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◆◆◆ -- 2007年3月のお話 -- ◆◆◆
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-- 070331- |
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■■まなびストレート!に捧げます■■ |
まっすぐGo! (挨拶) | ||
はい、ごきげんよう。 | ||
ここのところ時間を見つけては日記に文字を書き込むということを続けていて、なんだかいつになったら | ||
一日分の更新として完成するのか、普通に見当が付かなくなりながら書いていたりします。 | ||
ちなみに前回の京四郎と永遠の空についての感想を中心とした日記と、今日の以下の文章はどの部分 | ||
をいつ書いたとか全然覚えていないまま、ただ貼り付けて繋げていますので、なんだかひとつの日記として | ||
のまとまりを見事に放棄していたりします。 | ||
まぁ、うん、体験としては面白かったですけど、実際出来たものを見てみると、あー、って、そう、ほんと、 | ||
あー、って感じです。 | ||
(まぁ、京空とまなストの感想部分自体は、大体一回ずつまとめて書いたのですけどね、なのに普通に | ||
まとまりを欠いてる辺りが笑うところだと思ってください。) | ||
さてはい、そんなこんなですっかり京空とまなストの最終回の盛り上がりを体現したつもりの日記が、惨憺 | ||
たる有様になってしまいましたけど、まぁうん、色んな感情がどばっと吐き出せて気持ちよかったなみたいな | ||
、その吐き出したものはもう見たくないみたいな、そんなすっきりした面持ちだったりして、ほんとうにあとで | ||
大後悔しそうで怖いです。ごめんなさい。 | ||
はい、まぁ、このふたつのアニメについては、また来週辺りちょこっと触れてみたいと思っていますので、前回 | ||
と今回の文章で納得いかない、というか呆れてくださった方々には、そちらをご案内申し上げます。 | ||
というあたりで、本日もさっさと駒を進めることに致しましょう。 | ||
ちなみに今回のこの文章は本当は4月1日にUpしたのですけれど、前回の京空の感想との連作を予定 | ||
していた今回のまなストの日記は、同じ3月中にUpした事にした方が過去ログに保存した際に見やすい | ||
ので、このように日付は3月31日と虚偽の記載をして収納させて頂きました。 | ||
まー、エイプリルフールですし、いいですよね? | ||
私はこれまで嘘ひとつつかない真面目な人生を歩んできたことでもありますし。(大嘘) | ||
ということで、よろしくお願い致します。 | ||
◆ | ||
はい、では早速ですけれど、来期開始アニメについて。 | ||
これまでにも何回か書いてきていますけれど、今回はその最終版ということで、基本今回書いた作品を | ||
中心にして見ていくことにします。 | ||
では、私の視聴リストをスケジュールにして以下に。 | ||
・4/1(日) 10:00〜 | ハヤテのごとく | テレビ東京 |
・4/2(月) 25:30〜 | エル・カザド | テレビ東京 |
・4/3(火) 25:00〜 | キスダム | テレビ東京 |
・4/3(火) 25:26〜 | CLAYMORE | 日本テレビ |
・4/3(火) 28:15〜 | 神曲奏界ポリフォニカ | TBS |
・4/4(水) 26:00〜 | 桃華月憚 | 東京MXテレビ |
・4/4(水) 25:15〜 | ひとひら | TVK |
・4/5(木) 26:15〜 | 鋼鉄三国志 | テレビ東京 |
・4/6(金) 25:55〜 | Daker than BLACK | TBS |
・4/6(金) 27:15〜 | 魔法少女リリカルなのはStrikerS | TVK |
・4/8(日) 23:30〜 (初回のみ24:30〜) |
ウエルベールの物語 | 東京MX |
・4/12(木) 25:55〜 | 怪物王女 | TBS |
・4/13(金) 26:40〜 (4/20から26:25〜) |
ロミオ×ジュリエット | TBS |
・4/21(土) 25:30〜 | 英國戀物語エマ 第二幕 | TVK |
取り敢えず以上の作品を、最低第一話は見てみることにしています。 | ||
もっとも、時間的に重なっているのもありますけれど、それはまぁ放送当日の気分でどちらを観るかを | ||
決めるつもりです、はい、いい加減です。 | ||
で、これも前にも書きましたけど、私が注目している作品ですが、今期は正直絶対コレだと、というのが | ||
ありません。 | ||
一応、目を付けていたのは怪物王女とひとひらとロミオ×ジュリエットですけれど、やはり私的にはこう、 | ||
作品に身を委ねて深い味わいの海でたゆとう事ができそうなタイプでは無さそうで、そしてそれは無いけれ | ||
ど、なにかこう自分的にこの作品を自分なりに解読していきたい、みたいなタイプでも無いですし。 | ||
そういう意味では、怪物王女には期待していたのですけれど、公式サイトが更新されていくにつれ、なん | ||
だかいかにもアニメアニメした方向に行きそうな感じで、やはりまっすぐに安心した期待はできません。 | ||
となると、ですよ。 | ||
ここはやはり、新境地を拓く覚悟というか、なんか手ぶらな感じになるしか無いですよ。 | ||
新しい楽しみ方や楽しさを、見つけるために飛び込んでみるとか、そういう入り方でいってみよう。 | ||
だからそういう感覚で、怪物王女なんかも観ていこうかな、とは思っていますし、たぶんそうやってうだうだ | ||
やってるうちに、きっと既になんらかの楽しみを見出してるって思います、ていうかいつも結局私そんなだし | ||
ね、京空とまなストだって最初は普通に無理に近い無茶とか言ってたし、無茶はないか、うん。 | ||
ま、あとはCLAYMOREとか桃華月憚辺りは、そもそも私的には異色だから、最初から普通に楽しめる | ||
可能性は残ってますし、だからまだまだ色んな可能性の余地を残して、まずはでんと構えていってみよう | ||
と思います。 | ||
あ、それで、やっぱり現段階では感想書けそうっていう自信が持てる作品は無さそうですね。 | ||
エル・カザドのツッコミ感想もだいぶあやしく・・・・ | ||
う、うん、ほんとゼロからのスタートになりそうです。きらきらわくわくをイチから探しに行ってきます。 | ||
頑張ります。 | ||
とかいいつつ、実はまだ怪物王女には根強く期待しているのですけれどね。 | ||
んー、だって、なんかカッコイイじゃないですか、しかもなんだかシリアスというかホラーというか、なんかほら、 | ||
すーっとするような怖さの綺麗さみたいな、ってわかりませんか、わかりませんね、うん、なんかあの姫って | ||
キャラがこうね、なんか期待できるっていうか、あとあの主人公の男の子がどういう風なのか見当も付かな | ||
いってのも逆にぞくぞくするし、でもまさか姫がツンデレでそれに振り回される男の子ととか無いよね?、そ | ||
したらちょっと泣きますよ、あとメイドとかどうでもいいので、ひたすら残酷にどばーっと限界まで掻き回して | ||
くれると嬉しいなー、なんて、あーほんと、絵がもうちょっとアニメ度下がってれば・・・うーん。 | ||
頑張ります。 | ||
◆ | ||
NANAについて。 | ||
はい、私はNANAが好きです。 | ||
んー、たぶんあの作品を好きって言える事自体で得るステータスっていうのが、実は大きいところがある | ||
んですよね。 | ||
あの作品を好きって言えるってことは、あの作品の示すなにかを確かに求めてるってことになれると思うから | ||
。 | ||
生々しいようでいて、でも普通にドリームな感じで、だからただの夢物語としてでは無く、現実の中に生き | ||
ている私達が、具体的に掴んでいくその夢の実現化の大事な道具、みたいな感じで、だからすごく | ||
サバサバしてるけど妙にねっとりと体と心にフィットして、事実あの作品の中にあるすべては、あれを観てい | ||
る私のすべてと置換可能なものだったりするんですよね。 | ||
ぶっちゃけ、NANAを観て、その中の要素を抽出して再構成した、なにかしらのテーマのようなものにうな | ||
ずいて、よし、私も頑張ろうって、そういう感じのものでは全然無く、ただもう、毎日読む雑誌やら近くに | ||
居る憧れの人やら、そういう既にそれ自体が達成目的になっているような、ええい、なにいってんだ、 | ||
つまり、NANAに出てくる人達はみんな、私達自身なんです。 | ||
そしてそれと同時に、彼らは私達が今現在目指している、最も達成するに近い人間像そのものでもあ | ||
る。 | ||
だからNANAが好きって言うだけで、もうその人が全力で生きている証みたいなものなんです。 | ||
あの作品の中身は私の世界と同じで、だからあの作品をただうっとりして眺める事に意味など無く、ただ | ||
私はNANAが好きと一言示して、そしてNANAの世界と同じく激しく生きている自分の中に居るのです。 | ||
だからあれを観てると、いつもそれで得られる励ましを越えて、私はいつも前に一歩踏み出してしまう。 | ||
彼らと並び、そして彼らを追い越す、ために。 | ||
そういう、なんていうのかな、熱い魂そのものみたいなんです、NANAって。 | ||
ちなみに。 | ||
いつのまにやらファーストシーズンということになっていて、なのに最終回後の「NANAの部屋」では、また | ||
いつかお会いできる日まで、みたいなコメントで終わってて、っておいセカンドシーズンはどうした!って、 | ||
もう思いっきり突っ込んでしまったのは私だけでは無いと思います。 | ||
ちなみに。 | ||
私はシンちゃんとヤっさんが好きです。あとレイラもいいな。あ、ハチもいいし勿論ナナもレンも(以下略) | ||
◆ | ||
いい加減、頭にきました。 | ||
BBSのお話ですけれど。 | ||
ひところの荒らしの嵐は、禁止語句設定でなんとか収まったのですけれど、今度はBBSそのものが消えて | ||
しまい、なんだか違うページに勝手にリンク先が変えられてしまっていて。 | ||
無論レンタル元のサイトに飛んで見ても、なんの説明も載っていなく、というかなんの連絡も無く普通削 | ||
除とかします? 、信じらんない、ぷんぷん、みたいな。私も私が信じられません、最近。 | ||
で、はい、そんな感じですっかりお冠状態な紅い瞳さんですので、いっそのことあのBBSは停止にしてしま | ||
え、と思い立ったが吉日という言葉通りに速攻リンクを切ってやりました。ふふふ、ざまーみろ。(醜) | ||
ということで、後先考えずに夢之語リ部を停止してしまったので、しばらくBBSは弐式の方をよろしくお願 | ||
い致します。 | ||
ごめんなさい。 | ||
さてと、こんなところでしょうか。 | ||
それでは、本日のメインを、どうぞ。 | ||
◆ | ||
まなびストレート!: | ||
めろりんQ!(挨拶) | ||
最終回。 | ||
いきなりの、卒業式。 | ||
あれ? 前回まで文化祭とかやってなかった? | ||
ていうか、まなびさん達って3年生だったんだっけ? | ||
なんか生徒会に後輩とかいるよね? いつのまにか。 | ||
んー。 | ||
ま ぁ 、 い い か 。 | ||
はい。 | ||
事実関係を華麗にすっ飛ばして、今日もよろしくお願い致します。 | ||
はい。 | ||
やー、きたよ。 | ||
んー。 | ||
ちょっと、どきっとした。 | ||
最終回っぽくないというか、まなストの最終回っぽくないっていうか、なんていうか最終回という名前がひと | ||
り歩き独走状態という感じで、違和感というより、ちょっと呆然。 | ||
そしてもうそのあとはドキドキのハラハラで、その勢いは止まることなくどんどん悲壮感を帯びてきて、もう | ||
なんか画面の前で叫び出しそうになっちゃった。 | ||
ちょっと、ちょっと待ってよ! まなスト終わっちゃうの!? ねぇ終わっちゃうの?? | ||
すごくすごく、焦って、もうね、なんだか凄く必死になっちゃった。 | ||
うん、なに言ってるのかわからないかもしれないけど、私もわからないから大丈夫。 | ||
うん。 | ||
私もね、きっとみかんとおんなじだったんだよ。 | ||
終わるってことが、悲しくて悲しくて仕方なくてね。 | ||
まるで今まで培ってきた、すっごいすっごい何物にも代えられないぬくもり一杯の幸福感が、あんな感じで | ||
すとーんと切られちゃったのが、とてもとても寂しくて遣りきれなくて、そして切実に悲しくて止めたくて。 | ||
待って! まだ終わっちゃいやだよ! | ||
うん。 | ||
文化祭の余韻とか、そのあとの学生生活の充実ぶりとか、そういうあったかくも楽しくて愉しくて堪らない | ||
学生生活が描かれ、そしてそのまっすぐGoな幸せ感のままに終われるかと思ったのに、それがいきなり | ||
なんの脈絡も無く卒業式で、みんなトントン拍子で先に行っちゃって。 | ||
うん、私はね、すっかりまなストの世界にハマっちゃってて、それがもうこれで終わりってあっさり作品の中で | ||
言われちゃって、それでもう悲しくて悲しくてね、うん、なにげにまなストへの愛が証明される形になって | ||
しまいましたね、嬉しいんだか悲しいんだかわかりませんけど。萌え尽きたね。(他に言いようが) | ||
うん。 | ||
そこまで自分で言ってみて、うん、やっとね、うん、あー、嬉しいなぁ、ってところに、辿り着けてね。 | ||
うん、私こんなにまなスト愛せたんだなぁーって、もう涙ぐみながら、ただただ無情にも終わっていこうとして | ||
いる目の前の無慈悲なまなストの姿を見てたんだよねぇ。 | ||
うん、そうだね。 | ||
だから、頑張れた。それ以上のものと、この最終回の中で出会いたいって。 | ||
うん、すごい。 | ||
すごいんだよ、この最終回。 | ||
よくぞ、私の顔にビンタしてくれました。 | ||
散々イヤイヤして、我が儘言って、まだ終わって欲しくないこんな終わり方なら欲しくないって駄々こねて、 | ||
そしたらね、目の前のまなストがばしってね、うん、目を覚ましてくれたんだよ。 | ||
うん。 | ||
すごい。 | ||
このドキドキが、このハラハラが、全くその瞬間から、煌々と雲間から光を広げ始める月光のようにね、 | ||
私の中に灯をもたらしてくれたんだ。 | ||
そしたらね、今度はね、それ自体がね、もう、ドキドキで、ハラハラで。 | ||
そして。 | ||
もう、それが、きらきらのわくわくで、ワクワクのキラキラになってきちゃってね。 | ||
わー。 | ||
もうね、最高。 | ||
瞬時に、冷静になっちゃった。 | ||
あっという間に、真摯に熱くなっちゃった。 | ||
うん、大丈夫。 | ||
うん、だから、いける。 | ||
いくよ、感想。 | ||
みかんはまだみんなとお別れしたくなくって、でもお別れのときは迫ってて、そしてみんなもそれぞれもう自 | ||
分の決めた進路に目を向けていて、だからみかんはそうしてみんなと一緒に自分の進路に向けて頑張っ | ||
ていこうとしていたけど、でもそうしていることで、誰もが自分達の高校生活をただの楽しかった「思い出」に | ||
して終わらせてしまっていて、不覚にもみかんは自分もみんなと同じように頑張ることでそれに荷担してい | ||
ることに気付いてしまう。 | ||
私、まだお別れしたくないよ・・・まだ・・終わらせたくないよ・・・まだ一緒に・・・居たいよ・・・ | ||
思い出の密度が高まれば高まるほどに、それは今現実にそれを体験し続けるという事を奪い続け、ゆえ | ||
にみかんはどうしようも無く寂しさと悲しさと、そして絶望をすら感じてしまう。 | ||
みんなそれでいいの・・・? いやだよわたしは・・・・だったらわたし・・・アメリカに行くのを・・・・ | ||
うん、わかるよ、その気持ち。 | ||
よーく、よーくわかるよ。 | ||
『働くことを選ぶか、学生を選ぶか。 | ||
そういう風に悩むパターン自体、天宮さんには当て嵌らないのかもね。』 | ||
まなびさんは、いや、まなストって作品自体が示し続けたものが行き着いた言葉が、これ。 | ||
すごいなーって、思う。ていうか、それでこそまなびさんですよ。 | ||
学校生活が楽しかったからこそ、それにこだわることができると同時に、それにこだわるとかこだわらないと | ||
かいう次元を踏み越える力を、その楽しかった学校生活によって得たんですよねぇ。 | ||
学校を選ばないから働くのでも無く、働かないから学校を選ぶのでも無い。 | ||
学校を選ぼうと働くのを選ぶのも、まなびさんにとっては同じこと。 | ||
楽しいことを求めて、ただ今この瞬間に楽しそうと思えることを求め続けるんです。 | ||
それは、反省はするけど後悔はしないってまなびさんの言葉にも通じることで、つまりはまっすぐGoな訳で | ||
、反省するのは今この瞬間に楽しさを得るために必要なことを過去の失敗を含めてのものから探そうと | ||
するからで、後悔しないのはそれはそうしても決して今この瞬間から始まることはできないから。 | ||
まさに後悔しても始まらない、後悔って結局は過去へ縋ってるだけだもんね、後悔の念で今この瞬間の | ||
時間を塗りつぶすことでね。 | ||
後悔したって始まらない、ただ前へ進むために反省しよう! | ||
前へ進むために謝ってごめんって言って、前へ進むために悲しんで苦しんで、そして前へ前へとまっすぐGo | ||
のままに楽しかったことをこれからももっともっと広げていくために、頑張ってくんです。 | ||
はい。 | ||
なんか固めていうとわけわかんねーね、やっぱり平たくいい加減に元気にいこー! | ||
まっすぐGo! | ||
つまりね。 | ||
みかんはさ、頑張ったんだよ、だからアメリカ行くとか、えーってリアクションされるビッグな方向に飛んでこう | ||
として、それはさ、みかん的反省としての自分から動こうってことに真摯になりまくったからで、そんでみんな | ||
におーって言われて、それでえへへとか照れて、よーし頑張るぞって気合いいれたところで、あれ?なんか | ||
違うよね、ってことに気付いちゃったんだよね。 | ||
だってみんな、淡々と前向いて、横にいるみんなの事見てないんだもん。 | ||
みんなそれぞれ違う楽しみ方でいいから、ううん、違う楽しみ方なのに一緒に楽しめる奇跡の場所たる | ||
学校の中で仲間になれて、だからこの場所でみんな一緒にこれから頑張ろうって、そういうものすっごい | ||
楽しみがあったからこそ、みかんはみんなと同じ楽しみ方しなくちゃいけない、みんなと同じじゃ無くちゃいけ | ||
ないんだっていう焦りと苦しみから抜け出せたんだよね。 | ||
だからみかん的に、なんでわたしアメリカいかなくちゃいけないんだろ、まだもっとみんなと一緒に居たいよっ | ||
て、そう思って、どうしようもなかった。 | ||
なんか違う、なんか違う、なんか違うよ絶対!って、みかんは泣く。 | ||
うん。 | ||
わかるよ、なんか、自分達が作ってきた奇跡みたいな学校生活って、そんな簡単に終わっちゃうものじゃ | ||
無くて、たとえ卒業したってそれは変わらないはずだし、たとえばこの学校生活で掴んだ楽しさをさらに | ||
深めるために日本の大学行って、また新しい仲間達と楽しくやりたいとか、そしてまたまなびさん達とも | ||
会えるときに会って、また楽しく笑い合って、でもそれは思い出話だけじゃなくて、その仲間達でまた集まっ | ||
ってなにかやるみたいな、たとえそれが非現実的なことでもそれを信じて楽しく今を生きられるならそれで | ||
もいいみたいな、そういうなんというか、基本路線は変わらない感覚がみかんの中にはきっとあったんだ | ||
ろうし、当然みかんは他のみんなもそういうイメージは持って卒業して、だから卒業は一時の別れにしか | ||
過ぎないって感覚は共有できるって思ってたんだろうね。 | ||
だのに、みんなはもうなんだかそれぞれの進路に飛んでっちゃってて、みんなそれぞれにその進むべき道の | ||
中での愉しさばかり見つめちゃってさ、なんか、アメリカ行くとか言ってるわたしが一番それっぽいじゃん、 | ||
わたしがみんなをまとめなくちゃいけないのに、って。 | ||
アメリカ行っちゃったら、みんなの中で唯一みんなとの生活を望み続ける自分こそがそんな遠いところに | ||
行っちゃったら、もうほんとにみんなは二度と一緒にはなれないんじゃないかって・・・ | ||
うん、うん、それは怖いよね、怖いよ、うん。 | ||
そして、色鮮やかな卒業式に立ち上る幸せな光が、やがてすべて反転してみかんにのしかかってくる。 | ||
そして、ね。 | ||
だから、まなびさんが、そこに居るんだよね、この作品には。 | ||
だったら、まっすぐGo! | ||
あのね。 | ||
私ね。 | ||
空港で、振り返ったみかんに、みんなが真面目な顔して拳を向けてゆっくりとまっすぐGoして、そしてその | ||
ままなにも言わずにみかんを見つめ続けて、そして俯いたみかんがすっくと顔をあげて、そして、そして、 | ||
ゆっくりとまっすぐに振り返って歩き出して、そしてみんなはそのみかんの背に背を向けて、そうしてふたつに | ||
別れていく中で魅せた、みかんとみんなの表情見たらね。 | ||
涙がね、裏返っちゃった。 | ||
どういう意味? うん、つまりね、涙がね流れないで体の中に染みてぎゅっと広がっていったんです。 | ||
『そう、これは終わりじゃない。始まりなんだ! | ||
これから、すべては、此処から、始まる私達の物語!』 | ||
涙を堪える必要なんて無かった。 | ||
ゾクゾクゾク。 | ||
止まらない。全然、全然、止まらない! | ||
体全部が、魂のすべてが、全身全霊全存在が、どこまでも突き抜けて行っちゃったんだよ。 | ||
もうね、凄すぎ。 | ||
まなスト、最高。 | ||
賞賛する必要はこれ以上無いかもしれないよ。 | ||
あー・・なんて・・ことなんだ・・ | ||
一発で、みかんさん、わからないでいることなんて、できなくなっちゃったんだよね。 | ||
ていうか私も、もう絶対確実に、まなストの魂を感じ切ってしまったんだよね。 | ||
うわ、うわ、うわ。 | ||
すごいよ。 | ||
拳だよ? 拳。まっすぐGoだよ? 本気で。 | ||
『みかんちゃん! | ||
・・・・行かなきゃ。行かなくちゃ。どこに居たって、どんなに離れてたって、一緒だよ、私達はずっと。』 | ||
まなびは、行かなくちゃって、校舎の屋上での反省会のときに、そう泣き顔で言ったんです。 | ||
まなびだって、まだまだ悲しくて、口でそう言うだけの簡単さに溺れて、必死にそう言うしかなかった。 | ||
だからみかんは、その悲壮な覚悟を持って、私が、私こそが頑張らなくちゃって、そうやって不甲斐ない | ||
自分を鞭で責め尽くして、そしてまなび達をしっかりと守れるようになってまなび達のところに戻ってこよう | ||
って、そう思うしかなくて。 | ||
それって、一見逞しいけど、もの凄く悲しいこと。 | ||
なんでそんな悲壮な覚悟決めなくちゃいけないんだよ、全然笑って無いじゃん、しかも全然笑え無いじゃ | ||
ん、だってそれ希望が無いもん、全然今の自分を信じて無いもん。 | ||
そしてそれはなによりも、自分を信じて頑張ること、そして、そして。 | ||
まなび達を信じて頑張ることが全然出来て無いじゃん! | ||
みかんはそのとき、全部をまなびの泣き顔のせいにして、ただ献身的に自己犠牲的にアメリカに逃げ込ん | ||
だだけ。 | ||
心を日本に残して、ただその日本に「残された」まなび達のために、アメリカでの「苦行」に耐える日々を | ||
送ろうとしてるだけ。 | ||
そんなの、全然楽しく無い。そんなの全然幸せじゃ無い。 | ||
そう。 | ||
この最終回は、見事なほどに、この一点に集約する、たった一話で完結する単独のお話になっているの | ||
です。 | ||
今までの楽しくて堪らない学校生活の中に生きる、素晴らしきみかん達の姿が、そうして醜く汚れ弱っ | ||
ていく様を、鮮烈に描き出した「終わり」をまず始めに提示していました。 | ||
完全に今までのお話をぶった切ってる怖さが、そして悲しい閉塞感に包まれていたのです。 | ||
私は、それがいやでいやで堪らなかった。 | ||
そして。 | ||
うん。 | ||
そう。 | ||
そして、ね。 | ||
あの空港のシーンで、それは、実に壮大な再反転を以て、素晴らし過ぎるほどに塗り替えられるのです。 | ||
超真剣な眼差しで、拳を突き出してんですよ? | ||
ぐっと見つめて、そして魂込めてその場で燃え上がったんだよ? | ||
まさに、一瞬の出来事。 | ||
やるっきゃない? | ||
前に進むしかない? | ||
違うね。 | ||
前に行かなきゃ、って、心底、心底、本当の本当に熱く熱く、そう思える自分に熱くなれたんだ。 | ||
前に進みたくて堪らなくなっちゃったんだよね、だから。 | ||
最初っから前に進みたいなんて思うことは、なかなか難しい。 | ||
そして、最後まで前に進むしかないと思うことしかできなければ、それはきっと酷いことで終わる。 | ||
前に進むしかない、だから、そう強く強く熱く熱く思うことができたからこそ、前に進みたいと高らかに笑う | ||
ことができるんです。 | ||
あの気合いの入れ方はすごいです。 | ||
他律的な気負いの影の欠片も無い、ただもう自分のこととして、真っ直ぐに孤独の哀しさに照らされる | ||
緊張を、ぐっとその突き出されたみんなの拳で、自分が前に一歩踏み出したときに感じる緊張のそれに | ||
変えて貰うことができたんだよね。 | ||
ぎっちぎちの気合い入りまくりで、でも決して気合いを入れていることへの緊張が残るのでは無く、 | ||
ただもう、ただもう・・・・ | ||
みかんは早速機内で外人さんに声をかけられ、一度は顔を背けるも、しかしその嫌な空気に感じた | ||
緊張感を、そっくり再び外人さんに振り返って話しかける緊張感に換える事ができてしまう、そういう前へ | ||
前へという既に無自覚の領域にまで及ぶそのまっすぐGoな感覚のままに飛んで行ってしまうことが | ||
できてしまっていたのです。 | ||
みかんはきっともう、その緊張が楽しくて楽しくて堪らなくなっていたはず。 | ||
どんどん色んなことが出来るようになり、そしてその出来たことがさらにまた新たな緊張の手引きで新しい | ||
なにかをみかんに掴ませてくれて、そしてもうみかんは、その豊かなラインに乗ったまま、すいすいと全身全 | ||
霊のままにまっすぐGoすることが出来るようになったのです。 | ||
それこそまさに、主体的なみかんの生そのもの。 | ||
その生のラインに、いいえ、もはやレールと言ってもいいですけど、それにみかんを乗せてくれたのは、 | ||
他ならぬあの空港でのみんなの拳の眼差し。 | ||
そして。 | ||
その拳と殴り合って、そしてその興奮のままにみんなと反対方向にまっすぐGoしている主体は、みかん自 | ||
身に他ならない。 | ||
まなストという作品がこれまでに提示してきた、その「学校」という事柄に関して広げてきたテーマは、 | ||
すべてその一点を基点にしています。 | ||
学校という、既に存在するなにものかによって用意されたものに乗って楽しんで生きる、その依存とも | ||
言える楽しさを批判し、そのアンチテーゼとしてただ孤独なるままに社会に出て、ただただ他との隔絶に | ||
よってでしか自らの存在を感じられないことを、それでしか他と繋がりが持てないことを、最後までこの作 | ||
品は否定し切り、そしてただどんなものに依って立とうとも、そうして立っている自分がただ此処に在ること、 | ||
生きているこの「主体」こそそのままに生きるに値するものだという言葉を示したのです。 | ||
自分を信じていないのに、頑張らなくちゃ頑張るしか無いと思っても意味が無い。 | ||
自分を信じているからこそ、頑張らなくちゃ頑張るしか無いと思うことにも意味がある。 | ||
あーやっぱすごいなぁ。 | ||
すごいなぁ、ほんと、まなストってすごいなぁ! (まなびさん風に) | ||
変わろうと思うこと、それだけに必死になったって、そんなのは悲壮でしかない。 | ||
変わりたいと、いやいや、変われると信じることの出来る自分を信じる歓びがあるからこそ、だからこそ、 | ||
変わろうと思うことに主体的な意味が出てくる。 | ||
当初のみかんみたく、ただ変わろう変わらなくちゃって焦ってばかりなのは、結局はそうすることで今この | ||
瞬間をその焦りで塗り尽くす、それこそ「後悔」に溺れてることに等しい。 | ||
でも。 | ||
空港から出たみかんさんは、自分の至らなさを知りながらそれに溺れること無く、ただそれを修正していく | ||
ことの出来る自分を信じて、そうつまり今この瞬間をそうして「反省」してまっすぐ自分を生きて行くことが | ||
できたんですよね。 | ||
うん、すごい。すごいよ、まなスト。 | ||
うん。 | ||
みかんをさ、そこまで連れて行く、その一番初めにあったその切っ掛けを作ったのは、実は。 | ||
実は、まなびさんなんだよね。 | ||
あの校舎の屋上で、必死に泣き顔のまま、みかんを全力で励ましたまなびさんの、あの口で言うのは | ||
簡単なだけの言葉を、その簡単さになんとしても負けまいと必死に叫んだまなびさんがこそ、その後の | ||
間違ったみかんさんの進み方と、そしてそれを圧倒的に反転させ切らせたまなびさん達の拳のパワー | ||
を産み出したんだよね。 | ||
言わなきゃ、なにも始まらない。 | ||
だからとにかく、まず言っちゃうんだ! | ||
やるしかない、とにかくやるしかないってそう言われても、そう自分で言っても。 | ||
駄目なときは、ある。あるよ、うん。どうしようも無く、あるよ。 | ||
チャンスだって動けないときだってあると、OPで歌っています。 | ||
全文書くとアレなのでそのままは書きませんけれど、まなストのOPはすごいですよ。 | ||
いいこと一杯歌ってるし、まさに本編で言いたいことの命をばっちり表してるんです。 | ||
なにかを言われたって、それで動ける訳じゃ無いし、動けない理由も山ほどあって、だからその動けない | ||
理由を背負って身を守ろうとして、でもそれが嘘だってことは自分自身が一番わかってて、だから、たとえ | ||
正しいことを言われたって動けないときはあると反論してたって、そうして動かない自分が此処に居るのは | ||
確かなのだし、そしてその重荷を自分が背負うことには変わりなく、だから正論に反論を重ねれば重ねる | ||
ほどに、ただただその立ち止まっている自分の姿を描き出していくだけ。 | ||
だから。 | ||
いくらでも反論できるし、実際問題その反論の通りの現実が在るのだから、確かに今すぐには動けない | ||
かもしれない、でも、でも、だからこそ、その姿を一番真摯に見つめる、その目を諦めないで、あなたの | ||
人生を諦めないで、夢を捨てないで、なぜなら。 | ||
生きているのは、貴方、だから。 | ||
まなびが泣き顔で言ったことをどう受け取り、そしてそれをどう活かしていくかは貴方次第。 | ||
今は動けなくとも、でもそれに閉じないで、どうか、どうか、いつか絶対に動き出せると、そう虎視眈々と | ||
チャンスを狙い力を養い続けていて、貴方が今動けないのはただその雌伏のときだということを、忘れない | ||
で。 | ||
そして。もう。 | ||
その動けないでいると思っている自分は既に、実はその場でぐるぐると動き回っているということに気付く | ||
ことができるはず。 | ||
停止では無く、ひたすら同じところをぐるぐるとノンストップで周り続け、そしてその勢いのままに今すぐにで | ||
も前へとまっすぐGo!できると、そう、信じて。 | ||
今はわからなくても、いつかきっとわかると、貴方自身が、信じて。 | ||
そして。 | ||
自分を信じるために必要なことは何かを模索し、そしてそれに努めて激しく生きていくことができるのです。 | ||
そして、みかんは一年五ヶ月後にまた日本に帰ってきた。 | ||
そして、みんなはやっぱり、大真面目な顔してみかんを受け入れてくれた。 | ||
そして。 | ||
ただの思い出を語り合い近況を語り合うだけでは無く。 | ||
その楽しくて堪らない笑顔のままに、みんなで一緒に元気一杯に再び遊ぶことを、みかんはできた。 | ||
It's my life. | ||
よかったね、みかんさん。 | ||
そして。 | ||
だから。 | ||
ありがとう、まなびさん。 | ||
そして。 | ||
まなびストレート!に、ありがとう御座いました。 | ||
すっごい、すっごい、感動した! | ||
きらきらわくわくを、イチから探しに行くって素晴らしいよね! | ||
改めて、お礼します。 | ||
まなスト、ありがとう。 | ||
ん、なんかでも、まなストにお礼言うのってヘンな気もしますね。 | ||
だって一緒に遊んでただけなのに、ひとりだけかしこまってありがとなんて、ね。 | ||
うん、でも。 | ||
でも、嘘じゃ無いよね、有り難い気持ちになったのは。 | ||
うん、だからまなストへのありがとう以上に、まなストを見て楽しかったこの時間に、ありがとうって。 | ||
うん、言うよ。ありがとうって。 | ||
絶対絶対、言うよ。ありがとう。 | ||
だから。 | ||
天宮学美生徒会長に、拍手! (盛大に) | ||
そして、だから今は。 | ||
もう。 | ||
ま っ す ぐ G o ! | ||
いきましょう。 | ||
楽しく、頑張って。 | ||
よし。 ← 個人的にうまくまとめたつもりらしい | ||
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-- 070329-- |
|
|||||||||||||||
■■京四郎と永遠の空に捧げます■■ |
ごきげんよう。(挨拶) |
すっかり春の日差しも暖かく、既に桜の花の色合いも目立ち始めた今日この頃、皆様如何お過ごし |
でしょうか。 |
さて、本日は、というより今回は、毎度更新しておりますアニメ京四郎と永遠の空と、まなびストレート |
最終回に捧げる感想を中心とした構成にすることにしました。 |
今日は京四郎で、まなストは明日か明後日に更新するという二段構えでお送り致しますので、よろしけ |
ればどうぞ両作品の感想共々、お付き合い頂ければ幸いです。 |
そのふたつの感想を書く前に、それぞれ書いておきたい雑記などを先に記します。 |
ちなみに明日か明後日のまなスト更新の回には、いよいよ間近に迫った来期アニメについての、最後の |
おさらいを私的にしようと思っています。それとできたらNANA最終回について言及したいとも思います。 |
ということで、早速、というかさっさと片づけてしまいましょう。 |
◆ |
■自転車 |
5年ほど愛用した(つもりの)自転車を買い換えました。 |
よつばと!6巻での自転車話につられて、つい。結構経つな。 |
買ったのは、コレ。色はモダンレッド。 |
実物はなかなか店頭に無く、買うのは実物を見てからと決めていたあまりに、自転車屋さん巡りを余儀 |
無くされたというのはここだけの秘密。 |
そしてようやく手に入れたコレは、はっきりいおう、最高だ。 |
私は駐輪場の中から一台を見つけたりするのが割と苦手なのだけれど、コレはもうすぐにわかる。 |
もうね、ふぉーってなるの、近くにくると。目立つというか、なんかオーラが出てるというか。 |
まぁたんに一台だけ新しいからなだけですけど。あ、乗り心地は良いです。天国。クルージング状態。 |
いいかいものしたな!! |
■本 |
追加でまた本を借りてきました。読書欲増進キャンペーン中。 |
・岩井志麻子 「死後結婚」 --前に借りたけど途中までしか読んでなかったので。 |
・楠戸義昭 「佐久間盛政」 --なんとなく。 |
・桜庭一樹 「少女には向かない職業」 --有名な人だから。 |
みんなそんなものです。 |
■幻影博覧会第2巻 |
ぎりぎり微妙。 |
純粋な娯楽としてエンターテイメントとしては物足りなく、かといってなにか読み込めるものがあるかと |
いうとそれはさらに見込みが無く、正直キャラ萌えで頑張るしか無いという状態。 |
別に低い評価を与えるつもりは無いけれど、ただこれと言った明確な付き合い方が確立できない、あや |
ふやな手応えの無さしかないという感じ。 |
1巻の感想のときに、2巻以降でなにかやってくれるのを期待すると書いて、確かに大きな動きはあった |
けど、なんだこんなもんかという程度で閉じてしまっていて、あの路線をそのまま広げていっても、たぶん |
これ以上の評価の種類は増えない気がしている。 |
ただ、一話ごと完結のそのひとつひとつの登場人物達が、その再登場を含めて少しずつその存在を以 |
て物語の構成に関わってくると面白いかもしれない。 |
おそらくヒロイン真夜の話一本に絞り切って終えてしまったら、はっきりと駄作と言わざるを得なくなるだろ |
う。 |
ということで、この作品の愉しみ方を誰か教えてくださいませ。だってわっかんねーもん!(頭掻きながら) |
■武装錬金最終回 |
男爵様が。飛んで。どーんて。男爵様が。お腹痛い。死ぬる。(転げ回って) |
ブソレンは正直主人公・ヒロイン共々にまったく共感できないところで、完全にパピヨン一筋に走り切って |
終わりみたいなところが私にはあったけれど、でもよくよく噛み締めれば、かなり荒っぽいけれど主人公 |
のあの考え方自体には、それなりにそれを観て得られるものもあったなぁと、やっと最終回で思うに至り |
ました。よくわかんないけど。まーそのまま丸飲みしたからマズかっただけって気がしてます。 |
なにはともあれ。 |
パピ、ヨン! (お疲れ) |
■サッカー |
したいです、無性に。ボール蹴りたい。 |
■ひだまりスケッチ |
第11話のはずです。 |
吉野屋先生はほんとに幸せな人だなって思います。 |
ひだまりは吉野屋先生を中心に回して、足りないところはみやちゃんで飛んでけばいいと思います。 |
フォローをゆのっちがおたおたしながらやって、ヒロさんと沙英さんがどっかで盛り上がってればいいと思い |
ます。 |
よくわかりません! そのまんまな気もします! |
最終回感想は、また後日に・・ |
なんだか駆け足ぶりばかりが目についてしまいましたけど、気にしない方向で、本日のメインに移らせて |
頂きます。 |
どうぞ、つまらないものですが。 |
◆ ◆ |
京四郎と永遠の空: |
・ ・ |
『昔々女の子は、王子様と出会ったのでした。』 |
・ ・ |
すっと、素晴らしく透明な気持ちに包まれて。 |
それまで、きっちりと力を込めて形を整えて、その力の限りにしっかりとした文章を書こうと思っていたけれ |
ど、最終回の始めのシーンを目にした途端、もうその気負いはどこにも無くなっていた。 |
無論、いつも通り私らしく書こう、という気負いもまた、夢の彼方へ。 |
ただ、ただ、見ていた。 |
ただ、ただ、感じていた。 |
ぞくぞく、する。 |
そして、ぞくぞくするという言葉を綴りながら、静かに、そして確かに、感動していた。 |
厳かに、厳かに。穏やかに、穏やかに。 |
とてつもなく、永遠の手前で立ち止まりながら、その先に広がる、僅か30分の永遠に触れる直前の、 |
その瞬間の感触は果てしなく私を、そのかつてない透明な気持ちの中へと導いてくれた。 |
あらゆる感情と思考と言葉と、諸々のしがらみを越えて、私を最後のお話の中へと導いてくれた。 |
まるで、夢の中で出会った王子様のように。 |
先が思い遣られる(私の頭の中の)展開ですが、今日もよろしくお願い致します。 |
さて、はい、うん、きましたね、きましたよ、うん、きたよ。 |
うーん最終回。最終回だよ千歌音ちゃん! いやこの際別作品キャラの名前叫んじゃってもいいじゃ |
ないですか。 |
だって出てるキャラはみんな最終回に出払ってて構ってくれないんだもん。 |
そんな感じです。どんな感じかというと、それだけ最終回が充実しているということです。あと私はもう。 |
はい、きました。 |
カズヤ兄さんに笑わせられない、という目標を立てて挑んだ最終回です。見る前からなんか負けてます。 |
はい。 |
そしてカズヤ兄さんは出番早々にお黙りになられてしまい、まさに満を持しての立派な最終回展開。 |
うん、いいよ、いいよ、頑張ったね、頑張ったね、よく頑張ったよスタッフさん、うん、うん、うん。 |
なんか泣けてきたよ、正直、ほんとお疲れさま、うん、よくやったよ、お疲れさま。 |
すごいよね。 |
なんだか締めるとこびしっと締めてきましたよ。 |
あの京四郎に抱かれて落下してるときの空の表情なんて、どうですよ。 |
あの京四郎と空のお別れのシーンの一連のやりとりは、どうですよ。 |
あのせつなが髪を切るシーンは、どうですよ。 |
やって、くれました。 |
完璧なんて、言いません。むしろそんなんどうでもよろしい。兄さん並にどうでもいい。 |
「京四郎と永遠の空」とは、なにか。 |
なんなんでしょうね。ていうか、その問いは。 |
なにってなによ、って感じですよ。大人しく黙って見ろって話ですよ。 |
でもね。 |
その問いに答えるためにこの作品を見るのはすっごい不純な気はするけれど、でも、こうして見ていた作 |
品と共に、手を握り合ってその問いに答えを出していこうとするのは、逆にすごく清々しいことのように思う |
んだ。 |
だってそれって、「京四郎と永遠の空」という作品を見て、一体あなたはなにを考えましたか、という事と |
同じだと思うし、そしてそれこそ感想ってやつなんだと思うから。 |
そしてそうした感想を書こうと思えるからこそ、ただ萌え萌え言ってるだけで終わらなくて済むだろうし、そして |
そうだからこそ、その感想を書こうとしている自分が感じている萌えそのものに、その書き手の感情としての |
意味が出てくるのじゃないかな。 |
あー、たとえば、最終回のOP前のシーンで私が感じた、あのすっとくるような荘厳な気分は、ある意味で |
萌えなんですよね、私にとっての。 |
この作品を通して感じてきた諸々のことの集積としてのものに、なんかもうぞくっと一発でハマっちゃうという |
か、逃げ場を失ってしまうというか、ああ、特にキャラ萌えとかは無かったですけどね、あ、かおんちゃんとか |
は造形・設定的には素質あったけど広がりがちょっと足りなかったし、そういう意味ではたぶん私的には |
空が一番萌えたかなぁあと京四郎もいい感じで守ってあげたくなっちゃうようなってなに言わせるんですか、 |
兄さんけしかけますよ。(やめなさい) |
ちなみに兄さんには萌えません。断じて。(節度) |
はやくも話が逸れてしまいました。こんだけ書いてまだ本題に入ってないって凄いですよね。 |
はい。 |
まずはひとつひとつ解題的に書いていってみましょう。 |
空と京四郎の別れのシーンについて。 |
うーん、最高。 |
無論、泣いた。さめざめとね。 |
空はせっかく京四郎と両想いになったけど、そのために自分の体が消えてしまうことになって、でも空はそれ |
が自分のしたいことだったからそれでいいのだと言って。 |
今までずっと虚ろでからっぽな感じしかしなかった自分の人生の中で、やっと出会えたその最高の瞬間が、 |
それまでの人生を真っ直ぐに幸福に塗り終える手前で、その色が褪せる前に、自分の存在と共に消えて |
いくだなんて。 |
その瞬間の実感は、そのときは、紛れも無く、無上の歓びに包まれている。 |
このまま死ねることほど嬉しいことは無い、この瞬間を得た代償が死だったのならば、その死さえ幸福に塗 |
り変わることができるのだから。 |
それは屁理屈でも理想論でも無く、紛れも無いその瞬間の空の実感であり、悲しいとか苦しいという |
言葉の方がむしろただの言葉にしか過ぎず、だから京四郎の泣き顔を前にしたその瞬間は、ただその京 |
四郎をこの自分の幸せの気分で笑顔にしてあげたいと、ただそう想うことで一杯になれる。 |
今ならなんだってできる、そしてどんなことがあっても、それは幸せ以上のなにものでも無い。 |
『残念。もう時間来ちゃいました。お別れの時間です。』 |
あのときの空の笑顔ほど、美しくも愛しいものは無いです。 |
幸せで、幸せで、幸せで、悲しくも絶望ですらもある、この無限の幸福感が、その笑顔に趨る歪みで |
さえも暖かい実感を空に感じさせているのですから。 |
それでも、京四郎に会いたかった、から。 |
そして・・ |
重要なのはここから。 |
その悲しい笑顔に溶ける空を目の前に置く京四郎、そのふたりを照らすせつな達の壮絶な眼差しの中 |
で、やがて京四郎と空のラストダンスが静かに始まります。 |
たったふたりだけの、場所で。 |
どんな言葉も感情もしがらみも正義も倫理も、なにもかもふたりには届かない場所で。 |
空は、この幸せと共に終わることを、ただ望みます。 |
決して、なにも我慢なんかしてはいない。 |
ただ懸命に、目の前の幸せを噛み締めることに力を尽くしていただけ。 |
それが、それこそが空にとって今一番幸せと思えることを空は選んだだけ。 |
私は最初、違和感を覚えたんです。 |
なんで、あの土壇場で、空はあんなことを、崩れていく醜い私の姿を見ないでください、このまま終わらせ |
てくれませんか、なんてことを言えたのかと。 |
確かにその感覚はわかるけど、でも、京四郎と出会いそして絶対に離れたくないと思い、そして今その |
別離の瞬間に接したのなら、それこそ一心不乱に泣き叫びながら京四郎にしがみつくんじゃないかって。 |
でも、そうじゃなかった。そういうことじゃなかったんです。 |
つまり、空は、上述の通り幸せだったんです、別離そのものもまた。 |
悲しくも冷たくも身を引き裂かれる苦しみに悶えながらも、確かにそれを幸せのぬくもりの元に感じることが |
できたがゆえに、この至高の想いのままに消えることを、敢えて望む必要も無いくらいにそれを受け入れる |
事ができたんです。 |
だって、目の前に、愛しい愛しい京四郎と、そして此処に、その京四郎に愛されている最高の自分が居る |
んですから。 |
だから、自分がまたこの世界に降りてくることを、輪廻転生をすら信じて死ぬことができるんです。 |
私にはだから、これらの空の幼く聞こえる言動も、ただの夢想では無く紛れも無い実感なんだって思えた |
んです。 |
空はほんとに綺麗なまま死にたいと想え、そしてそれを京四郎に願うことが強がりでは無い本当の気持ち |
で、そしていつかきっと戻ってくるから少しだけ待っていてくれませんか、という言葉も真実空の意志による |
頼みなのです。 |
最後の指切りほど、素晴らしいものは無い。 |
空が京四郎に背を向けて、そして繋がる小指のぬくもりのままに、再び京四郎の元に戻ってきたときに、 |
あんなことこんなことしたいなって・・・・うん・・・この時点でもう・・・私は涙ボロボロで・・・・ |
そしてせつなを中心とした周りの人達も、同じく張り詰めた絶望に身を焦がしていたことでしょう。 |
でも、それはきっと違うんです。 |
その涙ほど、「空の心情」を表していないものは無いのですから。 |
それはただ、あの場を眺める者の感情であって、決してあのときの空の感情では無いし、絶対にあのとき |
の空は、その私達と同じ涙を流すことは無いのです。 |
虚しいはずの胸算用を重ねて、虚しい約束を交わして、虚しいよ虚しいよと言って涙する、そのいかなる |
感情にも空は「?」っと小首をかしげて、そして静かに穏やかに微笑むのです。 |
空はてんで空気を読めない子。だって、空はその空気を吸わなくても生きていける子なのだもの。 |
空は、無理なんかしてない。するはずも無い。 |
ただ懸命に、懸命に、一番したいことをしていただけ。 |
その、綺麗な笑顔で。 |
『上出来だなぁ私。好きな人も助けられて、また会う約束までして貰って。 |
私の中は素敵な贈り物で一杯だ・・・・・京四郎さん・・・・・』 |
もう駄目。 |
ここで私は一旦陥落。 |
顔、洗ってきます。 |
(しばらくお待ちください) |
(どたばたと大急ぎで席に飛び込んで) |
そして。 |
京四郎は。 |
その空の綺麗な笑顔の意味すらも掴んで。 |
そしてだからこそ。 |
その笑顔が、消える悲しさと、苦しさと、絶望と、そして。 |
そして・・・ |
空の、助けを、空の、その指を抱き締める。 |
京四郎に背を向けた瞬間から、空は京四郎に愛される最高の自分の姿への愛に染まれている自分 |
自身に満足している自分に、気付かざるを得なくなっていた。 |
心底幸福であるからこそ、こうして背にした京四郎が、そう、この幸せを伝える京四郎が目の前に居ない |
ことを、それを、それをこそ、もっとも激しくその胸の中に横たわらせていくのです。 |
京四郎さん・・・ |
胸を激しく死が襲う。 |
幸せに満ちていたその痛みが、やがてその背景と大元にある幸福を食い破り始める。 |
痛ければ痛いほど、苦しければ苦しいほどに、それらはその幸せの礎を満たしていくはずなのに、目の前 |
に京四郎が居ない事を、真に終わりがきたことの中に、ついに見つけてしまったことで、まったくそうでは |
無いものに変えてしまったのです。 |
死の間際に、地獄に堕ちる空。 |
幸福の業火が、その背の羽を毟り取っていく。 |
やだ、やだ・・・・・・・京四郎さんと・・・・お別れなんて・・・・・っ |
なんでだろうね。 |
私、別に苦しくないよ。 |
でも別に、これが当然の帰結だから、という訳でも無い。 |
なんていうか、私は、すごく空に同調しちゃったんです。 |
この最後の空の姿だけに、では無く。 |
この最後の空の姿に辿り着く道を、懸命に歩き切った空に、です。 |
私だったらたぶん、最初から地獄に堕ちてた。 |
絶対に絶対に死ねない、死ぬもんかって、どんな手を使ってでも、どんなに叫んでも絶対に絶対に生きる |
ことを諦めない言葉こそが、真に人間にとって意味があるって思ってるから。 |
美しい死なんかに意味は無いって、血反吐吐いても叫ぶやつだから。 |
でもだから、この空の最後の消え様に同調した訳でも、安堵した訳でも、断じて無い。絶対に。 |
だって空は最初から、絶対に生き返る、そのために綺麗な消滅を望んだだけで、だからそういう意味での |
この空の美しい死に臨む姿勢は素晴らしいことだと思ったし、そして。 |
そして、だからこそ、そう、ほんとだからこそ、この最後に訪れた、もの凄い「死」そのものの実感に直面した |
途端に、それらのすべての意志をかなぐり捨てても、絶対に絶対に今この瞬間の「実感」を手放さずに |
、そして今この瞬間の実感に基づく叫びを京四郎に向けて放つのです。 |
『やだ・・やだ・・やだ・・・やだ!そんなのやだ、やだよ・・絶対やだ!京四郎さんとお別れなんてっっ!!』 |
空は必死に、我慢を始める。 |
あとほんの10秒綺麗な死の幸福に浸っていればいいんだと、そう思えてしまう時点で既にその幸福は消え |
失せていることを堪らずに感じ、だからもう必死になって死へのカウントダウンを始めるんです。 |
京四郎に迷惑をかけられない、という大嘘までも使って、懸命に懸命に我慢し始める空。 |
そして、そこまでして・・そして・・・・それでも・・そんな我慢が既にこの胸にある京四郎への愛に対する |
冒涜でしか無いことに気付くことからは逃げられなくて・・・ううん・・その瞬間に今度は逃げられなくてという |
言葉自体が既に逃げ出そうとしている自分の姿をまざまざと描き出して、だからだから、空は・・・・。 |
『京四郎さん・・・・・・・・・・助けて・・・・・っっっっ!!!』 |
空、泣いてた。 |
すっごいすっごい、泣いてる。 |
だって、指、消えてんだもん。 |
綺麗で幸せなこの体が消えちゃうなんて。 |
全部、無くなっちゃうんじゃん。 |
どんな言葉を失っても、それでも幸せを感じる主体が在れば、ずっと幸せでいられるって。 |
なのに、もう、この体は、消えて。 |
気付くとか、気付かないとか、そんな余裕無い。 |
知らないよ、そんなこと。 |
だって、もう、終わって、終わって、この体が醜くなる前に早く消えてって、ただ願うだけしかできないなんて。 |
信じられないよ。 |
絶対絶対、駄目だよ。駄目だよ。嫌だよっっ |
うん。私に分かる訳無い。 |
でもだから、語るしか無い。言葉にするしか無い。 |
空の気持ち? 違うよ、今ここで私が語るべきなのは。 |
空が言いたかったこと? 違うよ、それは空自身にすら必要無いものだよ。 |
もう、あのシーンは私の中から消えない。 |
死にたくない、死にたくないって言ってる人が、その人の姿に見えるものが、私には、もう。 |
うん、すごいよ。どうしようもなく。 |
もう、あと何秒で消えるか分からない、いつその京四郎への言葉の途中で消えるかもわからない、その |
どうしようも無い恐怖と悔恨と絶望と、そして、そして、その命よりも凄まじい、いいえ、この世界のすべて |
よりも攻撃的な生きる意志としての希望が、空の姿にはめり込んでいて。 |
死ぬその瞬間まで叫び続けて、言葉を綴り続けて、必死に必死に、その死の恐怖に怯え、そして怯える |
からこそ、絶対に絶対に絶対に! |
その恐怖のままに死んで消えてしまう事から、飛び立とうとするのです。 |
空は、絶対に、絶対に、死にたくないと、生きたいと、京四郎と別れたくないと、叫んで。 |
その空の想いがその口より漏れることなくその胸に秘められている姿こそが美しい? |
ならば、その美しさと共に死ぬがいい。 |
私は。 |
その美しさを越えて叫ぶ、醜くもなによりもなによりも気高く美しい、その生きたいという空の叫びと共に |
生きたいと、この瞬間に激しく感じました。 |
ああ・・・駄目ですね・・・・つい排他的なことを(笑) |
うん。 |
まだ全然語り足りないです。ていうかまだ全然駄目ね。全然。駄目。 |
うん。 |
空は幸せだったかですって? |
幸せ、ってなに? |
空は辛くて悲しくてどうしようも無くて、それでも絶対に生きたいと、絶対に死にたくないとそう言える相手 |
と出会うことができた。それだけだよ。 |
だから、せつなが京四郎に言った、空が不幸せな訳無いよ絶対、というのはまさにそうだと思うよ。 |
空は幸せだった、という言葉は、誰にとっても意味の無い言葉だから。 |
空は消えて無くなった。けれど、空を想う京四郎は今確かに此処に居る。 |
空は幸せだったという言葉で、すべてを終わらせる意味が、京四郎には全く無い。 |
そして、だから・・・・ |
はい。 |
そしてせつなのシーンに繋がります。 |
正直、京四郎のことは好きですけど、京四郎がなんでせつなに自分の心をあげられない代わりに、自分 |
の命をあげると言ったのかはわかりませんでした。 |
どういう意味? |
そればかり、考えてしまった。 |
京四郎は自分なりにけじめを付けたのだろうけど、私が見るにその観点からしても、あれではけじめも何 |
も無いと思った。 |
空を想い続けると決めた今、確かに今までせつなの気持ちを知りながら利用し続けた罪はあれど、その |
罪に値する罰をせつなから甘んじて受ける事に意味があるのは、ただその罪の重みを自分の中から消し |
たいという、ただそれだけの京四郎の甘えにしか過ぎない。 |
むしろせつなが、空に奪われるくらいならあなたを殺して私も死ぬっていって襲いかかってきても、それを |
ぶっ倒してでも空を探すしか無いじゃない。 |
でも、せつなの立場に、せつなの今の気持ちにほんとに立って考えてみると。 |
せつな的に、京四郎がどういう男だろうと、構わない。 |
そして、さらに京四郎が言ったことがどういう事になるのかは、意味が無い。 |
語弊を恐れずに言えば、せつなは京四郎の言葉を純粋に素直に受け取ることにだけ、意味がある。 |
京四郎の理屈は、京四郎自身(本人は気付いてないけどw)の立場からしても身勝手なものだけど、 |
でも、その言葉を吐いた京四郎の姿そのものは、少なくともせつなにとっては、ひどくぬくもりのある、その |
京四郎の誠意ある謝罪として受け止め可能なものだったのです。 |
京四郎が、自分に対してそこまで言ってくれたこと、そのこと自体だけに、意味がある。 |
だったら、その京四郎の意志を、「私なりに」受け止めてあげたい。 |
そう、それは決して「尊重」するという意味じゃないんです。 |
せつなは、ゆえに京四郎を殺さなかった。 |
代わりに、いえ代わりと言ったら違うか、せつなは自分の髪を切り落とすのです。 |
京四郎の意志、それを口にした京四郎を、抱き締めるために。 |
そして、その京四郎への愛にもっともっと強く飛び込んでいける自分になるために、その決意の現れとして |
、自分の切って魅せた。 |
そして。 |
京四郎を愛しているからこそ、せつなは京四郎と空を会わせるために力を尽くすと近い、そして。 |
京四郎を愛しているからこそ。 |
その想いが絶対に消えないことを知るがゆえに、空を見つけた後に京四郎の元から去ることを誓ったので |
す。 |
絶対に絶対に分かれられないと想うからこそ、そのなによりも強い想いがあるからこそ、その想いのままに |
別れる力を得ることができる。 |
京四郎への愛が想いが、せつなに髪を切らせたのです。 |
そして、その短く煌めく髪がこそ、これよりせつなのその京四郎への愛と想いを支え続けていくのです。 |
愛しているがゆえに、その愛する人の幸せを願い、そしてその人へのその愛そのものに一途になれる |
自分を信じて、その人の元から去ることができる。 |
以前私は、別に空とせつなって京四郎の恋人にならなくてもいいんじゃない、とか普通に言いましたけど、 |
前言撤回。それはそれ、これはこれ。最終回前までは確かにそう思っていたけれど、最終回で変節致し |
ました。駄目駄目、そんなんじゃあ駄目駄目。恋人上等。まっすぐいけ! |
あんな空と京四郎の姿見ちゃ、せつなとしては負ける訳にはいかないもんね。 |
せつなにとって一番の、そうベストを尽くせることを、あのふたりの光景に見つけた。 |
倫理とかどうか、それ自体に意味は無いけど、それを利用してなにかに励める自分自体には、やっぱり |
凄い魅力がある。 |
京四郎と中途半端な関係を現実的に続けていくこともできるけど、でもそれよりも、頭の中で描き切った |
崇高で純粋な京四郎への愛を具体的に顕現させるには、やっぱりその愛を京四郎との別離にぶつけて |
でしかできないような気がします。 |
全力を尽くしたいと、本当にそのことに最大の魅力を感じられる瞬間があるのならば、やっぱりそうすべき |
だよねぇ。 |
たとえそれが真実という名の逃げ場であったとしても、そうして全力で逃げている自分は確かに今此処に |
生き生きとして存在して居るのだから。 |
まぁ、それが「京四郎と永遠の空」とはなにかという問いに対する答えの要にあるものです。 |
はい。 |
そんなところでしょうか。 |
最後は一見強引とも思える落としでしょうけれど、私としてはすとんとオチています。 |
はい。 |
ということで、「京四郎と永遠の空」最終回、終わりました。 |
これで全部、終わりです。 |
普通に語り足りませんけれど、その辺りは気にしません。知りません。消えろ。 |
で、この作品はね。 |
うん、まぁアニメ作品として評価するという立場で観た場合は、まぁ傑作という訳にはいきませんね。 |
造りがそもそも荒っぽいから、純度の高い娯楽品としてクラクラと愉しめるかというと、やっぱりそれは無理に |
近いものがあると思います。 |
また、作品の全体的な完成度としても、同じ作者の「神無月の巫女」と比べて遙かに劣っていますし、 |
ですからそういった「評価対象」の作品としてなら、私はどなたにもこの作品をお薦めすることは無いでしょ |
うし、またその観点で薦めることはこの作品に対しても失礼だと思いますし。 |
ただし。 |
観るべきところはあります。 |
なにかを観たいと、なにか切実に真摯になにかを考えて観てみたいと、そう想うものがある人には、これは |
ひとつお勧め申し上げたく存じます。 |
作品側にどっぷりと自らの体を預けてゆったり夢気分を味わうのでは無く、ただ無我夢中で海の中に飛び |
こんで、その海の冷たさを感じながらそれでも懸命に泳いでいる自分の体のぬくもりを感じたいと、そして |
そして、そのぬくもりのままにきっとどこかに辿り着けることが絶対にできると、そう「自分」を信じることの出 |
来る人には、是非。 |
いや、そんなお勧め話はいい。いいんだ、もう。 |
だって感動してるし。あー、いいなぁ、この感触。 |
うっとりの手前で立ち止まって、ふと見上げた空は真っ青で。 |
うわ・・・・・いいなぁ・・これ・・ |
うん・・ |
すごく、静かな自分になれました。 |
すごく、好き。 |
うん、なにがだろうね。 |
「京四郎と永遠の空」が? |
それとも、「自分」が? |
それともそれとも、この世界が? |
んーん。 |
いいよ、そんなことは。 |
どうでも良いことでは無いのだけれど、でも今は・・・・ |
うん・・・・いいな・・この気持ち・・・・なんだろ・・・ほんとうに |
空が好き。 |
京四郎が好き。 |
せつなが好き。 |
みんな間違ってない。 |
それで、いいんだ。 |
「若い」って、いいよね。 |
勿論若いものは老いて、その老いて成熟していく中に得る実感は大切なものだけど。 |
だからこそ。 |
若いって、素晴らしいって、思うよ。 |
大切な毎日の中に、さらにそこから芽生えるなにかを愛していける、その命の光は、なによりも愛おしい。 |
うん。 |
そう、思う。 |
ありがとう。 |
|
・・・ひどい終わり方。 (泣きはらした目で) |
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■■嘘か真かそのまま地獄か■■ |
『まだ起きてる・・・・・・・・・・・うたってる』 |
〜地獄少女 二籠 ・第二十三話・閻魔あいの言葉より〜 |
深呼吸をするのに、許可がいるんだとばかり思っていた。 |
学校をサボって、川沿いにある野原で大の字になって空を眺めるなんて、大変なことだと思っていた。 |
ただなにも考えずにぼーっとしている事なんてしょっちゅうあることなのに、それはとても特別な事だって、 |
いつもそう思っていた。 |
なにも考えていない、ということを、いつも必ず確認しながら、そしてなんとか色々な考えで頭の中を埋め |
尽くそうと、だから思っていた。 |
なにかを考えたくて考えることなんて、あると思う? |
なにか答えを出さなくちゃいけないから、なにかを考えるなんてこと、あると思う? |
無いよ、そんなこと。 |
ただ、気付いたら、考えてた。 |
考えていることに、理由なんて無い。 |
少なくとも、その理由を思い浮かべながら考えていることなんて、無い。 |
なんで、こんなに空は紅いんだろ。 |
そのとき、なぜその空の色が気になったのか、どうしてその事を今考えなければならないのか、そんなこと |
はわかる訳も無いし、またわかったとしても、きっとわかった瞬間にそれはただの言い訳にしか過ぎなくなっ |
てしまう。 |
空の色になにかを期待している? それともこの空が紅に見える自分に期待している? |
違うよ。そんなんじゃ無い。 |
そうやってみんな言い訳ばかり、嘘ばかり言ってるんだ。 |
誰も本当のことなんて、考えたりしないんだ。 |
だって、本当のことを考えることに価値は無いし、その考えの先に得られた真実を、誰も求めてはいない |
んだから。 |
自分が考えていることに理由も目的も無い。 |
ただ、自分がなにかを考えているってこと自体にしか、きっと意味は無いんだ。 |
だから、僕もこうして考えている。 |
この紅い空の下で。 |
そう。 |
本当のことを、ただ、それだけを。 |
だから、今の僕に、意味は無い。 |
生きている理由も、目的も。 |
◆ |
からからと消えていく風が背中にのしかかる。 |
体の向きをちょっと変えれば、その風は何事も無かったかのようにそのまま通り過ぎていく。 |
『僕の前に出てこないで。』 |
どんな些細なことでも大事に、どんな大事なことでも無意味なものになっていく。 |
考えても考えても、考えれば考えるほどに、その頭の中の言葉の命は消えていき、ただその冷たい亡骸 |
を頭の内側に貼り付けていく。 |
じわじわと内側から染み出してくる言葉達が、溜息のようにして僕の目の前に集まり、そして馬鹿みたい |
な顔して僕の体を突き抜けていく風に攫われていく。 |
空に染みる紅がその色合いを濃くしていくたびに、それはどんどんと下降して、僕の目の高さにまで降りて |
きて、そしていつのまにか辺り一面を真っ赤にしてしまう。 |
なんで・・僕目がけて降りてくるんだよ・・・ |
あっちへいけよ・・・・ |
頭の天辺から染みこんできた紅い空が、僕の頭の中を掻き回して、そしてぐるぐると搾り出されていくつま |
らない言葉の羅列を眺めながら、僕はその紅い文字達を引きずったまま歩き出していた。 |
ずるずるずる。 |
うるさい。うるさい。うるさい! |
でもそんな僕の叫びにはお構い無しなんだよね。 |
君も。 |
僕も。 |
結局君と僕は、そうして僕が引きずる紅い歌をうたいながら、ただずるずると前に進むだけなんだ。 |
僕、狂ってるのかな? |
うん、そうかもしれない。 |
でもそんなことはどうでもいいんだ。 |
というより、そうかもしれないその事実は、もはや僕にぶらさがっている紅い空の亡骸のひとつでしか無い。 |
たとえもう気が狂ってるのだとしても、その事実が僕に与える重みはなにも無い。 |
だって僕、ただ歩いてるだけなんだから。 |
それで満足してる訳じゃ無いけど、不満がある訳でも無い。 |
ううん。 |
きっとね。 |
僕はもう、それでいいんだ。 |
今の、このままで。 |
なにも変わることの無い、なにも変えることの無い、そのままの僕でいいんだ。 |
それじゃいけないって言葉が僕の頭の中でぐるぐると周り、そしてそれはやっぱりそのまま僕の体から抜けて |
、風に攫われて何処かに言ってしまう。 |
いいじゃん、それならそれで。 |
というより、いいとか悪いとか、そもそもそういうことを今考えている訳じゃ無い。 |
そして、たとえ今そのことを考えているのだとしても、それは僕にとっては頭の中をめぐり勝手に消えていく |
だけのものでしかない。 |
どうでもいい。 |
その言葉すらもどうでもいい。 |
だから、言葉はもう要らないんだよ。 |
言い表したいことが、無いんだから。 |
それは、言い表したく無い、という事と、どれくらい距離があることなんだろう? |
『私のこと嫌い? 嫌い? 憎い? 流す〜?』 |
うん・・どうなんだろう。 |
わかんないや。 |
++ |
きくり・・・ |
僕はどうしたらいいのかな。 |
つい、どうでもいいのに、訊いてみたくなっちゃうよ。 |
僕は答えを求めてる訳じゃ無いけど、きくりならどう言うかは知っておきたい気がしたんだ。 |
僕は、怨んでるのかな。 |
うん、きくりなら、きっとそうは言わないよね。 |
地獄少女を呼びなよって、ううん、地獄少女もう来てるよって、そういうはずだよね。 |
僕が今現在怨んでるからどうかなんて、きっと関係無いんだ。 |
怨みで人を殺したいのか殺したくないのか、きっとそれだけなんだ。 |
きくりは、ひたすら僕を怨みに誘う。 |
だから僕は論理的に考えて、ということはきっと僕は現時点では怨んで無い、だからきくりは誘うんだ、と |
いう言葉をきくりに投げかけるけど、きくりはびっくりするくらいに元気に嗤うんだ。 |
うん・・・怖かったよ・・・僕はきくりが怖いんだ・・・ |
きくりの誘いがあるからこそ、僕はそれを否定することで、それが出来るからこそ、やっと怨まなくて済んで |
るんだ。 |
きくりが居なかったら・・・きくりが怨め怨めと言ってくれなかったら・・・僕は・・・・ |
ああ・・・・きくりが・・・また楽しそうに嗤ってる・・・ |
きくりは絶対に、そうだよ、とは言ってくれない。 |
きくりは決して、理由も目的も言ってはくれない。 |
そしてきくりはただ嗤いながら、そうしていつも僕の姿を僕に見せてしまう。 |
僕はきくり無しでは、怨まないで居ることはできないの? |
僕は今、きくりの存在を言い訳にすることでしか、僕の正義を守れないの? |
僕は・・・・僕は一体・・・・ |
おとうさん・・・・・おかあさん・・・・・・ |
黙ってるから、いけないんだ。 |
僕のこの姿を、ただ、見つめているだけだから。 |
きくりを否定して否定して、そうすることでしか僕の正しさを確信することしかできないんなら、僕はさらに |
きくりを否定する言葉を編み続け、そうして居ることしかできない僕の姿を顕すまで考え続け、でもそこで |
語ることを諦めてしまったら、きっと僕の前にはその「本当」の僕しか残りはしない。 |
そうしたらきっともう、きくりは嗤わない。 |
ううん、きっともう、きくりは僕の前には顕れない。 |
僕は、きくりを否定しなくちゃいけないんだよ。 |
たとえきくりを否定することでしか怨まないで居ることができないとしても、僕はそうし続けるしか無いんだ。 |
でも、そうし続けている僕の姿に閉じちゃ、駄目なんだ。 |
諦めたら、そこで終わるんだ。 |
もっともっと考えて、そうしたらきっと、その考えた分だけ僕は変わっているんだ。 |
いつかきっと、そのきくりに頼っているしか無い自分を受け入れて、そしてそこからきくり無しでもちゃんと |
考えられる、自分の正義に実感を持てる自分になれると信じて、僕は今を生きなくちゃいけないんだ。 |
僕は・・・きっと・・・・子供な僕に・・・どうしようも無い僕に・・・・負けてるだけだ・・・ |
僕はただ・・・・こうしている「本当」の僕のせいにして・・・僕を生きることから逃げてるだけなんだ・・・ |
きくりはきっと、それが可笑しいに違いないんだ。 |
そうして僕から逃げ切った僕を、もうきくりは嗤わない。 |
それ以上、可笑しいものは無い、から。 |
だからたぶん、きくりは笑う。 |
ただ純粋に、本当に、楽しいから、笑う。 |
そうだよね・・・ |
そこまで行ったら、きっともう僕も笑うんだろうな・・・ |
たぶんそうなったら僕はもう、狂うことは無くなるんだろうな・・・ |
そして考えることも、もう、無い。 |
きくり・・ |
そうなのか・・・ |
僕は・・・・もう・・・・その紅い空の向こうに・・・・・その楽しい世界が・・・・・・・視えて・・・・ |
◆ |
へんな人が家に来た。 |
僕の無実を証してくれるという。 |
僕には関わらない方がいいよと言ったのに、彼女は・・・・ |
彼女は地獄通信を知ってるって言った・・・・ |
でも・・地獄通信のことは信じて無いみたい・・・ |
僕が見たものは全部嘘だけど、僕の無実は証してくれるって。 |
僕は、この人になにを期待しているんだろ。 |
僕は・・・ |
僕はただ・・・・僕の話を信じて欲しかっただけ・・・なんだ・・・ |
なんで・・? |
うん、なんでだろう。 |
この人に信じて貰って、そしてそれを通じて他の人達にも信じて貰って、そうしたら僕は犯人じゃないって、 |
悪魔の子なんかじゃないって認めて貰えて・・・そして・・・・・ |
どう・・・なる・・の? |
お母さんは死んで、お父さんは大怪我して、そしてせりは・・・・・地獄に・・・ |
僕に・・・・そう・・・・・僕に・・・関わったせいで・・せりは・・・・・・・・・・・・・おかあさんは・・・おとうさんは・・ |
ううん・・・・駄目だ・・・・ |
きくりが、嗤ってるもん。 |
それは真実でも、真実だとしても、僕がそうだと言うこと自体が、既にそれを言い訳にしてる僕を顕すだけ |
になってるんだ。 |
僕が・・・悪魔の子なら・・・・僕が悪魔の子だって名乗ったら・・・僕はもう・・・・ |
僕はもう、その悪魔の子を倒す機会を永遠に失ってしまうんだ。 |
彼女に僕の話を信じて貰ってどうするっていうんだ。 |
その明確なプランを持ってもいないのに、ただ彼女に信じて貰えなかったことを理由にして、僕がなにも |
言わないでいることを肯定して良い訳が無いじゃないか。 |
だってほら、きくりが嗤ってるから。 |
僕はそういうときだけ、ううん、こういうときだからこそ、そのきくりの嘲笑を利用するんだ。 |
きくりが嗤ってる、だから、僕はもう、黙ってちゃいけないんだ。 |
僕は、僕の言うべきことを、言わなければいけないことを、言わなくちゃいけないんだ。 |
そして。 |
それを全部言って、言い尽くして、それでも僕は、僕は・・・・・・ |
そう言い続けたいって、そう自分で思えるようにならなくちゃいけないんだ! |
僕の意志、なんてものは本当は存在しないのかもしれない。 |
本当は、自分の意志だと思っているものが、誰かに操られてのものかもしれないし、そもそも僕が使う言 |
葉や考え方は誰かの真似から始まってることに違いないんだから、僕のオリジナルのものなんて無いのか |
もしれない。 |
でも。 |
だからこそ、僕は僕だって、それは僕の考えで僕がひとりで考えていることだって、言わなくちゃいけない。 |
その言葉を選び、その考えを身に付けることに満足し、今感じているこの正義の感覚に、心の底から |
頷くことが出来るのなら。 |
それはもう、僕だ。それは全部、僕のものなんだ。 |
そしてそこまで言ったらもう。 |
僕には、その言葉や考えが誰のものか、という問いとその答えが必要無くなってるんだ。 |
僕のものだから、他の誰かのものだから、だから僕はそれを使いそれを使わなかったりするの? |
違うんだ。 |
僕が・・・・・僕がその言葉を使いたくて、その考え方に一番一番しっかり頷けるから、ただそれは僕の中 |
に在るだけなんだ。 |
そうだよね・・・・きくり・・・ |
目の前に居なくても、きくりはきっと何処かで嗤っていると、僕はもう、信じられるよ・・・・ |
きくり・・・きくり・・・・・ |
何処・・・・・・・ |
◆ |
『信じて貰えなくても、言わないと町の人達はすべての事件をあなたのせいにしてしまう。』 |
そして地獄少女は、僕に武器を与えようとした。 |
これはもう僕だけの問題じゃないと、僕が地獄通信のことを言わないと、この町は怨みの飛び交う地獄 |
になってしまうと。 |
僕は言った。 |
君が誰も地獄に流さなきゃいいんじゃないか、と。 |
どんなに怨んだって、それで誰も死ななければ、それで済む話じゃんか、と。 |
僕は、きくりになった。 |
そして、嗤った。 |
この言葉を言うために。 |
『悪いことすると自分に返ってくるって。』 |
地獄少女は関係無い。 |
僕は僕だ。 |
だから、僕は地獄少女がくれた武器を利用する。 |
僕は、僕のために、そしてこの町のためにも、黙ってちゃいけないんだ。 |
みんなが僕の事を悪魔の子にしてそれで事件を全部解決できると考えて、それで満足できるならそれで |
いいじゃないか、というきくりとしての僕の言葉を吸い込んで、僕は必死に考える。 |
地獄少女のくれた武器の、言葉の使い方を。 |
そして、その武器と言葉という「理由」を使って、なにを「目的」にして良いのかを。 |
僕は・・・・ |
僕は・・・・・・ |
悪魔の子だなんて・・・・・・・・・・呼ばれたくない!! |
真っ直ぐに紅く黄昏れていく夜の中で、僕はそれでも必死にそう叫ぶ。 |
このままでいい、このままでみんな満足してるならそれでいいと、その言葉の海の中に沈んでいく中で、 |
僕ははっきりとその言葉を飲み込むことを覚悟の上で叫んでいた。 |
たとえ、その海に満ちる言葉が僕を破裂させたとしても、僕はどうしてもどうしても言いたかった。 |
僕は悪魔の子なんかじゃ無い! |
僕は悪いことはなんにもして無い! |
僕は・・・・・ |
僕は・・・・・・ |
お母さんを殺してなんていないっ! |
お父さんを襲ってなんていないっ! |
そして・・ |
僕は・・・・もう・・・・・・・ |
空を覆う紅い眼差しが、すべて地獄少女の瞳の中へと収まっていく。 |
僕は。 |
せりのような人を、もう二度と出したくない! |
◆ |
そして僕は、その言葉を叫ぶために吸い込んだ言葉の重みに耐えられず、海の底に沈んだ。 |
ばたばたと、まるで壊れたラジオのように身動きできずに壊れていった。 |
がーがー。 |
僕はやってない。僕は犯人じゃない。僕はなんにも知らないんだ! |
僕じゃない! |
それでも、魔の手は僕を優しく包み込む。 |
全然、楽しくなれないね。 |
どんなことが起きたって、笑っていられると思ったのに。 |
目の前で、人が消えた。 |
僕の前で、刑事さん達の目の前で。 |
嗚呼・・・・・ |
これで、地獄通信が本当にあるって信じて貰えるんだね・・ |
そして。 |
これで、僕が悪魔の子だっていうことも確定しちゃったんだね。 |
今までの事件で僕が犯人の証拠が無かったのは、僕が地獄少女に頼んで地獄に流したから。 |
僕の話を信じれば、僕が犯人になってしまうんだ。 |
僕は、悪魔の子だから。 |
僕が地獄通信を使ったという証拠は無くても、関係無いんだ。 |
そこまで、きっと必要無いんだ、みんなには。 |
僕に関わった人はみんな、僕が地獄通信を使って殺したことにすればいいんだ。 |
今までの事件の被害者、そしてそれとは関係無い未解決の殺人事件の被害者達も、きっと僕と関わり |
があったってことにすればいいんだ。 |
そして、これから目の前で人が消えたら、その人達も全部僕に関わっていたってことになるんだ。 |
そしてだから、その人達を殺したのは、全部僕になる。 |
僕は殺してない・・・・ |
でも・・・ |
僕は・・・・その人達を・・・・・・・怨んでいたのかもしれない・・・・・ |
僕が言葉にしなくても。 |
僕が考えなくても。 |
僕がどんなに否定しても。 |
僕が悪魔の子である限り、僕はみんなを殺したいって思ってるんだ。 |
だからきっと地獄少女は・・僕目がけて・・・降りて・・・・ |
そして。 |
僕は。 |
その言葉を信じることも。 |
その言葉を疑うことも。 |
できなかった。 |
僕・・・・・・・・・何処へいくのかな |
◆ 『』内文章、アニメ「地獄少女」より引用 ◆ |
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-- 070323-- |
|
|||||||||||||||
■■目覚めの愛の中の人生■■ |
帰れ。 (挨拶) |
うえー、ごめんなさい。 |
すっかり更新ペース乱れちゃってまぁ、なんですかこのザマは。 |
なにげに忙しげなフリですか、フリなんだなおい、ネタはあがってんだぞ。 |
とまぁそんな感じで言い訳もしどろもどろなままにまったりなのですけれど、どうぞひとつよろしく。 |
ちゃうねん。 |
忙しいというか、ただなんとなくだっただけや。 |
ええと、はい、正直に言います、時間の使い方思いっきり間違えて、本来なら余裕なところを忙しい事に |
してしまった自業自得です、ほんと、自己管理の甘い奴です。ごめんなさい。 |
そんなこんなで、更新が遅れに遅れていることをお詫び申し上げます。 |
別に更新日を厳守するをモットーにしてる訳じゃないから、謝る義務など無いのですけれど、なんとなく。 |
取り敢えず手持ち無沙汰なんで、謝っときました、みたいな。 |
ごめんなさい。 (土下座) |
さて。 |
色々とあやふやにしたところで、本日の日記を始めましょうか。 |
・・・。 |
えーっと、なんだっけ? なに書くんでしたっけ? |
んー、今回もマメにネタを溜め込んでるつもりでいたら、なんだか化学反応を起こしてしまい、どかーんと |
爆発して私をかの芸術的な髪型にしてしまって、まぁ、はい、無いです、書く事無いです。 |
あったけど、無くなりました。ていうか忘れました。それが一番近い表現です。脳細胞が、ちょっと。 |
えーと、まぁ、取り敢えず最近読書欲がモリモリですので、書くことに困ったときは本について書くという |
紅い瞳的鉄則のままに行ってみます。 |
色々借りてきました。 |
・小野不由美 「黒祀の島」 |
・坂東眞砂子 「鬼に喰われた女」 |
・青山真治 「雨月物語-UGETSU-」 |
・坂口安吾 「桜の森の満開の下(表題作を含む短編所収本)」 |
・童門冬二 「小説 蜂須賀重喜」 |
・司馬遼太郎 「花咲ける上方武士道」 |
読み終わったのは黒祀の島のみで、現在桜の森の満開の下と小説蜂須賀重喜を同時読み中です。 |
えーと、感想はね、無い。無いです。 |
以上です。 (ぉーぃ) |
◆ |
このところ、更新回数に対する拍手の数の割合が上がってて、なんだか嬉しいような後ろめたいような、 |
むしろそれが気持ちいいみたいな、もうほんとどなたか思いっきり私をあの世に殴り飛ばしてやってください、 |
みたいな勢いです。 |
話が逸れました。 |
拍手、そう、拍手、ありがとうございます。 |
元々ウチは1日1回未満の日の方が多いくらいな、そうですよ、1回も無い日の方が多いんですよ文句 |
あるか?、って感じなので、ほんと嬉しいです。ありがとう御座います。 |
ここ最近は私としては随分と感想執筆熱が上がってきて、特に地獄少女2の感想については、ようやく |
納得しかける寸前まで自分を騙せる感じのものが書けるようになってきたところなので、もしかしてそれに |
対する拍手なのかなーとか、そんな妄想したりしています。 |
無論さっさと更新しやがれボケというお叱りなのかもしれませんし、或いはもしかしたらまなストの感想を |
読んで私と一緒にまっすぐGo!と叫んでくれているからなのかもしれませんし、たんに押し間違えただけ |
かもしれませんし、興味は尽きません。どうか押し間違えではありませんように。 |
まぁ、うん、そういうことで御礼が言いたかったのです。 |
ほんとにいつもありがとう御座います! |
そしてこれからもよろしくお願い致します。 |
拍手を。 (当然 ぉぃ) |
◆ |
あとはあれですか、アニメ。 |
そろそろ最終回シーズンですし、一足早く打ち切られて散った儚い作品もありと、話題に事欠かない |
ことになって参りました。 |
まずは、レッドガーデンについて少々。 |
チャットにて銀光さんにお勧めしておいて、自分は途中でどうでもよくなり、醒めた瞳ですっかりレドガに入 |
れ込んだ(誇張)銀光さんを見やるなど、人として問題な行動をつい取ってしまいましたけど、まぁそれも |
ご愛敬ということで。理事長とジェシカにも会えましたし、それでOKかなと。OK。 |
で、真面目な話、特にこの作品については語るようなことは結局無く、あの終わり方も徹頭徹尾敵同士 |
いがみ合って終わり、みたいな感じで私にはなにも言えることは無いってところでした。 |
なんていうか・・あそこまでひとりひとりが生きていることについての思索と実感を深めたのなら、それを |
元にしてもっと深く考えていけばいいのに、結局狭く閉じ切っちゃってまぁ・・・・やっぱなんも言えないよ。 |
レドガは後味が悪いというより、そもそもなにがやりたかったんだろう、という疑問すら感じさせるような終わり |
方でしたし、またたぶん打ち切りでは無くても、結局ただの勧善懲悪的生存競争モノとして終わらせるつ |
もりだったんだろうな、という感じがしたまま終わってしまいましたので、うん、レドガは私の中で終わりま |
した。はい。 |
で、あとはNANAですね。NANA。 |
来週最終回ですけど、これこの作品、やっぱ凄いわ。 |
ほとんど感想で触れて無いですけど、特に今年に入ってからの内容を観て、よりそれまでの分も含めて |
の全体的な評価が急上昇中です。すごいよこれ。 |
というか、すごいすごいとしか表現できないから、感想書けなかっただけなんですけど。とほほ。 |
ということで、この期に及んでもなんも書けません。あはは。・・・・。 |
ちなみに、いつのまにやら今やってるのはファーストシーズンってことになってて、てことはあれかい? もしか |
しなくともセカンドシーズンやるってことなのかい? ってノリで割りと興奮中。(どんなちなみにですか) |
あー、いいなぁNANAは。NANA超好き。 |
できたら、最終回後に感想をひとつ書きたいですけれど、まぁ無理でしょうね無理ですよ絶対。無理。 |
◆ |
あとはほんとになに書くか忘れてしまったので、割愛させて頂きます。 |
やっぱりネタはメモしたりしといた方がいいのかなって、確信犯的に今頃思っています。 |
そしてメモったら、たぶん意図的に消去する。そういう人です、紅い瞳は。 |
(つまりメモまではする中途半端な人です。) |
◆ |
ひだまりスケッチ: |
遅ればせながらの第10話です。 |
んー、なんか今までとガラっと雰囲気変えてきましたね。 |
ほとんど変わらないシーンの連続で、特別な演出も無く、手間暇かかって無いような感じ。 |
新鮮さはそれなりにあったから、それなりに面白かったですけど、やはりパンチに欠けますね。 |
あとちょっと最近気になるのは、妙に教訓的というか金言的というかそんなものに頼り過ぎなところで、 |
ああいうのは1回の話にちょろっと1つ2つだけくっつける程度のほうが、かえってすっきり来ると思うなー。 |
あとは前々回辺りから妙に作画レベルが落ちてきてるのはどういうことなんでしょ。 |
うん。 |
さすがにそろそろもう、限界です。 |
どうやって感想書いたら。 |
京四郎と永遠の空: |
え、えーと。 |
うん。 |
よく、わかんなかったです。 |
ん、んー。 |
や、あの赤い髪のヘンなお兄さんはもう普通に変態なのでそれでいいのですけれど。 |
んー。 |
なんか・・・あんなんでいいのかな? っていうのが正直なところ。 |
別に打ち切りって話じゃないみたいだから、もっとじっくり作り込めば良いようなものを、まるで一刻もはやく |
終わらせたいみたいな、そういう鬼気迫る片づけっぷりがすごくてですね。えーと、いいのほんとに? |
そんな感じです。 |
いいとか悪いとかじゃなくて、そっちがそれで終わらせるっていうんなら、こっちはもうそれ以上なにも言えな |
いよ、っていう・・・・あー・・なんか釈然としない・・・ |
ハ レ ル ー ヤ ー ! ! by兄さん |
一番しっくりきたのがこの兄さんの変態ぶりっていうのが、すべてを象徴してます。 |
いや、私が兄さんに毒され過ぎてるだけなのかもしれませんけれど。いやそうであって欲しい。(ぇ) |
取り敢えず絶対天使全員で合体して巨大化してみて、えーとこうなると普通なにするんだっけ、あそうそう |
、そのロボットの中で内面だか心理だかそういう言葉を描いて、対話とかしたりとか、理解とか、うんそん |
なとこでいいか、よしそろそろ合体解除で大崩壊、兄さんも潰しておきます、みたいな。 |
あー、どうしよ。あの形式以外に目がいかない。どーしよ。 |
うん。 |
この際、たるろってとかおんとせつなは無視します。ていうかたぶん無視してもいいと思います。 |
だって、あなたはそういう人ですよね? はいそうです、って簡単な確認事項なだけですもんアレ。 |
はい。 |
んじゃ、空。それと京四郎でいきます。 |
このふたりの言葉で、全部まとめて理解してみます。まとめます。 |
んー。 |
つまり・・・「正しいこと」っていうのがまず先行してあって、それは「こうしなければいけないもの」と言い換え |
ることができるもので、たとえば空の夢の中の王子様っていうのは、空の理想の男性像でありそして空は |
その男性と結ばれることを至上のこと、すなわち最も「正しいこと」「こうしなければならないもの」の対象 |
として相応しい存在をその夢の中の王子様に求めていて、けれどそれを得ることで得られる事と、その |
それを追い求めている事のうちに得られる事は実は全然別のことだということに気付いて、そして空は |
夢の中の王子様では無く、夢の王子様として見上げた京四郎の、その生身の人間として現在同じく |
此処に実存している空の目の前に居る存在をこそ求めるようになった。 |
京四郎は、絶対的に正しい最高に存在である兄さんを求め、そしてその求めは実は兄さんのように「な |
らなければならない」という言葉が主で、そして実際に自身も最高の人間になろうとする命を賭けるほど |
の努力は主では無くなっていて。 |
京四郎はカズヤ兄さんにはなれない。けれど京四郎は、その兄さんに劣らずそれを越える、最高の存在 |
としての京四郎にならなければいけなかった。 |
そして京四郎はやっと気付くのです。 |
その実際に存在する、実体を以て此処にある、その自分自身が最高の存在になるために、最も必要 |
かつそしてだからこそ今最も求めているものはなにか、と。 |
それは、空も同じです。 |
夢の中の王子様と結ばれることはない。けれど空は、その王子様に劣らずそれを越える、最高の存在 |
としての恋人と出会わなければいけなかった。 |
その実際に存在する、実体を以て此処にある、その自分自身が最高の存在に出会うために、最も必要 |
かつそしてだからこそ今最も求めているものはなにか、と。 |
それは京四郎にとっては目の前の空、空にとっては目の前の京四郎。 |
京四郎が命を賭けることができる、自身を最高へと至らせるほどの想いを向けることのできる相手は空。 |
空が魂すらも入れる隙間も無いほどに想うことのできる相手は京四郎。 |
はい。 |
京四郎と、そして空が一体なにを選んだのか。 |
それがきっと、この「京四郎と永遠の空」という作品の最大のテーマ。 |
さて、なんでしょうね。 |
私は、そこで初めて、今回のたるろってやかおんやせつなの対話シーンに意味が出てくるのだと思いまし |
た。 |
あれを観て、あの簡略にまとめられた彼女達の「姿」を観て、考えてみる。 |
その答えを一番わかりやすく図示したのが空のシーンなんですね。 |
あなたの求めるものは、命を振り捨てるほどに愛して止まないものは、なに? |
そして、その「もの」とは、一体どういうことであるといえるのか。 |
求めること=愛すること=生きている。 |
つまり、それは私。それが、あなた。 |
たるろってもかおんもせつなも、それぞれの形で、それぞれが現実の中で見上げた夢を追い、そしてその |
現実の中に肉を得た夢を求めていくんです。 |
だから彼女達は必死に「自分」を語ります。 |
言葉という武器を使って、形無き現実に形を与え、そして自らをその言葉に寄り添えるように、また新たな |
言葉によって自らを変えていく・・ |
自分、といったものが完全な形として絶対的に此処に在る訳じゃ無い。 |
けれど、その千変万化、或いは無いかもしれない自分を、言葉という「形」そのものとして確かに存在 |
させることはでき、その語られた自分に添わせて、その有るか無きかすら判然としない自分というものを |
織り込んでいくことはできる。 |
その言葉がこそ、意志。 |
ソウジロウが、なんで京四郎が空を助けることがみんなを救う鍵になるといったのか。 |
それは。 |
「白鳥空」という、みんなが「求めていること」の象徴が其処にあるから。 |
白鳥空を救うことができれば、白鳥空を救うという意志で動いていたものが、白鳥空を救ったという、 |
救うべきものを救ったという、夢をこの現実の中に肉を得て掴んだという、その「言葉」として語った「自分」 |
に肉を付け此処に存在させたという事になるからなのです。 |
そうすりゃ、俺も、私も、たるろってのために、かおんちゃんのために、頑張れる。 |
いいや。いいえ。 |
頑張らなくちゃいけない。 |
いいや、いいえ、だからこそ。 |
その頑張りの中に絶対にたるろってとかおんを手に入れる事ができると信じることができるのです。 |
それはたるろってもかおんも同じこと。無論、せつなも。 |
もうそれ以上、なにもいらない。 |
そしてなにもいらないと思えるからこそ。 |
それを求めて永遠に命を賭けて頑張ることができる。 |
そして、その無限の努力の中に、それ以上のすべてが満ちあふれる幸せの連鎖が在ることを、ただただ |
実感していくことができるのです。 |
一番大切な、これ以上は無い至高のこの想いがあるからこそ。 |
この世界の中に、その無限に無数に広がる幸せの可能性達を求めながら、そして永遠に生きていく |
ことができるのです。 |
永遠の愛を、今この瞬間に、信じることができるゆえに。 |
主なる京四郎への空への愛が此処にあり、そして従なる永遠と無限と幸せと生が其処にある。 |
あー、なんかやっとラストシーンの感動に繋がれた気分。 |
あー。 |
空・・・・よかったね・・・・京四郎・・・・・ぐっじょぶ・・・ |
やっと涙が・・・・・(遅) |
そしてやっと私の頭の中から兄さんの幻影が・・・・(お疲れ様でした) |
まなびストレート!: |
最高、 最高、 最高! |
わたしにもみえるよ。 |
みんなのうたが。 |
わたしたちのうたが。 |
わたしが、みんなが、うたってる。 |
楽しい楽しいそのうたを。 |
楽しく楽しくそのうたを。 |
笑顔一杯で、真っ白になるまで幸せに。 |
うん。 |
無理だ。 |
詩っぽくしてみようと思ったけど、駄目だ。 |
無理無理、ちょっとでもヘンな力みかたしたら的はずれになっちゃうよ。 |
あーもう、一生懸命だね。それ実感してるね。マジだよマジ。外せないよ。 |
もうね、まっすぐGo。 |
どんなに楽しくたって、どんなに悲しくたって、そしてどんなになんにも無くたって。 |
見えちゃうんだよね、わたしら。 |
おっきな宇宙の中のちっさなこの星の中に、しっかりちゃっかり生きてるわたしらのことをさ。 |
まわりぐーるぐる全開に囲まれてて、ぎっちり沢山のものとくっついて一緒に生きてる。 |
わたしだけじゃ、無い。 |
もうね、無理だよ。 |
わたししか、居ないだなんて思うの。 |
ほんとのほんとに、そうとしか感じられなくっても、やっぱり全然無理なんだよ。 |
すごいよ、もう。 |
みんな、周りに居るじゃん。 |
そんで、みんなが周りに居るって言える、わたしが居るじゃん。 |
たとえ誰も居ないと感じることしかできなくても、それでも、どうしても「誰か居る」って言葉は消えて無く |
なってはくれない。 |
うん。どうしよ。どうしようもないよ。こりゃ。 |
うっわ、当たり前だね。その当たり前のことから逃げることなんて、んなことできるかー。 |
ていうか、それから逃げることを絶対に絶対に絶対に許してはおかないわたしが居るよー。 |
うわーうわーうわー。 |
まー落ち着けー。 |
意味不明よー。 |
ライブのシーンが始まった辺りから、もうなんもかんも止まんなくなって、ぐわーってなってきて。 |
なんだろ、それまではああやっと念願の文化祭が始まったんだね、よかったねまなびさん、みたいな感じで |
すっかり落ち着いてどこかしら一歩退いてそのまますっと消えちゃうみたいな感じで、おまけにあー今回は |
こういう感じですっきり自分の中でまとめて終わりでいいか、みたいなそういう評価者モードに入っちゃって |
て。 |
理事長の話だって、うんそうだよね、その通りだよね、とただその論理としての言葉を認定していく事だけ |
で閉じちゃっててさ、そして誰も居ない部屋の中でテレビ画面をふっつりと切ったときのような消失感で |
終わろうとしてて。 |
そしたらさ。 |
うたが、始まったんだよね。 |
どくん |
心臓、止まったね。 |
そして、そのあとに打った一番最初の鼓動はもう、わたしを支配してたんだ。 |
よっしゃー! |
なんでこんなに簡単に私変身しちゃってんだろ、とかおろおろしながら自分の体眺め回してるうちにもう |
普通にポーズ取ってるみたいな、あーもう、うたえ、踊れ、いっちょぶちかますかって、まっすぐGoしちゃって。 |
うん。 |
一気に、そうほんとあのうたの始まりの瞬間に、わたしはあの画面の中のみんなと同じ場所に立っちゃった |
んだよね。 |
今まさに文化祭の中でライブが始まった、あのもの凄い内側から弾け飛んでいく感覚がもうビンビンで。 |
あれで、もう、勝負ついたね。負けました。負けました。ああもう、まなスト超最高っ! |
ノリノリですよ。 |
わたしにも、みえちゃったもんね。 |
多佳ちゃんやまなび達が観てたイメージを、画面の向こうの此処に居ながらにして、ががーんとライブの |
鼓動に乗せて体感しちゃったもんね。 |
多佳ちゃんは言ったよ。 |
「イメージすること。それを形にすること。今は私にもわかる」って。 |
うん。 |
うん。 |
うん! |
みえたよ、みえた、みえちゃったよ! |
ブラボー!! |
うん。 |
周りになにかあろうとなかろうと、それらと繋がっていこうとする意志そのものが、そしてその意志するところの |
イメージが、ありありと既に其処に存在している周囲のものたちと自分の繋がりを鮮やかに描き出して |
いくんですよね。 |
なんにも無い訳じゃない、けどなんにも無かったらなにもできない訳じゃない。 |
今、此処に存在していること、それ自体がもう、無限の可能性を秘めている。 |
だから抱き締めていきましょう、その人生を。 |
目の前になにも無かったら、なにかがあることを想像してみよう、そしてその想像をどんどんリアルに深め |
ていこうよ。 |
そのために必要な情報を蓄積し、耳を澄ませ息を大きく吸い込んで、どんどんとそのイメージを膨らませ |
ていこうよ。現実よりも生々しく、リアルよりも複雑豊饒な宇宙を描いてみようよ。 |
そのイメージの中の世界に居られるのは、その瞳を閉じている間だけだけど、でも、その瞳を閉じている |
自分がそこに居て、そしてその自分を見つめればその自分が決してイメージの中の世界には居ないことを |
感じことができ、そしてそれでもそうして目を閉じている自分を見つめている自分が此処に在るのでは無く |
、ただすべてを感じその中に生きているのは、そうしてイメージされた素晴らしい世界を体感している「私」 |
だけだってことに、どうしようも無く気付くことができるんだ。 |
ねぇ、その目を開ける前に、もうひとつゆっくりと息を吸って、そしてどこまでも静かに耳を澄ましてご覧よ。 |
そしてそのまま、愛を込めてその瞳を広げてご覧よ。 |
きっと、きっとね、そうしたら、今観ていたイメージがイメージでしか無いことを実感できて、そして、そのとき |
にはもう、居ても立っても居られないくらいに、そのイメージを実現したくて堪らなくなるはずだよ。 |
イメージして、イメージして、それで充分なんて言うのが馬鹿らしいくらいに、その目を閉じてイメージを広げ |
ている自分が居る、今この現実の世界が既に、どうしようも無く幸福で満ちてることに気付けてしまう |
はずなんだよ。 |
目を閉じてイメージの中に居る自分も、確かに今のこの現実の中に居るって実感してるんだよね。 |
夢を観ている自分が、既にその夢に幸せを感じているんだよね。 |
そしてその夢は既に、そう思えた段階で現実世界とイコールになる。 |
「現実」なんてものは存在しないし、それはただ自らが語る言葉で練り上げたイメージそのものでしか無い |
。 |
その「イメージ」をわたしらはつくることが出来て、そして。 |
そのイメージに幸せを感じることもまた、出来るんだ。 |
生徒会本部での受付業務のために文化祭に参加できないまなびさん達は、それでも目を閉じ耳を澄ま |
せ深呼吸して、聞こえてくるライブの音や学園祭の息吹を肌で感じ、これまでの自分達の過ごした時間 |
に思いを致し、そしてすっかり幸せ一杯に愛を込めたその目を開いたときに見えた世界は、これはもう |
とんでも無く楽しいんですよね。だって今此処に、まなびさんが在るんだから。 |
「こういうのも、ありかな。」 |
うん、ありあり。断然ありだよね! |
そして。 |
だから、此処に居るから、まなびさんがそうして幸せなイメージを抱き締めることができるから、 |
だから、まっすぐGo! |
はい、ちゃっかり園長達に受け付け任せてライブに行っちゃいました。 |
あーはいはい、確かに生徒会長がそういうことしちゃいけないよねー、園長先生も生徒主体の学園祭 |
の義務を引き受けちゃ駄目ですよねー。 |
「いいんじゃないですか? 最後くらい。」 |
「ですね。」 |
はい、私も賛成です。一番大切なことは、今、一番リアルなことはって感じですよ。なに言ってん。 |
そんで、ライブ。 |
天宮学美、うたいます! |
・・・。 |
・・・・・。 |
泣いた。泣けた。 |
そして、万歳、聖桜。聖桜校歌最高。 |
素晴らしき学園の魂。精神。イメージ。 |
それをまっさらにうたいあげるまなびさん。 |
しーんと静まりどこまでも澄んでいくその静寂が、あの会場に集まったすべての人たちの鼓動により産み |
出されたものである、その圧倒的な生命感。 |
学園の歴史が、多くの生徒達の声と汗と涙と想いを吸って、初めて魅せるその存在感。 |
そして。 |
それでも、どんな歌詞でも良かったとは決して言えはしない。 |
あの歌詞だからこそと、そうみんなが思えた瞬間が此処にあったからこそ、その歌はみんなの魂が精神が |
イメージが形を以てそこに顕れることができた。 |
そして、だから。 |
まなびさんはそれに続けて、ポップで現代的な曲調で再び校歌を歌おうと思えたんですね。 |
だってこんなに綺麗な歌だもん、もっともっと色んな風にも歌ってみたいよ、もっともっと今此処に居る私 |
達にも合うような、そしてその今此処に居る私はこれから時間ごとに増えていくけど、そのたびにそのとき |
合ったすごい歌い方をしてみたいよ! |
その魂を抱き締めることができるから、だからそれを天に放り投げてちょいっと軽いステップを刻んで、そして |
ずっしりと再び舞い落ちてきたその魂を受け止めてみたいよ。 |
だから。 |
まっすぐGo! どこまでも、いつまでも! |
目的を求めて一生懸命になれる。 |
でも、求めて得たもの自身よりも、今此処に居てなにかをしている自分の存在にこそ、一番に真摯にな |
れる。 |
なにかを求めていることに、そして今この手に得たものから受ける実感に。 |
そして、今こうして、この世界の中に生きていることに。 |
だから。 |
「みんな、大好き!」 って、どうしても、絶対に絶対に言いたくて堪らなくなる。 |
それが出来るのは学生だけ? |
いいえ。 |
そういうことができるのが学生ってだけ。限定な訳無いじゃん。 |
うん、でも学生が一番そうするに適した環境を背景にできる存在ってのは確かなんだよね。 |
だから。 |
そこに、学生の、学園の存在意義があるんですね。 |
それですね。 |
このまなストが今まで「学校」というものについて語ってきたことは。 |
うん。 |
そしてだからこそ、学園以外の場所を、それのアンチテーゼとしての場所にしないことこそが、真に重要な |
ことだってことを、わたしたちに考えて欲しかったのかもね。 |
頑張れ、社会人。 |
社会人、なんて言葉に価値を感じなくても済むように。 |
無論、学生なんて言葉にも、ね。 |
次回は最終回。 |
ていうか、まっすぐGo! (最後までね) |
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-- 070319-- |
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|||||||||||||||
■■ 地獄の宝物 ■■ |
『あの町のせいよ・・・・あの町さえ出来なければ・・・・・!』 |
〜地獄少女 二籠 ・第二十二話・せりの言葉より〜 |
ゆっくり、ゆっくり、時間は進む。 |
たっぷりと時間を貯めて、しっかりと時間をかけて。 |
そして気付いたときには、ただ今此処に居る僕しか無かった。 |
真っ赤に焼ける夕焼けも、真っ青に透き通る高い空も、ただ日々変化しながら僕を包む時間のうちの |
ひとつにしか過ぎなかった。 |
慣れちゃった訳じゃ無いよ。 |
僕、なんにもわからなくなっちゃったんだ。 |
楽しい事なんてなんにも無くて、その代わり苦しいことも全部無くなって。 |
でもそれだからどうしたんだっていうんだろ。 |
僕、別にそれでもいいよ。 |
どうでも、いいよ。 |
だから、飽きるもなにも無いよ。 |
どんな場所だろうと、どんな境遇だろうと。 |
どんな、僕だろうと。 |
僕が歩んできた時間の中にしか、僕は居ない。 |
それだけなんだから。 |
なにを、言ってんだろうね。 |
どうでも、いいけどね。 |
◆ |
僕はね、悪魔の子って言われてるんだ。 |
なんでだかは、知らない。 |
僕のお母さんは殺されて、お父さんはその犯人に殴られて入院中。 |
その犯人はね、僕の目の前で消えちゃったんだ。 |
嘘じゃないよ、でも信じてとは言えないけど。 |
僕はね、悪魔の子だから、きっとお母さんを殺してお父さんに大怪我を負わせたのも僕なんだって。 |
警察の人もね、真っ先に僕を疑ったんだ。 |
勿論証拠もなにも無かったからそれ以上は無かったけど、でもお陰で僕は警察に助けて貰う事もできな |
くなっちゃったんだ。 |
僕は、お母さん達を襲った犯人を捕まえて貰うために、もう知っていた犯人を地獄少女の力を借りて |
地獄に流すことを必死に我慢したのにね・・・・それなのに・・犯人は僕だって警察は思ったんだ・・・ |
うん・・・僕にはもう、犯人を、あいつを地獄に流すことはできないんだ・・・ |
だってあいつ、僕の目の前で他の人の怨みで地獄に流されちゃったんだから。 |
だから僕、どうすればいいのかわからなくなっちゃって・・・ |
僕・・・・ここで・・・今・・・なにしてるのかな・・・・わかんないや・・ |
くるくると廻る毎日に合わせて、なにも変わらない体を引きずっていく。 |
僕の体は少しずつ成長しているはずなのに、僕はそれを感じることが全然できない。 |
ううん、そんなの当たり前じゃんっていうかもしれないけれど、でもほんとにそうなんだよ。 |
なにを自分が今言ってるのかすら、僕にはよくわからないんだ。 |
僕はただもう・・・言わなくちゃいけないことをなぞっているだけみたいなんだ・・・ |
なんでだろう・・ |
周りの人達が僕を嫌な目で見て、僕はそれに怒るでも無くただ不機嫌な素振りをして、そして悪口が |
耳に届いたらひたすら鼻歌を歌って聞こえなくする。 |
別にそんなことがしたい訳じゃないのにね・・・ |
どうだっていいのに・・・それなのに僕は・・・そうやってなんだか周りの人への反応の中に居たんだ。 |
警察の人は僕の話を聞いてくれないばかりか僕を疑っていて・・・ |
誰も僕の話を信じてくれず・・僕がなにかを言おうとすれば目を伏せて立ち去っていく・・・ |
そしていつも振り返ると、そこには誰かの蔑むような憎むような視線を感じちゃうんだ・・・ |
僕が・・・悪魔の子だから・・・ |
僕が全部やったっていうの・・? |
僕が本当にお母さんやお父さんを襲ったんだったら、周りの人達がそうするのもわかる気がする・・ |
でも・・・僕はやってない・・・・・もう・・・それがいけないことのように思えてきて・・・ |
僕は悪魔の子のくせに、本当はお母さんを殺していなくてお父さんに大怪我を負わせてはいないから、 |
だからこんな変な感じになっちゃってるのかな・・ |
変だよね・・・そんなこと・・・・ |
僕は・・・悪魔の子なんかじゃないのに・・・・ |
ううん・・そうじゃないのかもしれない・・・ |
みんなが・・・・・僕のことを悪魔の子だって言ったから、僕は悪魔の子なのかもしれない。 |
僕がお母さん達を襲ったから、だから僕は悪魔の子になったんだ。 |
でも僕は、やってない。 |
僕はなにも悪いことしてないのに。 |
悪いことをしたから、悪魔の子って言われるのに。 |
悪いことをした人は、みんな悪魔の子なんだ。 |
だから、悪魔の子だから親を殺したのはお前に違いないって、そう言うんだ。 |
でも僕は、悪いことをなにもしてない。 |
僕は最初から、悪魔の子って言われてた。 |
なんにも、してないのに。 |
どうして。 |
僕は・・・・ |
どうなっちゃうんだろ・・・・ |
今はもう・・・・それすらも・・怖くないんだ・・・ |
きくり・・・ |
次に君に会ったら、僕はどうすればいいんだろ |
++ 論理の無い感情は存在しない。ただ在るは感情の無い論理を選ぶ存在のみ ++ |
◆◆ |
僕はまっすぐ歩いた。 |
悪いことはしちゃいけないんだ。 |
だって、悪いことしたら僕も悪人になってしまうんだから。 |
僕は悪人になりたくない。 |
本当にそう思ってるのかって? |
わからない。 |
でも、そう思わなくちゃいけない気がするんだ。 |
だって、お父さんもそう言っていたんだ、悪いことをして返しちゃいけないって。 |
そりゃ、仕返ししたらすっとするかもしれないよ。 |
でも、それよりも僕はそうすることで怖くなっちゃうんだ。 |
もし一度でも仕返しを、悪いことをしたら、僕はもう元には戻れないって。 |
うん。 |
僕はずっと我慢した。 |
怖くて怖くて、でも気付くと少しずつ悪いことをしてたりした。 |
僕は、周りの人達を怨んでいたんだ。 |
自然なことだって、言うかもしれない。 |
でも僕は・・・・そうじゃ駄目なんだ・・・っ |
全然全然・・・自然じゃ無いんだ。 |
僕にとっては不自然な方が自然なんだよ。 |
僕は悪いことしちゃいけないって、悪いことしたくて堪らないのを必死で我慢することの方が、 |
そういう他の人から見たら不自然なことの方が、安心できるんだ。 |
我慢して、我慢して、その我慢自体がきっと、僕を支えてくれてたんだ。 |
僕は絶対悪いことはしない、絶対正しいことをするのを諦めない、絶対に絶対に、そう思えるからこそ |
僕は自分に自信が持てたし、生きてるのがすごく楽しかったんだ。 |
なのに僕は・・・・だんだんと・・・ |
だって・・・だって・・・ |
誰も・・・・僕を・・信じてくれなかったんだ・・・・ |
僕はなにも悪いことしてないのに・・僕は悪いことしないって一生懸命決めて頑張ってるのに・・・ |
なのに・・みんな・・・僕のことを・・・・ |
うん・・・言い訳だよね・・こんなこと |
みんなが信じてくれなくても、誰も僕を認めてくれなくても、僕は悪いことはしちゃいけないんだから。 |
僕はただ、悪いことはしちゃいけないって、それだけを必死に・・・・ |
うん・・・・・・・・ |
わかるよ・・・今なら・・・・・・ |
僕・・・・・・・・・・寂しいんだよ・・・・・・・とっても |
---- |
変な人。 |
僕を誰だか知らないのかな? |
普通に僕に声かけて、僕を特別扱いしなくて・・・ |
変な人。 |
でも、なんだかどうでもいいや。 |
僕はあんまり深く考えることもできずに、当たり前のようにせりって名乗ったその人と話してた。 |
嬉しいとか不安とか、そんなこと無かった、やっぱり。 |
でも、それのことをどうとも思わなかったし、そして目の前のせりと話していること以外のことに、なにも頭に |
は浮かんでこなかった。 |
ただ普通に、せりと話してた。 |
せりって、変な人。 |
でも話ていくうちに、そんな事もやっぱりどうでも良くなってきたよ。 |
ただせりと話す。 |
だから、話すことなんてどうでもよかった。 |
だから、ただせりと普通に話してた。 |
話題に出たことを考えて、せりがなにを言おうとしてるのかを考えて、僕はどう答えるべきかを考えて、 |
楽しいとか苦しいとか感じないままに、ただ僕はせりと話してた。 |
僕、なんでせりと話してるんだろ。 |
わからなかったよ、ほんとにもう。 |
そしてそれこそほんとにもう、どうでもよかったんだ。 |
だって、人と話してて笑ったのなんて、ほんとに久しぶりだったんだから。 |
僕はただ笑うべきところで笑っただけなのに、ただ僕はせりに引きずられてただけなのに。 |
なんでだろ、僕はせりとこうしていること以外のことが、まるでそのとき無かったんだ。 |
楽しくて楽しくて仕方無く笑った訳じゃ無いんだよ。 |
ただ話の流れで、ぽっと笑わされただけで・・・ |
でもなんか・・・・・ |
うん・・・・・ |
楽しかったから笑った訳じゃないけど・・・ |
でも・・ |
笑ったことが、笑えたことが、なんだか楽しくなってきちゃったんだ。 |
不思議な人。 |
せりに背中を叩かれながら、僕はただ前を見て歩いてたんだ。 |
僕はせりの言うことの、部分部分しかわからないから、答えられるところだけ答えることしかできなくて、 |
だからきっと僕はせりを満足させてあげられなかったかもしれないし、やっぱり僕はせりのことがよくわからな |
い。 |
でもせりは、その僕を見ても偉ぶらず、かといって変に気遣ってわかりやすい嘘を言うことも無かった。 |
僕は、せりのことを、ただ正直な人だって、そう信じることすらも必要の無いほどに、せりのことを信じること |
ができたんだ。 |
僕の悲しみをせりが理解してくれてるのか、なにも伝えていない僕がわかっているはずが無いのに、 |
それなのにせりは、どうしようも無く僕を理解してるということが、僕にはわかってしまうんだ。 |
せりは僕を、ぎゅっと抱き締めてくれた。 |
きっと、せりの頭の中の僕と、せりの目の前の居る僕は違う姿をしてるんだと思う。 |
でもせりは、確かに悲しんでいる僕を、抱き締めてくれたんだ。 |
僕・・・悪いことはしたくないんだ・・悪いことすると必ず自分に返ってくるって・・・ |
せりも辛い事があって、その腹いせでバス停に落書きして、でも僕がそう言ったら、ごめんって言って、 |
そしてせりは・・・・・僕を抱き締めてくれたんだ・・・・ |
せり・・・・・せり・・・・僕は・・・・・ |
いつのまにか、僕の前にはせりが居た。 |
僕は僕よりも、せりのことを見るようになって、お陰で色んなことを忘れていることができた。 |
せりは、自分で言うほど悪い人でも無く、それどころか本当は凄く良い人で、しっかりしてた。 |
でも僕は、だからせりを非難することをせずに済んでいる、とは思わない。 |
僕はきっと、せりがもっと悪い人でも、せりを非難することで自分の正しさを守ろうとはしなかったと思う。 |
僕は・・・ |
なんのために・・・正しいことをして・・・・悪いことをしないのかを・・・・少しずつ理解し始めてた |
せりが僕の家に来て、そして散らかった部屋を片づけるのを一緒にやって、すごく楽しかった。 |
でもそれは、そうして楽しんでいる自分が在ることが楽しいのでは無く、もうそうしている事自体が楽しく |
なってきてたんだ。 |
僕は、ひたすら部屋を片づけて、楽しくて、せりと話して、楽しくて、の繰り返しだった。 |
もしせりが、ずっとこの家に居てくれたら・・・ |
僕はもう、そんな事有り得るはずが無いという思いよりも、せりにそうして欲しいという想いの方が強くなって |
たんだよ。 |
せりと居ると楽しいんだ・・ |
せりは一緒にこの町を出ようと僕を誘って、そして初めて僕は、お父さんが入院しているからこの町から |
出てくことはできない、という拒絶の理由を思い出したんだ。 |
でもそれは僕にはわかりきった事だったから、あんまり関係無いんだ。 |
だって、こうして今せりと一緒に居ることだけが、僕の全部なんだから。 |
せりと一緒に町を出ていくことができない現実があっても、僕はその現実の中でこうしてせりとの楽しい |
ひとときを過ごせるんだよ。 |
勿論、お父さんを置いてせりについてくことは絶対に無いよ。 |
それに、せりにずっとこの家に居て貰うのも無理だってわかってるし、でもね、それでいいんだ、それが正し |
いことなんだし。 |
けど、でもそうしてせりと町を出ていくことを、せりにずっと家に居て貰うことを想うことはしてもいいと思うん |
だよ。 |
なんでだろうね・・・・昔はそんな事思ったこと無かったのに・・・ |
僕はせりと一緒にこの町から出ていくことを、せりにずっと家に居て貰うことを叶える事ができないのが、 |
やっぱり素直に悲しいよ。 |
正しいことをするのが辛いことだって、初めて知った・・・ |
今までは、ただ正しいことをすれば良かっただけなのにね・・・ |
でも・・・・今は・・・・・そうなれた今は・・・・・それがなんだか逆に・・・・・嬉しいんだ |
辛くても、苦しくても、正しいことをするのが、こんなに嬉しいだなんて・・・ |
どうしてだろ・・・ |
どうして僕・・・・ |
悪いことしないんだろ・・・ |
ううん・・ |
僕は新しい答えを見つけたんだ。 |
せりと一緒に居たいから、僕は僕を立派にしなくちゃいけない、から、だよ。 |
ただ馬鹿みたいに悪いことはしちゃいけないって言った僕を、せりは抱き締めてくれた。 |
せりが、その僕を認めてくれた。 |
だから、僕は。 |
悪いことは、しないんだ。 |
絶対。 |
でも。 |
だから、せりがしてる悪いことについて、せりに訊きたくなったんだ。 |
せりの話を、聞きたい。 |
◆◆◆ |
+ |
せり・・ |
やめなよ・・・そんなこと。 |
せりが悪いことをしたのはわかったけど、でもそれならこれ以上悪いことするのはやめようよ。 |
せりは、復讐だっていった。 |
でも復讐はなにも生まないよ。 |
悪いことしたら自分にそれは返ってくるんだよ。 |
僕はせりに不幸になって欲しくないよ。 |
せりに悪い人になって欲しくないよ。 |
だから、これ以上はやめようよ。 |
せりがひどいことをしたのはわかったし、それはせりの復讐だってこともわかったよ。 |
悪いことだよね・・・・正しくないよね・・・・ |
せりは相手が悪いっていうけど・・・でも・・・・ |
僕は・・・せりに・・これ以上・・・・悪いこと・・・させたくないよ・・・・ |
せりに・・・・これ以上苦しんで欲しくないよ |
だって・・・せりは・・・・良い人じゃないか |
せりは・・・悪いことなんて・・・・したくないって思ってるじゃないか・・ |
うん・・・僕は子供だから・・・・大人の事情はわかんないよ・・・ |
でも・・・悪いことはしちゃいけないと・・・・思う・・ |
僕は・・・ |
せりに・・・幸せになって欲しいんだ・・ |
僕の言葉はせりに届かなかったかもしれないね。 |
せりにはせりの世界があるんだもん、僕はそれを知らないから正しいことだけを言えたんだ。 |
せりだってきっとそれくらいわかってるんだ。 |
でもどうしても復讐したかったんだ。 |
そしてきっと、それでも悪いことはしたくないって思ってたんだ。 |
でも一度始めてしまった事を簡単に終わらせることはできなかったんだ。 |
だからせりは・・・・とっても苦しかったんだ・・・僕が思っているよりずっと・・・ |
ごめんね・・・せり・・・僕にはああ言う事しかできなかったんだ・・ |
僕は・・・せりに幸せになって欲しいと、そう願うことしかできないんだ・・・ |
ごめんね・・・せり・・・ごめんね・・・・ |
だから・・・・ |
でも・・・・・僕は・・・・・ |
『やめなよ! |
お金取るのなんかやめてさ、うちに住みなよ。ずっと居てもいいからさ。 |
ね、そうしなよ!』 |
せり! |
今までのこと全部忘れてどっか行っちゃうなんてやめなよ! |
せり! |
死んじゃ嫌だよ!! |
せりがやってきたことを無くすことはできないよ。 |
でもだからって死んで無くそうとすることなんて無いじゃないか! |
せり! |
今のこの生活じゃ駄目なの? ほんとのほんとに駄目なの? |
僕と一緒じゃつまらなかった? |
僕、せりのためだったら、もっともっと頑張れるよ! |
せり! |
せりは悪いことしたけど、でもこれから悪いことしないように、そうしてこれから生きていくことはしていいと思 |
うよ。 |
過去を忘れることなんてできないけど、でもそのために今を見ようとしないのは駄目だよ! |
せり、ここに居てよ。 |
此処で、僕と一緒に生きようよ! |
僕と一緒に幸せになろうよ! |
僕も・・・ |
僕も・・・・負けないから |
僕も、頑張るから! |
だからせりも・・・・・ |
せりも・・・・・・負けないで・・・ |
大人のことはわからなし、せりのこともやっぱりよくわからないけど・・・でも・・・ |
せり・・・・・ |
やっぱり、悪いことは、もうやめようよ! |
今此処で、正々堂々とまっすぐ笑顔で生きようよ! |
せり・・・ |
行っちゃ・・・嫌だよ・・・ |
僕は、せりを守ってあげられないけど、でもほんとに、そう、思うんだ。 |
◆◆◆◆・・・・・・ |
私の住んでた家は、拓真の住む町が新しく出来たときに、潰された。 |
いい子よね。 |
不器用で、でも一生懸命で。 |
頭が悪い訳じゃ無いんだけど、でもこうと決めたらまっすぐに行っちゃう子だから、ちょっと心配だけど。 |
でもあの子、それでも妙に落ち着いてるのよねぇ。 |
どこかで、必死になにかを求めてるから、なのかしらねぇ。 |
あの子があの子の中で必死になればなるほど、あの子自身はもの凄く落ち着いているというか。 |
あの子・・・・・拓真は・・悪魔の子だなんて罵られてて・・・それなのにあんなに真っ直ぐで。 |
それなのに、その真っ直ぐさをさえ懸命に押さえ込んじゃってて。 |
あの子、同じ年頃の子達に比べて、すごく静かなのよね。 |
私があの子くらいのときなんて、澄まし顔をわざわざ作って遊ぶときくらいだったものね、あんなに静かなの |
は。 |
でもこうして近付いて色々話したら・・・やっぱり・・その真っ直ぐさがぐいぐい見えてきてね・・ |
うん・・・ |
ますます・・・・励ましてやりたくなったのよ・・ |
あんたはひとりじゃないってね。 |
負けるな、ってね。 |
あはは。 |
それ、私自身に言ってる言葉でもあるんだけどね。 |
拓真見てて、私はどうしようもなくなっちゃった。 |
ああ・・・この子を守ってやんなくちゃってね |
なんだかね・・・復讐とかなんとか、そんな口実使って自分の感情のままに行動してた自分がね、どうし |
ようも無く虚しいものに思えてきてね。 |
私が拓真に頑張れって言えるようになるためにはどうすればいいかって、もうどうしようも無くそればっかり |
考えるようになっちゃっててね。 |
考えれば考えるほどに、私がやった復讐を完遂させなくちゃ次にはいけないって思って、だから拓真の |
優しい言葉を聞く度に、それは残酷な言葉としか受け取れなくなってる自分に気付いちゃって。 |
私はほんとうに、その拓真の言葉に憤ることしかできないのって、なんか、ようやく初めて考え始められる |
ようになってさ。 |
うん、色々あるんだよ、実際に復讐やるとさ。 |
なかなか簡単には抜け出せなくなるワケよ、たとえやめたいと思ってもさ。 |
でもさ。 |
そんなとき、拓真の言葉聞いてね・・ |
私は、やっぱりどうしようもなく、だからこそその拓真の優しい言葉に甘える訳にはいかないと、そしてだから |
こそその甘えを無理強いさせる拓真のその言葉に反発さえ覚えて、そしてその拓真を無視しようとして・・ |
でも。 |
だから、どうしようも無く、気付けたんだ。 |
この子を無視するかしないか、それを決めるのは必ず私なんだって。 |
ほんとに私は、復讐を完遂しなくてはいけないの? |
ほんとに私は、自分の罪に沈んで消えてけばいいの? |
私はね、拓真。 |
あんたの言葉を聞いて、あんたのその泣き顔を見て。 |
うん。 |
復讐をやめることに、これから全力を尽くすべきなんだって、やっと、やっと思えたんだよ。 |
『今は辛いだろうけど頑張れ。変なこと言う奴がいてもほっとけ。 |
拓真は拓真なんだから。 |
拓真はひとりぼっちじゃないからね。』 |
私は私らしく。 |
今を、頑張るよ。 |
私にはもう。 |
拓真。 |
あんたが居るんだから |
人を呪わば穴ふたつ。 |
私は自分の怨みの罪で地獄に流された。 |
今ほど悲しいことは無い。 |
これほど悔しいことは無い。 |
拓真。 |
拓真・・・・・・ |
またあんたに・・・・会いたいよ・・・・・ |
あんたを・・・守ってやりたいよ・・・・・ |
『お願い、帰して。ねぇ・・・お願い・・帰してよ。 |
お願い・・・・・帰してよ・・・』 |
たとえ拓真を怨むことしかできなくても。 |
拓真の住むあの町を。 |
私に、返して。 |
◆ 『』内文章、アニメ「地獄少女」より引用 ◆ |
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-- 070314-- |
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|||||||||||||||
■■大好きな妖精さんへ■■ |
超法規的措置により、釈放されました。 (挨拶) |
すみません。 |
昨日まで、花粉全然来ないみたいなこと言って、平気な顔してて。 |
ごめんなさい。 |
くしゅんくしゅんいってる人の隣で、なんか私はまだなんだよねーとか、普通に言ったりして。 |
はい。 |
きました。 |
洒落にならないくらいに、きました。 |
ごめんなさい。すみません。 |
今までラクしたぶん、全部きました。 |
なんならもう、世界中の花粉症のみなさんの症状を肩代わりしたっていい。 |
どんとこい。>花粉 |
あはは。 |
ちょっと、頑張れません。 |
◆ |
書くことは色々あったのですけれど、あいにく花粉のお陰で右も左もわかってたまるかぁ!みたいなノリに |
なってしまったので、見なかったことにさせて頂きますことをお許しくださいませ。 |
ということで、早速だらだらと適当に書きます。 |
えー、まずは。 |
京極夏彦の「姑獲鳥の夏」の映画を見ました。実写です。 |
ひ ど す ぎ 。 |
そのひとことで終わりです。 |
いやそれじゃあんまりですので、文句言います。書きます。 |
原作をまるで再現してない、っていうか全然原作を理解してないっていう観点で、それこそ無限に批判 |
できてしまうこと山の如しですし、それを全面的にすっぱり抜きにしても、ひとつの映像作品としてレベルが |
低すぎて、なんだか見てて悲しくなってきてしまうレベル。 |
ていうかなんていうか全体的に総集編みたいな切って張って作ったような深みの無さで、なおかつそれを |
演出で補うどころかむしろ演出はチープ過ぎてお話にならないレベルで、ああもうどうにもならんね、みた |
いな感じでした。どうしようもない。 |
とはいえ、妙にキャスティングだけはまぁそこそこ的を得ているなぁ、という感じでしたけど。 |
でもそれも・・ |
主役の京極堂は私的には一番合ってました。 |
仏頂面も出来てなおかつそれでも親しみを見つけることもできて、でもやっぱり怒ったらめっちゃ怖そうって |
感じの堤真一は良かったですね。もうちょっと黒い険しさがあっても良かったけど。 |
もうひとりの主役の関口は、見れば見るほどあの少しいらっとくる鬱っぽさが出てて良かったけど、ただ |
それ以外の熱血ぷりとか真面目ぷりとかそういうのが無くて、ただぬくもりの無い狂言回し的な感じで |
終わってたのは残念。 |
そして原作で人気の榎木津は阿部寛。背が高くて変わってる人物、という設定にはしっかり合ってるん |
だけど・・・・なんていうかこう、種類が違うっていうか・・。 |
もっとこう透明感のある貴公子然とした、それでいてもうやること言うこと奇矯尽くし、というそういったギャッ |
プとしての雰囲気が無いんですよねー阿部寛は。あれはワイルドっていうか意外な庶民っぽさが見える |
美形というか・・・。 |
中禅寺敦子の田中麗奈も同じで、ボーイッシュな感じはそれでいいんだけど、それも種類が違うボーイ |
ッシュさで、あれじゃ完全に男の子っていうか色気の無いただのがきんちょって感じなだけで、んー、ああい |
うサバサバした感じをまるっと覆う言葉遣いや気遣いの細かさが無いんですよねー。 |
凛って感じの女性性を隠してあるカッコ良さみたいのが無いで、ただ普通に男性的なみたいな・・。 |
あーなに言ってんでしょね。 |
つい鼻に気を取られて余計なことばかり言ってしまいました。 |
無しね、無し。今の無しだから。 |
あー。 (鼻を押さえて上を向きながら) |
◆ |
冬目景「イエスタデイをうたって」第4巻と、上遠野浩平「ブギーポップは笑わない」の漫画版を読みまし |
た。無論再読です。 |
そして柚原さんと紙木城さんにやられました。あー。 |
あー、なんだか今日はいつにも増して頭の悪い感じですけれど、鼻○が脳の方に回ってるからだと思って |
くださいな。あー。 |
柚原さんには前読んだときもやられた記憶があるから、すっかり負け癖ついちゃいましたねー、まったくの |
無抵抗でおもいっきり新鮮にやられてしまいましたよ、あっはっは、ああいう人に紅い瞳は弱いです、全然 |
駄目です、すごいなぁあの人、なんであんな状況なのにヘラヘラと真面目に生きられるんだろ、なにあの |
高スペックの維持力は、って感じ。全然伝わりませんね、はい、語彙無いです私。 |
でまー、紙木城さんはー、うーん、優しい? そんなとこが好きですね。もう頭ロクに回りません。あー。 |
以前は凪さんとかすげーとか普通に言ってたんですけど、今回読んで、あー紙木城さんすげーとか、 |
ああうん、その凄さの中身を書けって話なんですけどね、今私ん中から出せるのは鼻○だけっていうか、 |
聞いてくださいよ、さっき淹れたお茶を持ってこようとしたときに、丁度くしゃみしちゃって、見事にあっついの |
零して最悪ーって感じだったんですよ、でもね湯飲みはそれでも離さなかったんですよ偉いでしょう、って、 |
どんだけ鈍いんだよっていうか、はい、ごめんなさい、ちょっともう少ししっかり床拭いてきます。あ、火傷は |
してません、はい。 |
へーちょ。 ←くしゃみ |
◆ |
ひだまりスケッチ: |
第9話なのですよ。 |
みやちゃんから借りた絶叫目覚ましで寝覚めを悪化させたゆのっちから始まり、学校の卒業生が学校に |
遊びに来たのを捕まえて特別授業させた吉野家先生のいい加減ぶりへと繋がり、そしてゆのっち夢に向 |
かってダッシュしたい感じで〆、と。うん、まぁ、その、そんな感じだ。 |
ていうかあれですね、吉野家先生はそろそろ限界越えますね。某ゆかり先生越えも近いですね。 |
私はああいう駄目というにも足りない感じの大人さんは好きですけど、ときどきやりすぎな感じがするのは |
もっと好きです。久しぶりにツッコミしきれませんでした。あはは、呆然。 |
校長のシーンの無駄を除けば、まぁ卒業生さんの優等生的夢話もむしろ笑うとこみたいな優しい感じ |
で(なに言ってんだ)したし、後半のゆのっちの真面目な苦悩もすとんと綺麗にオチて、うーん、なんか |
いい感じでした。ボケたり真面目になったりと、そのコラボがお綺麗でした。語彙無さ過ぎ。 |
んー、それくらいかなぁ、今日は。 |
あとみやちゃんやっぱり優しいね。いい子いい子。 |
・・・どんなまとめ方だよ。 (しかもまとまってない>いやそもそもまとめるものがない>そうね) |
京四郎と永遠の空: |
カズヤ兄さん: 「 強 く 優 し く 美 し い 、 つ ま り こ の オ レ の よ う に 」 |
もう帰っていいですか。 |
はい、そんな感じで最近「京四郎と永遠の空」とタイプするときに、無意識に「神無月の巫女」と打って |
からああ間違えたと訂正している紅い瞳です、改めましてごきげんよう。 |
冒頭からアレですもん、カズヤ兄さんの勢力は衰えとか遠慮とか空気読むとかまるで知らずに、その猛威 |
を振るい続ける気満々ですよ。ある意味空気読んでますけどね。ある意味。 |
もうお腹の痛みにも慣れてしまって、むしろ私的には疲れてきたくらい。いっそこのまま殺してください。 |
とまぁ冗談は半分くらいにして置いて。 |
やはり残念な事に、作品としては完全に終わりの方向にまっしぐらに向かってきてます。 |
図式としては、それぞれの関係の問題とかを解決する前に、それらを根底的に破壊するカズヤ兄さんの |
登場により、みんなとにかくカズヤ兄さん倒すことに向かって、それで全部終わりまで行っちゃおうって感じ。 |
カズヤ兄さんに拉致された絶対天使達を京四郎や他のマスター達が奪い返しにいくという、まぁ、そんな |
形でほんとに全部終わってしまいそうです。 |
前回のかおんとひみこはもとより、たるろってとソウジロウの関係も、ソウジロウを足蹴にしてただけのたるろ |
ってがソウジロウと引き離される事で泣き叫ぶ愛の形を示してみたりとか、そりゃたるろってはソウジロウに |
理解して貰いたい愛しているからこそソウジロウを蹴り飛ばしてたってのはわかりきってるけどさ、だからって |
それだけ抜き出して描いたってなんも面白くない。 |
愛してるけどそれだけじゃ済まないからこそソウジロウを拒否して更正を求めてたのに、それなのに結局 |
ソウジロウが居さえすればそれでいいみたいな、そういう当たり前な事だけで終わらせちゃうのはどうも。 |
この作品の本質的なテーマは、それぞれの絶対天使とマスターのそれぞれの関係の改善とその未来に |
あるはずなのに、ただその関係が在ることだけで終わらせてしまうなんて、なんとも閉鎖的というか、ある |
意味その関係に萌えてりゃいいんだよ、みたいないやらしさも感じてしまいます。 |
カズヤ兄さんを、なんのために倒しにいくのか。 |
なんのために、絶対天使を取り戻しに行くのか。 |
それが、一番本質的なことなのだと思うなぁ。 |
あとはまぁ、機動風紀委員とか意味無ーとか、そういう作品の中に色々適当に詰め込みすぎだなぁと |
思ったりして、形としてはもうちょっと絞っても良かったんじゃないかなぁとか思ったり。 |
極端な話、京四郎と空を基軸にして、その関係の外に広がるものとして、せいぜいせつなとカズヤ兄さん |
くらいが居れば良いのにと思ったり。 |
ふたりの関係の話としてはだから、あまりにも雑然と他のものが入り込みすぎてるというか。 |
というよりそもそも京四郎の視点が無さ過ぎるし、また空に至ってはカズヤ兄さんが現れてからは訳わか |
らないし、だから「神無月の巫女」のように巫女として外に広がるものと対峙しながらも、決してそれに |
収束せずに主役ふたりの問題を基軸にそれらと対峙する形でまとめた凄みが無いんだよね。 |
京四郎組とソウジロウ組とひみこ組が同列に並べられて、そしてそれらの共通のラスボスとしてのカズヤ |
兄さんが現れてくるだけで、だからどうしても単純な「バトルモノ」にしかなってない。 |
そしてそのエッセンスとして、個別の関係の話が添えられているような感じで、まぁあれですね、これは |
やっぱり各個の話は自分で妄想しろって話なんでしょうね。あーめんどくせー。 |
お話の形としては、すっきり簡単にまとまるけど、でも全然凄みは無い。 |
前半はそこそこそれでも面白かったけど、回が進むに連れ、どんどん内容的には薄くなってくってどういう |
ことよ。そりゃまぁ、スリリングな展開いえばそうだけど、そりゃバトルモノとしては、って感じで。 |
でもま、それは「神無月の巫女」的な感覚を元にして見れば、そうだというだけの話で。 |
神無月のコピーとしてなら、確かに劣化品というレベルにも到達してない作品だけどさ。 |
でもそもそも、神無月の遺志(ぉぃ)を継いだものとして、或いはそれの翻案としての意志しかこの作品に |
見出すつもりが無いんなら、さっさと視聴なんかやめてしまえばいいだけ。 |
せいぜいカズヤ兄さんに笑わせて貰えばそれで充分みたいな。 |
でも私は、別に神無月の模造品とか後継作品を望んでる訳じゃないし、そもそもそういったいかなるイメ |
ージをも、新しい作品に負わせる気は無い。 |
「京四郎と永遠の空」にはその作品としての見所、そして見方があるはずだと思うし、また私にとってはそう |
して新しいアニメと出会って考えて感じていくことが最重要なんだよね。 |
だから。 |
「ふたり」の関係性のみについて見るのでは無く、3つの関係性そのものが、そうしてひとつの世界の中に |
在ること自体を、どう感じどう考えるかって事が、この場合には必要な事なのじゃないか。 |
京四郎と空の関係は、もとよりそのふたりの関係のうちのみに閉じている訳では無いけれど、しかしどう |
してもその関係の観点からの実感を以てでしか、その外にある世界の中に自分達が在ることを感じられ |
ないという要素を持っていて、そして神無月ならばそれを全面に押し出してそれを描ききった訳で、 |
そしてそれをしなかったこの作品では、より世界性(ヘンな言葉)が全面に出てきているんじゃないかなぁ |
と思う。 |
つまり、自分たちふたりの関係を中心にして世界が廻り出すでのは無く、あくまで先行してある世界の |
中でそれに準じる形で自分達ふたりの居場所を獲得していく、ということなんじゃないかなぁ。 |
世界の中でその世界を作るひとつとして、自分以外の人やものが並んである。 |
そしてそのうちのひとりと、特別な関係を結ぶ。 |
だからその特別なひとりと関係を結んだところで、その相手だけが居れば良いという訳では無いんですね。 |
ぶっちゃけた話、ていうかぶっちゃけ過ぎだけど、ある意味で空とせつなは京四郎の恋人というポジションに |
こだわる必要が無いと思うんですよね。 |
今までの関係を、そのままの形で深めていけばいいというか、まぁそれは普通に京四郎が万歳な状態 |
になる訳ですけどw、でもま、当人達にとってはそんなことは無いんですよね。 |
なんかあの人ら、そのまんまで愉しくやってけそうじゃない? |
正義とか倫理とか、そんなの言葉だけの軽い存在のまんまでいられそうな気がする。 |
だからたぶん、せつなと空の場合はお互いが京四郎の一番に「ならなくちゃいけない」とか、二番は京四 |
郎から離れ「なくちゃいけない」とかいう言葉を、ただの言葉だって言って済ますことができると思う。 |
特に、せつなと空を見てるとそう思うんですよね。 |
京四郎がなにをしたいのかが大事、みたいな事言ってましたけど、ほんとそう。 |
なにかをしたい、という言葉だけが、たぶん唯一主体的なことだって思うし。 |
「どうすべきか」よりも「どうなるか」よりも、「どうしたいか」が最もその人自身の言葉には相応しい。 |
恋人がふたり居るなんて状態なんてあっちゃいけない、たとえそれをやろうとしたって絶対うまくいきっこな |
い、でも、それを全部わかってそれでもそうしたいと思って力を尽くせるのなら。 |
そう本当に当人が思えたのなら、それこそがその人が自分に染みこませる言葉として相応しいんじゃない |
かな。 |
その言葉を抱き締めて、そうして初めて、その人にとって「どうすべきか」という言葉と、「どうなるか」という |
言葉の重みがわかるんだと思う。 |
それでやっぱり駄目だと思えばやめればいいし、そしてそれでもそうしたいと思えるんなら、全力でそれを |
達成する努力をしていけばいい。 |
したいと思うことを主体的に続けていけば、それ自体が既に自分の居る場所を決めていく。 |
なるようになるって、そういうこと。そしてその姿を冷静に見ている自分が此処に居る。 |
この世界の中で、なによりも現実的に具体的に、したいことを達成するために。 |
ってなんか話があらぬ方向に飛び散ってしまいましたけど、まぁ概ねそんなとこです。(端折りすぎ) |
っていうか今回はそういう全体的な事しか書くこと無いんだもの。 |
せつなとか空とかなに考えてんのかわかんないしさー、ひみこやかおんも歯食いしばってるだけでさー、 |
なんか私だけ除け者にされたっていうかさー、だからぁもー、カズヤ兄さんはいいっての! |
そんな感じです。なにこの疲労感。 |
まなびストレート!: |
妖精さんかぁ。 |
私は居ると思うなぁ。 |
自分が慣れ親しんだ物や場所には、きっと神様仏様が宿ってるって思う。 |
そんで、そうして親しんできたものには滅茶苦茶愛着沸くし、だからそれを捨てなくちゃいけないときには |
、やっぱりどうしてもそのものとお話したくなっちゃう。 |
なんて、言えばいいのかな。 |
ごめんって、言う? |
今までありがとう、って言う? |
すんごく、考えると思うよ。 |
んで、そしてめっちゃくちゃ真面目になれると思うよ。 |
真面目になれるのは、やっぱりその物や場所が生きてるから、命があるから、妖精さんが宿ってるから |
って思えるからなんだよねぇ。 |
や、私はあんま、真面目に考える事の方便として妖精さんとかが抽象的に存在してるって捉えるの |
好きじゃないっていうか、それって不純じゃない? って思うんだよね。なんか自分中心主義じゃん? |
まず始めに神様とか妖精さんとか居るって思えるからこそ、そうした自分の外側に他者としてなにかがある |
って思えるからこそ、ほんとに真剣になれるんじゃないかなぁ? |
まー、まなびさん演じる時計塔の妖精さんは、途中から即物的になっちゃって微笑ましく笑えましたが、 |
でも学園のみんなは、やっぱりそれなりに妖精さんの声をちゃんと聴いて、そして自分の言葉を伝えられ |
たんじゃないかなぁ。 |
うん、結局やってるのは、そうやって自分の中の気持ちのけじめを付けるって事にはなる訳だけど、でも |
そこでヘンに自分だけに閉じちゃうってだけじゃなく、やっぱり時計塔の妖精さんとお話したって凄さ自体に、 |
一番深いものを得られるんじゃないかなぁ。 |
自分だけじゃないって思えるから、感謝できたり謝ったりできる相手が居るからこそ、そこから胸を張って |
頑張れるんじゃないかなぁ。 |
だって、妖精さんが見ててくれるんだからね。 |
んで、芽生の言葉に移行。 |
楽しさって、それを現に楽しんでる人にしかわからないもんじゃないの? |
楽しさを知らないときに、いくら楽しい楽しい言われても、それだけじゃ楽しくはなれない。 |
楽しみは、それを知らなければ、楽しいものにはならない。 |
友達から仲間へ、という最高のキャッチコピーは、その言葉に現在頷くことの出来た人達だけにしか |
その重みは伝わってはいないってお話。 |
うん、そう、そう、そうだよね。 |
いっくらまなびたちが頑張って楽しんでたって、そりゃー既に楽しくて楽しくて堪らないから、そのまんま |
まっすぐGoに楽しんでるだけなんだもんね。 |
べっつに楽しいと思って無い人から見たら、はっ!てなもんだよね。 |
なーんに楽しいって思って無いことを、いったいどうやったら楽しくすることができるのか、或いは楽しくさせ |
ることができるのか。 |
うん、そうだよね。 |
うん。 |
じゃさ、自分のことを思い出してみようよ。 |
なんで、今こんなに楽しいんだろ? |
楽しくて、楽しくて堪らなかったのは、ほんとのほんとに最初からそうだった? |
たぶん、始まりは誰にでもあるし、そのときは絶対それを楽しんでいる自分の姿なんて思い浮かばなかった |
と思う。 |
うん。 |
だからきっと、どこかで楽しくないから楽しいへの劇的な変化があったはずなんだよ。 |
でね、今は確かにその現在の楽しくて楽しくて堪らない、それこそEDの歌詞にあるみたいなラッキーな自 |
分の状態任せになれてる、そういうチャンスをがっちり掴んでる。 |
でもね、そうなる直前の、それに変化する瞬間の、その実感は実はしっかりその楽しんでる自分の中には |
あると思うんだよね。 |
この楽しい時間を作ったのは、他ならない私なんだ、って言葉として。 |
まなびはさ。 |
結局、全校生徒の70%の署名を集めるための具体策を、一切講じることは無かった。 |
結局最後まで、ただ楽しく愉しくやってただけ。 |
なーんも、やってないんですよ、今までと違うことは。 |
うん。 |
それは、言い換えれば、全校生徒の70%を獲得することへのこだわりが消えたってことなんです。 |
「これって、学園祭みたいだよね。」 |
みかんのこの言葉が、もうなんか完璧にまなび達の心を表してる。 |
みんなで愉しくやって、そしてそれに賛同してくれる人達が少しでも増えて、それで新しい生徒会室を |
作ってくれる人達も一杯きて、そうしてみんなでわいわい愉しくやってる事自体が、もう充分愉しくて。 |
別に学園祭をやることを諦めたって訳じゃ無いと思うんです。 |
でも、学園祭がやれなければ全部駄目っていう縛りから、見るも鮮やかに解放されたんだと思うんです。 |
なんだ、もうこれだけでも充分愉しいじゃん。全然、全然愉しいじゃん! |
だから、まなび達は、今居る自分達だけで閉鎖的に愉しみを独り占めするって事に堕ちることも無く、 |
それでもみんなに愉しいことあるよーって前回で伝えようとして、そして。 |
みんなをそこに優しく連れてくるんです。 |
みんなで一緒にお菓子食べようよ、良かったらお茶飲んでかない? |
え? 手伝い? してくれるの? あ、ありがとう! |
でも別に手伝いを求めて人に声かけた訳じゃない。 |
愉しいことあるから、美味しいものあるから、どう?食べてかない?って、ただそれだけ。 |
もしそこでなにか手伝うことがしたいっていうんなら、それが「愉しい」っていうんならやってくれても全然OK、 |
いやいや嬉しいよーありがとう! ってな感じ。 |
生徒会室を作ることの手伝いも、文化祭開催の署名をすることも、文化祭をやることも、愉しみのひとつ |
にしか過ぎないんです。 |
だから、愉しいことをするならそれにこだわる必要も無く、まただからまなびはできるだけ沢山の愉しみを |
用意してみんなを招くんですね。 |
無論、その中のひとつに文化祭の開催があるんです。 |
あ・・・。 |
なんか目が覚めた想いがするよ・・・・ |
生徒主体って、ほんとはそういう意味なのね・・ |
学園の中にも愉しさの選択が必要で、そしてその中でみんなが選んだものこそ、真にやる意味が生じて |
くる。 |
まなびは、いや私もですけど、学園祭って「枠」にこだわり過ぎてたんですね。 |
それもまた選択肢のひとつにしか過ぎなかったんだって。 |
文化祭って枠は、元々最初から学園生活を真っ直ぐに楽しんだら辿り着く、そういうある意味で必然的 |
な選択肢だけど、でもそれはあくまで他の選択肢と並んであってこそ、その必然の意味があるんです。 |
初めっから文化祭をやらなくちゃいけないって決めつけてたら、それこそその文化祭を「選ぶ」という行為を |
生徒達から奪ってしまう事になるんですよねぇ。 |
だから、文化祭をやらないという選択肢もありな上にそれが選ばれるのも無論アリな訳で、そしてその |
可能性を越えて選ばれた文化祭にこそ、真に生徒達が主体的に行う文化祭の意義が生まれてくる |
のじゃないかなぁ。 |
みんながほんとに一緒になって愉しめるものが見つかったのなら、それで充分じゃない? |
ていうか、よく考えたら、ていうかそこまで来たら、きっともう実際問題として、文化祭を行わない理由は |
無い気がするよね。 |
だって、あの画面の中の人達は、みんなで一緒にやること自体が、もう既に愉しくなってきてるはずだから。 |
文化祭とか体育祭とか合唱祭とか、これほどそういう愉しみに合致するイベントは無いもんね。 |
みんなで文化祭をやる意味を見つけてく? |
そうじゃないよ、既にもう文化祭をやる意味なんてそこにあるんだよ。 |
文化祭というものが、文化祭に宿る妖精さんが、そこに既に居るから。 |
文化祭って存在そのものが、みんなを惹き付ける魅力を最初から持ってることに、みんな当たり前のよう |
に気付いていくだけなんだよ。 |
まなびと園長の話でもさ、まなびは生徒会長に立候補したときに、きっとこの学園のことを好きになれるっ |
ていって、その時点ではただそう想うことしかできない状態で、でもその始まりとしての「好きになれるかも |
しれない」という可能性の優しい保留こそが、今こうして確かに学園のことを大好きになったと言えるまな |
びを此処に連れてきたんですよねぇ。 |
「好きになれるかもしれない」という一言を、勇気を持って維持し、そしてその頑張りがこそ、現実の学園 |
生活の中に生の実感としての楽しみを見つける事に繋げたんですよねぇ。 |
校歌の歌詞が好きだから学園も好きになれる、それはもしかしたら一見軽薄な言葉かもしれないけど、 |
でもその「好きになれるかもしれない」という言葉こそが、その現在の本物の楽しさをこの学園の中にみつ |
けさせたんだよね。 |
好きって言葉がだから、いっちばん初めにあるんです。 |
そんな事言ったって、文化祭なんて別に興味無いし、ぶっちゃけ騒いでんのあんたらだけじゃん? |
準備とかめんくさいし、そもそもやるには署名が必要とか言うじゃん? うざすぎー。 |
それに駅前でイベントあるし、だからわざわざ文化祭なんかやる意味無いんだよねー。 |
もし、私がそんな感じだったとしたら。 |
もし、そんな私の前で、既に愉しく騒いでて、しかもなんだか色んなことやってるみたいで、もしかしたら |
そんな堅苦しく考えなくても、軽い気持ちで入ってけそうな、輪というかもうなんか境界線が無いような、 |
ただのひとつの時間のようにそれを感じられたら。 |
うん。 |
私だったら。 |
きっと、一歩を踏み出す勇気を出すことを、真剣に考えちゃうね。 |
そして。 |
もし、そんなとき、誰かがそっと背を押してくれ、そして誰かが笑顔で手を引いてくれたら・・・ |
絶対に、その時間に飛び込んじゃうね。 |
だって今、目の前に、確かに「愉しい」ことが広がってるんだから。 |
その目の前に居る、その愉しい時間に必要とされてる私を強く感じさせながら、それはそこにある。 |
まぁあれだ、そんな私はくれぐれも詐欺とかに引っかからないように、ってことだ。 |
気を付けよう。 |
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-- 070311-- |
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|||||||||||||||
■■ 女の地獄 ■■ |
『 嗚呼・・・・・・・・・・・・・・・・行っちまった・・・』 |
〜地獄少女 二籠 ・第二十一話・骨女の言葉より〜 |
草木も眠る丑三つ時、というにはまだ早い、それでも宵の口からは随分と分け入った頃合いの闇と言った |
ら、賑々しさを孕んだ灯がぽつぽつと夜空を焦がす、そりゃあ勢いのある時分で。 |
提灯持ってなけりゃ一寸先は真っ暗けなのに、それでもそのもそっと先には点々と明るい闇の果てが蜃気 |
楼のように浮かんでてさ、みんな自分の足取りがうっすらと軽くなってるのも気付かないくらいに、その闇に |
喰われた灯のひとつとなるのも厭わないくらいの、そういう誰もが真っ当に狂えることのできたりするもん |
なんだよ。 |
自分の目の前の闇に立っているのが、生きてるもんか死んでるもんなのかもわからなくても、それでも真 |
面目に挨拶できちまう、実に頭の悪い幸せな光の遊び場所。 |
そのうち自分がなにもんなのかもわからなくなってるのに、それすらも楽しんでやろうと、そうしてがむしゃら |
に歯を食いしばる、そういう粋な男や女が、そして本当に見失った自分をよそに狂いあげるのさ。 |
なぁ、だったら、あたしも混ぜておくれよ。 |
そんな幽霊見たような顔しないでさ、あたしを慰めちゃくれないかい? |
この明るい闇の下に、死んでるもんなんていないんだからさ。 |
ねぇ、ねぇったら。 |
ねぇ、逃げないでおくれよ。 |
そんな馬鹿みたいに巫山戯た悲鳴あげないでおくれよ。 |
せっかくの闇が消えちまうじゃあないか。 |
なんだい、提灯に照らされて浮かんだ顔なんて、全部にせもんだってわかった上で愉しむのが粋ってもん |
じゃないのかい? |
ひゅ〜どろどろどろ。 |
あたしは幽霊さ。ほら、怖いだろう、さぁお逃げ。 |
・・・・う〜ん、幽霊が自分で幽霊なんて言ったら怖くないか。 |
駄目だねあたしゃ、まだまだ大根だね。 |
んったく、それなのに力一杯尻まくって逃げだして、そんなの全然うれしかないよ。 |
まったく、なに考えてんだろうね、あの男。 |
野暮とさえ言えないじゃないか。 |
あー、やだやだ。 |
こんないい女夜道に置いてくなんて、男の風上にもおけやしないよ。 |
まったく。 |
なにが本物なのか、わかりもしないくせにさ。 |
あれ? 人間って足付いてるんだっけ? |
+ |
こんないい夜には、自分のことなんざすっかりどこ吹く風で、目の前の夜の帳が開いた幻の中に魅入っ |
てこそじゃないか。 |
自分が何者なのかなんか、どうだっていいじゃないかさ。 |
なんだい、みんなそれわかっててはしゃいでたんじゃないのかい? |
粋がるんならたとえ骨んなってもやせ我慢しろってんだ。 |
三途の川渡ったくらいなんだい、そんなものこの賑やかで綺麗な夜の中じゃ関係無いじゃないか。 |
いいじゃないか、幽霊抱いたって、いい自慢になるじゃないかさ。 |
みんな嘘だってわかってて、すげぇすげぇと褒めてくるってのにさ。 |
あたしがなにもんだろうと、だから関係無いっていうんだよ。 |
あんたは家にあたしを連れて行き、あたしはあんたに慰められる。 |
あんたは幽霊を拾った男として、ひとつ男を上げるのさ。 |
あたしが本当に幽霊なのか、そんな事は関係無いって、あんたも、そしてあんたの武勇談を聞くみんなも |
、そんなこたぁどうでもいいのさ。 |
騙ってなんぼ、騙られてなんぼ、愉しんでなんぼでしょうに。 |
それでも化けの皮剥ぐなんて野暮なこと、一体やってなんの意味があるってんだい。 |
あたしが幽霊だろうと、あんたが人間だろうと、そんな事はこの愉しい愉しい夜の中じゃどうでもいいとは思 |
わないかい? |
はっ、あんたあれかい? |
きらきら光る夜の帳を隠れ蓑に、人騙して人喰ってそれで終いの人かい? |
そんなのは外道のすることさね。いや、まさに外道か。 |
幽霊愛して愛して愛しきって、そしてその愛の中で魂吸われて死んじまうってんなら、それならそれで |
いい想いのまんま死ねるんだから、ある意味幸せじゃないか。 |
或いは殺されて化けて出て、憎い怨敵を呪い殺したってんなら、それはもう世間の皆々様を愉しませる |
いいお噺になるじゃないかさ。 |
それをあんた、ただ血も涙も無く殺して奪って投げ捨てて、それでこの世は地獄だなんだと宣ってお終い、 |
だなんて、そんなのは外道を愉しむ野暮以外のなにものでも無いよ。 |
そういうやつらこそ、地獄に流したいもんだよ、まったく。 |
邪魔すんじゃないよ。 |
夜は、こんなに真っ黒に綺麗だってのにさ。 |
◆ |
若旦那に騙されたと知ったとき、あたしはその事実を懸命に否定することに努めていた。 |
嘘であって欲しい、とは目の前に居るおどおどした若旦那の顔を見れば、どうあってもできないことは |
わかってしまっていた。 |
だからあたしは、ただただひたすら私自身の姿を消したのさ。 |
騙したのは若旦那だけど、騙されたのはあたしじゃない。 |
あたしはただ意味も無くそこに座らされているだけで、ただなにもわからずに成り行きに身を任せていくだけ |
と、ただただ若旦那の視線の先にいる人間の姿を虚ろにしたのさ。 |
そしていそいそと若旦那が退出して、あたしの目の前には女郎屋の女将だけが残った。 |
はぁ、なんであたしこんなところにいるんだろう、と空っ惚けたことを必死に考えながら、ひんやりと感じる |
冷たい床の上に座っているあたしが此処に居ることだけを、ただ感じていた。 |
女将が、随分と遠いところから囁くようにしてあたしに男なんてこんなもんだとかなんだとか言っていたけれど |
、やっぱりそれは遠い夜空に響く半鐘の音の如く、全くの他人事のようにしか聞こえず、ただ私は居心地 |
の悪い女将の部屋に、あとどれくらいいれば良いのかと、そんな事を考えていたのさ。 |
女将がなにか言って、あたしの腕を乱暴に掴んで部屋から出ようとしたときも、ただカンカンカンと乾いた |
音が遠くで聞こえて、少し不安になって通りに顔を出したときのような、ただそういう感覚で女将に引っ張り |
出されていた。 |
若旦那のことが怨めしい? |
そうさね。 |
あたしはあの女将の部屋で、ずっと若旦那に貰った簪を握りしめていた。 |
あたしはね、あんとき簪をへし折ってやろうとは思ってなかった。 |
ただこの鈍く銀色に光るものを、思い切り首筋に突き立ててやりたい衝動に駆られてたのさ。 |
誰の首に刺すかって? |
そりゃあ、正直、わからなかった。 |
若旦那の首にか、あたしの首にか、どっちもあたしには違うように思えてねぇ。 |
若旦那が怨めしかったら若旦那を刺すのかい? |
あたしは若旦那を愛してて、だから裏切られてもの凄い気持ちになったけど、でもその気持ちは若旦那 |
への失望に換わってしまって、だからあっさり若旦那のことなんかあたしの中から消えちまってたんだよ。 |
愛しているがゆえに怨む、でもそのときのあたしはあんな男どうでもいいと、心底若旦那への愛を失っち |
まってたんだよ。 |
だから裏切られた立場のあたしとしては、確かに怨みはあるんだろうけど、でもそんな怨みはあたしにとって |
はどうでも良かったのさ。 |
だから若旦那に裏切られた悲しさとその喪失感から自害しようなんて、まったく思わなかったし、そして |
あたしがこれから堕ちていく苦界に対する恐怖と絶望さえも、あたしにとってはまるで実感なんて無かった。 |
だってさ、あたしはあたし自身をそのときに消しちまったからさ、なんにも感じなかったのさ。 |
どうだっていい、という投げやりさじゃなくて、ただこれから生きてく場所がどんなとこだろうと、ただあたしが |
今感じてる床の冷たさしか、そのときのあたしの頭ん中には無かったのさ。 |
どうなろうと、あたしはただ冷たい感触の中で、ほっそりと生きてける。 |
そんな、その場にはそぐわないような、妙に際立った寂しさに包まれてね。 |
だのにあたしは、無性に誰かの首に握った簪を突き立てたくってね。 |
だから一瞬目の前の女将をぐっさりとやろうかとも思ったけど、でもそれを止めさせたのは、べつにそうしても |
詮無いことという考えでは無く、ただ女将があたしをその冷たい部屋から引っ張りだしたからだった。 |
あたしは女将に引きずられ、そして部屋なんだか納屋なんだかわからないような薄っ暗い入れ物のよう |
な部屋に放り込まれ、そして誰も居ないその中でただ虚ろに座り込んでしまったのさ。 |
誰も居ないんじゃ仕方ない、というよりこれは、さっきと同じようにあたしの座り込んだ畳だか草っ原だかわ |
からない地面に感じた冷たさしか頭に無くなっちまったからなんだよ。 |
気持ちいい、とは思わなかったけど、気持ち悪いとも思わなかった。 |
ただあたしは、その冷たさの中、居た。 |
冷たくて、冷たくて、どこまでもいつまでも冷めていく、その中へ。 |
あたしは結局、夜が明けたのも知らぬままに、いつの間にか部屋の入り口から入り込む朝日を真っ黒に |
塞いで立っていた女将の影に引きづられている中で、はじめて目が醒めた気がした。 |
よう、やく。 |
そして次に気付いたときは、全身をボコボコに殴られた上に縄でぐるぐる巻きにされていた。 |
あーあ。 |
見事に記憶が無いわ。 |
そして。 |
あたしの大事な銀の簪が無くなっていることに、ようやく気付いた。 |
嗚呼。 |
あたしはそして、やっと安堵して眠りにつくことができたのさ。 |
◆◆ |
あたしが堕ちた地獄は、あたしが其処に居ることで極楽となった。 |
いんや、あたしがあると思ってた極楽が地獄になったと言うべきかね。 |
極楽だか浄土だか知らないけど、そんないい場所は無いと思えたら、もう地獄なんてものは無くなっち |
まって、ただ当たり前の毎日がひたすら続いただけだったのさ。 |
客を取ろうが取るまいが、客の多寡を他の子と競い合うことが愉しけりゃ、全然もう苦痛でもなんでも |
なかった。 |
地獄の中に垂れてきた蜘蛛の糸を争って掴んでもみんなまとめてその糸と共に地獄にただいまするとしか |
無いと、そうとわかってるからこそ、あたしらは無邪気に必死になって、馬鹿みたいに客の取り合いをして |
遊び、そして心底怨み合い憎み合い殺し合いして、そしてそして、その薄っぺらい地獄の中で暖かく血生 |
臭く生きることが出来ていた。 |
憎み合ってりゃ怨み合ってりゃ笑い合ってりゃ、闇の中に浮かぶものの正体を知らずに愉しむ事ができる。 |
いんや、それは違うね。 |
正体知らないほどの馬鹿は早々居るもんじゃないし、そういう馬鹿ほどさっさと死んじまうもんさ。 |
みんな自分が見ないでいるものがなんなのかわかってて、なのにそれでも歯食いしばってそれをこそ愉し |
んでみせるのさ。 |
目の前の闇の中に居るのが化け物だってわかってて、私らはそれをあくまでそうじゃないなにかとして愉し |
んで魅せるんだよ。 |
なんのことはない。 |
この地獄は、あたしが若旦那に愛されてると信じていられたときに思っていたのを遙かに上回るほどに、 |
しっかりとその地獄ぶりを示してくれたけれど、でも今のあたしゃにどうってことないもんだった。 |
苦しくて苦しくて、でもそれはただ耐えればいいだけのもんだったから、あたしにゃほんとどうでもいいことだ |
った。 |
地獄はそこから抜け出せないと知って、そして地獄の他にはなにもないと知ったとき、其処以外での生き |
方を思い浮かべなくても済むんだから。 |
客が語る世事のことも、二階から覗く通りを往く若い衆の明るい姿を見てしまうことも、今ではどうって事 |
無いほどに、ただただあたしにとっては愉しい絵空事としてしか、その意味は無くなっていた。 |
だからあたしは、たのしかった。 |
まるで芝居小屋の演目を見物するように、賑やかな町の通りを眺めて愉しみ、そして客のかたるくだらな |
い話から高尚な話までそれぞれをそれぞれの通りに愉しむことができたのだから。 |
同じ店のきよという子とも仲良くなって、それで少しはなにかが変わった気がしていたけれど、それでも |
きよはあたしにとっての大事な愉しみのひとつにしか過ぎなかった。 |
別に、それであたしには充分だったのさ。 |
それにね、あの店の子は、誰もその愉しみの化けの皮を剥ぐなんて野暮なことしなかったんだから。 |
みんなわかってるんだよ、ひとりひとりの愉しみを邪魔しちゃあいけないってね。 |
だからあたしが感じたきよへの愛情も、あたしらがこの夜の闇の中に見つけた化け物の皮を被った化け物 |
にしか過ぎなくても、それでもその化け物の皮の綺麗さおかしさを笑う愉しみであることを、それを越える |
ことをしたいなんて思わなかったのさ。 |
あたしはこうやってきよとの姉妹ごっこを真剣に愉しんでられりゃ、それで充分幸せなのさ。 |
だから、きよを足抜けさせようとしたのも、ただのあたしの愉しみのひとつなのさ。 |
きよはさ。 |
馬鹿な子だった。 |
あたしが思ってたより、もっと馬鹿だった。 |
いい子には違いないんだけどさ、だからあたしはあの子のために真剣になれたし、だからなんとかあの子を |
外の世界に戻したげたいって思えたんだけど、まぁほんとに馬鹿な子でさ。 |
あー、なんか馬鹿馬鹿言ってると自分が悲しくなってくるけどさ。 |
馬鹿なのはあたしも同じ。 |
あたしはその馬鹿を愉しんだけど、あの子はでもその馬鹿さを愉しむことも無く、馬鹿である自分のまんま |
にまっすぐつっこんで行っちゃってたんだよ。 |
あの子は、自分がどういう意味で馬鹿なのか、全然わかってなかったのさ。 |
あの子、あたしがせっかく逃げる算段整えてあげたのに、あの子ったらそれ、断ったんだよ? |
後で知ることになるけど、その理由は客とできたから、だったんだ。いい服貰って調子乗って・・・ |
あたしはね・・ |
馬鹿を馬鹿とわかっててそれを愉しんで、なのにいつのまにかそれを忘れてほんとに馬鹿に喰われちゃった |
子を何人か知ってる・・・・ |
でも・・・きよはそうじゃなくて・・・最初から・・最期まで・・・馬鹿に喰われちまってたんだよ・・・ |
だから・・・どうしても助けてあげたくてね・・・ |
馬鹿を馬鹿と知ってて喜んでそれに喰われたってんなら、悲しいけどある意味本望じゃないかさ。 |
でも・・・ |
きよは・・・ |
ただただ・・・・夜の闇の中で・・・・一切の愉しみを知らないまんまに・・・・・ぐるぐると・・・ずっと・・・・ |
あたしゃ・・・・なんだか切なくてね・・・・あはは・・・女郎が切ないって言ってもしょうがないけど・・・ |
だから、どうしても助けてあげたくなった。 |
此処から出してやりたくなった。 |
ああ、そうさ。 |
今考えりゃ、あたしもやっぱりきよと同じくらい馬鹿だったんだけどね。 |
あたしはただきよを外に出しさえすればきよは幸せになれるって、ただそう無邪気に信じてたんだから、ほん |
ときよといい勝負だよ。あたしも馬鹿に喰われてたんだねぇ。 |
きよはただ客に良くされてすっかり舞い上がっちまってるのに、あたしは馬鹿みたいに外に出すことばっかり |
考えて、まるで子供が考えた秘密の計画を誇らしげに自慢してるだけみたいだったのさ。 |
馬鹿だねぇ・・ほんとうに。 |
二階から見下ろした愉しい見せ物の登場人物としてしか、きよを見て無いんだからさ・・・ |
あたしはただ、この場所から外を歩くきよを見てみたかっただけなんだよねぇ・・ |
きよの事を考えていることに真剣になればなるほど、それだけ外の見せ物の明るさは増していくと、あたし |
はようく知っていた。 |
なのに、自分はただそうしてるだけなのをすっかり忘れて、それでただ必死に現実的な実感を得ながら、 |
きよを逃がすことに真剣になってたのさ・・・・・・馬鹿だねぇ・・・・・ほんとうに |
そしてあたしは。 |
そうと見破ることすら出来なかったその野暮な実感の中で、女将達に見つかりばっさりとやられてしまった。 |
当のきよが密告したのさ。あたしがきよを唆そうとしてるってね。 |
愉しい愉しいお芝居の幕が降りたと思ったら、実はあたしも死んでしまってたなんてねぇ。 |
ほんとに・・・死んでも死にきれないよ・・・ |
あたしは頭ん中で、それでもしっかりと野暮は野暮だってわかってたから、自分が死んでしまった事が信じ |
られなかった。 |
馬鹿を馬鹿だとわかってて、それでもそれを忘れて、そしてその忘れたまんま馬鹿に喰われてしまったの |
なら、それはさぞ気持ちのいい死に様になったかもしれない。 |
でもあたしは、忘れておきながら、なのに頭の中のどこかでしっかりとそれを忘れてるだけだということをわ |
かってしまってたから、だから馬鹿に喰われてもその腹ん中で生きてる感覚ばっかりがしてるのさね。 |
バリバリと、音を立てて勇壮に淫靡に喰われる快感に染まれなかったんだよ、あたしは。 |
あーあ、粋な死に方したかったのに、こんな野暮な死に様晒して・・・・まったく・・・あたしは・・・・ |
きよのことが怨めしい? |
どうかね。 |
あたしにゃ、わからないよ。 |
ほんとうに。 |
++ |
怨めしい、ってなんなのだろね。 |
あたしゃただ、ロクな死に方しなかったのが怨めしかっただけなのかもね。 |
これじゃあんまりだよ。 |
でも、それはあたしの幸薄い人生を悲しんだって意味じゃなくて、やっぱり死に方そのものが勿体無かった |
という、そういう消極的なうらめしや、なのさ。 |
あーあ、死んじまったよ。 |
あたしは自分の死そのものに対しては、それくらいの感慨しか無かった。 |
ただどうせなら、もうちょっとマシな死に方したかったってくらいで、別に生への執着なんぞ無かった。 |
だから、死ぬ事自体はもう別に構わなかったんだねぇ。 |
たとえばきよを逃がそうとして、そして途中で女将達に見つかりそうになって、そしてあたしはばっと両手を |
広げて女将達を遮り、そしてその背のきよの泣き顔を映して、そうしてきよを逃がすためにばっさりとやら |
れたのだったら、やれやれと自分の馬鹿さを笑うことは出来ても、それに満足して死ねたと思うんだ。 |
女郎なんて、みんなそんなもんさ |
自分の大切なもののために死ねたらそれでもう充分と、そうとしかもう思えない地獄に堕ちてるんだから。 |
だから・・・ |
あたしは、きよへの怨みがあったとしても、その怨みできよを取り殺すつもりなんて無いのさ。 |
あたしはただただ、きよが哀れでならなかった。 |
あたしにはそれでもきよの行く末を案じ、幸せを祈ることさえできたのに、それでもそれを越えて、あたしに |
はきよの未来には膨大で絶対の地獄しか待ってないのがわかっちまってたからねぇ。 |
きよはなんにも理解できないままに、きっと闇に喰われたまんま死んじまう。 |
そしてきっと、死んだらきよは化けて出る。 |
自分を殺したものを取り殺すことができないほどに、死んでもそのものを愛して信じることをやめられず、 |
だからそのかわりに自分が無念のすべてを込めて、この世の中全部を怨んでいくのさ。 |
きよはあの後客の男の子を宿し、そしてその男に冷酷に裏切られて殺された。 |
腹を中の赤子と一緒につっぷりと刺され、そして・・・ |
血と羊水を引きずりながら、あたしが投げ捨てられた橋の上から身を投げて死んだのさ。 |
どうしようもない。 |
あたしにゃ、絶対に届かない苦しみと悲しみが、きよにはきっとあったことだろうねぇ・・・ |
自分を斬った男をそれでも怨み殺せなかったのは、あの男を信じることしかできなかったから。 |
よくしてくれた姉代わりのあたしを裏切ってまだ掴んだ幸せを、それでも絶対に失ったことを認める訳には |
いかなかったから。 |
あの子の苦しみには、あたしへの裏切りの分もしっかり入っている。 |
どうしようもない。 |
無念を残して死んだ不条理の権化として男を取り殺す、そのうぶめとしての闇に染まることもできなく、 |
ただ自分と同じような孕み女に乗り移り男を殺させ・・・そして・・・・最期にはその女を身投げさせて・・・ |
・・・・・。 |
幸せを自ら殺してしまった女は、死ぬしかない。 |
騙されてるとわかっていても、それでもそれを認めた瞬間にすべては終わってしまう。 |
男を殺してしまったら、自分の腹の中の子の父を殺してしまったら、一体なんのために子を産むのか。 |
一体なんのために、生きてきたのか。 |
それなのに、どうしても、殺意がある。 |
誰を殺したいのかわからない。 |
ただただ誰かを殺したい感情。 |
その感情は剥き出しであろうと理屈付きだろうと。 |
その刃が愛するがゆえに憎い者を切り裂いたとき。 |
すべては、終わると知れる。 |
あたしには、それが無かったもの。 |
あたしは若旦那に裏切られたとき、自分を消すことで若旦那を殺してしまったけど、それは若旦那に対 |
する愛を失ってしまったからだった。 |
ふふ、私がもし男だったら、きっと相手をばっさりふたつにして、それで相手の不義を正したことに満足した |
りできてたかもしれないね。 |
きよは、殺された今でも、男を愛してるし、信じてる。 |
でも、心の中で、絶対に男は自分を愛していないことを知ってしまっている。 |
そしてそのふたつの想いがきっちり共存を果たし、それゆえにきよは男を殺すことも男への愛のままに成仏 |
することもできずに、ただた無為に出来損ないのうぶめのままに世間に仇を為していく。 |
『哀れだねぇ・・・・・』 |
◆◆◆ |
男に貸した金を返して貰えず、別の女も作られ、そしてお腹には子供が居て、だからそれでも男には |
帰ってきて欲しいと思い続けている女が居た。 |
どんな男だろうと、帰ってきてさえくれれば全部許すと。 |
あたしには、わかる。 |
なんでそこまでして、という問いに自ら答えることができてしまう。 |
子が腹の中に居るから、じゃ無い。 |
目の前に、愛した男という形をした幸せがあるからさ。 |
だからあの女は、男にさらに金を要求されれば無限に貢ぎ続けるし、そしてもし別の女と別れないと |
言われても、それでも絶対に男を放しはしない。 |
たとえどうにもならなくなっても、決して男を殺したりはしない。 |
殺すとしたら、その浮気相手の女を、なんだよ。 |
だって、その男をこそ求めてるんだから。 |
その男がどんな男だろうと、その不実を詰ることよりも、確かにその男の上に描いた妄想の幸せを得ること |
ができるんだから。 |
あの女、バッグの中に藁人形を潜ませておきながら、なんとかしてその糸を解かないで済むことばかりを |
祈ってる。 |
あと5回ひどいことされたら糸を解く、あと4回されたら・・とカウントダウンをしながらも、なんのかんのと |
理由を付けて、その数字を引き戻してるんだよ。 |
かわいそうに・・・・ |
この女はきっと・・男を殺しちまうよ・・ |
そして・・・自分で自分の最後の幸せを摘んでしまった事に絶望して、自分も死んじまうんだ・・・ |
一度数え始めた殺意は、絶対に消えないんだよ・・・・ |
きよ・・・・・あんたの仕業だね・・・・・ |
あたしには、あんたの苦しみや悲しみは、到底わからないよ。 |
でもね。 |
これだけは伝えたいのよ。 |
あたしはあんたを怨んでなんかいないよ。 |
そしてね。 |
あんたは・・・・・ |
あんたは、死ぬべきじゃなかった。 |
-- すべての生きるものに すべての生きる可能性のあるものに |
◆◆◆◆ |
きよ・・ |
あんたが馬鹿だってこと、あたしだって知ってるよ。 |
あんたもしょっちゅう、自分のこと馬鹿だって言ってたよね。 |
でも、あたしは馬鹿なのが悪いと、いんや、あんたを馬鹿にしてるつもりは無かったんだよ。 |
だって、あたしも馬鹿だもの。 |
でも、きよとは違う形での馬鹿だった。 |
だから、あたしにはきよの馬鹿さが、一体きよにとってはどんなものだったのかはわからないんだよ。 |
けどね、だから、あんただけじゃ無かったってことさ、馬鹿なのは。 |
ううん、知ってる。だからなんだってんだろう? |
それでもあんたが自分のこと馬鹿だって思ってることは変わらないってんだろう? |
あんた。 |
あの男のこと、愛してた。 |
だからあの男のこと、怨みたくても怨むわけにはいかなかった。 |
怨んで殺しちゃったら、それでお終いだからね。 |
そして、あんたはあの男を殺せなかったけど、でもあの男の心を取り戻せないことをどうしようも無く |
わかってしまってた。 |
どうしようもなかったろうねぇ・・・ |
あの女。 |
あんたが取り憑いてた女よ。 |
あの女、あんたが離れた途端、ふっと我に返ったんだよ。 |
自分の腹さすって、心底嬉しそうな顔したんだよ・・・・・ |
男を、自分で殺しちゃったのにさ。 |
なのに、そのあとを追って自分が死のうとしたのを踏みとどまれて、そして腹ん中の赤ん坊が無事だと |
知った瞬間にさ。 |
全部、わかっちゃったんだね。 |
なんで、愚かな男のために死ななくちゃいけないんだ、ってね。 |
+ |
わかってる。 |
あんたは、あの男に赤ん坊ごと殺されちまったんだよな。 |
そしてそれでも男を怨み殺せずに、代わりに自分と同じような哀れな女に取り憑いて、その女の大事な |
男どもを殺させてたんだよね。 |
きよ・・・・ |
あたしはね。 |
あの女見て、わかっちまった。 |
そして、あんたを見て、どうしようもなく、わかっちまった。 |
あたし、やっぱり怨んでたんだ。 |
この夜の闇の中で、ずっとずっと馬鹿を愉しみ続けることしか無かったことを。 |
あたしは、やっぱり死にたくなかったんだ。 |
ああいう死に方が嫌だっただけ、ということだけでは、ほんとは足りなかったのさ。 |
あたしは、自分が生きて死んだこの世のすべての仕組みが、堪らなく怨めしかった。 |
でも、怨んで殺してしまえばそれで終わりだったから、どうしても生きたかったから・・・だから・・・・・ |
だから・・・・・粋に愉しんでみるしかなかったのよ・・・・ |
苦界に堕ちた事を怨んでも詮無いこととして、ただただ諦めるしか無かったことが・・・・・・ |
あたしが無くした銀の簪は・・・きっと誰かの首に刺さってるはずさ。 |
あたしをこんな身に堕とした怨みを・・・・・あたしは・・・・・ |
だから、あたしは生きた。 |
絶対に絶対に、こんな世の中のために死んでやるもんかと、言葉にできないほど思ってたんだろうよ。 |
あの女の腹の中の子は、きっとその女にとって大事な幸せになる。 |
男なんか居なくても、腹の中の子さえ居れば、男を殺して自分も死ぬことなんかせずに済む。 |
そう・・・ |
腹の子さえ失ったあんたに・・・・言えたことじゃ・・・ない・・・・・けど |
でも、酷なことかもしれないけど・・・でも・・・・でも・・・・・ |
それでも・・・・・ |
あんたには・・・・・あんたがまだあったじゃないか・・・・・ |
ごめんよ・・・ |
子を宿さなかったあたしの言葉なんか・・・聞いても耳の汚れになるだけかもしれないけどさ・・・ |
きよ・・・ |
あんた・・・・ |
こうしてまた会えて・・・・嬉しかった・・・・・ |
あたしはあんたに対して無神経なことばかりで・・・・・救ってやることもできなくて・・・ |
だから・・・・ |
あたしは・・・・ |
もう・・・・あんたに・・・・死んで欲しくない・・・・ |
いんや・・・・・ |
あたしは、あんたのことが、好きだよ。 |
あたしを裏切ったあんたを怨んでなんていない。 |
あんたもあたしと同じ、この世の地獄の中で懸命に生きようとしてただけなんだから。 |
哀れと思いこそすれ、怨むだなんて・・・ |
あたしらが怨むべきは、あたしらをこんな風にしたこの世のすべて・・・・ |
でもね・・・きよ・・・ |
あたしら・・・・ |
それでも・・・生きたかったから・・・・・・幸せになりたかったから・・・・・この世で生き続けたんじゃないか・・ |
怨みは怨み、消えることは無い。 |
でも・・・そのカウントダウンを・・・・止めることは・・・・・・・できるだろう? |
きよ・・・・・・ |
あんた・・・・壮絶な・・・人生を歩んできたじゃない・・ |
あの店に堕ちて、そしてそれでやっと掴んだ幸せと心中することさえできなくて、それで・・・・ |
それで本当に・・・そこまでで・・・・・疲れちまったのかい?・・・・・・ |
きよ・・・・・ |
あんたは、ただ休むことが必要だったんだ。 |
あんな男のために死ぬんじゃないよ。 |
あんたのその苦しみと悲しみはなにも産みはしないよ。 |
わかってる。 |
あんたは。 |
自分は馬鹿だから、という言葉で、全部終わらせようとしてるって。 |
ふふ・・・・あんたが馬鹿なのは知ってるよ。 |
ようく、ようく知ってるよ。 |
でもそれがなんだってんだい。 |
馬鹿だってわかってんなら、それを愉しもうとするくらいしろってんだ。 |
あんた野暮天だよ、なにそんなに真面目になってんのよ。 |
そこは顔をしかめるところじゃなくて、笑うところ。 |
地獄の中で笑ってこそのあたしらじゃないかさ。 |
あんたのことは、あたしが見てる。 |
あんたのことを、あたしは抱きしめてあげられる。 |
あたしらの生き場所は地獄にしかない。 |
あんた、その地獄が嫌で嫌で、でもそれでも生きたかったんだろう? |
それでも幸せになりたかったんだろう? |
夜の闇に浮かぶ、馬鹿馬鹿しいものをそれとわかってて愉しむんだよ。 |
でも本気になっちゃいけないよ、そして本気になったら絶対疑っちゃいけないよ。 |
きよ・・あんたは・・ |
『馬鹿だよ・・・ほんとに・・・・』 |
地獄のせいにして、男のせいにして・・たとえ地獄が悪くても、たとえ男が全部悪いのだとしても・・・・ |
そいつらのために、なんであんたが死ななくちゃいけないのよ。 |
ほんとに地獄と男が悪いと思うからこそ、きよ・・・・あんたは・・・・生きなくちゃいけないんじゃないかい・・ |
そこに地獄があるから、そこに男がいるから・・・そして・・・ |
そこにこの世があるから、そこに幸せがあるから、だからあたしらが生きている訳じゃ無いんだよ! |
そういうもんを全部求めてる、あたしらが生きて此処に居るんだよ! |
わかるさ・・あたしにだって |
若旦那に裏切られたとき・・・あたしは全部が終わったと、正直思ってた。 |
それこそ本当に、生きている意味を失ったのよ。 |
あたしにとって、若旦那はあたしの全部だったんだから。 |
若旦那が居ないこの世に居る意味なんて無くなってたのさ。 |
でも・・・ |
あたしはね・・・ |
こう言っちゃヘンだけど・・・・ |
若旦那を絶対の一番だと思ってたけど、でもいつか必ず裏切られるって、どこかで思ってた・・ |
というより、いつも必ず、今の幸せが終わることを感じてて、だからこれもいつも必ず、今以上の幸せが |
必ずこの世のどこかにあることを信じてたんだよ・・・・ |
不幸慣れしてたってことなのかもね・・・・ |
だから若旦那の事に一途になって、そのときは完全に若旦那が一番だったけど、でもその若旦那を失っ |
た瞬間に、その想いが一瞬であたしを支配してたんだ。 |
あたしにとっては、地獄は当たり前のものだったし、だから若旦那との身分違いの仲だって、それは無いの |
が当たり前だったのだから、ただ始まりに戻っただけって感じだったのさね。 |
きよ・・・あんただって・・・充分辛酸を舐めて生きてきたじゃないかさ・・ |
あたしは若旦那を失った衝撃で、自らを虚ろにすることからは逃れられなかったけど、でもなんとかこうして |
生き延びることはできたんだ。 |
あんただって・・・あの男との幸せを無かったことにしろとは言えないけれど・・・・・でも・・・・ |
他の女たちを自分と同じ目に合わせた上に、その幸せまで奪わせることは無いじゃないか。 |
あたしはあんたに生きて欲しい。 |
いんや。 |
あたしは、あんたとまた一緒にこの地獄の中で生きたい。 |
あの女郎屋はもう無いけれど、この世が地獄なのは変わらないからさ。 |
だから、安心して、成仏しな。 |
あんたはなにも謝らなくていいんだよ。 |
あんたの逝き先は極楽浄土さ。 |
あんたに裏切られた、当のあたしが保障する。 |
だから。 |
あたしに謝るな。 |
あたしへの罪の意識を理由にして死ぬんじゃないよ。 |
あんたに・・・ |
あんたにあたしを裏切らせたのは・・・・あたし・・なんだから・・・ |
あたしがあんたの事も考えず・・・勝手に話進めちまったから・・・・ |
きよ・・・・ |
ごめんな・・・・ |
あんたに・・・色んなもん背負わせちまって・・・・ |
あんたは、なにも悪くない。 |
だから、その怨みだけ地獄に流しな。 |
あの男のために死んじゃ駄目だ、きよ。 |
あんたは、なにも悪くないんだから。 |
きよ・・・・・ |
それでも自ら地獄を選ぶというのなら・・・・・ |
あんたには・・・・・・姉がひとり居たってことを・・・・覚えておいておくれよ・・・・・ |
『お嬢・・・・・・あたしがこんなことを言えた義理じゃないんだけどさ・・・ |
いつか気が向いたらでいいから・・・・あの子・・・・きよを拾ってやってくれないかい・・・? |
あたしはもう・・・充分救われたからさ。』 |
◆ 『』内文章、アニメ「地獄少女」より引用 ◆ |
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-- 070306-- |
|
|||||||||||||||
■■はっちゃけプリンセス■■ |
はっちゃけたー! (挨拶) |
流れていく雲を眺めながら、その流れを動かしている風と頬をゆっくりと撫でていくその風の速度の違い |
を感じながら、ただ穏やかに歩いていけるこの道がやがて春の暖かさへと繋がっていくのを感じている、 |
今日この頃の紅い瞳です、ごきげんよう。 |
ツッコミはいりません。わかっています。 |
このところすっかり春めいてきたとはいえ、まだ所々に冬の主張が頑として盛り込まれているのを感じて、 |
ついつい厚着をして行ってしまいますけれど、そろそろ春モードに完全移行したいと思ったりしています。 |
とはいえ、花粉症持ちである上に鼻炎持ちな私は、少々の温度変化でも途端に情けない有様を主に |
鼻周辺に展開してしまいますので、この時期の服装の選択はそういった部分にも配慮しなくてはならず、 |
さりげなく修羅場でもあったりしています。 |
さて、書くことがなにも思い浮かばないことに対する時間稼ぎはこの辺りで止して、この間に思い付いた |
お話をさせて頂くことに致しましょう。 |
まずはデザインのお話から始めましょう。 |
最近はどうも赤系統に魅力を感じるらしく、赤黒を中心にして私の色彩感覚を磨いています。 |
といって特別になにかをする訳ではありませんので、ただ適当に赤っていいなぁとうっとりするだけのお話。 |
考えてみれば私の名前にも紅と入っていますし、なにげに赤って好きな素質あったのかなと、今更ながら |
に思っています。適当ですけれど。 |
諸々の小物なり服なり建物やサイトのデザインなりも、赤中心で観て回っているので、気付いたら赤尽く |
しになっていたりするかもしれません。 |
ここ最近では、買おうと思っている自転車の色も同じ車種のマロンかレッドかで悩んでいたりと、以前なら |
赤い自転車なんて目立ち過ぎなものを選択肢にいれるなど考えられないくらいのことを平然としていたり |
で、少々自分の色彩的趣味の変わりぶりに驚いています。 |
血でも見たいのでしょうか? 私は。 心配です。 (他人事) |
それにつられて、現在はサイトデザインについても考え中です。 |
無論、サイトリニューアルを前提としない、ただの捕らぬ狸の皮算用としてのデザイン妄想です。 |
いつものことです。よろしくお願い致します。 |
今までは色々な色彩をおもちゃ箱に詰め込んだようにしての混在型(節操なしとも言います)だったので、 |
今回は主題の色を赤にして構成していこうと考えてみました。 |
けれど、実際のデザインを考える手前で、ふと違和感が。 |
赤いサイトに、紅い瞳って。 |
赤に紅を重ね、赤の中に紅があるというのは、私のイメージではありません。違うのです。 |
沢山の色の中のひとつとして紅があることで、それがそれとしての色彩的存在感があるのであって、ただ |
そのサイトの色彩の中のひとつとして紅い瞳の名が組み込まれてしまうと、それはどうしてもサイトの付属 |
品のような感じになってしまいます。 |
紅い瞳、という名前はそもそも名前らしく無い名前で、当初からいずれは変えるつもりでいた名前なので |
すけれど、しかしサイト名としては個性の無い魔術師の工房という名と共に、今では私によって心地よい |
重さを与えられて、その存在感を以て私に向かってきてくれています。 |
名付け親は私で、そして名付けられたのは私。 |
その名前にした理由と、その名を背負う者が感じるその名の意味は違う。 |
紅い瞳という名にした理由は、たんに紅い瞳のキャラが好きだったからとか、今となってはそんないい加減 |
な理由でも信じられるほどの軽いものでしたけれど、今その名を背負いそれと向き合っている私自身は、 |
実に様々な形でその名前の意味を作り続けています。 |
その中のひとつとして、先ほどの色彩感覚のお話があるのです。 |
魔法のようにあり得ないようなほど様々なものを書き出す場としてのサイトの中で、それでも確かに血の |
通ったひとりの存在として此処にある私を描いていく。 |
嘘みたいに適当なお話でした。 |
◆ |
アニメ銀魂のお話をひとつ。 |
面白いです。というか毎週楽しみです。 |
銀さん最高。 |
・・・。 |
うん、最高。 |
それ以上どう言ったら良いのかわからないくらいに、面白いです。 |
どうしよ。 |
言葉に詰まってしまったので、なんとか言葉を探しつつも見つかるのはやはりアニメのお話。 |
そろそろ本腰入れて4月開始のアニメを語っても良いと勝手に思いますので、取り敢えずそれで堪忍して |
やってくださいな。 |
と言いつつ以前の日記で大概のことは書いてしまいましたので、今日はそれほど書けることは無いのです |
けれど。矛盾してますね。(フォロー無し) |
まずは、4月から観てみようかなと思えるアニメをひとつでも多くリストアップさせてみようの精神で書き出し |
てみます。 |
チャット等でのネタを得るためにも頑張ってみました。褒めてください。いややっぱりいいです。 |
・怪物王女 |
・ひとひら |
・エルカザド |
・ロミオ×ジュリエット |
・英国戀物語エマ第二幕 |
・神曲奏界ポリフォニカ |
・CLAYMORE |
・桃華月憚 |
・魔法少女リリカルなのはStrikerS |
・Darker than Black |
・ウェルベールの物語 |
・鋼鉄三国志 |
・キスダム |
/全13視聴予定作 |
順番は現時点での期待順です。 |
一応最低1話は観るつもりとして13作というのは、自分的に多いのか少ないのか微妙なところですけれど |
、ただここまででは全体的にそれほど豊作の気配(主観)を感じることができないみたいです。 |
ギャグコメ系が無いのが一番痛いところ。 |
とはいえ、その中で数は少ないながらもきっと良い作品とは出会えそうな雰囲気(主観)ではありますので |
、特に挙げた作品の順における上位の作品に対しては、今からしっかりと期待しています。 |
色々と各作品の情報が出揃ってきたのを観た上では、やはり前回の感想から変わらず怪物王女に注 |
目していますし、また今のところ感想を書いてみたい作品としてみています。 |
また、ひとひらやロミオ×ジュリエットも場合によっては感想を書けそうな雰囲気ではありますし、またエル |
カザドについては、以前マドラックスでやったツッコミ感想のようなものを書いてみたいとも思っています。 |
けれどどうもコメディ的なノリもあるようで、もしかしたらツッコミしにくいものになるかもしれず、その場合は |
書けないと思います。 |
他の作品に関しては、第一話を観てからじゃないとなにも言えないと、心底言い切る自信があるだけです |
ので、その辺りは放送開始までお待ちください。 |
なんだかよくわからないノリになってきましたので、大人しく毎週おなじみのアニメ感想に繋げます。 |
どうぞ。 |
◆ |
ひだまりスケッチ: |
第8話ですよー。 |
素晴らしき自作自演。 |
坊主が野原でサバを蒸す、は次点で。 |
あー、私、みやちゃん好きだわー。 |
ゆのっちのちんまい真面目っぷりも、沙英さんのさばさばな色気も、ヒロさんの生活感が指の間から見え |
る女らしさも、そういうのも好きだけど、たぶんわざわざ好きって言う必要があるのはみやちゃんだなー。 |
あなたは誰が好き? |
あー吉野家先生忘れてたー。 |
まーみやちゃんが好きな理由は、私的には野放図なボケキャラが趣味って論と、あの声の調子のノリノリ |
さがすっごいからって論が見事に調和しての合わせ技一本、という感じにあるのでー、うんまぁ、そんな |
深く考えることがあるわけでも無く、みんなでひだまり楽しもーって、そんな感じ。・・・・・? |
ふむ。 |
演出面を焦点を当てて観ることで得られる楽しみは現象気味だけど、でもひとつの作品としての造作を |
気にせず、ただ純粋にお話として観てみると、結構普通に面白いことに気付いた。 |
演出もそれのサブとしてみれば普通に面白いって、演出ってそもそもそういうものだよねって今更。 |
当たり前じゃんっていうか、目が曇るってこういうことだなーって私の人生の中でもう一体何回思ったことや |
ら。普通に面白いじゃん。 |
でもよく考えたらそれってアニメとしての面白さを感じるのを放棄したとも言えて、ええと、そうじゃなくて、 |
ええと、あ、そうだ、声優さんの演技だ、それだ、あれはかなり良いですよね、ていうかほんといい味出して |
ますよねぇ、それぞれのキャラクタの特性を最大限に引き出してますね、うん、無論観る人の捉え方で |
それは勿論変わりますでしょうけどね、うん、どうだ、これでアニメとしての楽しみを見つけたことになります |
よね、だって漫画は声無いもんね! やった、これで今日の感想は満足して終わらせられる! |
・・・・。 |
頑張ります。 (まだ余裕はあります) |
京四郎と永遠の空: |
・・・・・。 |
千 歌 音 ち ゃ ん 、 私 、 ど う し た ら い い の か な ? |
ごめんなさい。 |
カズヤ兄さんがすごくて、もう大変です。 |
もはや唖然です。空もなかなかすごい子だったけど、その空が真顔に返っちゃうくらいに兄さんすごいです。 |
笑いすぎてお腹痛い。 |
そして、どのシーンにも顔を見せる兄さんが気になって仕方なくて全然頭が回りません。 |
普通にカズヤ兄さんのディナーショー状態です。お腹痛い。 |
なんだか、逆に怖くなってきてしまいました。 |
というのも、あまりにも兄さん(の狂いっぷり)が強すぎて、それに観る側だけで無くアニメの側の方も全部 |
持っていかれてしまっていて、色々なことをあっさりと終わらせてしまっていたりするからです。 |
笑わせてる間になんだか色々まとめちゃってます。ちょ、待。 |
たとえば、あっさりミカ様死んじゃいます(瀕死?) し、彼女とかおんとひみこの関係についても、そのミカ |
様のいまわの際の談話で形式的に片づけちゃってますし、さらにかおんとひみこの間についても、かなり |
強引に表層的な部分の描写で済ませちゃってます。ちょと待てよと。もっと語りなさいよと。言葉にしろと。 |
あれではほんとに設定を消化しているという印象しか無く、また愛や恋を「好き」の一言で片づけられると |
いう真実を踏まえて、なお言葉にして深く語っていくという当たり前の事を放棄しているようで、なんだか |
とても薄っぺらい印象も受けました。あそこまで引っ張っといて、それはあまりにも勿体ない。 |
ていうかかおんとひみこはもっと書け。ちゃんと描け。考えろ。あれじゃなんにも伝わらない。いや愛はわかる |
けどさ。駄目でしょあんなんじゃ。ていうか少なくともかおん側の思考描写が足りなさ過ぎ。 |
ぶっちゃけかおん・ひみこのシーン自体は究極に盛り上がったけど、あれってまさに答えだけみたいな展開 |
で、それまだ早いでしょ、という訳なのよ。わかるけど、わかったけど、まだ早い。端折りすぎ。 |
もっとこうドロドロと、考えなきゃいけないことや感じなきゃいけないこと沢山あるんだし、ただかおんとひみこ |
という関係のケースモデルだけを描かれても、その形式に萌えることしかできなく、ほんとの意味でかおん |
とひみこのことを深く感じることができないっていうか、そうか、そういう部分は妄想しなさいって事なのです |
か、でもカズヤ兄さんが邪魔してそれもうまくいきそうにないのですけど、この笑いが止まらない頭をどうして |
くれますか。 |
無論構成として、カズヤ兄さんの登場は物語を動かしてくれはするけれど、それは結局物語を完結の |
方向に動かすだけのもので、そのことで今まで時間をかけて進行してきた事が、それに追従する形で |
強引に形だけ整えられていくのは、非常に勿体ない。 |
話数の関係があるのでしょうけれどねぇ。大体色んなもの放り込んでありますしねぇ。 |
全部に適当な形を与えて終わらせるとしたら、こうするしか無かったのでしょうけど。 |
でもそれならなんのためにその物語を完結させるのか、の意味がわからない気もします。 |
正直、最初の頃、愛とかそういうものを中心に据えてそれを徹底的に語っていくなら面白いかもだけど、 |
ただ設定を消化していくだけなら厳しそうと言ったけれど、これを機にそういう方向に進みそうで怖いです。 |
でもま、それはそれ。 |
或いはそれを踏まえた上で、なおかつどういう風にしてこの作品を見て、そして観ていくか。 |
はい。 |
まずはせつな。 |
前回のラストの流れをしっかり継承して、空をあくまで絶対天使=京四郎の持ち物として捉え、それゆ |
えに同じく絶対天使たる自らの居場所が奪われる事になったとしても、その捉え方のおかげで空を京四 |
郎の恋人として捉えずに、またそして自らのその可能性としての京四郎の恋人の姿を失わずに済んで |
いる。 |
「京四郎から取っては駄目!・・・駄目っ」というせつなの言葉は、そうして改めて京四郎の大切な「持ち |
物」を守ることでなんとかその可能性を保とうとします。 |
あくまで空を京四郎の恋人とは認めない。 |
それは、その後のワルテイシアによる、せつなの努力が決して実を結ぶことの無い事実の暴露を以てして |
も崩れなかった、そのせつなの姿からも窺われます。 |
どんなに頑張ってもせつなは京四郎に愛されずに破壊されるだけ、そして京四郎は空を愛するだけ、そ |
の苦しみだけがせつなにあろうと、せつなは折れなかったのですから。 |
それでも、私は、京四郎の剣。 |
京四郎のために振るい、そして、京四郎をただ求め続けるために降り続ける、絶対の剣。 |
せつなはおそらく、空を京四郎の恋人として認め、そして絶対に京四郎の恋人となれない自分の運命を |
受け入れていくしかなく、ただそれでも良いから京四郎のために戦い続けると、そういう言葉を、それでも、 |
それでも京四郎を求め、そして絶対に京四郎に愛されることを諦めていない自分を、心の底から深く |
深く信じているのです。 |
京四郎が白鳥空を求めているのなら、私はそれに従って京四郎と空を守る。 |
京四郎がそうしたいのなら、そうする。 |
私は京四郎の剣だから。 |
京四郎を守り、京四郎のために生きる義務があるの。 |
そして。 |
それは、そうして良い、権利。私が持っている、絶対の権利。 |
せつなは京四郎の想いを無視し続ける事しかできなく、それ自体が彼との溝を広げているのを知りつつ |
も、それでも絶対に彼を求めることを諦めない。 |
それは実は、その具体的な京四郎との距離を縮める行為の放棄では無く、ただものすごく長いスパンで |
京四郎を求めそして京四郎に求められるようになることを目指す事だったのです。 |
いつかきっとわかってくれると呟きながらただ盲目的に同じ事を続けているのでは無く、絶え間ないほどの |
努力を続けその結実がほとんど無くとも、日々ほんの僅かでも感じられる成果を胸に抱き締め、そして |
その積み重ねを絶対に諦めないゆえに、いつかきっとわかってくれると信じることができるのです。 |
ゴールなんて、一歩先の理想の場所なんて、いつも見えて無いのが当たり前。 |
走っているときは、それを求めているときは、ただすべてが闇に包まれた中に居る。 |
でも、信じることができるから。それでも、走っていたいと思っていられるから。 |
それでもせつなは暗闇の中を、見えない明日へ向かって走っていくことができるのです。 |
千歌音ちゃん、私、どうして恥ずかしい表現ばっかりなのかな。 |
あー。なんかせつなだけでいいや。 |
空と京四郎はほんと、兄さん次第。今のとこ興味無し。 |
あと肝心(ですよ)のかおんちゃんとひみこですけど、これはもううん、あれだ、万歳。もういいよ。 |
いやいや、あれで綺麗に終わりでいいのはいいんですけど、まだきっとなんかあってくれそうな気もしてま |
すから、やっぱり諦めません。信じてる。まだまだこれから! |
・・・・。 |
来週はどうか兄さんが出ませんように。もうこれ以上笑わせないで。 |
ちなみにかお×ひみのせいで、普通に神無月熱が再燃中です。だれか止めをさして。 |
さらにちなみに。 |
今週の空とカズヤ兄さんを観て、某MADLAXのお嬢様と変態総帥を思い浮かべてしまいました。 |
空さん、夢の世界へ行き過ぎです。 (兄さんにイジられすぎ) |
まなびストレート!: |
泣いた。 |
よし、今日も始めようか。 |
なんのために、力を尽くすのか。 |
そんなの、わかりません。 |
え? だってそんな理由考えてやってる訳じゃないもん。 |
ただ今やってることに全力で頑張りたいほどの魅力があって、そんだけじゃん? |
ううん、魅力とかそういうんじゃなくて、なんかもう、まっすぐGo!って感じなだけで、やりたいからやってる |
だけっていうか、なんかさ、そういうの、わかんないかな? |
今やってることがなかなかうまくいかなくて、それで行き詰まっちゃって、それでもうなんだかただ明日になれ |
ばきっと良い案も浮かぶはずってただどうしようも無く思ってて、あは、そんなの絶対明日も同じこと考える |
だけなのにさ、で、それで結局毎日毎日空回りで、ほんともう、そういうときに、ちらっと、考えちゃったり |
することあるんだよね。 |
なんで私ら、こんな頑張ってるんだろう、って。 |
そんな疑問が湧いてくる、っていうかその疑問に笑って答えられない時点でさ、なんか違うなって、そん時 |
確かに思ったんだよ。 |
なんか違うんだよね、そんな事いちいち考えて、それがあるから頑張れたって言ったら、それって大嘘以外 |
のなにものでも無いのにね。 |
頑張る理由なんて、無いよ。なのにそれをつい考えちゃう。行き詰まったりしたときは、とくに。 |
でもね。 |
そうやって理詰めで考えた途端に、私らのやってることで、無駄じゃないものなんてひとつも無くなっちゃう |
んじゃないかなって思うんだ。 |
だって私ら、どんなに頑張ったって、結局最期には死んじゃうんじゃん? なのにどーして頑張るの?って。 |
あはは、当たり前なことでしょそれって。ほんと、無意味だよね、私らの人生って。 |
うん。 |
その言葉に則ると、今までの私らの人生の全部も、ほんと全部無駄だったって事になる。 |
文化祭さ。 |
どんなに頑張って署名活動したって、学校のみんなはもうそんな事に興味無くて、だから無駄でさ、 |
なら他に良いアイディアあるかって言ったらやっぱりなくて、だったらこんな事してる意味無いじゃんって、うん |
、思うよね。希望だけ言ったって、なにも出来ないんじゃ意味無いじゃん? |
うん。 |
だから、文化祭、諦め始めてた。みんなのやる気が無いなら仕方無いって、思うしか。 |
うん。 |
なんで、私ら今まで頑張ってきたんだろうね。 |
うん。 |
うん。 |
私らさ。 |
文化祭をやるために頑張ってきたんだよね。 |
うん。 |
嫌だよね、文化祭できないのは。 |
うん。 |
絶対嫌だよね、なにもしないでこのままみんなバラバラになっていくのは。 |
私は、頑張りたい。 |
そう、頑張りたいんだって。今この瞬間に、わくわくきらきらなこと目指してひたすら頑張りたいんだって。 |
文化祭を実行できるようにするのが目的だけど、でもその目的を目指して今一生懸命に、そしてめっちゃ |
くちゃ楽しく頑張ってる私だけが、ここにいるってさ、そんだけだってさ、思ったんだ。 |
みんなで一緒に、頑張りたい。もっともっと、居ても立っても居られないほどに、頑張りたいって。 |
うん。 |
それで文化祭ができるようになる訳無いじゃん。あは、あったりまえじゃん、なに言ってんの? |
相変わらずビラ撒いても無視されて、署名もぜーんぜんあつまんなくって、みんな無関心無関心。 |
いっそ、せいせいしいよ。うっわ、きっついねー。 |
うん。 |
よし。 |
じゃ、頑張ろうか。一生懸命に盛り上がっていこうか! |
無駄かな? こんなことして。 |
うん、そうかもね。そう考えて活動をやめた私にとっては。 |
でも。 |
そうして無駄かもしれない作業を続けて、でもそうしてる今の自分を見つめ直すことができて、無駄な事 |
の実感を改めて得て、そうしたらやっぱりその境地からもっともっと考えて、もっとできること出来てきて、 |
それはやっぱり無駄な事の積み重ねにしかなれないのかもしれないけど、でもさ、今、確かに楽しいよね。 |
失敗するたびにがっかりして、それでもひたすら創意工夫を重ねて、そしてみんなでどんどん頑張って、 |
それで結局文化祭できなくて、みんなで泣いて。 |
うん、無駄だよね。そうだよね。うん。 |
うん。 |
そんなに楽しい無駄ならでも、私は大歓迎だよ。言ってるだけでワクワクしてきた! |
大人はみんな、無駄なものなんか無かったって、あと何年かしたらわかるようになるっていうけど、そんなの |
無駄な今をこうして生きてる私らにとっては全然意味無い言葉で、そんな言葉をありがたがるのは、それ |
こそあと何年か経ってからにすればいいよ。 |
私らは今、確かにこの無駄としか思えないものと向き合ってるんだから。 |
だから、大事なのは今。今、この瞬間に、私がどう思うか。 |
そして、どう、思えるようになりたいのか。 |
無駄じゃなかった、とかじゃないんだよ、私らが今言うことは。 |
私らは、今、この瞬間に。 |
もうめっちゃくちゃに、頑張りたい。一生懸命まっすぐGo! ただそれだけだよ。 |
だってもう、なにが楽しいことなのか、本能よりも深いところでわかっちゃってるんだもん。 |
なにに一生懸命になれるのかは、そんな事考えてるうちにもう居ても立っても居られなくなってる事そのも |
のだよ。 |
まだ私、諦めたくない。まだまだまだ、私頑張れるよ! みんなと一緒にやりたいよ! |
だから、頑張ろうって、みんなの前で言えるんだよね。 |
無駄だって思った時点ですべては終わる。 |
それこそ、諦めたらそこで終わり、という言葉はその通り。 |
でもしょうがないじゃないか、無理なものは無理なんだから、これ以上やっても無駄なんだから、と、そう |
言うしか無い状況というのはあるのかもしれない。 |
でも、それは現状を分析し、そしてその状況のままが続いた先にあるものを推測して出した答えでもある。 |
確かに、それは一生努力したって無駄なのかもしれない。 |
例えば自分が自分だという理由でそれが絶対にうまくいかないものだとしたら、それこそ如何なる努力も |
実を結ぶことは無い。 |
でも。 |
それはその求めている目的を達成することだけがすべてである、それが出来なければすべて無駄だと、 |
そういう前提が先行してあるからなのだと思う。 |
本当にそれは、絶対に目的を達成することだけに意味があることなの? |
その目的を達成することでは無く、なにかを目指す対象としての目的にもまた、大きな意味はあるんじゃ |
ないのか。 |
では、そうだと、その目的を達成することだけに意味があるとしましょうか。 |
ならば。 |
その目的を達成しようとすることを諦める事自体が、最も無駄なことではないの? |
本当の本当にその目的を達成することだけにしか価値を感じられないのなら、それこそ一生を賭けてで |
も、絶対に無理だってわかってても、どんな事をしてでも努力し続けるべきなんじゃないの? |
いや、一生どころか、何度生き返ってでも努力し続けるべきなんじゃないの? |
それこそ行き返りの薬の開発の研究もしなくちゃいけないんじゃないの? |
そういう、こと。 |
やるべきことは、まだまだいくらでもある。 |
諦める、無駄、という言葉をこの世界から消滅させた瞬間に、その目的は絶対に私たちの目の前から |
消えることは無く、そしてその目的の前に私たちが居る事を永遠に証し続けてくれる。 |
そうしたら、そう、そう思った「今」この瞬間の私たちなら。 |
きっと、その目的を達成すること以外にも価値を感じられると、そう信じて実際に現実の中でそれを掴ん |
でいけるようになっていけるんじゃないかなと思う。 |
目的を達成するために、まだまだまだ、私たちにはできることがある。 |
そして、そのできることは、その「今」を重ねていくたびに、どんどんとその数を増やしていく。 |
私たちが生きた分だけ、この世界の中に生きた分だけ、それはほんとうに、もう。 |
だから、明日にはきっと良いアイディアが浮かぶって、そう言えるのかもしれないね。 |
つまりなにが言いたいのかと言いますとね。 |
「今」現在の自分が、それの延長としての明日の自分を想像して明日も無理とか思っても、それは結局 |
その明日におけるその明日の「今」の瞬間の私が、その明日に起きた事と出会いどう変わっていくのかと |
いう要素がすっぽりと抜けた思考なんだねって話、かな? |
明日は明日の風が吹き、その風を受けた明日の私がどう変わるのか、それは絶対今日の私にはわから |
ないってこと。 |
わかるのはただ、今日の私が明日の私と全く同じと思うがゆえの、「今日」の私としての「明日」の私の事 |
だけ。 |
その得体の知れない明日の私を信じることができるからこそ、今日を頑張ってそれでも変えて行こうとする |
ことができるのじゃないかなーって、私は思いました。 |
今日が無ければ明日も無いものね。今日の頑張りが、きっと明日をすごい日にしてくれる! |
「だから、学園祭やろう! 今このときに、私たちにしかできないことをやろうよ!」 byみかんさん |
今できることを、今日できることを、今すぐやろうよ! |
そしてそのまま、まっすぐGo! |
明日へ、向かって。 |
恥ずかしいセリフ禁止。 (久しぶり) |
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-- 070302-- |
|
|||||||||||||||
■■地獄を怨む愛■■ |
『傘・・・・貸してあげれば良かったかな・・・。 |
裏切らないでくれれば・・・糸解いたりしないからね・・・・・・・・・真里・・・』 |
〜地獄少女 二籠 ・第二十話・樹里の言葉より〜 |
時間が止まっている、という錯覚。 |
世界がそれでも動いているという、幻覚。 |
本当に錯覚で幻覚なのか、それを判断する術と、その判断に導き出されてきたものに、心底頷くことが |
できる自分の姿を、とてもじゃないけれど想像できない。 |
じりじりと張り詰める握りしめた拳の力の由来がどこにあるのか、私にはどうしてもわからなかった。 |
それなのに、こうして今にも叫び出しそうなくらいにいきり立ち、それでいていつも必ずそんな自分の状態 |
を実感することができないままに終わってしまう。 |
噛み切った唇の端から漏れる血の色を、鏡に映る私の歪んだ顔の中に認めて、そうして私は安心して |
口の中に広がる甘い憎しみを、やっと味わうことができる。 |
顔を引き裂く怒りの色を見つめて、そうして私は、やっと私が激しく怒っているのを知ることができる。 |
だから、どうしようも無く、実感が無い。 |
私が本当に今、怒っているのかどうかの。 |
そして、なぜこんなに怒っているのかを、私は延々と自分に語って聞かせていくたびに、その回数と等しい |
ほどに答えを得る機会を失っているんだという実感だけを得ていった。 |
笑えば笑うほど、泣けば泣くほど。 |
私は、なにも感じられなくなっていく。 |
どうして私は、鏡を見てばかりいるんだろ。 |
◆ |
地獄通信に真里の名前を書き込んだ私の瞳が捉えていたのは、みんなで撮った写真の中から真里だけ |
を切り取り、そしてその愛らしい真里の姿を半分に刻みそれを握りしめている私の拳だった。 |
私には、この半分に破れた写真が無ければ、地獄通信に真里の名を書き込むことができない。 |
大好きで死ぬまで一緒に居たいと願った愛する真里を八つ裂きにすることでしか、真里を地獄に堕とせ |
ない。 |
地獄通信に名前を書き込めるほどに怨んでいるからこそ、愛する真里の写真を切り裂くことができる |
はずなのに。 |
私は、真里を愛しているの? それとも怨んでいるの? |
その単純明快な問いが、いつも虚しく私の隣には転がっている。 |
私はその問いに答える意味が無いことにしか興味が無く、ゆえにその問いほど存在理由が無い代物は |
無かった。 |
私がなぜそんなつまらない問いを発したのか、今ではわからないし、もはやその問いに対する如何なる |
重みも感じてはいない。 |
私にとって重要だったのは、ただただ、なにかをせずにはいられなかったという、その激しい焦燥に無条件 |
にかつ即時に反応することだけだった。 |
居ても立っても居られなかった。 |
ずっと、座り込んだままで。 |
激しく、足が痛む。 |
もう、治っているのに。 |
どうして私、ずっとまだ此処に居るんだろう。 |
どうして私、傷の無い怪我に苦しんでいるんだろう。 |
松葉杖に寄りかかり、優しい純白を晒す包帯を巻いた足に頬ずりし、その治ってしまった傷を治すことの |
できない事実を無視しながら、その決して取れない包帯の中に潜む私の欲望を、私は冷たく床に叩き |
付け、そしてゆっくりと立ち上がり、そして松葉杖を蹴倒して部屋から出ていく。 |
そして、家から出るときにはいつも必ず、私の足は松葉杖にもたれて引きずられている。 |
ただただそうして、足の引きずり方だけが上手くなっていく。 |
そしてその痛々しくも愚かな足を見て、真里は恐れ戦き、そして私から離れられなくなる。 |
地獄少女に貰った藁人形をちらつかせ、その死への恐怖に囚われる真里の姿を見つけるたびに、 |
私は細く笑いつつも、それ以上に感じる足の痛みによって、真里を捕らえているものの正体を、なによりも |
強く感じている。 |
そうよ・・・あの子は私と一緒なら死ぬ事なんて平気だもの・・・ |
あの子は・・ただ・・私に負わせた怪我に・・しっかりと縛られてくれているのよ |
嗤いが止まらない。 |
◆ |
私は、良く知っている。 |
あの子のことを、真里のことを。 |
私と良く似ていて、そして確かに違う人間同士で、そしてだからこそその私との相似と差異の部分を鮮明 |
に見つめることができて、だから私はなによりも冷静に真里のことを知ることができた。 |
あの子が私を捨ててひとりでみんなのところに行けるはずが無い。 |
あの夏の日、私とダブルスを組む約束をしていながら、憧れの先輩に組んで欲しいと言われ、それを |
断らなかった真里の姿を見た瞬間に、私はしっかりとすべてを理解している自分との戦いを始めざるを |
得なくなってしまった。 |
認めたくないほど、悲しい悲しいこと、だけど。 |
真里は、私より優秀な子。 |
いいえ、私より優れていること自体が悲しいことでは無く、むしろそれは私にとって誇らしい事でもあった。 |
真里のその優秀さが、いずれそれに相応しい世界にあの子を連れて行ってしまうという事が、私にはな |
によりも悲しい事だったのよ。 |
なんでもかんでもあの子と同じで居たかった訳じゃない。 |
私はただあの子と、そう、私に似てはいるけれど確実に違う愛しいあの子と私はずっと一緒に居たかっただ |
け。 |
そして、図らずも、真里もそう想っていることだった。嬉しいことに。 |
だから私は、ちゃんとわかっていた。 |
真里が、どんなに自分の優秀さに見合う世界に憧れてそれで悩んでも、最後には必ず私を選んでくれ |
るということを。 |
あのときだってきっと、真里は私が見てることに気付かなければ、先輩の誘いを断っていたのかもしれな |
いと、私は確実に理解していた。 |
私はあのとき、たんに動転していただけ。 |
頭ではわかっていても、体が納得しなかっただけ。 |
真里は絶対に裏切らないって絶対に信じてるのに、それなのにその真里への私の信仰が試される場面 |
に遭遇したその実感に、私はただ負けてしまっただけなのだ。 |
だから私は、全く私自身が真里への信仰を失ってはいないことを、真里はそれでも絶対に裏切らないと |
いうことを信じて疑っていないのよ。 |
だからあれは、私の本気の演技。変な表現だけれどね。 |
そしてね、真里はその私の姿に動転して、ただひたすら私に謝ったのよ。 |
ちょっと、意外。 |
いいえ、意外というか・・・・・・・どういうつもりよ、と、思わず私の中で叫んでしまったというか。 |
なんで、謝るの? だって真里は断るつもりだったんでしょ? |
どんなに悩んだって、真里は私を選んでくれるのよね? |
私はその真里の姿を見て不安になった、という訳じゃない。 |
真里が自分の能力に見合った世界への誘惑に囚われる事自体を、私への背信だとは思っていないし、 |
仮に真里が先輩とのダブルを真に望み、そしてその誘惑にどうしても勝てなかったというより、どうしても |
そうしたいという真里の意志があるのであれば、私はそれを許しても良いとさえ思っていたのだから。 |
真里が私に正直にそう話してさえくれれば、私だって自分の居場所で頑張って、そして真里に負けない |
くらい頑張ってる自分の姿を真里に魅せてあげることもできたのだから。 |
ええ、そうよ。 |
私は、もう子供じゃないもの。 |
確かに真里とダブルスを組めないことはとてもとても悲しいけれど、でもその事に固執することの無意味さ |
と、そしてその固執こそがお互いのそれぞれの自分らしさを育てることの障壁にしかならないことを、私は |
強く強く知っていたの。 |
私は、真里が先輩と組んで活躍する姿を見てみたいし、そしてまた私にその姿を魅せて欲しい。 |
そして、同じくらいに、それでも頑張ってる私の姿を真里に魅せたかったし、そして見て貰いたかった。 |
お互いの場所から、そこから見つめ合えるように。 |
私達はどんなに似てたって別の人間であるのだから、絶対的に分かれている存在。 |
その事自体が既に私達には苦痛としてあるのよ。 |
そして、その苦痛があっても、それでもお互いが一緒にいようと強く強く努力できるからこそ、私達は |
お互いいつまでも友達だって誓い合える仲だったのよ。 |
だからね、真里が真里の世界に行ったって、そういう私とは別れた「真里の存在」から、それでも私と一 |
緒に居ようとして近付くことはできるのよ。 |
それが、現実。 |
私にとっての、紛れも無い現実だった。 |
なのに、真里はあれ以来、ただ無言で私の決して治らない足に謝り続けるだけだった。 |
真里・・・・・? どういう・・・つもり・・・なのよ・・・・ |
ドウシテ・・欲シイノヨ・・・・ |
◆ |
真里。 |
あんたねぇ・・・・ |
ううん・・・もう・・・・いいわ |
足? こんなもの、とっくに治ってるわ。知ってたでしょ? あなたも。 |
あなたはそれを知ってて、それでも私の言いなりになってたのよね? |
ほら、さすりなさいよ、包帯の色を真っ赤に染めるくらいに頬ずりしなさいよ。 |
ふふ・・・この嘘吐き・・・・最低ね・・・ |
そんなに、この藁人形が怖いのかしら? |
自分がびびってるのを知られたくなくて、それで私の足の怪我のことばかり気にしているのかしら? |
ふん・・なにが、心の傷よ・・・誤魔化さないでよ。私に心の傷なんか無いわ。 |
私のこの右足の包帯の中にはなんにも無いわ。 |
この足の傷がとっくに治っているように、私があのときに受けたショックなんて、その日のうちに消えてたわ。 |
あなた、ただこの藁人形が怖いだけなんでしょ! |
ほんとは私と一緒に地獄に堕ちるなんて、できないんでしょ! |
だったら正直に、そう言いなさいよ! |
あんたがどんな人間だか、私はよく知っているのよ。 |
あなただって、私がどんな人間なのか良く知ってるでしょ。 |
それだけの時間を共有して、そしてお互い言葉にしなくても分かり合えるくらいに想い合ったんだから。 |
わかってないなんて言わせない、知らない振りして逃げてるんじゃないわよ! |
私が・・・私が・・・あんたに無理難題を押しつけ、それをひたすら続けてたのがどうしてなのか・・・ |
それがわからないのは・・・・仕方ないわ・・・・だって・・あなたにあんな事したの初めてですもの・・・・ |
でも・・・・だから・・・・・・・だから・・・・わかっていて欲しかった・・・・ |
私が、そんな事するはずが無いということを。 |
それなのに私があんな事をしたってことは、それだけなにかおかしいことがあったでことじゃない。 |
なのに・・・・・あなたは・・・・・あんたは・・・・私の言うなりになるだけで・・・・ |
まるで・・・・昔から私はあんな横暴な人間だったと・・・・そう言わんばかりの悲しそうな顔して・・・・・ |
巫山戯るんじゃないわよ!! |
真里・・・・っ! あんた、一体今まで私のなにを見てきたのよっ! |
ううん、そうじゃない・・真里はちゃんと見てきた・・・私がどんな人間かを・・私がそんな事するはずないって |
ことを・・・真里は知ってる・・・・ |
なのに真里は・・・・・・・そうやって・・私の意味のある横暴を・・ただの無意味な横暴にしてしまった・・ |
ただただ・・・・従順になるだけで・・・ただただ・・・自分だけが苦しい顔して・・・・ |
なにを・・・やっているのよ・・・・・真里・・・・・・っっっっ |
そして、目の前の鏡の中には、私が居た。 |
◆ |
ごめんね・・・真里・・・・ |
・・・・・・・・・・・・・・嘘・・。・・・・・ごめんなんて言わないわ・・・ |
言っちゃ、いけないもの。 |
真里は・・・・そういう・・私の姿も・・・・わかって・・・・・たんだよね・・・・ |
ううん・・・・真里・・・・・・・自分で言うわ |
私はね。 |
私は、ただ、あなたの話を聞きたかった。 |
あなたが、私の友達だってことを、あなたの言葉で証明して欲しかった。 |
私は、そのためなら、真里がそうしてくれるのなら、どんな苦痛だって我慢してみせるつもりだった。 |
あなたがどんなに私と離れた場所に行ったとしたって、私とどんどん違う顔になって行ったとしたって、私は |
そのことに感じる苦しみを噛み締めて、そして歯を食いしばってでも、それでも私は真里の友達で居たい |
と想い続けることができた。 |
そして、真里は私の想うとおりに、いつまでも私の友達で居てくれる素振りを魅せてくれていた。 |
嬉しかったわ。 |
あなたと一緒に居れば居るほどに、私とあなたの差があることからは目を逸らせなくなっていって、なのに |
あなたは私と一緒に居てくれた。 |
でも。 |
あの先輩との件で・・・わたしは・・・・ |
疑問が生じた訳じゃなかった・・・・・信じられなくなった訳じゃなかった・・・ |
ただ・・・証拠が・・・・・決定的な証拠が欲しくなってしまったのよ・・・ |
あなたが・・・ほんとうに・・・本当に・・・これからもどんな形でも良いから友達で居てくれるということの。 |
そして、その証拠をあなたにこそ示して欲しくなった。 |
今までのは、ただただ私ひとりの思いこみだった。 |
その思い込みに力を与えてくれるだけの事を真里は実際に示してはくれていた。 |
でもそれは確かな契約の上で成り立ったものでは無く、本質的にすべて私の一方的な思い込みである |
事からは抜け出せないものだった。 |
だから、軽い気持ちでは、勿論無かった。 |
でも、決して不安では無かった。 |
真里は、絶対にその私の求めに応じてくれると、あのとき足を治療されている最中に、そしてそれを |
見つめる真里の純粋な悲しみに満ちたその瞳を見ながら確信していたわ。 |
だから、言った。 |
敢えて、言った。 |
本当に、素直に、私の抑えるべき不安と不信を。 |
怨みを、込めて。 |
『いいよ・・・真里には・・・・私を一生背負って生きて貰うから・・・』 |
厳かに、快感だったわ。 |
もの凄い背徳感だったわ。 |
そして、そのおぞましい快感に囚われている中で、私は真摯にその私の姿を見つめている真里を見つめ |
たのよ。 |
あなたは・・・・あのとき・・・・・・素直な驚きと・・・そして・・・・純粋な嫌悪を・・・魅せたわよね・・・ |
カッっとなった、というべきかしら。 |
私はあなたのその表情に吸い寄せられるようにして、さらに残酷な仕打ちをあなたに示した。 |
同じ顔を・・あなたはまた魅せてくれたわね・・・ |
すうっと、私は果てしなく突き抜けていくような冷静さに囚われていたわ。 |
どこまでも透き通るように、冷徹になっていたわ。 |
『そうやって、一生面倒見てね。真里が裏切らなかった、こんな事にはならなかったんだから。』 |
私が今こうしているのも、それは全部あなたが選んだこと。 |
あなたの真の裏切りは、今こうして私にひたすら額ずいていることそのもの。 |
誰が私の奴隷になれと言ったのよ・・・・私はただあなたの友達である証拠を求めてだけでしょ・・・ |
そして私はますますいきり立ち、そして真里を絶対的に縛り付ける事のできる快感に支配され、 |
それを払拭することに追われ、そしてそのたびに真里の罪深いほどに従順なその顔を見てますます |
激昂し、そしてついには真里の名前を地獄通信に書き込み、それで得た藁人形を真里に示して |
みせた。 |
『今度裏切ったら、藁人形の糸解いちゃうからね。』、と。 |
あなたはそれを、より私への服従を正当化する口実に使ってしまった・・ |
その瞬間からもう、私にとってその藁人形の意味は無くなってしまったのよ。 |
私はただ、殺したいくらいにあなたを愛していると言っているだけなのに。 |
あなたは・・・それには応えてくれなかったのよね・・・ |
でもね。 |
だからこそ、私はその藁人形を捨てることができなくなってしまったのよ。 |
その藁人形は、私の真里への愛の証しなのだから。 |
私がどんなに真里を殺したいと願っても、それでも真里がそれを振り切って私を求めてくれると・・・ |
そう信じていたから・・・・信じられたから・・・・私は・・・・藁人形をあなたに示し続けたのよ・・ |
私は・・・・・ |
真里・・・・・ |
逃げないで・・・・私から・・・・逃げないで・・・・ |
地獄になんか・・・行かせないから・・・ |
あなたは・・・私と・・・生きるのよ・・・ |
私は・・・あなたに無理を押しつける・・・たびに・・・・ |
あなたが苦しみ・・・・そしてそのせいで・・・・あなたの世界が壊れていくのを・・ |
なによりも・・悲しく・・・・感じてた |
真里・・・真里・・・・・やめて・・・・あなたは・・・・私の・・・奴隷じゃ・・・無いでしょ・・・・! |
そして私は・・・そうして苦しみ続ける真里に怒りさえ覚え・・・でも・・・・ |
それが・・・全部・・・・・私がこうして・・・・・・こうして・・・・真里を・・・求めているからだと・・・・知ってて・・・ |
私は・・・真里と・・・・友達で居たい・・・・どうしても・・・・・友達で・・・・居たい・・・・ |
だから・・・・お願いよ・・・・真里・・・・・ |
嘘だと・・・・言って・・・・ |
あなたの・・・その・・従順な・・・姿を・・・・違うと・・・・言って・・・ |
そして・・・・ |
私の・・・・・この・・横暴な・・・姿を・・・・・はやく・・・・・私から・・・・奪って・・ |
あなたは・・・私の・・・・大切な・・・・・・友達・・・・・ |
真里・・・・ |
・・・・・・ |
私は、どうすればいいのか、最初から最後までわからなかった。 |
樹里がなにを考えているのか、正直もう全然わからなかった。 |
私は樹里と長い時間を過ごし、お互いを知り尽くすほどに友達で居続け、そうでありながらも、どうして |
も私には樹里のことがわからなかった。 |
いいえ、というより、どうしてこうなってしまったのかがわからなかった。 |
そうね・・・ |
私はきっと・・・・・今のこの状態に陥ってしまった自分にすっかり惑わされてしまっていたのね。 |
どうしてこうなってしまったんだろう、と既に論理的な問いとしての言葉は無く、ただ感情的に叫んでいる |
言葉としての問いしか無かったのよ。 |
私は・・・・樹里が嫌だったわけでも・・・・・藁人形が怖かったわけでも無い・・・ |
私は・・・・ただ樹里だけと居続けたいと、それだけを想っていれば良かった今までが奪われてしまったことを |
、ただただ嘆いていただけだった。 |
だから、答えだけは鮮明にあったのよ。 |
樹里とまた、ふたりで笑い合いたいと。 |
だから私は、もうなりふり構わずに、その答えを実現しようと、樹里の赦しを得ようと・・ただそれだけを・・・ |
でも、それが間違いだったのよ。 |
樹里は・・・怒っていたわけでも・・・怨んでいたわけでも・・無かった。 |
ただ・・私と一緒に居られることを私に証明して欲しかっただけ・・・ |
樹里とふたりで笑い合いたいと願っていた当の私がそれを一度壊しかけていながら、それでも毅然として |
ある樹里への想いを、私は示さなかった・・・・ |
樹里・・・ごめんね・・・・ |
・・・・・・・・・・・・・・嘘・・。・・・・・ごめんなんて言わないわ・・・ |
謝ってる暇なんて、無かったはずなんだもんね・・ |
樹里・・・ |
私ね。 |
樹里のこと、今でも好き。 |
というより、最初から最後までそれは変わらないのよ。 |
信じてくれるか・・・わからないけど・・私はほんとに・・・ |
ううん・・・そうじゃないわね・・・ |
樹里は信じてくれてる・・・・だから・・・・私も樹里を信じてるってことを・・・伝えなくちゃいけないのよね・・ |
樹里・・・・樹里・・・・・・・・・ |
ごめんね・・・・・ |
やっぱり・・ごめんね・・・ごめんね・・・・ごめんね・・・・・っっ |
言えなくて・・・・ごめんね・・・・! |
『樹里・・・っ・・・・待って、行かないで・・・!私たちずっと一緒でしょうっっ!』 |
私もあなたをずっと愛してた。 |
でも私、不器用だったから。 |
樹里みたいに、強くなかったから。 |
樹里だけ置いて、みんなの中で生きるなんてできなかったのよ。 |
樹里と離れて、それでも樹里と友達で居られるかどうか自信無かったのよ。 |
だから私・・・樹里に・・・甘えて・・・樹里の言いなりに・・・でも樹里は・・そのせいで・・・・・ |
ごめんなさい・・・樹里に・・・・・私の分の人生まで背負わせちゃって・・・ |
樹里のせいなんかじゃないよ・・・・私が弱かったから・・・私は・・樹里と離れられなかっただけよ・・ |
ごめんね・・樹里・・・・あなたに・・・・私の苦しみまで・・・背負わせちゃって・・・ |
私が・・・私の世界をちゃんと生きていれば・・・・樹里は・・・ |
ううん・・・・違うよね・・・・ |
そうじゃ・・・ないよね・・・・ |
わかってるわ・・・樹里・・・・ |
あなたも・・・・ |
藁人形の他に、私とふたりだけで撮った写真も、絶対に手放せなかったのよね・・・ |
樹里・・・・・ |
あなたの命が・・・消えようとしている今・・・・ |
私に出来るのは・・・・・・ |
ううん・・・・・私が・・・したいのは・・・・ |
あなたに、藁人形の糸を解いて貰うこと。 |
『死んだらどこへ行くかわからないけど、これならふたり一緒に地獄に行けるでしょ?』 |
わかってる。 |
こんなの、間違ってるって。 |
でも。 |
あなたの死は、一度しか、無いから。 |
友達の一生の一大事に駆けつけない友達なんて、居ないわ。 |
一緒に、地獄に堕ちましょう、樹里。 |
あなたを、ひとりには、しないわ。 |
もう二度と、あなたの足を、痛ませたりなんか、しないわ。 |
◆◆・・・・・・◆◆ |
馬鹿みたいにくるくると空が廻る。 |
そして地面に叩き付けられた瞬間に、ようやくその回転は止まっていた。 |
辿り着いたそこは、ただただ真っ白なところだった。 |
馬鹿みたいに真里の元から駆けだして、嘘だってわかってるのに全部なにもかも投げ出して、そうして |
欺瞞と逃避に満ちた先にあったのは、なにも無い空っぽの私だった。 |
人間の最期って、こんなにあっさりしたものなのね・・ |
私には死ぬということがどういう事かはまるっきりそれでもわからなかったけれど、なにもかもが本当に全部 |
終わってしまうという、その凄まじい実感だけははっきりとわかっていた。 |
なんだかもう・・・真っ白よ・・・・ |
こんなに焦っているのに・・・こんなに必死なのに・・・それなのにその焦りと必死さが漲れば漲るほどに、 |
どんどんとなにもかもがもう消えているという事がわかっていくだけなのよね・・・ |
真里・・・ |
あなた馬鹿よ・・・ |
殺してやりたいくらい・・馬鹿よ・・・・ |
あなたを殺していいのは・・・・ほんとに私だけだったのに・・・・ |
勝手に・・・私の藁人形の糸を解くなんて・・・・動けない私の手を取って・・・そして・・・・ |
そして・・・・私に・・・・あなたを殺させるなんて・・・・ |
馬鹿よ・・・・・・・・・・ |
あなたを・・・失わないために・・・・あなたを・・・・・・死なせないために・・・私はあなたを殺そうとしてたのに |
だって・・・そうでしょう?・・・・誰だって・・殺されそうになったら・・・・絶対に生きようと・・・するもの・・・ |
真里・・・真里・・・・ |
あなたは・・・・・生きて・・・・・ |
あなたは・・・・ちゃんと・・・・あなたの・・・・居場所で・・・ |
わかってるわ・・・ |
わかってるわ・・・・・真里・・・・・ |
あなたのことを・・・・誰よりも・・・・・知っているのは・・・・・私・・・ |
あなたが・・・私の・・・欲望を・・・・あなたと・・・ふたりだけで・・・居たいという欲望を・・・知っていると・・ |
私は・・・わかってた・・・・・わかって・・・わかって・・・・・・だから・・・・・・・ |
だから・・・・・・・・・だから・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ |
あなたを・・・・・・・怨んだのよ・・・・・・・・・・・・・そうやって・・・・・・私から離れてくれな・・・・・いから・・ |
真里・・・・どうして・・・・ |
私が・・・・あなたにあんなことを・・・し続けたのは・・・・・あなたを・・・・・怨むほどに・・・愛していたから・・ |
あなたには・・・・あなたの・・・・私には・・・・私の・・人生を・・・・生きるべきだと・・・思って・・・・・ |
真里・・・・あなたが・・・・・今この瞬間に・・・・生きる人間だとは・・・・・わかってた・・・ |
それが・・・私と・・・・違うところだと・・・・・だから・・・それは・・・・寂しくて・・・・・・でも・・嬉しくて・・・・・ |
でもね・・・真里・・・・・・ |
私は・・・・・・真里が一緒に・・・・死んでくれ・・・て・・・・嬉しかった・・・・・・ |
け・・・ど・・・・・・・・け・・ど・・ね・・・・・真里・・ |
嬉し・・い・・・・か・・・ら・・・・だ・・から・・・だから・・・絶対・・・・・に・・・そ・・・れ・・に・負け・・ず・・に・・ |
私は、生きて私の事を思い続けてくれる真里を見たかった。 |
その真里と共に、この世とあの世という凄まじい距離を隔てても切れない友情が欲しかった。 |
私の大切な大切なあなたとふたりだけで写る写真をあなたに託し、ただひたすら藁人形を握りしめて |
いたのは、すべて、そう本当にすべてそのことのためにだった。 |
わかっているわ。 |
真里。 |
そして。 |
わかっているわね? |
真里。 |
私は、あなたと死ぬために生きていたんじゃない。 |
私は、あなたと一緒に生きたいために生きていたのよ。 |
うん。うん。 |
ごめんね、真里。 |
あなたが一緒に死んでくれて、嬉しかった。 |
でも、なによりも、悲しかった。 |
ごめんね、真里。 |
ごめんね。 |
ごめんね。 |
あなたを、ここまで追い込んでしまって。 |
あなたに、私との死だけを押しつけたのは私よ。 |
うん。 |
だから・・・ |
・・・・・・+・・・・・・ |
真里・・・ |
樹里・・・ |
ごめんね・・ |
私こそ・・ |
でも。 |
うん、でも。 |
もう、一緒だよね、私たち。 |
うん、死んじゃったけどね。 |
ありがとね、真里、一緒に付いてきてくれて。 |
ううん、樹里をひとりになんてできないもの。 |
うん、ありがと。 |
うん、ごめんね。 |
それじゃ。 |
うん。 |
いこうか、真里。 |
うん、樹里。 |
じゃあね。 |
◆ 『』内文章、アニメ「地獄少女」より引用 ◆ |