵を作ってみたいなぁと
 いう欲望がもりもりと来たので、まぁ、なんとか。
 ちなみに紅雀の丹と河小宵は冬目景の黒鉄のキャラです。
 
 はい、そんな感じです。
 全体的に、味方武将との共闘感がかなり得られるみたいで、私はもともとそういう方が好きだったので、
 たぶんそれだけで買うことは動かないでしょう。いつになるかしれませんが。通販なんて知りません。
 なんか、書いてるうちにエンパやれない今の自分の状態を感じてモチベーション低下も甚だしいので、
 この辺りで筆を放り投げます。
 
 
 ◆
 
 (放り投げた筆を拾って)
 まったり本の夜。
 ということで今読んでる本のご報告だけでも。
 
 ・岩井志麻子「べっぴんじごく」
 ・酒見賢一「後宮小説」
 ・中村隆資「秋津洲物語」
 ・夢枕獏「陰陽師  瀧夜叉姫 下」
 
 やっぱり志麻子さんを読むと調子出る。
 以上。
 
 
 ◆
 
 はい、アニメのお話。
 まーあれだ。
 武装練金は反則だ。
 じゃ、いってみよう。
 
 地獄少女2:
 途中までは前回と同じでストーカーが追いかけてる女の子の敵を地獄に送る展開だったのに、しっかりと
 ああいう形でしめるとはさすがと思った。あんまし言うことありません感想で力尽きた。
 
 デスノート:
 いいね。主人公の徹底した思考が面白いです。どんどんいっちゃってください。
 
 ブラックラグーン2:
 次回以降が滅茶苦茶気になる感じの充実ぶりでした。姐さん怖い。
 
 レッドガーデン:
 むしろDVDのCMに笑い転げた。ちょなにやってんのwwしかも2種類あるしwww
 
 NANA:
 ハチが妊娠してナナが母性本能でノブがヘタレでタクミが強い。それだけじゃないけど敢えて。
 
 武装練金:
 前回蝶のマスクの変態が滅びたかと思ったらすぐに今回復活して当然のように変態で誰も止められなく
 止めたくもなくてしかもブラボーが口癖な変態が張り合うようにで出てきて辺りはすべて変態色に彩られ
 さりげなく斗貴子さん自己紹介のときの罵って下さいこの豚野郎という破壊技がありながらすっかり変態
 のコラボレーションによって影を薄められてしまったこのなんだかやりきれない感じが凄い。
 もはやパピヨン怖いもの無し。ツッコミ無効。よし、いけ。
 
 あさっての方向:
 綺麗なお話でした。ゆっくりと時間を過ごさせて頂きました。
 
 すもももももも:
 あのロリなツンデレっ子はもはやお兄ちゃん呼ばわりで通す気なのですねそうですね。
 
 僕等がいた:
 録画し忘れたので、再放送回を録画しまス。
 
 乙女はお姉さまに恋してる:
 なんだか内容がおぼろげですというか見てたときもぼーっとしていた記憶だけはなぜか鮮明にあります。
 
 あと最近2日に1話のペースで苺ましまろ見てます。伸恵おねぇちゃんのどうしようもなさを再確認中。
 
 
 
 やる気の低下も甚だしい今の私には変態を語る言葉だけがお似合いということですか。
 武装練金(というかパピヨン他1名)、きにいりました。
 蝶最高。
 
 おわり。
 
 
 
 
 追記:
 来る11月25日土曜日午後11時30分より、毎月恒例のチャット会を行いたいと思います。
 お暇な方は是非いらしてくださいませ。
 なにもありませんが、まぁまったりゆっくりと一緒に時間を過ごしませう。
 
 

 

-- 061117--                    

 

         

                              ■■ 地獄が空いている ■■

     
 
 
 
 
 『私は正義の味方じゃないわ。』
 

                         〜地獄少女 二籠 ・第六話・閻魔あいの言葉より〜

 
 
 
 
 
 
 
 
 遠く星々が咲く夜のうちに時が駆けていく。
 深々と静まっていくその時間の流れが体に張り付いていく。
 激しい息遣いと共に必死に治まっていく動悸だけが、今自分が此処から消えているを教えてくれる。
 影法師の如くゆらゆらと狭い部屋の中に浮かぶこの重い体が感じるのは、ただ腰掛けた椅子が軋む
 音だけだった。
 無為なる恨み言を諳んじて、ただ流れゆく時間の塊を見つめていた。
 部屋の中をかけずり廻る無音が、やがて穏やかな寝息を立て、終わっていく。
 それが、今日の終わり。
 昨日も、そうだった。
 一昨日も、その前も、その前の前も、今までずっと。
 その記憶としての実感を失い、ただ言葉として頭の裏側に張り付いていく日付の経過だけが、この夜の
 下の世界が動いていることを教えてくれる。
 俺は、その中に居る。
 いいや。
 俺は、その時間そのもの。
 流れ、流され、浮くことも沈むことも無く、ただずっと。
 流れ、流され、浮いていることも沈んでいることもわからないまま、ずっと。
 ずっと、その夜だけがあった。
 
 
 
  〜その夜の中に書き込む言葉を探すこと無く〜
 
 
 
 ぽっかりと穴の開いたような空席がひとつある教室の風景を思い浮かべながら、俺は保健室のベッドの
 中に居た。
 考えることはすべて教室での事ばかりで、ほとんど顔も知らないクラスメイト達で彩る授業風景を頭の
 中に巡らして、そしてやっぱりそのひとつだけ空いている席は埋まらないまま、その日の授業時間の終了
 と共に、その空想の息の根も止まる。
 ふぅ・・・・・・・
 俺だけが居ない教室。俺だけが居ない世界。
 それなのに、俺はずっとその教室を、その世界を見つめてる。
 どこに居ようとも、俺はその教室の風景を、俺が居るべき場所を見失った事は無い。
 そして、必ずその風景の中に、その場所の中に俺は居なかった。
 くっきりと輪郭が他のクラスメイト達の息遣いに彩られた、その灰色の空席。
 あそこに座るべきは俺なのに、という意識を実感することはしかし永劫無く、その席はただ無責任に
 ぽっかりとその無を晒していた。
 俺は、あの教室の中に居るべきなのに、俺の座れる席は無かったんだ。
 だったら普通、空席など無いはずなのに。
 それならいっそ、俺だって諦められたのに・・・・・・・
 だが、その席は確かにどうしようも無く空いていた。
 あそこに収まるべきはお前だと。
 あの空間こそお前の存在だと。
 それは延々と俺に語り続けている。
 耳を塞ぐことも、塞ぎたいとも思ってはいなかった。
 俺は、俺は、あそこに居なきゃいけないんだ。
 俺は、俺は、自分の存在が占めるべき空間を放置している、無責任なことをしているんだ。
 だから、俺はあの教室に戻らなくてはいけない。
 だから俺は・・・・・こうして学校を休まずに、保健室登校はしっかりとしているんだ。
 いつかきっと、いつか必ず、あの席に、あの教室に戻るために・・・・・
 
 だから俺は保健室に居ていいのだとうっすらと微笑む俺を殺して、今日も空席を埋めずに居た。
 
 
 
 ◆
 
 大人はみんな馬鹿ばっかりだ。
 保険医はこんな事してていいの、なんて平気で訊いてくるし、担任は保健室登校が認められてて良かっ
 たなとか普通に言うし、お袋はただ腫れ物に触るようにその場凌ぎな優しさばかりみせるだけだし、親父は
 そもそも自分の描いた息子像から離れてしまった俺からただ離れていくだけだったし。
 こいつらに共通してるのは、誰も俺をこの地獄から救ってくれようとはしてないってことだ。
 どいつもこいつも、誰一人としてどうして俺がこうなってしまったのかを考えようとも理解しようともしてなかっ
 たし、それ以上になんとかしようとは思っていなかった。
 俺がどんなに必死になって普通に登校しようとしても駄目で、それでもなんとか諦めないで、ギリギリ
 保健室にはいけるようになって、そうしてひとり戦っている間に誰ひとり俺の側に立って一緒に戦ってくれ
 る人はいなかったんだ。
 誰も俺の苦しみをわかってくれないのは、まだいいよ。
 俺だってもうガキじゃないんだ、そんなことまで望んでないよ。
 だけど、俺が苦しい状況にいながらも、それでも決して諦めずに頑張っているのに、その努力を一切
 認めてくれないのは、堪らなく辛かった。
 なんのために俺それでも頑張って生きてるんだろうって、もう何度も何度もわからなくなったよ・・・
 保健室登校をいつまでもしてていい訳無いだろ、でもここまで来るだけで俺は一杯一杯なんだよ先生。
 でもだからって教室に行くのを諦めた訳じゃないのに、まだこれからも頑張ろうってそれでも必死に思って
 るに、それなのにあんな事言って・・・・どうしようも無いって答えるしか無いじゃないか。
 保健室登校が認められてて良かったって?先生。
 そんな事思ってるの、先生だけだよ。
 少なくとも俺は、保健室に居る事は辛くて辛くて堪らないことだよ。
 保健室に辿り着くまでだって大変だったけど、けどそれよりも教室にまでは行けてないことが辛くて辛くて
 堪らないよ。
 お袋・・・悩み事があるんなら言ってごらんてね・・・悩み事あるのが見てわからないのか? そして俺がそ
 れにずっと苦しめられているのがわからないのか? どうして自分でそれをどうにかして助けてあげようとし
 ない訳? 俺がなにも答えないのは答えられないからさ。答えればお袋はその答えを得られたことに安心
 してそれ以上なにもしないでいい正当性を得るだけだろ。なんで俺がそんな自分から助けられる道をひ
 とつ閉ざさなきゃいけないんだよ。
 親父には・・・最初から言うことなんて無いよ。
 あの人はたとえ俺の話を聞いて理解したとして、それが親父の考える人間の生き方に沿わなければ無視
 して自分の考えを押しつけるだけなんだろうから。
 みんなみんな、馬鹿ばっかりだ。
 というか、本気で俺のこと助ける気なんて無いんだろうな。
 そういう意味でなら、みんなそれぞれ賢いんだろうな。
 そうやって表向きは助ける顔してるから、正々堂々と俺を見捨てることをできるのだから。
 それが、偽善者ってやつなのかな。
 自己批判以外でこの言葉を頭に思い浮かべたの、初めてだな。
 あーあ、なんか俺の中のなにかが完全に死んじゃったみたいだ。
 
 だから俺はたぶん、ひとりなんだ。 
 その事に気付くことを、自覚することを、俺はしてなかっただけなんだ。
 
 
 
 ++ 孤独と力強さと、正義と名誉と、男と美と、死と --
 
 
 
 
 切り取られた日差しの中に佇む一握の光。
 見上げた空に架かる雲の橋へと続くその光の筋の先端を掴んでいた。
 ゆるゆるゆる。
 風が音を出してだらしなくのびている。
 地を這う時間に足を取られて、その風はすべて等しく躓いた。
 それを眺めるとも無く眺めているこの瞳に映るその光は、ただこの瞳をどこまでも連れて行ってくれた。
 あの、教室の空席以外の、場所のすべてに。
 新田紀和子、という。
 俺が居るべき教室で、同じ空気を吸うはずだったクラスメイト。
 いつからか俺は、彼女の写真を撮り、彼女のあとをつけ回し、そして彼女の写真に魅入っていた。
 俺だけの、写真。
 俺の可能性の籠もった、それでも決して触ることの出来ない冷たい光。
 眺めているだけでよかった。
 写真に収めるだけでよかった。
 彼女の写真を見て、心休まるだとか、激しい想いに駆られるだとか、ましてや彼女にもっと近付きたいだ
 とか、そんな事は思ったことは無かった。
 無論恋愛感情も性欲も無かった。
 彼女は、俺のことを笑わなかった。
 彼女だけが、俺にまともに接してくれた。
 よくもわるくも、彼女は俺の絶対の他人でいてくれた。
 俺の事を笑うことも無ければ、俺の事を特別に気遣ってくれることも無かった。
 驚きだった。そしてなによりも、新鮮だった。
 俺は、彼女に助けを求めたりはしなかった。
 いや、それは絶対にあり得ないことだった。
 だって彼女は、俺のこと、普通の人間として扱ってくれたんだから。
 たぶん初めて、あのとき俺は俺を感じた。
 ああ・・・・彼女には、彼女にだけは無様な俺をみせられない・・・と・・
 俺はそのとき確かに、あの教室の空席を埋めている、笑顔の俺の姿を感じたんだ。
 
 頑張れると、これからずっともっともっと懸命に頑張れると、感じることができたんだ。
 
 
 そして。
 
 
 それを嘲笑う俺が、俺の体に彼女を追わせていた。
 醜い、汚い、情けない、みっともない、キモい、その侮蔑のすべてを以て、俺は彼女の姿を求めていた。
 教室の隅に残されたたったひとつの空席が、僅かに歪み始めていた。
 嗚呼・・・・あれは・・・・・・
 
 あれは・・・きっと・・・・・口の端が・・・・つり上がり始めて・・・・・・・・・・嗤って・・・・・・・
 
 
 
 
 ◆◆
 
 『知り合っても彼女は俺の事嫌いになるかもしれないし、俺も彼女の事嫌いになるかもしれないし、
  とにかくもう、そういうのが嫌なんですよ。だから見てるだけでいいんです。』
 
 『俺なんて、その程度のもんですよ。』
 
 
 だからね、先生。
 俺はそうやって、結局この保健室に居たいんでしょうよ。
 なんだかんだ言ったって、どんなに頑張ろうって意志を強めたって、この俺の体は重く沈んでいってしまう
 だけなんですよ。
 俺のいうことなんて全然聞かなくて、そうやってずっと無意味な自分との戦いを繰り広げて、そしてそれを
 続けているうちに、その戦いに興じてる事自体が一番ラクなんだって。
 それもきっと、この俺の体の望むところなんでしょうね。
 そして俺は、俺の心は必ずそれに反発するしか無いんです。
 俺ね、今のままの自分でいい、自分に素直になればいいんだよ、って言う奴が一番嫌いなんです。
 自分を愛せっていうけれど、もし俺が俺のこと愛してそのままでいいんなら、俺は醜くて汚くて情けない、
 ほんとうに怠け者で無力な最低の人間のままなんですよ。
 それでもいいじゃない、それがあなたなんだから、とかいう奴ほど、カッコ良かったり綺麗だったり品行方正
 な奴だったりするんですよね。
 俺は、カッコイイ人間になっちゃいけないんですかね?
 俺は、ずっと情けない弱い人間でいろって事なんですかね?
 そんなに、自分を愛するって事は大事なことなんですか?
 それって、本当は最初から自分を愛せてる人が自分のその行為を自画自賛するだけのことなんじゃ
 無いですか?
 わかってないんですよね、その人らは。
 惨めで情けない人間が、どれだけそれを直したいと真剣に考えているかってことを。
 しかも、そうして自分が惨めで情けない人間でいるのは、すべて自分のせいで自分の努力が足りないか
 らだということを、強く自覚しているからということも、全然わかってないんです。
 こんな情けない人間で居るのは、全部俺のせいなんです。
 俺はまだ努力が足りなくて、もしかしたらあとほんのちょっとで届く距離にそのカッコいい自分が居るのか
 もしれないんです。
 だから俺・・・・・・ほんとは・・・・・・・・誰かに助けて貰ってでも、その距離を縮めたかったんです・・・・・・
 でも・・・俺の周りには、助けてはくれない人と、そしておまえはおまえらしくそのままで生きろという奴しか
 居なかったんです・・・・・
 あなたがそういう人間であるのはあなたのせいじゃない、あなたの努力が足りないせいじゃない、だから
 あなたは今のあなたを愛していい、今のあなたを生きればいいとか、そういう絶望的なことを言う人しか。
 俺から・・・・・俺から可能性を奪わないで欲しい!
 俺はまだ・・・・なにもしてない・・・・・・・・・なにもできてない・・・・!!
 
 だからね、先生。
 俺は、男としてはカッコ悪いけど、本当なら頼めた筋合いじゃないんでしょうけど、誰かに助けて欲しかった
 んです。
 今の俺を認めてくれるのでは無く、ただ俺が一人前になれるような手助けを。
 俺は、ちゃんとした人間になることを諦めたことなんて一度も無い。
 なのに、俺は俺ひとりの力では、どうしても、どうしても・・・教室の空席を埋めることができないんです!
 だからただひたすら願っていたんです。
 誰か・・・助けてくれ・・・・・恥を忍んで頼む・・・・・・・俺の背を押してくれ・・・・・・と
 決して、決して、その俺を抱き締めたりなんて、しないでくれ・・・・・・と
 いつでも俺は、自分自身を愛し抱き締めて、そしてそこにずっと立ち止まり沈んでいこうとしてしまうのだ
 から。
 先生。
 それを願うのは、いけないことなんですか?
 俺はやっぱり、あの教室には行けないんですか?
 俺はずっとこうして、醜い自分のまま、自分の限界である保健室までの道のりを歩いていればいいんで
 すか?
 そんなのって・・・・・・・
 
 だったら俺、潔く、死にます。
 頑張って生きている、意味が無いですから。
 いりませんよ。
 生きていればきっといいことがあるなんて言葉。
 その言葉は、先生みたいな人たちにしか意味が無い言葉でしょ。
 
 
 
 そして予想通り、というかもはや予定通り、俺は死ぬことなんてできなかった。
 死のうという気さえ、もはや起きなかった。
 死ぬ意味すら、俺は失っていたのだから。
 
 
 
 ◆◆◆
 
 夕闇と共にあり、夕闇のうちに溶け、夕闇であるところの夕闇として。
 薄く開いた瞼の重量だけを感じて、寝ることも起きることも無くただ歩いている。
 新田さんには彼氏がいる。
 その事実が呆然と俺を照らしている。
 死が終わった俺の元に残ったのは、ただ当たり前のその事実だけだった。
 ただ俺は、彼氏と楽しく話している新田さんを影から眺めてただ歯がみしているストーカーで居た。
 それは違かったはずなのに、彼氏がいようといまいとそんなことは関係無かったはずなのに、すべてが
 終わった後に、ただ新田さんの姿の中に残ったのはそれだった。
 別に新田さんに惚れている訳でも無いのに。
 そしてようやく気付いた。
 ああ、そうか、俺、新田さんの彼氏に嫉妬している自分の感情に溶けたんだ・・
 俺はもはや俺で無く、ただ新田さんの彼氏に嫉妬するということそのものでしか無くなっていたんだ。
 おもしろいな。
 もう、なんにも思わないよ。
 
 ふとしたことで、新田さんの身に危険が迫っていることを知った。
 彼氏が後輩に新田さんを売ろうとしていた。
 新田さんが、ひどい目に、騙されようとしていると思った瞬間、俺のその背景である彼氏への嫉妬は影を
 潜め、そして残った俺の体は激しく凍り付き固まり、そして同時にその形を得ていった。
 今、俺は。
 俺が頑張らなくてはいけない理由を、また得ていたんだ。
 新田さんの危機を知るものは、彼氏達と俺しかいないのだから。
 煮えた。
 体の中のすべての血液が沸いている。
 その究極に閉じた世界に無限の恐怖を感じていながら、その中から圧倒的に突き抜けていく使命感と
 責任感が、俺が頭の中に描くすべての言葉に生命を与えていった。
 彼女を、救わなくては。
 そのとき俺は、確かに俺を失っていた。
 自分のことなど、なにひとつ考えていなかった。
 ただ新田さんを、ただただ新田さんを守らなければいけないと、彼女のためにと。
 今思えば、その他者への献身という名の自己の喪失が、俺の存在を確かに際立たせたんだろうと思う。
 彼女のためになら、俺は死ねる。
 彼女のために死ねない俺に、価値なんてない。
 というかそんなこと全然関係なくて、ただ彼女を守りたくて仕方がない。
 
 そして、地獄少女が、顕れた。
 
 
 ++ その空いた席に座るものは
 
 
 彼女を守らなくちゃいけないんだ彼女を守らなくちゃいけないんだだからあの男を地獄におとさなくちゃ
 いけないんだでも俺はこんな無力な人間だからなにもできないからだから君に頼みたいんだあいつを
 地獄に落としてくれ俺の命が必要なら使ってくれよ俺も地獄に堕ちるのならそれでもいいよ俺なんてどう
 せもう生きていても意味が無いんだからだから依頼を受けて欲しいんだ彼女は騙されてるんだこのまま
 じゃひどい目に彼女はいい人なんだ俺なんかと違ってだから彼女を守るためにあの男を地獄に落として
 くれよ頼むよなぁ頼むよなぁ
 
 地獄少女は、ただまっすぐと俺を見て、俺の頼みを断った。
 
 
 『どうせ俺にはなんもできねぇよ。』
 
 
 教室に空いた一握の空白が嗤っている。
 『俺なんかが行っても、彼女に迷惑だろうし。』
 嗤う。嗤う。教室中が震えている。
 ベッドの中の暖かい闇から見つめた教室は、ただ無惨に嗤い崩れていった。
 俺にはなんにもできないから。
 今の俺じゃ、どうすることもできないから。
 俺だって、もっともっと頑張れば、彼女を守ることができたかもしれないけど。
 でも、今の俺は、今の俺はまだ、彼女を守れる存在にはほど遠くて・・・・・
 だから地獄少女に頼んだのに。
 晴らせぬ怨みを晴らしてくれるんじゃなかったのかよ。
 俺は・・・・俺は・・・・・閻魔あいの力を借りてでも、新田さんを守りたかったのに・・・・・・
 
 そして、気付いたら、俺は無言で嗤っていた。
 
 
 
 
 ◆◆◆◆
 
 保健室のベッドがふたつ。
 並んで蹲る、俺と新田さん。
 新田さんは地獄少女に会い、そして依頼が受諾され、契約が成立したと言った。
 隣に寝ている彼女の光が、消えていた。
 『落ち着くね、保健室。』
 そしてあまつさえ、彼女は自分も保健室登校始めようかなと言った。
 絶句、する勇気が俺には無かった。
 必死に、彼女の言葉を否定することしか、俺にはできなかった。
 俺にとっての保健室の意味しか、俺は考えることができなかった。
 彼女にとっての保健室の意味を、俺は考えることができなかった。
 ただただ、縷々と保健室での生活の無意味さを言うしか無かった。
 俺にとってこの保健室は決して安住の地では無かった。
 ここはあくまで、教室に通うための、足がかりにしか過ぎなかった。
 俺には、可能性があったから。教室のあの席は確かにずっと空いていたから。
 でも今の俺にはそこに到達する力が無かったから、だからどうしようも無くこの地獄の保健室登校に
 しがみつくことしかできなかったんだ。
 でも、彼女は、違った。
 
 彼女は、終わってたんだ。
 
 彼女は、奪われたんだ。
 自分の席を奪われて、無理矢理空席にさせられてしまったんだ。
 新田さんは、地獄少女との契約を成立させて、そして地獄に自分も堕ちることが確定していた。
 それを実感したとき、ようやく俺は、絶句することができた。
 彼女にとって、保健室という地獄が真の安息の地になってしまったんだ。
 俺と新田さんは、共に保健室にいる。
 教室に行きたくて居る俺と、教室から出ていきたくて居る新田さん。
 彼女は、これ以上良くなるという可能性が無い、ただ必死に堕ちないように踏みとどまり、そしてそうして
 いることしかできない今の自分のことを、無理矢理にでも愛していくしか無いんだ。
 言える言葉など、俺が語れる言葉など、無い。
 彼女にとって、最も輝かしくて美しい自分の未来は地獄であるという事実が、すべての励ましの言葉を
 無効にしてしまうのだから。
 彼女はその求めたはずの美しい自分を、捨てねばいけないのだから。
 どんなに努力しても、そこまでの距離がわからないという自由を得ているゆえに、いつまでもそれを求め
 続けることのできる俺の可能性という名の希望。
 どんなに努力しても、そこまでの距離はその先に絶対になにも無いということが確定しているゆえにゼロ
 であるということで、なにかを求めることの喪失という名の彼女の絶望。
 
 許せ、なかった。
 
 なんかもう、駄目だった。
 世界がぐるぐると回りだしたこともわからなかった。
 もう駄目だ。
 いやもうってなんだよ、最初っから駄目だろ。
 全然わからない。
 いやわからないんじゃなくて、わからないんじゃなくてこれは、怒りだ。
 激しい怒りと絶望との一体感。
 ああ、ああ、ああ、ああ。
 俺も、新田さんも、あの男も、ああ、ああ、どうなってるんだ・・・・・
 いや。
 わからないことが、まったくありえない。
 
 
 嗚呼・・・・・・・・憎い・・・・・・・・・・
 
 
 あの男は新田さんの怨みで地獄に堕ちた。
 ならば俺は、もう一人の後輩の方を地獄に堕としてやる。
 
 『彼女だけが俺のこと笑わなかったんだ・・・彼女だけが俺をまともに扱ってくれたんだ・・・彼女だけが。』
 
 俺の中で死んだなにかの骸を踏み潰す。
 怨み、骨髄に達した。
 地獄少女が顕れた。
 俺にはもう、この間地獄少女に依頼を断られた理由がわかっていた。
 あのとき俺は、俺だった。
 怨みに、なってなかった。
 俺のために、ただ怨みを使った。
 地獄少女は、晴らせぬ怨みだけを晴らしてくれる。
 晴らせぬ怨みとは、俺自身が怨みになってしまうというものだったんだ。
 俺を晴らすことなど、できないのだから。
 そしてだから、地獄少女は、その俺となった怨み、怨みとなった俺を晴らしてくれる。
 新田さんはだから晴らされて、そして大事な美しい自分の可能性を失ってしまったんだ。
 俺は今、怨みになっている。
 俺も地獄に堕ちてもいいというので無く、相手を地獄に堕とすことしか頭に無い。
 だから、地獄少女は再びやってきた。
 だが。
 俺は彼女に頼まなかった。
 そのときの俺にとっての、相手が。
 地獄に堕としたいと思っていた相手が。
 
 
 俺、だったから。
 
 
 自分のこの手で相手を殺す感触を掴んで、それで俺自身を地獄に堕としたい。
 憎い、憎い、俺を、殺したい。
 だから地獄少女にその感触を任せる訳にはいかない。
 俺があいつを殺し、その罪を重さと押し寄せてくる世界の完全崩壊によって、俺を滅ぼしたい。
 もはや俺の中の何処にも、それで感じる安息と快楽は無かった。
 安息と快楽のために、その怠惰な罰を得るつもりは全く無かった。
 ただただ、俺が、憎かった。
 彼女を、守ることのできなかった俺が。
 彼女の可能性を、奪ってしまった俺のことが。
 
 そして。
 
 
 
 そんな俺しか今まで育てることができなかった、俺が、憎かった。
 
 
 
 ぽっかりと、保健室のベッドがふたつ空いた。
 
 
 
 
 
 
 
 
 もうなにも、嗤ってはいなかった。
 
 
 
 
 
 
                                ◆ 『』内文章、アニメ「地獄少女」より引用 ◆
 
 
 

 

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                                    ■■ 雪×町 ■■

     
 
 
 
 
 久しぶりに戻ってきたのにあんまりだ。俺の国を戦場にしないで欲しい。 (挨拶)
 
 改めまして、こんばんわ。
 はい、ブララグ2第7話見ました。
 これはまた、なんとも。
 なんとも、良いものをみせてくれました。
 これは思っていた以上に面白いことになりそうですね。
 
 ロックが自らの故郷日本に「帰ってきた」お話ですけれど。
 それは一見まるで名ばかりであって、ロックはただバラライカの姉御に通訳として雇われてきただけ。
 姉御は日本のヤクザの抗争に肩入れして、東京にロシアンマフィアの拠点を確保するのが目的で、
 ロック的にはまるっきり仕事だけのお話。
 要は、日本に出張に来ただけ、という感じ。
 姉御はもう久方ぶりに戦闘が目的の鉄火場とあって、張り切る必要も無く全開で、さっそくにんまりと
 怖い笑顔を示しまくっていたりしていて、まったくもうなんて人なんだというツッコミというか溜息というか、
 そういう辺りでもう無力な感じに見ているしか無い傍らで、ロックは淡々と通訳としての仕事をこなす。
 けれど。
 いつもの仕事と大差無いはずなのに、それでもやはりロックの表情には違うものが感じられました。
 此処は、日本。
 その意識がロックを確かに包んでいるのが窺えました。
 辺りを見回せば、懐かしいような当たり前のような、まるでずっとこの中に居てロアナプラでの生活など
 無かったような幻想に捕らわれてしまうような風景ばかりで、その幻想と一瞬たりとも向き合わずにはいら
 れない、そういう静かで延々と続くが緊張が、そのロックの浮かない笑顔に滲み出ている。
 けれども、それでもロックはロック。ロックは今のロックでしかない。
 その幻想の世界の中で話す相手は、絶対に昔自分が平和に暮らしていたときには接することの無い
 ヤクザであり、会話の内容は聞くに堪えない抗争の事について。
 ロックを包む柔らかな光の中で、ただロックは自分の足下にある闇だけを感じていく。
 ロックにとって日本は、もはや思い出の中の優しくも甘い故郷ですらも無く、ただ無条件に「今のロック」
 によって伐り拓かれていく見知らぬ土地になっていくだけなのでした。
 作中でロックは闇の力について言及したりしていますが、つまりそうして今のロックの背景を含むロック自身
 によって、日本という居づらくも明るい光に満ちた場所は、住み慣れた闇へと変わっていくのです。
 だから、ロックのこの帰郷は、ただたんに見知らぬ土地に来たというだけでは無く、その見知った土地が
 見知らぬ土地へと変わっていく過程そのものを肌で感じていく、というものになっているのですね。
 そしてその見知らぬ土地を踏破したとき、そこはもはや住み慣れた「闇」になるのです。
 それはロックの故郷の喪失でもあり、またすべての場所がロックにとっての故郷となるということでもあり
 ます。
 今のロックが居る場所が、すべて住み慣れた故郷。
 それは思い出の中の故郷も、現実の故郷も、一緒。
 
 そんなロックの横と裏で正々堂々と戦争の歓喜を愉しんでいる姉御の存在の力が、いやがおうでも
 ロックを引きずっていくのでしょう。
 つか姐さん、日本で爆破とかマシンガン連射とか、いくらなんでも・・・・・いえなんでもありません。
 立ち塞がるすべてを殲滅するとか真顔よりも本気さが窺える笑顔で言える人にはもうなにも言えません。
 どうぞご存分にお楽しみあれ。
 で、はい。
 話が逸れました。
 だってほんとにバラライカの姉御楽しそうなんだもんいいじゃない少しくらいお裾分けして貰ったってさぁ。
 はい。戻します。
 そんなおバカロックに喝を入れたいような自分で気付けバカと殴り倒してきそうな寸前なレヴィさん。
 そのレヴィさんでみてみました。
 レヴィさん的に、日本はどう映ったのか。
 レヴィさん的には平和で退屈で窮屈な日本という国そのものにそれ以上の感覚を持ち得ないほどに
 どうでも良いのでしょうけれど、しかしここが相棒であるロックの故郷とあっては話が別。
 そもそもレヴィさん的にはロックが行かなきゃ、日本なんてロアナプラが核の直撃受けたって行きやしない
 でしょうしね。だって銃撃てないし。警察には賄賂きかないし。やってらんねぇ。
 案の定、生温い日本のヤクザの度肝を抜いてみせた姉御に拍手喝采状態で、てんでマイペースを
 崩す気はありません。姉御、上機嫌だったぜぇ by上機嫌なレヴィねえさん
 どうかしてるよ・・byロック
 そうしてレヴィさん的に日本をすっかり破壊してみせながら、それでいてそれがすっかり日本に来て浮かれ
 ている自分をロックにみせているのに気付いていません。
 目新しいものを自分の親しんだモノに代えてみせるお茶目な侮辱を以て、その非日常な時間を愉しん
 でいく。
 それで自体はすっかり日本の雰囲気の中にある愉しみであって、だからレヴィさん的にしっかりと日本の
 光を踏んでいるから、そこにレヴィさんの闇の居場所は無いのです。
 日常としての闇と非日常としての光、日本に来たということ自体が、レヴィさんにとっては普段とは違う気
 分になれる祭そのものなのです。
 此処はレヴィさんの故郷では無い。
 それが、たとえレヴィさんが血と闇にまみれたレヴィさんであろうとも、それでもこうして明るくそこから脱却
 して遊ぶことができるということに導くのです。
 あのレヴィさんのはしゃぎっぷりは、ロアナプラでのそれとは違う。
 ここは、レヴィさんが銃を撃ったり人を殺したりする可能性を無限に抱え込みながらも、それ無しでも
 ちゃんと愉しむことができる、まったく見知らぬ非日常な場所。
 自分が今いる場所の連続が日常といえるなら、非日常というのは存在しないことになってしまう。
 つまりそれは、非日常だろうが日常だろうが、必ずそこに居るのは今の自分だということなのです。
 レヴィはそれを、自分も知らないうちにロックに示していました。
 おまえはおまえ、だったら故郷だって、無くなったりはしねぇよ。
 家族がいるのなら、親がいるのなら、いつだってそこが故郷じゃねぇか。
 レヴィさん的には日本なんてむかついて住み得ない場所なのだとしても、それとそこで楽しめるか楽しめ
 ないかというのは別のお話なのでしょう。
 さらにロックが隣に居るとなれば尚更のことです。
 
 レヴィさんは、そうして愉しみながらも、その足下にある闇から感じる冷たさをも感じています。
 ロックにとって、この国この場所は一体なんなのか。
 そりゃふるさとだろ。
 レヴィさんのふるさとは、東京よりも冷たい雪の降るニューヨーク。
 そこで生まれ落ち、そしてそこで育ち、そこから出てきた。
 親も家族も無く、物を盗み人を殺し、手が後ろに回ることを無限に繰り返してきたあの町。
 スタートからして、胸を張って帰ることもまた抱き留めて貰える可能性も無いふるさとしか無かったレヴィ。
 それはもはやレヴィさんとしての帰る場所としてのふるさとでは無いのです。
 しかしロックには家族がいて親がいて、そして前科も無いままで帰れる場所がある。
 私には帰る場所はねぇけど、おまえにはあるのによ。
 レヴィさんは決して自分にも帰れるふるさとが欲しかったとは言わないので、その代わりにロックには帰れと
 言いたくて堪らない。
 おまえはさっさと帰れる場所に帰れってんだ。あたしの前をうろちょろすんな。気が滅入る。
 レヴィさん的には、だからロックにはさっさと日本に帰って目の前から消えて欲しいのでしょう。
 でも、レヴィさんは言えないんです。
 『誤解しないでくれ。顔くらいは見てこいって、そんだけの話さ』。
 そこまでしか言えないんですね。
 自分が失った過去としてのふるさとを求めているのが、嫌だったから。
 そして過去を求めることを必死に否定しなければいけない事に感じる哀しさを、堪らなくぶん殴って
 やりたいから。
 あたしは結局あたしの代わりにロックを里帰りさせてぇだけなんだろうさ。
 それを横で眺めて長い溜息を吐き続けることくらいしか、やることが思い浮かばないんだろうさ。
 つまらねぇ。ああ、つまんねぇな、くそったれが。
 レヴィさんの静かで溜息まじりな怒りがみえました。
 そして、だからレヴィさんは改めて今の自分に集中します。
 『ふっ・・・まともとはいえないな。おまえ達とつるんでるのがなによりの証拠だ。』
 ・・・・おーけい、相棒、楽しくいこうや。
 ロックのこの言葉は、まともでは無いというレヴィさんの故郷の喪失を明確にし、そしてかつそんな事と関
 係無しにロックはレヴィさん達と同じところに立っているということでもあります。
 ロックがレヴィさんを、レヴィさんと同じ闇の上に立ちたいと、そこにこそ帰りたいと言ってくれたのです。
 ああ・・そうさ・・・あたいは物を盗み人を殺し、手が後ろに回ることを無限に繰り返してきた屑の中の屑
 だけどな、それでもな・・・・生きてんだよな・・・・
 生きてこうして・・・・おまえらと楽しんでいられる・・・・
 レヴィさんの憂いを含む笑顔が、それでもはっきりと前を向いていくのが見えました。
 
 そしていよいよ新キャラの銀さんとお嬢登場。
 お祭で調子に乗りすぎて何時通り沸点にお早いご到着をなさったレヴィ姐さんが、玩具の鉄砲片手に
 暴れまくるも、そこで銀さん登場。
 得物持たずの睨み合いもロックとお嬢の共同作業により、無事不完全燃焼。ふぅ。
 ロアナプラでだったら、200%発砲流血沙汰(人死にあり)なギリギリを3歩くらい踏み越えたラインでした
 けれど、レヴィさん的には沸点のてっぺんでそれでもなんとか収めてしまいます。
 これが日本の平和力というものさ!
 冗談はおいといて、レヴィさんはこのロックの故郷の中で出会った同じ血と臓物の匂いのする銀さんと
 出会っても、こうしてやり過ごすことができるのです。
 隣から聞こえてくるロックとお嬢の平和ボケ満載な話し声に悪態をついて、その舌の裏で銀さんに殺意
 満載の挑発をかまして、それでもレヴィさんはロアナプラでの大暴れと同等以上の楽しみを味わうことが
 できるのですね。
 もっとも銀さんが抜いたら、レヴィさんも速攻で乗ったでしょうけれど。知らなかったことにしておきましょう。
 あと、まだ全開中の姉御とかも見なかったことに、ええ。それはそれで。
 ごめん、新キャラの影が・・・・・・姉御・・・・・強すぎ・・・
 
 話は戻り、ロックアンドレヴィ。
 『なんで帰んねぇんだよこいつは。ここはこんなにお似合いの場所だって言うのによ。ったく、こいつはよ。』
 家族に顔見せてくるといって、レヴィと一時別れたロック。
 それをレヴィさんは、コーヒーを飲み終わるまでしか待たないと言う。
 そしたら行くからなと、レヴィさんはいうのです。
 もしあいつがほんとにこっち側の人間ならばすぐに帰ってくる・・・そして当然のようにあちら側の人間なら
 ば、わかっていた通りにあたいは綺麗に去っていくだけさ・・・・
 レヴィさんの、甘えが見て取れます。
 ロックは絶対戻ってくると思っているくせに、それなのにロックを本来在るべき場所に戻し、自分はひとり
 寂しく悲しく絶望に彩られた孤独の世界に帰るという憂鬱に浸ろうとするレヴィさん。
 ロックは案の定すぐに戻ってきて、誰も家に居なかったとバレ過ぎな大嘘を付いて、レヴィさんはそれを
 ふっと一笑に付しながらも、それでもまだ日本での滞在日数はあると言ってしまいます。
 なんでだよ・・・なんで帰んねぇんだよ・・・・
 レヴィさんはもう薄々わかっているのでしょう。
 自分がロックが帰ることを願えば願うほど、その願いが強固になるほど、ロックを求める自分の願いの
 価値が高まっていくことを。
 まるで徹底した反駁に耐え抜いた完璧な論理の美しさのように、それはレヴィさんの中にはある。
 もしこれだけ帰れと言い帰れと願い、それでも本当にロックが帰らなかったのならば、初めてこいつは真に
 あたいらの仲間になる・・・・・・・
 けれど、レヴィさんがロックに求めていたのは、ただの仲間としての存在では無い。
 レヴィさんは、それでも汚れの無いふるさとを持ち、それに帰りそこから綺麗事を吐ける可能性を持って
 いる、そんなロックをこそ求めているのです。
 そしてさらに、そのロックが、その自分達には眩しくて辛くて絶望をもよおしかねない存在が、自分達の
 側に居てくれたとしたら。
 だからロックには、絶対的にふるさとに帰って貰わねばならないのです。
 故郷に帰ることのできないロックに用は無く、またレヴィさん達の中にその居場所は無い。
 地獄のような現実の中で、それでも理想を唱えてくれる、いやその理想は確かのその地獄のような現実
 を踏まえて唱えられる理想であることの、その狂おしいまで切実感。
 ロックには故郷に帰って貰うのと同時に、ロアナプラにも帰ってきて欲しい。
 あたいらの中に、幸福なふるさと持っている奴がいるのは、それを持っていないあたいらの虚しさを増大
 させ、綺麗事ばかり抜かす奴の言葉は、あたいらを傷つけてばかりだが、それでもあたいらは、心のどこか
 で、それを求めて、いや求めなくてはいけないと思ってるんだろうよ。
 そんなもの糞食らえと、でかい声でムキになって叫ぶたびに、そう思うんだよロック。
 私はレヴィさんの姿を見て、そういうことを考えていました。
 
 
 とまぁ、そんな感じで御座いました。
 次回以降にガンガン期待持てますし、そしてたぶんそれ以上のものが与えられ、そしてそこからさらに
 それを越えるものを作り出せそうで、今から限界目一杯で楽しみにしております。
 まー、次回以降は平和立国日本が地獄絵図の大戦場になるのでしょうけれど、その中でロックとレヴィ
 がどういう表情と言葉を見せてくれるのか注目してますです。
 あと、バラライカの姉御の凄まじきはっちゃけっぷりにも。さぁて、あと何回笑うのかな。
 それと今回面白かった点を最後につらつらと。
 レヴィさんは英語になったり日本語になったり、色々忙しかったですね。
 一応レヴィさんは全部英語を喋ってるんですけど、ロックとは言葉が通じている(英語で)ということで
 日本語になってましたけど、たとえば銀さんと場面とか、あと子供達と遊んでる場面の後半とか、その辺り
 も言葉が通じていることになって日本語になっていましたね。
 そこらへんの使い分けが絶妙でした。
 というより、それ自体が色々な効果をもたらしていたというか。
 レヴィさんが祭で暴れてたときは全編英語でしたけど、おもいっきりガイジンの訳わかんない凶暴女が
 暴れてるって感じが、それまでのロックとの日本語(実際は英語で)とのやりとりとの対比でよくでてました
 し。
 やはり直接の会話が必要な場面では、こうして言葉が通じてることにこれからもするのでしょうね。
 リアリティに欠けるといえば欠けますが、まぁこっちの方が余計なものが無くてよし。
 逆に上記のような対比があって、演出としての効果も面白いですしね。
 そういえばロックとお嬢のベタな会話も日本語なはずなのに、隣のレヴィさんちゃんと理解して悪態ついて
 たんですよね。
 あと、今回のベストシーンはレヴィさんが死んだ真似したシーン。
 レヴィさんにとって死ほど恐ろしいものは無いけれど、しかしそれに自ら足を踏み入れ続けることで、さらっ
 と流すことができている。
 けれどその流しはその表面にしか過ぎず、絶対的にレヴィさんの中ではなにかが堕ちてしまってもいる。
 切った張ったの修羅場に生きるレヴィさんは、日常としての死に隣接し続けることで、その本質的な死
 そのものに対する恐怖の上にいることをなんとか誤魔化すことができている。
 そしてそれはつまり、そうした日常では無い場に於いては、剥き出しで感じられてしまうということ。
 隣接する死、にでは無く、死んだ真似をすることの中に死をどうしようも無く感じるレヴィ。
 それが根底として在り続ける、日常でも非日常という世界に依存できない、ただここに今居る自分の
 すべて。
 『へっ。死ぬときはいつもこんなもんだ。』
 
 ということで、今回はこの辺り。
 では、また来週。
 あ、今回のMVPは、無論、バラライカの姉御とやる気満々な仲間達です。
 勝てません。ていうか死ぬ。
 
 
 
 
 
                           ◆ 『』内文章、アニメ「BLACK LAGOON」より引用 ◆
 
 

 

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                             ■■紅い園への招待状 T■■

     
 
 
 
 
 秋も深まり、早くも冬の足音が遠くに感じられてくるほどの寒さを感じ始める今日この頃、
 皆様如何お過ごしでしょうか。
 ごきげんよう、紅い瞳です。
 
 という感じで、本日もお送り致します。
 さて、ではまずブララグについてのお話を。
 ようやくコメディな偽札編が終了して、次回から日本編ということで、またなにかこうずっしりと響いてくる
 ようなものがあるのを期待してやまない今日この頃です。
 やはりコメディ系の感想を書くのは難しくて、結局のところあのようないい加減なものとなってしまい、
 ひとり羞恥を感じていたりするところで御座いまして、またにも関わらず、先日以前書いた苺ましまろの
 感想を読み直していたときに、書いていたときに感じた、ああこれ後で読み返したら赤くなったり青くなった
 りしてしまうんだろうなぁ、というような感慨の通りになることが意外に無く、割と素直に面白く読めてしま
 ったりしておりました。
 基本的にはあらすじの羅列とギャグアニメの感想なんか書けるかボケ、という悲惨な叫びで構成されて
 いるだけのものだったはずなのに、あにはからんや、意外にも読めてしまったのです。
 つまり私としては、取りあえずでも形になるものを書いて残しておきさえすれば、後になって自動的にちゃん
 としたものとして読めるような補正がかかるということなのです。
 ということは、ブララグの感想もまた、ちゃんと書いておけば、のちのち有意義なものとなったかもしれない
 ということを導き出すということでもあり、よって少し後悔も感じている今日この頃なので御座います。
 日本編はシリアスなものになりそうですので、これを挽回する機会があるかどうかはわかりませんけれども
 、もしその折りあらば今度こそちゃんとした形にして残したいと思います。
 
 地獄少女の感想については、今のところ、今のレベルをさらに向上させていくことのみを考えています。
 ただ、もう少し物語性を意識して書いていった方が良いかもしれないとは思っています。
 ちょっと文章の線の細さを感じていましたので。
 というより、本来的に私は風景及び情景の描写を通して世界を構築していく作業が不得手ですので、
 どうしても人物の言葉を頼りとしてしまうところがありますので、これは今に始まったことではないのですけ
 れども。
 とはいえ、そういった作業を今のところ必要としているのは地獄少女の感想に於いてのみですので、
 それほど重視はしていないのですけれども。
 
 
 ◆
 
 さて、次は。
 
 よつばと! の最新刊第6巻が12月16日に発売決定!
 
 これは私としましては大ニュースで御座います。
 と申しましても、ただもう目一杯の期待を詰め込んで待つだけなのですけれども。
 それ以外のなにも、私にはできません。
 よつばと!、待ってます。
 
 
 この行間に、私の溢れんばかりのエネルギーを、感じてくださいませ。
 
 
 ◆
 
 それでは、本日のメインディッシュと参りましょう。
 この度は、アニメ「レッドガーデン」についてのお話をさせて頂きます。
 このアニメは、おそらく今期の作品の中では最も思考性の高いものだと思われます。
 進む物語を見、そして散りばめられていく感情と論理、そしてそれと直面していく人物達そのものが、
 ひとつ高いステージへと視聴者を誘ってくれるのです。
 彼らの存在とは一体なんであるのか、彼らの直面しているあの状況とは一体なんであるのか、それらを
 ただの情報の整理としてでは無く、何者かの象徴及び隠喩として読みとり、かつそうして読みとったものを
 画面の中に還元し改めて見直してみることで、恐ろしく生々しいものが創り出されていくのです。
 その生々しいものは、すなわち登場人物達そのものとして、その画面の中に顕れてきます。
 ひとりひとりの人間の存在が、あの映像の中の世界を通して、それを見る私たちに直面していくので
 御座います。
 それを見て、私たちはなにを感じ、そしてなにを考えることができるのか、そういった命題を私達に魅せて
 くれるので御座います。
 
 自分達は実はある夜を境にして本当は死んでいて、そしてそれでもなぜかまだ動いているその体を
 維持するためには、その自分達は死んでいるということを教えた謎の女が用意した化け物のような人間
 と戦って勝たなければならないという絶対条件。
 そして彼女達は夜を迎えると死にもの狂いでその化け物と戦い、そしてそれが終わるとただその恐怖に
 苛まれ、そしてそれが延々と続いていく事の絶望に震え、夜までの時間をただ呆然と過ごしていく。
 その中で、彼女たち同士が繋がり助け合おうとして動いたり、もう駄目だと諦めたり、そうして辿り着いた
 とある夜に。
 彼女達は、本当に自分達が死んでいることを知ってしまうことになるのです。
 だって、目の前に、自分の体が、あるなんて。
 とある夜に謎の女がもたらした真実。
 それが、あなた達の死んでしまった体。
 けれど。
 もう一度、あなた達には、その体のあなたに戻ることもできる。
 戦い、続ければ。
 彼女達は一度死んで、その魂というべきものが体から分離し、そして今動いている体の中入っているだ
 け。
 目の前に、自分の死体がある。
 それは。
 それは、絶望にして、希望。希望にして、絶望。
 目の前にあるものがなによりも自分達が本当に死んでしまっていることを示し、そして目の前にあるもの
 が、この今の醜い体と現実から脱却し今までの生活に戻れるものとして存在している。
 彼女達の流した涙の重みを、あなたはどう感じますか。
 これが、第6話「小さい光」までのあらすじで御座います。
 なにがなにを暗示し、そしてなにを隠喩し、なんの象徴であるのか。
 そして、その解読を以て得られたものを引き受けて、改めてどうやってあの世界の中に入っていくか。
 この命題という名の招待を以て、レッドガーデンをあなたにお勧め致します。
 
 
 ◆
 
 はい。
 なんか今日は気分的にハイソな感じで書こうとか思ってたら色々こんがらがっちゃってすごいことになって
 しまったので、もうやめます。最近言葉遣いが怪しすぎる。
 ということで、はぁ、いつもな感じでぐだぐだにいってみませう。
 ええと、あとはなにを書けばいいのかな、ええと、アニメですか。
 では、いきませう。
 
 
 ・武装練金(第6話)
 
 変態。
 
 
 
 ・・・・・・。
 
 
 いやなんかもう、今週はこの一言に尽きます。というかなんかもう、全部、尽きた。
 引きつった笑い、というのをリアルで初めてしましたよ私。
 痛いとか引くとか、そんなん遙かに越えて、 困  っ  た  。
 私が求めていた笑いがこんなモノを呼び出してしまうとは。
 駄目です。
 これはやり過ぎです。
 急性変態中毒です。
 
 笑うことすらもできない、この圧倒的な感情を、どうしてくれる。
 
 たぶん、1ヶ月後くらいになって、ようやく笑えるようになってたり。そして、たぶん死ぬ。(笑い過ぎで)
 
 
 冗談じゃなく、ほんとに他のアニメの印象が限り無く尽きてしまってます。
 えっと、今週ってどんなんやってったっけ? みたいに。
 いや一応覚えてますけど。
 今週の武装練金を前にして、語る言葉は御座いません。
 あー。
 しばらくあの黒ビキニ姿がうにょうにょ動く姿が瞼に焼き付いて離れないー。
 
 おやすみなさい。
 
 
 
 
 
 
 
 ◆ ◆
 
 なんかパピヨンで終わるのもあんまりなので、付け足し
 最近こんな感じです。箇条で列挙でそのまんま。
 
 ・「あさっての方向」 (いいアニメです)
 ・「英国恋物語エマ」 (ケーブルでの再放送を途中から見直して惚れ直してますハキム萌え)
 ・マリみて、ハルヒ熱がランダムで再発中 (一体私はどうなってしまうのでしょうか)
 ・「周公旦」 (最近はこの酒見賢一と中村隆資を良く読んでます)
 ・京極夏彦 (最新刊の邪魅の雫が予想通り図書館に無いです)
 ・夢枕獏 (陰陽師の瀧夜叉姫の下巻が図書館に無いです)
 ・ゴールデンレトリーバー (咬まれました)
 ・種類がわからない猫 (可愛かったです。膝の上で寝てくれた!)
 ・目覚まし時計 (今日も鳴りませんでした)
 
 
 おしまい。
 

 

-- 061110--                    

 

         

                                 ■■ 地獄の底にて ■■

     
 
 
 
 
 『楽しい?』
 

                         〜地獄少女 二籠 ・第五話・閻魔あいの言葉より〜

 
 
 
 
 
 
 
 
 〜 弱いことが罪なのならば、それを裁く強いものを崇めるのは、一体誰? 〜
 
 
 
 
 
 最後に微笑んだのは、神様の存在を信じられる、幸せな人間だった。
 地獄に堕ちるに相応しい者と、地獄も神も信じないものが、地獄へと堕ちた。
 彼らは一体、なぜ地獄に堕ちねばならなかったのか。
 いやそれ以前に、なぜ彼らは神の存在を信じることができなくなったのか。
 善と悪の観念。
 その観念に則ってさえいれば、幸せに善人として生きることのできることが、本当にその人間の意志だけ
 によるものだけなのだろうか。
 どんなに正しいことをしても、どんなに悪いことをしないように戒めても、それでも幸せになれない世界し
 か目の前に無かったとしたら、人はほんとうにすべてそのまま善人でいられるだろうか。
 どんなに神を信じても、それでも報われないことを知るだけだとしたら。
 そのとき本当に、神を信じることができるだろうか。
 そのとき本当に、他の人間を愛することなどできるだろうか。
 誰も助けてくれないのに、どうして自分だけが誰かを助けようなどと思えるだろうか。
 その者達の目の前に居たのは、ただ自分と同じような弱者と、そして神の恩恵を得られる強く恵まれた
 者だけだった。
 そして神の下に於いて強き者はひたすら救われ、そして弱者は永遠に葬り続けられていく。
 だって、あなた神の事信じないのですもの、あなたは悪いことばかりして、地獄に堕ちるのは当然でしょう?
 その言葉で飾られる美しき国が、すべてその悪たる弱者の屍の上に延々と咲いていく。
 だから、そんな神は、国は、いらない。
 そんなものは、もういらない。
 だから、ひとりで生きる。
 ひとりで生きるために、必要なことをする。
 誰に嫌われようとも、誰を傷つけようとも、それを忌むことをして避けて得られるものは、もはや無い。
 だから神は居ない。
 誰かが見ていようがいまいがに関係無く、悪事を働く。
 自分が、生きるために。
 偉そうに綺麗事を説く者ほど強くて恵まれていて、そして弱者の存在を知らない。
 その弱者への繋がりを欠いた言葉だけで、人を救えるのなら、人は誰も苦しまない。
 おまえは、弱さを知らない。
 人を弱者へと引きずり込む地獄があることを知らない。
 その地獄の中に居ないおまえが、その地獄の中に必死に生きる者を、どうして責めることなどできるのか。
 おまえにも、この地獄をみせてやろう。
 怨んでやる、憎んでやる。
 殺して、やる。
 ただただ俺を助けてくれない、神の愛に満ちた世界のすべてを。
 
 
 
 -- ならば、その地獄の中から説く神の愛の価値は、計り知れないでしょう
 
 
 
 ・・・・・・◆
 
 善人は救われて当然です。
 でも、悪人も人である以上、救われます。
 だってあなた、怨めしいんでしょう?
 あなた、救って欲しくて、それでも救ってくれなかったから、憎んでいるんでしょう?
 救って欲しいと思ってなかったら、そもそも怨んだり憎んだりしないですよね。
 辛いですよね、苦しいですよね、憎いですよね、怨めしいですよね。
 だって、誰も救ってはくれなかったんですから。
 そしてだから、仕方無く自分でなんとかやっていこうとしたら、悪と言われて責められるだけだったのですし。
 馥郁たる神の愛に包まれた、恵まれた人達しか持つことのできない、その善という「資格」は、
 どうしようも無くあなた達を打ちのめしていったことでしょう。
 自分達だってその資格を得たいのに、それを求めてもなにも得られない地獄に居たのだから。
 天国に居る幸せな人達は、微笑と軽蔑の瞳を以て、ただあなた方を見下ろしていただけ。
 まるで、パンが無ければお菓子を食べればいいじゃない、と言わんばかりのその暖かい冷酷な瞳で。
 あなた方には、そのパンを得ることすらできない、残酷な地獄しか無かったというのに。
 だからそのときあなたは、こう感じたのでしょう。
 自分達を救ってくれるはずの神は、ただそういう言葉を与え、そしてそれに不満を唱えるとただ罰を与え
 、そしてそれだけだったと。
 目の前に、希望という名の絶望が、あったのですね。
 
 でも。
 それでも。
 人は、救いを求めることが、できます。
 求めるものこそ救われる。
 そして求めざるものは、善人といえども、救われはしないのです。
 善と悪。
 それはあなたの、あなたとしての尊厳です。プライドです。
 それは人としての尊厳やプライドなどではないのです。
 その尊厳を守り、そして愛せるのは、ゆえにあなただけ。
 誰かも押しつけられることも無く、またそれをしなければただ地獄に堕ちるというものでも無いのです。
 あなたが神を信じない理由はなんですか?
 あなたが他人を愛さないと決めたのはいつですか?
 あなたが正しいと思っていることを為さないでいる気持ちはどうなのですか?
 すべては、あなた次第。
 地獄の底に堕ち続けているあなただからこそわかる、その絶望の重み。
 そして、あなたは気付くはずです。
 あなたは、地獄に堕ち「続けている」ということに。
 あなたは決して、地獄の底に辿り着いてはいないということに。
 地獄の底とは、つまり。
 これ以下の所は無く、ただそれより遙か上にある天国だけが見える場所。
 だから、それより下を見続けることはできないのです。
 あなたは、それがただ、怖いのです。
 これ以上、「それより下」を見続けることのできないことが。
 だからいつまでも、堕ち「続ける」。
 地獄に堕ちなさい。
 そして、地獄の底に降り立ちなさい。
 その最も残酷で冷酷で、絶望に満ち満ちたその場所に。
 そうすれば、きっと、気付きます。
 そこから見上げた、空が、堪らなく、なによりも青く美しいということに。
 
 そこには、確かにあなたの神様が、います。
 
 地獄の底に降り立つには。
 逆説的なことですが、その神様をみつめることです。
 希望という名の絶望が、あなたをそこに導いてくれるのです。
 そしてその絶望を、希望を、なにかを求めるということを意識したとき。
 あなたのその真に醜く愚かな落下は止まり、止まったゆえにそこが地獄の底になるのです。
 その落下を醜く愚かなことと思うために、あなたには確かな善悪の観念が必要なのです。
 そうです。
 悪人こそ、その尊厳が、プライドが必要なのです。
 悪人としての尊厳では無く、あなたとしての、そしてあなたが求める真に善なるものとしての尊厳が。
 それでも善人になりたいと思う悪人ほど、神の愛に近しきものはありません。
 そして。
 悪人を知らぬ善人と、善人を知らず求めもしない悪人こそ、最もその愛から遠いものなのです。
 汝、救いを求めよ。さすれば救われん。
 
 
 そして。
 善を求めるを知った悪人は、やがて悪を知らぬ善人に悪の存在を教え、そして彼らにその悪を善に
 導く術を求めることができるようになるでしょう。
 それだけが、きっとあなたの「救い」になるのです。
 あなたの神は、だからいます。
 目の前の、善なるものすべてが、あなたを救ってくれる可能性を秘めた存在なのですから。
 ただただ、如何に悪なるものを救える善を作り出せるかを模索して。
 ただただ、神を、人を、自分を、信じて。
 そのどちらが欠けても、駄目です。
 ただ信じてるだけでも、ただ無機的に善の可能性を具現化させるだけでも、駄目。
 たとえどんな絶望が舞い降りてこようとも、絶対にその善の可能性を具現化できると信じることができて、
 あなたは救われることができるのです。
 
 
 この世に、罪無きものなどありません。
 善人に罪が無いなどあり得ないのです。
 善者は悪者を、強者は弱者を糧にしている罪があります。
 それでも罪が無いというのなら、そのものは救われないでしょう。
 
 
 
 『ねぇ、知ってる?』
 
 『あるよ。』
 
 『地獄は本当に、あるよ。』
 
 
 
 あなたの存在そのものが、すべてに影響を及ぼしている。
 善なるあなたの存在もまた、既になにかを下敷きにして立っている。
 だから。
 忘れないで。
 
 善なるものが真に救われるには、悪なるものを救ってこそだということを。
 あなたが善行に励むこと自体の意味が、一体なにを世界に及ぼしているかを考えて。
 救われたいのは、あなただけじゃ、無い。
 だから。
 あなたは、ひとりじゃ、ない。
 
 
 
 
 
 『こっちの地獄には、まだ救いがあるかもしれねぇ。』
 『地獄に仏、か。』
 『あーそいつは言い過ぎたな。』
 『だったら。』
 
 
 『地獄に、菩薩だ。』
 
 
 
 
 
                                ◆ 『』内文章、アニメ「地獄少女」より引用 ◆
 
 

 

-- 061108--                    

 

         

                                   ■■ 祭×運 ■■

     
 
 
 
 
 俺の名はウィザード。ロットン・ザ・ウィザード。 おまえ達に恨みは無いg(以下挨拶)
 
 はい、ブララグ2第6話見ました。
 あー、楽しかった。
 とまぁ、そういう風に言うくらいしか無いですね。
 随所にカッコいいシーンや笑えるシーンとかありましたけどね。
 ロットンザウィザードで噴いたりしましたけどね。
 貴重なお笑い要員たるシェンホワさんの無事を祈ったりしましたけどね。
 ゴス女こと掃除屋さんの鬱っぷり展開に度肝を抜かれたりしましたけどね。
 うん、楽しかった。
 『見てたか?』 『うん、まぁ概ね。』
 『決まってた?』 『馬鹿の親玉にしか見えなかった。もうああいう登場はやめた方がよろしね。』
 このロットンとシェンホワの会話に涙したのは私だけではありますまい。
 次からは君も防弾チョッキきたほうがいいとか、あまりにも間抜けなロットンの台詞が暖かい。
 カッコつけもここまでぬけてると、かえってそのおかしさが暖かく感じられたのは、シェンホワだけじゃないと
 いうことですね。
 つーか、この人結局登場と退場シーンだけかい!
 
 あとはもう、笑いにつぐ笑い。
 なんかもう、ツッコミ疲れました。
 なんかもう、逆に忘れたいくらいです。
 これじゃ、いつまで経っても思い出し笑いという後遺症に悩まされることになっちゃいそう。
 ごちそうさまでした。
 
 という感じで、今日はショートな感じで〆られそうですね。
 あ、あとエダさん衝撃のCIA宣言。
 え、エダさんほんとにCIAなん?
 
 
 『その女は他人。あたしは暴力教会のクソ尼だもの。』
 
 
 ですよね? (微笑)
 
 
 
 
 ◆
 
 というオチで短くエンドでも良かったんですけど、短いと妙に不安になってしまう可哀想な私ですので、
 もうちょいつらつらと書いてみましょう。
 やー、やっぱりエダさんがいいですねー。
 笑い的なとこでは一番冴えますねぇ。
 シェンホワとの絡みのとこでも、一方は悪魔も耳を塞ぐ暴言で一方はすべての人類が拍子抜けする
 絶妙なカタコトぶりでの、実に良いリズム感と白熱感でした。
 シェンホワはまことに残念なことにエダさんに撃ち落とされてしまい、余命いくばくも無いか有るか微妙な
 ラインになってしまいましたけど、またの御登場を願いたいものです。
 でも血吐いてたし、厳しいライン上ですかね、やっぱり。
 あーあと、掃除屋さん?
 なんか妙にゴキゲンだったりして、それに対してオタクがひっそりこっそりツッコミ入れたりしてて、なんか良くて
 。
 あー、いつも他の殺し屋さん達の活躍にあこがれてたんですねぇ、うんうん。
 んでも、発声器を落とした途端、『鬱の気がひでぇんじゃねぇか? 前にこういう奴見たことあっぞ。』
 『アホめ、慣れないことすっからだ。』という罵倒がすっかり似合う有様になってしまって、もう笑うしかな
 というか、やってくれましたこの掃除屋さん。
 『難儀だな。』byロック
 そしてやはり、ロットンザウィザード。
 時代錯誤な前口上をかっこよく長々と隙だらけであっさりレヴィさんに撃たれて『あー。』
 
 最高。
 
 
 
 
                           ◆ 『』内文章、アニメ「BLACK LAGOON」より引用 ◆
 
 
 

 

-- 061105--                    

 

         

                                 ■■そのままの声で■■

     
 
 
 
 
 すっかり秋な感じで、ごきげんよう。
 
 はい。
 あ、今日はほんとネタ無いというかやる気無いです。
 いつもはやる気無いとかいいつつも、やる気の無さを示すくらいのやる気はあったりして、だらだらと書くこと
 はしてたりしますけれど、ほんと今日はしょーもない、なんもないです。
 あーアニメ?
 そうですねー、今期見るアニメようやく全部きっちり決まりましたね。ていうか切るのが決まったというか。
 一応、
 
 月曜: 無し
 火曜: 地獄少女2・デスノート・ブラックラグーン2・レッドガーデン
 水曜: (NANA)・武装練金
 木曜: あさっての方向・すもももももも
 金曜: 無し
 土曜: (僕等がいた)
 日曜: 無し
 
 というような感じになりました。うん、結構減ったねすっきりした。
 ちょっと今あんましアニメ観てる余裕無いので、私としては思い切って切ってみましたけど如何でしょ。
 今期は一応火曜日が当たり日ということになりますかね、はぁ。
 あ、ちなみに()ついてるのは前期からのやつという感じで。
 んで、まぁブララグは別格として、今期はなにが抜けてきたかというとですね。
 そうですね、敢えてひとつを挙げるとしたら、やはりレドガでしょうか。
 地獄少女2も無論いいですけど、あと意外なとこで、あさっての方向がよし。
 これ、あんまり話題にはなってないみたいですけど(私が知る範囲ではですけど)、結構色んな角度から
 入り込める良質な懐の深さがあるから、もっと話題になってるかと思ったんですけどね。意外。
 地味っちゃ地味ですけど、でも萌えられる人には間違いなく萌えるの可能な作品でもあるし、まぁとにか
 くあの表情や仕草で語っていこうっていうスタンスは、昨今珍しいので、私はひとつお勧めしてもいいかな、
 という感じになってます。1回見てみて、たぶん肌に合わないって人は少ないと思う。視聴継続するかどう
 かはともかく。
 
 で、あとなんかあったっけな。
 ああ、そうそう。
 ローゼンメイデン特別編の放送日が決まったんですよね。
 日記で書くのは遅くなっちゃいましたけど、まぁこのページの頭に載っけてあるからいいかって感じ。
 詳しいことは、それを見てみれば良いでしょう。
 ・・・・・。
 ん? なんか反応が淡泊ですって?
 ええ、そうですね。
 なんでかっていうとですね。
 
 放送日決定の第一報を見たときに、すべて燃え尽きてしまったから。
 
 あのときは死ぬかと思いました。あんまり嬉しいのも、体に良くないです。
 
 
 ◆
 
 あ、なんかまだ書くことがあるみたいなそぶりですけど、ごめんなさい、もう無いの。
 なんか、脈絡無く面白いこと思い浮かばないかな。
 なんか、意味も無く叫んでみようかな。
 あーあーあー。
 
 なにも、起きませんでした。
 
 終わり。
 
 
 ◆
 
 まだ双子熱がくすぶってるんですけど。ていうかまだ燃えてる。
 あんまりにも熱いので、調子に乗ってそのときの感想である「青い空の下の血の海の上で」を推敲して
 書き直そうかとか、そんな画策。
 いけそうじゃん? って正直思ったし、実際読めば読むほど直したい箇所も出てくるし、それ以前に言葉
 としておかしいところとか普通に直せるじゃんとか、もうそういう感じでね。
 でも、やっぱ、いいや、って。
 あれはあれでいいの。あれがあのときの私が書いたものだから。
 それの中身の価値がどうとか、あんまし関係ない。
 ちゃんと直して、ちゃんとしたものを残しておきたい、という欲求と、それは別のものだから。
 その別のところのものである、そのときのものを残しておきたいという欲求に従うと、やはり今度は読み直す
 たびに、自分の文章に、感心する。
 不思議というか馬鹿というかナルシーというか、まぁそんなことよりも、そうやって純な感じに素直になれる
 瞬間が、やっぱりこういう自分にしか書けないものというものを書き続けるために、必要なものであるのだな
 ぁと、思ったりしています。
 あああのとき私はこんな感じで書いてたんだ、とかそういう回顧じゃなくて、ただほんとうにがむしゃらに、その
 自分の知らない、今の自分で無い自分と出会える新鮮さが、さらに次のものを書く動機と魂になってい
 くような気がする。
 あれは一体どういうことを書いたのだろうか、あれは一体どういう風にそれ以上の考えに繋げることができ
 るのだろうか、とか普通に考えたりすることができたとき、やっぱり新しいものが書ける気がする。
 
 あ、しばらくは書く予定はありません。
 
 
 
 おしまい。
 
 
 
 
 

 

-- 061103--                    

 

         

                                    ■■ 神様地獄 ■■

     
 
 
 
 
 『ねぇ、シュウちゃん。約束して。
  どんなことがあっても、人を怨んだりしないで。』
 

                         〜地獄少女 二籠 ・第四話・千波の言葉より〜

 
 
 
 
 
 
 
 
 +
 
 
 
 
 俺は、神様なんて、信じてません。
 だから、こうして話しています。
 俺の懺悔、聞いてくれますか?
 
 
 
 
 
 
 
 妻の千波が、病気になってしまいまして。
 ええ、かなり、厳しいやつです。正直、治る見込みは低いんです。
 妻に付き添って初めて病院に行ったとき、そんなこと思いもしてなかったんですけどね。
 何回も検査が繰り返されて、何度も通院して、そして入院が決まって。
 そのときも、大変なことになったとは思っていましたけど、それは手術とかで忙しくなったりするのだろうな、
 とか、そのために妻を元気づけて不安にさせないようにしなくちゃと、そういう前向きな感じではいられた
 んです。
 だって、治ると思ってたんですから。
 手術というのは色々あるのだろうけれど、でもそれは基本的に治るからするのであろうから、要はそのとき
 の恐怖心さえ克服できれば、乗り越えることさえできればなんとかなるってことですから。
 だから俺と妻は、不安になっても、決してその根本的なところでは、不安を感じてはいなかったんです。
 頑張れば、我慢すれば、一生懸命前を向いていきれば、治ると、信じられたから。
 そうしたら、ですね。
 手術、行われなかったんです。
 俺がひとりだけ呼ばれて、そして妻の病名を聞かされ、勿論訳わからない病名言われてもどういうことな
 のかわからなかったけど、医者の顔見たら、一発でわかってしまいまして。
 ええ、もう、あのときにほんとは、全部終わってたんです。
 手術すら、できなかったんです。
 有効な治療法は無く、ただ経過を見守るだけ、だったんです。
 やれるだけのことはする、という紛れもない死刑宣告を医者から受けたとき、俺は。
 
 あのとき俺は、なにを考えていたんだろう。
 
 気付いたら、大将の店で皿を洗ってました。
 じゃばじゃばと水音を立てて、すっかり綺麗になった皿を洗い続けていました。
 大将、最近耳遠くなってて、俺のこと、気付いてません。
 大将・・・・ほんと・・・白髪・・・増えてきましたよね・・・
 大将には、色々よくして貰ってました。
 真面目で素直な好青年だ、みたいな褒め方で俺と付きあってくれて、今時そんな褒め方されたら嫌味
 に受け取る奴しかいないですよ、とかなんかほんと良い気分で巫山戯たりしてみたりとか、そういう気安く
 て、でもほんとは一本芯の通った関係を結べる大将との時間が、俺はすごく好きだったんです。
 だから・・・・
 だから・・・・・・・・・なんだって・・・いうんだろう・・・・・・
 
 
 ◆
 
 大将の店で必死こいて働いて、でもそんなんじゃあ足りなくて、だから他のバイトも色々探してみたけど、
 どうしても良い仕事が見つからなくて。
 ・・・・すみません・・・・・俺・・・・・バイト・・・・・探せませんでした・・・・・
 ほんとは俺・・・・大将の店以外で、働く気が起きなかったんです。
 朝から晩まで大将の店で働いて、もしそれで余る時間があったら、やっぱり俺、その分も大将の店で
 働きたかったから。
 実は、正直、俺は大将には悪いけれど、一介のラーメン屋の親父になるつもりはなかったんです。
 俺は、それで終わるつもりは無かったし、もっと大きな仕事をするつもりだったから。
 俺にとって大将の店での時間は、本当はただただ今この瞬間を過ごしきるためのものでしかなかった。
 でも、ですね。
 なんていうか、吹っ切れたっていうか、どう言っていいのかわからないんですけど。
 妻が病気になった頃から、なんだか、すごく、すごく今の自分を見つめることに真摯になれたっていうか。
 なんか、ほんとは、俺には大将の店で大きくなることしかないんじゃないかって。
 もしかしたら、大将の店で働くことが、なにもかも解決できる自分というものを明確にしてくれるんじゃな
 いかって。
 俺の居場所は、あの店の中にあるのじゃないかって。
 俺はただ、今まで無意味な夢を見ているだけで、しっかりと自分の居る大地を踏み締めてなかっただけ
 だったのだと、思ったんです。
 俺にできることは、そして俺がやるべきことは、ただ無心になって働くことだったんです。
 真面目に生きて働いて、そうすれば結果はついてくるって、ようやくわかったような気がして。
 この歳で、ほんと恥ずかしいですけどね。
 今は、大将が俺を褒めてくれたことが、無性に嬉しい気持ちです。
 俺、頑張ります。
 俺、今まで以上に、真面目に素直に働きます。
 千波・・・・待っていてくれ・・俺はきっと・・・・・・・・・
 
 
 
 
 俺は・・・・・・・・・・・・・・・・・きっと・・・・・・・・・・・・・・・・神しか・・・・・・・・・見てない・・・・・・
 
 
 
 ◆◆
 
 働きながら、その裏で必死に金策にはしった。 
 けれど、俺にできるのは借金を重ねて、そのまま入院費に充てるだけだったんです。
 遂には友達にまで頼み込んで借りて、ほんとうに、返すあても、そして・・・治すあても・・・・・・
 俺が愚かに同じところをぐるぐると走り回っている間にも、千波はどんどんと弱っていく。
 病室で見るまだ衰えの表面化していない妻の姿が、その恐ろしい未来を俺に想起させてばかりで、
 だから俺はただ必死にそれを打ち消し、千波に笑いかけることしかできなかった。
 ただただ気休めにしかならない言葉に、全力を傾けて妻を慰めて。
 その俺の姿を見ている千波は、絶対に気が休まることなど、無かったはずなんです。
 でも・・・それなのに俺には・・・・・ただそうして・・・・前向きな言葉に・・・力を振り絞ることしかできなかった
 んです・・・・・・
 妻がですね・・・俺がなんとか用意した少しはゆったり過ごせる一人部屋はやめて、質素でも賑やかな
 六人部屋に入りたいって言うんですよ・・・
 俺・・あのとき・・なんて答えればよかったんでしょうね。
 ひとりだとロクなこと考えられないし、他の人が居れば友達ができるかもしれないし、って気のない風に
 言う妻の瞳を、どうやって見つめればよかったんですか。
 俺は、だったら俺が学校のときの友達を呼んでやるさって、言ってました。
 言って、そしてすぐに、千波の瞳の生気が消えていくのを確認するよりもはやく、自分で、ええほんと自分
 でその言葉の無力さを思い知ってしまったんです。
 無駄だ。
 俺には無駄なことしか、できないんだ。
 懸命に、無駄を重ねる。
 なにも言わない訳にはいかない、黙っている訳にはいかない、放っておく訳にはいかない、だってそうで
 しょう、千波を俺の妻なんですから!
 いや、妻だろうとなんだろうと、俺が愛してる千波を地獄から救わずにはいられますか!?
 ・・・・・・。
 すみません・・・・救えもしないくせに・・・偉そうなことを・・・
 でも・・・
 でも・・・・目の前の千波には・・・・・
 その千波の瞳に映る俺は・・・・・・・・
 
 絶対にその言葉を、言ってはいけないんです。
 千波を救えぬことなど・・・・・・・無い!!
 
 
 
 
 ◆◆◆
 
 震えが一度も収まることも無いままに、ただ無闇に視線を移動させて、僅かな音にも自分でも大げさと
 わかるくらいに反応して、ただ目の前のふたりの男の作業を見守っていた。
 俺、強盗、しました。
 街を歩いていて、ふらっと気軽に声をかけられて、そしてそのまま流されるように、金を奪ってました。
 俺、なんでこんなことしてるんだろ、とは、あのとき一度も思いませんでした。
 ただただ、震えていることを共犯のふたりに悟られないことに、力を込めていたから。
 小心者なんです、俺。はは。
 だから、作業が完了したとき、笑うしかなかった。
 共犯者のひとりに、もうひとりの奴を殺せって言われたとき、もう、震えなかった。
 震えることが、できなかった。
 俺を、見るな。
 見ないでくれ!
 ただふたりの後ろでびくびくしてただけの俺に、一番恐ろしいことをさせるな!
 共犯者を殺すのか、俺が。
 なぜだ。
 なぜ俺が。
 あのとき俺は、もう完全に混乱してました。
 なんのために強盗したのか、すっかりわからなくなってて。
 ・・・・いや・・・その前から・・・・・なんのために金が必要だったのかすらわからなくなっていたんです。
 ただ目の前の問題を処理するために、殺しました。
 はい、俺がやりました。
 
 殺しを指示した奴が結局金を独り占めして、俺は一銭も手にすることは無かった。
 ええ、怨みましたよ。
 不自然なくらいに、それはもう。
 なにもかも全部、その怨みにぶち込みましたからね。
 なんかもう、殺しをやってからは、全部そんな感じでした。
 もう全部が全部怨みに染まって、ほんとうになにもわからなくなっていたんです。
 なにもかもわからなくなっている、ということさえもわからなく。
 俺がもし捕まれば、俺が妻のためにした借金を妻がひとり背負って、そして助けのこぬままに死んでいく。
 そんなこと、させるか!
 あのやろう、絶対ゆるさねぇ、金を独り占めしやがって、その上・・・その上・・・・・人殺しまで・・・・俺に・・
 
 気付いたら、目の前に地獄少女がいた。
 
 自分が怨みを込めて地獄通信にアクセスした記憶すら、怨みに飲み込まれていた。
 はやく、はやく、俺のこの怨みを晴らしてくれと、ただそれだけを目の前に現れた少女にぶつけていたんで
 す。
 もう・・・明白ですよね・・・
 俺は・・・・ただ・・・・逃げただけです
 そのときは全く、そう悲しいほどに全く気付かなかったんですけど、今はもう、どうしようもないくらいに、
 明らかです。
 俺はあのとき・・・・確かに千波の言葉を思い浮かべながら・・・・それでも・・・・
 妻の・・・どんなことがあっても誰も怨むな・・・という言葉を反芻しながら・・・・・・
 それを・・・・・・それを意識しながら・・・・・・ごめん・・と・・・・・・・ひとことつぶやいて・・・・・・
 
 
 
 俺は、妻の願いひとつ叶えられない無力な自分の誘惑に負けて、怨みに身を委ねました。
 
 ごめんな・・こんな無能な夫で・・なにもできなくて・・・悪いのは全部俺なんだ・・・・だから・・・許してくれと
 
 
 『俺は地獄に堕ちて当然の男だ。
  だが、ちなを残して先には死ねない。』
 
 
 
 逃げました。
 俺は、逃げたんです、怨みに。
 妻は・・・・・・・・・・千波は・・・・・・・・
 俺に・・・・・・・逃げるなと・・・・・・・・逃げないでと・・・・・・・・・・・・・・・見捨てないでと・・・・・・・・・・
 わかって・・・・いたんです
 俺がなにをしようが、それは決して千波の助けにはならないと、それなのにそうし続けることで、その事実
 から目を逸らせ逃げられることに気付いて。
 俺だって頑張ってるんだ、悪いのはぜんぶあいつなんだ、だから怨んでやるんだ、とそうやってひたすら千
 波から逃げ回っている俺だけしかいないことを、ずっと俺は真面目にも見つめ続けていたんです。
 真面目って、不幸なことですよ、大将。
 馬鹿、とも言えますけどね。
 千波を忘れるために人への怨みに染まってるだけだったら、よかったのに。
 千波を看てくれてる看護士からの話だと、最近あいつ、院内を彷徨いてたどこの子かも知らない子つか
 まえて、自分の子だとか言ったみたいなんですよ。
 俺に対するあてつけ・・・・・だったら・・まだよかったのかもしれません・・・
 おまえは私と子供を作り育てるほどの能力も誠意も無い、そして私をそういう当たり前な幸せに浸らせる
 こともできない、愚かな夫だと・・・・・・そう言ってくれれば・・・・・
 またそれに甘んじ・・・・・それに逃げることもできたのに・・・・・
 でもあいつは・・・・千波は・・・・・・・・きっと・・・・・・
 妻は・・・・もう・・・・・・・俺を・・・・・失い始めて・・・・・いたのです・・・・・
 俺はその妻からも逃げ・・・・・・・・・・・・
 
 ・・・・・・。
 無理ですよ、神様。
 
 
 
 俺にはそんなの、地獄に堕ちたって、無理です。
 
 
 
 
 
 ◆◆◆◆
 
 あの男が、全部を千波に話した。
 強盗と、殺人の、ことを。
 千波はもう、俺のことを見てはくれませんでした。
 当然ですよ。
 目の前に、自分を見捨てた夫が居るんですから。
 今度こそ、なにも言えなかった。
 というより、言葉そのものを失ったという感じでしょうか。
 だって俺は、妻を見捨てたんですから。
 どうしようも、ありません。
 目の前の女に触れる資格はもうありません。
 
 俺、そのことからも、逃げました。
 
 地獄少女から貰った藁人形の糸を解いて、あの男を地獄に送りました。
 俺に残されたのは、そして俺にできるのは、ただ怨みに染まることだけでした。
 ひとりもがき苦しむ妻を助けるために、ナースコールを鳴らそうと思ったら、それをあの男が握って。
 もう二度と俺に金を要求するな、そうすればこれを鳴らしてやろうと。
 俺はその要求に答えずに、ただただ妻を救うために、ナースコールを鳴らしてくれとあの男に言った。
 そうしたら、あの男、ナースコール、引きちぎったんです。
 そのとき、自分の中のなにかが満杯に満たされたのを感じたんです。
 これで、充分だ。
 そして俺は、糸を切りました。
 はい。
 
 あの男を、地獄に送りました。
 俺が妻から、逃げるために。
 
 『こんなことなら、あのとき解いておけば良かった!』
 これが俺の犯行声明みたいなものです。
 あのとき我慢したのだから、いまこのときに解いても良いのだと。
 それはつまり、いまこのときに解くために、あのとき我慢したってことなんです。
 俺はそういうことを・・・・・・・しました・・・・・・
 だから俺は、自分が地獄に堕ちてもいいと言いましたけれど、そうじゃない、地獄に堕ちなければいけな
 いんです、俺は。
 それを、まるで堕ちなくてもいいところを、自分だけが罪を被って堕ちるような物言いをして。
 
 
 
 
 『ごめんな。頑張って借金を返すよ。
  おまえが元気になったら罪を償う。
  だから許してくれ・・・・ちな』
 
 
 
 
 
 
 馬鹿なことを、言ったものですよ、ほんとうに。
 
 いや、このときはもう、わかってたんでしょうかね、俺。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 『あの・・・・すみません・・・・うちの娘を、知りませんか?』
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 やっと・・・・
 
 やっと、逃げ延びることが出来たな、俺たち。
 
 
 
 
 夫を責める事の無い妻と、そして妻から逃げずに済む夫に、ようやく、なれたな、千波。
 
 
 
 
 
 
 
 さようなら、神様。
 もう二度と、会うことも無いでしょう。
 
 
 
 
 
                                ◆ 『』内文章、アニメ「地獄少女」より引用 ◆
 
 

 

-- 061101--                    

 

         

                                    ■■ 街×夜 ■■

     
 
 
 
 
 知ってるもなにも、この街であのバカ二人知らないならもぐりですだよ、カウボーイ。 (挨拶)
 
 はい、ブララグ2第5話を見ました。
 はい、予想通りな面白さだったので、面白さが倍増しているところです。
 あーもう、ほんと、なんでこんな役者が揃ってるのでしょうか。
 エダさんです、まずはエダさんです。
 エグい非道いセコい三拍子見事に揃ったこの暴力シスター最高です。
 前回のお話で、エダさんがなにか画策してる様子で、一体なにをやろうとしてるんだろ、と首をひねりなが
 ら適当にありきたりな展開を予想していましたけど、その予想をほぼハズすこと無くビンゴ。
 王道の真ん中にキラキラの絨毯広げてのし歩いてるみたいな、想定の範囲ど真ん中。
 まさかあんな、絵に描いたような。(笑)
 おまけにエダさんの単純な筋書きとそれを実行するための仕掛けに、全部見事に引っかかってくれる
 オタクのおまけつきで、もうほんとエダさん冥利に尽きてます。
 あの部屋で7回試して4回上手くいってるってあんた、常習犯かい!
 もうまったく、お手上げですよ、この守護天使様には。
 ロックには絡むわ、策は弄すわ、しかもその策はめっちゃ杜撰だわ、運頼みだわ、でも成功すれば
 万事OKだわ、ああもう、ほんと不良の鑑です、この暴力シスターめ! (褒め言葉)
 見ろ見ろ見ろ、ビンゴだ! by勝ち誇るエダさん
 そのあとのオタクとのエグい取引だのレヴィさんとロックを即金で雇うだの、すっかりエダさんの主役的独壇
 場。
 もういちいちの台詞の口調の力加減とかもう最高ですよ。
 やる気の無さの裏側にがっつりと張り付いたやる気満々さというか、もう、すごい。
 経験と勘に裏打ちされた自信がありますよね、彼女。
 だからどんだけバカやっても運がついてくるっていうか、だからますますバカになるんですよねあの女。
 あーもう、お腹痛い。
 
 そのあとシェンホワの絶対に笑ってはいけないナイストークでレッツバトル。
 港の事務所に立て籠もって殺し屋チームと開戦。
 メイドに壊されたのがやっと直ったラグーン車を盾にされてそのままガソリンに引火してどかーん。
 やっちゃった。 by エダさん
 そして遂に掃除屋さん戦闘モードの御登場。
 チェーンソー構えてじりじり近付いてくるその目が既に死んでます。夢に見そう。
 しかし実戦はそれほど強くは無く、棚で防御に徹するロックを突破できない程度。
 まさに怖さに特化したキャラ。
 レヴィからの銃撃をチェーンソーで防ぎながら退却する様は、なんか追い払われたゾンビのような感じで、
 なんかまるで人間味を感じなくて怖い怖い。絶対あれまたくるよ。
 そのあとエダさんがラグーンの売り物のなにか物騒な武器(名前わかりません)を思う様ぶっ放して美味し
 いどころ取り。
 関係あるかよ、命はひとつだぜい! byノリノリなエダさん
 本当に、この人主役です。
 そしてレヴィさんとエダさんは冷静に戦況分析。やるときはやる。やらないときも殺る。常在戦場!
 電気消して待ち伏せか打って出るかという状況で、ですだよ、もといシェンホワ強襲。
 ちなみに伝説的相方のレガーチはリラックスのしすぎで火星から帰れなくなっておつむのお医者と仲良く
 暮らしてるそうです。
 わかる人には裏の裏までわかる丁寧なご説明、ありがとう御座いましたシェンホワさん。
 そしてシェンホワをレヴィさんが追い立ててエダさんが仕留めるプレイをするも、きっとその瞬間にエダさん
 の後ろに黒い影が現れたりして次回が大変怖いことになりそうな予感。
 おそらく、チェーンソー再び。
 
 ま、そんな感じでしたね。
 なんかうまく言えませんけど。
 エダさんのバカっぷりと、ややそれに引きずられてるレヴィさんと、なにからなにまで引きずられっぱなしのロッ
 クと、徹頭徹尾やることなすこと裏目というかついてないオタクと、笑えるけど怖いシェンホワと、
 怖い上に怖い掃除屋さんと、これらががっちりどっぷり組み合わさって、実に楽しいことになってました。
 まさにロアナプラの街に咲く一輪の夜、みたいな、そういう壮絶でありながら愉快で、愉快でありながらも
 恐ろしい、まさに生と死を賭けた一大コメディーが華開いていて、もうなんか絶対あの街には行きたく
 ないって心底思った。死んでも行きたくない絶対もう一回殺されるもの!
 気分はまさにインド系オタクそのものです。駄目、死ぬ、逃げても死ぬ。死んでも死ぬ。
 なんか、こっちまで息が切れてきました。
 
 そして次回は室内戦と、そして今回ラストで窮地に追い込まれて狂気なクールに目覚めたロック再び、
 という感じになりそうです。
 ロックのこの感じ、なんか久しぶりですよねぇ。(無論第一期からというのを踏まえて)
 あの人追い込まれると急に冷静になってでかいことやってくれますものね。
 一見無謀なんだけど、的確すぎるほどに状況を捉えてるから、そのときにベストなことやってくれるというか
 、さすが姐さんに将来良い悪党になると言われただけはあるという感じというか。
 まさに戦乱の一夜の中に芽吹く狂気な知性、そして真の主役みたいにどかんと飛び抜けてくれる、この
 ブラックラグーンの一番根本にある愉しさがあるから、堪りません。
 次回は、俄然ロックに期待です。
 エダさん? は! 前座に過ぎんよ前座に。 (掌を返したように)
 
 
 そんな、ところでしょうか、今回は。
 正直、笑い疲れました。
 ブララグ万歳。
 では、また来週。
 
 
 
 
 
                           ◆ 『』内文章、アニメ「BLACK LAGOON」より引用 ◆
 
 
 

 

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