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◆◆◆ -- 2009年1月のお話 -- ◆◆◆

 

-- 090130--                    

 

         

                            ■■ 友と逃げるための理由 ■■

     
 
 
 
 
 『 数日後、夢をみた。この巣の中に入る夢だ。
  そっと入ったその中には、なにか、大切なものが入っていた。』
 
 

                          〜続 夏目友人帳・第四話・夏目の言葉より〜

 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 羽毛のような手触り。
 枯れ葉を踏み締めたようなぬくもり。
 忘れていた、遠い子守歌。
 目に映るものはすべて、初めてのもの。
 なのに、その外に、なにか、ある。
 
 
 
 冬の陽射しが途切れがちな、薄曇りの頃。
 随分と逞しく伸びをして、気紛れに身を任せていた。
 不思議だ。
 忘れていたはずのものが、忘れてはいないことになっているなんて。
 昔はよく考えていたはずなのに、まるで初めて考えたかのうようなその新鮮には、なぜか見覚えがあった。
 目を細めると、そこここに細い影が棚引いている。
 その影の、全くそのうちのひとつとして、当たり前のように、足下からも一筋の影が浮かんでいる。
 不思議だ。
 それを不思議におもう自分のことが不可解だった。
 夏が過ぎ秋を越え、冬空の下で佇んでいる。
 組み上げた殻の中は、淀むほどに暖かいというのに、それから一歩でも出ればこんなにも寒いなんて。
 服を一枚足そうかと思うほどに、その寒さには手触りが無かった。
 遠い、遠い、遙か異世界から届く、冬の冷たい息吹。
 この中に、晒されて生まれてきたなんて、信じられない。
 信じられないという、その自分のおかしさに、違和感を覚えることが出来ない。
 出来ないままに、雪を探していた。
 大切なもの・・・
 それがなんだったのか、もうわからない、という訳じゃ無い。
 それを、初めから見たことが無かったのに、ずっとずっと知っていた、ただそれだけだった。
 なにも変わってはいない。
 必死に変わろうと、変化を求めている自分だけがいた。
 変わらない、その見えないなにかを、ずっと、恐れて。
 
 
 考えたことがある。
 気紛れの優しさは罪なのだろうか、と。
 目の前で、死にそうになっている雛を拾って育てるのに、理由なんているのだろうかと。
 理由はいると思った。
 でも、じゃあどうして理由はいると考えたのだろうか。
 しっかりと責任を持って、命を支える覚悟を持たなければ、雛を拾うべきでも無く、それはそのまま
 見捨てていくべきだ、あるいはそれが自然の掟なのだと、そう考えるのはなぜだろうか。
 ずっと、ずっと、たぶん俺は考えていた。
 なのに、考えたことがあるという、過去の記憶としてしまっているのはなぜだろう。
 本当に、目の前の雛を拾うのに、理由なんているだろうか。
 その理由というのは、雛を拾ってから、拾った自分を支えるために使うだけのものなのじゃないだろうか。
 それを拾う前に使用するというのはむしろ、目の前の雛から目を背け、なおかつ、その雛と向き合った
 自分から逃げ出したいからじゃないのだろうか。
 目の前に瀕死の雛がいて、それになにも感じ無い人間なんていず、ただなにも感じてはいないと、
 必死に願う者がいるだけだ。
 
 雛を拾うも拾わぬも、自分次第。
 
 なのにその事実を恐れるあまりに、その選択をする責任から逃れたいがために、責任転嫁のために
 こそおかしな責任論に身を委ねるのじゃないのだろうか。
 拾うのは、可哀想だと思って、そのまま拾いたいという自分の欲望に身を任せたからだ。
 拾わないのは、可哀想だと思っても、拾って育てるのが面倒だからという、ただそれだけだからだ。
 金や時間が無いからというのも、本当に拾いたいという欲望に身を任せたのなら、理由にはならない。
 拾うも拾わぬも自分の選択の結果であって、自分以外の選択の理由など無い。
 あるというのなら、それは全部、その自分が選びその責を負うということから逃げているからに他ならない。
 自分で拾ってみたいと、自分の良心に従い行動して、それで最後まで育てようと飽きて捨てようと食って
 しまおうと、それは全部例外無く自分の責任で行うのだから、同じことだ。
 自然の掟云々に至っては、そうして卵を弄ぶという、紛れも無く自然の一員である、自分の存在を
 忘れている妄言にしか過ぎない。
 鼠が雛を食おうと、人間が気紛れで拾って育てようと、それは全部自然の摂理のうちにしか過ぎない。
 仮に人間は自然の一員では無いとした上で、人間と自然を分けてそういうのなら、それは間違いなく、
 人間によって私物化された自然、つまり人間が畏れ敬いたいという欲望のために存在する、そんな
 創られた手つかずの自然にしか過ぎず、だったらその自然の掟に従うというのは、紛れも無い人間の
 欲望なのだとも思う。
 
 同じことなんだ。
 
 要はつまり、自分の問題なんだ。
 なんで雛を拾うのに理由が必要なんだろうか。
 それは、自分だけでは、自分の中に芽生えた可哀想とか良心とか、そういうものと向き合う自信が
 無いからなんじゃないだろうか。
 そうしてなにか理由に頼りたい、助けて貰いたいという、立派な人間の欲望が、その目の前の雛を見殺
 しにする理由を創っているのじゃないだろうか。
 その欲望に身を委ねた、自分こそがその雛を殺している。
 自分が此処にいて、雛が其処にいる、その時点でもう、すべての責任は自分に委ねられている。
 だから勿論、見殺しにするもしないも、それは自分で選ぶことなのだと思うし、そのどちらの選択の
 価値も等価だと思う。
 善悪なんか無いし、仮に善悪があるとしたら、それは善悪という理由に頼りたい自分が此処にいると
 いうだけの話。
 
 自分で責任を持って育てる覚悟が無いから雛を拾わないのも、それが自然の掟だから拾わないのも、
 そしてただ面倒だから拾わないというのも、それは全く同じ、ということだ。
 
 たとえ自分が色々と理由を付けてその創ったそれぞれの真実に身を浸そうとも、目の前の雛にとっては
 等しく自分が見殺しにされたということには変わりない。
 どんな綺麗事を言おうと誠意を見せようと、それはすべて保身にしかすぎない。
 可哀想と思うだけじゃ、雛を救うことは出来ない。
 そして同時に、可哀想と思うだけじゃ雛を救うことは出来ないというだけでも、雛を救うことは出来ない。
 
 
 だから、拾った。
 理由なんか、いらなかった。
 
 
 そして今に至る。
 拾ってしまったあとで、延々と理由を考えている。
 気紛れで拾ってしまってよかったんだろうかと、自分の見えざるなにかに問い掛けていた。
 誰も答えてはくれないから、その誰かを創ろうと躍起になっていた。
 そしてその誰かは、あっさりと酒を飲みながら、大いに巫山戯てこう言った。
 気紛れで拾っていい訳無いだろが。これだからお前はマッチ棒なんだ。この棒。
 ああ、そうだな先生。
 でも拾ってしまったんだ、今更元に戻すことなんて出来ないし、出会ってしまった以上、俺には見殺しに
 することなんて出来なかったんだ。
 だったらなぜ私に訊く。答えのわかっていることを訊くんじゃないわ。私は忙しいのだ。
 とその隣の誰かは、ぬくぬくとまだ見えない卵の中の雛を暖め、舌なめずりも鮮やかに嘯いた。
 言っとくけどな先生。 雛は美味いかもしれないとは言ったけど、誰も喰っていいとは言って無いからな。
 にゃ、にゃにーっ!! 詐欺だ! それは詐欺だ! この夏目! 嘘吐き! グレてやるーっ!!
 おい先生、俺は喰っていいとは言っていないと言っただけで、先生がそれでも喰おうとするのを止める
 とはまだ言ってないぞ。
 ふん、その手には乗るか。 止めないとも言ってないと言うつもりだろ、この詐欺師! 卵詐欺!
 
 だから、どうするかは先生次第ってことなんだろ? 先生。
 
 俺が先生だったら、たぶんやっぱり雛を喰ったりはしないだろう。
 というより、雛を喰おうとするのは妖としてのただの面子であって、それを示すのは当然のことにしか過ぎ
 ない。
 でも自分がその妖であることと自分が自分であることは別の話でもあって、だから自分が自分である
 ままに、ただ妖である自分の気持ちも満たした上で、本当に自分がやりたいことをやるだろうな。
 だったら俺は、先生が雛を喰うと言う面子を潰してはいけないし、先生が生まれてきた雛の顔をみたい
 という本音を素直に発揮するためには、やっぱり妖としての先生も俺には必要なんだ。
 雛を育てるために必要なことを、だから俺はするだけだし、理由の助けが必要なら、やっぱり俺はいく
 らでもそれを綴っていくのだろう。
 
 
 そして、雛が生まれた。
 先生によれば、それは辰未という妖の雛らしい。
 先生はそれに、タマちゃんと名前をつけた。
 散々生まれる前に、どんな名前を付けようかと思っていたのに、その責任を先生が勝手に持っていって
 しまった。
 でも・・・
 タマは、可愛かった。
 可愛いだけじゃ、そう思うだけでは駄目な気がしていた。
 辰未は人間とは違う。
 辰未は、元来子育てをせずに卵は産みっぱなし、そして孵った雛は最初に見た生物の姿になるらしい。
 辰未は、人間とは違う。
 それはどこか、不安と共に安心を与えてもいた。
 なのに、目の前のタマがどことなく俺に似ている、小さな人間の姿をしていることで、その安心の炎は
 冷たく吹き消されてしまった。
 なんだろう、この感覚。
 なんだかとても、目の前の小さな子のことが、わかってしまう気がした。
 いや。
 わからなくてはいけない気がした。
 人間とは違う妖なら、それはわからないのは当然で、だからわかっていく努力をすれば良いという、
 その人間と妖の差異に、そのわからなさの理由をみつけそれに頼る気がしていたのに、それが俺に
 似ている、同じ人間の子の姿をしていることで、わかって当然ということになり、だからもはや努力する
 しないの問題では無く、ただわかっているという前提ですべてを完璧にこなさなくてはいけないという、
 そんな強迫的観念に襲われた。
 それが、それはただ人間の姿をしているだけで、中身は妖なんだという理屈で誤魔化すことは、
 なんだかとても躊躇われ、そしてその理屈を採用したいと思っている自分に、ひどく違和感を覚えさせた。
 この子は、俺が育てるんだ。
 自分と同じだろうが違かろうが、それはこの子とは関係無い。
 
 この子は、この子なんだ。
 
 強迫に襲われるだけも、ただ努力するだけも、それはこの子には関係無い。
 それは全部、俺の問題だ。
 わかるとかわからないとか、そんなことに頭を悩ませ、そしてこの子を育てる理由だとか、拾ってはいけな
 かった理由だとか、それらに頼ることしか考えていない、自分の勿体無さに気が付いた。
 そう、勿体ないんだな、先生。
 頼るんなら、目の前のこの子の、この溢れんばかりの可愛さにこそなんだろう。
 可愛かった。 守ってあげたかった。 わかってあげたかった。
 いや、違うな。
 可愛い、守りたい、わかりたい。
 守れる、わかれる、この子のことを、俺は。
 色々なことが、わからないまま、わかっていった。
 自分とは違うということがわからないまま、どんどんと違う自分が目の前で育っていった。
 俺はお前を見つめながら、ずっとお前と生きていた。
 だから、俺とお前の、姿だけでは無い、同じところも沢山沢山、見つけていった。
 いや、俺と同じところはきっと、お前が俺から学んで、お前らしく獲得していったものなんだろう。
 俺と生きるために、俺と向き合うために、俺とわかり合うために。
 小さく、胸が締め付けられた。
 
 『初めて見た人に、愛されようと・・・』
 
 タマの小さな体の分だけ、胸が熱くなった。
 そしてそれは、日々少しずつ大きく育っていくタマと並んで、少しずつ高まっていった。
 そしてその熱の中心が、冷たく、氷のように淡く、積もっていた。
 悲しかった。
 どうしようもなく、胸に穴が空くほどに、悲しかった。
 生まれてくるって・・なんなんだろうな・・
 こんなに嬉しいのに、こんなに必死なのに・・・・
 わかるわからないを越えて、差異さえも乗り越えて、それなのに・・
 それなのに、どうして俺達は、ひとりなんだろう。
 目の前の瀕死の雛を拾わない理由に、身を委ねたいと思う気持ちがわかる。
 駄目なんだ、俺達は・・・ひとりを感じることが・・・
 悲しくて・・・悲しくて・・・・だから・・・・独りを選ぶ・・
 だれかと一緒にいると、その人を愛せば愛するほどに、自分がひとりであることが悲しくなってしまう。
 こんなにわかって欲しいのに、こんなに愛して欲しいのに・・・
 それなのにわかって貰えない愛して貰えない、ということ自体が悲しい訳じゃ無い。
 わかって貰おうと愛して貰おうと必死に生きる、そんな自分の存在自体が悲しいんだ。
 そうしなくてはいけない、この世界そのものが、その手触りの無い世界に手触りを創っていかなくては
 いけない、その絶望的な悲しみが、寂しさが、胸を壊す。
 その儚さが、眼前のタマの姿を、鮮明に薄れさせてしまう。
 
 絶対のものがない、この虚ろの冬空の、この一瞬の時間が、俺を悲しみに捉えて放さないんだ。
 
 虚しさに耐え、独り強く生きていく。
 優しくて、愛し慈しんでくれるけれど、偽りの家族がある。
 塔子さん達のことは好きだし、感謝しているけれど・・・・
 どうしてだろう・・・・・どうして・・・こんなに拘っているんだろう・・・・・
 タマ・・・・
 俺には・・・実の親がいないんだ
 子供の頃から親戚中をたらい回しにされ、辿り着いたのが、この藤原夫妻の家なんだ。
 ああ・・・お前と同じだ
 塔子さん達に気に入られようとか、上手く利用してやろうとか、そんなことは考えたことが無かった。
 塔子さん達のために頑張り、心配させないように、塔子さん達が好きだったから俺はただ・・・
  実の親では無いというその事実に、ひどく、支配されていた。
 実の親では無いから割り切って利用してやれとは思わなくても、実の親では無いから遠慮してただただ
 育ててくれる恩に報いようとは思っていた。
 どちらも結局、実の親では無いということが強く念頭にあるからこそ、なんだ。
 そしてだからこそ、本当の親と思って、ちゃんと実の子らしく、自分のことをわかって貰おうと、愛して貰おう
 と少しずつ思い始めていたんだが・・・・・
 それも要は結局、実の親かどうかという意識から始まったがゆえのことなんだ。
 
 
 だからたぶん俺は。
 塔子さん達の顔を、ちゃんと見ていないんだ。
 わかって貰おう、愛して貰おうと必死になっている、お前のその姿を見て、深く、気づいたんだ。
 
 
 俺は、お前の親にはなれない。
 だって。
 タマ。
 
 俺はもう、お前の親なんだから。
 俺がお前を見つけた時点で、俺はお前の親なんだ。
 
 わかって貰おう愛して貰おうと必死になっている、そのタマの存在を悲しく感じてしまう。
 安心を求めているんだ。
 安心出来ていないんだ。
 だから俺はお前に安心させる親に・・・・・・親に・・・・・・・
 そう・・・・
 そういう親になりたいと考えている俺は・・・・ただ・・・
 その悲しさに、囚われているんだ。
 だから。
 タマの顔が、薄れていく。
 タマの顔が、見えなくなっていく。
 タマは・・・タマは・・・俺が悲しくなろうがどうなろうが・・・こんなに一生懸命に・・・・・・
 
 
 
 自分で創った、紙で出来た小さな巣に、俺に一緒に入ってみてと、楽しそうに誘うお前の姿をみて・・・・
 俺は。
 自分がひどく大きく間違っていることに、初めて、気づいた。
 
 
 
 
タマが
俺の袖を引く
きて きて
つくったよ
おっきいの つくったよ
はいって はいって
いっしょに はいって
がんばったよ
みて
きれいでしょ
あったかいよ
 
おうち つくったよ
 
俺は悲しさを隠して
そっとその子の頬を撫でてやる
不思議そうな顔をしてその子はずっと俺の顔をみている
俺はその小さな巣の中には、入れないんだ
ごめんな
 
一瞬
タマの笑顔が悲しい色に染まったような気がした
笑っているのに ただ不思議そうに
俺の言葉をきいているだけなのに
それなのに
俺は
 
いつまで
悲しさに囚われているんだろう
 
 

こんなに必死に頑張れる

 

大切な

愛しい

 
我が子が、目の前にいるというのに。
 
 
 
 
 
 
 
 俺が、俺こそが、あの子と入れる巣を作りたいと、そう思った。
 なんだかとても馬鹿馬鹿しくなった。
 なにもかも、一体俺は今までなにを・・・
 安心が無い虚ろな世界なら、安心を創ればいいだけの話。
 安心を創るということ自体が、絶対の安心が其処に存在しないという悲しみを生み出すというのなら、
 その悲しさを感じないほどに、安心していけばいい。
 タマが、いる。
 塔子さん達がいる。
 一緒に、暮らしたい。
 たとえ離ればなれになっても、もう、出会ってしまったんだ。
 縁が結ばれたんだ。
 目を背けることなんて、したくない。
 虚しさから悲しさから逃れるために、人を想う心の安息を、愛しい気持ちで創るその暖かい巣を、
 捨てたり、壊したりなんか、したくない。
 それが苦しみというのなら、構わない。
 俺は、愛という苦しみになら、染まりたい。
 それを捨てれば、悲しみも虚しさも関係の無い世界へ行けるというのなら、俺は悲しみや虚しさを
 胸に抱き締めてでも、愛を、誰かとの暖かい生活を求めていくよ。
 
 
 悲しみの無い世界なんて、歩く価値も意味も無い。
 
 
 だから。
 俺達は、悲しみに逃げてまでも、必死にこの世界に留まって生きていこうとしてるんだ。
 雛は、それを育てる覚悟が出来ないから、そのまま見殺しにしてしまっても、良いんだ。
 悲しくて、悲しむのが怖いから、独りを求めてしまうのは、きっとどこかで悲しみを越えて共に歩ける、
 そんな誰かの、その絶対の存在があることを、心のどこかで信じているからなんだ。
 誰も・・・諦めてなんかいない・・・・・みんな・・・・・・みんな・・・・・頑張ってるんだ・・・
 悲劇を求めるのは、それでも笑える未来を信じているから。
 世を厭うのは、世を求めているから。
 だから、世を求めるのを捨てれば、世を厭う必要も無くなる?
 じゃあ俺は、世を厭うよ。
 世界を呪うよ。
 厭い続ければ、呪い続ければ、それでずっと俺がこの世界に居続けることが出来るのなら。
 この世界に居る限り、俺は、世界を、誰かを求めることを諦めずに済むんだから。
 誰かを求めるために、誰かを呪うよ。
 愛も憎しみも、だから等価で、捨てる必要なんかどこにも無いんだ。
 そしてたぶん、捨てたって、俺達が、目の前の誰かと出会うことが無くなったりすることは無い。
 生きながらに死んでいようと、俗気を祓おうと、同じことなんだ。
 俺は此処にいる。
 タマが、塔子さんが其処にいる。
 
 
 それだけで、生きたいと、思えた。
 
 
 
 
 なーにを抹香臭いことを言ってるんだ、この白アスパラ。
 なんだよ先生、いたのか。
 あの卵を孵したのは私のようなものだろうが、お前なんぞただ卵を拾っただけなくせに、なにをムキに
 なっているのかと言っている。
 そっちこそなに言ってんだ。 タマって名前勝手につけた上に、独り占めする気か?
 あの子の服作ったのは俺だし、食べ物だって俺が用意したし、第一先生に餌やってるのは俺だろ。
 ふん、屁理屈好きの夏目のくせに語るに落ちよったな。
 居候のお前がそんなこと言ってもなんの説得力も無いわ。 お前が調達したものは全部あの人間達が
 稼いで作ったものだろうが。 それと餌言うな、用心棒代と言え、この無礼者め。
 ・・・・・・。
 お前が、此処に居るだけで満足しているというのなら、居るための恩返しとしてあの人間達になにかする
 だけというのなら、それこそ文字通り居候にしか過ぎん。
 ・・・・・・。
 夏目よ、お前。
 
 いつまで、この世界の中で客気分に浸っている気だ?
 
 そう、丸い尻尾をタマに噛み付かれながら、先生は言った。
 先生は確かに既に、タマの親だった。
 俺はそして、タマの親という自覚がまだ薄かった。
 俺は・・・・藤原夫妻の・・・・・息子になんて・・・・・
 でも、形は関係無いんだな、先生。
 たとえ、藤原夫妻の実の子では無いと割り切って、あの人達を独りで生活するための準備に利用する
 という意識でやっても、それはそれで主体的に生きていると言えるんだ。
 恩があるから実の子では無いから、なにかしたりしなかったりするのは全部、恩と実の子では無いという
 事実のせいにしているだけとも言える。
 そう・・・タマだって・・・・
 ああ・・そうだ先生・・・・
 幸か不幸か・・・・・
 いや。
 幸せなことに。
 タマは、俺に似てるんだ。
 俺と、同じなんだ。
 だから、言う。
 人間と辰未という種の違いを笑い、正々堂々と、俺はタマの親であるんだと。
 タマは、俺の子だ。
 先生にだって負けないぞ。
 だから先生と、一緒に育ててきた。
 競い合うように、タマへの想いを見せたり隠したりしながら。
 タマが呼んでいる。
 一斉に、ふたつの大きな顔が、その小さな子に向けられる。
 ああ
 
 
 ちっとも悲しくなんか、ないじゃないか
 
 
 タマの本当の親が現れようと、卵を横取りしたという罪悪感に苛まれようと。
 それでも、目の前のタマの悲しみと繋がろうとするたびに、どんどんと俺の悲しみはその姿を顕して
 いった。
 恐ろしい。
 嫌だ。
 だけど、目の前に顕れた悲しみは、悲しくは無かった。
 向き合い、取っ組み合い、その対象として見つめているからだろう。
 悲しみと、戦った。
 タマの中の悲しみを見つけた。 見つけたぞ。
 俺と同じく悲しみを持っていることはわかっていたけど、それは俺とは違う悲しみだった。
 悲しみは、決してひとつじゃないんだ。
 悲しみという言葉がなにかを顕すことは無く、その一言はただわからないという事に囚われていることと
 同じなんだ。
 悲しみには、種類がある。
 だから、ひとつひとつ、わかるために、戦うために、克服するためにこそ、悲しみはある。
 
 『お前、ひょっとして大きくなりたくないのか?』
 
 俺がお前のために創った大きな巣に合わせようと、必死に頑張る自分が悲しいのか。
 それだけ、俺とただそのまま一緒にいたかったのか。
 だけど大きな巣に入らないと一緒にはいられないと思ったから、頑張らずにはいられなかったのか。
 そしてお前は、なにもしなくても育って大きくなってしまうんだな。
 それが、怖かったのか。
 悲しかったんだな、そのままの小さい自分を受け入れてくれる可能性がどんどん減っていくことが。
 なのに。
 それでも、俺と一緒にいたかったんだな。
 悲しかったろうな。
 辛かったろうな。
 だけど。
 だけどお前はそれ以上に・・・
 自然に大きくなっていく、辰未として当たり前のお前を生きたかったんだよな。
 
 実の親のいない、初めて見た者の真似をして生きるしか無い、愛するしかわかるしか、
 愛して貰うことしかわかって貰うことしか無い、そんな悲しいお前が。
 
 それが、この世界に幸せに生きているということだと、一緒に思ってくれる人が、欲しかったんだな。
 
 
 

『もっと一緒にいたいって、そう思ってくれたのか?』

 
 
 
 そのまま育ち、そのまま生きる。
 俺に育てられ、俺に守られ、巣立ちの日のその日までを、健全にただ生きたかったんだな。
 間違っていることなど、初めからなにひとつ無かったんだ。
 悲しみも虚しさも理由も罪悪感も、それは全部、そのただただすべてが絶対に当たり前のことであると
 いう、なにもかもがそのまま正しいという、その幸せに戸惑っていたがゆえに抱いた幻想なんだ。
 だから、タマ。
 ひとつひとつ、向き合おう。
 
 
 『かえろう、タマ。』
 
 『かえろう。』
 
 
 この世界へ。
 この圧倒的に広くて深い、幸せな世界へ。
 
 
 
 
 
 
 + + + +
 
 
 『聞いてくれ、タマ。』
 
 『俺も本当の親のことは知らないんだ。。
  ずっと、ひとりだったんだ。
  そのことは、変かもしれないけど、あんまり寂しくなかった気がする。』
  
 
 
 『でも、とても悲しかったんだ。』
 
 
 
 『それが、この町に来て、色んな人達に出会って、もう、あんまり悲しくなくなったんだ。』
 
 『君もそうならいいな。』
 
 
 俺とお前は、もう出会った。
 この冬空の下で。
 だからたとえ実の親子で無くても、俺とお前は、同じ空の下で生きているんだ。
 またいつでも来い。
 来なくても、来れなくても、俺はお前と繋がっているさ。
 たとえ同じ巣の中に入れなくても、この巣の中になにがあるのか、俺にはもうわかる。
 見なくても、見えなくても、俺には、視えるんだ。
 
 
 『中身はやっぱり空だったけれど、その底に残っているものを僕は・・・知っている気がした』
 
 
 
 『ひとりを知り、愛されようと藻掻いていた君の悲しみを、
  ほんの少しでも晴らしてやれたかな。』 
 
 
 
 
 
 
 
 ああ、月が綺麗だな、先生。
 
 うむ、酒を飲むには丁度良い塩梅だな。 ういー、ひっく。
 
 先生。
 
 ん? なんだ?
 
 あの鼠、もしかして、辰未の雛を拾って育てたことがあるんじゃないか?
 
 かもしれんな。 まぁ、今度卵を見つけたら、次こそ絶対喰ってやるがな。
 
 たぶん、美味いんだろうな。
 
 さぁな。
 
 
 
 
 
 そうしていつまでも、タマの去った月の下で、暖かく夜の続きを見つめていた。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
                             ◆ 『』内文章、アニメ『続夏目友人帳』より引用 ◆
 
 
 

 

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                                   ■■ 鼻血関係 ■■

     
 
 
 
 
 殴り込みじゃあ! (挨拶)
 
 
 改めまして、ごきげんよう、紅い瞳です。
 しばらく暖かかったので調子に乗って春物を出してしまおうかというその手を引っ込めるほどに、
 すっかり寒さも厳しくなって参りました今日この頃、皆様如何お過ごしでしょうか。
 私は、書いてます。 (かきかき)
 
 書きも書いたり、という感じで、なんかここのところほんと日記書きっぱなしです。
 毎日なんかしら書いてます。
 ついこの間までは週一回書くだけでもひぃひぃ言っていたのに、どうなっちゃってんの、というくらいの
 稼働っぷりと情熱っぷりです。
 というか、集中力がすんごいことになってます。
 うん。
 通常ですね、一回分の日記を書く所要時間は、昨年はだいたい4時間から5時間はかかっていて、
 それを2・3日かけてだらだらやっていました、それを、週一か週二のペースで。
 ですが、それ以前の、週三更新をやっていた当初の頃は、実は一回分は2時間からかかっても3時間
 というところで、それを1日で基本仕上げていたのです。
 今はさすがに1日では無理なので、2日はかけてやっているのですけれど、所要時間自体は往年の
 スピードを取り戻してきた感があるのです。
 そもそも、一日に2時間なら今も取れますし、書ききれなかったことは二日目に回して仕上げとします
 から、実際一日当たりの執筆時間はもっと短い。
 それは、集中力が上がっているから。
 昨年はなんか全然集中していなくて、他のこととかもやりながらで、時間ばかりかかっていましたし、
 他にやる事があるとそっちに頭がいってしまったりとか、そういう意味ではぐだぐだでした。
 それがなんだか知らないけれど、週三更新になったら引き締まってきて、こんな案配に。
 やっぱ他のことやりながらだと駄目ですね、私は。
 という感じで、今は結構メリハリ付けてやっていたりします。
 
 んで、こんな説明していると、また分量があれになって時間もヤバヤバなことになりますので、本題。
 ていうか、思ったら昨年も結局だらだらほとんど毎日書いてますねこれ、でも毎日書いてる感覚無かった
 なぁ、じゃあ今はなんでそう感じるかというと、充実しているからです。 たぶん。 (なにこのやっつけ)
 
 
 
 
 ◆
 
 さて、今日は手短さを売りにして、アニメの話をします。
 他の話をするくらいなら、今はアニメです。
 はやくアニメしろ。
 はい。
 んでは、ざっくばらんに、適当にいきまっしょい。
 
 まずマリみて。
 やーマリみていいですね、マリみて4。
 表情での語りが群を抜いていて、なんかもうぽろぽろと心が震えちゃいます。
 特に目の表現に力強さが出てて、まさに目で語るということが成立してる。
 なんかドキドキする。 (ぉ)
 その分というか、逆にやや声の方に幅が無い気がするというか、むしろ「普通」にやっているからこそ、
 その目の迫力が際立っているのかも。
 それにしても・・・・・なんか私・・ほとんどのキャラの声優がわかっちゃったなぁ・・・
 ていうか、なにげにマリみてってオールスターなのね。
 5年前のあのキャラはこの人かとか、もう大体他の役とか思い浮かぶもんね。
 時間が経つのは早いもんですなぁ・・・・(声優で感じる年月 笑)
 あーあと、なんかキャラが可愛い。
 てか、ほっそい。 あれ、こんな感じだったっけ? マリみて娘って。
 萌えっつーか、普通に可愛いって感じだし、聖様とか蓉子様は素でカッコ良かったですし、あと、なんか
 瞳子と乃梨子が雰囲気的に大人なった?
 そうそれ、それが一番気になった。
 第三期で一体なにがあったの、っていうか一体どれだけOVAで作品的時間が流れたのって感じよ。
 瞳子なんて、第二期のときはがきんちょ(ぉぃ)だったのに、なんか今じゃ普通に祐巳さんのが子供
 っぽくなっちゃってるし、まぁ二年生組のだらけ状態気分はなんかわかるんですけど(ぉ)、不自然とは
 言わないけど、なんかちょっとびっくり。
 
 感想書くときも、その辺りの自分との調整がなかなか上手くいかなかったりして、結構書いてると
 自分の中の瞳子ギア(?)が勝手に変わっちゃったりとかして、なかなかむずい。
 というか、私の場合、普通に瞳子は今のあの瞳子であって、それと普通に初対面ですよーみたいな
 感じで素直に書いちゃうんだけど、普通に過去の瞳子がオーバーラップしてきてダイビングヘッドしに
 来ちゃったりとかする訳で、まぁ、なんか、混濁。 (落ち着け)
 で、慌てて乃梨子が止めに入る訳なんですけど、あれ?、乃梨子って瞳子のことあんた呼ばわりして
 良かったんだよね、結構男の子っぽいっていうか中性的な感じな喋りだったよねとか、そういう設定的
 なところで引っ掛かって、瞳子ノーマーク。 誰か! 誰かそのドリルを止めてーっ!
 
 あと、可南子の火星説噴いた。
 
 それと令様の軽んじられぶりにウケた。
 「ヘタ令は黙ってて。」「由乃ぉ〜」的Web漫画ノリの方がまだ愛情が感じられるのに、由乃さんときたら
 普通に騙してよしみたいなノリで、ああ、この人はすごいなって、改めておもいました、まる。
 そしてその由乃さんをたった1シーンで踊らせた江利子様の元凶ぶりも健在のようで、なによりです。
 あと、祥子様と祐巳さんのデジャブネタはまぁネタ的には嬉しい止まりでしたけど、そんなことよりも、
 
 なんで、祥子様が「合コン」なんて言葉をご存じなのか、どなたか私に教えて差し上げて。
 
 結構リリアンっ子て、言葉遣い自体は乱暴じゃないけど、単語的に俗っぽいとこ多いから、ほんとに
 ここお嬢様学校なのみたいな感じはあるけど、実際こういうもんよという話をしているようでもあり、
 その辺りがイメージ先行の第二期までとは違うのかも云々、というのは置いといて。
 
 マリみて万歳。
 
 笑いあり感動あり(なんの感動だ)で、なんだかとってもマリみてファン的には嬉しい盛りで御座います。
 勿論真面目な方の感動(ぉぃ)もありで、感想ももりもりと書けそうで、現在マリみて熱が急上昇
 なので、どうぞがしがしと角突き合って、じゃなくてお付き合い頂ければ幸いです。
 やっぱあれですね、マリみてのポイントは「ふたり」ですね。
 なんか今年の紅い瞳のキーはそれだね、それ。
 
 
 あー、続夏目もそんな感じでいってたんで、その辺りよろしく。
 てか、夏目友人帳も使い勝手の良いキャラの揃い踏みで、考え甲斐があるよなぁ。
 うん、なんかマリみてと夏目の組み合わせって、とっても良い感じがしてきた。
 感覚っつーか雰囲気っつーか感触っつーか、なんかそういう私の新しい感じを新しく感じ出すことが出来
 たらいいな、やっぱり。
 理屈だだ漏れしてるだけじゃまだまだじゃしの。
 こっからが、本番。
 
 
 
 ◆
 
 全然手短じゃねー。
 ということで、説得力がさらに一段下がったところで、再度手短宣言。
 今期アニメのOP・ED選手権ー。 ネーミングセンスが無い以前にやる気ないぞー。
 うん。
 基本は、続夏目友人帳のOPとEDですね。これは絶対外せない。
 作品との繋がり、いいえ、まさに作品そのものの結実の表れとして、特にEDの方なんて、涙が自然に
 溢れてきちゃいますもん、本編終わってそのままあの雪中で、もう、陥落。
 でだから、これは別格。
 んじゃーあとはどうすんのって言ったら、うん、OPは、まりあ†ほりっくで一択。
 圧倒的ですね、つーか圧倒されて泡吹いて倒れて、倒れたまんま親指立ててグッジョブ、とか遺言し
 てそのまま死んでしまいたいくらいの、それくらいの勢いがあって、私は大好きだな、あれ。
 で、EDは、マリア様がみてる4thシーズンで鼻血。 これは効く。 (なに)
 ああいうのを反則というのだよ、ワト○ン君。
 ほんとうにありがとうございます。 (涙を浮かべながら)
 あとは、みなみけおかえりのOPとEDが、とってもその作品らしいという意味で好ポイントでしたねEDの
 夏奈も可愛かったしね。
 それとGenjiのOPにパフィーを持ってくる発想と、作品との変則的な適合ぶりがイケてました。
 そういう感じで、選手権は幕を閉じました。 閉幕。
 
 次。
 
 今期アニメ視聴リストをUp。 決定版。
 
 
 月: (ソウルイーター)・続夏目
 火: まりほり
 水: (とらドラ)・マリみて4
 木: (銀魂)・Genji・黒神
 金: (黒執事)・(サンレッド)
 土: (地獄少女三鼎)・(とある魔術)・屍姫玄
 日: (ダブルオー2)・みなみけ3
 
                              :全15作品 ()付きは前期以前よりの継続作
 
 
 前回のリストに黒神が加入したのみで、特に変動は無し。
 今期はこれでいきますので、よしなに。
 
 
 
 ◆
 
 んで、ラスト2つ。
 みなみけおかえりとまりほりね。
 まずはみなみけ。 第3話?
 んーとね、なんていうか、南家に全員集合してお茶の間してる、みたいな感じが出てきてるね。
 普段着全開っていうか、だんだんと春香がダレてきてるのが良くわかるし、なんかいい感じになぁなぁに
 なってきてるよね。
 冬馬の方の南家とも今回は直で繋がったし、いちいちのネタ自体よりも、そういう構造的なところを
 固めてきてますな。
 いい感じ、いい感じ。
 安定してる、っていう褒め言葉が良いね、これは。
 『春香が食えって言ってんだから、食えよ。』 by夏奈
 長子の春香が頂点という、どんなにボケとツッコミが絡まっても春香の鶴の一声(とその予感)ですべて
 が決定される、つか印籠的に夏奈が押し戴いている感じがある、この「南家システム」の面白さ。
 そして春香もそれに載って、それっぽくその場で番長ぶってみせたり、普通に貫禄あったりする。
 そのシステムの中で動くコント、というのが、このみなみけという作品のひとつ面白いところですね。
 そして今回は、夏奈がリンゴネタで、その春香も千秋もいないという、ホラーw的な展開で内田をイジリ
 倒したりと応用技もヒット。
 そして冬馬を巻き込んで、もう一方の南家にまで波及して、冬馬に落とす、と。
 そして懲りずにまた来た冬馬と千秋を相手に、夏奈がまた春香不在を利用してやりたい放題。
 春香はもう一方の南家との長子的番長的対応で、形としては繋がってる、というか思い切り夏奈の
 やりたい放題の主因に。
 とまぁ自分でもなにを言ってるのかわからなくなってきましたけど、今回は春香を上手く使った夏奈メイン
 のお話として面白かったです。
 これでもうちょいこれまでの千秋の威力も混ぜてあれば、もっと面白かったと思うので、今回は90点、
 というところかな。
 しっかしあれですね、やっぱり第一期と違い、夏奈は周りとの連携プレー主体で攻めてくるようになって
 きてますね。
 イジりがメインにもなってるし、センスも良いし、うん、第三期はともかくこれを極めていって欲しいです。
 狙え、アシスト王! 目指せ南家の黒幕! (ぉ)
 で、次回は「あるべき秩序」ですって。春香のアイアンクローフロムキッチン対面式ですって。
 感想的に、はやまった! (笑)
 
 
 次、まりほり。第3話。
 
 ・・・・。
 ひぃwひぃwwお腹www痛いwww
 駄目だこれ笑いどころが多すぎてツッコミし切れないwwwむりむりむりww
 鞠也と茉莉花さんの出番はほぼ最初と最後だけで、つか茉莉花さんの「いえその場凌ぎの出任せで
 す、蛆虫」とかその有効打ぶりは健在でしたけどwwぷぎゃは受けたけどww、基本今回はかなこの大
 暴走が大全開。
 うん、キーはかなこの「理屈の小ささ」。
 必死に考えてるんだけど、どんどん枝葉の方にぶっ飛んでって、あっさりと訳がわからなくなったり自分の
 好み100%の話題に乗り移って納得したりとか、かなこさんの話の逸れっぷりが半端無い。
 ほんとこの子鞠也のイジりがあろうと無かろうと関係無ぇwww冒頭で目一杯鞠也にイジられてはいたけ
 どそれに×100してるくらいの加速度がたまんないwww
 そしてほんとに海産物なんですねwww煮凝り机に詰めるってどんな発想よwwwww
 しかもかなこ食してるしwww当たり前のように食べてまたアホな推理してるしwww
 でまぁお話としては、散々っぱらおばあさまの大事な形見でおまけにめっちゃ高いと言われた上で、
 無理矢理借りさせられた鞠也のロザリオを、隆顕親衛隊に捨てられて(実際にはダミー)、必死こいて
 (主に金銭面的に)探すかなこさんの苦闘っていうかあれっぷりがあった訳ですけど。
 まぁ、せんごひゃくまんえんってなんびゃくまんえんですかいのぅな人が、それが理由で狼狽えるのは建前
 で、本音は鞠也の祖母の大事な形見を無くしてしまったということだったりとか、普通に説得力が無いの
 だけど、でもそれは逆に値段の高さに振り回されていることが事実であることを証した上で、同時にそれ
 とちゃんと並行して罪悪感もあるということも証していて、なかなか良い感じが出てました。
 うん、ギャグとシリアスってそういうもんよね、普通。
 罪悪感しか無いとか言ってる方が逆に嘘っぽいしね。
 まぁそれはいいや、別にどうでも。
 ・・・・。
 というかそれって、全部繋がってんのよねぇ、百合に鼻血出して悶えるのも百合に背徳感感じて身悶え
 するのもさ、だから笑いになるっていうか、どっちが建前とか本音とかじゃなくて、建前と本音がぜんぶ
 くっついて繋がってるからこそほんとな訳で、どっちかひとつでしか無い言うのはなんか「説明」っぽいしね。
 鼻血出してるだけじゃ面白くないし、百合は駄目だ百合は駄目だとか責めてるだけなんてもっとつまん
 ないし、かなこみたく百合とかレズとか言うなぁと鞠也に喰ってかかる舌の根が乾く前に鼻血出してるし、
 鼻血出しながらやばいやばいやばいとか思って身繕いするし、鼻血乾く前に鼻血だし。
 そして果てには、
 『美少女達に囲まれた薔薇色の学園生活を想像してそれどころじゃなかったっていうか、あ、ひょっとして
  この場合百合色のと言うべき?、私今上手いこと言った?、あぁ、自分で百合なんて言っちゃって、
  違うの、そうじゃなくて私はあくまで純粋な(以下鞠也のツッコミで削除)」 by嬉しそうに語る百合女
 とまぁ、こんな普通に背徳感自体を被虐趣味で愉しんじゃったりもする訳ですね、あ、だから第三話
 のタイトルが「被虐の若芽」なのですね、わかります。
 まぁ、うん、
 
 渾然一体。 っつーか、そのふたつは元々同じもんじゃなくね?
 
 『安心して。宮前さんは私と付き合うことになったから。』 by桐ちゃん
 『んにゃにおうぅー!?』 by宮前かなこさん
 
 駄目だこいつwww普通に受け入れてるしwwwどう考えてもただ庇ってくれただけなのに自分の都合
 の良いように解釈したwwwwシリアスもなにも無いwwww
 って隆顕様きたwwww初めから間違ってる三角関係発生wwwていうかこの先輩も暴走してるwww
 いいねぇ隆顕先輩この人も演技してる訳じゃ無いけど、演技がかってそれに自ら引きずられるタイプ
 だから、かなこと非常に近いですよねぇ、なんかこのふたりが組んだら暴走天国発生しそうだww
 桐さんは隆顕親衛隊から目を逸らさせるために、敢えてかなこの毒牙の前に身を差し出したのに(本人
 は身の危険があることは知らないけどwww)、そこで隆顕様が来てかなこくんを守るとか言っちゃったら、
 桐ちゃんの行為水の泡、てかたぶんこれ水の泡防ぐために桐さんかなこへの(偽装)アタック開始する
 気なんじゃないの?、これかなこウハウハじゃね?、絶対鼻血展開じゃねこれwwww
 しかも鞠也きたwwww一応今回の件の9割方の元凶きたwwww残り一割はかなこの自爆(無自覚)
 のせいなんだけどかなこはそれを×100にしてるから実質100%以上かなこのせいな気がするけどwww
 第一冒頭で鞠也は値段なんてどうでもいい形見だからこそそんな大切なものを預けられてそわそわおた
 おたするお前の姿が見たいんだって本人の前でイジり宣言してますからwwwそんな言われ方して持って
 いけるもんですかと言っときながら私だとおもって可愛がってくださいねと美少女モードで言われて鼻血
 吹きながら持ってった奴以外に原因なんて無いwwwwww
 そしてふえちゃうワカメがこんな伏線展開を!
 も う わ け わ か ん ねwwww渾然すぎるwwww
 わかめ怪人wwwwなんで伏線とリンクしてんのwwwてか伏線の意味がわからないwwwあ、タイト
 ルの「若芽」ってこれのことでもあったのねwww
 まぁ、うん、ここは勿論かなこさんを見習います。
 『前略天国のお母さん。なんなのでしょうかこの怒濤の展開は。
  頭が混乱してどう反応していいやらかわかりません。
 
  ゆえに、ひとまず逃げる方向で。』
 
 さすがはかなこ先生www絶対に逃げ切れませんけどねwwww鼻血だしwwwwかなこ万歳www
 
 
 あと今更ですけど、OPってかなこど真ん中を歌ってたんですね。
 映像の鞠也ばっか見て歌詞全然聴いてなかったから、わかんなかった。
 でも全然違和感無い、ていうかさらに気に入った。
 
 
 
 P.S:
 『蹴鞠の会で、念願の中大兄皇子フラグ成立。
  請安塾期待のツートップで、蘇我入鹿をフルボッコ。』 byおまけ
 
 これ考えた人は天才だと思いました。
 笑い過ぎは寿命を縮めます。(胸を押さえながら)
 
 
 
 以上、お疲れ様でした。 はぁほんと疲れた。(笑いすぎ)
 
 
 
 
 
 
 追記:
 常盤邪魔とか、普通に思ってる私はそろそろやばいかもしれません。
 大河ドラマ「天地人」のお話です。
 
 
 
 
 
 
 もうひとつ追記:
 
 恋姫†無双」 2009 coming soon...
 
 ま・・まさか・・・いや・・はやまるな・・・(落ち着け)
 
 
 
 
 
 
 
 

 

-- 090125--                    

 

         

                             ■■ マリア様のわかること ■■

     
 
 
 
 
 『 今はまだ、なにも起こらない。
  でも、いつかロサキネンシスが投げた小石が、瞳子の心に波紋を広げ、
  瞳子が、自ら動く切っ掛けになりますように。』
 
 

                     〜マリア様がみてる4thシーズン・第三話・乃梨子の言葉より〜

 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 静かに揺れる。
 瞳子がいる。
 ゆっくりと大きく、背筋を伸ばして肩肘を張って、そのまま座っている。
 微動だにしない。
 なのに、瞳子の周りの空気は揺れている。
 威圧している訳では無いのに、その空気がひどい勢いで回っているのが見えるがゆえに、それを見て
 いる周りの人達は、気圧されてしまう。
 と、筋書きを書いている。
 頭の中の小さなノートに、瞳子論を書いて犇めかせている。
 瞳子の気持ちが痛いほどわかるのに、どうしても、ズレが出てしまう。
 わかっているのに、どうしてもわかっていないことがわかってしまう、この違和感。
 それを今日も犇めかせ、教室の端から、真ん中に居座る瞳子を見据えている。
 
 瞳子には、遠慮も無ければ、そもそも正々堂々という古典的観念すらも無いのだと思う。
 おそらく、瞳子にあるのは必要だけで、演技をしているという意識もまた、無いはずだ。
 だからその瞳子の必要なものに焦点を当て、瞳子論を綴り、それに見合うように色々と瞳子のためを
 考えている。
 けれどズレる。
 どうしても、決定的に、何段階も、何層も、ズレている。
 理屈だけで考えているつもりは無い。
 瞳子の感情も、なにが問題になっているのかもいくつかわかる。
 でも、それを言葉にして説明して、その通りに行動してみると、まるで全然違うことになってしまう。
 だから、傍観するに留めていた。
 そして傍観しているだけのことが一番まずいことなのだという思考を越えて、傍観しているだけのことに
 絶大な違和感を覚えていた。
 こちらにさえ、ズレがある。
 どんどんわからなくなってくる。
 いくつもの推論を導き出し、それを推敲して、丁寧に瞳子に提出する。
 絶対とは言わないけれど、かなり正確に的確な働き掛けをしたことになっているはずだ。
 なのに。
 瞳子に、激怒される。
 瞳子に理不尽は無く、しかし、こちらにも理論の疵は見つからない。
 ズレている。
 根本的になにかがズレている。
 だから黙る。
 見守ってしまう。
 どうせズレてしまうのだからなにをしても無駄だという、そんな利己的な考えは思いもよらないくせに、
 どうしても、瞳子の邪魔にならないようにと、一歩分、身を退いてしまうことをやめられない。
 同じことなのに。
 退くか、進むか。
 その単純な構図に落ちていた。
 それでも頭の中には、小さな瞳子論が広げられていく。
 止まらない、止めたくない。
 
 なにかが確かにズレている。
 そう知覚するだけしか無いのは、一体誰なんだろう。
 
 
 
 ◆
 
 演技をしている、つもり。
 どうして誰も私のことをわかってくれないの、と素直に泣き喚くエイミーを創って演じてみた。
 気持ち悪い。
 こんな女ありえない、自分じゃ無くてもありえない。
 こんな奴、演じたくない。
 目の前にこんな女がいたら、私は完全に無視を以て軽蔑する。
 でも、それを演じることが出来る人が目の前にいたら、尊敬してしまう。
 素直に泣き喚く、しかも相当に子供っぽいことをそんなにあっさりと必死で言えてしまうなんて、という
 その人の人格についてのことじゃない。
 単純に、演技の技術として、すごいと思う。
 他人が演じると、素直に観られる。
 けれど、自分が演じるのは耐えられない。
 なぜか。
 その答えを、私はなぜか、知っている。
 
 舞台が、整っていないからだ。
 
 舞台の上で、貧相なライトに照らされて、それでなら私はいくらでもどんな役でも演じることが出来る。
 勿論その舞台はいわゆる舞台のことだけで無く、教室の中にも、廊下の端にも、日々の生活の中に
 もあるもの。
 その舞台が、全く整っていない気がしていた。
 
 − 空気が、悪いのよ、完全に −
 
 どんなにこちらの準備が整っていようと、気概に溢れていようと、演劇はひとりですることは絶対に出来な
 い。
 観客がいなければ、劇は成立しないし、可能な限り共演者も必要なのよ。
 プライド?
 そんなものに拘るほど、私は誇りを失ってはいないわ。
 舞台が整っているのなら、私はどんなプライドも捨てられるし、恥知らずなことだって出来るのよ。
 だから、怒っている。
 祐巳様のスールの最有力候補だからどうだとか、祥子様との関係がどうだとか、素直がどうとか。
 関係無いのよ、とは言わない。
 ええ。
 むしろ、関係大ありよ。
 だから、怒っている。
 わかっているのに、こっちはわかって充分色々と準備しているのに、ちゃんと準備もせずに考えもせずに、
 なにもせずにいながら、こちらが行動を起こさないことを詰ってくるなんて。
 失礼な話よ、全く。
 舞台を整えていないくせに、どうしてそれに憤慨して出てこない女優のことを責めるのかしら。
 ちゃんと仕事しなさいよ!
 私は怒っている。
 とても、とても、深く。
 これは。
 責任問題なのよ。
 たぶんね。
 
 
 
 ◆
 
 瞳子の前で囀っている。
 わかりきった理屈を、苦り切った無表情で見つめる瞳子がいる。
 びくびくしながらも、その反動で背筋を伸ばして、さらなる囀りを続けようとしている誰かがいる。
 瞳子のためになりたいと思いながら、瞳子になにかを求めている。
 祥子様を見ていて、少しわかった気がする。
 それが、必要なことなのだということを自覚した上で、求めているのだと。
 でもおそらく、瞳子はそれを理解しているけれど、たぶんその「必要」の中身が違っている。
 瞳子はきっと、拒絶という切り札を切っているんだ。
 だから、祥子様に素直になれと言われて、瞳子はそれを突っぱねることで、素直になりたいのは自分も
 同じ、だからこそ素直な自分を演じるための舞台をちゃんと整えてください、という、瞳子の祥子様に
 対する逆要求の対象として、その「必要」があったんだと思う。
 そしておそらく、祥子様はそういった瞳子の細かいルール設定自体を無意味なものと断じた、つまり、
 舞台を整えるのは瞳子自身ではないのかと、それを示すために、その要求は「必要」としてあったんだ。
 ズレている。
 しかも瞳子は、その祥子様の高みからの要求の意味を感じ取って、少し揺らいでいる。
 でも、それでただ瞳子が自分から歩み出て、舞台を整えて、祐巳様の元にまで来て、それで素直に
 なれて良かった一件落着、とはどうしても言えない気がした。
 そしてたぶん、瞳子には、少なくとも祥子様と、そして祐巳様はそれで満足してしまうだろうという、
 確かな不安があったのだと思う。
 
 瞳子が、無表情に泣いている。
 
 少し、祐巳様の無神経さに腹が立った。
 これじゃ、妹オーディションという馬鹿げたものを、本気でやってしまっているのと同じことなのではと。
 瞳子は、本気なんだ。
 本気だからこそ、いい加減には、馴れ合いにはしたくなく、そしてなにより、本当の自分を、自分のすべ
 てを祐巳様には見て貰いたいんだ。
 色々と細かいルールがあって、女優としてもある自分を受け入れて欲しいんだ。
 そして一度受け入れてさえくれれば、自分を認めてさえくれれば、きっと瞳子はそれらを全部捨て去る
 勇気さえ持っている。
 祐巳様のことが本当にどうでも良いのなら、瞳子はさっさとオーディションに参加してプティスールに
 収まって、そのまま長年の夢だった薔薇様への道を歩めばいいだけのはず。
 中学までの瞳子のことは知らないけれど、そもそも瞳子はそういう女だ。
 自分のやりたいことの、その「必要」のために色々と演じたり、言ったりする奴なんだ。
 それは、良くわかるし、そういうところは嫌いじゃない。
 でも、祐巳様に出会って、瞳子は変わった。
 祐巳様と、ひとつのゲームを始めたんだ。
 色んなものを抱えて、ひとりで舞台も整えて、出来なければ素直に諦めて、そうやって全部ひとりで
 やるのが当たり前のことだと、瞳子はきっと考えて生きてきたと思う。
 それが、祐巳様の前で、崩れた。
 というより、
 
 瞳子は、祐巳様の前で、本当に素直になったんだと思う。
 
 瞳子は言うまでも無く、誇り高い女。
 そんなことを鼻にも掛けない、本当に誇りある女だ。
 けれど、その自分を丸々受け止めて貰えることは無く、またそうして欲しいと願うのは、それこそ幼稚で
 愚かな行為なのだと、そう思っている。
 それはたぶん、瞳子が不器用ゆえに、その不器用さと周囲の壁との軋轢の結果、瞳子が負けたからに
 他ならない。
 たぶんそれが、瞳子の疵。
 瞳子はその「負け」を認められずに、「負けただけ」という事実から目を逸らし、安易な現実主義的
 な、それこそ自分を理解して貰いたいという願望を「幼さ」に貶めて、それを戒めるだけの、妙に
 不自然に頑なな女を生きていた。
 けれど、祐巳様に出会って・・・・
 
 たぶん瞳子は、そんな自分に気づいて、戦慄したのだと思う。
 
 瞳子は必死に戦っている。
 自分と向き合い、祐巳様と向き合い、それに負け続けても、負けを自覚して勝つために戦い続けて
 いる。
 瞳子は・・・本当に・・・・・・本気なんです・・・・・・
 自分を信じ直して、祐巳様を信じ始めて、懸命に、懸命に・・・・
 瞳子の周りの空気が張り詰めている。
 確かに祥子様の言う通り、そんな戦いに身を浸さずに、もっと素直に、すべてを信じて行動すれば
 良いというのは正論だし、それは正しいと思う。
 でも、瞳子はまだ・・・・
 ううん・・
 志摩子さん・・・
 瞳子はね、その祥子様の言う、素直の階段を必死に上っている最中なんだよ・・・
 なんだか・・・わかったんだ・・
 瞳子が素直になる事を否定するのは、どうしようも無く、必死に素直になることを求めているからだって。
 瞳子には段飛ばしなんか出来ないし、そもそも一段上がるのだって大変なのよ。
 でも瞳子はもう諦めなかった、うん、諦めないんだ・・・あの子・・・
 ひとつひとつ逃げ出さずに目を逸らさずに、そして逃げることも目を逸らすことも出来なくなっているのに、
 そんなことをもうひとつも考えずに、瞳子は、あいつは・・・・・あいつは・・・・・
 なのに・・祥子様は・・・・祐巳様は・・・・・・
 ううん・・・・・・
 
 私は・・・・・・・・・
 
 
 
 『祐巳様は瞳子じゃなくてもいいと思う。』
 
 
 『でも瞳子は・・・・・・』
 
 
 
 
 私は・・・・・
 
 
 
 
 ◆
 
 面倒・・・・
 面倒、なのかもしれないわね。
 なんだか、なにもかもどうでも良くなってしまうような、ただ荒野の中で黄昏れるだけの、そんな役を
 演じている気分になった。
 面倒、なんていう概念は、今まで無かった気がする。
 それは言葉だけの、ただの言葉だった。
 なのになんだか、演じているうちに、めんどうくさいと、口から自然にその言葉が漏れ出てきた。
 なにもかも、どうでもよくなった。
 その代わり、なにもかもどうにもならなくなってしまったことに、気づいた。
 嘆きは無かった。
 ただ無性に、面倒になった。
 手を動かし、口を動かし、頭を動かし、なのに胸のうちにはなんの感慨も意志も湧いてこなくなった。
 動けば動くほどに、なにもかも消えていった。
 周りの人間の声が聞こえなくなった。
 楽だった。
 だけど。
 地獄だった。
 
 そんな夢を、見た。
 
 
 刻々と、周囲から孤立していくのが、手に取るようにわかった。
 遠巻きにされて、良い気分も悪い気分も無く、ただ手を動かしていた。
 その輪の外から、乃梨子さんがみている。
 あ、来た。
 なんの用かしら。 忙しいのですけれど。
 瞳子・・あのさ・・・
 なんですか? 出来れば結論から先に仰って欲しいのですけれど。
 ・・・・・・。
 今、貴女がどうして口籠もったのか、当てて差し上げましょうか?
 ぇ・・・・
 ・・・・。
 そんな不安な顔をなさらなくても、別にそんなことはしませんから、安心なさってください。
 瞳子・・・私はね・・・・
 でもそれ以上くだらないことをお考えでしたら、私も心を鬼にして、今これから貴女が仰ろうとすることを
 当ててしまうかもしれませんわ。 それでも良ければ、どうぞお続けになって。
 私は・・・あんたのことを心配してる・・・
 ええ、そうでしょうね。 よくわかりますわ。
 でも・・・・あんたのことを心配しているなんて、私は言わない・・・
 なにを平気で矛盾したことを仰っているの? それとも言外の意味を察しろとでも?
 でも私はあんたを心配してる。
 巫山戯ていらっしゃるの? そうは見えないから、腹立たしいのですけれど?
 私は、あんたの友達だから。
 だから、なんですか?
 だから、あんたを助けようとなんて、しない。
 ・・・なにが仰りたいんですか?
 瞳子。
 はい?
 祥子様が仰ったこと、私がどう聞いたか、わかる?
 わかりませんわ。 わかっても言うつもりは無いわ。
 『ロサキネンシスは筋違いだって承知の上で、言ってくれてるんだよ。
  でも、瞳子は誰かに言われたからといって行動したりしない。』
 
 それが・・・
 それがどういうことか、わかっていて貴女は仰っているんですか?
 ええ。
 勿論。
 
 それを・・・
 それを当の私に言うということが、どんな影響を与えるのかわかっているのですか?
 
 ええ。
 
 勿論。
 
 
 
 『そうだよね。
  だから・・・
 
  私も大きなお世話をしようと思ってたけど、やめるね。』
 
 
 
 
 あんたのやり方で、あんたの誇りのままに、やればいい。
 
   こんな事されたら、貴女達の大きなお世話を背負わなくちゃいけないじゃない。
 
 私にはなにもわかりませんわ。 ただじっと、考えているだけ。
 
   瞳子から助けてくれと言うのなら、助けてやらないこともないから、覚えておいて。
 
 誰もあんたと祐巳様の邪魔することなんて出来ない。
 
   第一、祐巳様のことなんて、最初からどうでも良いことなんですから、関係無いことですわ。
 
 私には私の考えがありますの。 もういい加減、放っておいてくれません?
 
   だからきっと、私の手助けも、本当はあんたの邪魔になんかならない。
 
 
 『私、瞳子の力になりたい。』
 『乃梨子さんの力を借りることなんて、なにも無いわ。』
 
 『瞳子は、祐巳様の妹になりたいと思ってる?』
 『それを訊いてどうするの。』
 
 
 
 
 そう私に訊き返すことがやめられない、その瞳子の震える瞳と、私は少しだけ、繋がった気がした。
 
 
 
 
 
 ◆
 
 期待をかければ、反発する。
 けれど、期待された分だけ、その反発の力を使って、静かに期待以上のなにかを成していく。
 祥子様が、祐巳様が、其処にいるから。
 硝子越しに手を合わせて、すぐに瞳子だけは手を引いてしまう。
 でも、その窓の向こうを見つめる想いを外すことは無い。
 大きく周り道をして、懸命に靴を履き、玄関の扉を目一杯開き、そして深く息を潜めて。
 硝子窓の向こうの気になる人に、会いに行く。
 瞳子は、そういう女。
 本当に、会いたいんだ。
 たぶん、一度も誰の元へも、会いに行くことが出来なかったから。
 祥子様や祐巳様なら、きっと硝子越しに手を合わせるだけで、微笑みを交わすだけで、その窓の向こう
 にいる人と繋がることが出来るのかもしれない。
 でもそれは、散々窓の内側から外を見つめて、手を伸ばして伸ばして、それでも硝子を越えることが
 出来ないのだと知って、それで色々諦めたり諦めなかったりして、その上でひょんな切っ掛けからやっと
 外に出ることが出来て、その人と出会えたからなんだ。
 それは、窓の内側でずっとその人に手を伸ばしていたからだと、きっとお考えなんだろう。
 でも瞳子には、その「切っ掛け」があるのを待っていられないんだ。
 ううん、きっと瞳子は、祥子様達より、ずっと器用で、そしてとても周りと自分のことが見えていたんだ。
 だからもう、「ひょんなこと」なんて不確実なことを「結果的に」得て外に出られるようになるまで無意味に
 足掻くことなんて、出来なかったのよ。
 
 瞳子は初めから、自覚を持って、自分の意志と力で、窓の外にいこうとしていたんだ。
 
 祥子様は、瞳子が昔の自分に似ていると言っていたけれど、それは似ているようで、少し違う。
 瞳子にとっては、祥子様も祐巳様も、馬鹿にしか見えないんだろう。
 こんなに外への道が見えているのに、それなのにそれを無視して、目の前の硝子越しの人と見つめ
 合うばかりで、目を逸らすことの恐怖にばかり囚われて、結局のところ、スールとして結ばれるまで
 あんなに時間がかかったんだ、と。
 それは、瞳子にとってはじれったいどころか、腹が立つほどのことだったんだ。
 なのに、祐巳様は、硝子越しに向き合うだけでも満足出来るようになったはずなのに、未だに祥子様
 と窓の外で逢瀬を重ねることだけを愉しんでいる、と。
 瞳子には、もしかしたら祥子様の悩みも見えているのかもしれない。
 祥子様は、窓の内と外を行ったり来たり出来ることの、その絶対の不変性を確信して、きっと祐巳様に
 妹を作れと言ったのだと思う。
 だから瞳子には、窓の内と外に拘るなという祥子様の言葉の意味がわかっていたんだろう。
 でも、瞳子にとっては、まずは拘らなければいけない事情があった。
 
 
 会いたくて、堪らなかったんだ。
 そして、その自分が見つけた外への道から目を逸らすことが、出来なかったんだ。
 
 
 〜 祐巳様が、みてる 〜
 
 
 
 そうよ、あの人が悪いのよ。
 なんであの方は私に付きまとうのか、追い払っても追い払ってもまとわりつく子犬みたいに、うるさくて
 堪らない。
 気になるんでしょ、どうしても。
 ええ、そうよ、うるさくて、邪魔くさくて、目障りで、どうしようも無くて、もっと落ち着いて毅然として、
 ロサキネンシスアンブゥートゥンとして、年上として、祐巳様としてしっかりして欲しかったのよ。
 気になって、どうしようも無くなるからでしょ?
 そうよ、ええそうよ、全くその通りですわ、乃梨子さん。
 ほんとは、あの祐巳様が好きなんでしょ? しっかりしていない祐巳様こそ。
 そうだったらどうだって言うのよ。
 気になるんでしょ?
 そうよ。 しっかりして、毅然として、落ち着き払って、私ときちんと距離を取って欲しいのよ。
 どうして。
 言いたくない。
 もう言ってるのと同じじゃない。
 知りませんわ。
 祐巳様がしっかりと瞳子と距離を取るような、そんな人になったら、あんた、困るんじゃない?
 あの方は絶対そんな風にはならないわ。 なるならこんな苦労はしてません。
 でもそうなるように祐巳様に求めてるじゃない。
 ・・・・・。
 矛盾、はしてないよね。 
 はっきり言うけど、瞳子。
 あんたはただ、あの祐巳様との仲を深めたい自分の気持ちに、負けてるだけなんじゃないの?
 ・・・・・。
 優しくて鈍感でいい加減で、なのに大らかでいつも健やかに笑っている祐巳様を、そのまま受け入れる
 ことが出来ないからこそ、だから祐巳様を自分用に矯正して、しっかり者の祐巳様を受け取ろうとか、
 あんたの祐巳様に求めているものは、そんな程度なものじゃ無いんでしょ?
 ・・・・そうよ。
 私はただ・・・祐巳様と・・・・本当に・・・・
 
 
 なら、瞳子。
 ロサキネンシスが仰ってた「素直」になれって、そういう意味として、あんたは受け取ることが出来るでしょ。
 
 
 祥子様自身がどういうお考えで言ったのか、そんなことは関係無い。
 祥子様のせいにするな。
 あのあんたが目指す紅薔薇様のくれた言葉を、どういうものにするかはあんた次第でしょ。
 あんたの演じる舞台は、誰が用意するかは問題じゃ無い。
 誰かが用意しなければいけないものでも、勿論あんた自身が用意しなければいけないものでも無い。
 重要なのは、誰が用意させるか、ってことでしょ。
 あんたが誰かに用意させるのか、あんたがあんた自身に用意させるのか。
 どちらも、あんたがあんたを含む「誰か」に用意させるという、その用意させようとするあんたが重要なん
 でしょ。
 瞳子は、瞳子らしいままで、いいと思う。
 瞳子のやり方を変える必要なんて無いと思う。
 私は正直、瞳子はすごいと思う。
 でも、瞳子はそのすごい瞳子を、まだ徹底出来てない気がする。
 自信を持ちなよ。
 自分の責任取りなさいよ。
 ・・・・・。
 私は・・・このまま・・・ただ祐巳様を受け入れる自分を・・・受け入れたくなってしまう・・・
 もうほんとうにどうでも良くなって・・・ただそのまま祐巳様を・・・・
 そのままの祐巳様を受け入れる事と、そのまま祐巳様を受け入れる事は違うって、わかっているのに・・
 
 
 瞳子。
 そこが、違うんじゃないの?
 
 本当は、そここそがわかっていなかったんじゃないの?
 
 
 どういう・・こと・・?
 祥子様の言う「素直」の意味、本当にわかっている?
 ・・・・・! 
 たぶん、祥子様も本当にわかっていて、今の瞳子では「誤解」して受け取ると承知の上で、
 あの言葉を言ったのかもしれないよね。
 勿論、瞳子の誤解したその意味では無い、本当の意味で。
 ・・・私は・・祥子様はただ、そのまま祐巳様を素直に受け入れろという意味で仰っていると・・・
 でもそのとき瞳子は、そのままの祐巳様を素直に受け入れるために頑張っていたから、祥子様のその
 言葉の意味に反発したんだよね。
 そう・・・・たとえ遠回りしたってと・・・それこそが本質的に、ちゃんと祐巳様と繋がれると・・・
 そうだね。
 だから、反発した。
 たぶんきっと瞳子は、祥子様の本当に言いたかったことに気づいていたからこそ、それに反発する力を
 使って、それ以上のことを成し遂げようとしたんだ。
 それを成し遂げられる、瞳子自身を、そのままの瞳子を受け入れて欲しかったんだよ。
 そう・・・・・
 
 
 そして私は、そうやって遠回りする私をそのまま認めて欲しかったのよ。
 
 
 乃梨子さんが、私の名を騙って書いた茶話会への参加申込書を、私の目の前で破いたとき。
 震えた。
 怖かった・・・自分が・・・・
 紅薔薇様の御言葉の、それに託された期待が、こんなにも重いのに・・・・・私は・・・
 それを踏みにじりもせずに踏み台にして・・・・頑張ろうと・・・
 祥子様と乃梨子さんの期待に、応えたい。
 応えられる、私が此処にいる。
 その私しか、此処にいない。
 誰もいない。
 怖い。
 祐巳様は、なにも期待しない。
 怖いくらいに、どうでも良いことを、子供のお使い程度にしか求めてはこない。
 悔しい、という想いを越えて、安心した。
 安心した、という想いを破って、悔しかった。
 祐巳様が、其処にいる。
 それだけの優しさが、愛憎を遙か越えて突き破り、私の想いに厳しく繋がっていた。
 硝子窓の外には、祐巳様がいたのよ。
 祐巳様が、みていたのよ。
 なのに・・・・・
 
 
 
 硝子窓の内側は、沈黙する私の目の前で、深く、曇っていたのよ。
 
 
 
 祐巳様がみえない。
 みえないのに、みえないという事実を全くみていなかった。
 そもそも、私は祐巳様をみていなかったのかもしれない。
 祐巳様が其処にいると、ただそれだけを頼りに、窓の外に向かおうとしていた。
 瞳子・・・
 いいえ、たぶんそうなのよ。
 だから私は・・・乃梨子さんの仰る大きなお世話が取りやめられてしまったとき・・・・
 悲しかったんです。
 不甲斐ない私のために? それとも私に期待しているがゆえに?
 どうして皆さん、私にまとわりつくのでしょう。
 期待しているがゆえに、失望してくださったのでしょう?
 失望という形で、私にこそ責任を戻してくださったのでしょう?
 そんなことされたら、頑張らない訳にはいかないじゃない。
 でも、こんな形式を、私はもう、何度経験してきたかわからない。
 不安、なのよ、どうしようも無く。
 見返りなんかひとつも求めず、そのまま期待に応えずともそのままの期待には応え続けることが・・・・
 反発する以上、見返りは求められない、というより、見返りを求めないがゆえに、反発するのかも。
 でも・・・
 だったら私は・・・なんで祐巳様を・・・・・
 
 
 乃梨子さん・・・
 貴女は私に、祐巳様の妹になりたいのかとお尋ねになられましたわね?
 
 
 私には、もう、本当に答えることが出来ません。
 
 
 
 どうして誰も、私のやり方をわかってくれないのよ。
 どうしてみんな、勝手に自分のやり方を押し付けてくるのよ。
 誰かに言われて行動したりなんかしない、というのはただ。
 私のやり方を認めて欲しいから。
 曇り硝子の向こうで、必死に外に出ようとする私を見て欲しいから。
 ただそれだけなのに。
 それだけを求めていたのに・・・・
 それが与えられたら・・・私はきっと・・・・
 もっと・・・もっと・・・・・沢山のものを求められるかもしれなかったのに・・・・・
 
 どうしてよ・・・
 どうして祐巳様が其処にいるのよ・・・・
 
 祐巳様がいる。
 それだけで、なにかを強く求めることが出来てしまう自分のことが。
 
 
 
 たまらなく、嫌だった。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 瞳子の、窓の外へと続く道が、ばたんと音を立てて閉じられたような気がした。
 道は閉ざされ、そして。
 
 
 瞳子のその震える瞳が、揺れる空気を纏ったまま。
 
 曇り硝子に指先をかけた、その小さな小さな音が、きこえた。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
  
                     ◆ 『』内文章、アニメ『マリア様がみてる4thシーズン』より引用 ◆
 
 

 

-- 090123--                    

 

         

                                ■■ 手放しの友情 ■■

     
 
 
 
 
 『 私達なら、嘘を吐かずに付き合っていけるかもしれないね。』
 

                          〜続 夏目友人帳・第三話・名取周一の言葉より〜

 
 
 
 
 
 
 
 
 芳香剤の懸賞が外れた。
 
 別にそういうのが趣味って訳では無かったんだが、たまたま先週ファンの子に貰った、まだ開けていなかった
 ラベンダーの香りのするあのトイレの芳香剤が、少し気になっていたから。
 あの女の子から見ると私はラベンダーのイメージなのかなということを思い浮かべながら、ファンの子から
 貰っただけのものという意識以上のもので、私はそれを見ていた。
 なんだかこれを使ってしまうと、自分に付けられたイメージを受け入れてしまうような気がしてね。
 いや、本当はそんなことはよくあることで、普段はあまり気にせずに使ってしまうんだが、どうにもラベンダ
 ーというのが引っ掛かって、どうしてもそのまま開封してトイレに置くという、そういう作業的に流すことが
 出来なかったんだ。
 一応色々と拘りは持っているつもりなんだが、さすがにトイレの芳香剤までには拘りは無い。
 だから本当にどうでもいいこととして、処理して当然のものではあったのだが・・・・
 私は本当に、ラベンダーのことだけに引っ掛かっているのだろうか。
 ラベンダーラベンダーと頭の中で呟きながら、先日もフラワーショップの前を通ったときにラベンダーに
 目を遣っていた。
 けれど、それでもやはり、私の頭の中に浮かぶのは「ラベンダー」という文字だけで、たとえばラベンダー
 に拘る意味はなんなのかだとか、なにかラベンダーに関する忘れていることなどないかと思い出そうとする
 だとか、そういうことは一切無かったんだよ。
 ラベンダー、ラベンダー、っと。
 
 気づいたら、あの貰った芳香剤をじっと未開封のまま見つめていた。
 包装紙に付属するシールを葉書に貼って送り当選すると、温泉旅行にご招待頂けるようだ。
 一瞬、旅行に行きたいなと思った。
 けれどおもうに、それはたんに「旅行に行く」ということだけで頭を一杯にしようと考えていただけなのだろう。
 その証拠に、そのときは葉書を出して懸賞を当てようだなどと途方も無いことは考えていず、普通に
 事務所に休暇を願って、勿論自費でどこぞのしなびた温泉宿にでも浸ってこようと思っていたんだ。
 けれど。
 なんだか・・・寂しくなった・・・
 いや・・・
 
 無性に、寂しさに震えている自分に気づいたんだよ。
 
 駄目だな、年を取ると自分の状態に気づくのが遅くなって。
 仕事に精を出しすぎて、頭の中を一杯にすることに浸りすぎて、リラックスをすることまで、「頭の中を
 一杯にする」ということでやってしまおうとしていたよ。
 まるで、仕事をするようにしてリラックスするんだもんね、それは虚しいだろうね。
 私はこう見えても、真面目で不器用なんだよ。 純真過ぎてごめん♪
 もっとも、事務所の社長からすると、それはプロとして当然のことで、むしろリラックスも仕事のうちだと
 宣っておられるから、まぁ、私のそれは事務所的には褒められたことなのだろうけれどね。
 でもあいにく、私はプロであって、プロで無い。
 私にとっては、妖祓いこそ本業であって、俳優業はほとんどオフィシャルな自己満足を得るためと、
 単純に基本的な生活費を稼ぐためにやっているようなものなんだよ。
 勿論プロで無いと思っていてもプロでもあるからね、仕事はちゃんと以上にやっているし、ファンの子達は
 大切な存在だよ。
 私は真面目なんだよ、冗談抜きでね。 煌めいていてごめん♪
 でも、真面目だからこそ、それに引きずられてしまう。
 その結果、リラックスすることにさえも力が入ってしまって、自分がわざわざ今リラックスしているという
 意識を取り払うことが出来ないんだ。
 仕事と、繋がってしまうんだね。
 私はね、そういうのは嫌いなんだ。
 わかりやすくいえば、公私の別を明らかにしたいんだ。
 悪く言えば、社会人意識が希薄ということなのかもね、あはは。
 別の言い方をすれば、俳優の仕事に生き甲斐を感じている訳じゃ無い、いや、違うな、仕事は仕事
 であって、私の生きるべきものはそれだけでは無い、ということなんだろうね。
 
 私は、人には見えないものが見える。
 
 そしてそれは本来、仕事を含む一般的な「社会」を生きていくために、上手く付き合っていく必要が
 あるもので、逆にいえばそれを克服すれば、より充実した社会生活が送れると、そういう感じのもの
 であったはずだ。
 ところがね、面白いことに、私はそれをこそ生涯の職業としたんだよ。
 一生の仕事、生き甲斐、アイデンティティーの真の確立、とまぁ色々と飾る言葉はあるかもしれない
 だろうけれどね、俳優という社会的な職は、この妖祓いの仕事をこの社会の裏である程度安心して
 行うためにやっていることなんだ。
 ただ裏社会の人間になるつもりは無いんだ。
 だって、こんなにも私は煌めいているんだからね、勿体無いじゃないか、あははは。
 だから、表社会の人間でもありたかっただけさ。
 とまぁ、私は自分のことを説明してみせてるんだけどね、合っているかな。
 あ、一応言っておくけど、私は俳優の仕事は気に入ってるんだ。
 正直、好きさ。
 それに俳優になって学んだことも沢山あるし、得たものも一杯ある。
 そしてそれが、妖祓いに大いに役立っていることもあるんだ。
 勿論逆もね。
 本当のところ、だから私としてはもうね、どっちが裏とか表とか、無いんだね。
 そして。
 
 実はもう、俳優も妖祓いも、「仕事」とか「職業」とかいう意識でやっていなかったりするんだよね。
 
 おやおや。
 なんだか全然、説明合って無かったね。
 ごめんごめん、あはは。
 
 
 
 ◆
 
 そして私は、懸賞の葉書を書いていた。
 なんでなのかは、全くわからないし、わかった気になるつもりもあまりなかった。
 葉書が無かったのでわざわざコンビニに買いにいき、そこの新しく入ったバイトの女の子に煌めく笑顔を
 振りまいて、面倒なことをしているはずなのになんだか浮き浮きとしてきて、そして家に戻ってみれば
 戻ったで留守電にはマネージャーからの伝言がぎっしり。 しかも途中で切れてる、うふふ。
 携帯は基本的に家にいるときは切る、という真面目な私にすれば上等な怠けぶりの成果が、時々
 こうした面白い面倒を起こしてくれる。
 楽しいじゃあないか。
 そして馬鹿馬鹿しいじゃないか。
 仕事にすべてを賭けるだの賭けないだの、そんな次元の話をしていること自体、立派に仕事に囚われて
 いるじゃあないか。
 昔は事務所の社長やら先輩方のことを馬鹿じゃないだろうかと、斜めに見ていたけれど、結局のところ
 そうしていることは、そうして自分だけが異質でいることに自信が持てなく、また持てないからこそ、
 自分のやり方に固執することしか出来ていなかったからなんだろうね。
 私は私だ。
 そのことに本当の自信を持つことが出来ていなかったからこそ、私は私だと思い続けていたのかもしれ
 ないね。
 仕事命の社長や、結構非常識なくせに常識人ぶってそれが社会人の在り方だと嘯く先輩方に
 囚われる必要も無いけれど、それに反発するだけの自分に囚われることもまた、無い。
 そうして見渡せば、馬鹿なものからも、それを反面教師とするだけの切ない幼稚さに身を落とすことも
 無く、素直に学び取れる、自分とは「異質」なものもまた、沢山あるんだよね。
 やりたいことをやるために、やりにいく。
 そしてそれをやるために必要なことをしていけばいい。
 
 そう。
 嘘が必要なら、必要なだけ吐けばいい。
 本音が必要なら、それもまた必要なだけ晒せばいい。
 
 ラベンダーのことと旅行をすること自体に本当になにか特別な理由があったのかもしれないし、たまたま
 目に触れたからそれが特別なものとして選ばれたのかはわからないし、むしろどっちも同じことさ。
 旅行に行きたくなった。
 目の前に、出して当たればいける旅行への道筋がある。
 たっぷりとラベンダーのことを思い浮かべ、どうせならと貰ったのとは違うタイプの、そしてラベンダーの香りの
 する芳香剤をコンビニで葉書と一緒に買い、笑顔を浮かべて頬を染める女の子の顔を愉しみ、
 そして暗い夜道を照らす月明かりに耳を澄ます。
 
 
 芳香剤の懸賞が外れた。
 
 
 すっかり忘れていた頃に、当選発表の日を迎えていた。
 忘れていたくせに、ひどい絶望を忘れることは出来なかった。
 不思議なものだ、こんなもの気にしないでいることなど、嘘を吐くことより簡単なはずなのに。
 そして。
 今度は。
 なんの脈絡も無く。
 あの少年のことを、思い出していた。
 
 
 
 
 ◆
 
 旅行に行けなくなった。
 忘れていたからこそ、意味があったはずなのに。
 気づいたら、目の前に旅行があった、それが、良かった。
 信じていた。
 真面目に働いていれば、報われると。
 そんな馬鹿な話は無いと、なによりも理解していたはずなのに。
 まだこんなに、ムキになって、信じることを否定していたんだな。
 信じていたものが裏切られることより、信じないようにしていたものが本当に無くなってしまったことの方が、
 ずっとずっと、身に浸みた。
 どこかで確実に、信じているのだろうね、私は。
 けれど信じることに頼ってしまっては、それに見合う自分を作れないと思い、だからそれとは別のところで
 ひとり頑張り、そしてその褒美として、それを受け取ろうと。
 受け取れる自分と、そして、褒美をくれる相手のことを、信じて。
 馬鹿な話さ、本当に。
 目を離せば、手を放せば、そんなものはすぐに消えてしまうというのに。
 独り善がりな、勝手な思い遣りと自己満足が、一体どれだけ相手を傷つけ突き放すのか。
 私は、そうされて恋人の元を去っていく役を演じたことさえあるのに。
 
 そして、私の頭の中には夏目が浮かんでいた。
 
 夏目のことなど、本当に忘れていた。
 嘘臭いほどに、完璧なまでに忘れていた。
 あんなに鮮烈な出会いだったというのに、あれだけ大切な出会いだったというのに。
 これもまた、私が信じずに温存しておいた、切り札だということなのか。
 夏目にまた会いたい。
 実際に簡単に会えるし、会うことになんのわだかまりも無い。
 でも、忘れていた。
 だからこそ、忘れていたんだ。
 夏目が消えていく。
 残されたラベンダーの芳香剤の恐ろしさに耐えきれず、尾篭ながらトイレから持ち出し、目に入るリビン
 グに置いてしまった。
 逆に、滅茶苦茶な違和感が襲う。
 存在感がありすぎだ。
 芳香剤芳香剤芳香剤。
 
 頭が一杯になった。
 
 だから。
 
 
 夏目に会いにいった。
 
 
 
 
 
 自分の説明もしないままに、芳香剤も置き去りにして、家を飛び出した。
 葉書も持っていない。
 おまけに携帯まで置いてきてしまった。
 しかし、幸か不幸か、懐は暖かい。
 その足で、何年ぶりかに公衆電話の元に駆けつけ、そして妖祓い関連で懸案のあった旅館に連絡し、
 二人分の宿を取った。
 私には、妖を見る力がある。
 だからそれは、口実になる。
 口実などいらず、ただ友人として会うことも出来る夏目にも、口実を持つことでしか向き合えなかった。
 だから、隠した。
 口実が無ければ会えない情けない自分を励ますために。
 夏目に見合う、自分のために。
 馬鹿だよな・・・
 だから私は、もうひとつ、罠を張った。
 この旅行は、強力な妖への封印がちゃんと出来ているかを確認しに来るだけの、そもそも安全な
 ものだ。
 それを隠し、ただ温泉が好きかと言っても夏目が来ないのはわかりきったこと、だから私は。
 夏目と一緒に、妖をみるという体質を持つ友として旅行を楽しもうと言ったんだ。
 勿論、封印された妖をみせるつもりも、その存在を臭わすつもりも無い。
 それなら夏目は来るだろう。
 そしてなにより、「妖」というキーワードに触れることで、少しだけ本音と繋がり、それを隠すことしか出来
 ない本当の自分の愚かさに一矢報いるために。
 馬鹿のドミノ倒し、という訳なんだが、どうにも私の限界はここまでのようだった。
 まさに見切り発車だった。
 けれどなんだかとても、胸が弾んだ。
 ついでに、芳香剤の懸賞に当たったからという最初に吐いた大嘘も、一段深く、救いになった。
 ああ。
 この旅行が終わったら、またあの家に帰れると、なぜか暖かく思えたんだよ。
 
 
 そして、色々バレてしまった。
 散々嘘を吐いて回って、夏目もまた私の嘘とは関係無く嘘まみれで、とても充実した時間だったのに。
 残念だった。
 あくまで夏目を歓待する立場を演じたものの、夏目はそれを受ける役を演じてくれたものの、お互い、
 これこそ幸か不幸か、みえないものが見え、それから目を逸らすことが出来ない、という自身の不安
 から離れることは出来なかった。
 夏目があの強力な妖を視てしまった、というか、残念なことに封印は既に破れてしまっていたんだ。
 視なかったことにしよう、そのために嘘を吐こうと、そうして私の歓待を受けてくれる夏目を、
 私は視なかったことには出来なかった。
 それは夏目のためでもあり、そして私のためにでもあった。
 私は・・・私が夏目をこの旅の供に選んだのは・・
 それは、夏目には妖を視る力、つまり見えないはずのものを視る力があるからだ。
 私は沢山の隠し事をしている。
 だが、それを普通の人間の前で隠すのと、夏目の前で隠すことは違うことになるんだ。
 私は・・嘘を吐きたくなかった・・
 だから、たとえば普通の人間に対して、妖が実はいるのにそれを隠して連れてきた、という嘘は、
 実は嘘にもなににもならない。
 なぜなら、そもそも普通の人間は、妖がみえないのだから。
 そして・・・
 逆に私が妖がいると本当のことを言えば、なにもいないのにそんな嘘を吐くな、ということになるだろう。
 私は、それが辛かったんだろうな。
 ずっと、ずっと・・・まるで今の夏目のように・・・・
 だからこの場合、妖がみえる夏目を連れていった場合、視ることが出来る夏目にとっては、なにもいない
 のにいると言う嘘は絶対に成立せず、ただ、いるのにいない風を装った嘘、ということになり、私はその
 嘘にこそ身を浸したかったんだよ。
 隠し甲斐が欲しかった、ということかもしれないな。
 
 根本的に馬鹿なんだよ、私は。
 夏目がこんなにも、正直になろうと必死なのに。
 必死に、私の見えざる本音を見つめてくれたのに。
 
 だが、私にはなかなか切り出せなかった。
 私がそうして隠し続け嘘を吐こうとすることに付き合おうとしてくれる、その夏目を前にして、ね。
 どうその素直な夏目を受け入れるための嘘を吐こうかと考えあぐね、そう考える輪に囚われてしまい、
 このまま夏目に嘘を吐かせるための嘘を吐こうかと考え続けてしまっていた。
 私は嘘を吐くことを考えている。
 それがどんな嘘であろうと、嘘であることには変わり無い。
 だが、嘘は神聖だ。
 それ自体が悪者じゃないんだ。
 そう持ち直し、如何に良いように嘘を吐くかを考えることに、一心不乱に打ち込んだ。
 そして、夏目はあっさりと、本当のことを言った。
 頑張れる。
 実は妖を視たと、怪しい封印の壺を見つけたと言ってくれた。
 だから、そう言った夏目をこれ以上心配させないように、嘘を吐こう。
 最初は、夏目の知らぬ間に封印して、大したことが無かったようにしようと思った。
 だが・・・・・そう・・・・私は・・・・
 本当のことが言えずにいた、おそらく昔の夢にうなされ涙を流した夏目をみていた・・・
 私には、この夏目の涙が視えているんだよ・・・・
 
 
 その涙を頬に伝わせるほど若くは無いが、それに感応して震える涙を私もまた、持っている。
 
 だから、私のためでもある。
 ひとつずつ、少しずつ、嘘を解除しよう。
 もっと上手く、もっと自然に、もっと大らかに、「嘘」を吐くために。
 
 いつか、本当のことを言えるようになるために。
 
 本当は、真実は「嘘」から創られているということに、改めて向き合うために。
 
 
 私も夏目も、嘘を吐くことに疲れていたんだろう。
 未だ完成に至らない真実に触れていることが、辛かったんだろう。
 だから私は、本能的に、旅を、夏目を求めたんだろうな。
 癒そう、休もう、今日だけは。
 だから。
 嘘を吐いているという意識は、お休みだ。
 そのまま。
 正直に。
 嘘を吐こう。
 
 『人を騙すのが癖になっていた。』
 『ごめんな。』
 
 この自分の言葉に、少しだけ癒される。
 だから、少しだけ安心して、嘘を続けられる。
 初めから、妖退治を手伝わせるために、夏目を連れてきたということにした。
 おそらくこれが、真実と嘘を混ぜ合わせた、最良の嘘。
 これが、私と夏目が共有する、未完成ながらの「本当のこと」だよ。
 そう、「本音」を晒した。
 隠していたことを開示してみせたことで、夏目もまた自らの隠していたことを開いてみせ、癒されたようだ。
 私は、それでもまだ隠している。
 というより、こうして「本音」を晒す行為自体で本音を隠蔽している。
 でもそれは。
 夏目も、同じだ。
 夏目もすべての言えなかったことが言えた訳じゃないのだろう。
 いいんだ、それで。
 今日、それでも私と夏目は、少し、本当のことを言えたのだから。
 嘘を吐き合って、嘘で舞台を整えて、そしてやっと、これだけの癒しを得られたんだ。
 夏目・・・
 君が其処にいてくれたから・・・私は君に嘘を・・・・本当のことを言えた・・・・
 私も君にとっての、そういう存在になれればと思うんだ。
 そう・・・私はね・・・夏目
 癒しを求めてはいたのだろうけどね、でもそれは「本当のこと」を言えなかったことを癒すためじゃない。
 
 
 
 私は。
 
 
 安心して嘘を吐き合える、そんな誰かと共に生きている感覚を得る、そういう安心が欲しかったんだよ。
 
 
 
 絶対に人の本音がわかることなんて無いと思うより、いつかわかることもわかって貰えることもあるかも
 しれないと思う方が、やっぱり私は幸せなんだ。
 信じて裏切られるより、信じないようにしていたものが本当に無くなってしまったことの方が身に浸みる
 のは、そうだからなんだ。
 私は、可能性を信じたい。
 その可能性がひと知れず潰されてしまって、それが絶望してしまうほどに辛くても、私は。
 この世界がある限り。
 みえないものがみえる限り。
 
 君が、いる限り。
 
 
 嘘を、吐き続けたい。
 
 
 
 信じているよ、君が其処にいてくれることを。
 だから、その君に寂しい想いをさせないように、何度でも会いにいくよ。
 会えない理由を嘘で補強しようとするたびに、その嘘を乗り越えるための優しい嘘を吐くよ。
 君と、同じ風景がみたい。
 そのために、沢山の嘘を、物語を私は刻んでいく。
 その物語を綴る私の手は、見えない君のその手と確かに繋がっていた。
 一緒に、みえないはずの物語を生きていこう。
 世界を、ふたりで豊かに愛しく創っていこうな。
 ああ、しまった。
 これは口説き文句だった。 あははは、煌めいててごめん♪♪
 
 
 
 
 



 
 
 『だって、みえてしまうから。
  泣いていたり、困っていたり。
  そしてそれらは、裏切ったり、恩を返したり・・・』
 
 
嘘と、本当
 

『話したいのに、上手く出てこない。
 知られるのが怖いんだ。怖がられるのには、慣れているのに。
 
 
 
 でも、いつかきっと、きっと話そう。
 本当の心を知って欲しい人達に。』
 
 
 
ああ、そうだな。
お互い、頑張ろうな。

 
 
 『こうして、はじめての温泉旅行は終わり、少しそわそわと家路を急ぐ。
 楽しい旅の思い出と、話したいことを、いっぱい抱えて。
 
 
 
 まずは、なにから話そうか。』
 
 
 
 




 
 
 
 
 − 君がいるから愛していける
   不安も虚しさも 本当なんてないということも
   それはただ いとしい君のため
   誰がために嘘を吐く
   それはただ 弱い僕のため
   きみがそこにいるから
   見つめずにはいられずに 目を逸らした空に虚無をみる
   絶対なんかないと飛び出した きみの笑顔が胸を縛る
   君が好きで 逢いたくて 行きたくて
   懸命に 嘘を吐いて生きる 弱くて強い 僕と君の世界を
   まだそれが
   君から逃げているがゆえと 高く 感じながら
   それでも 僕は 君を 愛してる −
 
 

 
 
 家に着いた勢いのままに書き出してみたんだけど、自分のあまりの作詞能力の無さに愕然としたよ。
 んー、だから無理だよ、マネージャー、今回の話はさ。
 自分でうたう歌くらい自分で書きたかったけどさ、やっぱりカッコつけてもなにも出ないよねこればかりは。
 ふふ、無能すぎてごめん♪
 まぁ、あれだ、あの子、最近結構良い詩書いてる女の子いたでしょ? 
 うんそう、マネージャーも好きでしょ、僕も結構気に入ってるけど。
 あの子にやって貰おうよ、え、今からじゃ無理? 
 その辺りはマネージャーの腕の見せ所でしょ、頼りにしてるんですからね、お願いしますよ。
 あ、なんか来客みたいだな、ということで、この件はそういうことで、うん、じゃ、また。
 
 
 
 がちゃりと置いた受話器の音と、溜まっていた留守電のメッセージを全消去した機械音が、そして、
 来客を告げるインターホンの音色が、
 
 
 なんだかとても、気持ち良かったよ。
 
 
 
 
 
 
 
 ありがとう 、 夏目 。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
                             ◆ 『』内文章、アニメ『続夏目友人帳』より引用 ◆
 
 
 

 

-- 090120--                    

 

         

                          ■■書きっぱなしハイテンション 2 ■■

     
 
 
 
 
 どうも、紅い瞳です。
 
 早速ですけれど、時間がありません。
 時間があったら書いてしまいたい、そんな絶好調に作文熱が上がっていてヤバイので、というか、
 もうなんかほんと時間無いんですけど、ここんとこほとんど毎日なんかしら書いてるよね?、やばくね?、
 これやばくね?、くらいなレベルに時間無いのにで、ええと、書きます。 書けるときに書いちゃいます。
 
 ということで、本日はにぶんかつー、というか二倍です。
 二部構成です。
 この文章の方では、前期アニメの残り話をがっちりやります。
 もう一個の方は、それ以外の話というかアニメの話をばっちりやりますので、過去ログでそちらの方は
 読んでみてください、「書きっぱなしハイテンション」という安直なタイトルがそれです。
 あ、この文章のタイトルは「書きっぱなしハイテンション 2」というタイトルですわかりやすいですね。
 でも2とか書いときながらこっちから先に書いてたりする訳なんですけどね、なんか色々自分でもわかんな
 くなってきたーっ! ←書きっぱなしすぎ
 
 それでは、色々とありますけれど、取り敢えず無いことにして、書きっぱなしでいってみましょう。
 はいどうぞ。
 
 
 
 
 ◆
 
 
 かんなぎ:
 基本は好き。
 応用は微妙。
 そんな感じ? (ぉぃ)
 なんかラスト近辺辺りで急転直下決めるのって、流行ってんの?
 全体のギャグや空気感は大好きの部類に入りますし、もっとやれって感じで大変よろしいのですけど、
 ラストのシリアス路線は頂けない。
 や、ギャグとシリアスの二項比較して言ってんじゃなくて、シリアス自体はどうでもよくて。
 
 つかぶっちゃけ。
 なにナギ様を実は萌えキャラでしたみたいなまとめ方して終わってんの。
 
 なんか、気持ち悪い。
 それが正直なとこ。
 というか、まとめ方が幼稚過ぎ。
 あのギャグのレベルの高さと、それこそあのシリアスのレベルが合ってないし、なによりあのシリアスが
 ギャグでは無くガチなところに、一抹の気持ち悪さを禁じ得ない。
 感情と直感、という素晴らしいキーワードを作りだしたのならさ、それに見合うシリアスな感覚でぶっちぎ
 れば良いものをさ、あれじゃ感情と直感という「言葉」から連想される貧弱でイメージ的な「ひたむきさ」
 しか描けていないというか、悪いけど、悪い意味で素人的な表現だったかなぁ。
 全然、感情と直感に生きてないもの。 感情と直感という文字を書いてるだけだもの。
 だから、それでナギ様に泣かれたって、それこそデレが発動した「攻略」された萌えキャラにしか見え
 ないのよ。
 ナギ様自体の、仁自体の持っている悩みとかおもいとかそれ自体は全然駄目なものじゃないのに、
 うーん、まさにそれをどう演出するかだよなぁ。
 単純なものだろがなんだろが、それをどう演出して表現するかが重要で、逆にいえばどんなに複雑な
 ものだろと、それをそのまんまその複雑に頼って出したって、そんなものは面白くもなんとも無い。
 単純なものだって、同じことだね。
 けどま、
 
 んなことは、問題じゃー無いんだよね。
 
 この私の見方は、例の原作に関するあの事件(であって問題では無い)の、ある意味「しょーもなさ」と
 同根のもの。
 問題なのは、あれは、あのちんちくりんなシリアスはなんだったの?、どういう意味があるの?、という
 問いがあるかないか、なんですよね。
 うん。
 全然視点を、いえ、半分くらいは残した方がいいかな、うん。
 あのね。
 この「かんなぎ」って作品は、神様がいるんですよ、神様が。
 今回の感想では様付けしてナギ様ナギ様と呼んでますけどね、うん、神様ってさ、「安心」なのよね。
 最終回観るとね、わーって、わかる。
 これはあれだ、神話的な宗教的な、あるいは身体的な癒しだってね。
 もっといえば、社会的地域的とか、まぁそういう自分が所属するものと、それと自分との融合を得ている
 ってことなんだよね。
 べつにね、その作法は複雑でも単純でもいいし、そしておまけに、実際にそれが面白いとか楽しいとか
 も関係ない。
 必要なのは、「それっぽい」気持ちになれること。
 人間、納得出来るのは理屈だけじゃないですし、また激しく鬼気迫るほどに圧倒的な感動でしか、
 魂を動かせない訳じゃ無い。
 んや、むしろ。
 大事なのは、自らの魂を「鎮める」こと。
 むしろわかりやすい方がいいし、さらにはそれが誰もが簡単に、そしてほとんどの人が「素」で了解可能
 な、いっちばんわかりやすく、かついくらでも理屈でケチもつけられるし感性的に幼稚なものと貶められる
 ものでもいい、いえ、「それでもいい」といえるほどに馬鹿っぽく短絡な、ただ夢中になれる「儀式」で
 あることが望ましい。
 それがみんなで共有出来るのなら、孤独では無いのなら。
 そしてそれは横の繋がりだけでは無く、前後のつながり、つまり時間的歴史的繋がりがあれば、さらに
 人は深く安堵出来る。
 自分のルーツ探しとか氏神調べとか、そういうのは全部、自分がこのみんながいる「世界」の中に
 確かに繋がってずっと「続いて」あるというさらに一段上の安心感を喚起してくれるもの。
 
 だから、「萌え」、なんですね。
 
 「萌え」は重要な、身体的かつ社会的な神話の要素です。
 ナギ様というご神体まで現出させたのですからね。
 誰もがああいった自分探し的なことを馬鹿馬鹿しいとか青臭いとか言いながらも、それが「自然」に
 出来ないことに違和感を持っている。
 けれど、ナギ様という神様と共に萌えの香りに包まれながら、まるで荘厳な儀式のように「当たり前」に
 やることで、満たされることの無かった自分の「なにか」が満たされてくる。
 そしてその「神事」を他の人達とも共有できる。
 そういう意味で、あの最終回はそうしたわかりやすい「形式」が散りばめられているのです。
 そしてそれはまるでギャルゲーのような気持ちの悪いほどに大真面目で破廉恥(笑)な「物語」をし、
 そして「落ち」をつけるんですね。
 実際私は、このぞっくりとくるようなナギ様と仁のやり取りの滑らかさから見えてくる夕暮れどきの世界に、
 なんだか無性に癒されちゃいました。
 これは魍魎の匣という作品でやっていた憑き物落としと構造は同じですし、あれはその作法として
 膨大な「理屈」を使っていたのが、このかんなぎでは「萌え」と宗教の手触りを使っていたと、そういうことに
 なるのですね。
 そして萌えというのは物語という形式によってきっちりまとめることによってより威力を発揮し、そしてまた、
 神話というのは物語であるがゆえに、その構成要素ともども萌えとは親和性が高いんですね。
 だから最近流行ってますけど、神話の神々の萌えキャラ化とか、非常に面白いと思いますし、また、
 この「かんなぎ」という作品を嚆矢として、これから先、全く逆に萌えキャラが神話を作っていくというが
 ひとつ、面白い可能性を拓いていくことになるのかもしれませんね。
 八百万の神々というのは、勿論そのすべてに神体がある訳でも無ければ名さえある訳でも無いですし、
 それはこの世界には至るところに神様はいるということですし、それは人が見つけたことによって神体や
 名が出来ただけの話。
 
 なら、ナギ様だって、立派な八百万の神々のうちのおひとりではないですか。
 
 人の数だけ、というか人が視た数だけ神様はいる、八百万というのは800万という数字では無く、
 なんかしらんけど一杯いる、ていうかいくらいるのかわかんねー、ってことですしね。
 そこらの神社に祀られてるのは、古○記とか日本○紀に載ってる、いわゆる「オフィシャル」なものです
 から。
 日本の神話、ってか多神教の多くは、聖典とかそういうものから作られた神様じゃなくって、まず神様が
 先にいて、それを適当に選んで集めて編集して聖典のキャラにしましたよ、ってだけですし。
 無論聖典発の神様もいますし、そしてだから、そもそも聖典に載ってない神様なんてのもまた、たーく
 さんいるんですよね、しかも神社も持ってるし。
 そして神社を持ってないけど名前だけは残っている神様だとか、神様から堕ちて妖怪になったとか、そう
 いうものまでいらっしゃる。
 この国は、とっても、豊かなんです。
 それに。 少し方向変えて。
 私は「萌え」っていうのは大切なものだと思っていますよ。
 この「かんなぎ」を観て、ナギ様ゆかりの神社に詣でることは、私はとても有意義なことだと思いますし、
 それを外から見ての奇異さは問題にならないと思いますし、マナーとは別問題ですしね。
 勿論、自分の地元の氏神様に詣でることも同じく有意義なことですし、逆にいうとナギ様を崇めようが
 その辺りに坐す神様に祈ろうと、それは全く同じことです。
 変な勘違いをしている方が多いですけど、そこら辺の神様だって、間違いなく想像上の、2次元の存在
 なのですからね。
 ナギ様には神社が無い? 聖典が無い? っつーか体系化されたしっかりした「教義」が無い?
 でもそれって、一神教は多神教より優れているっていうのと、同じ発想ですよね。
 神社とか聖典とか、んなもん多神教のばあい後付けに決まってんじゃん。
 要は、その神様を信じられるか信じられないか、ただそれだけ。
 そしてだから、信じるために、安心を得るために必要なことがあればすれば良い。
 なんのために神様がいるのか、神社があるのか、それを考えていくことで、私達はもっともっと、安心して
 暮らせるものを手に入れることが出来るのかもしれませんね。
 まぁ、自重しろと思うこともあるけどね。 (爆)
 でもそれは、「萌え」を差別するだけのことに対しても、言えますよね。
 
 
 
 ヴァンパイア騎士ギルティ:
 この作品らしいといえば、らしかったんだけど・・・らしいまんまで終わってしまったというか・・・・
 小技というかキャラの関係性とかをよく消化して昇華もしてて、それはもう絶賛で、そこからいくつかのも
 のも見い出すことが出来て、だから賞賛は惜しまないんだけど・・・・
 なんだろう、感心とか感銘は受けても、感動しないんだけど。
 悪くない。 悪くないんだけど、たとえばそういう小技的なものが全部無かったとしても、それでも全然
 OK問題無い、このままぶっちぎれ!、とはどうしても言えなかったのよ。
 比喩表現の繋げ方から、それこそ沢山のものを生み出して、そして勿論感想を書ける余地はあるの
 だけれど・・・・感想を書きたいと言わせるほどの、なんていうのかな、決定的なほどの情熱が無いのよ。
 なんつーか・・・・完結しちゃってるというか、覚悟決まっちゃったというか・・・
 ほんとにもう、優姫という存在が決定しまって、その固定化された「人格」者としての言葉のやりとりしか
 無くなっちゃって、だから知的なゲームとしてなら贅沢に楽しめるけど・・・・なんか、気分的に美味しく
 無い。
 この作品は、褒めなくちゃいけない。
 私の価値判断からして、それはほんとにやらなくちゃいけない。
 だけど・・・・や、だけどとか言ってしまう自分が許せないんだけど、許せないからこそ褒めるのかよという
 自己批判もあるんだけど、でも褒めたいという事実は純粋に事実なんだから、素直に褒めればいいの
 よ的におもうのだけど・・・・・
 
 ぶっちゃけ、今の私だったら、ゼロを選ぶんだよねぇ・・・どうしても・・・ (それか)
 
 なんだろ・・ちょっと前だったら、今言ったような論法で、優姫が実際に言ってたような感じで、柩様を間
 違い無く選んだんだけどねぇ・・
 勿論悲愴感とかそんなじゃ無く、間違い無く前向きに、ですよ。
 枢様を抱き締めたい気持ちもわかるし、その気持ちのまま消えていくのでは無く、抱き締めているから
 こそお互い助け合って強く生きていこうとするっていう意味で、私も枢様ルートを選んだはず。
 そしてなんていうか、ゼロと枢様のそれぞれの立場的に考えても、ゼロの方が優姫にあちらに行ってくれ
 という意志は固い気がするんですよね。
 だから安直にいえば、柩様の方がより優姫を求めているというか・・・・
 ゼロ的には優姫にかのにっくきヴァンパイア緋桜閑(ゼロの立場的に様はつけられないのでご容赦を 笑)
 と同じく、自分の血を吸わせることで仇として付け狙うという、優姫との「絆」を獲得出来た訳だし・・・
 うん。だからさ。
 
 なんかその。
 どうも。
 私。
 
 ツンデレへの耐性が、劇的に深いところまで堕ちたみたい。 (陥落)
 
 ツンデレ理論で言ったらさこれ、完璧にゼロの方がツンデレ度は高いじゃん。
 や、ツンデレツンデレ言ってるからわかりにくいかもしんないけど、要はどんだけ突破しなきゃならないも
 のが大きいか、っていうその度合いの深さを測ってるらしいのよ、私はどうも。
 たとえば、優姫しかいない、という意味では柩様の方が度合いは深い。
 でも逆に考えたらさ、ゼロはその、柩には優姫しかいない、という事実を「飲み込む」しかない訳じゃない?
 だったら、その自分の「納得」というものそれ自体が、巨大な壁としてあるという意味で、ゼロの方が
 度合いは深いのよ。
 おまけにさ、この作品的に、特に優姫の立場からすると優姫はヴァンパイアとして孤高に生きるという
 ことを越えて、「ヴァンパイア」という人間とは異質なものとして生きる覚悟を決めたとしても、それでも人間
 との絆を結び、向かい合いわかり合おうとすることは出来る、いやむしろそうしてみんなとは違うという
 だけで、みんなと結びつこうとすることから逃げようとする、自分のみんなへのおもいはそんな程度なもの
 だったの?という、素晴らしいあくなき「異文化理解」を実践する者としての自我を確立したという、
 だから私はこの作品を褒めるんだけどさ、それはそれでいいのだけど。
 でもそれ、みんなの「外」に出ちゃってるじゃん。
 
 ぶっちゃけ、「ヴァンパイア」って、なによ?
 
 当たり前の話をするけど、ヴァンパイアなんて怪物はこの世に存在しない。
 存在するのは人間だけ。
 じゃあ、「人間」って、なによ?
 私はこれを、人の間で生きる者、と解く。
 んじゃ。
 人の間で生きるヴァンパイアも、人間なんじゃないの?
 つか、ヴァンパイアってのはただ、血を吸ったり超能力が使えるだけの、あとちょっと不死身に近い、
 そしてヴァンパイアという長く複雑な歴史と文化を持つ、ただの普通の人間でしょ?
 つまりね、ゼロか柩様かとかツンデレとか言ったのは、ここに繋げたかったからなのよ。
 この作品の、メインテーマって、このことだったんじゃないのかな。
 なのにこの作品は、それを放り出して、「モンスター」を製造した上で、モンスターでもモンスターとして
 生きていけるって言っちゃってて、結局「ヴァンパイア」を存在させてしまっている。
 この作品の目的は、そもそも「ヴァンパイア」の消化だったと思ってたし、だからなんか、感動出来なかった
 のかなぁ、やっぱり。
 人間社会から除外された、そういう「外れた」存在としてのヴァンパイアとしての自我を固めても、それは
 永遠にその人の間で生きる者達すべてがその構成員であるはずの「人間社会」を作ることは出来ない
 んじゃないかなと思う。
 ヴァンパイアの優姫が、あの学園の内と外のどちらにいるかで、実は本当はもっと優姫が探るべきだった
 自我の在り方が決まっている。
 ヴァンパイアとして生きる覚悟を決めた程度で、私は終わって欲しくなかった。
 そんなもの、駄目人間が駄目人間の自分を認めて駄目なまま生きてく覚悟を決めたのと同じこと。
 うん。
 
 優姫は、人じゃあ無いけど、「人間」でしょ。
 
 ヴァンパイアとして生きる覚悟が決まったんだったら、ヴァンパイア一族を人間社会に生きられるように
 するために、学園に留まりヴァンパイアの居場所を広げていくべきでしょ。
 困難といえば、ヴァンパイアとして日陰に生き続けることの何百倍も困難だけど。
 そうしなくちゃ、そうしようと思わなくちゃ、それは「人間」としては生きてないんじゃないかな。
 ヴァンパイアがヴァンパイアをやめて人になることは不可能。
 けれど、徐々にでも自らの存在を明らかにし、伝え理解を広め、ときには戦い、ときには笑い合い、
 それでも「人間社会」の一員として、内からそれを変え本当に幸せに生きられるよう目指すことは、
 必ず誰にでも出来る。
 それを鮮やかに宣言することを、この「ヴァンパイア騎士」という作品には求めていました。
 どんなに上手くても、褒められても。
 一段階、足りない。
 その一段下で、どんなに悲愴的に前向きに自我を深めても人格者になっても。
 私は、感動も出来ないし、尊敬もまた、出来ません。
 つか、いつまでも「悲劇」にすがってんなよ、まったく。 (問題発言)
 とかいって、第三期があるのなら、それはもう期待してやみません。 (ぉ)
 
 
 
 魍魎の匣:
 出来れば、語りたくない。(ぉぃ)
 たぶん他の巻もアニメ化するでしょーから、さっさとそっちをやって貰って、どんどんやって貰って欲しい。
 うん。
 よくわかんなかった、という言葉で飾っても、私的には違和感が無いの。
 うん。
 ビジュアル。
 うん、素敵でした。
 CLAMPをキャラデザに持ってきたのは、大成功だったとおもうし、演出もまた抜群に効いてて、そういう
 意味では、「論理では読まない」魍魎の匣というのを、実に面白い形で顕現したと思う。
 確かに足りないなにかがあるのはわかる、けど、それを暴き立てることにこそ、力が入らない。
 なんかね・・・・
 たぶん、陽子にシンクロしちゃってたのかもしんない。
 というか、なんかすがってすがって、縋りきり人生のまま美麗な銀幕の手前を駆け抜けた、みたいな
 感覚?
 そうしてるだけの自分を、暴かれてしまっては困る、みたいな。
 そして最後に陽子は追い詰められ、自分で自分のその銀幕の手前の人生の息の根を断った。
 それで、お終い。
 陽子自身は死んではいないけれど、それで、陽子はお終い。
 だからきっと、そこで初めて、一瞬の輝きを持って、この作品に対する不満や足りないところを打ち上げる
 作法こそが、最も「正しい」と、なんだか普通に思えました。
 あ、打ち上げたから、証拠は隠滅ってことよ? だから不満とか足りないとことかもう私には証明でき
 ないのよん、だから語りたくないって言ったのよん♪ (ぉぃ)
 このまま・・終わらせてあげて・・・
 そんな、感じ。
 そして私は。
 
 そんな陽子が、嫌いじゃない。
 
 このアニメ「魍魎の匣」は、破滅の物語。
 そう。
 滅びの美学でも無い、本当に「終わってしまう」だけの物語で、それに対する感慨すらも無い世界。
  所詮人は救われないというただ厭世感に浸って終わるだけの世界でも、無い。
 うん。
 たぶんね、あの映像はね。
 ただ、人は救われない「こともある」ということを示して、だからこそ終わるものもあれば始まるものも
 あり、始まりもあるからこそ終わりもある、ということを簡潔に描き出していたんだと思うのよ。
 頼子が救われなかったのも、そう。
 頼子のお母さんの悲しみたるや想像を絶するけれども。
 頼子は死んでしまったけれども。
 あのお母さんは、生きている。
 加菜子は死んでしまったけれど。
 陽子は、生きて、いる。
 人はなぜ人を殺すのか、殺されるのか。
 それはね、関口君。
 
 運が、悪かったからさ。
 
 思い詰め、狂い詰め、「動機」の中の旅路についた上で。
 たぶん誰もが、その出発点へと戻っていくんじゃないのかな。
 動機とは後付けで、動機なんて誰でも持っている、けれどその動機を持っている人に通りモノ、つまり
 「魔が差した」瞬間があったかどうか、それだけがそこにある。
 犯行が可能な瞬間が訪れたか、その瞬間の前に飛び出してしまったかどうか。
 これは善悪の話では無く、ただ。
 生きるための、物語。
 陽子が、頼子のお母さんが、そして、私達が。
 動機と罪悪感の迷宮へと迷い込む、久保の「匣の中の娘」の風景と、その中と外を行き来する関口
 を使うことによって、この作品は同じように死ぬことと生きることに苦悩する、その「言葉」の地獄を
 描き出し、そして。
 すべてのそれらを最後に近親相姦という「物語」に囚われる陽子にひっ被せ、そして。
 落とす。
 京極堂こと中禅寺敦彦の憑き物落とし、アニメにても、見事に決まった。
 言葉や物語や動機は自分では無く、自分を覆う「匣」のようなもの。
 どんなにその匣の表面を塗りたくったとて、それはそれだけのこと。
 匣の中には、なにも無い。
 いえ。
 ただ、かつて「罪」であった、真っ黒な干物のようなものが残っているだけ。
 人は匣でも無ければ匣の中でも無く。
 ただ、匣を持って、生きているだけの存在。
 雨宮のように匣を抱き締めるも、陽子のように匣の中身を打ち上げるも、自由。
 あの映像をどう見るも自由。
 脳は肉体の鏡にしか過ぎないと思うも、脳に映るものだけが世界のすべてと思うも自由。
 これは善悪の話でも無く、真実を探るお話でも無いし、救い救われるのお話でも無い。
 じゃ、なんだろね。
 わっかんね。
 『悪者、御用じゃ。』
 と、花咲く花火の下で、女の手に錠を掛ける男の話、ってことにでもしておけばいいんじゃない?
 もしくは、匣の中の娘を抱えて、尽きぬ旅路へと赴く男の話、でも。
 無粋なことは無しにして、ただただ、あの幻想的な映像に浸るのも、良いんじゃない。
 
 
 『それでも、私はなんだかひどく、男が羨ましくなってしまった。』
 
 
 だから、こうして「言葉」を書いてしまうのですよね。
 あー、だから語りたくなかったっての。
 
 
 
 
 
 ◆
 
 うん。
 たっぷり書いたね。 (満足げに)
 二部構成にすると、一部当たりにざくっと書けて、なんだかお得気分♪ (意味不明)
 とまぁ、こんな感じですよ。
 これで前期終了作品については全部語り終わりました。
 お待ち頂いた方々には、御礼申し上げます、っていうか遅くなってごめんなさい。
 まぁ、うん。
 前期はその。
 
 すんごい、豊作でした。
 
 こんな充実していたのはたぶん初めてでしたね。
 レベルの高い作品も堅実な作品も大爆笑な作品も色々あって、アニメファン冥利に尽きまくりで
 御座いました。
 うんまぁ。
 そういう感じで、終わった作品についてはまたいずれちょいちょい言及することもあるかもですので、
 そんときはまた色々よろしくです、はい。
 んでは、さくっとあっさり、今回はこれにて。
 お疲れーっす♪
 
 ・・・。
 
 
 やばいまだ全然書き足りないっていうか執筆中毒じゃねこれやばいんじゃないのこれやばいやばいやb
 
 
 
 さぁ、そのハイテンションのまま、もう一個の方いってみよう! (そういえばもう一個やるって言った言った)
 
 
 
 
 
 
 

 

-- 090120--                    

 

         

                           ■■書きっぱなしハイテンション■■

     
 
 
 
 
 改めまして、ごきげんよう。
 
 あーなんか訳わかんなくなってきた。
 あっちの文章の方が2なのに、こっちは無印なのに、こっちの方を後に書いてるんですよね、だから、
 今から書き始めましたみたいな挨拶しとくべきなのに、いきなりこの人改めてとか言っちゃってるよもう、
 普通に訳わかんないまま行くしかなくなっちゃったよもう、ていうか限りなくどうでも良いことになんでこん
 な引っ掛かってんの、そんなところで引っ掛かっては駄目と誰かに頭叩かれそうですよ、あ、みなみけネ
 タですけどね、うーわー読みにくい読みにくいよこれさっそく、もっとテンション落として落として色々もた
 ないよっ!
 
 さて。 (一息)
 
 
 
 改m、じゃなくて。
 ごきげんよう、皆様の紅い瞳です、ごきげんよう。
 お見苦しいところをお見せしまして、大変失礼致しました。
 どうもこれまでの三ヶ月間アニメの連続感想を書かずにいたのが、相当に堪っていたらしく、そもそも
 それは英気を養うための休息期間だったのが、英気以上のものが養われてぐーんと育ってきて、そして
 いざ夏目とマリみての感想を書き始めたことで、一気に大爆発の様相を呈してきたようなのです。
 その上、実は古い知り合いがやっているブログが、なにがあったか存じませんけれど、急にほぼ毎日更新
 を始めて、しかもかなり内容が濃かったものですから、私も負けてはいられないと、無いものも取り敢えず
 (時間とか時間とか)、こうして爆発したテンションのままに書き綴りを続けている、というのもあります。
 見栄っ張りな私が久しぶりに怖いです。
 次回辺りからはもっとボリュームを下げて、まったりと爆発の均衡を探っていきたいとは思っています。
 たぶん。
 
 
 さて。 (気合い再注入)
 
 
 まずは、まだぷちっと感想を書いていなかった今期アニメの残り話をばさせて頂きます。
 はい、どうぞ。
 
 
 黒神:
 第一話は見事に録画失敗で途中までしか観てないので割愛。
 そして第二話で、ええと、まだよくわかりません、ありきたりっちゃありきたりだけど、なんかこのまんまやった
 らどうなるのかとか逆にわかんないので継続です、家に着くまでが修学旅行ですみたいな。
 つまり特に感想は無しよ。 (いきなりそれかい)
 
 源氏物語千年紀Genji:
 光の君の煌めき具合が半端無い。・・・。これ面白い。
 ちなみに私は源氏物語初心者です。 よろしくお願いします。 (なに)
 
 鋼殻のレギオス:
 これは無い。
 キャラも思ったより可愛くなかったし、もういいよ。 (ひでー)
 
 屍姫 玄:
 あのエロオタク×2を誰か止めて。 (泣きながら)
 あとはまぁ、期待していますし、二話まで観たけど割と信頼しています。
 裏切ったらあなたを殺して私も死ぬ。
 まぁあれだ、未練や執着も、性(さが)を畏れるひとつの性なんじゃないかな。
 勿論、自分で決めたなにかも、ね。
 執着の対立項として性を持ってこなかったのは秀逸。
 
 
 
 と、こんな感じ。 ていうか感想か? これ。
 で、忘れてましたけど、リストアップ。
 
 
 月: (ソウルイーター)・続夏目
 火: まりほり
 水: (とらドラ)・マリみて4
 木: (銀魂)・Genji
 金: (黒執事)・(サンレッド)
 土: (地獄少女三鼎)・(とある魔術)・屍姫玄
 日: (ダブルオー2)・みなみけ3
 
                              :全14作品 ()付きは前期以前よりの継続作
 
 
 黒神は保留、面白ければリスト入り、ということで。
 って、前期より増えてんじゃん。 減らないね!
 まぁ、半分以上が前期以前からの作品ですから、新作は少ないですね。
 おまけにそれらも続編モノが多くて、完全新作は今期は、まりほりとGenjiだけですね。
 うん。
 まぁ、うん。
 今期はそのまりほりと、みなみけ3と続夏目とマリみて4でOKですね。 いやですねて。
 うん。
 なんか言いたかったんだけど、忘れた。 忘れたからいい。
 
 
 
 んで。
 そして、みなみけおかえりですよ。 第二話ですけどー。
 うーん、最高ですね。
 千秋の加速ぶりがすごい。
 そしてついに夏奈がやってくれました。
 『数学の問題だ。
  三分の一のお菓子と二分の一のお菓子では、どちらが美味しいお菓子でしょうか。
  なお、春香の帰りは遅いとします。』
 隣にいた藤岡は早速指を折って「数学」を始めます。これは問題外。
 千秋はといえば、当然藤岡のようにはいかないけれど、しかし「なぞなぞ」クイーンの千秋様としては
 退く訳にはいかない、っていうか冬馬が持ってきたお菓子をこのままでは夏奈に独占される、ていうか
 私も食べたい、出来るなら、「美味しく」。
 春香姉様が帰ってきて三等分した方が美味しいか、それとも夏奈と山分けした方が美味しいか、
 どっちがほんとうに「美味しい」のか、春香への気持ちと一緒に食べること、それと食欲を噛み合わせた
 千秋の長い計算が始まります。
 『邪魔な千秋は固まった。』
 夏奈さんすげー(爆)
 第一期のときの大回転ぶりとは違い、この頭の回るがゆえに周回運動にはまってしまう千秋の特性を
 よく理解している天才策士ぶりと、お菓子を独り占めするためのあくなき馬鹿っぷりが堪りません。
 そして結構、夏奈ってば常識派でもあるんですよね、やっぱり。
 藤岡が突飛な逆回転を始めて飛びかかってきた(笑)ときも、素で拒絶したりするし、なにげにこうなる
 と千秋の方がよっぽど非常識人だっていうのは滲んでて、やっぱり面白い。
 
 そして今回、その千秋さんとあのほさかがニアミスっていうか接触しちゃう訳です。
 
 夏奈なら、なんかあいつ怖いよとか割と常識的に目を逸らすだろうに、千秋は凝視した上に変な歌
 まで覚えて帰ってくるし(笑) まー、夏奈は独り舞台な人ですからね、やっぱ。
 千秋の場合はそもそも理屈が通りさえすれば夏奈並にアホなことを素でするし、夏奈はまぁあれは
 ほとんど確信犯ですよね、で、千秋のさらなる魅力は「子供」だってとこですね。
 理屈が通る通らない以前に、理屈を頭に思い浮かべてないときの千秋は、そもそもなんでも無抵抗に
 受け入れちゃう。
 ほさかの話の前のシュークリームの件も、結局あれ、夏奈は確信犯、千秋は知らずにけどそれなりに
 整合性をつけて夏奈と共犯になっちゃってる(あれ絶対元はシュークリームじゃなかったよね 笑)しね。
 天使のわっかのあれも理屈の帰結としての夏奈承認、じゃーないですよね、やっぱり。
 で、ほさか。
 速水先輩の奸計にはまる、の巻。 速水先輩すげーww
 
 けど、ほさかは、もっとすごい。 (お腹痛いwwww)
 
 もう変態ってレベルじゃないよ、犯罪だよww
 せめてその手をわきわきさせるのはやめろwww
 ほんと速水先輩の『あなたは近づかなければ無害が売りなのに。』って至言ww
 まぁあれですよね、ほさかはタイプ的には千秋に近いですよね、で夏奈は速水先輩に近い。
 天然と確信犯って感じですし、なによりほさかも結構理屈屋なんだけど、理屈が「通れば」なんでも
 OKみたいな感じですごいことするし、絶対千秋はあの人に会っちゃ駄目だよ!www
 絶対あれですよね、ほさかの「真面目ぶり」と意気投合したりしちゃうもん、「言ってることは間違ってない」
 からという観点で、言ったことのままに行動するほさかを尊敬しちゃったりしそうだもん、したり顔で夏奈に
 お前もあの人を見習えとか言いそうだもの、夏奈は引いちゃうもの、春香は・・・・・・まぁ、うん。
 千秋と夏奈のどっちともの要素持ってるし、正直わからんね、っていうかあんまどうでもいい。(ぉぃ)
 カレーの歌が面白かったし、それを口ずさむ千秋のだらけた感じがなんとも良かったし、うん、第二期に
 続いて、千秋プッシュな様相を呈してきたし、まずは切り口は決まりましたかね、第三期も。
 うん、第一期は夏奈プッシュでしたし、そのノリで第二期を否定してた人は、第三期も否定することに
 なっちゃうかもしれないので、お気を付けを。
 というか、むしろ千秋のあの感覚を感じ取って味わうのがまず最初の肝だと思いますし、そうすると第三
 期はあらためて夏奈とのコラボがより楽しめるような気がします。
 夏奈ファンとしての、私の新しい愉しみ方です、はい。
 
 
 
 んで、もいっちょ。
 
 当魔術師の工房は、「まりあ†ほりっく」を熱烈に応援しております。 (第二話時点)
 
 茉莉花のハズさないサドなツッコミ、鞠也の利己的な機転(笑)、そしてなによりかなこのどうしようも
 無さが凄い勢いでこんがらがって、絶妙なスパイスを利かせてます。
 どんなに被害者ぶって自分を正当化しようとしても(割と間違ったことは言ってないw)、言ってるそば
 から鼻血たらして全部が無駄にwwどんだけ欲望に忠実なのよこの子ww
 弱みを握ってるのに全然勝ってる気がしないというのはまさにそのまんまで、どんだけ鞠也に対して有利
 に立とうとも、鞠也の良く回る頭と、それ以上に鞠也の見た目に欲情する自分自身のせいで立場を
 瞬時に逆転される、というか利用されてしまう、そのあまりの脳内の停止っぷりと開かれっぷりに拍手せず
 にはいられないwwかなこグッジョブwww
 んで、鞠也がいないところでは、じゃあまともに上手くやれているのかというと、全然全くそんなことは
 無くて(爆)、普通に次々と目にする美少女達に脳内で鼻血たらしたり美少女万歳だったりで、
 そしてぐるぐると欲望全開の鼻血の海に沈んでるうちに、はい、鞠也また登場、かなこアウト。
 
 『ほんと、顔だけは極上ですよねぇ・・♪』 by壇上の鞠也をみつめて鼻血垂らすかなこ
 
 でもあんだけひっちゃかめっちゃかでも、あほでもあほでもあほ過ぎても、かなこはそのぐちゃぐちゃの
 負けっぷりの中でも、あんだけ楽しんでるんですからすごいというか、隆顕と鞠也のやりとりの影響という
 かその迷惑を100%頭から被ってるのに、全然挫けずに(というか挫けながら?w)ツッコミ入れたり
 割と胸張って正論言ったりするかなこがすごい。
 うわー、やばい。
 それはへし折られるフラグですwwwww
 理屈なんかひとつも使わずに「こんな脂肪の塊のどこが偉いかぁ!」とかなこの胸をひっつかむ鞠也さん
 の素敵なへし折りっぷりきたwww
 胸全然関係無ぇwww完全無欠に論(?)点がズレてるのに、それに完全にひきずられるかなこも
 すげーwwwそこは突っ込まないんだww
 で、こうなるとやっぱり鞠也の魅力が半端無い。
 見た目も可愛いけど、その根性の徹底さが素晴らしい。
 つか、完全に性別的ななにかを越えてるし、女になる気はゼロなのに、「女の魅力」が「男」の俺に出せ
 ない訳が無いっていうか、超自信が清々しいのよね。
 女になるんじゃなくて、男のまんま、女より女らしい魅力をみせてやる!、みたいな。
 
 『世間的にはただのオカマですけどね。』 byファッションリーダーとか嘯く鞠也に突っ込む茉莉花さん
 
 この揺り戻しがたまんないwww茉莉花さん半端無いwww
 一般論常識的正論上等の境地から、しかもそれを信奉する自分の言うことは正しいのよ、という
 アホ以外の何者でも無いかなこを、快刀乱麻よりも鮮やかに一刀両断でぶっ潰す、非一般的非常識
 的暴論上等の境地からきっちり自分で(おまけに正論でも余裕で)勝負する凛々しい鞠也を、
 でも変態ですよねそれ、とあっさりと普通に刺す茉莉花さん。
 あー・・この三者構造は完璧ですね・・・つか、だからこそ、かなこの中の非常識、鞠也の中の常識、
 そして茉莉花さんの実在感の無さが活きてくるんですよねぇ、それが笑いになってるというか。
 あと、かなこさんの守備範囲が滅茶苦茶広いのがすごいしww、逆に鞠也の守備範囲が無いというか
 守備する気ゼロさ(つまりナルシストww)が際立って、そしてだから同時にかなこの無差別な獣ぶりwも
 またどんどん加速していってるよね。
 
 鞠也の魅力のひとつは、女だろうと男だろうと容赦せずに、冷徹に見定めて見下していじり倒すところ
 にあるし(といってもそれが好きという性癖でも無い)、それはかなこを始めとする女の「秘密」の暴きでも
 あり、女達が秘密ぶって隠したり上等ぶったりすること自体の、その全然「隠せていないぞこら。」という
 ツッコミを以て、その「秘密」の絶対性と、それに頼るアホなくせに大きく深く見せようとする、女のさもしさ
 と、そしてなによりもその「必死さ」を解除する、いえ、解除してくれる、そういう意味でかなこにとっての鞠
 也というのは、ひとつの安心を与えてくれる存在でもあるのでしょうね。
 自分を隠そうとすること自体は否定せず、隠すならもっと上手く隠せとその女装した上に人望まで集めて
 しまうというその完璧な隠蔽っぷりで魅せ、けれどその隠蔽の達人の境地から、徹底的に女達の採点
 をしてこき下ろし、そうすることによって、「隠す」ということが相対的なものでしかないことを示す。
 隠蔽としての美は、女の道具のひとつであって、女のすべてでは無い。
 それが女のすべてだったら、逆に完璧なものとして磨くことなんぞ出来やしねぇぞこら。
 という、「美」と「自分」を分断出来る、紛れもない「男」の理屈が、かなこには眩しいし、またひとつ、
 憧れとしても映っていくのでしょうね、やっぱり。
 言い方かえれば、そうして自分を見つめていくことで、その鞠也の理屈を使って成長してくかなこが
 いるのかもしれんね、うん。
 んで、その辺りの細かい演出がきらきらとちゃんと輝いていて、あ、強引な演出の影にはこういうもの
 が出てくるし効果があるのかとか、なにげに鞠也のしなやかぶりやかなこの必死さぶりもよく画面の背景
 と馴染んでいて、なんだか見ていて抱き締めたくなるような、独占したくなるような、そんな「切なさ」すら
 も感じられちゃう。
 それで、あのOPでしょう?
 これはもうやられちゃったわ。
 やる気満々で上気した鞠也がかちっと「女」のまんま、「男」っぽく駆け回るあの感じ、他の抽象的な
 表現の中でのそれが、あー、なんか高等部に上がってこれからの、新進気鋭の「祇堂鞠也」そのもの
 を顕していて、なんか、うーん、気持ちよかった。
 さぁいくぜ、俺色に染めてやんぜ! みたいな、その感じ、最高です。
 
 うん、これ好き。
 これ好きだわ私、まりあ†ほりっく。
 これひとつください。 (ぉ)
 
 
 
 
 と、いうところでしょうか。
 んー、他にもなんか書くことがやっぱりあったと思うんですけど、力尽きた。
 やっと止まった。 もう起こさないで。 ←机に突っ伏して
 
 ということで、雑文駄文乱文のオンパレード行進全開で御座いましたけれど、立つ鳥跡を掃除せず
 とも言います通り、散らかしたまま足りないものも補足せずに、このままどこかに飛び出しちゃいます。
 だってハイテンションなんだもの。
 
 
 お疲れ様で御座いました。 (皆様)
 
 
 
 
 
 
 追記。(追い打ち):
 こ の 景 勝 様 は 盛 り 立 て た い 。
 やべーまじでハマってきた。
 兼続との主従コントも良ければ、兼続いうところの「なんにも良いとこ無い」景勝様の狼狽えっぷりが
 、なんか無性にそそる。(ぇwww)
 なにこの盛り立ててあげたい臭いは、なにこの寡黙な男のヘタレ臭は、うわーうわーわふー。 (なに)
 そしてばっちりお調子者の兼続にシンクロ。予定調和。
 ああなりますよね、やっぱり、わかります。
 天下の器には と て も 見 え な い け ど 、別に構いません、なんかめっちゃ兼続に共感しちゃったもの。
 うん、これはもうほんと、一部で大人気かもね、このカッ○リングとか。 (マテww)
 とにもかくにも、景勝様と兼続のやり取りがいちいち面白いんで、その、ハマります。 (あーあ。)
 あーあと、なんか微妙に「家族」的な感じがあったかいので、うん、御館様とか、仙洞院様とかのほうね
 むしろ、あれなんかもいい感じでてます。
 ということで、紅い瞳は大河ドラマ天地人にハマっていると、ここに宣言致します♪
 
 では、そういうことで。 (どういうことよ)
 
 
 
 
 
 
 
 

 

-- 090118--                    

 

         

                                 ■■ マリア様の妹 ■■

     
 
 
 
 
 『瞳子ちゃんのエイミーは、生き生きとして素晴らしかった。
  生意気だったり、意地っ張りだったり、可愛いエイミーを魅力的に演じていた。』
 
 

                     〜マリア様がみてる4thシーズン・第二話・祐巳さんの言葉より〜

 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 ごきげんよう、紅い瞳です。
 本日は、マリア様がみてる4thシーズン第二話についてお話させて頂きます。
 
 今回のお話は、可南子と祥子様メインに読み解いていきたいと思います。
 本当は、「読み解く」という行為では無く、誰かひとりを選んでその一人称でなにかを書いてみた
 かったのですけれど、このお話はそういう感じでは無かったので、出来ることをやっていきたいと思います。
 では、早速。
 
 
 
 
 
 ◆
 
 まずは、可南子。
 最初はよくわからなかった、というのが正直なところです。
 どうにも、可南子の「男嫌い」のそれと、今回のお話で描かれた家庭事情のそれが結びつかなくて。
 要するに、自分の父親が離婚して、そして自分の元教え子であり可南子の先輩でもある有子と
 男女の仲になってしまった(籍を入れたのかどうかは不明)ことで、男嫌いになってしまった、という
 ことでまとめてしまっているようで、これには戸惑わざるを得ませんでした。
 それは、自分が男を嫌いであるということの後付け的な理由にはなれど、それが直接男嫌いの原因
 になるとはとても思えなかったものですから。
 それで父親が嫌いになるのは良いとしても、それで男全般が嫌いになるというのは不自然で、むしろ
 他の男性に自分の父親には無かったものを求めるのではないかと思いました。
 或いは父親が嫌いだからこそ他の男を求め、或いは本当は父親への当て付けの意味も込めて男を
 見ようとするのでは、と。
 それが、第一印象でした。
 
 その戸惑いが、しかしまた同時に、他の視点を持ち込むことを可能にしました。
 可南子は、父親と母親の、一体どちらを嫌っているのでしょうか。
 第一印象では、言葉通り父親を嫌っている、というのを私は採用しました。
 しかし、映し出される可南子の表情と仕草を見れば見るほど、可南子は父親のことをなによりも愛して 
 いるからこそ、父親のしたことが許せない、だから「なんとかして欲しい」という、むしろ絶縁という切り札
 を振り翳して更正を迫るという、なによりも深い父親への執着がわかってくるのです。
 けれどその切り札の使い方がよくわからないがゆえに、ただただ父親をなじることで、父親自身にすべて
 を委ねてしまっているところに、ただ可南子が父親を激烈に嫌っているという姿が見えただけなのでしょう。
 
 では、母親に対してはどうなのでしょうか?
 第一印象を元にすれば、可南子は母親のことを想えばこそ、父親に厳しく当たっているようにも見えます
 けれど、しかしちょっと立ち止まって耳を澄ましてみれば、可南子の憎悪は母親にこそ向かっているのが
 わかります。
 自分の仕事のために、そのストレスのために夫を、家を、娘を捨てた母。
 可南子の語る「母」の数と色彩は乏しく、あくまで父親ありきの母、という言葉の上でしか、その可南子
 の母親は語られていませんでした。
 可南子には、女性の社会進出だとか働く女の意識だとか、そういうものが見られないのです。
 少なくとも、仕事に向かう母親を応援し、それに貢献出来ない父親をなじる、という方向性がまるで
 無いのです。
 おそらく本質的に、可南子の目には母親は自分勝手な女、として映っていたのではないでしょうか。
 そうすると、だいぶニュアンスが変わってきます。
 可南子からすれば、本当のところは、そうした勝手な母に従い、挙げ句そんな相手を思い遣って離婚
 までしてしまう、むしろその母のために離婚してしまう父の弱腰をこそなじっていたのでしょう。
 可南子が見ているのは、あくまで父親。
 けれどその父親が見ているのは、あくまで妻である母親。
 可南子にとって、それは・・・・・
 
 けれど、その構図だと、あらぬ誤解が出てきます。
 
 可南子は、父親に自分のことを見て貰いたいのでは無い。
 可南子にとって、父親は「父」であって、「男」では決して無い。
 けれど、父を「男」として見て、母なる「女」から、娘という自分の「女」が父を取り戻さなくては、もう、
 どうすることも出来ないのかもしれないと、思い詰める。
 おそらく、だからこその「男嫌い」なのかもしれません。
 父を「男」としてなど欠片も見ていなく、また見たいとも思わないのに、そう見ることでしか、父を取り戻す
 ことが出来ないとしたなら・・・
 ますます、母親のことが「女」として見えてきて、それは全くの「敵」として見えてくるのかもしれません。
 「女」は敵。
 「女」を求める「男」も敵。
 だから世に満ちる、無論父の中にもある「男」を嫌い、憎む。
 「男」があるから「女」がある。
 私は、「女」になんかなりたくない!
 それが、元々持っている、もっと深いところにある可南子の「男嫌い」の本質でしょう。
 そして、繰り返しますが、「女」にならなければ父を取り戻すことは出来ないと思い詰め、そうなれば
 なるほどに、父を「男」として見なければならなくなるのです。
 けれど、肝心の当の可南子自身は、自分のことを「女」とは思えない以前に、自分の中の「女」を
 見つけることさえ出来ないのです。
 問題とそれへの取り組み方がわかっても、自分にはそれをこなす力が無い。
 どうすることも、できないなんて・・・
 そして、実は可南子の母親は、「女らしくない」女だったのでしょう。
 仕事に精を出し、力強く世に出て行く、その凛々しい人にすら、しかし「女」はやっぱりあるなんて・・・
 
 そして、あろうことか、今度は父親は、可南子の先輩の夕子に「手を出す」のです。
 可南子の父親と結ばれる以前の夕子のことはわかりませんけれど、私はこちらは逆に、むしろ非常に
 「女らしい」女だったのではないかと思います。
 現在の夕子の様子からもそうですけれど、なにより可南子の夕子に対する様子からが、その想像の
 根拠に占める割合が大きいのです。
 その可南子の様子というのは、夕子に対して全く悪感情を抱いていない、というところを指します。
 むしろ、可南子はかなりの好意を夕子に対しては抱いているのです。
 「女らしくない」母親への代わりの愛情、というのは幾分短絡かもしれませんけれど、しかし逆に考えれ
 ば、可南子は本当は「女」というものを求めていて、そして安心して「女らしく」ありたいと思っていたと、
 そうも言えることでしょう。
 母親は「女」を抑圧し、けれど抑圧し切れずに「女」はねじれて汚れ、父親を惑わす毒となってしまう、
 という恐ろしい自分の未来を可南子は見ていたのかもしれません。
 それは、「女」という大人になることへの恐怖。
 けれど可南子は、大人になるという、その当たり前さを求めてもいるのです。
 安心して、健やかに、「正しく」、大人の女になっていきたい。
 可南子にとって、夕子はまさにその理想像だったのですね。
 「女」らしくありながら、健全にいやらしさも無く爽やかに笑う優しくたおやかな先輩。
 たおやかかどうかは微妙なところですけれど(笑)、これは祐巳さんにも通じる人物像です。
 蓉子様と聖様が夕子は祐巳さんに似ていると言ったのも、わかる気がします。
 
 そして、その親しい夕子先輩が、「女」として「男」の父親の手に堕ちてしまう。
 可南子の頭の中で、陳腐でしかしとてつもなく酷烈な、教師が教え子の未来を奪ったというイメージが
 膨らんでいたことでしょう。
 このとき、可南子の中では、夕子の「女」は完全に無視され、父親の「男」の部分にばかり焦点が
 当てられています。
 それが、可南子の限界点。
 夕子までを敵たる「女」として倒すことは、可南子には出来なかったのです。
 なぜか。
 
 可南子には、目的があったからです。
 目的があったからこそ、破滅だけは防がなければならなかった。
 では、可南子の目的とは?
 
 
 それは、「家族」の再構成。
 
 
 基本的に、私はずっと誤解をしていました。
 可南子にとっては、初めから「女」や「男」などただの方便でしか無かったということが、わからなかったので
 す。
 可南子は、方法論を誤っていました。
 「女」や「男」を使った方便では、少なくとも今の可南子ではなにも出来ないとわかっていたところまで
 は良かったのに、そこからなぜ自分が「女」や「男」に拘るのかを考えなかったのです。
 可南子はただ、家族を作り、その中で普通に生きて、「正しく」大人になりたかっただけなのです。
 母親のことも父親のことも、それらを「女」として「男」として見ることは、少なくとも「可南子側」から
 見れば、ただの幻想にしか過ぎない。
 可南子に近親相姦的な願望は、全くありません。
 そもそも、可南子は自分の中の「女」を見い出せなく、その見つけられずに、その自分の目の届かない
 ところで勝手に「邪悪」に成長して「男」を惑わす「女」が育ってしまわないかと、それを心配するあまり
 に、父親と母親をそれぞれ「男」と「女」として見立てて、警戒していたに過ぎないのです。
 つまり、可南子はただの、子供です。
 自らの中に「女」があろうとなかろうと、それを「見つける」ことが出来ない限り、「女」に「なる」ことは
 ありませんし、無論「男」と出逢うことも無い。
 恋なんて、可南子にとってはまだ先のこと、せいぜい恋に恋したりそれを恐れたりする程度のことなので
 すね。
 だから可南子にとって、父親はあくまで父親であり、母親はあくまで母親。
 だから、家族が欲しい。
 可南子の母親への憎悪は、実は父親を嫌うことのその根っこにあるものと全く同じ。
 母親にも、帰ってきて欲しいんです。
 けれどおそらく、可南子から見て、この離婚はもう決定的な事態であり、もう二度と修復不可能な
 ものとして映ったのでしょう。
 だから母親に戻って貰おうということはほとんど諦めていて、それゆえに母親に関してはもう論じる意味が
 感じられなかったのでしょう。
 けれど、父親は今自分の目の前にいる。
 いるのだから、父親と、「家族」をやり直さなきゃいけないのよ。
 そのために必要な理屈を、可南子は既に用意していたのです。
 離婚は双方のために良かったことで、誰も傷つけないためには一番まともな方法だったのだと、
 前へと進むためにも可南子はけじめをつけていたのです。
 それが、父親が夕子に手を出したことで、頓挫してしまった。
 それは、「父親」の、「娘」に対する裏切り。
 なんでよ、なんとかしてまたやり直そうと、これからふたりで頑張ろうとしてたんじゃないの。
 両親が離婚しても、それは辛いことだけど、でも私はそれでも頑張れる、そんなことで挫けるほど私は
 情けない娘じゃない、私はお父さんがまだいるなら・・・私は・・・まだ頑張れるのに・・・
 『お父さんなんて、最低!!』
 
 
 その最低な父親に恋をした女が、目の前にいる。
 
 
 なぜ、可南子は夕子のことを怨まなかったのでしょうか。
 どうして、父親と夕子の間に出来た子を憎まなかったのでしょうか。
 それは、気づいたからです。
 家族は、「愛」によって出来ているのだと。
 それは間違いなく、妻と夫という、「女」と「男」の恋から始まっているのだと。
 そして、父と母が娘を愛し、娘が父と母を慕う、その愛で培われていくのだと。
 ならば、「女」というものは、まさに家族を作る礎のひとつということになるのです。
 父は母を愛していた。
 母は父を愛していた。
 男として、女として。
 当たり前・・・・じゃないの・・・
 可南子にとっての家族の構成要素は、「父」「母」「いずれ母になる娘」しかなく、
 「妻」「夫」「いずれ妻になる女」が無かったからこその、一連の迷走があったのでしょう。
 目の前の、「女らしい」大好きな先輩が、父親の「男」に恋をしている。
 自分の父親のことを好きだと言った? 好きだと言ってくれた?
 違うわ。
 そんなこと関係無いわ。
 
 夕子先輩に、好きな人が出来たんだわ。
 素敵な恋を、健やかにすることが出来たのよ。
 
 夕子先輩は自分の父親に汚されてはいない。
 父もただ、夕子先輩のことを愛した。
 そのふたりの、愛しいふたりの娘として、私ももう一度、家族を生きたい。
 可南子の、「女」の受容。
 そこで、一度は頓挫した可南子の家族再構成計画が、ようやく、日の目を見たのです。
 そして、そこにはさらに新たな、「姉」という席が用意されていたのです。
 父親と夕子の間に生まれた次子(ちかこ)を、深く愛しく見つめる可南子の瞳には、その母である夕子
 が映っている。
 私も、「女らしい母」になれるかもしれない・・・
 そして・・・
 
 胸に抱いた、その「妹」の瞳の中に
 
 「女」になった「姉」の、自分の姿を、可南子は深く、そして健やかに「正しく」感じたのでしょう。
 
 
 安心した可南子。
 もう大丈夫と太鼓判を押した、可南子に慕われて(?)いた祐巳さん。
 その可南子と祐巳さんを見つめていたのは。
 
 祥子様。
 
 
 
 ◆
 
 キーワードは、「安心」です。
 あるいは逆に、「虚」と言ってもいいです。
 祥子様は今回のラストで、なんと祐巳さんに妹を作れと命じるのです。
 スールになってから一年のこの日に、特別なことをするつもりは無かったというその祥子様の真意は、
 祥子様にとって、祐巳さんと過ごす日々はすべてが特別だからこそ当たり前のもので、だから今日も
 また特別ではないただの一日として過ごしたかった、というものでした。
 これは、「安心」です。
 そして大元にあるのは「虚」の意識です。
 毎日が奇跡のような特別の一日だからこそ、毎日が特別だという意識が無ければ、その一日一日を
 過ごすことすらままならない。
 私の瞳の中には、かつての祥子様の苦悩がありありと浮かんできます。
 「奇跡」と「地獄」は同じもの。
 なにも感じないままに、終わってしまうことが常態。
 あまりにも刺激が強すぎて、なにも「特別」なことが無くなってしまう日々。
 祥子様の言う「特別でないただの一日」は、幸福と不幸の意味を同時に兼ね備える言葉。
 祥子様は不器用な方です。
 なによりも、なによりも、不器用なのです。
 不器用ゆえに、沢山の与えられたものから、幸せを作るのが難しい。
 作れても、その幸せを、幸せとして、特別なものとして上手く認識することが出来ない。
 だからこその、儀式やパフォーマンスを以て、「形」から入る必要性を、祥子様はなによりも深く感じて
 いたのです。
 飾り立て、毎日のささやかな幸せを形にして、それこそ365日お祭りにしたいくらい。
 そう。
 
 本当は、特別は、無数に存在しているのです。
 特別な日で無い日は無いどころか、特別で無い瞬間すら、無いのです。
 
 祥子様は不器用です。
 不器用で、真面目な方です。
 だから、それと全部向き合おうとする。
 向き合えないなら、形に出来ないくらいなら、なにも無かったことにしてしまいたい。
 完璧主義者。
 特別でない一日が存在するのはだから、その日が虚しいから。
 祐巳さんと過ごす日々はすべてが特別だからこそ当たり前のもので、だから今日もまた特別ではない
 ただの一日として過ごしたかった、というのは、ただ虚無を恐れる祥子様の詭弁的方便でしかない。
 けれど、その方便を用いることで、その特別な日を特別でないただの一日とすることで、祥子様は、
 一握りの「安心」を手に入れることが出来るのです。
 
 今回の祥子様の、あの祐巳さんに対する表情には、人として大いに「違和感」を感じました。
 祥子様の詭弁は、実は理屈上の話のことであって、そもそも祥子様は理屈で以てご自分を説明なさ
 ってなどいません。
 論理的には矛盾しますけれど、祥子様のその「安心」は、実は本物です。
 今述べてきた祥子様の詭弁的「理論的」安心とは、全く別の安心が祥子様にはあるのです。
 無論それは、祐巳さんとの生活の賜物です。
 祥子様は虚しい虚しいと思い考えながらも、確かに自分が深く安心していることを感じて、自らが
 理屈をこねて創り上げた「安心」とそれが、大いにズレていることもまた感じているのです。
 こんなに虚しいのに、どうしてかしら、祐巳を前にすると、微笑みが零れてしまうのは・・
 それが見栄張りや演技としての微笑では無いことを、祥子様はご存じです。
 むしろ、その微笑を止めようとする自分すらいるのですから。
 なにもしなくても、なにも考えなくても、どうしようもないほどに、幸せが無限に生まれてくる。
 
 祐巳さんが、いるから。
 明日も明後日も、変わらず「妹」の祐巳さんがいるのですから。
 だから、祥子様の仰る、特別でないただの一日は。
 
 本当に。
 当たり前な幸福感から出てきた言葉でもあるのです。
 
 不幸と幸福を兼ね備えた言葉。
 安心と虚ろと同時に向き合う祥子様。
 そう、問題は、このふたつが存在し、そしてそのふたつが上手く噛み合わずにズレていることなのです。
 「虚」を根に持つ理屈から導き出した無理矢理な「安心」を投げ捨てて、ただ愛しい目の前の祐巳さん
 に堪えきれない微笑みを魅せ続ける「安心」だけに染まれば、それで良いのか。
 祥子様に満ちる、清冽な光が、私には良く見えます。
 祥子様は、「姉」なのです。
 ロサキネンシスという紅い薔薇、全生徒の模範たる存在なのです。
 いえ。
 それらをすべて含み、かつそれとは全く別次元において。
 この方は、
 
 
 小笠原祥子様なのです。
 
 誇り高い、真面目で、不器用で、そしてなによりも必死なひとりの人間なのです。
 
 
 虚しいのは、なぜか。
 なにも感じないのは、なぜか。
 それは。
 なによりも、なによりも、沢山のことが目の前に広がっているからです。
 それを認識出来るからです。
 それと向き合ってひとつひとつ解決していきたいと、なによりも深く想っているからです。
 それが全部解決出来なければ駄目なのだと思うからです。
 ならばそれは、その虚しさこそ、祥子様の目の前に広がる世界が、圧倒的に豊かであることを、
 なによりも、最も的確に示しているということなのです。
 虚しさは、誠実さの顕れにしか過ぎません。
 そしてその誠実さは、その豊穣な世界を、ひとつも無駄にせずに大事に頂こうとしているからです。
 祥子様は、マリア様のお与えくださる世界を、目一杯、最大限に、最深度まで、貪欲に真摯に
 愉しまれようとしているのです。
 だから、「虚」も、それを幸福に換える様々な儀式も、それは形骸どころか、大切な世界を愉しむため
 の道具のひとつであり、また大事な愉しみ方なのです。
 
 「妹」を作る。
 これはその、幸せの儀式の、最高結晶。
 
 
 自分の身ひとつで、それこそ隣に愛しく佇む祐巳さんへの微笑みだけで、そのマリア様と向き合うことが、
 それが本当に敬虔であると言えるだろうか。
 ロザリオや、その授受の儀式や、日々の様々な行事に浸ることは、愚かで俗で、不真面目なこと
 なのだろうか。
 真面目とは、敬虔とは、なんだろうか。
 祥子様は考えます。
 もし・・・・
 そのロザリオが・・・マリア様がお与えくださったものなのだとしたら・・・・
 それを無下にして、ただ自分の気持ちに真摯にあるままにマリア様を見つめるだけだとしたら・・・・・
 
 
 いえ・・・
 違うわ
 
 
 ロザリオを大切にすることも、ロザリオを放り投げることも、それを選ぶ権利と義務は私達にこそあるのよ。
 そして、その権利と義務をお与えくださった・・・
 
 マリア様が、みているわ。
 
 
 
 私は、真面目な人は、好きです。
 
 
 
 
 そして。
 次回さっそく、動転して妹オーディションとかやっちゃうお調子者も、私は大好きです。
 お腹痛い。 (笑)
 
 
 
 
 
 
 ◆ ◆
 
 という感じの、私の感想でした。
 この第2話「特別でないただの一日」は、実に素晴らしい作品でした。
 可南子と祥子様を使って上手くひとつのものを描き出し、それを読み込ませようとするその構成力には
 まさに脱帽で御座いました。
 私も上手く入り込むことが出来、思う様に久しぶりに「マリみての感想を書く」ということを堪能させて
 頂きました。
 特に、家族という「劇」のみがあってその演者になれずに藻掻いた可南子と、「演じる」ことのみがあって
 なんとかその舞台としての劇たる物語を作ろうと足掻く祥子様との統合には、感想の書き手として、
 深い感銘を受けました。
 とても楽しく、またどきどきしましたよ、ほんとうに。
 どういう理屈を採用し、それを自分の中にどう位置づけるか、その選択権は誰にあるのか。
 その根本的なことを今一度体感させてくれました。
 そして自らの選んだ理屈との対面の義務を果たすことが出来ました。
 おまけに全薔薇のおふたり、蓉子様と聖様のタッグの鮮やかさもかくやな上手な使い方や、新キャラの
 夕子の存在感の確かさなどなど、ああマリみてだ、マリみてってこんな感じだったよと、するすると色々な
 ものが思い起こされてきて、私としてましては、非常に有意義な時間を過ごさせて頂きました。
 ありがとう。
 
 そう、結構マリみてって分断的な作品だったのですよね。
 私は第2期までしか観ていませんけれど、その当時の感想を書いていたときのことが頭にずっとあり、
 その感想の中のマリみてで、正直現在のマリみてを観ていたので、おそらく第1話のときに戸惑ったの
 でしょう。
 私の書くマリみての感想は、分断的で個別的で、けれどそこになんらかの繋がりを見つけて、それを
 拡大させひとつの「イメージ」としてまとめて描くというものでしたから、つい、知らず知らずのうちにマリみて
 は最初からまとまった統一的な映像であったんだという思い込みに走っていたのかもしれない、ということ
 です。
 それがこうしてまともに感想を書いたことによって、ぱっと見分断的に「しか」見えない第2話が、分断的
 では無くきっと繋がりはあるはずという「仮定」を設けることによって、見えなかったものがちゃんと見えて
 くる、という、私的にはかつて当たり前だったことが、ようやく実感出来ました。
 最近感想を書いている「夏目友人帳」などがなまじ初めからまとまりのある作品だったものですから、
 気づくのに遅れてしまいましたよ。
 まさに、自分らしくないと言うのはこのことです。 (笑)
 自分でポイントを作って絞って、そこから逆構成して考えていく。
 これが私の原点であり、そして。
 
 これだけをやっていたら、第2期と同じことしかやってないじゃんよ!、と、はっと気づく訳で。 (ぁ 笑)
 
 それについては重々反省しております、はい。
 新しい感想を書こう!
 その野望を胸に、真摯に、祥子様のように貪欲にマリみてと向き合っていきたいと思います。
 形に拘らず、素のままにマリみてぶつかってみる、それは清々しくまた感想的ではありますけれど、
 それだけだと、気づかないうちに堂々巡りだったりすることもあります。
 だから、形にも拘ってみる。
 新しい形を目指して、やってみます。
 第一、こんなにも美麗な映像で物語りを始めてくれているのですから。
 既に私は、今まで、そう、第2期のときにはわからなかった、マリみての「なにか」が見えてきています。
 祥子様のことがこんなにも「わかる」だなんて、思ってもみなかったことです。
 第2期のときは、最後の最後まで祥子様で書くことが出来ずに、とても悔しい想いをしたのですから、
 今私は、とてもマリみてに対して前向きになっているのもまた、当然のことでしょう。
 前期シリーズ放送の2004年から、五年。
 書けるところまで、向き合えるところまで、その先にまで、懸命に向き合い切ってみたい。
 なんだかとても、一直線に真摯になっている、そんな現在の私で御座います。
 今後とも、どうぞ当マリア様がみてる4thシーズンの感想を、よろしくお願い申し上げます。
 
 
 それでは、本日はこの辺りにて。
 マリみてと、マリア様に感謝を捧げつつ、失礼致します。
 また次回、お会い致しましょう。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
                     ◆ 『』内文章、アニメ『マリア様がみてる4thシーズン』より引用 ◆
 
 
 

 

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                          ■■ 友と嗤い雪に笑い、ふたり ■■

     
 
 
 
 
 『なにか悩みでもあるのか?』
 『え? 大丈夫。 毎日幸せだよ、心から。』
 『あっはは、大袈裟だな。』
 『うっそくさ。』
 『あははは。』
 
 

                      〜続 夏目友人帳・第二話・夏目と北本と西村の会話より〜

 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 吸い上げられるような空。
 灰に染まる木肌を爆ぜるように雪が叩いていく。
 雪道。
 倒れかかる振動が雪の下の芽と繋がっていく。
 鈍く閉じて堆積する木立の先の白い闇は、滾々と深い眠りに落ちていた。
 遙か彼方より、薄く伸びる遠吠えが聞こえた。
 しゃんしゃんしゃん
 しゃん しゃん   しゃん
 白い砂鉄を踏み締めるようにして、淀んだ闇が流れていく。
 杜の、ずっとその先の果てまで、それは白く満ちている。
 爪先にのし掛かる、溶けた僅かな雪が重い。
 足裏は悴みながらも汗ばみ、凍ったぬかるみをさらに深めていく。
 棚引く僅かな蒸気が肌から浸みて、血に痛い。
 鉄臭い、醒めた苦みが舌に張り付いてくる。
 手を繋ぐ。
 ひっそりと濡れた手の甲を、さすり摩る。
 透明な爪の、その中が痛い。
 紅く、腫れたようにして熟れた、唇が、紅い。
 雪を払う。
 その下に現れる雪を掻き分け、痛々しく死に絶えたはずの小さな芽に思いを馳せた。
 滲む口の端。
 青醒めた頬に、輪郭が走る。
 模糊として揺らぎ続ける、雪上の影が、やはり痛々しい。
 けれど、冷たい雪は、その痛みを消し去っていく。
 接する肌から伝わってくる、叫び。
 抱き留める。
 胸に響く吐息が、寒々しく、熱い。
 喉裏を責めるようにして、顎先に指が掛かる。
 覗く瞳。
 離れる。
 何事も無かったかのように、取り戻すことの出来ぬ、この瞬間のぬくもりを胸に秘めていく。
 魂の通わぬ石膏の如きに眺め、触れ、そして瞳の中に描く。
 舌先で触れ合う、言葉の行脚。
 ぐるりと刹那に曇天の下を巡り、ひび割れた感情の緒に触れる。
 響く声音。
 巡る時間。
 月夜の灯火が旅装を解く前に、砂塵に塗れ渇いた心根に、一滴の絶望を与えてみたい。
 誘惑ですらない空々しい戯言が、虚しく空へと吸われていく。
 力無き哀れみが裳裾を絡げ、真摯な皮肉を纏うことを厭いて逃げていく。
 淑やかとも呼べぬ静寂が、無惨に裾を整える。
 
 もの凄い笑顔で、笑った。
 笑ったんだ。
 
 
 重く引くその力は、桁違い。
 凄まじい気圧が雪を煮染めてぎっしりと詰まっていた。
 酷薄な灰空はそれ自体が重く固い。
 流れるように空に交わることが出来ない。
 落ちるようにことりと天に眠ることが出来ない。
 白く黴びて固まるままに、それは堅牢を越えた絶壁として其処に広がっていた。
 しかし、その巨大な彫像のような天空と混じることが出来ない訳では無い。
 首筋に、溜息が掛かる。
 随分と距離があるはずなのに、いつそれが耳裏にまで到達するかがわかってしまう。
 わかっている。
 優しさと厳しさを兼ね備え、厳重に背負った吐息ならば、この空は当たり前のように受け入れてくれる。
 刻み刻んで練り込んだ、誰もがほっとするような、見事な石像にこそ、天の恵みはもたらされる。
 でも、恵みは、天から与えられるものだけなのだろうか。
 そっと、肩に手が掛かる。
 軽く振り払い、そっと、微笑んで返す。
 懸命に、賢明に、願い働き、その礎が出来上がる。
 幸せの橋だ。
 あの曇天へと続く、夢の架け橋だ。
 ぞっとするほどに悴む胸を抱き締め、あらん限りの想いを以て、願いを馳せる。
 満ちる愛のいと高き静けさが、しずしずとけたたましく脆弱に増えていく。
 満足しているのです。
 満ち足りているのです。
 だから、ただただ、愛のままに、愛しいままに。
 満足、しているのです。
 凄艶に、高潔な笑顔を晒す。
 伸びている。
 魂が空へと向けて、千切れんばかりに、伸びている。
 死んでしまう。
 
 だから、もう一度。
 はっきりと、笑う。
 
 それで切れる。
 天と地に、区切れが生まれる。
 地の恵みにこそ、染まりたい。
 無理をして天に瞳を凝らすよりも、伸びやかに健やかに大地のぬくもりに抱かれたい。
 笑顔の端が切れている。
 額ずく雪解けの地に塗れ、ぬくもりに満ちた涙に抱かれながら、掴んだその頬の筋は腫れていた。
 薄い。
 薄すぎる。
 微笑みが天と地を分けるのなら、この笑顔が地に立ってあることで、その先にまた、天がある。
 離れねば焼き尽くされ、離れれば立ち往かない。
 笑え、笑え。
 黄昏広がる柴の原にて、忽然と立ち枯れ泣き沈む。
 なにも出来ない。
 どうしようもない。
 結局なにもできないのよ。
 笑うことしかできない。
 雪をみる。
 笑える。
 こんなに楽しいのに。
 こんなにささやかなのに。
 腹の底から沸き立つ願いが、消えることは無いままに、我が身をぼつりぼつりと穿ちながら壊していく。
 
 ただ生きたかったのに。
 ただずっと此処で願いながら生きていきたかったのに。
 どうして、どうしてよ。
 
 厭うことも虚しく思うことにも身を委ねることの出来ない、哀れな自分への黙祷がやがて。
 涙をぶつりと切断する。
 分かれて、いるのなら。
 今更ながらにですが、と手前勝手に前置きし、そしてしっかと見据えた眼前の世界に見得を切る。
 − この怨み
    晴らさでおくべきや −
 間違っている。
 どうしようもないくらいに、間違っている。
 ではどうすれば良かったのですか、最初から怨んで憎んでいればよかったのですか。
 それも違う、違うんだよ、全然。
 わかって、いるのだろう?
 
 
 
 ボロボロにまとまった、綺麗な装い。
 磨きに磨いた、指紋一つ無い、実感の無い体。
 甘くて薄い、笑顔。
 嫌うことは、嫌いでした。
 不安でした。
 理由なんかありません。
 嫌いでした。
 だから笑いました。
 笑うだけの自分も嫌いでした。
 笑うことしか出来ない自分のことは、憎んでもいました。
 だから、笑った。
 本当に、ただ雪をみて笑える、そんな素直な自分のままに。
 笑えたんです。
 本当に、嬉しかった。
 あなたが、いてくれたから。
 あなたのために、では無い、本当の、あなたとふたりで共に笑い合える、そんな笑いが、愛しかった。
 嫌いなんです。
 誰かを嫌うことも、非難することも、皮肉を言うことも。
 そういう後ろ向きなことをしていると、誰のためにもならないという想いを越えて。
 ほんとうに、そういうことが、素直に、嫌いになりました。
 あなたが、いても、いなくても。
 そんな自分のことが、好きでした。
 でも
 たぶんそれが、違かったのでしょうね。
 
 嫌いだ。
 嫌いなものは、嫌いなんだよ。
 嫌なところはいくつでも見つけられるし、それを理屈で組み上げて責め立てることだって、だからするさ。
 嫌いなんだ。
 それが自分の本質的な嗜好なのだろうと、そう思うことでなにかを得ようとしているのかは関係無く、
 ただ、嫌いなんだ。
 嫌いだから、嫌いなままに行動し、話し、考え、感じていく。
 誰かをそれで傷つけようと、それで自分がなにかを失おうと、それはどちらも同じことなんだ。
 憎しみはなにも生まない?
 なら、優しさはなにかを生むとでもいうの?
 どちらもなにも生みはしない。
 だったら、嫌おうと愛そうと、笑おうと眉を顰めようと、それは同じなのじゃないだろうか。
 優しさがなにかを生むのならば、憎しみもまたなにかを生むのだと思うよ。
 笑いも罵りも、等価値なんだ。
 空と大地への、手の伸ばし方と触れ方が違うだけなんだ。
 世を厭おうと求めようと、此処にいることには変わりが無い。
 なら、嫌ったって、傷つけたって、失ったって、それで充分生きているじゃないか。
 嫌いでも、生きられる。
 だったら。
 好きでも、愛していても、生きられるってことじゃないか。
 だから、間違っていると、そう、言ったんだ。
 愛し。
 憎み。
 そのどちらも、当たり前に。
 此処に、いるんだ。
 
 虚空が空を連ね、地獄が大地を阻んでいる。
 空にも、大地にも、此処にも、橋が立っている。
 三色の虹の橋。
 常になにかとなにかを結ぶ虹。
 堪らなく、身悶えするほどに、それは繊細な強靱さを持っている。
 切っても、燃やしても、目を閉じても、その雪中にて熱気を放ち続ける虹の影は消えなかった。
 嫌っているのかもしれない。
 憎んでいるのかもしれない。
 この世に絶対のものなんて無くて、本当は誰もいないのかもしれない。
 すべては夢の中の出来事でしかないのかもしれない。
 虚ろだ。
 
 ひとり、だから。
 
 ひとりは、嫌。
 
 だから。
 
 諦めようとしている。
 
 諦めようとしている、他ならぬ自分が此処にいることを、何度でも確かめるために。
 
 辛辣な厭世の言葉に身を委ね、怨み妬み嫉みも、愛も優しさも、すべては存在しないと嘯くのは。
 それらのものが存在しないのに、それなのに自分だけは確かに存在していることと、向き合うためなんだ。
 あるのとないのはおなじこと。
 愛しています。
 あなたが、欲しい。
 あなたがいなくても、いないということをひたすら証明し続けることで、あなたの影と永遠に結ばれる。
 あなたがいない。
 寂しい。
 寒い。
 あなたが憎い。
 寒くて、死んでしまいそう。
 最初から誰もいなかったんだ。
 だから震えながらも、求め続けていく。
 笑顔で、きっとあなたがいると信じ続けながら。
 眉を顰めて、あなたが存在しないということの正しさを明らかにしながら。
 そうして、あなたというなにかと、ずっと、ずっと、諦めながら諦めずに向き合っていく。
 白く重く立ちこめる影なる闇の向こうに、ずっと空より深く大地より高いあなたと、繋がりたい。
 
 
 
 仄かに消える青。
 雪に映える陽光が道を濡らす。
 溶けている。
 その上を駆け抜ける。
 楽しいから、笑う。
 誰かと話して、馬鹿みたいに軽薄に嗤う。
 虚しくて悲しくて、寂しくて、なのにこの雪は降り続けている。
 この雪が凄惨に崩れて驟雨となれば、それはやがて無限の虹を花開かせていく。
 奔る。
 本能のままに。
 直感がぶれる。
 ぶれたままに、力ずくで、駆け抜ける。
 踏みしめた雪道の端に、こんもりと除雪された山が出来上がる。
 その山の向こうに君がいる。
 だから、登る。
 登ったんだ。
 頬を伝う涙が、身も心も溶かしていく。
 縋り付く小さな雪山と、ひとつになってしまいたい。
 溶けて混じって、誰かに踏みしだかれて、あなたの元へと続く虹の架け橋の礎となってしまいたい。
 
 馬鹿みたい。
 
 いっせいに、虹の炎が足下に依って立ち始める。
 ぐずぐずと、猛烈な勢いで、爪先に触れた先から雪の方こそ溶けていった。
 虹を渡るのは誰か。
 虹の向こうにいるのは誰か。
 虹は、其処にいる。
 それと出会うのは、この世にひとりしかいない。
 笑いが犇めいていく。
 純白に凍結を重ねる雪をこそ嗤い、雪上での友との笑いに実感を感じていく。
 同じだ。
 虹をぐるりと根こそぎ回し、架け直す。
 純白に凍結を重ねる雪をこそ笑い、雪上での友との嗤いに実感を感じていく。
 
 
 どうしてわかってくれないの
 こんなに愛しているのに
 愛しているのが求められていないから、ずっと黙っていたのに。
 なによりも愛していたからこそ、必死に耐えて黙っていたのに。
 『あれほど身を削り尽くし、幸せを願い、護ってきたのに』
 おのれ、おのれ・・・おのれぇっ!
 ならば殺すしかない。
 愛さずにはいられない、けれど愛しても認めて貰えない。
 愛している自分のことすら認めてくれない。
 愛さずにはいられない苦しみが、愛で癒されないのならば。
 愛する苦しみだけが身を苛み、やがては心が壊れてしまう。
 だったら、怨むしかないじゃない。
 あなたがいるから・・こんな・・・・こんな・・
 役立たずな・・・愛されない自分がいるから・・・・・こんな・・・・・
 
 こんなに雨は降っているのに、
 
 どうしてこの空は、
 
 
 いっこうに、晴れないの?
 
 
 
 
 
 
 
 
 

 『私も寒かったよ、翠・・・』

 

『寒かった・・・』

 
 

『だから・・帰ろう。』

 

『一緒に帰ろう。』

 
 
 
 

− 『 君の心がいつか癒えたら、またふたりで虹を待とう 』 −

 
 
 
 
 

『私も幸せだったんだよ。』

 
 

『君が・・・そばに、いてくれたから。』

 
 
 
 
 
 
 
 しとしとと、いやらしく雨が降り続けている。
 絶壁の雪が溶けたというのに、その雪解けの水が消えることが無い。
 いつまでも、いつまでも、雨は降っていた。
 あの雨の向こうに、玄と翠がいる。
 俺は・・・・
 笑った。
 なんだか、静かに大爆笑だった。
 腹が痛くなるほどに、涙が出るほどに、嬉しかった。
 俺は玄が好きだ。
 人が嫌いな玄が好きだ。
 俺は翠も好きだ。
 人が好きな翠が好きだ。
 そして。
 人が好きな翠のことが好きな玄が好きだ。
 人が嫌いな玄のことが好きな翠が好きだ。
 ふたりとも、生きていた。
 熱く、冷たい雪の上を必死に愛おしく立ち止まって生きていた。
 ふたりの体温が、ひとつずつ、雨の中に立っているのが見えた。
 ほら、雪はもうこんなにも、消えている。
 雪解けの水が捌けなくても、その水が溶けた大地に、美しい春が芽吹くんだ。
 俺は笑えなかった。
 本当は、笑ってなんかいなかったのだから。
 必死に笑おうとしているだけの俺が、素直に静寂を保っていた。
 笑おうとした力が尽きたとき、俺は本当にその静寂の闇と向き合えないんだろうか。
 笑おうとしたときに出来る影が、俺は怖かった。
 笑うのが、怖かった。
 だから、しみじみと、ふたりを想う。
 笑えなかった。
 そんな俺のことが。
 
 とても、可笑しかった。
 
 妖が人間を愛し求めることは不毛だろうか?
 愛しているにも関わらず、それが裏切られたことを怨むのは愚かなことだろうか?
 俺は、どうなんだろうか。
 愛するのは、怨むのは、誰かを求めるのは、いけないことなんだろうか?
 そう考えている、俺が此処にいる。
 不毛だろうと愚かなことだろうと、愛し怨むことでなにかを得てなにかを失いながら生きている。
 それらのことを不毛と愚かと思いながら生きている。
 同じだ。
 同じなんだろうな、先生。
 
 ああ、虹が綺麗だ。
 
 ひとりだから、ふたりがある。
 ふたりだから、ひとりがいる。
 翠は雨が降ることを願っていた。
 そう、人を幸せにするという三色の虹が架かることを願っていたから。
 玄は、その翠が好きだった。
 玄となら冷たい雨の中でも、人間を愛し求めていけると言ったその翠となら、玄も目の前の雪に笑えた。
 雪はやがて溶け、雨となって降り注ぎ、そしてそこに。
 虹の橋を架ける、陽の光に満ちた春の訪れを告げてくれる。
 人間の、他愛の無い迷信事を嗤い、けれど嗤いながらそれを信じて幸せになろうとする。
 そして、その幸せになろうとする人と、一緒に生きていきたい。
 だったら、その嗤い話も、ずっと、面白くなってくる。
 嗤いが、ふたりを繋ぐのじゃないか。
 そしてだから、ひとり、幸せに笑えるのじゃないだろうか。
 馬鹿馬鹿しい迷信を、それを嗤って信じようと徹底的に貶して嗤おうと、それはやっぱり同じだよ。
 その迷信を、あの橋の向こうからもたらしてくれたのは、その人間達なんだから。
 天と地の狭間で、天と地と向き合いながら生きていく。
 ひとりじゃ、ないから。
 誰かはきっと、其処に、あの三色の橋の向こうにいるのだから。
 白い闇の端にも、雪道の山にも、その向こうから吹く風の中にも、薄暗くて暖かい影達が犇めいている。
 
 
 みんな、待っている。
 春を、待っているんだ。
 
 ひとりで。
 ふたりで。
 
 待っている。
 
 生きて、いるよ。
 
 
 
 
 

 『虹は見せてやれないけど、花の種を蒔こう。』

 

『人は、花が好きなんだ。』

 

『妖だって、きっとそうだろう。』

 
 



 
 

『花は・・』

 
 

 

『 春を知らせてくれるから 』

 
 
 
 
 
 
 
 
 ああ。
 
     いくぞ、先生。
 
 
 
 
 
 
                             ◆ 『』内文章、アニメ『続夏目友人帳』より引用 ◆
 
 
 
 

 

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                              ■■ カップ焼きそば現象 ■■

     
 
 
 
 
 雪が降りそうで結局降らなかったけれど、明らかに気温がそれでぐんと下がってきた今日この頃、
 皆様如何お過ごしでしょうか。
 
 私はこのところ随分とハッピーです。
 と、あっさりと笑顔で言えるような、そんな幸せな気分が満ちてきて、ノリノリなので御座います。
 特になにがあったという訳では無いのですけれど、年末年始から、愛だろ愛とか言っていたらその気に
 なってきて、きっとたぶん私は世界中から愛されている愛の申し子にでもなったつもりで、浮かれていや
 がるに違いないのです。
 とはいえ、なにかを楽しもう愉しもうと躍起になることよりも、そうやってまずは自分は愛されてる、てか
 世界中のみんなを愛することが出来るんだ、てか出来てるよ、という無責任に言い放ってそのままに
 生きるという、ある意味なにかへの「信頼」があるからこそ、こうしてゆっくりと前向きに楽しくしていけるの
 ではないのかとは思います。
 あ、別になにか怪しい宗教に入信したとか、そんなのはありませんからね。
 私なんかは万年紅い瞳教の敬虔なる狂信者であるだけで御座いますからね、ナルシストとかでも
 いいですね、なにを今更というところなのです。
 楽しければなんでもいい、逆にいえば、楽しくなるためにはどうしたらいいのか。
 それを考えても楽しめない、考えたら楽しめないのなら、考えることさえやめればいいだけの話。
 徹底的に愉しみたまえよ、紅い瞳殿。
 自分がほんとに愛されてるのか誰かを愛してるのか、なんてそんな「真実」はどうでもいいですし、仮に
 その真実があったとて、その真実が自分を楽しませてくれるとは限らない。
 その真実のせいにして、鬱々と楽しめない楽しくないと呻く暇があるのならば、そんな真実は横において
 しまえばいい。
 それが真実かどうかと、それが楽しめるかどうかは別のこと。
 楽しめないのならば、楽しめるようなその真実の見方を開発するなり、真実を保留するなり、いくら
 でもやりようはある訳で。
 言い方を変えれば、本当にその真実と向き合う気があるならば、まずはそうしてちゃんと分けるべきもの
 を分ける必要があるのじゃあないか。
 真実自体が主体である訳では無く、主体はあくまで自分自身であって、その真実に嘆いて投げ出した
 りそれを破壊してしまうのは、それは全部真実に主体を移管して、自分は責任逃れをしているにしか
 過ぎない。
 
 どっちがその真実に対して「真面目」かって言ったら、ほんとはその真実に対して楽しく向き合おうと
 工夫する方が、なんじゃないかな。
 
 語弊を招く言い方をすれば、真実なんてどうだっていい。
 つまり、自分がどうするか、ですね。
 それは、真実の存在自体を云々することとは、別のこと。
 そして、真実は、事実は、他者は、消えたりなんかしない。 
 消えりゃ最初から苦労はないわ。
 そして、消えないからこそ、いつでもそれらの存在自体は、私達を待っていてくれる。
 信じれば其処に、なにかが、誰かがいる。
 正しいものなんて絶対ものなんてこの世には存在しない、というのが真理かどうかは全く関係無く、
 自分がそこにそういうものが存在すると信じて行動することで、自分が楽しくハッピーになれるのなら、
 それで、それらのものの存在「価値」は充分あるじゃないの。
 サンタさんを信じるか信じないか、それは白髭生やした泥棒紛いの不審者がいるかどうかとは関係無く、
 ただみんなにプレゼントをくれる優しいおじいさんがいると信じて、そして幸せになれること、それだけに
 価値がある。
 だから、サンタさんはいるんですよね。
 信じてるから、たとえ信じなくても無視してもほっといても、そのおじいさんは絶対に消えずに其処にいる、
 と、豊かに深く、確かにおもうんですね。
 ずっと信じてなくちゃ、自分の信心の深さによってでしか、そのおじいさんを存在させられないんじゃ、
 そんなのはまだまだ、甘いし弱いよね。
 
 そう、なにが言いたいかといいますとね。
 
 信じる者は救われる。
 なら。
 信じない者だって、救われて当然じゃーないの?
 あんた、信じなきゃ存在しないよな、そんなちっぽけな神様しかいないと思ってんの?
 自分の信仰の中にしか神様はいない、って思ってる方が、実は神様をやっぱり冒涜してる。
 その、自分の中の神様のことを、ね。
 そりゃ、自分のことも、全く同じよね。
 自分のこと信じても信じてなくとも、愛しても愛してなくとも。
 私は確かに。
 此処に、いる。
 
 
 
 
 で、信じて居れば、ほら。
 
 
 こんなにすごい出逢いがあるんだから。
 
 
 
 
 さぁ、紅い瞳のアニメ語りが始まるよ! (そこに繋げたかったわけね)
 
 
 
 
 
 ◆
 
 そうそう、信じても信じて無くても、ってところがポイントなのよさ。
 なんにもしないでもそれが手に入る、って考えるより、自分がなにかして信じて手に入れられたって思う
 方が、断然楽しいじゃん?
 だから、信じていたからこそ、その出逢いがあったって、そう「信じる」ことが出来るからこそ、こんなにも
 この出逢いの素晴らしさが、運命的にすら感じることが出来るんだよね。 
 だから、信じる者は救われるなんて気負っても仕方ないけど、でも、信じるといいことあるよー、ってくらい
 のノリは、充分有効で、とっても面白いことだと思いますよ、まじで。
 もっと人生を遊ばなくちゃ、ですよ。
 うん、遊べるからこそ、もう一度「真面目」な自分と向き合うことだって出来ちゃうはずなんですから。
 そして、そんなこと言ってるから、
 
 ほら、きた。
 夏目とマリみての続編がきたよこれ。
 
 やべー、今日は今期新アニメの話と、前期の残り話があるのに、御託並べすぎて分量が・・・
 てことで、まっすぐGo!
 まずは夏目。 続 夏目友人帳。
 夏目すげー。
 相変わらずな迫力で、大変宜しゅう御座いますな。
 しかも今回は、夏目の先生と紅緒との絡みで、細かいところの芸も光ってる。
 視線とか頷き方とかでの会話というか、文字通り意思の疎通の、あのタイミングでの挿入が絶妙で、
 見事に作品のテーマと連絡しているのが、もう、堪んないほどに面白い。
 なんか第一話にして最終話的な完璧っぷりだったですけど、逆に始まりの終わりというスタンスで、
 むしろ作品としての前提というか出発点をきっちりかっちりと、色んなレベルで固定した第一話から、
 どうやって次の「夏目友人帳」を作っていくのか、むしろこの第一話の完結っぷりから期待してやまない
 んですけど、どうしましょう。
 
 なにしろ、鬼のようにオープニング曲が、自分の中のなにかを奮い立たせてくれるんだもの。
 圧倒的に、雪のように暖かいエンディング曲が、自分の中の冷たい涙を震わせてくれるんだもの。
 
 こんなに素晴らしいアニメとまた出会えるなんて、私は幸せ者以外の誰でもないよ。
 ぞくぞく。
 期待と信頼と裏切りと絶望とあとなんだっけ、色々あったりなかったり、なんかもうぐるぐるに混ぜて閉じて、
 そして静かに目を閉じる勢いのままにゆっくりと目を開けたら、そこには繊細で鮮烈な時間がしっとりと、
 そしてなによりも鼓動を深く響かせて広がっていく。
 ・・・・。
 今期、このアニメを差し置いて私がお勧めするアニメなど御座いません。
 お勧めです。 最高級です。
 つか、夏目は定番です。 OK?
 出来ればみなさん、このアニメを観て自分で感想を書いてみてください。
 きっと自分のことが好きになれると思いますよ。
 こんな素敵な作品と向き合えている、そんなささやかだけどやっぱり素敵な自分のことが、ね。
 
 んで、次。
 マリみて。 マリア様がみてる4thシーズン。
 
 正直OPのワープで噴いたり(笑)、それで結構全体的な「軽さ」に怯えたのですけれど、これはこれで、
 逆に遊ぶことが出来そうで、かえってかつての冷たい熱情で向き合っていける可能性まで見い出せ
 ました。
 つか、マリみてはマリみてやな、やっぱり。
 キャラ紹介をわざわざやってくださる、さすがの親切設計でしたのに、
 そう呟いたのはロサフェティダアンブートゥンの由乃さんだとか、声を重ねたのはまだスールになって
 三ヶ月のふたりロサギガンティアの志摩子さんとそのプティスールの乃梨子さん、とか言われても、
 全然初心者には説明になっていなかったり。 ロサとかプティとか、なんなんじゃーっ! (ちゃぶ台返し)
 でもそんなお嬢様な親切心が私は大好きです。 ←色々間違ってる人
 勿論私は初心者では無いので大丈夫ではありますけれど、正直OVAだった第三期との橋渡しが
 まるで無しだったのはびっくり。 すげー完全にOVAは観ていて当然よね(微笑)なノリだよこれ。
 御陰で、祥子様が大魔王にしか見えませんでした。(笑)
 キャラ間の関係も、テレビ放送された第二期までとはかなり変わり、というか深まっていて、それゆえに
 自分なりのギアチェンジなり調整なりが大変ではありましたけれど、なんとかいけそうです。
 
 で、こういった私的なお話は置いといて、いえ、半分だけ置いといて。 (公私混同)
 まず、第二期までを御視聴なさった方々へ。
 これは私も含まれる立場ですけれど、はっきりいうと、この第4期は本質的には変わっていません。
 というよりむしろ、本質的にもっともっと「マリみて」らしくなっている、と思います。
 なんていうか、少女的というか「個人」的というか、第2期までは綺麗に美化されてそのイメージを物語
 にしている、という感じでしたのが、生々しいというと変ですけれど、コメディタッチにすることによって、
 かえってあっさりとこの第3期は、百合的なイメージに囚われない、けれど全然一般的で無い、そういう
 なにか「マリみて」的な人間を、当たり前のように描いているのです。
 人を選ぶといえばこれこそ第2期とは比べものにならないほどに、本当の意味で人を選ぶ気がします。
 言い方をかえれば、少なくとも私にとっては、第二期までのキャラに比べて、この第四期のキャラの方が
 、遙かに私から離れている、私とははっきりと違う「他者」として確実に存在している。
 ある意味で、第二期までは「イメージ」が多かったからこそ、むしろそのイメージの内実そのものの好悪に
 拘泥しなければ、比較的誰でも自分を其処に挿入して見ることは出来たでしょうしね。
 じゃあ私にとって第四期は鬼門かと言ったら、そりゃー全然反対で御座いますよ。
 
 こんなに燃えることは、御座いません。
 
 だって、今までどんなに足掻いても自分の描いたマリみての「それ」はイメージにしか過ぎないって、
 こうして第四期のそれではっきりと示されたんですもん、そうなったらもう、書くしかないじゃあないですか!
 今度こそ、もっと落ち着いて、「当たり前」なものとして向き合ってみる。
 それこそ、マリみて初心者として、うん、だからマリみて初心者の人達にはこう申し上げたいです。
 思いっきり、楽しんで観てください。
 萌えとかはあんまりいらないんじゃないかな。
 それこそお嬢様アニメとして、けれどそれは空想上のものとしてでは無く、実際にこういう子達がいると
 して、その一風変わったドラマとして、観てみたら面白いかもしれません。
  自分の物語として変換する必要の無い、あの人達の物語を、是非。
 
 
 
 と、今期の主力商品はこのふたつ。
 このふたつだけでも幸せ全開ですのに、今期はしかし、これだけじゃあ終わらなかった!
 
 みなみけ おかえりと、まりあ†ほりっく。
 
 がーん。
 衝撃、というか、衝撃。
 まずい、面白い、というか、面白い。
 はい。
 まずは、みなみけ おかえり。
 カップ焼きそば現象!
 ・・・・。
 これまでのシリーズの中で一番淡泊ながら、それがかえってネタ中心主義になっているようで、純粋に
 彼女達のやりとりが面白い、そんな感じに仕上がっておりました。
 演出は第一期のように大爆発or消火のムラ展開でも無く、第二期のようにしんみり感万歳でも無く、
 可もなく不可も無く、敢えていえば、第一期的なモノを第二期のノリで抑えめにやっているというか。
 なんか、勝負してる!、って感じがするのよね。 (そうなの?)
 でもそこはほら、みなみけですから、がくんと一段も二段もダウナーな感じというか、ほんとお茶飲んで
 おせんべかじりながら、あー、とか頷きながら観てるのが一番合うよね、やっぱり。
 あとなんかまだ第一話までしか観てないけど、千秋(三女)に変なギアがかかってるよね。
 ヘンテコ理論を本気で展開してノってるというか、それを斜め後ろから夏奈(次女)が心配そうに見て
 いるというか、千秋が夏奈化してるというか、うーん、これは新展開?(たぶん)
 というか、私的に一番好きな夏奈がシリーズを追うごとにどんどん控えめというか抑えめになってきてる
 のが、なんか不満では無くて納得できるというか、千秋の(ボケ的な)急成長を後進を見守る先達的
 姉の視線でぬるく見守ってる夏奈に納得というか、夏奈もだからツッコミもするようになってきて、
 相互補完から自立的な協力関係が芽生えているというか、この辺り第二期の絆(?)的しんみりの
 積み重ねが生きてきてるというか、つまりそれはやっぱりそのふたりの上に、しっかり者だけどお疲れな
 春香(長女)の存在があるからっていうか、妹ふたりがやいのやいのとふたりでまとまって手が掛からなく
 なるからこそ、あの例のやるコトが無くなると途端になにもしなくなる症候群を披露して、つまり、
 そうなってくるといよいよ天然番長春香の真価が発揮されてくるのかもしれないという、そういうやっぱり
 新展開が、この第三期には望めそうな気がするのですよね。
 おまけになにげに、第一話はオールスターでしたしね、内田の天然イジラレぶりも、藤岡と藤岡の
 いつも通りのコラボぶりも、タケルのノンストップと見せかけて普通に止められるっぷりも、冬馬の千秋との
 シンクロ率の高さも、普通に出陣してきた保健の先生っぷりも、さりげに飛ばしてるほさかも、なんだか
 凄く豪華でやる気の感じられるシステムでした。 (システム?)
 
 そしてだからこそ。
 馬鹿野郎日本代表の夏奈さんに、改めてな大暴走を期待しているのであります!
 応援してます!!
 やっぱ私、ギャグコメ系ではみなみけシリーズが一番好きだわ、やっぱり。
 
 んで、まりあ†ほりっく。
 略してまりほり。
 ・・・・。
 ね ー よ 。 (良い意味でwww) 
 ちょwwまwwてww
 主人公が軽く百合を飛び越えてガチレズなのはいいとして、普通にスケベ丸出しなんですけどw
 欲情の塊じゃんw乙女ハントしにきたって恥ずかしげに言われてもさwwww
 最初メイドの茉莉花にいきなりメス豚呼ばわりされたのには噴いたけどww、それはねーよと思ったけど、
 時間が経つごとに説得力がありすぎるほどの主人公かなこのアレっぷりがぼろぼろと出てきて、
 それはねーよと、別の方向に笑い転げ始めてしまいましたw
 こうなってくると、茉莉花さんのサドっぷりが効く効くww
 かなこの内面でコメディ的にノリツッコミして誤魔化そうとしてても、生々し過ぎさが溢れんばかりで
 既に破壊的にギャグなんですけどwwというか上手いわこれww
 正直でよろしいいうか、それをギャグにちゃんと持っていくのが上手い。
 というか、おもっきしかなこの内面が開陳されてて、それが強引な演出の簡略さによって画面に引きずり
 だされ、誰もがそれにタッチ可能なものになってるんですよね。
 だから茉莉花さんのしょっぱなからの理不尽なメス豚呼ばわりも、そして女装美少年鞠也の登場と
 その正体のバレっぷりも、全部かなこの内面の文脈に入り込んで、見事にひとつのお話に落とし込まれ
 ている。
 鞠也のいうところのおつむの弱いおむつ(笑)なかなこの内面が、どばっと作品を構成しちゃってる。
 それは、かなこの自分の嗜好(というか情欲?w)の隠蔽っぷりも、含まれている。
 だからもう、かなこは内面を鞠也達に見透かされているかどうかというレベルを超えて、常に自分の内面
 を晒して、それを必死に隠そうと足掻く馬鹿っぽさから逃れることは出来ないし、それがギャグになって
 いるんですね。
 つか、簡単に言えば、本音と建て前が逆になってて、本音丸出しというか、あの演出で画面にずらずら
 書き出されちゃってるもんね、で、周りの人もほとんどそれを見ながら行動しているのと大して変わらない
 んですよね、私達視聴者からするとね。
 
 とにもかくにも、かなこのアホっぷりが、そのまんまさが、たっぷりとこの作品に「深み」を与えてる。
 
 その「深み」はアホで出来ている上に、そんな不思議でもなんでもない茉莉花や鞠也がその経歴不明
 ぶりだけによってミステリアスなものとして扱われ、けど結局そのかなこの自主制作的な鞠也らのミス
 テリアスさもかなこが扱うことによって、普通にかなこの鼻血によって流されてしまう。(笑)
 『セリフと心の声を入れ替えろ! そして鼻血を拭け!』 by鞠也
 よーするに、かなこにとって、可愛いキャラは全部その欲望の対象として帰結しちゃうんだもん、
 これを笑い転げずにはいられようかwww
 まぁ、さすがにこれから少しはシリアスな感じでいくのでしょうけれど、でもこのスタンスが最後までどんな
 形ででも残っていったら、これは稀に見る迷作となるかと思います、つまり現時点では間違い無く名作。
 つか、大爆笑中www
 
 『ほーらぁ、なんか付いちゃってるしっ!!』
 『なにげにすごいことするなぁおい・・』      
 ↑
 正体バレした鞠也のスカートに脈絡無視で手を突っ込むかなこと、的確にツッコミ入れる鞠也。
 
 是非是非、どんどんとアホの子かなこを動員して、鞠也らの持つ魅力やら色気やらの上で踊らせて
 あっさりと踏みにじって虚仮にしてやって欲しいです。 
 そして穴だらけのかなこの自己弁護を徹底的に鞠也に破壊して頂きたい。
 そして。
 その鞠也さんに冷徹にツッコミを入れる茉莉花さんに私はなによりも期待して御座いますwww
 百合とか嗜好が問題で無くその視線が問題なかなこさんも、それを虫ケラ呼ばわりするなんか真剣に
 訳ありで女装してる変な美少年も、サドメイドからしたら普通に両方とも変態な訳ですしww
 ま、つまりそれは茉莉花さんにツッコミは任せて、私らは、エロレズ女とそれを蔑むS女装男という、
 ふたりの「矯正」をどうしていくのか、というのを見つめていくと面白いのではないでしょうかね。
 まー野放しでも全然いいんですけどね、そして延々と茉莉花さんにツッコミ入れて頂いても。 (笑)
 
 
 
 と、いう感じで、今期はこれら4作品が既に主力に居座ってくださってます。
 なんか幸せ〜♪(ぉ)
 他の作品ですか?
 んー、あとは黒神があるんですけど、これおもしろそーって思ったですけどね、録画ミスっちゃいましてね、
 これからってところで切れちゃってたのね、で、減退。 (視聴意欲が)
 勿論次回も見ますけど、なんか意欲的にこう、低い。 あああ。
 あとはまだ観てないのとか、始まっていないのとかもありますね。
 鋼殻のレギオスと屍姫 玄はまだ観てないですし、あとGenjiはまだ未放送です。
 あと獣の奏者見逃した。 えぐえぐ。
 
 
 はい。
 ということで、今日はここまで!
 ええー? 前期アニメの残り話は?、ときますか。
 うん。
 
 ご め ん な さ い 。 (土下座)
 
 来週にUpということで、お願いします。
 今回はちょっと調子に乗りすぎて、時間も気力も使い果たしてしまいました、って全部自分のせいです
 けれど、ほんっとごめんなさい。
 来週には必ずUp致しますので、申し訳御座いませんけど、お待ちくださいませ。
 
 
 
 さて。
 なんか、少しまた吹っ切れたかも。
 またひとつひとつ、頑張っていこうって、なんか、アニメに励まされました。
 あんがとね。
 ではそういうことで、今期もひとつ、色々とお願いします♪
 
 んじゃ、ばいばい。
 
 
 
 
 
 
 
 
 

 

-- 090110--                    

 

         

                              ■■ マリア様とはぐれて ■■

     
 
 
 
 
 『駄目よ。祐巳さんがどーんと構えていなくちゃ、瞳子ちゃんのやる気が失せるわよ?』
 

                     〜マリア様がみてる4thシーズン・第一話・由乃さんの言葉より〜

 
 
 
 
 
 
 
 
 
 正直に申し上げます。
 
 大変に、困っています。
 
 このお話を観たときに私が最初に感じたのは、戸惑いです。
 戸惑い、そして、恥ずかしさのあまりに、そっとその場を離れてしまいたい、そんな衝動でした。
 恥ずかしい。
 嫌だ。
 テレビの電源を消してしまいたい。
 そしてこの作品には、私の観ていないところで、他の視聴者の方々と幸せに暮らして欲しい。
 敢えて言葉にしますと、そういう気持ちが私の中に広がったのです。
 あんなに待ち望んでいたのに、もう一度お会いしたかったのに、どうしてこんな気持ちになってしまうの
 か、自分では全くわかりませんでした。
 わからないがゆえにそして、私は沢山の理由を瞬時に開発していきました。
 なんだか随分とコメディタッチになっていたからかな?、なんだかノリが軽くなっていたからかな?、
 それとも前シーズンまでの在り方が、まるで「美しい思い出」のような扱いになってしまっていたからかな?
 どれもいちいちごもっともと、妙に頷けてしまいます。
 どうしてなのでしょう。
 私にとって、その程度のことは全体を語るにしては、あまりに些末な事柄にしか過ぎないはずなのに、
 どうしてそれぞれひとつひとつのそれらの理由が、こんなにも説得力を持っているのでしょうか。
 いえ。
 どうして私は、そんなに簡単に説得される自分を受け入れてしまおうとしているのでしょうか?
 
 少し話が逸れますけれど、私は犬や猫などの動物が好きです。
 けれど、人前だと、どうしても触れ合うのを遠慮してしまって固くなり、場合によっては相手の犬猫たちに
 避けられてしまうこともあります。
 周囲の人も私の動物好きは知っているので、どうしたの、もっと遠慮しないで触っていいよと、
 たとえば飼い主の方は言ってくださるのですけれど、ええ、ありがとう御座います、と私は丁寧に答える
 だけで、その飼い主さんのことばかり考えて、肝心の目の前の犬猫達からは距離を取ってしまうのです。
 好きなのに、大好きなのに。
 どうしても体が固まって動かなく、そしてただ固まっている訳にもいかずに、飼い主の方との応接に力を
 入れることで、なんとか体と口を動かすのです。
 その間、犬猫は放っておかれ、結局私は彼らに興味を持ってくれない者として、こちらこそ彼らに興味
 を持たれなくなってしまう。
 一度もその犬猫に触れずに終わってしまうことも、少なからずありました。
 今はそういう風に終わってしまうことはだいぶ減りましたけれど、そのような負荷を感じることには変わりが
 ありません。
 それに全然、遊び足りない。
 どうしてもまだ、遊びを演じている、という意識が残っている。
 もっと私はあなた達のことが好きなのに、だからもっと私は遊べるんだ、と。
 そして、その気負いがこそ、より私の行為に演技性を持たせ、それなりに触れ合うことは出来るように
 なり、飼い主の方々にも微笑まれて、ひとつの優しく幸せな空気を作り出すことが出来るようになります。
 ひとつの技術としての、社交術の獲得。
 でも。
 
 そのアプローチの仕方では、絶対に心からあの子達と遊ぶことは出来ないのです。
 遊んでいるという、意識を作ることは出来ても、です。
 
 
 離れたい想いを押さえつけ、逃げ出したい心を縛り付けて、それらの気持ちを騙し騙しすることに精を
 出すことによって、作業としての感想を書き綴る。
 何度も、何度も、今回はそうしようと思いました。
 捻り出そうと思えば、私の場合、それこそいくらでも言葉を捻り出すことは出来ます。
 それらしい比喩と抽象表現を以て、それを書き重ねることによって、「その気」になることは出来ます。
 本質的には、私の書く感想はすべてそうであり、例外などなにひとつありません。
 でも、最初に言葉ありき、かどうかは疑問なところです。
 どうしようも無い情熱があり、それを整理する過程で出てきた、そうした歴史を持った言葉こそ、
 私が最も一番初めに書き記したい、それこそ最初にあるべき言葉にしたいのです。
 言葉があって、そこから情熱を広げていく、それは私にとってはすべて、演技にしか過ぎないのですから。
 
 その意味で、今回のこのお話は、私にとっては甚大な衝撃を与えてくれてはいたのですけれど、しかし
 それが私にとってはとても手を触れにくい角度で発生してしまったがゆえに、私はそこから逃げ出したいと
 いう情熱とそれをすり替えてしまったのです。
 ですから、もし私がこの感想を私が一番書きたいように、つまり演技無しで書こうとするならば、その
 最初にある情熱としての逃避に根差して書かなければいけなくなってしまうのです。
 私には、そんなことは出来ません。
 だから、何度も立ち向かう。
 でも大元にあるものが逃避なのですから、頑張れば頑張るほどに、私は本質では無いものに手を
 染めることからは、かえって逃げ出すことが出来なくなってしまうのです。
 
 
 −− やっぱりコメディなところが鼻につく。
 −− 軽薄とは言わずとも、どことなく型に嵌めて済ましてしまおうという気がする。
 −− 祐巳さんが人間性を感じられないくらいに、優しさマシーンになってしまっていない?
 −− 祥子様がボケにしか見えないのですけれど。
 −− 由乃さんが俗っぽいというか、こちらこそ軽薄な気がする。
 −− 逆に志摩子さんは無言にカッコ良さを示してる。 文字通りお人形さんみたい。
 −− 乃梨子は良い味を出しているけれど、中途半端。
 −− 新登場の可南子の切れ味は清々しかったけれど、いまいち押しが弱い。
 −− 令様の影の薄さが大幅にパワーアップ。 なのに納得している自分が可笑しい。
 −− 全体的に華が無い。 色気が無い。 野暮ったい。
 
 
 
 ああ
 
 
 これは
 
 
 
 瞳子じゃないですか。
 
 
 
 
 
 
 
 
 ・・・・・・ ◆
 
 駄目なところばかり目につく。
 まったく、どうしてこんなに色んなことが気になるのかしら。
 どうだっていいことなはずなのに、それなのに、どうしてこんなことを思ってしまうのでしょうか、なんて、
 そんなことをあっさりと言ってしまえるなんて。
 どうだっていいことなはずなんて、ありませんのに。
 どうだっていいと言ったって、それで気を惹こうとしたって、それが全部無駄だとわかっているくせに。
 全部無駄だとわかっているからこそ、わざわざそうしているのに。
 どうして私は、そうやって無駄なことをしたがるのかしら。
 無駄じゃないものがあるって、ほんとは思っているからなのかしら。
 馬鹿みたい。
 私は私。
 ただ、それだけですのに・・・・・
 
 
 
 ◆
 
 色んなところが目に入ってきます。
 私は、もう、以前の私とは違います。
 かつてマリみて熱に浮かされた、その私ではありません。
 そして私は、そのかつての自分を前にして、今の自分を恥じらっています。
 そして幸か不幸か、今回のこのお話は、かつて私が盲目になってしまうほどの、そうした種類の力を
 持った作品では無かったので、私は今、ぞっくりと眩しいほどに、そのかつての自分に成り代わって、
 このお話を断罪して回っているのです。
 今の自分の恥ずかしさから逃げているからこそ、かつての自分への羨望があるからこそ、そうしている。
 
 でも、みてる。
 
 私はこの作品は、今此処で、みているのです。
 
 そして。
 かつての私も、その今の私を、みてる。
 
 次回の話で、聖様達元薔薇の方々が登場するときいて、いてもたってもいられない、そんな自分が
 今、此処にいます。
 今の自分を誇らしく。
 そしてなにより、その今の自分の全力を出してみたい。
 色んなものがみえています。
 悪いところの良いところが、悪いものがそのまま良いものへと換わる道筋が。
 今の私は、かつての私とは違って、色々なものをみることが出来ます。
 今回のこのマリみてのシーズンは、私にとっては、感想の書きにくいタイプです。
 でも、私は既に、そういうタイプも愉しんでみることが出来るように変わってきているのです。
 ひとつひとつ切り離された面白い要素をそれとして愉しみ、それらの積み重ねの、雰囲気としての
 愉しさを味わい、そして訥々とそれを言葉で満たしていく。
 この「マリア様がみてる4thシーズン」という作品は、まさに私にとってはそういうタイプの作品のようなの
 です。
 意識的に、論じることが可能な部分以外を切り捨て、感想を書くためにそのアニメを観ようとしなくとも、
 今の私は感想を書くことが出来るのです。
 そうであるのなら、私は。
 
 
 その新しく手に入れたアニメの接し方を手放さずに、むしろ積極的に利用して。
 そして。
 同時にまた、かつての私のやり方の本質のままに、この作品を観て、感想を書いていきたいのです。
 
 
 正直私は、色々とぐるぐると遠回りした挙げ句、今回のお話は最終的には、可南子と瞳子に行き着き
 ました。
 そのふたりにとっての祐巳さん、というものがみえてきました。
 そしてとても面白いことに、その祐巳さんをみるということが、私がこれまで培ってきた、感想にしにくい、
 けれど同時に愉しめるモノをみつめること、いえ、それを愉しむということと等しいことだと感じたのです。
 どーんと、構えればいい。
 由乃さんの仰る通りです。
 そして。
 
 
 
 それが、その「愉しみ」が。
 
 私の得た、言葉に先行する「情熱」たり得るのではと思ったのです。
 
 
 
 EDの、うっとりしてしまうくらいの各種薔薇のスールっぷりを観て、愛を感じました。
 ああ・・・これだ・・・・あのときの・・・・感覚は・・・・・これ・・
 変わったものはあれど、変わっていないものも、また、ある。
 それをどうやらやっと、見つけたようです。
 先ほどの情熱があれば、この愛のままに盲目に文字通り返り咲くことも可能ではないでしょうか。
 かつてのシーズンで私が降りしきる雨ほどに涙して狂った、あの聖様や志摩子さんと同じ位置から、
 可南子と瞳子を書き出すことは、充分可能なのだと、深く感じます。
 今回だって、実は可南子と瞳子の物語を即興で考えることは出来ました。
 でも、ですね。
 だからこそ私は、それを書き出す一歩手前で、気づいたのです。
 あ、そうか、だから、私はみえるんだ。
 今回の作品に流れる軽々しさが、個別の「物語」では無く、ひとりひとりの「笑顔」の集まり、
 いえ、「笑顔の群れ」として、なによりも楽しく嬉しく描かれていることに由来しているんだ、と。
 その瞬間に、あのOPが、あの最初眉を顰めかけたファンタジックな軽さが、とてつも無く面白く感じる
 ことが出来たのです。
 そう・・・この感覚は・・・・・・
 
 
 いつもアニメを観て愉しんでいるときの、あのまったりゆったりな感覚と同じじゃないですか。
 
 
 
 とても・・
 とても、感慨深いです。
 あのマリみてが、あの私にとって峻厳で清冽なマリみてが、こうして「お手軽」な愉しみの仲間入りを
 果たすなんて。
 散々今までやってきた、アニメの愉しみ方を広げるということの積み重ねが、ここでまたひとつ花開いた
 ような気持ちです。
 そこここで、薔薇達が笑いさざめく乙女の園。
 ほんとうに、山百合会の面々が、特別な存在では無くなり、まさに一般生徒のうちのひとりとして、
 当たり前に囁き合っているような感触。
 それは別に彼女達の価値が下がったという訳ではありません。
 むしろ逆に、「ハイレベル」なものが「その辺りにあって当然」というほどに、全体のレベルが上がった、
 ということなのです。
 みんなの中で、当たり前のように笑い合う、志摩子さんと乃梨子のスール。
 それぞれふたりの物語を書いてきた私からすれば、これはすごいことです。
 たったふたりだけで、桜の木の下で笑うのでは無く、みんなの中で、微笑み合う。
 そしてさらにはEDで魅せたように、同時に桜の下の中で抱き合うふたりもいる。
 そのふたつを見事に合わせてひとつにした笑顔が、やっぱり当たり前のようにして、あの画面の中には
 広がっているのです。
 
 こんなに嬉しいことは無いです。
 少し涙が滲んできてしまいました。
 
 久しぶりに再開した、愛しい我が子。
 出会った瞬間にすれ違い、はぐれてしまったのに。
 ようやくみつけたその子は、とても楽しそうに、周りの人達と笑い合っていました。
 なんて、嬉しいの。
 そして、寂しい気持ち。
 なのに、あの子はその瞳の中に、あの頃となにも変わらない、あの冷厳な光を湛えている。
 その光に晒されていることが、私は嬉しい。
 そして。
 嬉しいから、なによりも嬉しいから。
 私も、笑いたい。
 私も、周りの人達とこんなに笑い合えるようになったのだと、あの子に魅せてあげたい。
 だから。
 
 みんなと一緒に、笑いましょう。
 あの子の冷たい瞳に映る私の姿を、笑顔で彩りたい。
 
 
 マリア様がみてる、のですから。
 
 
 
 
 
 と、いうことで御座います。
 困りながら涙が零れてしまいます。
 頭の中はぐちゃぐちゃで、今にも可南子や瞳子の物語を書き出してしまいそうです。
 なので、私は一時停止。
 そしてまた、歩き出します。
 次回以降、もし愛のままに書き出せるのならば、可南子や瞳子、あるいはこれから始まるであろう
 他の人達の物語を書いていこうと思います。
 そして勿論、もし情熱のままに書き出せるのならば、ひとつひとつの笑顔を愉しみながら、こちらも優しく
 愉しみながら色々と語らせて頂こうと思っています。
 個人的には、今回も見た通り、瞳子に一番近しくなったので、その線を深めていきたいのですけれど、
 或いはもう一方惹き付けられた可南子の「なにか」とも絡め、複合的になにか新しいものを模索する
 ということも、是非やってみたいと思っています。
 私から新たなマリみてへと送るラブレター。
 ということにしておいてください、今日の文章は。 (笑)
 
 
 それでは、次回また、お会い致しましょう。
 ごきげんよう。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
                     ◆ 『』内文章、アニメ『マリア様がみてる4thシーズン』より引用 ◆
 
 
 

 

-- 090108--                    

 

         

                                  ■■ 愛する友へ ■■

     
 
 
 
 
 『そうだな。
  けど幸い、俺には君の声が聞こえるよ。
  ここにいる他のみんなのも、そして人の言葉もな、隔てなく。
 
   これは、力にならないだろうか。』
 

                          〜続 夏目友人帳・第一話・夏目貴志の言葉より〜

 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 連なる道、続く道。
 果てなく淀みなく、雪解けの水が廻り回りて固まっていく。
 曇り空に落ちた吐息はすぐに、砂利道を踏む白い足跡に塗れて消えた。
 僅かに濡れる唇の先に指を当て、凍り解け散る涙の結晶に光を当てる。
 風が冷たい。 目に凍みる。
 福やかに仰いだ天穹には、薄く散じた陽溜まりが浮かんでいた。
 立ち止まり、力を抜き、途端に抜けていくなにかに手を伸ばし、抱き止める。
 細やかに身震いを刻み、掛かる赤虹を見て渡り、柔らかくそっと胸を澄ます。
 静かにことりと落ちる、小さな鼓動が足下を濡らす。
 迫り上がる冷気が胸に触れ、それが優しく溶けて雪に変わるのを無下に見つめている。
 ひと掬い、ひと掬い、青く透ける雪を祓い、そのまま元来た淡い足跡の上にそれを塗っていく。
 靴先で閉じる、帰り道のぬくもりがこそばゆく、暖かい。
 至福の声が、響く。
 さめざめと降り込む白銀の陽射しが、越え往く薄い雲を照らしている。
 嗚呼 静寂が響いている
 瞳に力が入る。
 背筋が凍みる。
 鼻腔が張り詰める。
 淀む唇。
 かじかむ踵。
 許せない、指先。
 ぐるぐる。
 ぐるぐる
 
 さぁ
 
 いこう
 
 滲む道の端に影がそよぐ。
 ひらりと返した掌の上に息吹きが通う。
 饒舌に満ちた無音が白雪を砕き、ぬらりと湧き出る忍び笑いを狩りて宴を張っていく。
 さざめく光、落ち着く影、飛んでいく白い息。
 踏みしめる雪明かりが弾けて浸みていく。
 歩く、歩く、出会い、話す。
 意地悪な頬杖と、邪悪な言葉と、陰険極まる濡れた瞳。
 満ちている、満ち満ちている。
 そして、その影の端に線が引かれる。
 鮮やかに割り切りことの出来る混濁が、やがて列を成して走っていく。
 すぱり すぱり
 快刀乱麻を断つように、解れた糸を編むように、その嬉しき影達の世界は増えていく。
 
 
 ああ
 
 独りじゃ ない
 
 
 当たり前の道行きのままに。
 ふわりと座る道の端。
 どこまでも変わる、真っ黒に沸き立つ淡い影。
 ああ ああ ああ
 なによりも、静かになれる。
 ぞろぞろと、今にも足音が聞こえてきそうだ。
 いつまでも、生きていけそうだ。
 その影に出会うたびに。
 割り切れることが無いたびに。
 なぜだろう、こんなに真っ黒なのに。
 どうしてだろう。
 どうして、こいつらの顔が、わかるんだろう。
 その顔の向こうになにも見えないことが、とても。
 とても。
 嬉しかった。
 もっと教えておくれ。
 お前達のことを。
 
 
 
 そしてその願いを口に含んだまま、青く澄み渡る空をひとり見上げていた。
 
 
 
 
 
 −− 輝く至福の冬の ほんのひとときの それは永遠
 
 
 
 
 
 
 ◆
 
 
 『苦しいって、言ってるだろがっ!』
 
 
 ったく、あの馬鹿にゃんこめ。
 殴らなきゃわからないのか。
 人がピンチだというのに、その目の前でのんびりと蝶なんか追い掛けるなんて、殴られて当然だろう。
 大体、自分で用心棒の先生とか言っといて、なにぬけぬけとしたこと言ってんだ。
 友人帳を奪うために俺が死ぬのを待ってるって、それなら俺が先生のこともまとめて殴るのは当然って
 ことになるじゃないか。
 用心棒を名乗ってるんなら、それが「どんな」用心棒だろうと、俺を守らないならそれは俺を襲ってる
 奴と同じじゃないか。
 だから、殴った、思う様に。
 どうせあのブタ猫のことだ、他にも、これくらいの妖を倒せないような奴ならお前はそれだけの奴だったの
 だろうさ、なんてことを言うつもりだったんだろう。
 俺を守らない用心棒は、それは既に用心棒を名乗る資格が無いじゃないか。
 俺がその妖を倒せるか倒せないか、それは俺個人の問題だ。
 それににゃんこ先生の用心棒の役目が「特殊」であることも、それは先生の個人的問題だ。
 先生にとっては俺は特殊な警護対象なのだろうが、俺にとっては先生はただの用心棒だ。
 勿論、襲いかかってきたら、容赦無く殴るけどな。
 先生が俺を守るのは、他の奴に友人帳を横取りされないため、だからしばらく俺を生かして友人帳を 
 もたせて、俺自身を防波堤にして、そして俺の手に負えない相手がきたときだけ手を出す、という、
 たぶん滅茶苦茶アバウトな理屈なんだろうけど、それだって大元からして穴だらけだ。
 そもそもそのやり方じゃ、先生は俺が生きてる限り友人帳を手に入れられないことになる。
 なんたって、俺に友人帳を守らせるために、先生が俺を守ってるんだからな。
 俺は先生に友人帳を使わせないんだし、ほんと言ってることは滅茶苦茶なんだ。
 それこそさっさと俺から友人帳を奪って自分で守って使えば良いのに。
 人間より遙かに長生きの先生にとって、俺に守らせる期間なんてそもそもとても短いのだから、俺に
 持たせている意味なんて、初めから無いだろうに。
 なのに自分で用心棒を名乗っている。
 
 なら、ちゃんと用心棒しろよ、先生。
 
 先生には先生の、俺には俺の事情がある。
 先生には俺の、俺には先生の事情は関係無い。
 甘ったれるな、馬鹿にゃんこ。
 というか。
 隙をみせたら喰ってやるからな、と言ったのは誰だったっけな?
 言いたいことは、沢山ある。
 訊きたいことが山ほどある。
 馬鹿にゃんこ!
 先生は、偉大で高貴な妖怪なんだろ?
 だったらもっと、人間の、俺のことに理解を示せよ。
 先生が俺を無視するんなら、俺は何度だって鉄槌を下すぞ。
 俺を無視するなよ。
 俺も、先生を無視しないから。
 
 『ぷっ』
 
 
 『あはははっはっは、真っ黒、なんで、どうしたんだ先生、あはははは』
 
 
 ほら、こっちこいよ先生。
 嘘に決まってるだろ。
 俺は先生の言うことを無視するよ。
 というか、先生の理屈なんて、全然どうでもいいさ。
 先生だって、俺の理屈のことなんて、無視していいんだ。
 むしろ、いつでもツッコミ入れて貰わなくちゃ、困るんだ。
 だから俺も、先生が汚れた足のまま部屋に入ってきたら、容赦なく拳骨を落とすだけだ。
 そうだよな。
 俺の理屈をわかってくれとか、どうしてわかってくれないんだとか、そんなんじゃあ無いんだよな。
 俺には俺の理屈の中身の善し悪しはわかっても、その理屈を使って行動する俺の良し悪しはわから
 ないんだ。
 先生に俺の理屈をわかって貰って、その理解された俺の理屈で先生に俺を論じられたって、それは、
 俺が先生を使って、自分がその理屈をちゃんと使えているかを検査することにしかならないんだ。
 俺がその俺の理屈を使って行動しても良いのか良くないのか、それを論じることは、それじゃ出来ない
 んだよな。
 同情・・・されたって、仕方ないんだ。
 理解されたって、それだけじゃ、なんの意味も無いんだ。
 先生が俺の分身になってしまったら、俺は先生を失うことになる。
 なんだろう。
 俺が俺の、先生が先生の立場を守り、そして俺が先生の、先生が俺の立場を尊重したって、それは
 あまり意味があることじゃ無いような気がするんだよ。
 そもそも俺は、先生に俺のことを尊重して貰わなければならないほど、落ちぶれてなんかいない。
 見栄とかそういうんじゃ無く、尊重して貰うのなら、その前に尊重させるべきなんじゃないかと思う。
 そう。
 無理矢理に、不条理に、だ。
 だからそれは尊重とかそんな悠長なことじゃ無くて、ほとんど命令なんじゃないのかと思う。
 先生に、俺のことを理解しろと言っているのは。
 
 
 俺、自身なんだ。
 
 
 俺が命令しているんだ。
 主体は俺で、だから誰かのことを尊重するのは、それは当然のことでもなんでも無く、その相手が其処に
 いて色々と俺に「なにか」するからなんだ。
 俺が誰かを理解するのは、その誰かが主体的に俺になにかをわかれと命令する、つまりなにかを伝え
 ようとしているからで、それの無い、ただの一方的な俺の他者理解は、それはある意味独り善がりな
 思い込みでしかないんだ。
 誰かが理解しろと命令するなら、それは独善にはならない。
 なんでって、そいつが命令したんだから、それはそいつに見事に責任があるんだからな。
 そいつが自分のことを理解しろと言って、それで俺がそいつのことを理解「してやって」、そして起きる
 結果はすべて、だからそいつの負うべき責任なんじゃないだろうか。
 汚れたまま部屋を入るな、というのは塔子さん達に迷惑をかけたくないからという俺の理屈によるもので、
 だからその俺の事情を慮って足を拭いて貰っても、それは逆に俺は困る。
 なんだか、悔しいんだ。
 有り難い、と思うことは勿論あるし、北本達がうちの事情をよく理解してくれて、さりげなく気を遣って
 接してくれるのは、とても助かっている。
 感謝している。 今まで、そんなことはなかったし。
 でも、それだけでいいだなんて、俺は全然思えない。
 北本達はそれで、俺と距離を取ったりしない。
 そういう配慮をしてくれても、それを中心にして俺と付き合ったりしない。
 同情でもなんでも無い、だから、たぶん、当たり前のようにして俺と友達になっている。
 俺にはわからないけれど、でもきっと、俺のことを慮る行為が、北本達にとっては負担でもなんでも無く、
 むしろそれが嬉しいし楽しんでるところもある・・・・というか、あきらかにそういう節があるよな、うん。
 ありがとう、そう思う。
 とても、嬉しい。 嬉しいんだ。
 
 でも、悔しい。
 
 だから俺は、あいつらのことも考え、あいつらのために、あいつらと一緒にいるために、懸命に笑い、
 懸命に空気を読み、懸命に、懸命に。
 そう、なってしまう。
 これはやっぱり、おかしいんだな。
 これはきっと、今の俺は北本達の好意に甘える、負けるしかないんじゃないか。
 甘えるのが嫌で、負けることが怖くて、人知れず我を張って、借りを作らないためにも無理して・・・
 甘えることが、負けることが出来ない、そんな自分の弱さに負けているだけなんじゃないか?
 だから俺は、北本達には、すっと、おとなしく、なにより素直に接したいって思う。
 俺には俺の出来ることを、さりげなく、北本達の負担と同じレベルの負担で出来る、そんななにかを
 すればいいんじゃないかと、俺はおもう。
 あいつらが困ったことがあったら、助けてやりたい。
 だって、俺には、他の人には見えないものが視えるんだ。
 声にならない声を聴くことも出来る。
 それはきっと、力になる。
 
 
 
 
 じゃあ、先生は、どうなんだ?
 
 
 
 
 先生は、妖怪だ。
 先生は、偉大で高貴で、まぁ自称だけど、そして妖怪の理屈を堅持している。
 とはいっても、正確にいえば気高い妖怪・斑の理屈であって、それは往々にして妖怪全般の理屈とは
 相容れないものだったりする。
 でも、北本達に比べたら、「理屈」というものに対する拘りは遙かに高い。
 北本達は、常識とかそういうものにあまり拘りが無いし、だからかなり俺に自由に接してくれている。
 だから俺は、いわゆる常識的な立場を考えずに済んでいる。
 でも、先生は?
 先生は、堂々と自分の理屈を常識を押し付けてくる。
 俺の事情なんて、あっさりと踏み越えて、いや、汚れた黒い足跡で踏み潰した上に後ろ足で砂をかけ
 ていく。
 妖怪はみんなそうだ、なぜならあいつらは妖怪で、俺は人間なんだからな。
 初めから妖怪の先生にとって、人間の俺のことなんてどうでもいいんだ。
 当たり前なんだ。
 だから俺も、人間の俺も、妖怪の先生に一歩も引く必要が無いんだ。
 甘えられない。
 でも。
 戦える。
 
 自分の理屈と、戦えるんだ。
 
 先生の我が儘な理屈に支配されないために、先生の理屈を理解して同情するだけの自分と。
 俺の我が儘な理屈で先生を支配しようとするだけの、自分と。
 戦えるんだ。
 
 俺の事情を理解して貰い、そして先生にそれを慮って部屋を汚さないようにして貰う、のじゃ無い。
 部屋を汚さないのは、「当たり前」のことでも、それが正しい空気でもなんでも無いんだ。
 俺はただ俺の責任を以て、先生に部屋を汚させないように躾るだけなんだ。
 
 先生の理屈と俺の理屈、そのふたつを戦わせることで、俺と先生は、俺達ふたりは、いつもその
 理屈の先へと進むことが出来る。
 先生を崇拝している・・・んだと思うけど、あの紅緒という妖は、どうなんだろう。
 前に出会ったヒノエに、あいつは少し似ていた気がする。
 ヒノエは俺の亡くなった祖母レイコさんを愛していて、それで孫の俺をレイコさんと勘違いして、それが
 勘違いだと知ったときに絶叫した。 あれは驚いたな、はは。
 紅緒は久しぶりに出会った先生がちんちくりんなブタ猫に変わっていたことに絶叫した。
 でも、ヒノエも紅緒も、どうだったんだろう。
 俺がレイコさんでは無く、というか女じゃ無かったら、俺のことを無視しただろうか?
 先生が美しい斑では無く、ちんちくりんなブタ猫だったら、先生のことを無視しただろうか?
 実際、俺はレイコさんでも女でも無く、先生はちんちくりんなのに、あいつらは俺達と一緒にいて、
 話をして、そして、共に笑い合った。
 勿論それで、ヒノエも紅緒も、自分達の失ったものを捨てる気も諦める気も無いんだろう。
 そう。
 
 
 
 俺も、北本達と、他の人達がそうしているような、そんな普通な常識な対等な付き合いをすることを
 捨てる気も諦める気も、無いんだ。
 
 
 
 
  
 夜宴を飾る灯火に影が集う。
 異形異種の、魂の端に宿る息吹が駆け抜けていく。
 そんな言葉を捏ねながら、ひっそりと闇に濡れていく。
 入れた力が抜けていき、それがひとつところに集う様を眺めていた。
 馬鹿馬鹿しい。
 馬鹿馬鹿しいけれど、なんだか、誇らしい。
 些末なプライドや劣等感に、それらを繋ぐ赤い架け橋が生まれている。
 嗚呼
 先生
 こんなみっともないこと、言えないな。
 だから俺は、こんなもの、本音になんて絶対しない。
 力めば力むほど、その力は影と繋ぐ手のぬくもりに変わっていく。
 いや。
 
 その繋ぐ手のぬくもりを感じるためにこそ。
 俺は誇り高く、みっともなく負けず嫌いに、頑張っていくのかもしれない。
 
 一斉に伸びる黒い手。
 膨大な言葉が、理屈が飛び交い、それらの集積としての、なんとなくの空気さえ生まれている。
 みんな違うはずなのに、こんなに手を伸ばしているのに。
 俺にはそれが、たったひとつの、真っ黒な大きな大きな、恐ろしく禍々しい手に見えた。
 でも。
 きこえる
 みえる
 へだてなく
 
 俺は、関わっていく。
 
 その真っ黒な手の向こうに、なにも掴めずに足掻く、無数の淡い手が視えた。
 幻想だ。 幻覚だ。
 みんなそう言う。
 お前ひとりじゃどうにもならないと、先生も言う。
 わかってる。
 本当は、なにも無い。
 本当は、なにも出来ない。
 でも、当たり前じゃないか、そんなこと。
 なにも見えない、なにも出来ない俺が此処にいるだけじゃないか。
 なにも見えないのに、勝手に其処になにかを見込むのは、それは独善だ。
 だけど、だから、なんだ。
 
 俺は、視たんだ。
 もう誰も。
 
 見えないなんて、言わないぞ。
 
 無数に広がる手の嵐。
 怒声と罵声のめり込まれた、無駄だ無駄じゃと叫ぶ理屈が犇めいている。
 けど、だから。
 チャンスなんだ。
 
 
 『耳を澄ませ。』
 『いるはずだ。 この中に!』
 
 
 誰も其処にいなくたって、俺はいると叫ぶ。
 命令する。
 お前の名を、教えろ。
 立ち顕れた幻に、ひしと黒い影の魂が入り込む。
 
 『リヨウ。』
 『君に還えそう。』
 
 『受け取ってくれ。』
 
 
 俺は俺の目を、俺の理屈と常識でしか見ることが出来なかったことを、君に託そう。
 お前達は、初めから其処にいる。
 俺にはそれが見えない。
 見えないなのに、見えるという。
 なぜなら。
 お前達が其処にいることは、昔から、ずっとずっと昔から、知っているのだから。
 だから、視える。
 どんどんと、形になる。
 ぬくもりになる。
 言葉がきこえる。
 優しさと愛しさが響いてくる。
 単純な、単純な、そのままの魂の音色が、うっすらと白い羽に誘われ落ちていく。
 俺の願望と凌ぎを削り、その黒い影に縁取られた純白の魂達は、正確に彩られていく。
 お前達は、お前達だ。
 俺の好きなように塗り替えることが出来れば出来るほどに、俺はその描いた絵を引き裂いて、火を灯す。
 その燃え上がる祭り火の下に広がる影にこそ、本当のお前達の存在を感じていく。
 一瞬の、さざめき。
 白い、抱擁。
 宴の中の、永遠の出逢い。
 
 気づけば。
 
 
 
 
 

 −− 黒い宵闇の中に、淡くて青い、雪が降り込めていた−−

 
 
 
 
 
 『やっぱり、人は好きになれんよ。』
 
 そう嘯く紅緒の視線と重なった。
 好き嫌いの応酬を交わし、損得勘定で綱引きして、新たな恩讐が縁を結ぶ。
 みんな、違うんだ。
 違うからこそ、俺と紅緒を結ぶ、そのふたりの間にあるものが、俺達を結ぶんだ。
 だから別れもある。
 そして。
 
 居座る馬鹿にゃんこも、いる。
 
 割と結構、理屈がわかる。
 紅緒のそれも、先生のそれも、べつにそんなに難しいことなんかじゃないんだ。
 不思議なものなんて、なにも無い。
 それが其処にいる限り、それのことがわからない俺が此処にいるだけ。
 
 
 『ありがとう。』
 
 
 
 
 
 
 一筋の刹那。
 続く道のりが足裏を溶かし、消えていく言葉に湯を注ぐ。
 暖かく満ちる力強さに、真っ白に伸びた雪野原の無限を感じていく。
 ああ
 歩いてゐる
 誰もいないのに誰かいる
 風で繋がっている。
 交わる足跡が世界を変える。
 振り返る暇も無く、闇は光に変わるままに、愛しく空へと還っていく。
 この雪を降らすために。
 白い、白い、暖かい、時間。
 なんだろう、どうしてこんなに寒いんだろう。
 寒いのに、どうしてこんなに、嬉しいんだろう。
 一歩後ろを歩く、姿の見えない友人の、その聞こえぬ足音が、ただ。
 
 儚いほどに、ずっと、ずっと、溜息が白くなるほどに、愛しいな。
 
 ありがとう。
 
 
 愛する友へ。
 
 
 
 寂しさと。
 愛しさを。
 
 
 ありがとう。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 『はぁ・・・』
 『黒いにゃんこって、可愛いなぁ・・・』
 
 
 『どういう意味だそれは! まったく、誰の御陰で今回のヤマが解決したとっ。』
 
 
 
 
 ああ。
 先生の御陰だよ。
 
 そうだ、それでいいのだ。
 にゃん!
 
 
 調子に乗るな、この大福ねこ。
 
 
 にゃ、にゃにおぅ!
 
 
 
 
 
 
 
 
 
                             ◆ 『』内文章、アニメ『続夏目友人帳』より引用 ◆
 
 
 
 

 

-- 090106--                    

 

         

                             ■■真っ直ぐにど真ん中!■■

     
 
 
 
 
 ども、紅い瞳です、ごきげんよう。
 
 はい、お正月終わり。しゅーりょー!
 はっちゃけ過ぎて、まったり一休み中にもはっちゃけて、おいおい冗談きtあばばばば、みたいな、ご無体な
 、そんな言語を絶する、しかして文章にすれば大したことはやってない、そんなお正月でした。
 
 ぶっちゃけ、飲みっぱなしでした。 (まんま)
 
 一気にがーっといける口じゃ御座いませんので、逆にゆるゆる長々とのべつまくなしにちょろちょろと飲み
 っぱなし、ツッコミが入らないので飲みっぱなし、ボケっぱなし。
 みなさん焼酎とかビールとかカクテルとかだったので、私だけぽつんと余った日本酒部門の担当だったか
 ら生存競争(?)も起こらないっていうか、やっぱりツッコミが入らないものだから、ちびちびちびり。
 ていうかね、君達ね、今回は私は会場設置係だったからしょうがないけどさ、買い込み過ぎですから。
 ていうか、ツッコミにいかなかった私も悪いですけどさ、頼むからノリツッコミくらいは誰かしようよ。
 みんなして買ってきて、出迎えに出てみれば、「あ、まだちょっと外に置いてあるから待って。」とか、玄関
 先で言い出す人達に絶望した!
 ・・・・・・・少なくとも、「予算」という概念が無いよね? つーかもう領収書見たくないよ見せんなよ。
 ビールが箱買いなのはいいんですけど、それビールオンリーの会のときだったらいいのよ?それでも。
 でもさらに、そのビールの横に焼酎の瓶と大きめのビニール袋にぎっちり詰まった各種カクテルとかあるし。
 焼酎は二本だし。 あと家から持ってきたとかっつって、今更ウイスキー出す人は私は好きだな。
 で、一番笑えるのは。
 
 ・大吟醸 岩盤五割磨き搾りたて生原酒 「道灌」
 ・大吟醸 「出羽桜」
 ・パック酒 「濃姫の里 隠し吟醸」
 ・同 「沢の鶴 宮水」
 
 という日本酒を (私以外)誰 も 飲 ま な い の に、買ってくる奴がいるということ。
 つかこれ嫌がらせでしょ? ねぇ嫌がらせなんでしょ? ってか無駄遣いすんなっ!!(血涙)
 嫌よ嫌よも好きのうちってあんた、そりゃ私は日本酒好きですけど、こんなに飲めるか!
 まぁまぁわかってるよ、別にあんただけに飲めって訳じゃないからさ、なに?、まさか独り占めする気?、
 と言うから、そ、それはそうだよね、さすがにそうだよねと納得しようとしたらさ、あんたら「不味・・」のひとこ
 とで一口だけしか飲まなかったっていうのはこれ、どういうことなのよ!! 笑うなぁーっ!!(泣き寝入り)
 大体新年会で、せっかくお金出し合ってんのに、パック酒はないでしょ。
 つかそのふたつ合わせれば一本そこそこ美味しいの買えるのに、なんと勿体ない。
 まぁ出羽桜の大吟醸は前から飲みたかったからそれを買ってきてくれたのは慧眼だけどさ、美味しかった
 ですけどさ、飲みもせんのにわざわざパック酒(しかも2リットル)はやめておくれよ、ネタってか嫌がらせの
 ために買ってくんなよこの不景気に! いい加減にしなさい! 
  
 まぁ、結局飲んだけどね。  ←お前もいい加減にしろ
 
 ちなみに。
 上に書いたのは、最初玄関に置いた分だけです。
 それ以外のモノに関しては見たくもなかったので、私の目に触れさせずに冷蔵庫に封印して貰いました。
 もう知らない。
 さらにちなみに。
 
 これ、3回やりました。  (場所とメンツとさすがに規模は違いましたけど)
 
 
 降参。
 紅い瞳は、降参致します。 (白旗にくるまって爆睡しながら)
 
 
 
 *
 つか、実は酔ってくると結構普通に日本酒飲んでくれましたけど、あの人ら。
 主に焼酎部門の人はあれ、もう色的に同じな日本酒と区別無いでしょこれ。
 パック酒をロックで飲んで美味しいってあなた、ある意味感心でしたけど。
 うん、ありがと、みんな・・・(しみじみと)
 ちなみに私は酔っても焼酎は駄目でした。 割と平然と駄目でした。
 むしろトドメになりかねんかった。 すまん。 (あーあ)
 
 
 
 
 
 ◆
 
 という感じの年始な私でした。
 私的にはもっとこー、利き酒会みたいな、美味しい料理と美味しいお酒をじっくりと味わい愉しむ、
 みたいな感じが良かったんですけどね。
 その辺りが全然無理な人脈構成に勢いがあっていいんじゃないの?、ともう諦めております♪ (微笑)
 ・・・・出会いって、大切だね・・・・ (頑張れ)
 でもま、この愛すべき馬鹿達(目上の方もいらっしゃいますけどww)に乾杯です。
 ・・・絶対今度復讐してやんよ・・・・(嫌がらせ的に ぉぃ)
 
 
 さて、お正月はもういいですね。
 お酒なんてもうしばらく見たくもありません。
 ので、アニメのお話をします。 させてください。
 ええと、前期の話をさせて頂きます。
 というか、前期で終了したアニメのそれぞれのまとめプチ感想を書かせて頂きます。
 対象は以下の作品です。
 
 ・夜桜四重奏
 ・ケメコデラックス
 ・ヒャッコ
 ・かんなぎ
 ・ヴァンパイア騎士 ギルティ
 ・魍魎の匣
 
 「屍姫 赫」については、続編がすぐに放送開始されるので、終了した作品としてはここではみなしま
 せんので、あしからず。
 今日はそうですね、お酒の話とかで時間喰ってしまったので、ヒャッコ辺りくらいまで語らせて頂いて、
 残りは次回、ということにさせて頂きましょう。
 では、早速。
 
 
 
 
 夜桜四重奏:
 印象とか演出は以前語ったので、見事に割愛。
 で。
 なに?
 結局あれはさ、臭い物に蓋、ってことでOKなのん?
 ぶっちゃけ、一番「納得」したのは私、あれ、円神なんですけど。
 つか蓋されちゃった彼の理屈が一番まともだったというか。
 第一、彼のネチネチネチとした心理攻撃(笑)が、全部的を射てるんだもん、ある意味すごい。
 そう、理屈的側面で考えると、この作品はかなり滅茶苦茶をやっている。
 人間と、人間と「現時点で」共存可能な妖怪だけが生存可能な町。
 それ以外の妖怪は、優しく「昇天」させてあげる。
 あれ、安楽死させてるだけじゃない? 普通に殺してんじゃん、やっぱり。
 チューニングとか言ってるけど、どうもそれやられるとどこかに送られるらしく、円神みたく生還可能
 らしいけど、でもそれって要するに地獄送りと同じで、それこそ蘇ってきたということで、やっぱり殺してる
 ということに変わりは無いし、邪魔者排除の思想は全然同じ。 強制改宗ですらなかったね。
 別にそれがイコール円神の妖怪だけ生存可能な町建設が正しい、ってことにはならない。
 けど逆にいえば、その円神のやろうとしていることと、ヒメ達主人公側がやろうとしている虐殺上等(笑)
 なことは、全く同じ位階の話ってことになるんじゃないかなぁ。
 円神は要は、てめーらも俺と同じだ、自分だけ良い子ぶってんじゃねぇぞって、すごく当たり前のことを
 言ってた気がするし、逆にヒメなんかは自分達の理屈の正当性だけを叫んで、結局円神の理屈の
 「位置」については無視しっぱなしだった気もする。
 つまり。
 ヒメ達も円神も対等で、ヒメ達の理屈の中身自体は正しくても、それはイコールヒメ達の理屈の「存在」
 自体が正しいって訳じゃないってこと。
 ヒメも円神もどっちも間違ってない、その認識を経た上でヒメ達が自分達の理屈の正しさを主張する
 なら頷きようもあるけど、そうじゃない、ただの円神否定としてのそれは、全然頷けない。
 この夜桜四重奏という物語はつまり、ヒメ達の自分変革の物語であって、決して自分達以外の者も
 存在する、その世界変革の物語では無い。
 結局円神なる者が、ヒメ達にとってはただの反面教師、或いはヒメ達の「成長」のための生贄にしか
 なってないんだもの。
 
 そりゃー、頷けないさ。
 や、頷けるけど、それはあくまで自分用に頷けるだけの話でさ。
 
 と、そういう物語を反面教師としてみるだけなら、私も同じですけどね。 (笑)
 こういう物語のままに存在している者達、それと共に生きていける世界の建設をしてこそ、ですよね。
 続編やるとしたら、その辺りお願いします。(勝手だなぁw)
 
 
 
 ケメコデラックス:
 ケ メ コ が 強 す ぎ る ん で す け ど wwww
 結局ミシマ側は手も足も出てないっていうか、どんだけ強いんだケメコはw
 フwンwwバwwwバwwwwちゃべすとセットwwwこれ最強www
 ちなみにフンババもチャベスも、新兵器でも必殺技でも無く、ただの掛け声ですのであしからずwwww
 あーもう、なんかほんとケメコで始まってケメコで終わりましたよ、これ、最高ww
 ミシマのビルを丸々一本ひとりで壊滅(しかも割と余裕ww)させて、ほんとよいしょっと手軽にぽんで、
 で、結局エムエムの過去話とか概略はわかったけどじゃあそれがなんなの?、という肝心なところにな
 るとケメコに搭乗してフンババ!!ですよ、ほとんど真っ直ぐ来て真っ直ぐ帰っていきましたよね?あの人、
 その直線上にあるもの全部強引に壊していきましたよね?あの人、ミシマの専務さんもケメコ無きミシマ
 の悪女なだけで、結局ケメコがきたらやられキャラでしたよね?あの人。
 つか基本、三平太はそのシリアスとか含めて全部蹂躙されてますよね?あの人に。
 ミシマの女の小細工も、三平太の純情(笑)も、全部ぶっ飛ばされてましたよね。
 圧倒的過ぎwwwwやりたい放題www
 エムエムのデレも含めて、ほんと滅茶苦茶。 ケメコに乗ると人格変わるって、そういうレベルじゃないw
 つか、ケメコでやりたい放題の鬱憤晴らしのそれがさ、エムエムとは完全に切り離されてる、ってところが、
 やっぱりこの作品の面白いところで、ラブコメにならない最大のポイントなんだよね。
 ケメコとエムエムは別人なんですね。
 素直になれないエムエムが、恥ずかしさのあまりにケメコに乗っておもっきし三平太をぶん殴る、けど、
 その情けない自分を見つめて「ケメコの中で悩む」乙女なエムエム、というのが、いないのよこれ。
 だからこれ、全然ツンデレじゃ無い。
 つかむしろ、ケメコがエムエムの内面にけっこー入ってきてるし、エムエムも結構やるしww
 ケメコの中からちょこっと顔だけ出してるときには、ツンデレ的にちょこっと素直になるエムエムはいても、
 完全ケメコ搭乗状態になれば即、完全傍若無人のケメコが降臨するんですね。
 このケメコとエムエムの完全乖離、そこにギャグが、笑いが生まれている。
 別の言い方をすれば、ケメコ・エムエム・ケメコの中から顔出すエムエムの、その三形態があるからこそ
 、面白い。
 そして、なんだかんだで、実はケメコはエムエムの「ツン」にはなりえないんですね。
 形式としては「ツン」の位置にいるはずなのに、どう見たって、ケメコは同情(?)の余地が無いほどに
 漢女っぷりwに満ち溢れた暴虐クイーンですもんね。
 エムエムとの関連性が、無い。
 だから、純粋に、ケメコを愉しめる。
 でも、エムエムがいるからこそ、その「切り離された」ケメコを愉しむことが出来るのだと思います。
 ケメコだけだったらたぶん、ここまで面白いことは無かったと思います。
 私はこれ、「ケメコデラックス」はギャグアニメ史上に残る作品だと評価しますし、激しく第二期制作を
 期待しております♪
 
 あと誰にもやっぱりねと頷かれるとは思いますけど、私的には黒崎リョーコがピンポイントでした。
 どれくらいポイントかというと、最終回冒頭の台詞回しを目覚ましのアラームにしたいと思ったほどでした。
 人生気合い入れてお供致します! (某メガネ風にww)
 
 
 
 ヒャッコ:
 ・・・・・。
 これ、打ち切りじゃないの?
 あまりに唐突に話まとめすぎだし(まとまってはいたけど)、それに公式サイト見てたら、火継のキャラ紹介
 の欄に、「初等部から編入してきた、天才的な頭脳を持つ飛び級少女。」って書いてあって、?、って
 思った。
 編入?飛び級?それ、虎子達の高等部に入るってこと?
 ・・・・。
 そ ん な エ ピ ソ ー ド 、 ア ニ メ で な か っ た ん で す け ど ?
 というか火継は普通に初等部のままで終わってたじゃん、てかこれ、あきらかにアニメで編入するところ
 まで描くはずだったのに、そこまでいかずに打ち切りになっちゃったってことじゃないの?
 おまけに最終回ラストで思わせぶりにというか唐突過ぎに、火継のシーンが挿入されるし。
 なんだか、素直に釈然としない。
 なんだろ、ちゃんとお話としてまとまっているのに、なんつーか、裏切られたような。
 「お話」というものを対象化して、気軽に手軽に遊ぶのがこの作品のスタンスで、だから久しぶりにそうい
 う作品側の「趣向」に乗って遊ばせて貰ってたのに、最後になんの衒いも無く、あっさりと「お話」として
 の「オチ」をつけて終わりってさ、それなんか、自分だけ良い子になっていち抜けた、みたいな感じが
 したんですけど。
 
 でもそれって。
 最後にそのお話を対象化する、ということもまた、対象化してみせた、ってことなのかもね、これ。
 
 最終話の予告でのユキと火継の会話が、そんな感じを出してたし。
 入学式の話を最終話に持ってきたんだって、なるほどそうくるか、とか言ってたね。
 これってつまり、作品構成を対象化してるってことだよね。
 ってことは、対象化して遊ぶその対象は、「お話」だけじゃないってこと。
 だからこれは、お話という作品側の「趣向」に乗って遊ぶこと、それを対象化して遊ぶという「趣向」その
 ものも対象になるということ。
 最後でもう一回ひっくり返した訳ですね。
 
 あーこれ、アニメ「らき☆すた」と同じ手法だ。
 
 ヒャッコの方がより「物語」との接着部分は多いので、らき☆すたのよな青天の霹靂ぶりは無かったです
 けど、その分その手法に気づくのが一歩遅れたのね、たぶん。
 別に制作側がそういうつもりで作ったのか、事実打ち切りだからこじつけたのか、それは全然どうでも
 いいことで、そしてさらには、今語ったような手法がどうとかも関係無い。
 ヒャッコ、面白かった?
 私は、面白かったなぁ、普通に。
 「手法」について魅せてきたこれまでのお話の、その「手法」を一旦崩して裏切られた気分にさせ、
 けれど今度はその「手法」を崩すということが実は元々この作品がやってきた「手法」と同じものだったと
 気づかせる。
 じゃ、だから、その気づけた「手法」があることが、その「手法」そのものが、面白かったの?
 違うね。
 うん。
 ヒャッコって作品は、そこんところをこそ、突いてきた、ひとつの問題提起作品でもあったのだと思うのよ。
 「手法」がわかったって、んなの「ヒャッコ」の面白さのうちのひとつにしか過ぎない。
 それも含めてのヒャッコの面白さ、それをこの作品は観て欲しかったのかもしれませんね。
 お酒に例えますと、「手法」はそのお酒にまつわる蘊蓄で、でその蘊蓄そのものがお酒の「美味しさ」で
 ある訳では無いのだけど、でもその蘊蓄を含めて、多角的多重的にお酒の美味しさを味わっていく、
 その「愉しさ」をこそ、このヒャッコという作品から得て欲しかったのだろうと。
 そうすると・・・うん・・・・
 
 あの最終回の、あの煌めくような虎子の「味」が、もっと深くわかるんじゃないかな。
 
 あの「お話」としての最終回のあれは、ただの「味」ひとつにしか過ぎないと思いますし。
 つか結局、ヒャッコのことなんも語ってねーじゃんwwまいっかww
 はい、これも第二期を希望します♪ (なんとかなるの精神で)
 
 
 
 
 と、いう感じです。
 残りは次回、と言いたいところなのですけれど、というかさっきそう言いましたけど、撤回です。
 次回はですね、「続夏目友人帳」の感想を予定しているのです。
 あ、雑日記の次回、という意味ではそうなのですけどね、確かに。
 で、まだ本編観てないのに感想を書くぞと言っているので、実際どれほど執筆に手間と時間がかかるの
 かわからないので、その次回の雑日記は取り敢えず後回し、ということにします。
 あと、マリみて4の感想も書きます。
 マリみてと雑日記どっちを先にするかは、続夏目の感想の成り行き次第、ということで。
 一応予定ではマリみてを先にやりたいのですけれどね。
 
 では、そういうことで。
 いよいよ3ヶ月ぶりにアニメの連続感想を書き始めることとなります。
 この3ヶ月の休みっぷりで、いったいどれだけのものが書けるようになったか、自分のことですけど、
 少し楽しみです。
 頑張ります。
 
 それでは、また。
 
 
 
 
 

 

-- 090103--                    

 

         

                               ■■ 斜め上に、迎春 ■■

     
 
 
 
 
 新年明けましておめでとう御座います。
 
 旧年中は色々とお世話になりました。
 今年も当魔術師の工房と紅い瞳を、どうぞよろしくお願い致します。
 
 昨年のことは昨年のこととして、けれど同時に昨年のことも踏まえて、今年はひとつひとつ丁寧に
 過ごしていこうと思っています。
 色々と雑然としていて、なかなかまとまりというものを堅持することは難しいところですけれど、それでも
 少しずつ心身共に律して精進していこうとも思っております。
 改めまして、どうぞ、今年もよろしくお願い申し上げます。
 
 
 
 ****
 
 
 、みたいなことを書いてみたのですけれど、別にすらすらと書けてしまう自分が怖い、
 そんな新年早々の紅い瞳で御座います、ごきげんよう。
 うん、お正月です、おしょーがつ。
 もうなんだかなにがなんだかわからないくらいに、お正月してます。
 ぶっちゃけ、飲み過ぎたー。
 まぁみんなで飲んだりひとりで飲んだりと、とにかく冷蔵庫のあるものを手当たり次第に摘んだりと、
 あーこれ早くも体重計を仮想敵にして臨まねばならないほどに、現在自粛を見当しています。 (遅)
 で、今はひと息ついたというか、力尽きたというか、引き際が良かったのかまだこれを書く力くらいは残って
 いたりだとか、うん、去年の年始もこんな感じで、エネルギーほぼゼロ状態から一年を始めていましたよ
 ね、ということなので、早くも今年一年の行く末が占えてしまう、そんな紅い瞳のお正月模様でした。
 まだ明日があるんですけどね、どうしよ・・・・ がたがた
 
 さて。
 では、今年の抱負、というのをやってみましょうか。
 今年はですね、「頑張る」、です。
 まったりの反動です、アンチです、頑張ります。
 なんというか、年末に愛だろ愛とか言ってたら、なんだかそんなような気分になってしまいまして。
 愛とか勇気とかそれだけが友達だとか、まぁ、そんな感じ。
 「信じる」ってことって、やっぱり大切なんですねぇ・・・・(なにをいきなりしみじみと)
 や、なんかね、年末年始と続けて、ナルト観てたですよ、ナルト。
 ケーブルでアニメの劇場版やってたのをね、観たですよ。 2作品ほど観てたですよ。
 
 ラストで号泣している私がいたですよ。 (×2)
 
 基本的に、ひねくれ少女が最後ナルトの俺は絶対諦めない俺を信じろな熱い姿に感化され踏ん張る
 、というお話なんですけど、駄目、これ。
 泣いた。
 ぼろぼろ。 そんな感じで涙が零れちゃう。
 がんばり系に引きずられる傾向は元からあったですけど私、なんか年末年始にこう、いっきにきた。
 まずい、ナルトが熱すぎ。
 カッコイイとかそういうんじゃなくて、なんかもう、こう、ぐわーと、こう、なんかくる。
 なんか、救われる。
 あーなんか、ひねくれ少女と滅茶苦茶シンクロしちゃう、そんな感じ。
 なんかどんどん自分が馬鹿になってきてるような気がする中で、全然それが正しいことだって、当たり前
 なことだってことと繋がっていく、この懐かしい感覚。
 理屈じゃねぇですよ、そりゃ理屈でこれを説明出来なくはないですけど、理屈で説明することと、その
 説明に身を委ねるかどうかは別のことですよ。
 なんなら、勧善懲悪、いってみようか。
 むしろそれは、理屈で繋がってる。
 理屈的に勧善懲悪の「愚かさ」はわかっても、自分が「正しいこと」をしたいのかしたくないのかは、
 これはもう全然別のこと。
 善人に、正義の味方になる必要なんか欠片も無いけれど、でも善いこと正しいことをしたいって気持ち
 は、これはそれこそ悪人にも悪の結社の人にもあるんだものね。
 なのに、それが無いとしてしまうことがある、それは、善人にも、悪人にも。
 なら、その観点での善を勧めて悪を懲らすっていうのは、理屈的にも、全然間違ってもいない。
 
 じゃ、いっちょう素直になってみましょーか。
 
 そんな感じ、そんな感じ。
 なんかもう、デレデレです。 気持ち悪い。 この酔っ払い。
 なんか最近泣き上戸入ってきたっぽいですよ、この人。
 もうお酒飲みながらアニメ観るのとかやめようかな。
 もっと素でこう、泣けるみたいな、もっと素直に、お酒無しで酔っ払えるような。
 あー、昨年の「お稲荷さま。」のクーちゃんに絡めて、そんなことも言ってたなー。
 去年はよくよく考えたら、全体的にみて、なんかひねくれてたようなとこあったのかもねぇ。
 まったりとかぐだぐだとか、管を巻くのがカッコ悪いからなにも気にしてないフリしてただけかも。
 の割には、結構うだうだ文句多かったよね、2008年の私は。
 ある意味で、つんつんしてた。
 ツンですよ、ツン。 やさぐれ入ってたかもしんない。
 今だから言える、昨年の自己評価。
 ・・・・今だからっておいまだ早いだろ、という気持ちと、なにを今更という気持ちが綯い交ぜですけど。
 でも。
 
 
 今年は、紅い瞳、デレます。
 
 
 ツンデレじゃ・・・・ツンデレがおる・・・・・  (ざわざわ)
 自分でデレるとか言ってる人が普通に気持ち悪い訳ですけど、普通に「かんなぎ」最終回のタイトルを
 少々パクったりしてる訳ですけど、でも、頑張ります。
 なんか、そんな感じ。
 頭の片隅で常にツッコミ待ちな、そんなボケ根性でいきたいと思います。
 ほんとうにありがとうございます。 (なに)
 
 ということで、なんかヘンなエンジンがかかってきた2009年の紅い瞳が、この一年を駆け抜けていきます
 ので、どうぞ皆様、ひとつよしなに、で御座います。
 あーなんか、この、「よろしく」っていうのはええね、ほんとなんか暖かいっつーか。
 よろしくお願いします♪
 サイトの方も、今年こそ改装したいですでも無理だけど、日記の方も感想を向上心目一杯張り巡らせ
 てどんどん新しいモノを書いてこうと思いますでもどうせ変な方いくけど、チャットの方も目一杯はっちゃけ
 ていこうと思いますそりゃはっちゃけるけど。
 まぁ、その、うん。
 
 
 頑張ります♪
 
 
 
 なんか書いてて、「紅い瞳」的に、なんからしくなってきたなって、すんごい久しぶりに卑怯にも感じました。
 
 
 ご褒美に、もういっp・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・まずは体重計を片づけて、と。 (違)
 
 
 
 
 
 それではもう一度改めまして。
 
 今年もどうぞ皆様、よろしくお願いします♪  (色々片づけながら)
 
 
 
 
 
 
 
 

 

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