+
+
+
+
+

◆◆◆ -- 2008年7月のお話 -- ◆◆◆

 

-- 080728--                    

 

         

                                ■■ 萌えて夏2008 ■■

     
 
 
 
 
 今日は久しぶりに曇り空だったのですけれど、ここ最近は連日連夜連続の真夏日にして熱帯夜が
 広がっています。
 今日も今日とて曇っていながら、普段溜め込んだ日差しが惜しげもなく無料配布するようにして
 部屋の温度を上げ、PCをつければ窓を開けてもほとんど風の無い今は、さらにその熱が籠もるばかり
 で、PCをいじる=苦行という有様になっている今日この頃の私です、ごきげんよう。
 無料配布とか、既にどんな言葉が出てくるか自分でもわかりません。 絶好調☆ (額から汗)
 ふぅ、ほんとなんか、熱にうなされるままに日記を書いたりチャットをしたりと、半分くらい意識朦朧の
 ていたらくで、一体なにやってんだろ私、と思いつつも、えへへと笑いながら汗だくだくでこうしてキーボード
 を叩いている私は立派なのかもしれません。 ← ネット中毒
 一日一度以上はこういう話をしないと、脳がそのまま溶けていくのを見守るだけみたいな気がしてなんか
 嫌なので、こうして暑いとか汗とか暑いとか言わせて頂いております。
 暑苦しい。
 
 さて。
 基本的に私の頭の中に詰まっている言葉の八割は「暑。」なので、残り二割をどうこねくり回して
 お話するかというのが問題なのです。
 が。
 そもそも話のネタ自体に増減はあまり無い昨今の紅い瞳なので、ていうか今結構暇なので、
 要はどれだけすっきりいつも話題にしていることを書けるかという、なに、なによ、もうなに書いてんのか
 わかんなくなってきてんの? 、ってどんだけ集中力無いのっていうか暑いのさ、うん、まぁ、なんだろ。
 書きます。 (おとなしく)
 
 
 
 
 ◆
 
 ここのところ書いてなかったので、お酒をちょろっと。
 ああもう、なんか暑いので、そのまんま書くよ。
 
 
 菊姫 本仕込み 純米酒:
 頂き物。ていうか持ち寄り品。美味しく頂きました。ていうかみんなで空けた。
 てか、美味しいなこれ。 (お猪口の中を見つめながら)
 ぬまっとしてて、濃い味の広がりをゆっくりと感じられ、さらには表面から染み出す酸味が締まりを与えて
 もくれていて、上品さは無いのだけれど、お酒飲んでる感が多めにあって、けど生臭くは無く、うーん、
 飲んでいるうちに感じられる辛味があまり自己主張せずにひっそりと、しかしちゃんと支えてくれて、
 なんていうか、落ち着けるというか、甘味に頼らないところがすごいなぁという感じでした。美味い。
 
 渓流 大古酒:
 私担当。 だって限定品て書いてあるんだもん、そりゃ買うでしょ。自慢できるでしょ! (そこか)
 古酒って飲んだこと無かったし(復古酒はあるけど)、長期熟成20年貯蔵(1985年醸造)ってなんか
 すごそうだし、そういえばホリックの侑子さんが古酒を百目鬼に頼んでたよねとか、あ、なんかこれ、
 白い布地風の包装紙が軽く瓶に巻き付けてあるのが、なんか封印モノっぽい、封印よ封印、包帯と
 は違うからねそういう趣味じゃ無いからねこれ、封印とか呪印とかむしろお稲荷さまのシロちゃんの範疇
 だからね、とか考えたり萌えたりしながら陳列棚の前でほくそ笑むのはやめて欲しいな。(お前だ)
 で。
 日本酒度-12度の示す通りに甘い。
 そして全体に酸っぱさがあって、第一印象は後述する紹興酒に砂糖を多めに入れたような感じ。
 うーん、なんかイメージしてた古酒って感じがしないなぁ、重みとか深みとか綺麗に抜けて、淡泊に甘味
 と酸味で勝負するというか、あれー?熟成ってそういうものなの?と首をひねりながら飲みまして候。
 食中酒としては有用では無いけど、このお酒を飲み続けていくと、面白いことに甘味と酸味メインなのは
 そうなのだけど、どんどんその甘味と酸味の種類だけが変わっていくような感じで、ああ、これが20年も
 熟させた個性という奴か!と、ひとしきり感心していたところ、隣で一緒に飲んでた人はしきりに「これは
 果実酒だよ果実酒。ワインとかそんな感じ? 普通にワインでいいじゃんこれ!」とか既にできあがった
 状態で、買ってきた私の背中をばしばし叩くのはやめて欲しいな。 (涙)
 いやまぁ、私も紹興酒知らなかったらワインって言ってたと思うっていうか、普通に私も紹興酒に似てる
 思ってたんだからおあいこかな、おあいこ。 美味しいか不味いかでいえば、美味しかったですよ。
 
 白鹿すずろ しぼり立て:
 端数買い。
 ・・・・まっず。冷やさないと飲めたものじゃなかったです、つまり冷やせばそこそこは美味しい。
 ごめん、これについてはこれだけヨ。
 
 んで、紹興酒。
 飲んで、まず思ったこと。
 これ、どう処分しよう。
 だってこれ、調味料だったもの。
 醤油、これは醤油です、これ醤油と酒の瓶詰め間違えたとかそういう感じですって。
 いやいやこれ、なんか醤油だけじゃないな、なんか酸っぱい?
 あーこれ、これはあれや、溶き卵や、溶き卵に醤油多めにかけて、白い御飯にかけて、いただきます。
 米じゃ、米を持てい。
 今まで飲んだ中で、焼酎が味と生臭さで絶対飲めないものとしてあるけど、これは私の中ではまだ
 お酒の範疇。
 けど紹興酒は酒違う、調味料や!
 まずいとかまずくないとか以前に、これはそのまま飲むものじゃない。
 これを飲めて酔える中国四千年の歴史恐るべし!
 ・・・・。
 30分後、なんだか普通にこれ結構いけるんじゃね?とか言って飲めてる私の方が恐ろしい。
 ということで、完全に実用化(?)するには、邪道みたいだけどちょっぴり砂糖を加える必要が私の場合
 はありましたし、素直にそうしてそこそこ美味しく飲んでます。
 あとやっぱり中華料理との相性は抜群なので、食中酒として飲むがやはりベストですね。
 
 
 と、そんなところでしょうか。
 
 
 
 
 ◆
 
 しかし本当に書くことが無い。
 正確に言うと、書く気が起きない。
 夏は「暑。」しか無いと言いつつ色々夏っぽくはっちゃけてたりする訳で、一応私は夏一番好きなんで
 すけど、誰も似合わねーよとツッコミ入れてくれないので、紅い瞳は夏の子ですよと微笑んではひとり
 悦に入りながらも日曜日はサイクリングロードをすーっとスポーティに走ってたり(泳げよ)、あ、スポーティ
 ってなんかいやらしいな、というか別にサイクリング用のウェア(ってあるの?)とか持ってないので、
 普通にサッカーやってたときのハーフパンツ(上はトレーニングウェア)はいてるんですけど蒸れる蒸れる
 ありえないサドルとの接点がありえないことになってるよ、ということで目下そういうなんかを探しています。
 あとは飲み会参加多くなってきた、っていうか誰もこの暑いのにビールを選ばないっていうのがなんか神秘
 なんですけど、あ、私はビール駄目な人なんですよいや飲めなくは無いんですけどちょい頭痛くなる
 というか、最初の一杯だけはお付き合いでくーっといきますけどね、でもなんか他の人もビール離れ
 激しいないうか、普通に焼酎から始めてるし、なんだこれ、あんましみんな周りのこと気にしてないのね、
 なんか私だけビール飲まなくちゃあかんの思ってたのがかえって寂しいっていうか、焼酎飲めない私の
 ことを可哀想な子を見るような目で見るのはやめて欲しいな、日本酒万歳!
 うんうん、まぁ、みんな無理しないで好きにやるようになってきてるのは良い傾向ですけどね。
 そういえば、この間古い友人から急にメール貰って、「ていうかぶっちゃけサッカーやらん?」とかお誘い
 を受けたのを普通に断った私に、なぜ?、と今更になって慌てて疑問を抱いてる私ですが、もうほんと
 駄目ですか、駄目ですね、アニメ万歳!
 ・・・・なんか、アニメ観てるような私がサッカーなんてそんな、畏れ多いていうかなんか恥ずかしい、
 みたいな、あー、もー、なんか頑張れよ紅い瞳! なんも出来なくなっちゃうよそれじゃ!
 と思って下駄箱の奥にしまっておいたスパイクを引っ張りだそうと思ったら、無かった。スパイク無かった。
 ・・・・・・・・・・・・・いつ捨てましたっけ? (まずはスパイク購入計画から始めましょう)
 
 P.S:
 その友人と会って、飲んで、そしたら友人はスパイクもソックスも上下もどっかいったって。
 ・・・ですよねー。 (いい加減にしなさい)
 
 あと、二の腕が、やばい。 (今更・・)
 
 あげあげ〜。 (それくらいかな)
 
 
 
 
 ◆
 
 まぁそういうスポーツとかアウトドアとかアバンチュールとかは、横に置いておきましょう。
 無理はよくない。 (ぉぃ)
 でまぁ、ここまでくれば、もう流れ的に次の話題に私がなにを出すかなんていうのは、これはもう
 どなたにでもわかることだと思います。
 世界経済についての話をします。
 
 
 
 恋姫無双が面白いです。
 あと、乃木坂春香の秘密も面白い。
 夏目友人帳もやはり面白い。
 よく考えれば、3つも面白いとはっきり言えるものがあっといて、不作不況だなんて言うのはおかしい気が
 してきました。
 なにが世界経済についてですか、あなたにはもっと話すべきことが、あなたにしか話せないことがある
 じゃないですか。
 アニメが今、面白くて面白くて、堪りません。
 ただの世界経済に興味はありません。
 この中に恋姫無双、乃木坂春香の秘密、夏目友人帳が好きな者がいたらあたしのところに来なさい。
 以上! (某アニメ風に)
 自分で言っといて哀しくなるような季節はもう過ぎました。へっちゃらです。
 いや世界経済はどうでもいい。
 いやどうでもよくないけど、どうでもいい。
 なんか今日おかしいな私、いつもおかしいな私、あ、なんか安心した。 ←駄目人間
 
 で。
 
 恋姫無双がぶっちぎりで面白いんです。
 第一話では、もう関羽と張飛の馴れ初め(違)が堪らなく良いんです。
 ふたりの豪傑の打ち合いもそうなんですけど、あれは武将じゃ無いんですよね武将じゃ。
 ふたりの人間がおもいがどうこうじゃ無くて、目の前の人間とぶつかって、ぶつかるための口実に啖呵と
 か名乗りとかあって、それは全然見栄とかとは違くて独立してて、で、打ち合ってるうちに張飛、ていうか
 鈴々は泣きが入ってくるんですよね。
 あ、この作品には姓名・字の他に真名というのがあって、それは親しい相手にしか教えない名前らしい
 んですけど、張飛は普通に鈴々って名乗りまくってるし、ていうか鈴々とっては張飛翼徳という名前こそ
 お飾りで、で関羽は愛紗っていう真名なんですけど関羽は関羽がメインで、でも鈴々は「そんなの、そん
 なのわからないのだ! ただ、ただ!鈴々はずっとずっと寂しくて!! でも、でもどうしたらいいかわか
 んなくて、それで、それでーっ!!」とその関羽の啖呵的世間向け的理想論(国とか民を救うとか)に
 対して泣き叫びながら蛇矛を振り下ろすんですよー、わかります? わかりませんね、はい。
 で(フォロー無し)、そのまんま関羽は愛紗的に鈴々の住処に泊まり義姉妹として一夜を共にし(ぉぃ)
 、それで、ならば共に旅をしよう、国を救うために、いやどうすれば国を救うことになるのかというのを
 探る旅に出よう、そうすればずっと一緒にいられるとか、胸に大志を抱けばばいんばいんになれるとか、
 そういう嘘とは少し違う「方便」を駆使して、愛紗と鈴々の触れ合いからこそ、「関羽」×「張飛」を創り
 出していくというか、そっか、だから真名があるんだ、この作品がやろうとしていることはつまり「三国志」と
 いうものの解体・再構成、あるいは別側面から光を与えようとしているのかなって。
 あるいは、旅立ちのときに関羽が、張飛が今までの悪行を詫びたから快く皆送り出してくれたのだぞ、と、
 正論ど真ん中を述べたときも、隣に関羽がいるからこそその正論の中身では無いものの力によって、
 張飛は正論とそれを主軸にして廻ろうとする社会に回収される、というそういうものも描き出すことに
 よって、逆に関羽の正論的啖呵が三国志的にカッコ良く光るのかなぁやっぱり。
 萌えキャラ三国志、うん、萌えをこういう使い方してくるなんて、なんかちょっと、ドキドキする。 (ぉw)
 
 で、第二話。(まだやるの)
 公孫瓚殿は横に置いといて、ぶっちぎりで名は趙雲、字は子龍、真名は星、その人です。
 この人に全部持っていかれてしまいました。
 うーん、なんか訳わかんないですけど、多神教な、っ思った。 ・・・説明いりますね。
 関羽と張飛でそれぞれあれだけ盛り上がったのに、早速次には趙雲で撃沈ですよ、しかもそれで
 関羽と張飛の影が薄くなる訳じゃ無くて、ますます作品世界的に深みを増して、あー、アニメってほん
 と多神教的な、なんだかんだいって私そういう楽しみあんまししてこなかったな一神教な、でもほんとは
 自分でも知らぬうちに目の前のひとつひとつのキャラの影響(萌えとか)受けてるんだしやっぱり本当は
 私も多神教なていうかヲタな、という、はい、説明終わり。多神教とか、無い。
 で(フォロー無し)、趙雲がカッコイイんですよね、良質な下ネタ使いというか、エロカッコイイというのは
 ちょっと下品なので違うと思うけど、うーん、あの余裕な冷静っぷりで淡々とそして愉しげに関羽と張飛
 にちょっかい出す様はカッコイイ、だから言ってるでしょう私の価値観なんてすごいんだから。(どういう意味)
 ちなみにこの作品では、というかキャラは下ネタを普通に使いますけど、私はエロネタは好きじゃ無い
 けど、下ネタは嫌いじゃないというか、要するにそれが笑いになるかならないかの違いというか、
 おまけに趙雲は下品さが無く綺麗だし、というかどのキャラもそうだけど、だからこの作品は萌えアニメで
 ありながらエロ萌え作品(そんな言葉あるん?)にはならずにいますし、それはまた、この間も書いたん
 ですけど、キャラを使って遊ぶんじゃなくて、キャラ自身が遊んでいるゆえに、なんていうか節度というか
 そういうものがキャラ自身にあって良いんですよね。勿論その節度自体が萌えになるとかも無い。
 つまりまぁ、作り手とかヲタとかの欲望的視線をあまり感じさせない(胸が時々揺れるくらい?)、
 欲望対象としての道具的な、つまり記号としてのキャラが全然いないってことでもあるんですよね。
 面倒なことを言えば、下ネタ使いの趙雲を使って、ここで明確な線引きをしたとも言えますね。
 あ、記号が無いってのは嘘か。
 記号はあります。
 三国志の登場人物であるということ、これがこの作品のキャラの最大の記号であり、だから、面白い。
 史実的な「記号」をもっと使えば、これは新三国志と言っても良いと私は思います。
 あーでも、この作品はこのまんまでいーや。 史実なんてネタにしか過ぎないしー。 (ぉ暴言)
 追記:正確に言うと「三国志」は正史を記したもので、私らのよく知ってるのは「三国志演義」という
 小説の方ですけど、ここでは適当に言ってますし、基本「三国志演義」を指してます。あしからずw
 
 で、第三話。 (・・・。)
 最初、袁家三馬鹿のノリで普通にエロ萌えで遊ばせて終わりかなと思って、ふぅこれまでか、などと
 勝手に諦め入ってた私はクビよクビ!
 普通にギャグだし、というか顔良と文醜の哀れボケ(なんだそりゃ)っぷりが結局その辺り全部喰ってしま
 ったので、なんか問題無し。あとメイドモードも趙雲のアレっぷりで吹いたし。
 なんなんだ、この作品のセキュリティの高さは。
 で、、曹操が普通に趙雲とは違うタイプの下ネタ使いだし、馬超はスマートにカッコイイし、張飛の戦い
 っぷり(特に最初の一撃の前の踏み込みっぷりとか)もすっきりモノだし、ていうか馬超に暴れ馬呼ばわり
 は無いでしょだし、変な言い方ですけど、落ち着いて観ることが出来ました。 まだまだな。
 そして知力34の顔良以下どころか猿以下な張飛と馬超のお馬鹿っぷりもなかなか良し。
 そして白眉は、ラスト。
 「こらぁー!」と一晩ふらふらして帰ってきた張飛を叱る関羽。
 「うにゃあ!」と少し嬉し気味に仰け反る張飛。
 まだ宵の口辺りにも関わらず寝台の上で寝ぼけ眼気味でちょこんと正座してる趙雲。
 頭をかきながら「えとあのどうも、あたし、馬超って言うんですけど・・」と狼狽え気味な馬超。
 そして、この張飛の一言。
 「ふふーん♪ 馬超はね、鈴々の新しいお友達なのだっ☆」
 そして、ふっと自信ありげな馬超の笑顔。
 うーん。
 乾杯。
 
 
 以上!
 他の作品については、またいずれ。
 あ、ラスト。
 恋姫無双、略してこいむその、キャラ当て予想〜。
 ヒントに使えるのはOPとED。
 OPの関羽と張飛の扱いからして、劉備はどうやらいなさそう。
 蜀の五虎大将のうち既に四人が出てる(関羽・張飛・趙雲・馬超)から、OPのメイン張ってる六人の
 うちひとり、弓持ってるおねーさんが黄忠であることは堅い。
 で、あのロリっ娘が劉備である可能性は無きにしもあらずだけど、扱い的にも、そして軍扇も持ってる
 ことから孔明でまず間違いない。
 魏は登場済みの曹操以外はわからないかなぁ、記号としてわかりやすい「片眼」の夏侯惇がいないし、
 軍師っぽい子がひとりいるけどそれこそ魏は軍師が多すぎてわからない。
 孔明との絡みにするなら司馬懿、孔明バージョン魏なら郭嘉、あのサドっ子曹操中心なら荀ケか。
 他のはさっぱりぷー。 つまり曹操以外全然わからーん。曹操と一緒に出てたのもわからーん。
 呉はまだ作中ではひとりも出てきてないけど、OPEDの扱いからしてたぶんあの四人なんだろうけど、
 ピンクが三人もいる。どういう括りだろうこれ・・・(頭抱えて)
 OPの位置的にみて曹操と同じ位置のピンクが孫権か、孫策。・・・どっちよ。(頭抱えて)
 残り三人のうちふたりがピンク・・・普通に考えたら無双的に大喬・小喬・・かな?
 最後の黒髪眼鏡は、他ふたつの勢力に軍師がひとりいるから、周瑜か陸遜の可能性が、であの容姿
 (真面目てかキツそう)からと他のキャラとの絡み易さからして周瑜の可能性が高い。
 けど大喬・小喬は不安かなぁやっぱり、なんで孫権(孫策)と三人でピンクなのかわからんし・・
 それに他に有名武将沢山いるのに、無双人気からだけでその二人出して貴重な登場枠(笑)を
 使うとは思われないし・・。
 ていうかそれ以前に、大喬・小喬って元から女の子やん。女性「化」してないやん! (笑)
 三国以外のはもう想像すら出来ねーっす、無理無理。
 あ、でもなんか最後の赤アホ毛っ子は呂布の可能性があるかも。
 独り扱いになってるし、赤毛は赤兎馬連想(厳しい?w)だし、三国志モノで呂布出さないなんて
 勿体無いし、出すという前提だったらあのEDと位置的にみてあれしか無いよね。
 あのキャラの感じだと無口・無垢系・・? ・・・・で、大陸最強?・・・・・・・・・・萌える。(帰れ)
 でも意表を突いて孟獲とか・・・いや呂布出てる前提だったら無いよね・・うん。
 
 
 
 という感じでした。
 お恥ずかしいところをお見せ致しました、あーすっきりした。
 お疲れ様。 (皆様)
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

 

-- 080725--                    

 

         

                              ■■ とある友愛の光景 ■■

     
 
 
 
 
 『 ごめんね夏目。 ただどうしても、話しかけてみたかったの・・・』
 

                         〜夏目友人帳・第三話・とある心優しき妖の言葉より〜

 
 
 
 
 
 
 
 
 砂埃が湿って浮いていた。
 日没の中から生えてくる影は、紅く濡れた牙のよう。
 忘れていくには過激なほどに、一日は長く儚かった。
 一時間一時間を生きることに精一杯でいるうちに、気づいたら靴を片っぽ無くしていた。
 音が、ゆっくりと潮が引いていくみたいにして、消えていく。
 ざくざくと斬りつけてくる夕雲が、重い。
 押し寄せてくる影の中から、影よりも薄いひとつの手が、伸びてきた。
 それは間違い無く、手だったんだ。
 僕は、ただ、それを掴むことしか出来なかった。
 いや、俺はただそれを、掴もうとすることしか出来なかったんだ。
 
 
 
 ・・
 
 遠くに、重く白い雲がある。
 窓の外から流れ零れてくる光が目元に触れる。
 ぼーっと、寝ている。
 寝ぼけ眼をこする指先が乾いていることを感じている。
 その感触が暖かく、さらなる安眠を保証してくれる。
 夢うつつのままに音を聞き、声を鼓膜の奥の奥で感じ、寄る辺なき頬杖を逸らしたまま、ぬるい眠気
 の籠もった背に力を込めていた。
 教室での寝起きって、どうしてこんなにも眠くないのだろう。
 今見てきたばかりの夢に手を伸ばそうと思うだけで、すぐにそれと連絡可能だというのに、いやいいと、
 ひとり穏やかに断りの言葉だけで、そのおぼろな世界と繋がっている。
 浮遊感が抜けないままに、それでいてなぜか鮮明に瞳に飛び込んでくる光は確かで、そしてさらに
 その確かさにすら全く左右されることは無かった。
 クラスメイトの声が聞こえる。
 その声は俺に向かってかけられている。
 俺はそれに自分でもわかるほどにぶっきらぼうに答えるのだが、それが寝起きのせいだという言い訳を
 使用せずとも許容できる、不器用で口べたな自分のままにいられたのだった。
 なぜだろうか、なんでこんなにも、周りが気にならないんだろうか。
 再び俺を呼ぶ声がして、どっかと目の前の椅子に良く見るクラスメイトの顔が居座った。
 誰もなにも俺に要求はしなかったし、俺もなにも要求しなかった。
 いや。
 お互いがそれで無理をしている訳では無いんだろう。
 俺は、ああとかううとか、かろうじてイエスかノーかがわかる程度の言葉しか発していないのに、ただそれ
 が目の前の人達に伝わっていることだけで、満足出来ていた。
 
 クラスメイトが巫山戯ながら、背にもたれかかってくるのを、体全体で感じていた。
 
 夢心地が、夢とうつつのどちら側にあるのか判然としないどころか、まさに混然としていた。
 しかし背で受け取った感触が全身に広がると同時に、それは全く体にとどまること無く、まるで波紋の
 ようにして、ゆっくりとすっきりと消えていった。
 なんだろう、これ。 妙に気持ちがいい。
 『悩みだったら聞くぞ?』
 『いいや。』
 甘く濾されていくような自分の言葉が、心地良い。
 胸から喉へと浮上する息吹さえ感じられる。
 爽快な気怠さが、ここにはあった。
 俺はそれでも、自分から手を伸ばすことは出来ない。
 だけど、それでいて、その手に鬱屈する力は、既に指先から抜けて消えていた。
 消えた先を見上げると。
 そこには、友の笑顔の向こうに咲く夏の太陽が、ただあった。
 
 
 楽しいか、楽しくないか、それが問題だ。
 そういう問題設定をすること自体が重要なんだ。
 それだけで、この夏道を歩く事が出来ていた。
 実際楽しいか楽しくないかなんて、あまり関係が無い。
 頭の中にいくつかの物事の選別法を浮かべながら、その水面下で鬱蒼と考えている。
 ひとりは、寂しい。
 そう呟くのが不自然では無いほどに、俺は常に一本ズレていた。
 ほんとうに寂しいのだろうか。
 そう自らに問い掛けることのうちに、自分を探していた。
 ひとりは寂しいか、寂しくないか、それが問題だ。
 そういう問題設定をすること自体が重要なんだ。
 それだけで、この夏空の下に浮かんでいることが出来ていた。
 記憶がおぼろに現在の瞳の中に転がり染みこんでくる。
 夕焼け。
 残酷さを感じる手前で、真っ赤に爛れたその光の中を僕は走っていた。
 僕は寂しかった。
 僕は・・僕は・・
 変なモノが視えるんだ。
 他の人には見えてなくて、誰も僕が言ってることを信じてはくれなかった。
 僕は寂しかった。
 ううん・・違う・・・
 
 僕は、僕と同じ人を、僕の話を聞いてくれる人を、ただ探してただけなんだ。
 
 僕は寂しがる手前で、ひたすらにその誰かを探し続けてた。
 寂しいから探すんじゃなくて、探しても見つからないから寂しかったんだ。
 ううん・・それも違うかも・・・
 寂しいなんて・・違う・・・・僕は・・・・悔しかったんだ
 悔しくて、悲しくて、怒りさえ感じてたんだ。
 だって、僕は独りじゃなかったんだもん。
 おじさんもおばさんも、近所の人達も学校のみんなも、いたんだから。
 あの日、逃げ出した僕を慰めてくれたお姉さんがいたんだ。
 初めての、僕と同じかもしれない、僕の話を聞いてくれるかもしれない人だった。
 すっと、血の気が引く感じだった。
 悔しさとか悲しさとか怒りとかが、透明になった。
 僕はお姉さんに、お姉さんは僕と同じ人なのかと尋ねた。
 だけどその言葉の下で僕はずっと静かに長く震えていた。
 なんだろう、この感覚。
 紅い黄昏の中で、僕の血が夜に溶けて黒く繋がっていくの感じていた。
 お姉さんが僕と同じ人間か、そうでないか。
 お姉さんが僕の話を聞いてくれるか、くれないか。
 それが問題で、そう問い掛けること自体が重要であるだけだった。
 お姉さんは曖昧な返事しかしなかった。
 お姉さんはただ僕の話を聞いても、相づちしか打たなかった。
 慰めてくれるだけだった。
 
 俺はあのとき、あの人になにも求めてはいなかった。
 
 
 『視えているものが存在していないかもしれない。
  そんな不安定な世界を、ひとりで歩く怖さをわかってくれる人は、誰もいなかった。』
 
 
 抜け出せないみんなの輪の中から逃げ出して。
 逃げた先にもその輪があることを知りつつ、残酷な紅い雲の下を駆けた。
 『僕は家族じゃ無いんだって。』
 『寂しいの? 夏目。』
 ううん、わかんないんだ。
 だから僕・・・誰かのためになりたくて・・
 僕がいて、ここにいて、それで誰かが・・お姉さんが寂しくないって言ってくれたら・・僕は・・・
 お姉さんが僕の姿を見てくれるんなら、僕は寂しくないよ。
 お姉さんは、僕が見えるよね?
 見えてるんだよね?
 『お姉さんも見えるんでしょ?』
 僕は・・僕は・・・・
 
 僕だけが誰かを見ていることが、嫌なんだ!!
 
 
 そう、叫ぶことが重要だった。
 その嘘を吐くことだけが、僕の全部だった。
 ううん。
 僕は、そう嘘を吐くことしか出来なかったんだ。
 僕は・・・
 
 
 
 

 『僕はおかしくないよね? ひとりじゃ無いよね?』

 
 
 
 
 
 
 あの人は、妖だった。
 言葉が通じるのに、姿がみえるのに、俺を見てくれてるのに。
 それなのに、誰もあの人の姿がみえてなくて、俺があの人のことを見てるのを知らなかった。
 俺には、見えてたのに。
 あの人には、見えてたのに。
 
 
 『あら? お隣の貴志くんじゃない?』
 
 
 『どうしたの? こんなところに、独りで。』
 
 
 
 
 

『・・・・え?』

 
 
 
 
 
 
 
 
 
 見えているのに、存在しない。
 存在しないのに、見えている。
 俺だけが、それを見ている。
 見ているから、それからは逃げられない。
 なのに、それに囚われているのは、俺だけ。
 裏切られたと思った。 
 小さな夕闇の中に背負い溜め込んだもの全部が、弾け飛んだ気がした。
 存在してないくせに、僕の、僕の前に現れるなっっっ!!!!
 『あっちへいけ!』
 
 
 『あっちへ、いけぇぇぇぇぇっっっ!!!!』
 
 
 
 そう、俺は、自分がひとりだという恐怖を立ち向かう気はあったくせに、それを独りでやるということに、
 俺だけがその戦いに挑まなければならないという理不尽さに、取り残された感覚を感じそれに囚われて、
 全部全部無視して、みんなの中に逃げ込もうとしてただけなんだ。
 そして俺は、それからずっと、絶対に受け入れてはくれないみんなの輪の中にへばりついていたんだ。
 
 ずっと無視しようとした。
 あれからずっと、目に映る得体の知れないものから逃げ回った。
 あれ以前は、ただ怖かったから逃げただけだったのに。
 誰かが助けてくれれば、信じてくれれば、立ち向かえたのに。
 あれからずっと、憎しみを以て、逃げ続け、無視し続けた。
 俺は普通なんだ、俺は独りじゃ無いんだ、俺にはなにも見えない、なにも知らない。
 俺だけが誰も助けてはくれないのに、俺だけが独り苦しんで立ち向かわなくてはいけないなんて、
 絶対に絶対にそんな理不尽許さない。
 逃げて、逃げて、逃げるために戦った。
 なにと?
 俺の憎しみが、妖に向かったのは、あの人のときの一回だけだった。
 あとの憎しみは全部、そう、本当に全部、誰でも無い、この世界すべての人間に対してだった。
 俺は、人間が嫌いになってしまった。
 表面上は余所余所しい態度で、みんなと接するばかりだったけど、根底には憎しみと怒りがあったし、
 それがあるからこそ、それを必死に隠そうとするために、全部を自分の中に閉じ込めた。
 妖がみえているということを、誰にも言わなくなった。
 みえている妖と言葉を交わすことも、無くなった。
 全部、俺独りの中に。
 それはとても、簡単なことだった。
 苦しくて、そして今度こそはっきりとした寂しさが激しく、でも、その感情に身を委ねるだけで、
 俺はこの夏を生きることが出来た。
 これでいい。
 
 
 にゃんこ先生と出会うまでは。
 
 祖母の夏目レイコのことを知るまでは。
 
 
 友人帳のことを、知るまでは。
 
 
 
 
 
 するべきことが、俺には生まれていた。
 
 
 生きる口実が、出来たんだ。
 
 
 
 
 
 
 
 ・・・・
 
 『けれど、みえるのなら・・・どうしてこんなひどいことが出来るのか。
  確かにいい連中ばかりでは無いけれど・・・・』
 
 妖怪退治をしている人間の話を聞いた。
 そしてあろうことか俺の元には、その退治される側の妖が助けを求めに来ていた。
 妖は苦手ではあったが、好きか嫌いかは、俺にはわからなかった。
 いつでも好きか嫌いかのどちらかの判断を下していたし、それは全然連続性を持たないものだった。
 好きとか嫌いとかが、俺の行動指針になんて、ならなかったからだった。
 俺が妖怪に付け狙われたり、逆に頼られ慕われたりするのは、全部祖母のレイコと彼女が遺した
 友人帳のせいだ。
 俺自身には、なんの関係も無い。
 俺は俺、祖母は祖母だ。
 だけど・・・
 妖には、そんなことは関係無かった。
 俺から祖母と同じ匂いがして、俺が友人帳を持っていること、それは俺が俺であることが絶対である
 ことと全く同じで、絶対のことだった。
 俺は俺だが、祖母の役割と立場を受け継いでいる。
 妖は俺が継いだ役割と立場にしか興味が無いし、俺がなにをやったか出来るかにしか反応しない。
 それは・・・・寂しいことか?
 
 ああ、寂しいよ、にゃんこ先生。
 だけど、なんだか、その寂しさが、心地良い気がしてきた。
 
 
 なんだか俺が、広がった気がした。
 
 
 
 
 ◆
 
 走れ、走れ、走れ。 
 全力で、邁進した。
 俺のおもいのままに、俺のしたいことのために、俺の求めるままに、俺は走った。
 その助けに、友人帳はなった。
 俺は此処にいた。
 俺が此処にいるから、俺は友人帳を使えた。
 だけど、友人帳と出会えたから、俺は走ることが出来、その走る汗の中に俺を感じたんだ。
 俺は、俺だ
 俺は、人間側にも妖側にもつかない。
 俺は、俺だ。
 時々、ひょっこり、気が向いたときにでも、どちらでもいい、助けてあげればいいや。
 俺は、俺だ。
 俺は、誰かを助けたり救ったりすることにすべてを賭けたりなんかしない。
 俺は、俺だ。
 俺は俺だから、なんにでもなれる、なんでも、出来る。
 妖怪退治人は、気の良さそうなご住職だった。
 俺と同じように妖がみえている訳では無く、ただ習慣としてのお清めをするためにやっていたことが、
 結果的に寺の近くに住む妖達に影響を与えていただけだった。
 あのときの俺だったら、なんと言っただろうか。
 いや、もうわからないな。
 今は・・・
 
 『でも、ここらの化け物はたぶんそんなに悪さをしませんので、ほどほどにしてやってください。』
 
 とてもとても、自然な、素直な力強さと、そして安らぎが胸を焦がしていった。
 
 
 『ひょっとして君は、みえるのですか?』
 
 びっくりした。
 不思議なほどに、びっくりしただけだった。
 話す気は、ゼロだった。
 済んだ青空のように、綺麗だった。
 まだ俺は、未熟だ。
 本当のことを言えるほどに、しっかりして無い。
 俺、まだまだもっと嘘を吐いて、隠し事をして、上手く付き合っていけるように頑張るべきなんだ。
 そっか・・
 俺・・
 そうだったな・・・
 
 
 
 『小さい頃、人に化けてまで声をかけてくれた妖怪がいたんだ。
  あのときはガキで、その好意でひどく傷ついた気がしてたけど・・・・今思うと・・・・・・・・』
 
 
 
 

『それでも、会えて良かったと思うんだ。』

 
 
 

『夏目。』

 

『夏目』

 
 

『夏目・・』

 
 
 

あの妖怪の、あの人の、あのお姉さんの顔が、みえる。

 

俺には、みえた。

みえるんだ。

俺は、向き合うよ。

 
 

『たぶん言葉を交わして、知り合いになったからさ。』

 
 
 
 
 あの人が存在していないって思うのは、ただ。
 あの人の姿をみているのが、俺しかいなかったからだ。
 あの人の存在を奪ったのは、だから、俺だったんだ。
 俺が独りぼっちが怖いあまりにそのせいにし、俺がひとりだということから逃げたからなんだ。
 あのご住職の息子さんも、俺と同じで変なモノをみるらしい。
 実際会って話してみると、そいつは俺より嘘吐きで、そして俺より少し、正直だった。
 だから、思ったんだ。
 俺はじゃあ、目の前のこいつより正直になって、そしてこいつより少し、嘘吐きになろうって。
 
 
 『上手く言えないけど。』
 
 『最近、わかってきたんだ。』
 
 『人だろうと妖だろうと、触れ合わすのが、心であるなら同じだと。』
 『独りでいるのが寂しくなるのも、最初の一歩が怖いのも。』
 
 ひとりを怖がる前に、独りを恐れてひとりから逃げるのは、人も妖怪も変わらない。
 だから、いいんじゃないかな。
 話そう、出会おう。
 友達に、なろう。
 
 
 
 『妖怪はやはり苦手だが・・・』
 
 
 
 
 『たまには、相談に乗ってやってもいいかな。』
 
 
 
 口下手な俺だけど、その俺に構ってはいられないな。
 俺は俺。
 口下手だろうとそうでなかろうと、俺が見つめるべきものはもう、其処にいる。
 
 
 
 夏の輝く陽射しが、またひとつ心地よく重くなったのを今、この瞳の中の青い雲に感じている。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
                            ◆ 『』内文章、アニメ『夏目友人帳』より引用 ◆
 
 

 

-- 080722--                    

 

         

                               ■■ きらきら星のぼり ■■

     
 
 
 
 
 心配するな。私はその気が無くも無いので大歓迎だ。 (挨拶)
 
 ごきげんよう、紅い瞳です。
 早速ですけれど、なんかがーっとやる気が出ているので、それが消えないうちにがーっとやっちゃいます
 ので、申し訳ありませんけれど、挨拶は省略させうわなんかはやくもやる気が無くなうわはやく書k
 
 
 
 
 紅:
 好きか嫌いかとか、そういう話にしかならなかったのですよね。
 ただそれは、結局そうにしかなれなかった、という後ろ向き的なことでは無く、元々そういう話で楽しめ
 たらいいなぁという想いから出てきたことであって、そういう意味では私の今までの価値観的な見方とは
 明らかに一線を引いた楽しみ方を積極的に受け入れる、その嚆矢となる作品かもしれません。
 ぶっちゃけ、ちっちゃなボロアパートの住人達の享楽的阿呆的な生活の掛け合いを楽しんで、そのつい
 でになにやらカッコ付けたことを考えて付け足してみるという、そういう極めて作業的な楽しみを得ながら
 、私はこの作品を観てました。
 ただそのカッコ付けたことは決して「小難しいこと」では無く、むしろ素直にあのアパートの住人の生活
 からも出てくる言葉であり思いであり、そして魂の生き様のように感じられ、それは決してエンターテインメ
 ント的なお仕着せ的カッコ良さ(理想論とも言いますネ)で、外側から楽しみ頷くたぐいのものでは
 無かったのです。
 ぶっちゃけ、あのキャラが好きであのキャラが嫌いとか、そういう井戸端会議的な感想の持ち寄りの
 中にこそ、逆にこの作品の中の人物と同一化するでも無く、外側から鑑賞するだけでも無く、彼らと
 同じアパートに住む別の住人の位置から、彼らを見て感じて考えていくことが出来たような気がする
 んです。
 
 そういう意味で、チャットで阿呆なやりとりをしながらワイワイ楽しく観ることが出来たことが、この作品
 に対して最も相応しい態度だったと思っていたりします。スペシャルサンクス、銀光さん。 (笑)
 どうですかね、そういう意味で私が一番嫌いだったのは蓮杖で、好きだったのは彼のあの正妻(?)の
 人だったりとか、今更ここで言っておきますし、こうして私のあの作品に於ける人物の好き嫌いを述べる
 こと自体で、「私」というあのアパートの住人の態度が顕れてもくるのです。
 あの作品で語られていたのはどういう問題で、そしてそれをどう主体的に解決していくかという、その
 哲学的問答をするよりも、むしろあの作品の当事者として視聴者的に関わっていくことで、なにかこう、
 今まで自分が感じたことの無いなにかを、私は結局感じることが出来たと思います。
 あの作品に正解は無く、おそらく作品としての正解を出すために各人物がいる訳でも無く、ただ自分が
 ひとりの確とした人間であり、そしてだからこそ、その自分が自分とは違う他の誰かと出会っていくことで、
 それぞれ全く違う変化を遂げていくという、その「変化」の様そのものをこの作品はなによりも創り出して
 いたと思うのです。
 私は蓮杖が嫌いですけど、でもその私はもう蓮杖と出会った。
 そして私は蓮杖の奥さんが好きな自分とも、出会った。
 最後に叫んだ紫の叫びを聞いたのは、真九郎という主人公、つまり作品全体の意志だけでは無く、
 他の人物、そしてそれぞれの好き嫌いを抱えた私達自身もだということなのですね。
 私は、紫の言葉を真九郎的に頷いて聞くだけでは、あの作品は終われないと、そう思いました。
 そしてだから、勿論。
 自分の抱える好き嫌いのままに生きている自分自身が、あの紫の言葉を聞いてどうなるのかどうする
 のか、それがこそ、一番この作品が私達に求めていることであり、きっと私はこの作品が私にそう求めて
 くることをこそ、この作品に求めていたのです。
 真九郎の最後のあの語り。
 紫のことは好きで、紫といられた時間はただの楽しくて懐かしくて・・
 でもそれは、夢だった。 心地よい、大切な、夢。
 『真九郎、そなたは紫が好きか?』
 好きとか嫌いとか、そういうお話だったよね。
 ああ、俺は紫のことが好きさ。
 そして、好きか嫌いかと論じることにしか結局ならなかったのは、きっと。
 好き嫌いを論じることが、目的では無かったということなんだろうな。
 だって、好きとか嫌いとか言っている、俺が此処にいるんだから。
 
 
 あまつき:
 いや、あの、なんでやねん! (叫)
 こんな終わり方ってあるの? っていうかこれは終わりじゃ無いですよね、っていうかこれ打ち切り?
 なんでよー、このシーズンではホリックと並んで最も深く考えてる作品であり、かつアニメでしか出来ない
 ような感触で以て考えていくスタイルで、かなり評価出来る作品でしたのに。
 問題設定も明快至極で、人間vs妖という単純図式から逃れられない因業と、それをもたらすその図
 式をもたらす上位の存在があることを設定して、それとこそ向き合い考えていく。
 鴇という主人公の人間としての、「妖だけを殺して人間だけが幸せになるのか、それが俺の望んだこと
 なのか」というおもいが対立図式の上に位置し、また対立図式を必然たらしめているのは、実は
 テイテン(漢字わからーん、帝天かな?)というすべてを把握し決定づける存在があるからだという、
 そういうふたつの視点を同時に存在させている。
 そう、少なくともここまでの話では、鴇はじゃあそのテイテンを倒せば全部OKという普通に新たな対立
 図式を創り出すということはせずに、あくまでいち当事者の人間として、人間の因業の側からそれを
 どう解決したらよいのかという、そういう真摯な思考としてるんですね。
 これ、最近のアニメでは無い、とても貴重な方向性ですよね。
 テイテンと対決する分子もまた鴇とは別に存在し(梵天とか姫とか)、けれど鴇は彼らに荷担するか否
 かという選択的思考を取らないし、またそれしかないと思えぬときこそ、そうとしか思えないのはどうして
 だろうと、嘆きでは無くちゃんと考えていこうとしていることが素晴らしい。
 理想論(アホな言葉ですが)を持って頑張ってるお人好しが、業だのなんだのを目の当たりにして、
 現実(これもアホな)に目覚めていく、なーんて茶番は絶対にしないし、というより逆に鴇も人間として
 そうして現実をただ受け入れていく衝動に駆られながらも、けれどそれよりも圧倒的にそのことに「?」
 と首をひねり、それってつまり、それこそが業ってことであり、その業を認めてるのは他ならぬ人間自身で
 あって、だから人間自身がそれを解決していかなくちゃいけないことであり、それをsないでいるのは
 むしろ業の存在の責任をなにものかに押し付け、つまりテイテンのせいにして、だから仕方がないって
 言ってるだけなんじゃないの、とまぁ、そういう風にすらすらと考えて実際に行動していく鴇がすごい。
 うーん、だからきっと鴇は、テイテンの言いなりのままに妖を倒し続けることと、テイテンを打ち倒そうと
 することは同じなんじゃないかって、そう考えていくような気がするんですよね。
 
 で、テイテンを倒そうとした姫はなんかテイテンに返り討ちされて、そこで終わりって。
 「鴇的」にはテイテンを倒すということは、鴇の本当に願っていたこととは違う、ということではあっても、
 「姫的」にはテイテンを倒すということは、姫と他の人間達が背負う人間としての業のままに、それに
 囚われながらも、それでも前を目指すということであり、たとえテイテンに刃向かうこと自体もテイテンの
 掌のうちだとしても、けれどテイテンと戦うこと自体が人間のそれを超えたいという意志の表れであり、
 そしてそれは同時に少なくとも姫にとっては、テイテンを倒すこと自体が目的では無いということも示し
 ている。
 なのに、姫が倒されてそこで終わりって、なんか姫が否定されてるだけで、その姫の否定の上にしか
 鴇は立てなくなっちゃうじゃないですか。
 鴇が姫を認めることが、鴇の願っていることに叶うことでもあるはずなのにねぇ、あれで最終回は無い。
 うーん、これはもう、第二期があることを願うしかないですよ、こういう作品はちゃんと最後までやら
 ないと、残さないとね、うん。
 
 
 ヴァンパイア騎士:
 はぁ・・(溜息)
 もしかして、初めてかもしれないなぁ、ここまで心揺さぶられたのは。というか揺さぶられてるよ今も。
 口にしてしまうと消えてしまいそうで、それが怖いから、つい嘘を吐いてしまう。
 どうしても言葉で勝負する気にはなれなくて、口から出ていく言葉は全部自分の中で終わったもの
 ばかり。
 はぁ・・・・(溜息)
 嘘では無いんだよね、ほんとは。だから嘘吐いてるって嘘を吐くしか無いのだけど。
 ただ口から出ていくのは全部溜息みたいなものばかりで、言葉自体には意味が無いっていうか。
 ひとつひとつの機微の面白さ心地良さに酔ってるのはそうなんだけど、機微はあれどそれは決してハイ
 レベルなものな訳でも無いし、私の心臓ど真ん中ストライクな訳じゃ無い。
 でも私は、そのボール球に思いっきり手を出して、空振り。豪快に、ストライク、バッターアウト。
 ストライクはストライクな訳なのだけれど、それはむしろ私が手を出してるからに他ならない。
 だからこれはきっと、本当はちゃんと言葉が介在している。
 ただ受け身なだけじゃ無くて、私はもの凄い速度と深度で感じ考えている。
 だけど、それを言えない。
 なにを感じなにを考えているのか、上手く言葉で表せない。
 
 なんだろ、問題設定とかなんかそういうの、この作品は全然無い。
 いやあるにはあるんだけど、それってあんまし大したものじゃないし、作品に占める割合は極めて低い。
 かといって、じゃあこの作品は雰囲気を楽しむだけなのかというと、それもまた全然違う。
 感情とか理屈とか、そういうんじゃ無い。
 ただ無性に、なにかを書きたい。
 だけど私は未だその機会を得られずにいる。
 だけどそのことが、苦痛では無い。
 じとじとと、べったりと、這うようにして、私の中にそのおもいは鬱屈すること無く溶けて浸みていく。
 明確な思想や哲学や文学がある訳でも無く、おまけに美学もすら無い。
 だからこの作品が私の血肉になったような錯覚もまた、それでもなお抱けない。
 私の中にこの作品は溶けて浸みて広がっているのに、それは私と一体にはならずに、むしろ私の中に、
 「この作品が染みこんだ私の一部」が分離して私の中に転がり広がっているのを、ただそれを静かに
 感じているんです。
 ・・・・これ、私の感じた、緋桜閑の感覚と同じなんです、というか普通にベラベラ喋ってたら、同じこと
 書いてた訳で。
 絶対的な違和感。
 なのにそれに、なんの抵抗も無い。
 異物がごろごろと自分の中に犇めいているのに、それに対して恐怖も無ければ焦燥も不安も、また
 これが自分なんだという意志的感覚も無い。
 拘りが、無い。
 拘りが無いという自覚にすら、なにも感じていない。
 そして、なにも感じていないということが後ろ向きなイメージでは無い、なにか全く別の「言葉」によって、
 冷静に激しく引きずられているのを感じている。
 緋桜閑を見ると、息が止まる。
 だってあんなに、紅まり亜は言葉を持っているというのに。
 でも紅まり亜の言葉は、全部嘘にしかみえない。
 でも緋桜閑の言葉は、全部溜息にしかみえない。
 言葉を超えたところに彼女はいて、そして彼女はその遙か遠いところにある言葉に引きずられていく。
 肉体って、なんだろう。
 私はなにか、決定的な誤解をしてたんじゃないだろうか、ずっと今まで、ずっとずっと。
 どうして緋桜閑は、閑の体にいるときとまり亜の体にいるときとで、ああも違うのだろう。
 どうして緋桜閑は、あれだけ違うのに、緋桜閑という全く変わらぬ同じものでしかないのだろう。
 私には、ふたりの彼女が同じにしかみえない。
 嘘を吐こうが溜息を吐こうが、やろうとしていることはすべて同じ。
 やろうとしていること自体が目的では無いという意味で、全く同じ。
 まり亜は閑の体に戻れば、絶対にあんなやり方はしない。
 まり亜は自分を、閑を、まり亜の肉体からみてる。
 だけどそれは冷静な閑の観察者では無く、紅まり亜という肉体に大きく影響されている、紛れも無い
 緋桜閑自身の眼差しだった。
 そして。
 閑は、閑の肉体にいるときに、まり亜のことをみることが出来ない自分にこそ哀しみを感じている。
 なぜなら、紅まり亜とは、閑という肉体を持たない、まり亜という肉体を持つ緋桜閑のことだから。
 なにかがわかった気がする。
 ヴァンパイア騎士という作品は、すべて根底に、少なくともこういったものを抱えている。
 どの人物も、すべてそれを持っている。
 人間とは、なんぞや。 ヴァンパイアとは、なんぞや。 (あまつき風に)
 私のヴァンパイア騎士は、やっとそれが始まっているのに気が付いた私の中で、未だ生きている。
 というかもう、それだけじゃないんですよね、この作品ってば、はは、大変だわこりゃ。
 是非第二期希望、というまでも無くはやくも10月から第二期放送開始ですよ。
 なんか、すごいな・・・(なに)
 
 
 
 いよし、前期のまとめはこれでよいでしょう。
 よくできました。 よくできたよ、よくできたでしょう、うん。 (強引な)
 
 
 
 
 ◆
 
 で、今期のお話。
 
 
 月: 夏目友人帳・(ソウルイーター)
 火: 恋姫無双
 水: (我が家のお稲荷さま。)
 木: ひだまり365・乃木坂春香
 金: 
 土: (狂乱家族日記)
 日: ゼロの使い魔3・(コードギアスR2)              全9作品: ()付きは前期継続作
 
 この他に、セキレイ・バーディー・WDを見たり見なかったりそろそろ切ろうかとか画策中。
 薬師寺は切って捨てた。
 あと銀魂は一生ついてまわりますし、ついていきます。
 
 んで。
 今期は不作不作とあれだけ騒いでいたのですけれど、私的にどーでも良くなっちゃった。
 無我の境地というか初心に返るというか明鏡止水というか猪突猛進というか欲望まみれというか、まぁ、
 なんというか、その中のどれかが当たらずとも遠からずな心境になるであろうと願いつつ、まぁ、うん、
 普通に楽しもうとしているだけで、そして既に楽しみ始めているのです。
 だから今までのシーズンと比較とかどーでも良くて、今期は不作だわっしょいとネガティブに半泣きで
 騒いでいる暇も無いくらいに、恐ろしいくらいにアニメに真面目に取り組んでます、今のわたくし。
 今期は憑きものが落ちたみたいに、なんか、すっきりするくらいに素直な感じー。
 今まではこう、ヘンな拘りとか先入観とか持たずに、積極的に楽しんでいく姿勢が大事なのだよワ○ソン
 君、とかつまりそこまで頑張って言わないと普通に拘りまくって先入観まみれになってひぃひぃ言ってたの
 ですけど、今期はあまりそういうことが無く、なんかほんと素直。
 ・・・むしろ恥じらいとか節操とか普通に無くなってる気がして、逆に心配なのですけれど、でも、ま、
 この際だ、自分が今まで目指していた状態になれた訳なのだから、ここはいっちょう、それに乗ってみま
 すかいえーい☆、というところなので、ある意味、今期私はノリに乗っているので御座います、奥様。
 
 つーか、普通に萌えてるし。
 
 見てご覧なさいよ、今期の私の視聴ラインナップ。
 形は違えど、ソウルイーター以外、すべて萌え要素ありまくりな作品よ? 狂乱家族は違うか。うん。
 まー、今期はそういう作品しか無かったからいうのはあるけれど、でも普通なら普通に観てないし。
 今までの私の選びそな作品は本筋として夏目友人帳というのがあるのだし、それもいつも通りに考えて
 なにやらもぞもぞと感想を探り出して書き綴ったり、あー、なんかこの作品はしれっとそのまま流れちゃい
 そうな薄味ではあるのだけれど、だからこそ味の探し甲斐があるというか、あー、なんか見にくいので、
 形式変えましょう。
 
 
 夏目友人帳:
 つまりね、ポイントが絞られてくるのよ、この作品の見所は。
 ある点までは平凡に淡々にお話を並べてるだけなのに、そのある点のところにきたときに、ぺらっと、
 こうなんか一枚の薄皮をめくったような感触と共に、ぶわっと、くる。 なにがって、涙が。
 第一話、第二話ともそんな感じで、感想書くときもほんとそのポイントだけをみて、ぐっと集中して考え
 て、そしてそのぐるぐるにかき回したものをどばっと一気に書きつける。
 そのある点までのお話の堆積があるからこそ、そのぺらっとぶわっとがあるかというと、全然違う。
 前後のお話なんかなんの関係も無く、その点はその点だけでわかる素晴らしいもの。
 だけど私達はそれを、お話という形式の中でしか、理解した気にはなれないし、また私自身もそう。
 無駄な言葉をくるくると廻しているうちに、すっといつか、核心へと繋がるタイミングが得られる。
 そういうことをこの作品は感じさせてくれるし、それはつまり、「無駄な」ものを「無駄では無い」ものとして
 受け取らずに、あくまで「無駄な」ものとして受け入れることが出来る、ということでもあるのかなぁ。
 最近の「私」のテーマでもあるんだよね、それって。
 つーか、もっと夏目は自分の魅力出していいと思う。 いや無駄じゃないって! (盲目)
 
 
 調子に乗ったので、次もいっちゃう。
 
 
 乃木坂春香の秘密:
 乃木坂春香萌えの一言で終わらせていいですか、いいですよね、いいですよね、ごめんなさい。
 ただそこは私らしく紅い瞳らしく、なんつーかこう、萌え萌え〜と悶えて蹲るということと同じようにして、
 うーん萌えだなぁこれどこがどういう風に萌えとか考える暇も無く明らかに萌えだなぁうーん、となんか
 唸るようにして考えてるんです。
 疑問の形じゃ無くて、納得の形で思考しているというか。
 うーん、そうだなぁ、なぜ萌えてるのかどこにどう萌えてるのか、じゃー無くて、これに萌えを感じるってい
 うことは、私的に「どういう」ことなんだろうか、ってことを考えているのでしょうか。
 んでさらに、私的に「どういう」ことに「なれる」んだろうか、って同時に考えてもいる。
 萌えって、なんていうか、それが目的って感じじゃないですか。萌えは萌えだろって。
 私ねぇ、何事でもそうなんですけど、そういうの全然駄目なんですよ。
 まったりとかもそうなんですけど、まったりするのが目的じゃなくて、なんかしらんけどまったりしたから、
 まぁいいかっていうあくまで結果でしか無くって、だからいつでもまったりは通過点でしか無くて。
 でまぁ、うん、なんか自分がそれだけしか無いのを最近やっと気づいたというか、ぶっちゃけ停止的な
 ものとか弱いままとか愚かなままとか、そういうのが許せないだけの、むしろそういう弱い愚かな自分を
 見つめられるようになったというか。
 乃木坂春香って、あ、第二話から観てるんですけど、そういう意味では典型的な目的型というか停止
 型というか、たぶん濃い付き合いしたら絶対許せないタイプかな思ってる私がいて、でもそれなのに
 こうして外から見てる分には全然可愛くて、で、そこで一考すると、ああ、それか、じゃあその可愛いと
 思う感覚を濃い付き合いになったときにまで「どう」発展的に維持できるかってことが大事な訳か、
 と思ったのですよね。
 結局私ってば、罪を憎んで人を憎まずタイプなんだけど、じゃあそれ罪は憎むってことな訳ね? 
 罪があること自体はいいしそれで人を憎むことは無い、その人があくまでその罪と向き合い戦っていこう
 とするのならその人を愛せる、それはつまり自らの罪を愛しまたそれで完全に満足し停止している人は
 愛せない、ということになるじゃんか。
 
 ぶっちゃけ、萌えとかヲタって、罪なの?
 
 いや萌えとかヲタが罪かどうかを論じるのは無意味ですけど、つまりあらゆるそういう罪的なものを、今
 の世の中、勿論私もだけど、ただ断罪して終わりにしてるだけというか、うーん、つまりあれだな、私は
 罪とか悪とかいうものへの理解というか、うーん、むしろ自覚か、そういうのが決定的に無い気がする
 んですよね。
 弱いことって、いけないことなんですか?
 どうして、人の気持ちがわからなくちゃいけないんですか?
 もっと本当に、いい加減に、ゆっくり、しませんか?
 乃木坂春香は偶然優等生だから、ある程度は強くてある程度は人の気持ちを忖度できるけど、
 うん、なんか逆に、強くなること人のためになること自体を「目的」にして、いつのまにかそれとは全く
 逆の方向に目的を置いている人と、本質的には対立することしか出来ていない自分のことを、
 うーん、こう、がいーんと静かに体に響いてくるように痛感している、今日この頃の私です。
 どんなまとめ方だよ。
 つまりま、んー、自分の弱さから逃げるためになにかに頼るということは、むしろ楽であると同時に、その
 楽に引きずり込まれる地獄をも引き受けるという、「罪と悪」を背負う強さがあるんじゃないの? と、
 ただそういうなにかに頼って逃げる人をただ責める人(私もね)の方が、かえってその地獄を引き受けず
 にただ「正しい強さ」を盾にしてるだけとも言えるのかな、と思うってことですね。
 まつまり、その盾の影で怯えているだけという地獄に気づければ、その人(私もね)も改めて本当の意味
 で弱く強くなれるんじゃないかなぁ。
 ていうかこれ恋愛論じゃないですからねーそこんとこよろしくですよーと、見栄。
 私は猫の額の上で羽を伸ばせるような心の持ち主ですよーっと。 (狭っ小さっ)
 結論: 人は誰でも変われるはず。 (頑張れ)
 
 
 恋姫無双:
 私の膝がなにか? byクールエロ魔人
 取り敢えず、謝っておきます。なんだか知んないけど、もう全力で謝っておきます。ごめんなさい。
 ・・・・・。
 私は今期これがあれば、もうなにもいらんとです!
 まず、最初っから三国志っていうのは頭から消えて貰ってます。邪魔。
 そしたら不要な先入観はぽぽんと小気味よく消えていますから、素直になれます。
 それでもツッコミは三国志的なこととは別なことでも色々いれられますけれど、まぁそれも程ほどに少々。
 気負いはいらない。
 むしろ、ツッコミは取って置いてもよし。
 とにもかくにも、全部面白い。
 リズムもタイミングも非常に良かったり、独立した制作者の遊び心みたいなものも無く、普通に自在に
 遊んでて、○○要素とかいちいち分類したりなんかせずに、そのまんま楽しめる。
 つまりキャラを使って遊ばせているんじゃ無くて、キャラ自身が遊んでいるというか。
 ギアスR2なんかがキャラを使って遊ばせている作品の典型かな、最近では。
 で、その上で、さぁ、ツッコミ入れてみましょう、三国志のキャラ的にあまりにもギャップがあることを楽しみ
 ましょう、そういうことです。
 わかりやすくいえば、キャラが立っていることはもとより、とにもかくにもキャラの使い方がずっしりと確かで、
 目一杯までそのキャラの魅力を使えているっていうか、手抜き感はもとより伏線的な余裕感も無い。
 最初っからとばしてるんですね。
 関羽はくそまじめでありながら張飛や趙雲に翻弄され、また翻弄されるだけで無くツッコミも堂々と入れ
 続け、張飛はまっすぐGoだけでありながらきっちり自分の中身丸出し感たっぷりで、趙雲はなんか最高
 にカッコいい。
 あ、ちなみに私のカッコイイのニュアンスは結構他の人とはズレてますし、自分でもかなり幅があります
 のでも趙雲カッコイイ!大好き! なんていうか、こう、なんだろ、ああいうのが好き。(語彙無し)
 
 うーん難しいですね、この作品の面白さを伝えるのは。
 一番すごいところは、全力なところなんですよね、硬軟を全部きっちり使ってるというか、徹底的に
 キャラで勝負しているというか(キャラ萌えとはちょっと違う)、で、そのキャラのうちに関羽なんかの三国志
 的な啖呵があったりするので、それだけが特異にみえたりすることも無くむしろ関羽の魅力として感じ
 られる。
 正義とか理屈とか理想とか、そういったものが決してキャラより先行してあることは無い。
 『我が名は関羽。字は雲長。
  地下に巣喰う姑息な賊どもめ。まとめて、この青龍堰月刀の錆に・・・あ、あれ? (持ってない 笑)』
 賊の人間性など一切顧みない正義馬鹿でありつつ爽やかバカでもあり、にも関わらずに普通におっちょ
 こちょい。
 つまりなにが言いたいかというと、関羽の啖呵に拍手することはあれど、それは関羽の理想論にである
 以上に、そういう理想を掲げて傲慢に爽快に叫ぶ様(時々ドジを踏む)が、実にあの画面の中に
 ハマっているからということなんですね。
 スローガンとしての正義・理想、それはつまり生活の一部としての正義・理想であり、論理的にそれが
 正しいとかどうとかは全然関係無い、ものすごくラフで、だからこそ絶対に無くなったりしない、そういう
 関羽のタフさと結びついた、ある意味で貧乏臭さを含んだ豪華絢爛な関羽の啖呵なんですよね。
 そこがなんというか、見事に三国志的でもあったりするんですよね、うん。
 誰も関羽の言葉に惹かれてる訳でも、関羽についていってる訳でも無い。
 だけど張飛も趙雲も、関羽と一緒にそれぞれ自らの啖呵を切って歩んでる。
 関羽の理想にも関羽の魅力のせいにもしない、そういうカッコ良さと、そして華々しさがこの作品には
 あると思います。
 あと公孫瓚のヘタレさも、関羽との比較と関係無しにヘタレな感じが良く出てて大爆笑。
 公孫瓚殿は決して悪い人物では無い。 だが、それだけだ。 byなにげにひどい趙雲
 応援してあげたくなるけれど、応援してるうちにもう駄目だという気持ちにさせてくれる公孫瓚殿を
 応援しております。 (笑)
 あ、あと(まだあるんかい)、キャラデザの色遣いが個人的にぐっど。
 複数の色を細かくちりばめていながら、全体的な色調の統一感も合って、なんかそそられるわー。
 趙雲の青白を基調に紅をちりばめたデザインは特にツボ。 今度やってみよう。 (なに)
 
 
 
 と、いう感じなのですね。他の作品についてはまぁ、ちらほらと。
 ・・・・。
 今日も時間にあかせて書きまくっちゃったよ、てか腰痛っ。
 まだ書くことがあるのですけれど、ていうかまだアニメのことしか書いてないのですけれど、ええと、
 まぁ、うん、また次回だ次回。
 ・・・。
 完全に毎回同じシメ方になっていますね、なっていますよね、ごめんなさい。
 
 
 では、よしなに。 (またそんな勝手な)
 
 
 
 
 
 
 

 

-- 080719--                    

 

         

                             ■■ 友を超える夏の中で ■■

     
 
 
 
 
 『昔も今も、人間とは、可愛いものだねぇ。』
 

                            〜夏目友人帳・第二話・露神の言葉より〜

 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 夏鮮やかに、風しめやかに。
 涼風が鈴を鳴らし、蝉の息吹が木々を蒼く染めていく。
 陽射しは透明な空の上でたゆたい、雲は白く溶けていく。
 瀟洒とは程遠い駄菓子屋の軒先からは、可憐で甘い憧憬が零れている。
 遙か稜線に靡く山々は薄く佇み、木陰から覗く陽炎は虹色に輝いている。
 白墨が波打つような道の照り返しが、この鮮やかで遠い夏のひとときを世界から切り取っている。
 その一枚の蒼い写真が、どこまでもどこまでも、堆く積み上げられているのを感じる。
 綺麗で熱いその風景を溶かして混ぜ合わせ、それを初夏の命の鼓動に乗せて振り蒔いている。
 ひどい夏いきれ。
 その中での時間を、私は終えようとしていた。
 
 
 燦々と、音がする。
 蝉の羽音と人々の静かな喧噪を掻き分けて、その音に指を伸ばす。
 伸ばし、引っ込め、くるくると廻す。
 粘り着く汗が脇を伝い、それはやがて服を透けて空へと蒸発の道筋を辿っていく。
 小さな夏の息吹が眼前を旋回する。
 伸ばした指を収めぬままに、ゆっくりと腰を下ろす。
 この夏の風が、私を生かしている。
 そうは、思えなかった。
 それ以前に、生きている実感を求めるつもりも無かった。
 時間の堆積がそうさせた訳では無い。
 ただ、見ているうちにわかったのだ。
 私の祀られている祠の目の前には、鬱蒼と輝く夏の世界があった。
 その森々と茂る夏の陽射しを背にして、沢山の者達が私を目指してやってきてくれた。
 祠の前にしゃがみ祈り、ときには列を成すことさえあった。
 だが夏の輝きはこの祠の周囲と、そしてこの祠自身にも振り蒔かれていたのだった。
 供物と願いと想いを胸に、人々は良くこの夏と夏の出会う場に訪れた。
 私はその当事者にして目撃者だった。
 燦然と潤い光る夏の霊場。
 夏なお冷たく孤独に耽り何者かと繋がる小さな砦。
 
 私の名は露神。
 だが神と呼ばれてはいるが、元はこの祠に住み着いた妖だった。
 
 誰もが私を崇めた訳では無い。
 普通に私を貶す者も無視する者も、存在を知らない者もいた。
 祠を訪れる人達のみを見て、だから私が存在しているなどとは思わなかった。
 誰との関係の中にも私の存在根拠は無い。
 私は私として、既に唯存在している。
 夏の始まりがきこえている。
 この陽だまりの中に響く鼓動だけが、この夏の世界を超えたところにひしと繋がっている。
 祠に塗り込められている人々の想いがざわめくとき、蝉の音がひとつ遠くに消える。
 人々の祈りがこの夏を消し、孤独との対面を長いこと私から奪っていく。
 不思議なものだ。
 私には目の前に跪く人々の姿が見えているというのに、その人々には私が見えぬということは。
 蹲る人々は目の前の誰もおらぬ祠を見つめ、それに蒔き付いている夏の向こうと繋がっている。
 にも関わらず、私にとっては目の前にいる人々の真摯な笑顔が、この夏霧の中のすべてだったのだ。
 私は目の前の人達の姿を見つめることが出来なければ、それで消えてしまう存在。
 けれどその意識とはほど遠いところに、それが嘘であるという確かな実感があった。
 それでも私は此処にいる。
 私は目の前の人々の姿の中にしか私を見つけられないでいるが、しかし私は無情にも此処にいる。
 そして、なにも見てはいない敬虔な人々と同様に、否応無しに私は至高の孤独の上に立っていた。
 
 溶けるような蝉音が、私以外のすべてを荘厳に削り取っていく。
 
 それなのに私は、ずっと祠の上に座り込んで、人々をみつめるばかりだったのだ。
 
 
 露神たる私には、祈るべき神が、いなかったのだよ。
 
 
 
 夏目レイコ。
 今でもあの薄野を駆けるような細長い声が聞こえてくる。
 小馬鹿にしている素振りの中に、慎重に満たされた優しさの籠もるその声音。
 あくまでも、遊ぶのが目的だった。
 私への気遣いなど滲ませるだけで絶対に魅せずに、言いたい放題はっきりと意見もする人間だった。
 私の唯一の友人は、レイコだった。
 レイコだけが私の姿を見ることが出来、そして決して私の向こう側に祈りを捧げる事もしなかった。
 無論、私もレイコの向こう側に何者も見ようとはしなかった。
 夏の茂みの外での、それはささやかで静かな、そんな交遊だった。
 そこに神は無く、孤独も無かった。
 だから、繋がるべき何者も無かった。
 不思議だ。
 すべてを忘れていられる時間を過ごせるなんて。
 レイコ、そう、あの人間には感謝している。
 そして今、レイコの孫に出会え、今またこうして友と遊べるとはまさに不思議なものだ。
 そして・・・
 
 
 『いつまでも、供物は続かないわよ。げんに今日だって桃ひとつ無いじゃない。』
 
『ああ、そうだねぇ。』
 
 

『ありがとう。』

 
 
 
 夏は広がる。
 ハナさんや・・
 私を最後まで信仰してくれた人。
 私の向こうに、延々と自らの孤独をみつけ繋がっていた人。
 私はついぞ、ハナさんの向こう側に自らの孤独を見つけることは出来なかった。
 けれど・・
 ハナさんは、ただの一度だけ、私の姿を見て、私の声を聞いたことがある。
 でもハナさんは、私の姿が見えたことを私に気づかれてはマズイとおもい、黙っていた。
 そうだなぁ・・今思えば・・・やっぱりそうなのだろうなぁ・・・
 ハナさんは私と言葉を交わしたかったろうに・・でも・・・神の姿が見えてしまったら、孤独と繋がれない・・
 でも・・・
 きっとハナさんは、そうしてぐっと引き締めた口元を、うっすらと微笑ませてもいたのだなぁ。
 ああ・・・ハナさんの・・・あの優しい笑い声が、確かに私の向こう側に響いているのが聞こえるよ
 そしてそれは、私を通っての、そういう心暖かい、そういう笑顔だったのだなぁ。
 私は長いこと、そんな笑顔をハナさんを通して夏の向こうに飛ばすことが出来なかった。
 だが・・・
 
 
 
 

 『けれど、一度愛されてしまえば、愛してしまえば、もう忘れることなど出来ないんだよ。』

 
 
 
 露神の最後の信仰者、ひとりぽっちのハナさんが逝った。
 私の姿が、人々の夏の世界から消えていく。
 私は昔からずっと、ハナさんを見てきた。
 ハナさんのすべてを、ずっとだ。
 しかしハナさんと言葉を交わすことは無かった。
 レイコと、レイコの孫に出会い、私はやっとわかったのだよ。
 
 『駄目だよ。 夏目殿、君は私の友人だ。』
 
 

 『これでいいんだ。 ハナさんと一緒にいける。』

 
 
 
 
 孤独と目の前の人を忘れて、友と遊ぶ。
 いやあ、本当に楽しかった。
 夏の陽射しが地響きを立てて私を揺さぶっている。
 ああ・・・やっとみえた・・・緑の輝きに満ちた、なによりも慎重に優しく彩られた透明な神の姿が・・
 友と一緒にいく訳にはいかないのだよ。
 ハナさんは私の友人では無かった。
 孤独が身を奮い立たせる。
 誰のためでも無く、ただ私が此処にいることを儚いままに、静かに感じている。
 ハナさんとレイコが、とてもとても遠くから私を見つめている。
 森を抜け、夏を超え、光の限りに、ひとりを感じている。
 心地良い。
 おそらくたぶん、神と崇められてから初めてのこの気持ち。
 やっとハナさんの向こう側に、人々の夏の彼方に、繋がった。
 
 
 
 
 『ずぅっと、ずぅっと見ているばかりだったが。』
 
 『これで人に、あの人にやっと触れることが出来るような気がするよ。』
 
 
 
 
 『ありがとう、夏目殿。』
 
 ああ、知っとるよ。
 ハナさんが、人々が、とっくの昔から私の姿を見ていたことを。
 誰もいない祠の、夏の森の向こう側に、それでも神は、誰かはいるということを、皆、知っとるよ。
 だから、私達は皆、ひとりであっても独りでは無いのだよ。
 
 
 
 
 
 
 

『・・今日はいい天気だなぁ・・・』

 
 
 
 

穏やかな桜色の夏の中で、遙か彼方を見つめ呟いたその言葉。

 
 
 
 
 
 
 
 

『・・・そうですねぇ・・』

 
 
 
 
 
 

なによりも遠い場所に示されたこの言葉は、思いのほかに私の近くで響いていたのだった。

 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
                            ◆ 『』内文章、アニメ『夏目友人帳』より引用 ◆
 
 
 

 

-- 080713--                    

 

         

                                   ■■ 夏、加速 ■■

     
 
 
 
 
 ごきげんよう、紅い瞳です。
 
 いよいよ夏が始まるかというか、あれ?梅雨明けってしたんだっけ?、まぁいいか夏だし、と基本的に
 頭の中は開放的になっていたりする今日この頃の私ですけれど、みなさん如何お過ごしでしょうか。
 
 さて、7月ですか。
 なにをやろう。
 海、海かぁ、いいですね。
 
 (以下、海いくかいくまいかやっぱやめたでもなぁ、というみっともないことばかりなので中略)
 
 はい、妄想終了。
 海? 知らんよ、そんなもの。 
 無い無い、海なんて無かった無かった。 (でもいくけど ていうかまた足つって溺れそう 頑張れ)
 
 
 
 ◆
 
 で、お話を戻します。 (どこへ)
 えー、まず、なにしましょ、一杯お話することはあるのですけれど。
 順にいきますか。
 
 
 ホリック継の感想、終わりました。
 お疲れ様でした。
 最後の感想後に、ひとつホリックオンリーの日記を追記で書こうと思っていたのですけれど、
 最後の感想で書きたいことは全部書いてしまったので、というか図らずもごった煮的な文章になった
 御陰で無理矢理あとで書こうとしてたものまでねじ込めてしまいましたので、その、もういいや。
 でもホリックのを最後になにか書こうと思ったはある意味儀礼的な感じで、あまりホリック的には必要性
 を感じていなかったので、その、もういいや。
 ホリックについてお話することは、もうありません、というかすっきりともうありませんと言うことが、最後に
 お話したかったことだと思います。
 ホリックに関しては、これまでの私の書いた感想をお読みくださいな。
 
 
 次。
 
 
 そして、いよいよ新しいアニメシーズンが始まりました。
 なので、新しく感想を書く作品を物色していましたところ、ヒット。
 夏目友人帳。 これです。
 まずOPで、こう、さらっときて。なんだそれ。
 あ、色遣いがいいな特に文字んところ、とか。
 で、本編。
 うーわー、夏目、夏目がいいな。主人公の男の子。高校生。あれ?中学生?どっちでもいいや。
 なんかこう、爽やかさは無いんだけど暑苦しさは無く、汗は普通にかくんだけど透明な汗をさらり流して
 そうで、和服の着流しとか合いそうだなーとか草鞋もなとか、教室の中でひとり窓の外でぼーっと孤独
 なことを考えてるタイプじゃ無いし仮面タイプでも無いし、だからって友達とさりげに楽しくって感じでも
 無く、かといって自分だけの愉しみにのめりこむという感じでも無く、孤独でも無く、なーんだろ。
 消去法的に消してくとどこまでも消えていくような、なのに消えていくのはイメージだけで、夏目自体は
 普通にさらっとしてて、なんていうのかな、自然体で、自然に悩みもすれば自然に笑いもあり、自然に
 痛みにも反応して殴ったりとか、うわこれおもっきし偶像的じゃんと、やっと気づいた。
 でもこういう男の子が実際にいるかとか論じる気はまるで無いようで、かと言ってコテコテに萌えキャラ
 するっていうには程遠く、んー、いい男かどうか、という論点でも無くって、逆にどうしようも無く彼と同じ
 視点に立ちたいって思わせてくれるような、むしろ男女とか老若も関係無しに、ただふっと感じて考えた
 くなるような、あ、最初これ蟲師のギンコに似てるなと思ったんですけど、やっぱ違う、夏目の方が人間
 的というか主体的というか、逆にある意味ギンコの方がいくつかのイメージで説明出来るタイプだよねと
 か、まぁそういうのはいいか。
 
 話が長くなりましたけど、まぁその夏目という主人公がどうこうは実はあまりどうでも良くて。
 少なくとも第一話を観た限り、夏目とその相棒であるにゃんこ先生のコンビが、他のコンビの関係を
 みつめる、という形式になりそうなので。
 今回も夏目とにゃんこ先生で書くかどうかで迷ったんですけど、どう考えても今のレベルではにゃんこ
 先生のレベルが低すぎるので(ていうか夏目に不釣り合い。あれじゃ夏目を萌えキャラに貶めかねない
 よ)、今回のもうひと組、夏目の祖母レイコと妖怪ひしがきを主にして書いてみました。
 キーワードは、っていうかぼーっとなんとなくみえてくるのは、「友達」。
 なんかそんな感じで、友達っぽいことをこれから書いていこうと思っています。
 ということで、夏目友人帳の連続感想、始めます。 どうぞお付き合いのほどをよろしくお願いします。
 ちなみに夏目友人帳の感想のタイトルには、「友」の一字を入れて他と区別しますので、検索の際に
 ご利用くださいませ。
 
 
 
 ◆
 
 他の新アニメのお話をしようではないか。
 んー、無いよ。
 そんな馬鹿な。
 一応ね、あんまりにも無いので、無さ過ぎるので、逆にかえって適当に番組表からアニメっぽいタイトルと
 思ったものをみつけて録画予約しといたら、結構貯まってて。
 一応入ってたのは、ウルトラヴァイオレット・薬師寺涼子・ゼロ使3・ワールドデストラクション・恋姫無双
 ・鉄腕バーディ・セキレイ。
 
 ウルトラヴァイオレット:
 悪い意味で古臭くて浅い。 この切り口から入ってたらどれだけ話数を進めても新しいものには至れ
 無いよなぁという予感を得ることしか出来なかったので、無理でした。残念。
 
 薬師寺涼子の怪奇事件簿:
 主人公の女の愚かさが作品のすべてを貫いている。だからつまらない、と言えばそうなんだけど、
 じゃあそれでこの作品が終わるかどうかはわからなかったので、かえってこの女の愚かさからなにかを
 始めたりするようなことになったら面白いのじゃないかと、そういう予感を与えてくれてはいます。
 
 ゼロの使い魔 三美姫の輪舞:
 ・・・あれ?こういうのをツンデレ言うんだっけ? というか結構面白かった。
 なんていうか作り手の頭の中に作業としてでは無い一生懸命さがあって、こういうのは最近ちょっと、
 好きっていうか共感しちゃう。
 前進的な思考とか思索とかじゃ無いし、息苦しくなるような激しい生を感じる訳でも無いんだけど、
 懸命に物語を生きているその健気な青春っぷりがいいというか、なんだろよくわかんない。
 
 ワールドデストラクション 世界撲滅の六人:
 こっちは中途半端。なにがやりたいのかはわかる、程度だもの。
 が、それはゼロ使的な視点で観た場合の話であって、逆にその「なにがやりたいのかわかる」ことから
 一体なにを観る者が考え、そして作品の中の人物の感覚と共になにかを見つけられるかもしれないと
 いうのは充分にあるし、そういう意味では先が読めなくて楽しみな作品ですね、うん。
 
 恋姫無双:
 これは面白い。視聴前の先入観では勝手に最低点をつけてたんですけど、怒られた。
 これを観て面白い思った私に怒られた。ごめんなさいでした。
 ゼロ使に通じる「懸命」さがまず第一。
 そして青臭い理想論を持って、真っ直ぐにぶつかっていくのを、それぞれのキャラの立場からゆっくりと
 させていこうとしてるのが、最高に清々しい。
 OPのラストでキャラが並んで走ってるシーンでもう、やられた。
 んー、主人公の関羽みてると、なんていうか生活の中で理想を持って生きている普通さがあって、
 こういう言葉先にありきなキャラでも薬師寺の主人公みたいな嫌らしさとは違うバカっぽさがあるゆえに、
 目の前の生活(理想)といちいち向き合わずにはいられない理想(生活)の真摯さが、やっぱりその
 人物自体の魅力に繋がっていくと思うなぁ。私は関羽好きな、うん。
 理想と、あと倫理とか、そういうのが生活のためになっている点は、これは評価に値する。
 んで、あの大仰な三国志的口上的なパフォーマンスもだから生きてくる訳で、うーん、久々にコメディ
 では無い愉快さを持ったアニメに出会えました。つかもう、関羽・張飛義姉妹萌え。 (あーあ)
 ・・・・・・あれ? 劉備は? (素朴な疑問)
 
 鉄腕バーディー:
 アクションが滑らかでカッコイイ、くらいかな。
 あと天然モデル→筋肉万歳女ファイターの流れがスムーズ過ぎて気持ちいいとこが良い、とか。
 
 セキレイ:
 よーやる。
 でもヘタレ男子がどういう風に立ち上がっていくのかを真面目にやってくれれば、面白くはなりそうだけど、
 普通にハーレム万歳=それを守るために頑張るぜ!みたいな王道パターンにいったら一揆起こして
 おきます私の脳内で。打ち壊しじゃ! (意味わかんない)
 
 現時点でOKなのは、今のとこ恋姫無双だけかな。
 でもま、肝心の夏目友人帳は面白そうですし、他の作品も全体的にぬるくって軽い気分で観られるし
 、そういう意味では気さくに気楽に愉しめるシーズンにはなれそでしょ。
 今期は前期よりも、さらに今まで私が選んで観てきたようなアニメの率が低いので、かえって、じゃあ
 今まで選ばなかったものをなら観てようかな、んや、むしろ「今まで選ばなかったものを頑張って観てみる」
 、なーんて気合いはいらないかな、ただだらっとなんの思い入れとか思い込みとかしないで、完全完璧
 絶対的に受け身で受動的に観てみましょ、きっと楽チンだよってな、まぁそんな感じでまったりいけば、
 その、なんていうのかな、ひとつの楽しみ方で楽しめるものを増やすことじゃ無く、その楽しみ方自体を
 増やしていけば、結構余計な力いれなくても楽しめるものあるかなみたいな、額に筋立てて軽いもの
 みたって仕方ないっていうか、いや仕方無くは無いんですけどね、アニメ自体軽いしうわ問題発言
 ですぞそれは、まぁいいじゃん、というなにが言いたいのかよくわからないところなのですけれど、
 要するに、まったりいこうです。
 まずは、楽しみましょう。
 んで、楽しめたら、そのまんま楽しんじゃいましょう。
 まずは、なんていう前振り無意味にしちゃいましょう。
 そんな感じ。
 はい。
 そんな感じです。
 あ、ひだまりは、ひだまりでした。
 
 
 
 ◆
 
 私的にびっくりニュース。
 
 京極夏彦『魍魎の匣』のアニメ化が決定!
 
 ・・すっごいのきたなぁ。 (胸を押さえながら)
 無理だろ。無理でしょ。
 常識的に京極ファン的に考えると、それは無理。
 実写であれだけ失敗したのに(って言っても1作目しか観てないけど)、さらにアニメなんて。
 あの膨大な蘊蓄と論理の展開を映像で表現するのは絶対無理なんだから、どうしたって常識的に
 京極ファン的に考えて無理です。
 常識的に京極ファン的に考えて、無理です。
 
 よーし、やってみるがいいさ!  ←常識的京極ファン的に考えないとこうなります
 
 ・・・。
 というか、京極ファン的にも、映像化なんて100%不可能なんですから、かえって原作に忠実にアニメ
 化して欲しいなんて言えない次元なんだから、割とすっきり期待出来るんじゃない?
 私は割と期待してる。
 もう全然違うの作ってみるといいよ、ていうかむしろ「京極夏彦」じゃ無い他の人が「魍魎の匣」を
 別の手法で描いたらどうなるのかとか、普通に気になるし、観てみたい。
 京極作品では私、「絡新婦の理」と並んで一番この作品が好きなんですよね、ドキドキする。
 
 キャラクター原案はCLAMPが担当:
 
 ・・・ぁ・・なんか脇腹が痛い・・・
 CLAMPて、一番あり得ないところ持ってきたなぁこれ。
 あの絵に京極作品は全く合わない、ビジュアル方面で攻める気満々じゃないですか押し切りますか。
 だってあれ、「魍魎の匣」て、滅茶苦茶怖いよ? グロいっていうかもう凄惨よ?
 ホラーじゃないもん、ホリック的な怖さとは全然違うもの、大丈夫なのこれ?
 あ、設定画も公開されてる・・・
 ・・・・。
 京極堂若すぎ・・・というかこれ普通にアクションしちゃいそうな顔じゃん・・
 榎木津が一番あり得ない・・なんかツバサでこんなキャラいなかった? ていうか原作のアレから一番
 この顔が想像できない・・まだ実写の阿部寛の方が近い・・おじさん臭ゼロのおじさんな作り物みたい
 なおじさん貴族なのに・・これじゃ普通に若造じゃ・・・
 木場・・・・こんなYシャツが似合うキャラじゃ無いでしょ旦那は・・綺麗過ぎ・・
 関口・・だから若いって・・ていうかCLAMP色出過ぎだって・・もっとヨレヨレしなくちゃ駄目なの関口は、
 神経質なんだけど指で眼鏡を押し上げるような感じじゃ無くて、とにかく貧相なのよ! 猿なのよ!
 加菜子・・・この顔で男言葉を使いながら幻想的な月夜に照らされる姿が想像できない・・
 というかこれ、ヤンデレ(?)系だよね感じ的に、むしろこのデザインは「絡新婦」の四女辺りが合いそう
 な・・もっとこう・・なんか違うんだよ
 陽子は・・ちょっと派手過ぎな気もするけど、許容範囲。
 頼子は、ああ、こんな感じ。ただちょっとCLAMP作品のどこかにいそうな感じが出ちゃってるけど。
 久保も許容範囲。
 美馬坂はちょい紳士然とし過ぎてる・・・もっとこう、いかにも実験やりまくりのマッドサイエンティストギリギリ
 の博士然とした感じが欲しいなぁ・・・
 敦子は・・・もういいよ・・・実写と同じで、もうボーイッシュの意味違うから。これ漫画的過ぎだから。
 以下、略。
 
 まぁとにかく、期待してます。 テレビアニメで放送お願いね♪ (こんだけ言っといて)
 
 
 
 ◆
 
 ラスト。
 久しぶりに本を読みました。
 ・・・・今年入って初めてですよ、読書。
 今年入ってからネットと新聞以外でまともな文章読んでませんでした、すごいことに。
 何回か言ってますけど、私は似非読書家でして、読むには読むんですけど、読まないときは読まなくて
 、まぁつまり周期があるんですね周期が。滅茶苦茶差があるんですね滅茶苦茶。
 そういう意味で、今回は長かった、半年以上ロクに読んでなかったのは初めてかも。
 まー、そう言われれば、最近発信ばかりしてて受信が少ない気がしてて、疲労感はその辺りに起因
 してるのかなぁとは思ってました。リアルでも喋り語りが多かったし。
 アニメも考え感じるために観るというよりも、感想書くために観てるとこありましたし、そういうときって
 結構あぶなっかしいっていうか、自分で発信したもの=自分=自分のすべて、って図式になりがちで、
 そうなると自己表現出来無いとそれで自分を否定しちゃうというか、つい評価を外に求めちゃうという
 か、そりゃ疲れるわ。
 自分で表現したものなんて自分の一部でしか無いし、なんなら、自分はこんなことしか言えてないけど、
 頭の中ではちゃんとわかってるんだよ自分はすごいんだよ、ってそう思える方が健全なんだよね。
 そういう意味では、私の場合発信と受信のバランスは受信の方が高いのが良いし、受信して溜まりに
 溜まったものを発信することで吐き出すっていうのが、勢いとか力強さがあってよし。
 
 んで、本は身近にありながら、私自身の体験とか視点とかで積んでいく発信的受信物とは違い
 (厳密にいえば同じだけど)、他者の説得的な言葉だから、無条件に刺激を外的に与えてくれ、
 利用価値大。ということで、図書館で借りてきたので、ここでちょい紹介。
 
 鯨統一郎 「鬼のすべて」:
 っていきなりこれかい!、と本気でツッコミを入れてしまった今年最初の一冊がこれかい!(ツッコミ)
 サスペンスなんだけど、もう、全編に渡って俗的無思考ワイドショー的決めつけ安堵、その上他者卑下
 による自己自慢のオンパレード、というかそれしか無い。清々しさを超えて普通に気持ち悪い。
 サスペンスとしても三流で、まぁ、うん、まぁ・・・・うん。 (ぉぃ)
 
 伊藤信夫 「幻の水軍 赤松一族の消散」:
 「カッコイイモノ」があって。
 それを演じると、許される。
 たとえ嘘でも、それを演じ切るという意気こそが認められる。
 そして。
 それを認められるのが当然であり、認めぬものは愚かであり、それを認めずに責めてくるのなら、その
 相手を恨んでも成敗しても良いし、それは公に認められる。
 あー、直江兼次の逸話でもあったな。
 冤罪で斬られた者の遺族に「こちらの非は認める。だが死者は生き返らぬのだから慰謝料で我慢し
 ろ」といって、それでも死者を生き帰らせろと迫った遺族を成敗して賞賛された話。
 そういったモノに対して、毅然と異を唱え静かに反抗したのがこの作品の主人公。
 そだよねぇ、なんでそれでも死者を生き返らせと無理なことを叫ぶのか、っていうことを認識しない行為
 なんて、おかしいものねぇやっぱり。
 というか直江の場合も普通に直江とそれを称える当時の感覚がおかしい訳だが。
 死者が生き返らぬのは当然のことってことが本当の意味でわかってないのは、直江側だよね。
 直江と世間が重視してるのは「死者は生き返らぬのだからしょうがない」、こっちがお情けで譲歩したのに
 それに逆らうのは我が儘だという理屈にしか過ぎないんだから。 なにが譲歩だ我が儘だばかやろう。
 ちなみにこの作品では、直江の天敵(笑)伊達政宗がその直江役を担って登場します。
 
 岩井志麻子 「派手な砂漠と地味な宮殿」:
 同 「十七歳」:
 やっぱり岩井志麻子は面白い。ほんと半端ない。
 とにかくもう、黒いどろどろとした悪意みたいなものをぶちまけてくるというか、むしろ悪意が汗水たらして
 勤労してるみたいな、とにかくもうやる気満々です。
 思想とかメッセージとか文学とか、そんなの目じゃ無い。
 なにかを解決しようとか昇華しようとかも無く、業とかカルマとか嘯いて虚しさ振りまくでも無く、達観も
 無く、もの凄い勢いで停滞してぐるぐる同じところで廻ってぐずぐずに溶けていく様を、これをもう淡々と
 綴っている。
 怖い、だけどそれ以上に、爆散的なエネルギーを感じちゃいます。
 これはもう、「救われない」。
 救うとか救われないとか関係ない、とかじゃないんです。
 「救われない」。それをこそただ生きている。
 自己表現とか自己主張とか孤独とかそんなんじゃ無く、ただもう無表情に歯を磨くように自分の体を
 切り刻んでいくような、そしてそれを食い繋いでいくような、読後感なんて最悪以外のなにものでも無い
 、ただもう筆者が文章を書くという行為で自分と世界をめためたに破壊していっている様がもう、ほんと、
 どす黒い。
 でもそこに、筆者のそういう「破壊」という意志は全く感じられず、またどす黒いものを書いてやるという、
 なにかこう一生懸命な「必死さ」が無い。
 だからつまり、歯を磨くようにして、書いてる。
 いわゆるハッピーエンド(かならず「?」はつくけどw)に終わるときもあれば、なんか希望持てる終わり方
 のときもあるし、だけど私にはそういうの全部同列に見えるっていうか、むしろどうでもよくなる。
 「十七歳」のラストは、脳死するくらいに、怖かった。
 「派手な〜」のラストは、そのまま続いてしまうことが、怖かった。
 やっぱり、ホラー。 全然救われない。誰ひとり救いを求めてない。
 だからなんか、面白い。
 どろどろに、面白い。
 「岩井志麻子」がある生活が、なにより、面白い。
 
 雨宮処凛 「暴力恋愛」:
 メディアに結構露出してる人だし(そういえば岩井志麻子も時々出ますね全然違う系統の番組ですけ
 ど。滅茶苦茶ウケたけど。どんなキャラ作って壊して遊んでんのさあの岩井の中の人はw)、考え的には
 結構頷ける人だなぁと思ってたので、どんな小説書く人なのかな思って借りてみたら。
 あーあ。やられた。
 私がやろう思ってたものが、3.5倍くらいの精度と幅を持って既に書かれてた。
 読んでみてください。
 というかたぶん、読む前の説明はいらないし、読めば多くの人に必要でそして理解出来る本だと思う
 から。
 お勧めです。
 
 
 
 はい。
 どんだけ書いてんだよという話ですけれど、土日ですから。
 暑いですから。外出たく無いですから、こう、自然に、ね。
 ということで、PCつけっぱにしてたら室内温度が残念なことになりつつありますので、この辺りで終了
 で御座います。
 あと先週の銀魂のOPのラストウけた。そうだよ忘れてたよ!(木刀ネタで洞爺湖便乗するのw)
 と、大部分の人には意味不明のことを口走りつつ、おしまい。
 
 あ、前期終了のアニメに触れるの忘れてた、まぁ、次回だ次回。 (いつも通り。)
 
 
 
 
 
 
 

 

-- 080710--                    

 

         

                                  ■■ 友の日差し ■■

     
 
 
 
 
 『善くも悪くも、出会いのひとつ。』
 

                            〜夏目友人帳・第一話・夏目貴志の言葉より〜

 
 
 
 
 
 
 
 
 
 ちりん ちりん
 
 何屋だか知らないけれど、たぶんなにかを売るために漕いでいる自転車のベルが、夕空の下で
 泣いていた。
 土手道から一歩だけ足を踏み降ろし、土手っ腹の草の中に蹴りやすい石を足探りで漁っていた。
 舗装されていない土手道には手頃な石が転がっているというのに、そういう当たり前な判断に軽く
 蹴りを入れながら、ただぐさぐさと突き刺さるような草の触れ合う音に耳を澄ませていた。
 両の足裏を地面にぴったりと吸い付けて、それでいて体全体は真っ直ぐになるようにバランスを取りながら
 、ただぼーっとベルと草音のリズムのままに歩いていた。
 いくつかの石がつま先に当たっても、どうしてもそれを掘り返す気にはなれずに、何事も無かったかの
 ようには振る舞えずとも、その石に気を取られないよう心掛けながら、家路を目指していた。
 どこなんだろう、その道は。
 一歩横には、蹴り飛ばして良い石ころで出来た砂利道があるというのに、それをみつめながら歩くため
 に、その一歩を踏み戻すことを躊躇っている。
 
 
 『寂しい・・・寂しい・・・お腹がすいた・・・』
 
 
砂利音がひとつ、響く
 
 
 
 
 『あんまり美味しく無いわよ、これ。』
 
 
 
 
 
 ひしがきは、ぶらぶらと彷徨っていた。
 寄る辺無きゆえに、腹に据えかねる空腹に頼っていた。
 決して執着している訳でも無いのに、無性にその腹の中の空洞が気になっていた。
 ひしがきは、餓鬼道に堕ちている訳では無い。
 そして、堕ちる前の人間であった訳でも無い。
 ひしがきは、妖怪だった。
 他の何者でも無い、ひしがきという妖怪だった。
 ひしがきという種でも無く、ひしがきという名によってその存在が定義されている妖怪でも無い。
 ひしがきは、自分がなんの妖怪だかを知らない。
 いや、それ以前にひしがきは、妖怪とは自分以外の何者かであるかもしれないということを、
 全く以て知らなかった。
 ひしがきは、ひしがきだった。
 ひしがき以外の、何者でも無かった。
 腹が減って減りすぎて飢えて死に、その恨みのままに彷徨っている訳では無い。
 気づいたら、ひしがきはここにいたのだ。
 だがひしがきは腹が減る。
 人間と同じように腹が減る。
 それが人間と同じだということを知ったのは、人間が腹が減っているのをみて知っていたからだ。
 だが腹が減るということ自体は、誰の真似でも無かった。
 ひしがきは、腹の中の掻きむしりたくなるような空洞に、空腹という名があることを知った。
 腹が減った腹が減ったと言いながら彷徨うことが、ひしがきにはその空洞と空腹という名を知っている
 自分にとって、最も自然なことであるのを感じていた。
 腹が減っているから、腹が減っていると言う。
 ひしがきは、それだけだった。
 それだけで、ひしがきはひしがきだったし、それで充分ひしがきは生きていた。
 満足も充足も、不足さえも、ひしがきは知らなかった。
 ひとつ覚えた空腹という名に頬擦りを重ね、食べ物を求めて彷徨い続けていた。
 色んなことを知った。
 しかしひしがきは。
 自分が発する、「寂しい」という声の出所であるものがなんであるのか、そしてそれがなんという名で
 あるのかを知ることが出来ずにいた。
 それどころか、ひしがきはただそれを、腹の中の空洞がもたらす、そのどうしようも無い不快感の一部
 だと、自分でも全く信じていないそれを、ただ信じていた。
 
 

『人間のくせになにをする! いじきたない。』

 
 
 目の前にぶら下がっていた供え物を、ひょいっと横合いから奪われてしまった。
 衝撃がなぜか、腹の空洞を無視して、喉元から直接飛び出していくのを、ひしがきはそれを不思議に
 おもうより遙かに強い衝動のままに叫び受け入れていた。
 『うわぁあ!? 儂の饅頭!』
 その女は謝るでも無く、ひしがきをみつめていた。
 その女が綺麗な瞳をしていることに、ひしがきは気づいていなかった。
 ひしがきを真っ先に支配したのは、驚きと疑問だった。
 それは、自分のすべてであった、ただ腹が減ったから食い物を食うということが阻害されたということよりも、
 またそれをもたらした女が美しい存在だったことよりも、なによりも自分の姿が今目の前の人間には
 みえているという驚きだった。
 そして、同時に、なぜみえているのなら、この姿に全く驚かないのか、いや本当にみえているのなら普通
 人間は驚き怖がるはずだ、だからほんとはみえていないんだ、だけどこの女は確実に自分の目をみて
 る、どっちなんだ、という恐ろしく回転の速い疑問だった。
 そしてひしがきは、あっというまにその疑問の渦に囚われる自分から解放されてしまったのだった。
 
 その女は、特別では無かった。
 ひしがきにとって、その女は、特別をあっさりと飛び越えて、全くの普通の存在だった。
 
 ひしがきの学んできた人間と、その女はあまりにも隔たりがあった。
 どう考えても、どう甘くみても、その女は人間という名で納得できる者では無かった。
 けれど、女はこう言った。
 『だって私は強いもの♪』
 なんだかわからないうちに勝負することになり、というより勝負させられて、そしてそのままごつんと頭を
 殴られて、訳もわからないうちにその女は勝利宣言をした。
 負けたという意識と敗北という名を受け入れるよりも強く、勝負したという意識の無さに戸惑っていた。
 ひしがきは、名においつけていなかった。
 それ以前に、なにかをしてなにかをされたという意識が薄弱だった。
 その女は次々とひしがきの知っていることを押し付けてきたが、そのどれもがひしがきの知っているそれ
 ぞれの名前で納得するには、あまりにも実感が無さ過ぎていた。
 
 その女は、あまりに、鮮明過ぎた。
 その不思議さよりも、その美しさよりも、その激しさよりも。
 圧倒的に、その女は当たり前だった。
 
 妖怪が自分の名を相手に奪われるということは、とてつも無く大変なことのはずだった。
 それ以前に自分への大切な供え物を奪われた挙げ句、不当にも殴られたのだ。
 いや、それ以前に儂の姿がみえるなんて。
 ひしがきは絶えず考える。
 名前とそれが表すもののことを。
 けれどいっこうにそれは、目の前の女に追いつくことは無く、またひしがき自身がなによりもそれらを
 手にしてその女を追うことをしなかった。
 なぜなら、その女とひしがきはもう既に此処にいたからだった。
 
 『よし、これであなたは私の子分ね♪』
 
 ひしがきの頭の中の空洞は動く。
 「子分」という名とそれがなにを表しているのかを思い浮かべながら、どうにも目の前の女の笑顔の瞳
 の中に、その名に相応しいひしがきの姿は無かった。
 戸惑いながら、その女の瞳の中の自分と向き合うひしがき。
 屈辱も汚辱も無い、「子分」という名に納得する自分の姿もひしがきには無かった。
 そのとき初めて、その女の頬に傷があるのがわかった。
 その女は、自分は気味悪がられていると言った。
 しかしひしがきにとっては、その傷に気づいた自分の中には「哀れみ」という名に相応しい気持ちしか
 なかったことが、逆に今この場に於いては最も違和感のあることにしかならなかったのだ。
 よくわからなかった、それがひしがきの気持ちだった。
 石をぶつけられ皆に気味悪がられるということがどういうことかはわかるが、その眼差しで目の前の女を
 みつめても、ただそれがこの場に満ちるなにかと確実にズレているのがわかるだけだったのだ。
 どんな考えも浮かばなかった。
 どんな名も吸い付いていかなかった。
 
 
 
 ひしがきは、ただ、目の前のその女に吸い寄せられていった。
 そして。
 その女が綺麗に並べた、「レイコ」というその名だけが、自分の中の空洞を埋めていくのを感じていた。
 
 

レイコ

 

レイコ

 
 
 
 
 
 無理してるとは思わない。
 だけど、無理してるのは、知ってる。
 怖い? 怖くない?
 怖くないって言ったら嘘になるし、怖いって言ったらやっぱりそれも嘘になる。
 怖いけど、怖くない。 怖くないけど、怖い。
 だって、ひとりぼっちは、怖いもん。
 だけど、怖くないのは、やっぱりそれでも目の前にみんながいるからよ。
 みんな私のこと気味悪がって、石まで投げて、私が常識はずれのおかしな力があるのは事実だけど、
 それってなんか変じゃない? 見返してやるって、そう思ってたから、そうね、私はひとりぼっちのくせに、
 ひとりぼっちを感じることなんて出来てなかったってことなのかしらね。
 石をぶつけられた頬が、ひりひりする。
 妖怪?
 うん、初めてみたときは、もの凄く怖かった。
 だって、他の誰も、あんなに怖いものがみえてないっていうんだもん。
 だから初めはね、きっとあの怖い妖怪も、私だけをみつめてるって思ってたんだよね。
 怖いじゃない? この怖さを誰とも共有できないだなんて。
 誰か隣に一緒に震えてくれる人がいれば、私はあんな化け物、こてんぱんにしてやるくらいの気持ちは
 あったのよ。
 そう、カッコつけてる訳じゃないけど、その隣で震えてる人を守るために、ね。
 そういう意味では、私は妖怪がみえてしまう自分を恨んだことなんて、ただの一度も無いわ。
 だけど、私の隣にはそういう守ってあげられる人はいなかった。
 みんな私を変な目でみて、そしてだから私は、ひとりでその恐怖と戦わなくちゃいけなかった。
 
 そう。
 ずっと前から、わかってたんだ。
 
 
 誰かのためをおもうことだけが、孤独から抜け出す方法じゃ無いってこと。
 そして逆に。
 誰のこともおもわないことだけが、孤独に囚われることに繋がる訳じゃ無いってこと。
 
 
 なんていうか。
 私はあんまし自分のこと、馬鹿って思えなかった。
 かといって真面目とはとても言えない性格だったから、結構いい加減だった。
 だから、気づいたら、妖怪と戦ってた。
 戦うことを目的にしてた。
 怖かった。
 まずは、妖怪が。
 そして次に、自分ひとりだけが無意味に戦っているということが。
 なんにもならないのに、もしかしたら妖怪に取り殺されるかもしれないのに、わざわざこんな。
 怖かったわよ、ええ、本当に。
 でもね。
 私はその恐怖を紛らわしたり、消したりしようとすることは無かった。
 だって、私が恐怖を感じてるってことは、怖いって感じ続けてるってことは・・・・・・
 
 
 
 
  +++
 

『へぇあなた、綺麗な名前なのね。』

 
 

『子分になったんだから、この名前を呼んだら、飛んできてよね♪』

 
                                                     +++
 
 
 
 
 妖怪は、怖かった。
 異様で強くて気持ち悪くて。
 だけどその嫌悪が、その姿だけからにしか得られていないことに、私はすぐに気が付いた。
 私は人間社会っていう厳しい社会から落ちこぼれて、私にしかみえない妖怪達の世界のガキ大将に
 なって喜んでいるだけなのかもしれない。
 でも、この妖怪に対する嫌悪に満ちた恐怖は、私を気味悪がる他の人達の気持ちとは、どこか
 決定的に違っていた。
 私は、妖怪を殺したいなんて、思わなかった。
 妖怪と戦うこと自体にしか、意味と価値を見い出していなかった。
 だから、戦いが終わったら、私の中の「妖怪」というおどろおどろしい名前は消えて、目の前の一個の
 存在の名前が燦然と暖かく響いてきただけだった。
 私はね、自分の中の妖怪に対する恐怖とこそ戦っていて、その戦いを通して、その目の前の妖怪と
 私が繋がっていることを感じたかったのよ。
 だから、妖怪への嫌悪や恐怖は健在だし、そして私はその嫌悪や恐怖のために戦うことは決して無く、
 その嫌悪や恐怖とこそ戦ったの。
 それと戦うことで、私はその戦った相手自身と仲良くなれる。
 これって結構素敵じゃない?
 戦いが目的っていったけど、私にとっては目的なんてどうでもよかった。
 相手が私と一緒に、自分の中の嫌悪とか恐怖とかと戦ってくれるんなら、やり方なんてどーでもいい。
 あ、自分の中の嫌悪とか恐怖っていうのは、私の、じゃ無いよ。
 その相手自身の、その私と向き合った者自身の持つ恐怖とか嫌悪とかいう、そういうなにかのことよ。
 戦ってるうちに、気づいたのよ。
 私は、ひとりだって。
 でも、みんなもひとりだって。
 目の前の人が、妖怪でも良いけど、その人や妖怪が自分自身のなにかと必死に戦っているのを
 みて、私もそれと一緒に自分のなにかと戦いって、一緒に自分自身のなにかと戦い合いたいって思った
 のよ。
 私のなにかへの戦いを、誰かと一緒にして欲しかった訳じゃ、ほんとは無かったんだ。
 私は私、あなたはあなた。
 お互い、頑張りましょう。
 私はひとり、あなたはひとりだけど。
 私だけが、あなただけが戦ってる訳じゃ無いんだよね、やっぱり。
 
 そう思えたから、私は、戦えた。
 ううん。
 素敵に、生きられるようになったのよ。
 
 
 
 
 
 

レイコ

 
 

レイコ

 
 
 

『ああ・・今日も呼ばないのかい・・・?』

 
 
 
 
 
 
 お前じゃ無ければ駄目なんだ
 ひしがきはレイコに名前を呼び出されるのを待ち続けた。
 雨の日も風の日も空腹で死にそうなときも、ひしがきは彷徨い続けた。
 ひしがきの頭の中には、空洞よりもさらになにも無かった。
 レイコ レイコ レイコ
 レイコの名を諳んじるたびに、消えていく。
 ひしがきは、自分の中に満ちていたなにかが次々と風景を消していくのを感じていた。
 レイコを求めていた訳では無い。
 レイコに名を呼ばれることを求めていた訳でも無い。
 ひしがきはなにも求めてはいなかった。
 ひしがきはただ、レイコに呼び出されるのを待っていた。
 ひしがきは、「ひしがき」という名を呼ばれるために、ずっとなにもせずに生きていたのだ。
 それが、ひしがきが生きるということだった。
 
 それが、ひしがきがひとりだということだった。
 ひしがきは、「寂しい」という叫びが示すものが、周りにある風景の消失では無く。
 自らの空白そのものであることを、知った。
 そしてそれを、「孤独」という名で呼ぶのを相応しいことを、知った。
 ひしがきは、自分を感じていない。
 そしてひしがきは。
 
 ただただ、此処にいた。
 
 レイコに呼び出されることを待ち続ける、妖怪ひしがきという存在が、其処にはあった。
 やっとひしがきは、妖怪になったのだ。
 自分以外のなにかに。
 ひしがきは、ひしがきという名を自ら捨て。
 
 ただ誰かに呼ばれることによってのみ、その名の存在を許したのだった。
 その名が呼ばれぬことに無限の苦しみを重ね、名を捨て名を与えぬ方が良かったと、呼ばれぬくらい
 ならその名を返せと叫ぶ、そんななにかにひしがきはなった。
 孤独。
 その孤独の苦しみが、ひしがきに甚大な希望を、生きているということの執着を初めてもたらしたのだった。
 レイコに会いたい。
 レイコに名を呼ばれたい。
 レイコとまた勝負したい。
 レイコと一緒に戦いたい。
 レイコと一緒に笑いたい。
 レイコ、レイコ、レイコ。
 ひしがきは、レイコに会えぬのなら、その間にレイコに誇れるような自分になるために、その自分を磨く
 ためにこそ独り戦おうとは思わなかった。
 ひしがきは、自分を捨てた。
 「ひしがき」という名の示す自分を捨て、それをレイコに与えたのだ。
 レイコじゃ無ければ駄目なんだ。
 レイコがいない戦いなんて素敵でもなんでも無い。
 自分を磨いて、自分を育てて、それが、なんになる。
 儂は儂のためにあるものか。
 儂はレイコのためにあるものか。
 違う、違う。
 儂に儂なんかいらん。
 儂はレイコに名を呼ばれたい。
 レイコに呼ばれた名が欲しい訳では無く、その名が示した自分が欲しい訳でも、ひしがきは無いのだ。
 ただただ、レイコに名を呼ばれたい。
 レイコを、感じたい。
 自分を、感じたい。
 ちゃんと戦っている自分、それを魅せられる相手を。
 そうか、だからレイコはわざわざ妖怪に喧嘩を売って回っていたのか。
 寂しかったんだな・・レイコ・・・レイコ・・・・可哀想に・・・・石なんかぶつけられるより・・それはずっと・・
 おお・・・おお・・レイコ・・・・
 
 
 
 

砂利音がひとつ、響く

 
 
 
 
 

『 ひ し が き ・・』

 
 
 
 
 
 

『レイコ・・もう・・・いいのかい?』

『もう、独りでも平気かい?』

 
 

ひしがきの声は嘘を吐く。

あの女が独りで平気な訳が無い。

だけど。
レイコは、ちゃんとひとりで・・
 
 
『もう、ひとりでも平気かい?』
 
 
聞きたかった言葉が返ってくる。
 
 
 
『祖母はきっと、独りじゃなかったよ。 』

『ありがとう、ひしがき。』

 
 
 

『心優しい、祖母の、友人。』

 
 
 
 
 
 

 友・・人

 
 
 
 
 
 
 
 
 

 土手っ腹に背を広げて感じる石の痛み。

 粘り着くような草の息吹を、爽やかな川風が洗い流していく。
 なにも考えずに見上げた青空は、やがて健やかな眠気によって仕舞われていく。
 寝息が胸を撫でていくのを感じながらみる夢は、近づいてくる砂利道を歩く音。
 夕暮れまでのあと一歩を、この寝覚めの気怠さの中に埋めていく。
 振り返ってみた川面には、紅い日差しが優しく影を抱いて微笑んでいた。
 一緒にいこう。
 そんな声が聞こえた気がする頭を愛しく振って、ひとり、一緒に行くべき家路を辿っていく。
 
 一緒にいこう。
 
 そう、隣で歩く人の影に、小さく囁きながら。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
                            ◆ 『』内文章、アニメ『夏目友人帳』より引用 ◆
 
 
 
 

 

-- 080707--                    

 

         

                                 ■■ ホウフク絶倒 ■■

     
 
 
 
 
 『 半分にした右目の効力は、視力が上がっただけじゃ無いってことよ。』
 

                         〜xxxHOLiC◆継 ・外伝(最終話)・侑子の言葉より〜

 
 
 
 
 
 
 
 
 
 夜が待ち遠しい想いの中で、ゆっくりと歩いている。
 賑やかさがあることを予感しながら、ふつふつと湧いてくる宴への期待が止まらない。
 いつもと変わらない日常はあるけれど、でもたとえなにも変わっていなくても、変わっているという体感
 無しに、毎日毎日複雑な体感を得て、そしてその中から楽しいものを見つけ選んで生きている。
 嫌なことも辛いことも沢山あって、真っ白にしか見えない他の人の顔に冷たいものしか感じられないとき
 も一杯あって、嫌なこと辛いこと楽しいこと嬉しいことがごちゃごちゃになって、そのわからなさが怖くて、
 だからなにもかもさぁーっと真っ白になっちゃう。
 
 ぽつん
 ひとりぼっち
 
 すっと、体温が消えていることを感じてしまうけれど、そのときにはもう同時に雷のような轟きが聞こえて
 いる。
 嘘ばっかり、それしか無いなんて、嘘ばっかり。
 真っ白に塗りたくった他人達の顔の中に、色んな自分を視て、色んなことを考えてこれて、それは
 すごく大事なことで有意義なことだったけれど、それが生きているってこととイコールじゃ無いことくらい、
 そうして白い顔を作り出した自分自身が一番よくわかっているのに。
 顔の見えない他者を作ったのは、なんのためなのかを、それを知らないはずは無いのに、それなのに
 いつのまにかその他者の顔が見えないことを恐れ恨み悲しみ、孤独さえも感じるだなんて、それは
 よく考えればものすごくそのことに関しての自分自身の作意が透けて見えてくる。
 むしろ、その白い人間の顔の存在を通して、なによりもそのことがわかってくる。
 なんのために、冷たい他者をみつけたのか。
 なんのために、恐ろしい他者の姿を作り出したのか。
 あげくの果てにその他者は自分が作り出したものでは無く、厳然として其処に存在していると言い切った
 のは、それを恐れ忌避し、厭わしく思うためだったのか。
 そんなことを考えながら、夜道をひたひたと大らかに歩く。
 其処此処にある静かな闇達の佇まいが、無限に広がる夜の息吹を伝えてくる。
 憂いもあり、不安も無く、ただゆったりと滅びを待っている。
 
 でもその滅びまでの道筋は、滅茶苦茶に豊かだったんですね。
 
 一握の時間の中に生きていることを実感しようとしまいと、それぞれのその瞬間のために準備し、
 変わり、そのときそのときを生きている。
 先が視えても視えなくても、それとはなんの関係も無く、此処に生きている。
 嬉しい気持ちのままに、その気持ちを言葉で説明すること無く、その気持ちとして生きていく。
 単純かつ明快、終わりとしての言葉に殉じること無く、終わりへの道筋の中からひたすらに、
 そして無限に始まっていく。
 終わりという始まりの連続の犇めく夜が、明日への扉を開く手前で、静かに宴を開いている。
 優しい気持ちのままに、愛しい想いのままに、悲しみと絶望を湛えた星々を肴に愉しみましょう。
 言葉は、外に。
 この道の暖かさに、素直に感謝して。
 
 
 『で、でも、御礼の御礼なんて!』
 
 − 『うん。 でも、すごく嬉しかったから。』 −
 
 
 
 出来ることを楽しく出来るようになるために、すべきことに力を尽くしていく。
 すべきことに力を尽くすのは、出来ることを楽しく出来るようになるためのみ。
 義務と権利の関係では元より無く、ただただ想うままに感じるままに、そこに行き着いていく。
 すべきこととは、自分のしたいことに他ならないのだから。
 そもそも、なにかを信じる必要も無いくらいに、人は皆自由なのよ。
 勿論、したいことをするために必要なことをする、そのこと自体が自分のしたいことかどうかも、充分に
 吟味するに値すること。
 型にはめる必要も無く、また型にはめる必要など無いと意固地になるもならないも、全くの自由。
 あとは、あなた次第。
 それでも自由に振る舞えないのなら、振る舞えるようになるために自分を変えたり周囲を変えたりすれ
 ば良いのだし、また人は完全に自由なのだから、自分を変えることも周囲を変えることも出来なければ
 、誰かに頼っても縋っても良いし、またそれが出来ずに他人を恨むことも殺すことも、それを見苦しいと
 思い独り綺麗に諦めて生きるなり死ぬなりするも、どれも皆誰に許されることも無く許されているわ。
 当然、自らの選んだ行為の結果に責任はつきものだけれど、その責任を負わせてくるのはあくまで
 他者であるという点は、覚えておく必要があるわよね。
 つまり、その責任を押しつけてくる他者を受け入れるか、それともそれと戦うかも、それもまたすべて
 あなた次第ということ。
 理不尽? 結構じゃないの。
 この世に理不尽で無いものなど無いわ。
 人は理を使役する者であり、理そのものでは無いのだから。
 他者が存在する限り、縁がある限り、どの選択をしてもそれが誰にも影響を与えないということは無いし、
 だから常に人は、その他者存在としての理と向き合えるし、そしてそれは同時に自らが自らの存在が
 なにかを選ばなければならないという責任を、その理という名の他者に押しつけることを防ぐことにも
 繋がるのよね。
 ねぇ? そうよねぇ?
 
 そりゃそうよ、あったりまえでしょ。
 というか、なんでそんな小難しい言い方する必要があるのよ。
 要は他人のせいにするなってことでしょ。
 潔く自己責任だかなんだかで努力し続けるのも、それはそうしなくちゃいけないからじゃ無くて、そうする
 って自分で決めたからなんだし、そうしたいって自分で想って決めたんだったらそれでいいじゃんってこと
 よね。
 ま、私はそんな馬鹿なもの選んだりしないし、そーんなことしたいなんて全然思わないし。
 馬っ鹿じゃないの。
 自分で好きなものを選べないんなら、選ばせてくれないものと戦えばいいじゃないの。
 それなのに戦わないってことは、そもそも戦わない理由を他のなにかのせいにしてるだけでしょ。
 馬鹿馬鹿しいったらありゃしない。
 
 で、でも・・
 苦しいのは私だけじゃ無いし・・それに私だってやっぱりそういう頼れるなにかっていうの、欲しいよ・・
 雨童だってそうでしょう? 理屈っぽいし、すぐに怒るし、でも私は叱って貰えるとなんだか少し落ち着く
 っていうか、繋がっているっていうか、そういう気がするし・・・
 
 そう、つまり自分が「今」なにを望んでいるか、ということなのよねん。
 自由に気ままに、猫はいつも自分のしたいことのために、色んなやり方を探してく〜。
 
 だが、その自由さが基本にあっても、不安を感じることからは逃れられない。
 だから神や仏や、常識や正義を信じることで、自分がすべての縁の責任を負うということの不安を
 選択しないという自由を選ぶことも出来る。
 俺は逆に、こういう考え方の流れ自体を頭から消して経を読むけどな。
 人はみんな、生まれながらにして仏だから。
 
 
 

うん、旨い。

 
 
 
 

『さ〜て、今夜はとことん飲むわよぉ〜!』

 
 
 
 
 
 なんだかんだで、こんなにも言葉を綴っている。
 次々と吹き出るおもいに形を与え、次々と夜に咲かしていく。
 愉しく無いことなんて、無い。
 言葉だけになっちゃうと辛いし追いつめられるけど、だからといって言葉を封印してしまうのも味気無い。
 霞がかった紅い灯が闇に満ち、木々の息吹は安らかに目覚めを営んでいる。
 これを言葉で表現しないなんて、勿体無さ過ぎだよ。
 神も仏も常識も正義も、愛も優しさも政治も戦争も、趣味も学問も自然も全部、語り合おう。
 語って、語って、そうしたら、優しい夜の肌触りが愛しく感じられるんだね。
 でもそれ以上に、この夜は美しいんです。
 私の体感とかの表現よりも、目の前の美しいものを酔いしれるままに描き出すことの方が、なんだか
 とっても愉しい気がしてきて。
 そうなんですよね、私、長いこと混乱してたと思うんです。
 「感想」っていうのは、愉しんでいる自分の姿を書くよりも、自分が愉しんでいるものそのものを描き
 出すことで、その筆遣いそのものに愉しさが滲み出てくるんだって。
 作品を創り上げるつもりはあんまり無い、だけどずっと、愉しい気持ちのままに書き出したいと思って、
 それでずっと「感想」を書いてきたつもりだったのに、いつのまにか、自分が愉しんでいる対象物の姿
 を見失っていて、ただ藪から棒に、必死に愉しんでいる自分の様を描き出すことにばかり拘っていた
 ような気がするんです。
 愉しさは、絶対に其処に、絶対に私の外にある。
 それをみつめる瞳には、見事に血肉が宿っている。
 私の原点はずっとそこ。
 そしてそれはずっと続き、それは途切れることも無く、深いところで息づいている。
 一期一会。
 けれどそれは、すべて堆積し続いていく出会いの塊。
 何度でも「またね。」と言えるからこそ、いつでもまた色んなものと再会することが出来て、そしてその出
 会いはその積み重ねよりも、いつしかそのいくつかの出会いを同時に受け入れることが出来るように
 なっていくものに他ならない。
 
 気づきました?
 今回のこの最終話に出てくる通行人のすべてが、過去にこの作品に登場したキャラたちだったのを。
 
 今まで物語の当事者及びそれに準じるキャラにしか顔が描かれなかったこの作品の、この最後にして
 の劇的な変化。
 この変化は、ワタヌキの変化、成長の証でもありますよね。
 ええ、そうね。
 けれど、 それは最初から当たり前のことでもあるのよ。
 散々言っといてなんだけど、この世に必然なんて無いわ。
 全部偶然だし、私達はひとつひとつの偶然に意味をつけて必然だということにしているだけ。
 だから逆に、この世はすべて必然であり、ただその必然のままに力強く生きていくだけ、なーんて
 言ってたら、それこそいくつ命があっても足りはしないのよ。
 人間はそんなに強くないもの、それは強くならなければならないということとは、別のお話。
 その当たり前のことに戻れば、なんてことは無い、誰もがみんな、当然のようにして其処にいるのが
 わかってくるし、それが当たり前のこと。
 そうですよね。
 俺、なんだかんだで、自分があんまり変わったとかそういう意識は無いんです。
 ただただずっと生きてるというだけで、今俺にあるのは、ただ生きてるってことの自覚と、もっとより良く、
 より楽しく生きたいって思うことだけなんです。
 俺は豊かで愉しみに満ちた美しい夜をみつめている瞳でありながら、同時にその夜の中でその夜を
 見つめ味わい愉しみながら生きている紛れも無い俺なんです。
 そして俺は、その俺をみてる。
 ああ、そっか、つまり「感想」を書いてる私っていうのをみてる私が読み手としての私であり、だからこの
 「感想」は果てしなく日記なんですね。
 色んなことを考えて、色んなものの本質を見抜いて、哲学して、思想を練り上げて、感じて、
 そして愉しんで。
 そういうの全部ひっくるめて、生きるってことなんじゃないかなぁ。
 というか、生きるってなんだろうって考えることと、より良く楽しく生きるにはどうしたらいいかを考えるかは
 別のことで、ううん、むしろ生の意味を考えること、つまり必然を見い出すことというのは、複雑豊穣で
 訳わかんない偶然の世界の中でより良くより楽しく生きるにはどうしたら良いのかを考えることの、その
 中のうちのひとつとして立派にあるのじゃないかなぁって思う。
 
 まだまだな自分も、馬鹿な自分も、ちょっぴり賢い自分も、罪な自分も、恥に悶える自分も、
 道化な自分も、真面目な自分も、そういったひとつひとつの自分に拘り囚われる自分も、そうでない
 自分も、全部自分。
 
 それは一見そういったものをすべて相対化して、個別の事象を無視しているような、誤魔化しを含む
 ような自己の分裂に感じるかもしれないけれど、でも、ほんとかな? ほんとに誤魔化しだけしかそれに
 感じないかな?
 嘘ね。
 嘘じゃん。
 嘘、ですよね。
 嘘だな。
 嘘です。
 というより。
 誤魔化しだと言い切ることで、そうしてひとつひとつの自分を絶対化してひとつにまとめ、その絶対の自分
 とその他、という二分化を行っている、そういうひとりの自分がいるだけ。
 だからやっぱりそのひとりもまた、無数にある自分の中のひとつにしか過ぎないし、その絶対の自分という
 物語を紅い瞳で視てまたその自分を生きている自分は、確かにいるんだと思います。
 というか、だから楽しいんじゃないかな、この愉しい夜の中に、沢山の「自分」達と一緒にいることが。
 
 目の前に広がる、沢山の他者達の「自分」を、懐かしく、そのそれぞれの孤独と共に抱き合える。
 
 人は孤独な存在だし、そこから出てくるものを考えられるのと考えなければならないのは自分だけだけど
 、逆にその自分の孤独を理解し向き合えば向き合うほどに、それは全力を以て迅速に解決または解消
 しなければならないという「問題」では無く、むしろそうして「問題」材料を延々と作り出し、その「問題」
 と向き合い考えていくという最高の肴を頬張りながら、この夜を演出してくれる「道具」になっていくのじゃ
 ないかなって思う。
 だって大事なのは孤独そのものじゃ無くて、生きることそのものなんだし。
 生きるためには呼吸しなくちゃいけないけど、呼吸するために生きることなんか無いし、また呼吸は
 当然のように出来ているものにしか過ぎませんよね。
 いいえ。
 むしろ生きてるからこそ、より良くより楽しく生きるからこそ、孤独を愉しむことも出来るのでしょうね。
 呼吸すら愉しいってこと、経験したこと、ある?
 
 
 だから。
 
 『この世に、必然で無いものなど無いのよ。』
 
 
 この世には苦しみや悲しみや絶望が犇めいている。
 けれどそれと向き合わなければ、人はより良く生きていくことは出来ずに、孤独の虚の中で俯せに
 生き残ることしか出来ない。
 だから、苦しみよ、悲しみよ、いざ来たれ、ってね。
 孤独を自覚し理解すれば、「我」の中と外に無数の「自分」を作り出し、沢山のものを感じて生きて
 いくことが出来る。
 でも。
 
 
 

 それが目的だって言ったら、大嘘になるわよね。

 
 
 
 すべてはただ、愉しむために。
 苦しみや悲しみはもとより、自らの孤独と向き合いより良く生きるのも、自我を生きるのも、それら自体
 が目的となった時点で、それはむしろ自分の体と他者との縁を含む自らの存在の意味と価値を無視
 し、またその存在をちゃんと含めた生きるということからの逸脱、つまり。
 
 普通にちゃんと生きることを怠ける、ってことにも繋がってしまうのよね。
 
 愉しくなくちゃ、それは全部嘘。
 苦しみや悲しみから逃れるのは愚かだけど、苦しみや悲しみそのものを愛するのはもっと愚か。
 苦しみや悲しみを、ちゃんと苦しみと悲しみとしたままに愉しめてこその、生きる価値。
 徹底的に苦しみ、徹底的に悲しみなさい。
 そうすれば、気づくはず。
 自分が苦しみや悲しみから逃げるために「普通」に逃げ込んでいたことに。
 そして。
 自分が、苦しみや悲しみに逃げ込もうとしていることに。
 それは他ならぬ、あなた自身の普通の生からの逃避に他ならない。
 自らの存在に於ける眼差しの、欠如。
 
 
 世界は、当たり前のようにして、ずっと其処にあるの。
 
 だったら、愉しく生きるためにはどうしたら良いのかを考えるのが、一番でしょうに。
 
 
 より愉しく生きるために、世界を変えるもよし、自分を変えるもよし、両方でもいずれでも無くてもよし。
 そしてそれらを実行するひとつひとつの手順の瞬間とも向き合えば、それらひとつひとつすらも愉しく
 無ければ嘘だということがわかってくる。
 むしろ、愉しめればもう、なにかに拘っている「だけ」の自分が見えてきて、そしてその自分をみている
 自分のままに生きることが出来ようともいうもの。
 
 
 
 私? 私ですか?
 私は今、ちょっぴり愉しくなってきてますよ。
あまり愉しめていない自分を見つけて、より愉しく生きたいと思えた自分のままに生きてる瞬間、
それを感じていますから。
 
 
 
 月影は姿を潜め、星々があられも無く浮かんでいる。
 その中では、自分を全部さらけ出さずにはいられない。
 自分の醜さ愚かさを見抜けば見抜くほど言葉は募り思考は重なり、無限に星々の熱度は上がって
 いく。
 なのに俺、そういうの全部、隠すこと無しに、そっと、胸に仕舞えることが出来るんです。
 ええ、全然隠せてないから、俺の胸のうちなんか、たぶんみんなに透け透けのバレバレだと思いますし、
 他のみんなの姿にも、俺が今まで見つめ考えてきた分だけ、しっかりとその人達の恐ろしいなにかは
 みえてます。
 でも・・
 どうでもいいって訳じゃ無いんですけど・・それが、一番表に出てきてるって訳でも無いんです
 俺は、気づいたら笑ってました。
 それはいつもの表層的な、建前としての、誤魔化しとしての愛想笑いに分類されるものかもしれません
 し、俺はそれで構わないって思います。
 でも俺、笑ってるんです。
 笑おうって、思えてるんです。
 だから。
 
 
 その笑いの意味と価値を作るのは、俺次第なんだって。
 この笑いは必然なんだって、俺、自分の中のなにかとみんなのなにかが縁で繋がっているのを感じる
 たびに、そう笑顔で思えるんです。
 
 
 愉しくても愉しく無くても俺は笑います。
 勿論、笑うことを目的にして笑ったりなんかしません。
 愛想笑いにしか過ぎなくても、それはその笑顔を魅せようと思った誰かが其処にいるってことをなにより
 も証してて、それってつまり、常に俺は心の底から愉しく笑える可能性があるってことなんですから。
 侑子さん、俺、今、愉しいです。
 愉しいって言ってる暇も無いくらいに、自分の笑顔に気が付く余裕も無いくらいに、愉しいです。
 みんなが其処にいる。
 みんなの笑顔が其処にある。
 だったら俺も、みんなの其処で、笑いたい、笑顔を魅せたいなって。
 この豊かな夜のひとつになれたら、俺もこの愉しい星空に協力したいなって。
 俺の出来ることをしたいなって。
 なんにもなくてもあっても、俺は笑える、笑えます、笑えるんです。
 そう。
 愛想笑いしか出来なくても、愛想笑いをしているうちに本当に笑えることっていうのはある。
 自分の笑顔をみて、誰かが笑ってくれたりしたら、本当に嬉しいものね。
 誰かのそれも愛想笑いにしか過ぎないとわかったとしても、きっと同時にその誰かにもあなたの笑顔も
 また愛想笑いにしか過ぎないことがみえているはず。
 だったら、どうする?
 お互いがお互いをそれで軽蔑し合い、お互い腹の中で嘲笑し合うのかしら?
 お互いが自らの醜さを恥じ入り、お互い傷を増やさぬうちに身を退くのかしら?
 それとも。
 そういう自分の愚かで非力な姿をさらけ出して、そして共にそれをネタにして愉しく笑い合う
 のかしら?
 そういう、ことよ。
 
 

                         ・・・・

                                ・・・・
 
 
 静かなるままに騒擾を重ねる宵闇に、祭囃子の風が吹く。
 どよめきに驚いたままの時間の目覚めが、せっかくの宴に雨を差す。
 
けれどそれは、闇夜に広がる花火のように。
 
風が吹いても雨が降っても、宴は全く途切れ無い。
こんな愉しいものが、そんな簡単に絶えることなどあり得無い。
風も雨も、立派な灯。
 
『さっすがぁ♪』
『さぁ、食べ尽くして、飲み尽くすぞぉっ♪♪』
 
 
『ワタヌキー、じゃんじゃんよろしくぅ〜♪』
 
 
 
人が、集まってくる。
笑いながら。
笑い合いながら。
笑いを求めつつ、けれどなにより集まることをやめられない。
集まれば、笑いが生じることすら知らずに。
けれど。
もう。
エガオの宴は始まっている。
 
小さな闇達に区切られて。
 
それでも
 
この優しい灯は
 
その影を以て闇の中の笑顔を繋いでいく
 
 
いいえ。
 
笑顔がいるからこそ、それは繋がるんですよね。
 
 
愉しいままに 孤独なるままに
 
 
 
 
今、此処で
 
 
 
 
 
生きています。
 
 
 
 
 
 
『また会いましょう。』
 
 
 
 
 
 
 
 
 xxxHOLiC◆継     -- Fin

 

 
 
 
 
 
 
 
 
                            ◆ 『』内文章、アニメxxxHOLiC◆継』より引用 ◆
 
 
 
 

 

-- 080701--                    

 

         

                                    ■■ ジブン ■■

     
 
 
 
 
 『・・・・・・・・・・・・・・・。』
 

              〜xxxHOLiC◆継 ・第十二話・穏やかな空に杯を掲げる侑子の無言より〜

 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 肌の内側が、荒い。
 忙しなく蠕動を繰り返す産毛がなにかを纏い、風の流れを完全に遮断する。
 強く摘めば血が滲むはずの腕の肉は内側に向けて弾けるばかりで、そこに感じるのはただただ鼓動に
 流される真っ黒に押し潰された血塊だけだった。
 ぷくぷくと、捲れあがる肉芽はまるで桜の花のように、無惨に美しく咲いていく。
 弾けた血は長い時間をかけて全身を侵し、それはすべてじわじわと心臓へと溜まっていく。
 膨れる心臓。
 轟音なる鼓動。
 どく、どく、どく。
 心臓で出来た私。
 血袋が、なんにもしていないのに、ぬくぬくと肥太っていく。
 べっとりとその血袋には浸み出した黒い血が塗りたくられているのに、その周りには、分厚いなにかが
 張り巡らされ、そしてそのなにかの御陰で、この心臓は脈動を続けることが出来ている。
 私は、心臓。
 無造作に毒の血を溜め込む爆弾女。
 ううん、ただの、悪魔。
 女になんてなれなかった。
 女になりたいなんて思わなかった。
 この心臓を包むなにかが、女だったから。
 私は、女になりたいと思う以前に、女だったから。
 
 灯火が、熱い。
 棚引く白煙が見えない炎を孕んでいるのが見えた。
 この煙がいつかなにかを燃やすかもしれない。
 その煙にはだけど、元が無い。
 これが燃えているんじゃないかと思ってそれに水をかけると、それはじゅーって音を立てて、真っ白に
 淀んだ煙を吐き出すの。
 燃えてる。
 じゅくじゅくと、湿り気を帯びたその煙は、蠕動する産毛の摩擦から生まれている。
 絶対に消せない紅い炎を宿して、その煙は私の喉元を綺麗に焼いて、そして心臓を守るために私の
 中に還ってくる。
 色々なものを焼いて、焼き尽くしてきた、悪魔の煙。
 私は、肺。
 真っ白に溶けた見えない肺が、私のなにかと産道で繋がっている。
 私のなにかが肺の産み出した煙なのか、それとも煙の中に炎を仕込んだのがこのなにかなのか、
 それはもう、私には全くわからなかった。
 
 
 でも、わかるでしょう? ワタヌキくん。
 私は、私だって。
 私は、私の体だって。
 
 
 
 私で無いものなんて、無いんだって。
 
 
 
 私は、瞳。
 私は、指。
 私は、髪
 私は、足。
 いくらでも、紅い物語は作れるの。
 いつまでも、それは語り続けられるの。
 
 『なにも取り憑いて無いし、なにかの使いでも、特にそういった力がある訳でも無い、
  普通のお嬢さんです。』
 
 そう。
 私は私。
 普通の女の子。
 
 『でも、この子は他人を不幸にします。 自分で相手を選べません。』
 
 私は普通の女の子。
 だから、なにかに取り憑かれた異常な女の子じゃ無い。
 私は普通の女の子。
 だけど、私は私。
 その私は、化け物。 全くの、化け物。
 化け物が私に憑いてるんじゃなくて、私自身が化け物なの。
 私に取り憑いてるのは、ただ普通の女の子というなにかだけ。
 だけどね。
 私で無いものなんて、無いんだよ、ワタヌキくん。
 やっぱりその普通の女の子も、私だったのよ。
 
 
 

+ 『ワタヌキくん、怖いモノみたりするんでしょ?』 +

 

+ 『でも私はそういうのじゃないよ。』 +

 
 

++ 『 人 間 だ か ら 。  一応。』 ++

 
 
 
 私には、そのアヤカシなんていうのは憑いてないし、勿論私がアヤカシってものでも無い。
 そしてね、ワタヌキくんみたいに、ただ自分の中のなにかの顕れとしてアヤカシを視て、そして色々と
 それに向き合うことで自分のことを解決していくとか、そういうのでも無かったの。
 だって。
 私は、私だったから。
 私にはアヤカシが視えないから、なにも取り憑いて無いから、残念だけどそういった解決すべきもの
 なんてなかったの。
 正確に言えばね、ほんとは私にもアヤカシはあるの。
 なぜか私の両親だけは私と一緒に居ても不幸にならなくて、それは両親を不幸にしちゃうと生まれて
 これなかった、そして生きていけなくなっちゃうからって言われたし。
 きっとだから、私がひとりで生きられるようになったら、きっと両親も不幸な目に遭うようになっちゃうの。
 それが私のアヤカシ、私の隠された淫らな本心、だからそれを顕現させて視つめれば、そういう私の
 体質は治るのかなって思ったけど、それはきっと全然違うことだったの。
 
 たぶんね、治らないの。
 私ね、ワタヌキくんのアヤカシを視るって体質も、きっと無くならないと思う。
 アヤカシを視ることで解決できる自分の中のなにかはあっても、そうしたなにかと向き合っていくということ
 そのものと、そのアヤカシを視るってことは全然別のことだと思うから。
 自分を解決することなんて出来ないの。 自分を解決するなんて言葉も無いしね。
 悪いのは、私。
 私以外のなにかを悪者扱いされても、それは私を見て無いってことと同じ。
 悪いのは、紛れも無い、私。
 私が此処にいるってことそのものが、悪いことなの。
 だから、ね、ワタヌキくん。
 
 
 私ね。
 私は自分のこと、悪い女だって思うこと、もうとっくの昔にやめてたの。 知ってた?
 だって私。
 生きなくちゃって、思ってたから。
 
 何度もね、私の周りで悪いことが起こった。
 世界中で起こるすべての悪いことの元凶が私だなんて思わないし、たぶんそれは違う。
 だけど、私が関わった、私と直接繋がった人は、全部不幸になるの。
 偶然のようなものも、明白な別の不幸な原因があったものもあったよ。
 勿論他になんの原因も見当たらないものも、必然としか思えないものもあったけど、むしろそういった
 私が第一の原因であるとは言い切れないことの方が多かった。
 でもね、絶対に逃げられない事実がひとつだけあったの。
 それはね。
 少なくとも、私が自分で親しみを感じた人達の中で不幸を免れた人は、両親以外にはただのひとりも
 いない、という圧倒的事実だったの。
 偶然かもしれない。
 でもね、その偶然は、私が生まれてから今このときまで、ずっとずっと、一度も途切れずに続いているの。
 侑子さんは、それは必然だって言ってた。
 だけど、運命とは言わなかったし、偶然ということも否定しなかった。
 特別なことでもなにかの作為が働いている訳でも無く、私が存在するっていうことそれ自体が、もう
 周りの人達にそういう影響を与えるんだって。
 
 だから、私は誰とも繋がらなければ、誰にも触ったり触られたり声をかけたりかけられたりしなければ、
 たぶんこの世界の中に悪いモノとして存在しなくても済むのかなって、思ったの。
 
 だからたぶん、私は放っておけば、生きることは出来るのよ。
 誰もいない山奥で、誰にも知られないまま生きて死んでいく。
 小さい頃、そういう生活を何度も想像した。
 結構ね、それは楽しいことだったのよ
 自給自足の生活、そして自然の中で汚れずに清らかに真っ直ぐに生きるのって、すごく魅力的だった。
 私ね、こう見えても、あんまり寂しいって感情は無いの。
 ずっと独りでも平気だったし、独りの時間を愉しく過ごすことは苦痛じゃ無かったよ。
 
 だけど、私は人間だから。
 
 
 

 『人間でも、いえ、人間だからこそ、あるんです。』

 
 
 
 私は私だって初めて教えてくれたのは、あの神主さんだった。
 あのときから私は、自分が人間じゃ無い、ただの化け物だって言うことが出来なくなった。
 言いたくても、言えなかったのよ、だって私は一応人間らしいから。
 特別なことでも無く、またそれが欠陥があるからこそでも無く、これこそ人間なんだって言われたら・・
 逃げることなんて、出来なかった。
 私には、幽霊とかお化けとか、そしてアヤカシとか、そういうものが無かった。
 そういうのがあったとしても、それは全部私だったから。
 それが、私っていう人間だって言われたから。
 不思議だよね、この世の中には、霊が視えたり、それに憑かれたりする人だっているのに、私には、
 私にだけはそういうのは無いんだなんて。
 そう、私の世界にはね、異常なんて、なにひとつ無かったのよ。
 治すべきものも、努力してなんとかすべきものも無くて、それが私なんだってただただ受け入れていく
 しか無かったの。
 ううん、違うよね、ワタヌキくん。
 私が私を受け入れるなんてこと無いもんね。
 だって私はもう、生まれたときからそれを受け入れる前からずっと私なんだもん。
 そして、その私は。
 
 その私が此処にいると。
 みんなを不幸にする。
 
 それが、私なんだって。
 
 努力するとかしないとか、関係無かった。
 むしろ私は、私が私であるためにこそ努力すべきだった。
 ずっと笑顔で楽しいことだけを考えていれば、みんなの中でも生きることは出来た。
 でも必ず誰かを傷つけて不幸にして、そのうちの何人かは死んでしまった。
 私は、人間だから。
 だから、私はみんなの中に、この社会の中にいなくちゃいけないし、そしてみんなと繋がることを捨て
 ちゃいけないって、私のためにも頑張らなくちゃいけなかった。
 私は、自分は化け物だって言って山奥に隠れ住みたくて堪らないんだけど、でも私の中のなにかは、
 そう、あの神主さんの言葉に守られたあの優しい煙達は、必ずそれを引き留めてくれるの。
 いけない、あっちにいっちゃいけない、ちゃんと生きなくちゃいけない。
 人間として、みんなの中で生きなさいって、そう、優しく言ってくれるの。
 
 だから私、笑ったの。
 
 笑って、笑って、自分が人間なんだってことがわからないくらいに、笑い続けたの。
 笑顔で、笑顔で、笑顔で、ずっと笑顔で。
 そうだね。
 私は、異常じゃ無いんだって。
 だけど、間違い無く、私はみんなを傷つけちゃうの。
 それで、異常が無いの? どうして?
 それも、人間だから、なんだって。
 そう言いながら、みんな、私との間に隙間を作るの。
 ああ、そうかって、私、わかったの。
 あの神主さんは本当のことを言ってたけど、誰もその本当のままに生きることなんて無いんだって。
 私は、人間だけど、人間じゃ無かった。
 人間では、いられなかった。
 笑って、笑って、笑い続けて、最後には、笑うことしか出来なくなっちゃった。
 もう私、自分がなにを望んでたのかとか、なにが怖かったのかとか、そういうのもわからなくなってた。
 私は、人間だよ。
 だってこうして、笑顔でみんなと一緒に生きてるもん。
 誰にもなににも執着したりすがったりもしないし、誰にもなににも恨みなんて抱いて無いもん。
 だから、誰かを傷つけちゃったら、その人との仲はそれでお終い。
 だってもう、その人には私の笑顔の魔術は効かなくなっちゃうから。
 ごめんね、みんな。
 でも私、人間でいなくちゃいけなかったから、みんなを傷つけるってわかってたのに、ちゃっかりみんなの
 中で生きて、学校にも行って、普通の女の子の生活を続けてた。
 ごめんね。
 本当は、謝ることなんて出来ないのにね。
 私は人間だから、そうして当たり前の生活をする権利と、そうして生きなければならない義務があった
 から。
 神主さんの言った通りに、私は私を、私という人間を守らなくちゃいけなかったから。
 
 だけどね。
 私の中のもっと別のなにかは囁いたの。
 でも誰かを傷つけちゃったら、やっぱりそこで身を引くべきじゃない? むしろそうすることこそ人間として
 真っ当な気持ちを満たすことが出来るんじゃないの?って。
 そうなのよ、私だけがなんでみんなを傷つけてまで生きなくちゃいけないのって思うのは、それもやっぱり
 普通な感覚だと思ったし、それはやっぱり素直な私の気持ちだった。
 ほんとはね、誰かを傷つけたり不幸にしちゃうことで、その人のことを感じて苦しくなるって気持ちは、
 もう随分と昔に消えちゃってたの。
 きっとそれは、あまりにも恐ろしいことだったから、真っ先に消しちゃったんだよ、きっと。
 だけどその代わりに、誰かを傷つけてまで生きる自分の浅ましさみっともなさに関する私の気持ちは、
 ずっとずっと高いままでいてくれたの。
 すごく、自分勝手だけどね、それって。
 相手の気持ちになって考えれば、ほんとは自分の浅ましさみっともなさなんかに構ってはいられないはず
 なのに。
 わかるかな? ワタヌキくん。
 私が怖かったのは、一番怖かったのはなんだったのか。
 
 
 
 それはね、なにか、なんだよ。
 
 私が傷つけて不幸にしてしまう人達が、私を人間扱いしてくれないことよりも、
 そうして人を人とも思わないような恐ろしい他人達と向き合い、
 みんなと違う、だけどそれでも人間である私っていう存在を認めさせなくちゃいけないこと、

それそのものが一番怖かったのよ。

 
 
 
 私は普通の女の子。
 普通で無い人なんて、本来存在しない。
 だけど世の中には、「普通」というものがある。
 そういう意味で、私は「普通」の女の子じゃなかった。
 だから最初は懸命に「普通」の女の子になろうとして、頑張って、頑張って、頑張りすぎて、笑顔が張り
 付いて取れなくなっちゃった。
 色んなことがわからなくなっちゃってた。
 「普通」のための理屈しか考えられなくなっちゃって、「普通」かそうじゃないかで考えて、「普通」じゃ
 無い部分に向ける眼差しは自他を問わずに冷静ではいられなくて、そして結局私は、普通の女の子
 である自分が普通に生きることから離れてしまったんだと思うの。
 疲れ切ってたんだと思う。
 だけどどこまでも私の体は、紅い物語は動き続けていたの。
 普通と「普通」の違いが、もう本当にわからなくなっていたのかなぁ、やっぱり。
 侑子さんの言ってた縁がね、見えなくなってた。
 私は、自分が傷つけてしまった人達から離れることで、そうやって居ながらにして誰かを傷つけてしまう
 自分から逃げて、そして傷つけてしまった人からね、私って存在を奪い取ってしまっていたの。
 大多数の人は、自分に降りかかる不幸と私の存在の因果関係に気づいた時点で、私が離れようと
 する前に離れていってた。
 みんなやっぱり「普通」しか目に入ってないのかなぁって、誰も私との縁を見つめてはくれないのかなぁって
 、すごく悲しくて、とてつも無く怖くて、そして孤独だった。
 ねぇ、ワタヌキくん。
 人の気持ちを考えるって、どういうことなのかな。
 私はね、みんなの気持ちを考えれば、私は山奥に引き籠もるか、死ぬかするしか無かったと思う。
 だけどね、しばらくしてから少しそれが変わって、人の気持ちを考えるのと、それを受けて自分がどう行動
 するかはイコールじゃ無いんじゃないかって思うようになったのよ。
 たぶんね、イコールだと思うのは、それって「普通」に囚われてるってことかなぁって、気づいてたの、私。
 そのときにね、ああ、私、もうちゃんと「普通」の女の子に心だけはなってたんだなぁ、って思ったの。
 色んなものから目を逸らし、目の前の他者を無視し、ただ自分の気持ちのままに生きようとする、
 そういう「普通」っていう幻想と、目の前の現実の区別がつかなくなってるって。
 みんな狂ってる、って、「普通」じゃ無い私が思うことが、どれだけ私にとって恐ろしいことか、わかる?
 私だけが狂って無いってことは、つまり、私だけが狂ってるっていうことと同じだから。
 私の方が、「普通」っていう幻を共有して、その中で生きるという狂気に飛び込まなければ生き延びられ
 無いという、そういう「現実」から目を逸らしていたってことになっちゃうの。
 
 
 そう。
 きっとたぶん。
 そう思うことしか、そう考えて追いつめられていくことにしかならないってこと自体が、「普通」ってこと。
 
 そして、それが、普通の私からの、逸脱。
 そして綺麗に私は、狂っていたの。
 たとえみんなが狂っていても、私だけはちゃんと生きなくちゃいけないという事実から目を逸らして逃げ
 回っていたのもそうだけど。
 なにより。
 うん・・・・・
 なによりも・・・・私は・・・・・・・
 
 わたし独りになっちゃってたから
 
 「みんな」って、誰?
 私こそが、みんなそれぞれの普通をちゃんと持っているということを見つめずに、私だけでもちゃんと普通
 に生きなくちゃって思ってて、その結果私はみんなの中で独り「普通」と戦いを始めるかもしれなかった。
 私と、私以外の「みんな」しかいない世界なんて、そんなのわたし独りしか無い世界ってことで、それこそ
 他の人達、つまり他者の存在というものをほんとの意味では認めて無くて、それはつまり結局他者を、
 自分を守るための「倒すべき敵」という、全くお互いの普通の繋がりである縁を無視しての玩具にして、
 それでひとり遊びしている私が悪いんじゃないかって、思ったの。
 ううん、善いとか悪いとかじゃ無いよね。
 
 私、馬鹿だなぁ、って。
 
 
 ワタヌキくんが、私の目の前に、ちゃんと普通にしていてくれてたのに。
 
 
 それなのに、まだ、私は、「普通」のための理屈をこねて、ワタヌキくんから私を奪おうとしてるなんて。
 笑顔が怒りを帯びてくる。
 心臓を通り抜ける血の速度は倍加して、視界は白い煙で完全に遮られる。
 なにも見えない、なにも聞こえない、なんにも感じない。
 だから独りで生きるの、だから独りで戦うの、だから独りなのみんなみんなみんな。
 ああ、本当そうだなぁって、思ったよ。
 
 みんなちゃんと、普通のひとりの人間なのに。
 だけど、とてもひとりなのが怖いから、それでみんなと一緒になっちゃうから、独りになっちゃうんだ。
 
 ワタヌキくんに振り下ろそうとした笑顔を、この真っ赤に塗れた手で掴んで、口に放り込んだ。
 私には、それの味がわかった、香りも、色合いも、美味しさも、苦さも、絶望も、希望も。
 自分の愚かさとワタヌキくんの愚かさと、私の正しさとワタヌキくんの正しさも、舌に重くのし掛かる。
 喉が焼け付くように、冷たい。
 生きてるね、私。
 その自分の言葉に、ぞっとするくらいに実感の無さを感じた。
 その言葉が馬鹿みたいに思えるほどに、私はずっとずっと生きている。
 なのに・・・その言葉が・・・・・・私を強く・・・押してくれたの・・・・
 
 普通じゃ無い人なんて、いない。
 ひとりじゃ無い人なんて、いない。
 だから。
 
 たとえみんな狂っていても、私だけはちゃんと生きるだなんて言葉、いらない。
 私に必要なのは。
 私が一番一番欲しいのは。
 
 たとえみんな狂っていても私だけはちゃんと生きる、としか言えなくなってしまった私がいても。
 それでも、当たり前のようにして、ちゃんと普通のひとりの誰かは其処にいるって信じられる、紅い意志。
 
 それが信じられなければ、信じようとしなければ、それこそが、私自身が普通のひとりの人間としての
 自分から逃げ、孤高で孤独な世界に逃げ込もうとしているのを証明していることになるのね。
 
 そして、当たり前のようにして、みんなはちゃんと其処にいた。
 ワタヌキくんも、百目鬼くんも、侑子さんも、学校のみんなも、世界中のみんなも、ちゃんと其処に。

 

 みんな・・・・みんな・・・・
 
 『私も・・・』
 
 
 




 
 

 『ワタヌキくんの嘘吐き・・・泣かせないって言ったのに・・』

 

『会えて幸せだって言って貰えたのは・・・初めてだったよ・・』

 
 

『ワタヌキくんが死なないで良かった。』

 

『対価にワタヌキくんの傷・・・・引き取って・・・良かった・・』

 
 




 
 
 
 『会えて幸せだよ。』
 
 
 
 縁から、もう逃げない。
 誰かを傷つけることからも、傷つけられることからも。
 みんなひとりの普通の人間なんだって思うから、だから「普通」に囚われている人達の中でも生きられる。
 みんな同じだと思えるから、分かり合えるはずと信じてるから、目の前の自分とは違う人達と分かり合う
 ためにこそ、その人達と向き合っていくことが出来る。
 そのために、やっぱり「普通」っていうのはあるんじゃないかな。
 じゃあ、なんでみんな同じだと、分かり合えずはずだと信じられるのかな。
 それはやっぱり、絶対的に自分とは違う、そういう他者の存在をちゃんと感じられるから。
 誰もいなかったら、そんなこと思えなかった。
 ううん。
 
 

縁を、必然を見つめようとするから、私達は他人の存在に気づけるんじゃないかな。

 
 
 あ、でも、私達が気づけなくても、それとはなんの関係も無く他の人達は其処にいると思うけどね。
 だって、だからこそ、誰かの存在を気づくまでも無く深く感じているからこそ、縁と必然を見つめようと、
 こんなにも、こんなにも強く深く思えるんだから。
 ううん、どうしようも無く、信じられるからなのよ。
 それが、私が此処に存在しているということ。
 私はただここにいるだけで、沢山の影響を周りに与える。
 それが、縁。
 そして。
 だから。
 
 私は、此処にいたい。
 私が此処に存在するだけで、縁の糸が沢山の誰か達を顕してくれるのだから。
 そしてきっと。
 私がここにいるだけで、誰もがみんな、私の存在からは逃げられず、そして私を失わずに済む。
 だから私も、誰の存在も奪わない、誰の存在からも逃げたくない。
 
 
 『証拠は無いけど、けど、根性で、死なない。』
 
 ありがとう、ワタヌキくん。
 こんな大怪我しても、それでもワタヌキくんと共に生きたいと思った私を受け入れてくれて・・・
 
 
 そして。
 私は、誰も、失いたくない。
 
 
 『けど、弁当は食うぞ。  三人でな。』
 
 ありがとう・・百目鬼くん
 侑子さんに聞いたよ・・百目鬼くんと百目鬼くんの側にいる人は、私の影響を受けにくいんだって・・・
 
 
 ワタヌキくんと、ふたりっきりでシフォンケーキを食べようって。
 嘘と本当の入り交じった言葉。
 怪我しても死んでも構わない、ううん絶対死なないっていうワタヌキくんとふたりでシフォンケーキを
 食べるってことは、ふたりで心中するっていうことと同じこと。
 でも私は絶対にそんなことをしないから、それでも私がその話を受けたということは、ワタヌキくんに
 別れを告げたに等しい。
 ワタヌキくんは結局わかってない、私はそれでも誰も傷つけたく無いのに、だけどそれでもワタヌキくん
 と生きたいから私はワタヌキくんを犠牲にしてでも・・・そんなのどんなに頑張ったって長持ちする訳
 無いのに・・・
 でもワタヌキくんは、『またね。』って。
 ワタヌキくん、もう全部わかってて・・・・・
 だから・・・
 ありがとう、百目鬼くん・・・
 私・・・みんなの力も借りて・・生きていきたいって・・なんとか助けて貰いながら、誰も傷つけ無いで
 済む方法も考えながら、生きていきたいって思えたよ・・・・
 だから・・・きっともう・・・・私だけが・・・苦しまなくても・・・私だけが苦しんで全部背負い込んで、
 孤独に逃げ出すこともしなくて済みそうだよ・・・
 ううん・・・・
 
 絶対に・・
 
        絶対に・・・・・・
 
 
 

此処から消えたくなんて無いよ

 
 
 
 
 瞳が溶けていく。
 体中の煙が音を立てて凝固して、次々に黒い瞳を産み出し、それは次々に夜に誘われるようにして
 溶けて零れていく。
 震えが止まらないよ。
 涙が消えないよ。
 今まで視てきたものが、全部煙に押し出されて世界に広がっていくよ。
 今まで一度も泣くのを我慢したことなんて無いのに。
 だけど、やっと、自分が今まで一度も泣いたことが無かったことを、知った。
 他の人が流す涙しか、見たこと無かった。
 私はね、他の人の涙に、私の涙を見てた。
 私の涙は全部、他の人の綺麗に怯えた瞳から、ごそりと這い出してきた毒虫に換わってた。
 あんなものを、私はあの人達に植え付けちゃってたんだよねって、繰り返し繰り返し頭の中で叫んで、
 叫んで、それでお終いだったの。
 その人達の気持ちしか、わからなかった。
 みんなの気持ちと同じものが、私の中には張り巡らされていた。
 それは私の、大事な大事な宝物。
 だけど・・
 そのみんなと同じ私の気持ちが、私の涙を、みんなとは違う自分の涙を堰き止めていたの。
 そう。
 みんなを泣かせているのは私なんだから、その私が泣く訳にはいかないって。
 私に泣かされているのは、みんなだけじゃ、無いのにね。
 
 だから・・
 私の涙は、今まで泣けなかった私の分。
 だけど・・・・
 それ以上に。
 
 
 
 この涙は、なによりも、暖かかった。
 泣く必要は、もう無いって、思えたんだから。
 
 
 
 

『あなたが色んなもの達と関わって変わったように、ひまわりちゃんも変わったの。

 

− そしてこれからも変わっていける −

 

自分自身で強く信じて、そして一緒に信じてくれる人がいれば。』

 
 
 
 
 ワタヌキくんが連れてきた、たんぽぽ色の可愛い小鳥。
 この子を、私にくれるんだって。
 じゃあ、私がこの子を守らなくっちゃね。
 
 
− 私は私 −
− それが、自分ってことなんだね −
 
 
 私の漆黒の淡い瞳も。
 私の気に入っている細い指も。
 私の滑らかで艶やかで暖かな黒髪も。
 私の踏みしめる大地の感触を伝えてくれる愛しい足も。
 それもみんな、私で、私のもの。
私の物語。
 そして。
 「普通」の女の子の私を使って、みんなの中で普通に生きる私も、大事な大事な自分なの。
 だけど。
 私は私。
 どの物語も、どの自分も、私はみんな大好き。
 私は、自分じゃ無い。
 でも。
 
 
 私は自分が、大好きです。
 
 
 
 『こいつは、ひまわりちゃんのために生まれたんだよ。』
 
 
 
 
 
『たんぽぽ♪  これからも、よろしくね。』
 
 
 
 
 
 ワタヌキくんと百目鬼くんと一緒に、この広い青空の下でみんなと会えたら、いいな。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
                            ◆ 『』内文章、アニメxxxHOLiC◆継』より引用 ◆
 
 
 
 
 
 
 

 

Back