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◆◆◆ -- 2010年2月のお話 -- ◆◆◆

 

-- 100224--                    

 

         

                           ■■ その綺麗な挨拶の音が ■■

     
 
 
 
 
 『 た 、 助 け て ー ! 』
 
  

                             〜ソ・ラ・ノ・ヲ・ト ・第八話・カナタの言葉より〜

 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 うん、そうですねぇ。
 私はカナタ、好きですね。
 だってさぁ、正直っていうか素直っていうか、なんか可愛いじゃん?
 抱き締めたくなるような、よしよしって笑顔で見守りたくなるようなさ。
 ぎゅって、こう、なんか全部守りたくなるような、私が頑張らなくちゃって、そう思えてしまうような。
 もの凄くこう、私のなにかが刺激される。
 それは、カナタが好きだから、っていうからじゃあ無いんじゃないかって、ちょっと思う。
 好きは好きなんだけれど、好きだから守りたいっていうより、守りたくなるから好き、というか。
 それって、結構、そうして頑張れる自分の事が好きだから、ってことなんじゃないかな。
 うん、カナタはさ、私が私の事を好きって思えるようにしてくれる、そういう力があるんだよね。
 
  そもそも私って、ほんとに自分の事を好きって思えてたの?
 
 自分の事を好きって言うのは、ほんとはかなり難しい。
 だって、たぶんほんとは私は私の事、私の想像以上に好きなんだもん、私の想像範囲内の私が好き
 という想いでさえ認めるのにこれだけてこずってるのに、ほんとはそれ以上だなんてさ。
 それって、たぶんきっと、薄々そうして、私は私が好きなはずの自分の姿を、まだ全然知らなくて、
 だからそれを知らなくちゃいけないって事も含めて怖いから、だから見える範囲の私を好きだっていう
 ところで、わざと立ち止まって頑張る事に勤しんでるのかもしれない。
 正直、私が私の事を好きと言うとき、私は私の事をほんとの意味で認める事が出来て無い事を
 感じちゃう。
 もっと、もっと。
 好きに際限なんて、無い。
 カナタは日々、その際限の無い、自分の中のおもいを示し続けている。
 カナタはきっと、自分が大好きなんだろな。
 なにより、どんなことでもひとつひとつ楽しめること、それがもうほんとに、ぞくぞくするくらいに、嬉しいんだ。
 うん。
 
 
 私が私の事を好きというのは。
 
 私が、生きるって事が大好きっていうことと、おんなじこと。
 
 
 カナタはなんでも自分の事を話す。
 でもカナタは、きっと天真爛漫とかいうやつじゃー無いんじゃないかな。
 だって、カナタはしょっちゅう、もじもじしてるもの。
 言いたくても言えない、でも言わなきゃ、で、でもぉ、って。
 でも、カナタはそうしてもじもじしながら、それでも必ず、言う。
 カナタがもじもじする理由は、様々。
 恥ずかしくて言えなかったり、そして、言ったら相手に迷惑かけるんじゃないか、とかだったり。
 もじもじ。
 私はカナタがそうやってもじもじするたびに、ぐっとくる。
 頑張れ。
 カナタ、頑張れっ
 カナタは難しく考え無くても、いつも自分がどうしなければいけないかを、必ず知っている。
 だから、カナタがもじもじする理由は沢山あるように見えて、実はたったひとつしか無い。
 私が恥ずかしくても、相手に迷惑かけても、それでも言わなくちゃいけないことがある、そして、
 そうして言ってしまった事によって生じる事態を受け入れる覚悟を決めるためにこそ、もじもじする。
 相手に迷惑かけてしまうから言うのはやめよう、と考えるとき、そのときもし言わなければ、相手に余計
 に心配をかけてしまうという事が、カナタはよくわかってる。
 そしてなにより、自分が自分のことをはっきり伝えるからこそ、またその相手が、自分に対しても同じよう
 に接してもいいんだという、そういう可能性を拓いてくれている。
 
 カナタが誰にも迷惑をかけてはいけないという態度で接すれば、誰もが迷惑をかける事が出来無く
 なってしまう。
 カナタが人に迷惑をかける事を恐れずにやらねばならない事をすれば、誰もがもう迷惑をかける事を
 恐れずに頑張れる。
 
 いいえ。
 
 誰もがもう、迷惑をかけるからという口実で、それでもやらねばならない事から逃げる事は出来無い。
 
 
 カナタみたいな子を嫌悪する人もいるよねぇ、やっぱり。
 私だってちょっと、不安になる。
 この子を認めるってことがどういう事か、わからないなんてこと、ないもん。
 カナタは、人を頑張らせてしまう。
 はた迷惑。
 自分の事は全部自分でやれ、勿論そういう自分も自分の事は誰にも頼らない。
 そうして生きてきた人達にとっては、カナタみたいな子は、自分の始末もつけられない甘えた子にしか
 見えないはず。
 でもそれって。
 孤独、だよね、それって。
 
 
 

 助けて、って、言えない。

 
 
 
 そして。
 なによりそれって、滅茶苦茶怠けてる。
 だってほんとは、頑張りたくないだけなんだもんね。
 人に助けてと言ってまでやらなければいけないもの、その存在そのものを抹消しようとしてるだけなんだ
 もの。
 とっても、他人が、怖いの。
 コミュニケーションが下手ってことかなぁ。
 だから、カナタを空気を読まない子として嫌悪する人にとってのコミュニケーションというのは、カナタの
 指し示す、色々な人が繋がり助け合って今そのまま出来る事以上のことをしていかなければならない
 という、厳しい「現実」を抹消して成り立つ、人はそもそも自分で全部背負うものなのだから人に
 迷惑かけてはいけないという甘い「幻想」を共有する、ということにしか過ぎないのかも。
 そして、その「幻想」を共有している人達が構成している場所を生き抜くためにだけ、現実というものが
 認識されている。
 カナタを観てると、なんかこう、自分の小ささを感じずにはいられない。
 だって私、誰かにおはよう御座いますって、ありがとう御座いますって、ごめんなさいって、そう挨拶する
 たびに、こんなにも嬉しいんだもん。
 その嬉しさが、「現実」なのに。
 それなのに、その「現実」を甘いと見なして全部自分で背負おうとする、その私の現実があるんだもん。
 悲しいよ。
 それ以上に、悔しいよ。
 誰にも迷惑をかけないという「思い遣り」が大事なのは当たり前なのに、それに固執することで、
 それをただ根本的に自己保身のために使って、その価値を貶めてしまっている私がいるなんて。
 ううん、そういう私がいること自体は当然だよ?
 でも、その私に固執して、それが私だとかそれが私のアイデンティティーだなんて思って、そのまま
 図々しく地に足つけて歩いていくのはもう。
 なんだか、全然駄目な気がして。
 挨拶すると、こんなに気持ちいいのに。
 そして。
 こんなに、緊張しているのに。
 カナタが、無造作に助けてーと叫ぶ、あの当たり前な「挨拶」ぶりが、とっても激しく感じられるよ。
 挨拶って、そもそもそうやって、人と繋がり、人と傷つけ合いながらも、それでもやらなくちゃいけない事
 を遂行するために、でもちゃんと私はごめんねって思ってるんだからね、という前提を含んでいるもの
 なんだよね。
 
 困ったことがあったら、助けてというのは、当然のお話。
 そして助けて貰ったら、ありがとう御座いました♪、って、笑顔で言えばいいだけの話。
 
 もしくは、すみません、手伝って貰っちゃって、って言えばいいの。
 だから、いえいえ、お気になさらず、困ったときはお互い様です♪、って、こっちも言える。
 スマート。
 というより、それが私達が自分のために他人のために頑張ることを正当に認める行為。
 なのに。
 すまないと思うなら最初から助けを求めなければいいんじゃないの?、とか言ったら、それは。
 なんなんだろうね。
 だから、すみませんじゃあ無くって、ありがとうと言う。
 それでもいいけど、でも、その「すみません」って、それは相手のことをちゃんと思っているよ、ただ私の
 事だけを考えて、助けて貰うのが「当然」なんだとは思って無いんだからね、という、そういうなによりな
 「配慮」があることの証しなんだよね。
 カナタのもじもじさって、そういうこと。 カナタの感受性の高さの表れでしょ、あれは。
 カナタは、なによりも、目の前の人の存在を感じてて、そして滅茶苦茶想ってるんだよ。
 すまないと思うなら最初から助けを求めなければいいと言うなら、それはきっと、目の前の存在を
 感じたくない、無視したいがゆえのこと。
 もしそれで、すまないじゃ無くてありがとうと言えと笑顔で求めるならわかるけど、でもそれで、だから
 そもそも自分の事は全部自分で背負い、助けを求めるなんて言語道断、ってなってしまうと・・・・
 それは、本末転倒。
 
 
 +  人のことを思い遣っていないのは、一体どっちなのかしらね?
 
 
 
 思ってるよ。
 思ってるからこそ、その人のために私が全部背負って頑張るんでしょ?
 それは、欺瞞なんじゃないかなぁ、やっぱり。
 人の事を思い遣り、そしてその人のためになる行為って、私達が想像している以上に難しいよ。
 怖い。
 人を想ってしまうことって、怖いよ。
 だって難しいもん、それはちゃんとその難しさと向き合って、ちゃんとそれを解決しなくちゃいけない。
 そのためには、恥ずかしい事辛いこと悲しいことも一杯しなくちゃいけない。
 怖い。
 だから。
 だから・・・言っちゃう
 下手に人を思い遣って行動したって人を傷つけるだけ、だから全部自分で背負えばいい、それなら、
 苦しむのは自分だけで済むんだから、と。
 そうやって・・・
 自分が向き合わなければならない、人を想うことの困難さから目を背ける自分を正当化しちゃう。
 自分、不器用ですから。
 不器用さを認めることより、不器用さを器用さへと成長させる事の困難さをしっかり認識しているから
 こそ、そうやって、潔く情けなく逃げ出してしまう。
 悲しい。
 私が自分がそうしてしまうときに感じる、この悲しさは・・・・・なんだろ
 私、ほんとに人のことを思い遣ってるのかな・・・?
 私はただ・・・そうやってほんとに頑張らなくちゃいけない事から逃げるためだけに、他人をそうして利用
 してるだけなんじゃ・・・・・
 ほんとにその人の事を想っているなら、自分が不器用であることなんて、自分がその人のために器用
 になることの前ではなんの口実にもなりゃしないのに・・・
 だからもし・・・私が・・・逃げずに・・・・困難さと向き合い続けたら・・・・・・
 きっと。
 私も、カナタみたいに、もじもじするんだろな。
 
 
 
 もじもじして、もじもじしている自分のみっともなさに耐えて、そうして耐えながら必死に誰かへの想いの
 ためにもじもじと諦めずに優しさという困難さに向き合っている、その自分が確かに。
 その目の前の人のことを想っていることを、示してくれる。
 ふふ、カナタは自分で電話番を買って出て、一日張り付いてますと啖呵を切りながら、どんだけ他の
 人に助けを求めてんのよ。
 そして、助けられてんのよ。
 でもそれが、とっても豊かに感じられる。
 とっても、カナタの強さを感じる。
 自分の力をどこで使えばいいんだろ、なんのために頑張るんだろう。
 私はただ、カナタみたく、もじもじしながら、そしてはっきりと助けてと言うためにこそ、頑張るんだろな。
 それが、私達が求めるべき強さ。
 自分ひとりで出来ることなど、得られることなど、ほんのわずか。
 そのほんのわずかな世界にひとりで生きるための力に、なんの意味があるんだろ。
 そして。
 その、ほんのわずかな、小さな世界のひとつやふたつが終わったくらいで。
 
 
 
 

 世界が終わるなんて 言ってんな ばかやろう

 
 
 
 
 フィリシアさんが噛み締めたものは、そういうこと。
 リオ先輩は、なんとしてもそう言い切るためにこそ奮闘しているのよ。
 なぜ、国を守るのだろう、なんのために戦うんだろう。
 自分ひとりで出来ることなど、ほんのわずか。
 でもだから、逆に。 全く逆に。
 他の人に、みんなに、助けて貰って出来ることは、膨大。
 それで出来ていく世界のでっかさは、限りない。
 その世界には、終わりなんてものは、あり得ない。
 人が生きている限り、私が此処にいる限り、あなたが其処にいる限り。
 世界は、終わらない。
 人が他者に助けを求め、繋がっていることと向き合う勇気を持つ限り、この世界は活き活きと存在
 し続ける。
 その世界の豊かさの存続が、「私達」の双肩にこそ、かかっている。
 だから、怖い。
 自分だけの、自分ひとりだけで背負う小さな世界に逼塞してしまう。
 
 世界が終わってしまうという哀しみは。
 世界がそれでも終わってくれないという悲しみから逃れるためのもの。
 
 その世界が、豊かになれずにいつまでも恐ろしく存在し続けているのは、すべて、私のせい。
 うん。
 それは、誰かに助けを求め、助けを求めるために必要な事と向き合い、ときには誰かのせいにしてまで、
 しっかりと自分ひとりでは無い、自己責任に逃げずに他者との協力によって世界を変えていくことを
 しない、私のせい。
 全部自分で背負い込んで、全部自分の責任なんだと言って、世界の終わりを受け入れようとする、
 その、私のせい。
 頑張るべきところが、違っている。
 力を向けるべき場所を、間違えている。
 それは、無自覚に間違えていることも、そして。
 意図的に、逃げるためにこそ選択している間違いなのかもしれないね。
 
 だってさぁ、カナちゃん見てたら、一番ほっとけないのって、カナちゃん見て涙が出てくる私自身のこと
 なんだもん。
 私は弱いよ、てかすぐに自分騙すし、コミュニケーションだってとっぱずれてるし、いつも赤面ものよ、
 だからどうしても黙っていたくなっちゃうし、でも話したい、でもじゃあ話したいっていう「欲望」がなきゃ
 いいわけじゃん?、そうだよ欲は捨てるべきだよって、そうして黙っているだけの自分を認めちゃう。
 あああ、それ自体がもう、身の毛がよだつほどに、私の顔を青ざめさせる。
 さーっ。
 血の気がひく音を何度きいたことか。
 嫌、嫌だよ、そんなの。
 私はそういう私を青ざめさせる小さな覚悟に、嫌だって、叫ぶ。
 嫌だって叫んで自分の覚悟が揺らぐから苦しいんだって、そう思う、何度でも思う、けど、けど。
 
 こうして、カナちゃんを、カナタを観るたびに。
 私は、涙が止まらなくなっちゃう。
 そして、その涙こそが、その涙が私の叫びを止めることなんて出来無いってことを、教えてくれるの。
 
 フィリシアさんにしろ、リオ先輩にしろ、クレハちゃんにしろ、ノエルちゃんにしろ、なんかもう、カナタを
 みつめることで、どうしようもなく、そしてなんとしても、その自分の涙と向き合いたくなるんだよね。
 なんか、もう、そこここで、挨拶が溢れてる。
 司祭様も、ユミナさんも、子供達も、それぞれに色々と想いながら、その想いを伝えることで為したい
 ことのために、ゆっくりと、あったかく、挨拶をしてる。
 というか逆なのかな、挨拶するからこそ、いろんなことが出来る、ううん、していい許可が得られるんだ
 よね。
 挨拶っていう、わかりやすく決められた、誰でも利用可能なものがあるから、私達はその簡単な言葉
 なり動作なりに託して、自分自身の表現しがたい、でも絶対に伝えたい想いを、相手に魅せることが
 出来るんだよね。
 そして、そうやって挨拶の力を借りて、人と関わり繋がり向き合っていけるからこそ、少しずつ慣れて、
 そして器用に成長していける。
 うん、だから、やがて段々、その挨拶自体も成長してくんだよね。
 どうやったら、自分の想いをちゃんと伝えられるか、そのためのひとつの器として、挨拶というのはどんどん
 と綺麗に形を変えていく。
 カナタの「挨拶」が飛躍的に増えて進化していくのを見てるのが、とてつもなく、嬉しいよ。
 ときに失敗しながら、は?なんだその挨拶は、と怪訝に思われたり、でもそれでもその挨拶で一体
 カナタはなにを伝えようとしているのか、それを見つめずにはいられない。
 
 
 
 

挨拶が豊かな国

 

それだけで その国は生きるに値する

 
 
 
 
 
 
 
 
 
 ソラヲトって、そういう作品なんじゃないかなぁ、うん。
 てか、アニメノチカラっていう企画は、それを目指してるというかさ。
 なんでアニメって、こんなにエネルギッシュなんだろね。
 どうして日本のアニメはこんなに力強いんだろね。
 すごく、生きることと結びついてる。
 生きることの中から、いえ、生きるために必要なことを求める、その圧倒的な渇望から生まれてる。
 もっと、もっと、アニメは強くなるよ、きっと。
 こういうとアレですけど、アニメは面白いか面白くないかは別にして、どんどんと、私達の生の中から
 生まれてくるようになってきてる。
 芸術とかエンターテインメントとか、そういう一歩距離を置いたものでも無く、ドラマみたく「人生」という
 「物語」を読むためのものでも無い、なんかそういうのをすべて見つめている、主体そのものとして、
 アニメというのはどんどん力をつけてきてる。
 そのことだけで、アニメの将来は眩しすぎる。
 その前提があるから、昨今のアニメは面白くない、もっと工夫がもっと創意が必要じゃな、とか安心して
 嘯ける。
 だから私は、本質的には絶望してないし、逆にいえば、今アニメは、全力で希望と向き合ってる。
 そう、希望っていうのは、とてつも無く恐ろしく、それと向き合い生きてくのは困難極まりない。
 でも、だからこそ。
 すごい。
 今のアニメは、全力でその恐ろしい希望の光の旋律に乗って踊りながら、まぁ無様な踊りっぷりだったり
 腰砕けだったりぐだぐだだったりもするけど、でも。
 だから、懸命にそうして戦って、そして生きてるのが、どうしようもなく、感じられる。
 
 
 ああ
  
 アニメが 其処に生きてる
 
 
 ただのファンタジーとして幻想として、自分の中で密やかに楽しむだけのものでは無くなってきてる。
 ファンタジーも幻想も、現実でしょ?
 現実だって、幻想でしょ?
 そして、その幻想をみつめている私達が、こうして生きている事が、既に圧倒的な現実。
 目に映るものはすべて本当の世界。
 ソラヲトのOPの歌詞だけど、つまり、そういうことよ。
 現実で無いものなんて、無いのよ。
 すべてのものと向き合いみつめる、その事には無論、なにかから目を背けている自分の姿すらも含ま
 れている。
 
 
  そういう 「今」こそが アニメという力 −
 
 
 
 
 まぁその。
 ソラヲトはそういう事をどうしようもなく、改めてどころか、新たに見せつけてくれています。
 不思議なんですよねぇ、この作品、キャラはみんなテンプレを下敷きにしてるんだけど、テンプレその
 ものじゃ無い、どこかで見たようなキャラなんだけど、必ずどこかひとつふたつ違ってる。
 いくつかのキャラ像の集合体、というよりも逆に、今までアニメが「キャラ」というものを作り描き出して
 きた、多くの「細胞」が凝縮されて、ひとつの生命、いえ、人間として動き出してる。
 ノエルなんか、綾○とか長○とか言われるけど、確かに外形的にそういう分類は出来るけど、それは
 そう分類出来るだけの話であって、ノエルはまったく綾○でも長○でも無い、けれど「ノエル」という
 新しいキャラジャンルを作るでも無く、まさにさらりと当たり前としてる。
 そういう意味では、ノエルというひとりの子が、綾○長○のコスプレをしてるだけ、というのが一番正確な
 表現かもしれませんね。
 だから、その被り物の下から覗けるノエルそのものの魅力が、堪らない。
 カナタにしろクレハにしろ、テンプレ的ではあり、いくらでも元ネタは探せるけれど、でもじゃあ、具体的に
 どのキャラが元ネタかと言われると、答えられないですしね。
 なんか、普通。
 普通に、普通の子達が、「アニメキャラ」の「お約束」に従って、活き活きと描かれてる。
 
 
 そういう、現実が、あのソラヲトの画面の中には、めいっぱい広がってる。
 
 
 キャラデザが基本的にけい○んっぽいっていう話もありますけどさ、私は気にならないっていうより、
 むしろそうだからこそ意味があるって思うんだよね。
 なにもオリジナルなものを無理して作る必要は無いですし、ていうか、そもそもアニメのキャラなんて、
 どんなに頑張ったって、どっかしらで過去のキャラを踏襲してる訳ですし、いえいえ、そもそも人物の
 描き方というものだって、それがひとつの「形」である以上、完全オリジナルなんてありえない。
 無論、敢えてそれを踏まえた上でオリジナルなキャラ造型を目指すのは大事ですし、そこから発展と
 いうものはあるわけですけど、逆にそれに拘りそれに囚われ、そうでなければ駄目となってしまうと、
 これはオリジナルなど無いという前提を踏まえた意味が無くなるし、逆に「非オリジナル」というものの
 可能性を狭めてしまうことにもなっちゃうんですよね。
 だからべつにオリジナルオリジナルと叫ばなくたっていいし、逆にいえば拘るのはそこじゃ無いでしょ、
 そのキャラを使ってなにをするか、そのなにをするかなにをしているかで、そのキャラを活き活きと描き
 出すこと、その顕れてくるものにこそ、オリジナル性があればいいんじゃない?
 オリジナルっつーか、新規性? オリジナルも非オリジナルもひっくるめてなんか見たこと無いものみたいな。
 ぶっちゃけそういう意味で、ソラヲトから滲み出てくるこの生命感生活感は、過去に類を見ない瑞々し
 さだもの。
 ていうかソラヲトって作品自体は原作を持たないオリジナル作品なんですよね、それがどっかで見た
 ようなキャラ達を使ってこういう感じを描き出してるって、なんか。
 
 
 なんかすっごく、アニメ的。
 
 アニメの力を、可能性を、豊かさを、とっても、感じるんだよね。
 
 
 そしてだからこそ、そのアニメをこうして観ている、私が生きているこの世界が、はっきりとみえてくる。
 
 
 
 という感じです、今回の感想は。
 いつもの形式とは違う感じですけれど、しょうがない。
 だって本編はカナタがおしっこ我慢してもじもじしてる話なだけなんだもの。
 ・・・。
 あ、感想でもじもじって書いたのはそれか、違うよ!
 
 ではまた次回、お会い致しましょう。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
                              ◆ 『』内文章、アニメソ・ラ・ノ・ヲ・ト」より引用 ◆
 
 
 

 

-- 100222--                    

 

         

                          ■■ なにがやりたいのやらの話 ■■

     
 
 
 
 
 そろそろ寒さも一段落してきた今日この頃、皆様如何お過ごしですか?
 ごきげんよう、紅い瞳です。
 
 
 
 私はと言いますと、相も変わらず日記のネタに困っています。
 というよりも、そもそも日記のネタを探す、という行為自体がもう私の場合ぐだぐださの象徴なのです。
 ネタありきで日記を書いた日には、三日と保ちません。
 三日坊主もさらに頭を丸めて出家してしまうほどのていたらくです。
 考えれば考えるほど、ネタというのは潰れていってしまうものです。
 あれも書こうこれも書こうと、色々と書く前はにやにやとしていながら、いざ書く段になると、ああ駄目、
 こんなこと書いちゃ駄目、チラシの裏にでも書いてろ、無理これ絶対無理、というなにやら自己規制
 が急に逞しくなってきてしまうのです。
 たんにネタを磨いて書くに値するものへと昇華する作業が面倒なだけ、という話なのかもしれません。
 ・・・・・そうなんですよね、やっぱり。
 
 
 
 
 ◆
 
 どうもこう、推敲というのが苦手です。
 正確にいうと、拘り過ぎて直しすぎて、とてもじゃないけど時間が足りなくなってしまうからです。
 あれもこれも気になって直そうとしてしまうのですね。
 でもそんなものはいくらでも日常生活に於いてはある訳ですし、公的に期限が設けられて、その範囲
 の中で可能な限りに磨いて練って研ぎ澄ます必要はありますよね?
 それは、出来るんです、普通に。
 それが公的なものなのならば、やらなければならないものだと、外的な要請が発生するものに関しては、
 私の場合はうだうだいいながらも逃げ回りながらも現実逃避しながらも、最終的にはちゃんと仕上げる
 のです。
 夏休みの最後の日に全力で宿題を片づけるようなタイプです。普通に限界越えます。
 あんたほんといつまで経っても成長しないよねってよく言われます。 ちょっと照れます。
 ですが、たんに公的なものの場合、期日までに出来無いとそれ相応のマイナス要因が発生するから
 なのかもしれません。
 たんにそれが怖いだけなのかもしれません。
 怖いから必死こいて8月31日に死に物狂いになって火の輪くぐりをするのかもしれません、猛獣か!
 ・・・・今のはちょっとスベったという自覚はあります。
 
 しかし、私的なものはどうでしょうか。
 べつに、日記いい加減に書いて恥ずかしいおもいをするのは私だけなのですし、恥ずかしいおもいを
 したくなければ書かなければいいだけなのです。
 ・・・ほんと私なんでサイトやっているのでしょうね
 と、素で日記書きとしてのアイデンティティーを喪失しかねない危機が、私の場合日常茶飯事の合間
 に食べる間食なスイーツみたいに甘酸っぱいのです。
 でも昔に比べたら間食ってほとんど無くなったよね、いいことです。
 ・・・話が逸れました。 ほんと香ばしいな。
 そう、私にとって、あくまで日記は私的な趣味なものであって、それ以上のものでは無い。
 そうであるからこそ、私が日記を書くということに於いて、この種の足枷の発生もまた、必然。
 私の場合、日記は書き続けることに最大の意味があると思っていますから、これを最優先かつ要の
 こととして配置しています。
 ですから、自己規制が最大限に発揮されているときこそ最大の危機ですし、そしてそれは実は、
 日記は上手く書かなければ書く意味が無い、という私の根本的な価値観が主原因だったりするのです。
 そしてその価値観の大本にあるのは、ていうかなんもやりたくないめんどくさい、という私の究極の
 怠け心であるのです。
 自分が怠けるための方便として、実は私の場合、日記とは上手くきっちりと推敲して書かなければ
 いけないものだ、或いはちゃんと良ネタを見つけてそれを仕込まなくてはいけないと、そういうものが
 あるのです。
 そして、私はそうである自分のことがなによりもわかりますし、だからこそそこから抜けだそうとするために
 こそ、下手でも書く、ネタがなくても書く、書くことは絶対にサボらないんだからね!、と意地になって
 書こうとするのです。
 日記は書き続けることに最大の意味があると思うのは、こうだからこそ。
 
 でも、それは同時に、また別の私の怠け心の発露でもある。
 
 もっと自由に、もっといい加減でいいじゃない。
 ていうか私的なものまでそんなきっちりするなんて、めんどくさい。
 推敲? めんどいからやだ。
 日記を書き続けることが面倒だからこそ、ちゃんと推敲したものじゃなきゃ意味が無いと言い。
 ちゃんと推敲するのが面倒だからこそ、推敲しなくても書き続ける事自体が大事と言う。
 私はいつもそのふたつの怠け心の中で、日記更新を続けています。
 
 
 
 ◆
 
 ぶっちゃけ、ていうかちゃんと推敲したものをちゃんと書き続ければいいんじゃね?、という話があります。
 ひとつの答えではありますし、一番怠け者には天敵な正論でありますし、人として一番真っ当な精神で
 あるのかもしれません。
 けれど・・・・
 
 なんだろ なんか 違うんよねぇ それ
 
 根本はなにか。
 それを問うていくと、こういうことが見えてきます。
 私にとって、本当に、一番難しいことは、なんなのか、という問い。
 ちゃんと推敲したものをちゃんと書き続ける、という行為は、怠け者な私からしたら、公的外的な
 圧力下に無い私的な状態でそれを為すのはなかなか大変なことではあります。
 が。
 それは大変なことではあれど、難しいことでは無い。
 第一、それはそもそも公的に認められる、それこそ一番真っ当なこととして、誰からも了承されている
 事だからです。
 それがひとつの、公的外的な要請なのです。
 結論から言いますと、私にとって最難関のことは、推敲せずにネタも無い、そういういい加減な趣味
 全開の文章こそ、私が最も力を込め心血を注いでいるものなのだと、そう「言える」ことなのです。
 私はまだ、そういう文章を、ちゃんとした文章を書くことを怠けるための方便としてしか受け入れること
 が出来ていない、ただのアンチの状態。
 でも、もしそうでは無い、ちゃんといい加減な文章そのものの価値付けを自分の中に持とうとしたら・・・
 これは、とてつもなく、難しいことです。
 ちゃんと推敲して、ネタも良質なものを仕込んで、そうしたちゃんとした「仕事」をするということは、
 とてつもなく大変ではあれど、それはどんなものであっても、必ず「答え」がわかるものなのです。
 というよりも、もう既に答えがあるということであって、そしてその答えがどこにあるのかを探すだけの話。
 たとえば推敲というのは、つまるところ、自分がこれで良しと、少なくともその時点で満足出来る、
 そういう「答え」を見つける作業のことです。
 私は強欲ですので、なかなか満足せずに、あるいは見栄を張って(笑)、いやまだこれじゃ足り無い、
 もっと、もっと良い答えはあるはずだと、限界一杯一杯に足掻いたりします。
 でもそれは本質的に、そういうどこかにある「答え」、まぁたいていは自分の中にあるものですが、
 そういうものを見つける作業であるだけなのです。
 
 そして、私の言う、ちゃんとしたものでは無いものを認めていく、ということに答えなぞ無いのです。
 
 わからない。
 そもそも満足とかそういう話では無い。
 わからない。
 それは、いかなる要請にも圧力にも鞭の力にも頼らない、いえ、頼れないこと。
 私は誰が見てもいい加減な人間ですし、それはまさに自他共に認めることでしょう、たぶん。
 でもその分、だからこそいい加減じゃあかん、しっかりせなあかん、という自我もそれと比肩し得る、
 というか肩ぶつけ合っていがみ合うくらいに大きなほどにあります。
 でもじゃあ、ただそっちのしっかりせなあかん、という自分が勝てばいいのか、勝ち続ければいいのか。
 そもそも、そういう戦いそのものが、その戦いの結果が、重要なのでは無いのではないか。
 私の問いはいつもそこに行き着きます。
 なんのために私は日記を書くのか。
 それは、そういった戦いそのものに囚われている中でしか、自らのアイデンティティーを見つけられない、
 いえ、その自分を探して培っていくことしか無い、そういう私の姿を明らかにするためです。
 そしてそれを明らかにするのは。
 勿論、その戦いの、その囚われの枠組みの外に至るために、なのです。
 私、って、なんだろう?
 私は、誰?
 現在見据えていく、そしてこれから見据えていく枠組みの中にある、そういう「自分」をどんなに見つけて
 も培っていっても、その問いには決して答えられない。
 いえ。
 そもそもその問いに、答えなど無いですし、答えが無いのだから問うのは無意味、という覚悟を決める
 ものでもありません。
 問うことそのものに意味があります。
 答えという「自分」が私なのでは無く、問うていう主体たる「私」こそが、私。
 私にとってその「自分」というのはすべて、公的に他者と繋がっているもの。
 私はそういう意味での「公」というものはとても大好きなものなのですけれど、それはあくまで私に
 とっては「好物」であって、それがすべてでも絶対でも無いもの。
 私は、「私」。
 でも、私は「私」であることが、怖い。
 ていうか、めんどい。
 これが私の、怠けの本質。
 だからこそ、「公」的なものに頼り、それを基準にしてしまおうとするのですし、また同時に、「公」的な
 ものはそれを抜きにしても好きなものであり、それを捨てることは純粋に嫌いなので、いい加減に
 ちゃらんぽらんとしているだけなのも、嫌。
 私は必然的に公的なものに権威を感じますし、私的なものよりも公的なものを上に置きやすく、
 だからまた私的なものに公的なものと同じレベルの「誇り」を以て当たることが出来にくい。
 どうしても、引け目を感じてしまうんですね、これはあくまで私的なもので、それを公的なもので頑張って
 いる事と比較してはならない、と。
 ですからたとえば単純にひどい話ですけど、アマチュアとプロの差を歴然と自分の中に設けてしまう事が
 多々あるのです。
 アマチュアなのに、プロと肩を並べて胸を張るのが、なんだかプロに対して失礼な気がしてしまう。
 だからすぐに、アマチュアはどうせ頑張ってもプロ以下なんだから、べつにちゃんとしなくてもいいじゃん、
 となってしまう。
 でも、だから同時にかちんときて、だからちゃんとしなくていい理由にはならないじゃん、アマチュアだって
 ちゃんと頑張ればいいじゃん、そうすればそれは誇りにしていいんじゃん?、というおもいもむくむくと
 もたげてくる。
 
 
 でもそれって、根っこはおんなじ、変わらない。
 
 
 基準が同じなんですね。
 アマチュアだって、「プロ並みに頑張れば」、アマチュアとして誇りを持っていいのだと。
 私的なものだって、公に出しても恥ずかしくないものを書ければ、それでいいじゃん、と。
 それは、違うでしょ、という訳です。
 というかそれはむしろアマチュアに私的なるものに対して、無礼。
 それはただ、私的なるものが、必死に公的なるものの真似をしているだけで、私的なるものが私的
 なるものたる本質から逸れて、いえ、むしろ自らの本質から逃げて得ているだけの、紛い物の誇り。
 私的なるものの、アマチュアなるものの本質は、なにものにも囚われない、完全自由であること。
 だからそもそも。
 「いい加減」という概念は、存在し得ない。
 私が、主体たる「私」である事から目を背けずにいれば、それがなによりな誇り。
 その誇り無くしての、いかなる公的な行為やプロ精神は、それは結局は「公」という「プロ」という、
 そういう「モノ」に頼って立っているだけの、紛い物。
 それは、私的やアマチュア的な者だって同じことですし、その誇りをほっぽって公なりプロなりと競って
 も、それは結局はただのアンチ、そういう「公的な行為」という「プロ精神」という、そういう「モノ」に
 反抗するという形で頼って立っているだけのもの。
 それじゃあ、意味が無い。
 というか、そもそもそういう事をしたいんなら、私はプロの日記書きになればいい。
 ぶっちゃけ私は、サイト更新は趣味だし完全私的なものだけれど、私はそれを公的なものよりも劣って
 いるものとしては見なしていないですし、また己の公的行為に感じる誇りに対しての比率を劣らせてなど
 いません。
 まぁ、誇り誇りとかいうとなんだかむずがゆくなってきてしまうのですけどね、なんかもっといい言葉無い
 かなー。
 
 
 
 
 
 ◆
 
 で、なにを書きたかったのかな、私は、というお話。
 ・・・・上の文章は昨日書いてて、今書いてるのは今日分なんですけどね、おかしいな、昨日私が
 なにを考えていたのかよくわからんな、やっぱ日記はその場の勢いで書いてこそでしょ、とかまぁ、
 ほんとこの人はその場のノリで言いたい放題よく言いますね。 思いっきり後で後悔するがいい!
 
 まぁその、なんというか、たぶん私が昨日言いたかったのは、「怠け」というものは、たんに盲目的に
 矯正するだけのものでは無く、逆にべつの可能性を拓くものでもある、ということ・・なのかな? (疑問)
 「公」のために「私」があるっていう発想って、んー、なんか実はもっと結構根深いところでそうなっちゃって
 るんじゃないかなぁとか、うん、またこの間知人と話してるときにおもったのね、その人趣味をすごく大事
 にしてる人だったんですけど、なんかその、仕事のためにあるみたいな、芸のこやしみたいな、なんか
 そういう感じがしたんですよね、だから趣味の大事さを説かれれば説かれるほど、その人の趣味の
 存在感が下がってるというか、完全に「公」にとって重要な「私」というものになってる感じがしたのね。
 趣味って、仕事とかのこやしとしてでも、一時の休息のためのものでも無い気がするっていうか、や、
 べつにそういう在り方自体は否定しないけど、ただそれって、その本人は趣味を大事にしてるから、
 自分は仕事だけの人間じゃないよって言いたいのだろうけど、それ実際は仕事だけになっちゃってるん
 じゃないの?趣味も仕事の一環みたいになってるし、みたいな。
 私もほっとくとそういう事あるしねぇ、なんかこう、なにかにのめり込んじゃう「だけ」になっちゃうというか。
 ただ、なにかにのめり込むこと自体は、私はべつに悪いことじゃ無いと思いますし、むしろ良いことだと
 思うのです。
 「公」のための「私」って、なんか健全な気がしますしね、私だって人様のために頑張るってことは大好き
 ですしね。
 
 でも。
 それが大好きだからこそ。
 
 「それだけ」で終わらせてしまう人生、っていうのに違和感を覚える。
 
 違和感っていうか、なんか、勿体無い。
 
 まだまだ私らは知らないことわからないこと無限にあるのに、いつのまにか限りを設けちゃってるなんて。
 
 
 私はあらゆる「公」なものを頑張るために、なぜそれを頑張るのかを考えずにはいられない。
 公をみすえている私が此処にいる。
 「私」のための「公」という眼差しがあってこそ、「公」のための「私」に価値が出てくる。
 つまり、基準は常に、「私」。
 ならば当然、「私」には「公」以外のものがある。
 さて、それはなんでしょね?
 それを考え感じ続けていくために日記を書いているのかもしれませんね。
 とか言って素で現実逃避がしたいだけなのかもしれません。
 
 
 
 今日も たくさん 書きました 
 
 
 
 
 おしまい。
 
 
 
 
 
 
 
 P.S:
 結構前ですけど、眼鏡買いました。 新しくしました。 あれ?なんか前に言いましたっけ?
 前使っていた奴はデザインが非常に気に入っていたので、大切に丁寧にもし眼鏡に人格があったら
 しつこい奴は嫌いよと言われるくらいに大切にしていましたのですけれど、限界です。
 まず、度数が壊滅。 合わねーってレベルじゃねーぞ。
 あ、私は昼間はコンタクトです、時々伊達とかグラサンかけてます、で、夜お風呂出たあとだけ、
 度の入った眼鏡かけてます。
 だから実際かけている時間はそんなに長く無いので、まぁ大丈夫やろ、とか思ってたんですけど、
 なんか目の疲れが尋常じゃ無いっていうか頭痛いレベルなので換えました。
 処方箋頂くために眼科に言ったら先生にアホかって顔されました。
 あら随分と綺麗に使ってたのねと言いながら、このレンズの合わなさはねーよって顔されました。
 ご、ごめんなさい。
 
 で、買いました。
 フレームはレンズの縁の下が無くて、上が紅と金の縁取りです。 リンゴの銀杏切りみたいなシルエット。
 ほんとはノンフレームなのがよかったんですけどね、あ、買い換え前の眼鏡はそうでした、でも、いくつか
 お店見て回ったんですけど、私が求める値段帯では無かったんですよね、丁度無かったよ、高すぎの
 と安すぎなのしか無かったよ。
 で、蝶番(?)が金色で、フレームの上と下からを繋ぐ形で二股に分かれていて、で、棒(?)の部分
 が極端に細くて色は紅で、で、耳にかけるところは紫。
 デザイン性があって色々とおもしろみのある眼鏡を探していたので、これは私にぴんときた。
 ・・・ていうかこの説明でどんな眼鏡か想像出来た人は私のところにきなさい
 
 でまぁ、いい買い物したな、ってことなのです。
 毎晩眼鏡かけるのがたのしくてしかたないんです。
 もし眼鏡に人格があったら、べ、べつにあんたのためにかけられてるんじゃないんだからねって言われそう
 なくらいにツンデレ可愛いな。 (こいつはもう駄目だ)
 
 
 
 
 
 
 
 
 

 

-- 100218--                    

 

         

                              ■■ 言ってはならない音 ■■

     
 
 
 
 
 『きっとね、この世界に意味なんか無いのよ。
 
  でもそれって、素敵じゃない? 
 
   だって、無いなら自分で勝手に見つければいいんだもの。
 
    そして、私は見つけたわ。 私は、私が此処にいる意味を。』
 
 
  

                      〜ソ・ラ・ノ・ヲ・ト ・第七話・フィリシア ハイデマンの言葉より〜

 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

轟雷

 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 タケミカズチ。
 本当は、あまり好きじゃ無い。
 でも、気がつくと私は、そのひんやりとした手触りの感触の中で、ひと夏分だけ救われる。
 夏。
 思い出す。
 あのときの戦いを、私は幻視する。
 それは幻だとわかっているのに、私の目の前には、陽炎よりも鮮やかに、その光り輝く影は表れる。
 無音。
 しゃあしゃあとときめく蝉時雨が、ただ時間を止めていく中で、私はその影を幻視する。
 あれは幻、あれは幻。
 そう唱えながら、少しずつ、瞳が開かれていく。
 見つめれば見つめるほどに、その影は色濃く深まっていくのに、私の瞳はまるで押し出されるかのように
 して開かれていく。
 堪らず。
 いいえ、やっとの思いで、瞬きをする。
 消えた。
 私はそうして、私の確かな意志を以てでしか、その影を消すことが出来無かった。
 無視・・・では駄目だったわ・・・
 無視しようとして、目を逸らした場所に、その影はいる。
 目の前。
 私の鼻先よりも近いほどに、いえ、もう、私のかける眼鏡の内側に、その影は到達する。
 無視すればするほどに、その影は凄まじい存在感を放っていくわ。
 立ち向かうしかない。
 剣を振り上げ、切り下げる覚悟で瞼を降ろす。
 消えた。
 簡単に消せる。
 そして、罪悪感。
 その影を消すために、一心不乱に瞼を振り下ろすとき、その影は私の最も大切なものだったという事に、
 なぜかなっている。
 瞼を閉じ、真っ暗闇。
 怖い、あの影に会いたい、あの影を消していい訳無い、会いたい、どうして私だけ生き残って・・・・
 瞼を開ける。
 影は、消えている。
 阿鼻叫喚の残り香さえ示さずに、まるで始めからなにも無かったかのようにして、消えている。
 嗚呼
 私は、どうしようもなくなってしまう
 

 
   ・
          ・
 
     ・
 
               ・
 
                       ・
 
 
 
 
 ほどけない、欲求。
 思いがけない、渇望。
 私はひとりだけ生き残った。
 そんな言葉、夏以外は忘れているというのに。
 カナちゃん達に囲まれて、私はこうして生きているのに。
 そして夏には、隊長達が帰ってきてくれるのに。
 死
 動かない事実。
 死者の帰還が、そのまま生者の孤独を示してしまう。
 ひとりは、嫌。
 それは感情では無く、厳然たる言葉だったわ。
 黒く、重く、凄まじい轟音を鳴り響かせて、それはひとつの影となって私の前に表れる。
 私は・・・
 ひとり生き残ってしまった・・・
 一番駄目で・・・一番愚かで・・・・・一番役立たずだった私が・・・・・
 隊長達は、私の事をとてもよく可愛がってくれて、守ってくれた・・
 でも・・・・
 最後の最後で、隊長達は、私を守りはしなかった。
 それは・・・・
 私が、
 彼女達を殺したから
 私がもっとはやく敵に気付いていたら・・・・
 隊長達は、私を守るために死んだ、だからその期待に応えて・・・・・なんて・・・そんなこと・・
 私にはだから、そんなものは無かったし、仮にあったとしても・・・・それだけでは全然足り無い気がしたわ
 隊長達は、私のせいで死んだ、という訳じゃ無い。
 隊長達は、死んだのよ。
 私を、残して。
 私だけ、生き残ったのよ。
 私が殺したのに。
 私をずっと守ってくれていたのに、優しくしてくれていたのに。
 でも。
 
 そんな理屈を凄まじいスピードで頭の中でこね回している私を、その影は無言でみつめている。
 
 夢・・・
 私の唱える罪悪感という名の理屈は、ただの私のひとときの夢にしか過ぎなかった。
 怖かっただけなのに
 不安なだけなのに
 それを小賢しい罪悪感で誤魔化していた。
 隊長達はただ、戦争で死んだだけ。
 私が殺しただなんて、それこそおこがましい。
 私には、隊長達の死を背負う権利などありはしない。
 そのことを、私の目の前の影は厳然と示している。
 私を苦しめている罪悪感など、お前を保つための方便でしかないのだろうと、その影は泣いている。
 げんに私は、その罪悪感を、カナちゃん達を守ることで薄めていたもの。
 罪悪感とは、贖罪のためのもの。
 罪悪感を憑かせて落とす、それで私の不安も恐れも消える、そのためのもの。
 目の前に私はただ、その影を私の弱さを落とすものとして、みていた。
 私はただ、赦されたかっただけなのよ。
 逃げて、謝って、泣き叫んで、苦しんで、ただ赦されたくて。
 でもそれが通じるのは、夏まで、夏が過ぎてから。
 隊長達は、死んだの。
 そして。
 私は、生き残ってしまったの。
 もう終わったのに。
 私だけが・・・
 残滓・・・・・残り香・・・・・・・
 あの影は一体、誰なの・・・・・・・
 隊長のようでいて・・・・・・・そうではない誰かのような・・・・・・・
 
 
 
 
 +
 
 
 
 地獄の窓がひらく
 気の抜けたひしゃげた体のままに、足が勝手に動く。
 真っ暗闇には恐ろしく足り無い、閃光の満ちる瓦礫のそばをふらついていた。
 一歩、一歩、確かに立ち止まりながら。
 あてどなく、けれど喉が張り裂けるほどに、なにも感じないとぼつりと零している。
 ぞろり
 腕の出血が止まらないのに、このままでは死んでしまうかもしれないのに、どうしてもそのことに切実に
 なれない。
 血塗れの右手を押さえる左手が赤黒く染まっていくのを見つめながら、ただ歩いていた。
 轟音 閃光 一瞬の断末魔   静寂
 出血 ああ血が止まらないのね
 細切れの言葉が文字の形をして頭の中をうねっているのを、ただみつめていた。
 ふらふらと、ひとりで、砲弾の飛び交う中、無防備に歩いている。
 一瞬でも生きていることの奇跡が、ただだらだらと続いていた。
 その連続はもはや、奇跡などでは無かった。
 無間地獄
 死ぬための行進。
 死ぬために、生存行動を図っていた。
 死にたいのに、歩いてしまう。
 歩くのは、生きるためなのに、なにも考えずに、ただ歩いている。
 いつ死んでもおかしくないどころじゃ無い、死なない方が異常な状況。
 死
 怖くは無かった。
 恐怖そのものが、消えていた。
 どこか遠く、叫んでいる。
 弾が耳元を走り抜けるたびに、獣のように叫んでいた。
 なのに、歩いている。
 右腕の傷口を押さえる真似事を左手に押しつけながら、呆然と歩いていた。
 終わり
 終わったのね
 待っていることすらせずに、歩いていた。
 ぐるぐると、まっすぐに歩きながら、回っていた。
 阿鼻叫喚の地獄絵図に、阿鼻叫喚とルビを振りながら、なにも感じずに歩いている。
 どうして私、歩いてるんだろう・・・・
 安全地帯まであとどれくらいの距離があるのだろうと、それを計算すればするほど、安心していく。
 無理ね・・・歩いてなんて、ひとりでなんて、絶対に無理よ・・・・
 そこに絶望は無かった。
 どうして私だけ生き残ってしまったの・・・・
 それは、私だけがこの地獄を生き抜かなくてはいけないゆえのことでは無く、ただ。
 ただただ、みんなが死んでしまったことのどうしようも無さゆえの呟きでしか無かった。
 私には生きる意志はなかった。
 死ぬ気も無かった。
 きゃあきゃあと、ただ地獄に反応するままに叫び、崩れ落ちた。
 涙すら、流れない。
 歩いているのに 歩いているのに
 その事の実感は、無かった
 実感が無いことの、実感すら、無かった
 血
 血
 思い出す
 眼前に血みどろの影が降り注ぐ
 死の光
 自分が死ぬという恐怖だけが抜けた、地獄の世界。
 死にたい、というおもいだけを、ただ、求めて
 一刻も早く、死にたいとおもいたい。
 ずっと、ずっと、何時間も、歩いている。
 無言に、残酷に、私を、引きずって。
 死にたいのよ。
 そう言いなさいよ、ねぇ、私の足、止まったらどうなのよ、もう、いいでしょう
 上の空
 死にたいとおもう心は、ただ、戦場の夜空からは舞い降りてこない
 そうして、上ばかり見ていた
 まるで、死にたいと思う心は、生きたいというおもいとひとつだと言うことを、知っていたかのように
 死にたいと思ったら、たぶん死ねないと知っていたのかもしれないわ。
 それを悟らせるために、私の足は、ほんとうに死ぬために歩いていたのかしら・・・・・・・・・
 そう、一瞬おもったとき
 
 私に 一瞬の 重みが芽生えた
 
 
 そして 落ちたのよ あの場所に
 
 
 
 
 
 
 

 
 
 
 
 
 
 
 私ね リオ
 あのとき 敵の戦車に砲撃されたんだけど 弾は私には当たらずに 私の足下を打ち抜いたの
 そうしたらね ぼかっと穴が空いて 私はそこから真っ逆様
 きゃーって どこにそんな力が残っていたのかと思うくらいに 私は叫んだの
 今思えば ちょっと恥ずかしいわ
 だってそれまで私はもう ほとんど自分は死んでるって思ってたんだもの
 ええ それまでもきゃあきゃあとは叫んでいたのよ?
 弾がよぎるたびに 砲音が鳴り響くたびに
 でもそれには 重みが無かったわ
 なんだか 変な言い方だけれど その叫びはそう叫ばなければいけないっていう 義務的な感じだったの
 だけど あの穴に落ちるときは なんだか自分でもぞくっとするくらいに 声が出たの
 まるで他の誰かが私の中で叫んだみたいな なのに あ 今叫んだの私よねって どうしようもなく
 気付けてしまうものだったのよ
 不思議なのよね それまでの戦場をふらふらと歩いていたときの叫びは 確かに私が叫んでるって
 思ってたのよね ええ そのときの私はまるで自分の事を獣みたいだって 自分が自分じゃ無いみたい
 って思ってたけど 確かにそれは私だってわかってたのに
 私はもう獣というか生ける屍になっているのに それがほんとうに死んで なのにね、リオ。
 
   それでも、私の中には、獣でも屍でも無い、私がもうひとり、ちゃんといたのよ。
 
 地獄。
 そうね、本当の意味の地獄は、ここからだったの。
 嫌、嫌、もう嫌、なんで私だけ、隊長、隊長、みんな・・・・
 私がそのすさまじいおもいと一体となっているのが、どうしようもなくわかってきちゃったの。
 苦しくて、苦しくて、その苦しさがどっと、溢れてきて。
 痛くて、痛くて、心だけがね、ぽっぽって、小さく燃えるみたいに、私を焦がしていたわ。
 死にたい、死にたい、ええ、初めて、あの日そう思ったの。
 地獄。
 地獄だったわ。
 涙が忽然と流れてきて、ああ私、自分の涙を見るのが怖くて怖くて、だから、涙すら流れないっていう、
 紛い物の恐怖に自分は支配されていると思い込んでいたんだって、どうしようもなくわかっちゃって・・・
 涙が、止まらない。
 死にたい、死にたい、もう嫌・・・・っ
 そして、動き出す体。
 私の体が動き出すのが嫌、涙が流れるのが嫌、やめて、もうやめてっっっ!!
 死にたいと叫ぶその私が、確かに生きるために傲然と動き始めた私を感じていたの。
 死にたいと叫ぶために、私は目が覚めていったわ。
 どうしようもない不安と恐怖、罪悪感なんて入り込む余地は無かったわ。
 そして私は、ひとりの亡霊と出会った。
 
 
 その人は言ったわ。
 すまない、って。
 僕達が負けたせいで、国は、世界は終わってしまったのだと。
 こんな世界にまだ生きていてくれたんだ、って。
 死にたい、死にたい、どうして私だけ生き残ったの、と、そう泣きながら蹲っていた私の前で、その闇の
 中で黒く滲んだ影は言ったの。
 旧世界の人の、魂。
 許せなかった。
 私は・・・・・
 私は・・・・・・・・・・誰かを守るためだけに・・・・・・・・・・・・・・・・・生きてるんじゃないわっ!!!
 怖かった。
 怖かったわ、そう私が叫ぶことが。
 その亡霊の言葉は、私の言葉そのものだった。
 リオ、私はね・・・
 ほんとはその人と同じことを、ずっと考えていたのよ。
 私はもう残滓なんだって、隊長達が死んだのに私だけ生きているってこともそうだけど、それより、
 以前に隊長がこの世界はもう終わりに向かっているって言ったときにも、反発したけれど、でも・・・
 たぶん・・・・・怖かっただけなのよ・・・・世界が終わるっていうことが怖くて・・だから叫んだだけ・・・
 そう・・・・獣みたいに・・・生ける屍みたいに・・・・私はただ・・・・叫ぶしかなかったのよ・・・・
 なんのために、誰が、どうして、どうやって叫ぶのか、私はずっと・・・・・・ずっと・・・・・・・
 怖かったのよ・・・・私が・・・・・・・それでも生きてるってことが・・・
 不安で堪らなかったのよ・・・・世界が終わっても、私がそれでも生きるって言わなくちゃいけないことが
 
 リオ・・・・
 私はね
 
 
 フィリシアハイデマンは、誰かに助けてっていうのが、怖くて堪らないのよ。
 
 助けられたら、生きなくちゃいけないでしょ?
 せっかく、そのまま死ねたかもしれないのに。
 全部自分で背負って、そのまま助けを呼ばずに頑張れば、綺麗に死ねるのに。
 怖いのよ。
 
 生きることが。
 誰かに助けてまで貰って、生きることが。
 助けて貰った人のために、懸命に生きなくちゃいけないことが。
 怖くて、怖くて、どうしようもなくて、だから私は・・・・・隊長達と一緒に・・・・・死にたかったのよ・・・・・
 
 
 
 なのに
 
 
 
 
    それなのに
 
 
 
 
 
                      どうして 私はまだ生きてるの?
 
 
 
 

こんな穴の底で

 

世界の終わりの中で

 

隊長達のいないこの場所で

 
 

私は

 
 

 

 
 
 
 
 
 

生きてた

 
 
 
 
 
 
 
 
 私の中に 私がいた
 生きている ただずっと息づいている 大好きな 私が
 生きろなんて、その私は一度も言わなかったの。
 ただただ、ずっと、ずっと、その私は・・・
 私が、死にたいと、死にたくて堪らないのよと、命懸けで叫ぶまで・・・
 ただずっと、黙々と、黙々と、必死に・・・・生きていたのよ・・・・・っ!
 そんなの・・・・・・・・・・・見捨てられるわけ無いじゃない!!!!!
 
 ぼーっと、闇の中の灯りをみつめている
 隊長・・オリガ少尉・・・マルチナ・・・アンナさん・・・・・
 誰ひとり・・・欠けていい人なんていなかった・・・・大切な・・・大切な・・・・みんなの・・・おもい・・・
 戦う理由なんて、いらなかった。
 私はただ・・・あの人達が・・・大好きだったのよ!
 それは・・・それは・・・・・・・今だってひとつも変わらないわよ!!!
 『勝手に決めないで!!!!!』
 なにが残り滓の世界よ、なにがこんな世界に生き延びる意味があるのかよ、巫山戯ないで!
 私は・・・・私が好き・・・・・
 隊長に、みんなに愛された私が・・・・どうしようもなく・・・・・・愛おしいの!
 私は、隊長達が私をおもってくれた、そのおもいこそが、もう・・・・・
 私が生きる理由を越えて、私が生きて良い証し、そして、生きなければならない義務になっていたのよ。
 何度でも言うわ。
 私は怖い。
 生きるのが怖い。
 誰かに助けて貰うことが恐ろしい。
 死にたい。
 誰も来ないで。
 
 生きて いる
 
 誰かが いる
 
 
 
 
 
   −−−−     音が   きこえる
 
 
 
 
 
 
 
 
 

 

 

『嫌・・・・・・・・いやよ・・・・』

 
 
 
 
 

自分を放ってなんて
 

世界を諦めてなんて

 

みんなのおもいを おわらせるなんて

 
 
 

生きることを

 

裏切るなんて

 
 
 
 

ああ

 
 
 

 
 

 
 
 
 
 
 

どんなに泣いたって

 
 

 

私を留めることなんて、出来ないのよ!

 
 
 
 
 
 
 

『たすけて・・・』

 
 
 
 
 

涙が、止まらないのよ

 
 
 
 
 
 

『 わたし   ここにいます! 

 
 
 

生きてますっ

 
 

おねがい たすけてくださいっっっ!! 』

 
 
 
 
 
 
 
 

 

 
 
 
 
 
 
 
 
 ふふ、言っちゃったのよね。
 言っちゃったからには、もう後戻りなんて出来ないわ。
 助けてって言っちゃったんだから、私には絶対に助からなければいけない義務があるのよ。
 どんなことをしたって、絶対に、絶対に、諦めちゃいけない。
 人に頼ってまで、人に私の想いを伝えてまで、生きなくちゃいけないの。
 恥ずかしげもなく助けてと泣き叫んで、我が儘でも迷惑かけてでも必死に生きなくちゃいけないわ。
 ふふ、しかも私の場合、あろうことか、助けを求めた人が皇女殿下だったのよ?
 どれだけ重い義務になっちゃうのかしらね、うふふ♪
 人に頼るなんて、人に想いを伝えるなんて、私が一番出来無いことなのにね、まったく。
 泣き叫ぶのはしょっちゅうだけど、でも泣かないように、我が儘にならないように迷惑かけないようにって、
 ただそれだけを考えて生きてきた、それまでの私からしたら、とんでもないことよね、ほんとうに。
 でもね。
 
 生きたかったのよ、私、ほんとうに。
 
 あれから随分経ったけれど、私はまだ、全然駄目ね。
 確かに昔に比べれば少しはマシになったのかもしれないけれど、その分だけ、狡賢くもなったわ。
 ふふ、わかるでしょ?、リオ。
 私は笑顔でひとりで全部自分で背負ってしまう事が大得意。
 そして、一見そうじゃ無いようにみせることも出来るしね、だってあれほどあなたにひとりで全部抱え込ん
 じゃ駄目って言って、私もそれなりに見本もみせているのだから、私はちゃんとそうしているって思うはず
 だものね。
 そう、だから私は、それなり、にしか出来無いのよね、まだまだ実際。
 そしてそれを隠すために、もっと私は出来てるのよというのを見せつけるために、それなりのものを、
 そういう風なものとしてみせている。
 全然駄目なのよね、ほんとうに。
 頑張れば頑張るほどに、どんどん怠ける技術も上がっていくのよ。
 あなたと、顕れ方が違うだけで、私のみる影は、そういうものなのよ。
 私は未だに、ひとりで全部背負い込んで、我慢して、耐えるだけの、そういう自分のままで、
 そしてさらには、そういう自分の姿を隠す技術の進歩だけは鮮やかで。
 本当に、嫌になるわ。
 これじゃ、皇女殿下に申し訳無いわ。
 隊長達に、会わせる顔が無い。
 でもね、リオ・・・
 
 私は、言ってしまったのよ。
 助けて、って。
 
 もしかしたらそれは、言ってはいけないことだったのかもしれないわね。
 助けてって言わずに、あのまま誰にも迷惑かけずに部隊を壊滅させた責を負って死んでいれば、
 私はそういうひとつの世界の中で死んでいけたのかもしれない。
 その世界に最後まで自分を保って生きた、獣にならずに生ける屍にならずに、ちゃんと・・・
 私は、その機会を、自ら捨てた。
 この世界は、もう終わる。
 そのまま、それを受け入れて、ひとつずつ覚悟を決めて、残る時間を華々しく清々しく生きていけば、
 それまでその世界が築いてきたものの中で、その世界に属した者としての私として、死ねたのかも
 しれない。
 私は、その私を、捨てた。
 助けてって、世界が終わるなんて嫌って、言ってしまった・・・
 怖いわよ・・
 怖くて・・怖くて・・・・・ひとりで・・・・これからずっと生きなくちゃいけないなんて・・・
 
 でも 生きたかった
 
   だって
 
   私がひとりだなんて  嘘だもの
 
 
 
 
 そしてね、リオ。
 世界は、ひとつじゃ無いのよ。
 どこかにこれが絶対だというものがあることなんて、無いのよ。
 私はずっとただ、そのことを覚悟出来無いままに、用意された紛い物の絶対的な世界の中で、
 ただ守られて生きていただけなの。
 リオ、あなたなら、わかるでしょう?
 既にそこにあるものに満足出来無いあなたなら、ほんとうは、私達が生きる理由なんて、戦う理由なん
 て、そんなもの何処にも用意されてなんかいないって。
 仮にそういうものがあったとして、じゃあ、それが無くなったら、私達はもう生きられないの?
 私達は、それでも、生きてるわ。
 
 生きる理由も、生きるべき世界さえ失ったとしても、私達は、こうしてちゃんと自分達で生きる理由と
 世界を作って生きているのよ。
 
 みて、リオ。
 今日は、亡くなった人達が、この世に戻ってくる日よ。
 あの灯りの流れが、色濃く影を浮き出させているわ。
 私達は・・・・・そうやって、亡くなった人達のために生きているだけでも、戦っているだけでも無いわ
 私達には、今ここに、私達の前に広がっている、圧倒的な世界があるのだから。
 私達のまだ出会っていない人もいるでしょう?、勿論敵だって例外じゃないわ、私達にはまだまだ知らな
 くてはいけないこと、考えなくてはいけないことが無数にあるの。
 私達は、私達の受け入れた範囲の人達のためだけに戦っては、いけないのよ。
 そういう意味でね、今日のこの行事はただ、そうして自分達の大切な人や思い出を守るために生きる
 という、その自分の小さな、そして隠蔽的な意識を逞しくさせるためにあるものじゃないのよ。
 リオは今まで、この行事は、そういう狭い範囲のものだと思っていたから、参加しなかったんでしょ?
 違うのよ、このフィーエスタデュルミエールという行事は、そういうものとして捉えたら、確かにそれまでの
 ものだし、そしてたぶん、それだったらそれこそが戦争の源だとおもうの。
 だって、誰もが自分達の大切な人やものを守るために戦うと思っているのなら、戦争は絶対に無くなら
 ないでしょ?
 この行事はむしろ、それを戒めるためにこそあるものなのよ。
 愛こそが戦争を引き起こすのよ。
 
 
 でもね
 
    私はね、 愛は、必要だとおもうの
 
 
 私はこうして毎年、この季節にはこんなに駄目になる。
 いつまで経っても、私はなかなか成長しない。
 でも私は、ぜったいに諦めないわ。
 だから・・・
 だからこそ、どんなことをしても絶対に諦めないからこそ・・・
 私は、私の偏狭な、なんでも自分で背負ってしまう自分や、そしてすぐに生きる理由や戦う理由を
 求めてしまう、そういうものも認めたいの。
 長く、長く、ずっと諦めないために、私は敢えて、そうした弱い私も受け入れるのよ。
 私はね、だからすぐに、隊長達のためにも、皇女殿下のためにも、そしてカナちゃん達のためにも頑張ら
 なくちゃいけないって、そうやって人のせいにしちゃうわ。
 でも、それが私。
 それが、私が乗り越えるべき、長い時間をかけて成長させるべき私。
 その情けない私を捨てたら、私はそれを乗り越えられないし、成長も出来無くなっちゃう。
 私が愛を感じるのも事実。
 私はそれを受け止めたいの。
 そしてだから、それを越えていきたいの。
 カナちゃん達のためだけに、私が戦うのなら、戦争は決してなくならない。
 私は・・・・・
 
 
 
 

 『あの子達には、私みたいなおもいは、絶対にさせたくないわ。』

 
 
 
 
 
 
 だから、私は祈る。
 隊長達に、どうか私を見守っていてくださいって。
 祈らずにはいられない私も、私は見捨てたくないもの。
 そして、勿論皇女殿下への誓いも、そして・・・あの名も知らない兵隊さんへの感謝も・・・
 全部ちゃんと、連れていくわ。
 私達は、独りじゃ無いどころか、恐ろしいほどに複雑で膨大な人達と接して繋がっているわ。
 それが怖くて、私はひとりだって思っちゃう。
 でもそれでも私達は、ゆっくりと、どうしても、手を伸ばすの。
 一歩ずつでも、たとえ今は目の前の人達だけででも、その人達と生きたいっておもうの。
 ひとりは、嫌なのよ。
 全部と最初から繋がれないならひとりを選ぶ、なんてこと、私は誰にもさせたくない。
 全部と繋がるためにこそ、まずは出来ることから始めましょう。
 やがて、出来る範囲だけの狭い世界を越えていく日のために。
 私達はもう、ひとりじゃ無いんだから。
 そのためにこそ、このフィーエスタデュルミエールが、夏の中のこの一日があるのよ。
 まったくもう、カナちゃん達、可愛すぎよ・・・♪
 
 

『それ悲しいです。私だって心配したいです。フィリシアさんいっつも私の事心配してくれてます。

心配、かけてますから。

私だって心配したいです!

だって私、フィリシアさんの事好きなんです!!』

 
 
 この子達は・・・・・・私が目指すべきものを・・・もう沢山持っているわ・・
 『あなたはいつでも伝えようとする・・想いを言葉にすることを恐れない・・それってすごいことだと思うわ。』
 ああ・・みんな
 なんてすごい子達なの・・・・
 私も・・・
 
 
 
  私も
 
      もっと もっと   生きなくちゃね
 
 
 
 
 
 ふふ、これでもまだ十八なのよ?、私。 まだまだこれからよ♪
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 ・・・・・。
 
 なにかしら? カナちゃん。 そんな驚いた顔して。
 言いたいことがあったらはっきり言っていいのよ? (微笑)
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
                              ◆ 『』内文章、アニメソ・ラ・ノ・ヲ・ト」より引用 ◆
 
 
 
 

 

-- 100215--                    

 

         

                                   ■■ 幸せの枷 ■■

     
 
 
 
 
 私を倒すことなぞ、障子紙を破くより容易いぞ。 (挨拶)
 
 
 
 さて、今日はどう致しましょうか。
 でも、どうしていいのかが、わからない、わかりません。
 うーん。
 今日は散々悩みました、悩んだ振りをしておりました、たぶん悩んでたんだとおもう。
 うーん、なにを書けばいいんだろう。
 まずね。
 なんかこう、文体というんですか、単純な話、お上品にいこうか乱暴にいこうかで、随分と違います。
 違うのです、私の場合、こう、なんというか、ノリというか、入り方というか、感じ方というか。
 こう、お上品に綺麗にいこうとしますとね、なんていうか作っているというか、色々と「工夫」のような
 ものが出てきたり、で、そうして作ったものを身につけた、その感触からこう、きらっとものが言えるというか、
 わかります?、わからないという前提でお話を続けさせて頂きます。
 うーん、ここのところさばさば系の喋りっぷりに飽きてきましたというか、あれ?、どうやって綺麗にお喋り
 ってするのでしたのでありますでしょうか、とかもう言ってるうちに言葉があれやこれやな状態でして、
 たとえばこの「〜でして」というのもこう、いい加減なものですし、そう、今ちゃんと言った、「〜でして」
 ではなくて、「〜ですし」と言いました、いや違うでしょうといいますか、違いますけれどなんかわかります
 でしょう?、わからないでしょうという前提でお話を続けさせて頂きます。
 
 ちゃうねん。
 
 文体の話はどうでもいいんです。
 今も「いいんです」か「いいのです」かのどちらにしようか迷ったのですけれど、いいのです。 (迷)
 まぁ文体というより単なる言葉使いの話なのじゃないの?、というのは当たりは当たりなのですけれど、
 でも言葉使いそのものが、色々と染み出させていくものですし、それが文体というもののひとつを象って
 いるのも事実。
 もっとも、私の場合、文体というよりもむしろ、私という「紅い瞳のイメージ」が重要だったりするのですが。
 うん、いや、結構私は喋り方変えてますし、変える理由も変わりますし、気分だったり適当だったり面倒
 だったりどうでもよかったり気付いたらカッコつけてたりカッコついてなかったりあんたなにがやりたいの?だった
 りと、いやほんと私なにがやりたいんだろていうか鬱だ死のうとか、いやでもきっと私は自分でも知らない
 くらいに素晴らしい人間なのですよ馬鹿なの?死ぬのとか、なんだか最終的には鬱なんですかあなた
 は、みたいな。
 いえ、だってさぁ、私ってオフの話あんまししないですし、したってつまらないというか、いえ恥ずかしげも
 無く言えば需要はあると思うのですけれどね、だって日記よ?、そいつの日常生活書かなくてどうすん
 のよっていうかそもそもそいつの人間像掴めないじゃん、そう、そこ、そこなんですよ、つまり。 (どこ?)
 需要はあったとしても、そもそも私がそういうの書くのが詰まらないというか、さらにそもそも、私はむしろ
 他に書きたいものがあるからこそ、日記やってるんですね。
 日常生活に於ける私の姿を世界中の皆様に読んで欲しい、という意味でのナルシーじゃないし私。
 逆に、そういう日常生活に根差しながらも、そこからひとつずつなにを考えていくか、そうして色々と
 日常とか現実に囚われない「私」の姿を読んで頂きたい、という意味でのナルシーですし私。
 そういう意味では、自己顕示欲は強い。
 というか、私に日常生活そのものの開示では無く、私そのものの開示がメインで、さらにはそうして
 開示した自分から、どう始めていくか、それが最大のメイン。
 ですから、苦しいこと辛いことあったからって、鬱だ死のうとかぶつぶつ書いて、それに同情して頂いたり
 共感して貰ったり、たんなるストレスのはけ口として書くことも、また無い。
 まぁやる気無いだるいめんどいていうか鬱だ死のうとかはしょっちゅう書いてはいますけど、ていうか
 書くのねやっぱり、でもそれはそう言いながらも、そう書きながら頭と指先を動かして私を感じていく
 作業自体が、私を前に動かしていくという作用があったりします。
 ですから、そういう意味では、最近、というか結構前からですけど、そういう鬱系のブログとかも前ほどは
 抵抗無く読めるようになってきましたし、その文章の本質がわかってきたりもしていたりします。

 
   ・・・・・あれ? なんの話してたんだっけ?
 
 
 なにノリノリで筆を滑らせてますかあなた。
 あれ?なんでこんな語り出してんの?
 いやまぁ言いたいことはわかりますけれど、ええと、なんだっけ?
 あー・・
 つまりまぁ・・・・なんていうか、鬱とか皮肉とか批判とか、そういう系に凝り固まってることって、私的には
 むしろそれに対するアンチなところがあって、でもそれって逆に私がそうしてアンチということでそれに拘って
 る訳で、でもじゃあもうそんなん知らんもう無視するとか言うたら、それは拘らないんじゃ無くて、「拘り」
 を「捨てる」だけの話で、それもひとつの「アンチ」なんですよねぇ、みたいな。
 「拘り」そのものは必要だし、そしてだから「拘らない」という事が重要というかね。
 ぶっちゃけ、鬱とか皮肉とか批判とか、そういうのに凝り固まるのも、立派な人間の姿でしょ?
 そうして足掻いている自分は今確かに此処にいるのですし、たとえそれらの行為に囚われていたとしても
 、それが自分の現実であり、それを受け、そしてそういうものと全力で向き合い、囚われ、拘り、
 だからこそ、そこから一歩ずつ踏み出していくことに意味があるんじゃないの?
 その一歩一歩をそこから踏み出してそれらを越えていくためにこそ、そういう鬱とか皮肉とか批判を
 やっている、という意識があるかないかは、たぶん全然関係無い。
 そういう意識が無くても、ガチガチに凝り固まってちゃっても、それでも私達は此処でこうして生きている
 限り、すべてのものと触れあい、繋がり、こうして向き合って現実に生きているのですから、逆にそうした
 鬱とか皮肉とか批判とかという面ともちゃんとしっかり向き合っている、その分だけその人の現実には
 「深み」があるってことなんですよねぇ。
 死にたい死にたい言うのは、それだけ生きたいという欲望があるってことですし、でも生きられない大きな
 障壁があって、それは実は「生きたい」と言うこと自体によっても高まってしまう障壁であったり、だから
 死にたい言うしか無い、けど死にたい訳あらへんやん、生きたいのに生きられないから死にたくなるん
 じゃん、生きたいのに、いえ、こんなに死にたくなってるのに生きたいというおもいも捨てられないから、
 だから、死にたいのに。
 そういう凄まじい葛藤がある、なによりそういう自分そのものの開示として、そういう文章はきっちり顕れ
 てきてる。
 そういうことをがむしゃらに書いている、その顕れ方が鬱だろうとお気楽だろうと、それは同じことですし、
 そういう意味でその上辺の形に拘っていた私は、だからそれに拘らないことの重要性がわかってきました
 し、まぁ武士道とかの話もその辺りと繋がってくるんですけどね、なんていうか、だから「希望」というもの
 が、まったく今まで私達が認識していたそれは違うものとして、みえてくる。
 その辺りは散々アニメの感想で書いてきました、はい。
 
  − 希望は、恐ろしい
 
 あー・・
 なんか、私の日常生活、っていうかなんていうか、まぁ、それなりに楽しいですし、生活そのものの感触
 というかさ、そういうのも細々と、それこそ無限に愉しくて、それこそ気分上々なときは一歩歩いただけ
 で、その振り上げた足の感触そのものが愉しかったりさ、あらゆる自分の動作、物事の動きにすら、
 気持ちの良い実感を得られたりさ、そういう感じで、私の生活は愉しくて楽しくて、あ、私は物欲とかは
 全然否定しませんし、それこそちょっとお高いものを頑張って貯金して買ったときの嬉しさたるや、右の
 頬を自分でつねって左の頬を他人に差し出したいほどのものですけれどそれも快感ですけれど(重症)
 、社会的地位とか人間関係とかあとなんだっけとか、それはもう、そういうのは入れ込めば入れ込んだ
 分だけ成果があって、あ、成果っていうのは良いものも悪いものも含めてですよ、で、私はそういう成果
 が得られることがもう幸せで。
 生きてるって、こんなにも楽しいんだねぇ。
 生まれてきて、よかった。
 ありがとう、お父様、お母様。
 そしてこれからもよろしくお願いします、世界中の皆さん。
 うん。
 単純というか素直というか、根底的に私は幸せ者。
 でもね、それは周りの人達に恵まれてるとか、そんな意味じゃー無い。
 だってさぁ、私の言うありがとうとかこれからもよろしくとか言うのは、それとほとんど同じくらいの、怨みつら
 みていうかこの怨み晴らさでおくべきか、とかいうもうそういうとんでもないwおもいと肩を組んであるもの
 であって、決してそれ単独であるものでも無いし、どっちかっていうとそっちの方が多いから最終的には
 ありがとうとか、そんなんでも無い。
 わたしゃ、たとえ100%純粋怨恨の線で固まったとしても、幸せだよ。
 他の人は、根本的には、関係無い。
 私は、私というだけで、幸せ者。
 私は、此処に存在すること自体が、ハッピー。
 皆様の御陰? ごじょーだんを。
 私は、誰かがね、あんたの御陰で私は幸せだよとか私に言ったら、笑顔でぶん殴る。
 勿論冗談よ、私はむしろぶん殴られt(中略)方ですよ?、でもさ。
 自分の幸せを、人のせいにすんじゃねーよ。
 自分が生きてる事の責任を、放り出すんじゃねーですよ。
 そして同じ分だけ、自分の不幸を、自分が死ぬことの責任を、人のせいにするなよ。
 
 生きてるって、それだけで最高に素晴らしい。
 生きてるって、それだけで最高に辛い。
 
 どんなにひどい世界でも、どんなに地獄でも、ただたんに世界のひどさも地獄ぶりもほんとの意味では
 知らなくても、私達は、此処に存在しているという事自体が、至高の幸せ。
 どんなに恵まれていても、楽しくても幸せでも、まだまだ自分がいろんなものに支えられているということ
 を知らなくても、私達は、此処に存在しているという事自体が、究極の孤独。
 ていうか。
 
 
 それを感じられなくちゃ、全部、嘘だよ。
 
 
 だってさぁ、私はその最高の素晴らしさと、至高の幸せを越えていきたいんだもん。
 だから、死にたくなるほどになにかが欲しくて、愛する人を残してなんて絶対に死にたくないもん。
 あ、同時に、死にたくなるほどにぶっ壊したくて、怨みを晴らさずして死ぬ訳にもいかないってのもありま
 すけれどw。
 うん、命懸けって、そういうこと。
 私は「命懸け」と「命賭け」という言葉を使い分けてるんだけど、前者は肯定だけど後者は否定する。
 私が自分が死ぬほどに誰かを守りたいとおもったときには、私はその人が自分と同じくらいの価値が
 ある「存在」だから、自分の命そのままに必死に守りたいっておもう。
 私にとって守りたいその人は、命を賭けて得る、そういう「モノ」じゃあ、決して無い。
 私は、私が此処にこうして存在するという事自体が、大好き。
 そして私は、その人がその人の此処に存在するという事自体が、大好き。
 だから。
 命を懸けながらも、絶対に私は、死にたくない。
 あなたの存在を守るなら、私の存在も守らなくちゃ。
 私の存在を守るなら、あなたの存在も守らなくちゃ。
 うん。
 だから私は、あらゆる欲を否定しないし、だから、なにかが得られなくて、また、周りの人に恵まれなくて
 、ガンガンに怨みの花を咲かせるのは大いに結構だと思いますし、そのためになにかを得られるために
 頑張る以上に、なぜ頑張っても得られないのか必死に考え、そのために周りの人達に恵まれていない
 という自分の価値観はなんだろうと考える以上に、周りの人達そのものを自分にとって恵まれている
 ものに変えるにはどうしたらいいのかと必死に考えればいい。
 
 私が命を懸ける場所は、常に、いつも、そこ。
 
 だから私は欲を捨てろとか、他人のために尽くせとか、んな事は言わねーのよ。
 むしろそんな事言ってる人に、私は白々しい顔でその通りで御座いますね(棒読み)って言う。
 なんかさぁ、五輪とかでもよくききますけど、あれ、なんでみなさん、あんなに十把一絡げな感じで、
 皆様の御陰ですとか、誰々のために頑張りましたとか、言えるのでしょうね?
 私はさ、ちょっと悲しい。
 そして。
 かなり、恥ずかしい。
 だってさ、ああいう風に言わせてるの、私達自身じゃん?
 メダル取ったときにああいう風に選手が言わなかったら、きっと非難囂々でしょ?、 日本て。
 恥ずかしい。
 自分の事しか考えてないのは、どっちなんだろ。
 皆さんの御陰ですって、そういう風に言える人物像に萌えてるだけの、その自分達の欲望を押しつけて
 る。
 そこら辺のオタク(そこら辺いうな)より、タチ悪い。
 朝○龍の話とか、あとスキーだかスノボだかの選手が服装の乱れwかなにかで開会式出席させて貰え
 なかったんでしょ?
 ・・・・。
 なにそれ、おもっきし権利の侵害じゃん。
 ていうか、なんちゅー子供な発想よ。
 なに押しつけてんの?、ていうかそれが日本人の総意とかいう辺りでもうおかしいし、税金で行かせて
 貰ってんだからちゃんとしろとか、なに勝手に税金の使い方決めてんの。
 スポーツにおもっきし思想持ち込んでるし。
 ていうかおもっきし「外見」だし。 「中身」が大事なんじゃなかったですっけ?(微笑)
 日本人が同じひとつのみっともなくてちんけな思想で動いてる、という前提なんだもん、一緒にしないで
 欲しいわよぷんぷん、私は日本人じゃ無くて電子の妖精ですけどね妖怪ですかっていうかあんた存在
 自体嘘臭いんだよね。
 
 
 
 ・・・。
 
 
 あー、そっか。
 今日はその辺りの話をうだうだとしようとしてたんだけど、なんか愚痴みたくになりそだからやめようかな、
 というか現時点での私の考えを発表するだけで、じゃあそこからさらにどう考えていくのか、根本を
 探り当てて考えようという哲学をする気力にはあと一歩足り無いていうか今日寒っ。 (ぶるぶる)
 朝○龍の話も、ぶっちゃけむしろ「国技」を名乗るなら日本人の固定化した「文化」とかで締め付ける
 なよ、みたいな、「国」を代表する技っていうなら、全く逆にもっともっとオープンにして普遍性もたせなきゃ
 駄目でしょ、全く発想が逆なのよねほんとに。
 伝統として固定化させたものをあくまで維持したいんなら、「国技」の名を返上してひっそりと支持者
 だけの間でやって欲しいよね、弁えなさいよ。 べつにそれなら私は伝統を否定しないし敬意も払うし。
 私はよく言ってますけど、文化は文化で全然問題無いけど、文化は生成変化していくのが本質で
 あって、固定化された「遺産」としてのそれは文化そのものじゃ無い、ってことですし、だから、文化という
 のは本質的に常にオープンですべてのものと繋がり連絡しているからこそ、変化して進化していく、
 そういうものである文化に対して、私は敬意はとってもあるし、とっても大好き。
 そうですねぇ、文化そのものには無条件に敬意を払う用意はあるけど、文化を固定した遺産を振り翳
 して手前勝手な萌えを権威にすり替えて押しつける人に払う敬意は無い、って感じかな、私は。
 なーんか、その辺り、昔と違って随分とちゃんと考えられる素地は出来てるんだけど、まだかなり深い
 レベルでズレてるんですよねぇ、もうちょっとちゃんと本質的に考えられる人が増えそうな気配は歓迎
 なのですけどね、今は一時的な反動の時期なのかもしれませんね。 や、そんな甘いものじゃないか。
 うん、大相撲を「文化」にするか、「遺産」にするか。
 よれよれで見栄えも微妙だけどしっかり生きるか。
 それとも、綺麗に整えた死する者を守るのか。
 結構これって、根本的な話だよねぇ、日本人的に。
 いえ、日本文化と向き合っている人達的に、と言うべきかな。
 うん、ただ私的には、相撲でもなんでも、そうした「死」としての「遺産」的な負のものを飾り付けて、
 そして愉しむ事自体は、それは粋なことだと思いますし、そういう萌えは充分アリ。
 うん、でもそれは本質を弁えた上でのもので無ければ、逆に野暮だと思うのよ。
 この世に変わらぬものなど無し。
 だからこそ。
 その変化を敢えて押し留め、守り磨いたモノの美しさは堪らない。
 うん、これ大事よね。
 だから、この世に変わらぬものはあり、ゆえにそれを守り磨くことにすべてを賭ける事が肝要、ていうか
 そのために死ね、とか、そんなん冗談いうか、むしろ、醜い。
 あまったれんな、っつー話です、実際。
 変わらぬものなんて無い、その現実から目を背け続けるからこそ、変わらぬものがあると信じて、それに
 しがみついて、生成変化していく、豊穣無辺の恐ろしい光に満ちた世界から逃げてるだけ。
 侘び寂びも同じよね、それは世の中は滅茶苦茶沢山のものがあって恐ろしい、そしてその「すべて」
 と向き合う戦いから逃げずに、そして、だからこそ、敢えて侘びしく調えた一服だけの「休憩」が効く、
 というだけの話であって、それが世の中の複雑豊穣さの恐怖から逃げ続けるだけの、そのために逃げ込
 み閉じ籠もる場所としての茶室だのなんだのになってしまったら、それは本末転倒。
 一日だけの休暇が一生のものになってしまったら、そりゃ引き籠もりってことじゃん。
 その引き籠もりの楽園が、日本。
 一度は行ってみたい楽園。
 けど、一生は・・・
 
 
 
 だから日本はもう駄目だってんなら、もう駄目なんでしょうね。
 それで駄目としか言えない人達しかいないのならば、ね。
 
 
 だから。
 今一番大事なのは、いえ、最初から重要なのは、希望。
 希望という、本当は一番恐ろしいからこそ遠ざけられていた、その恐ろしい光と立ち向かう勇気と。
 そして。
 その恐ろしい光は、それと向き合い続けることで、この身を焼きながらも暖めてくれるものだという、
 そういう事を感じられる私達自身への愛が、最も大切なもの。
 
 いつまでも希望とか理想とか言ってる奴はガキ、とか言ってんじゃないですよ。
 「日本」って、日の本って書くんでしょ?
 その「日」って、私は希望の光だと思うよ。
 希望の生まれる地。
 けれどその光はあまりに豊か過ぎて、強すぎて、あまりに多くのものを複雑に生み出し続けていた。
 だから。
 怖かったんだよね。
 豊か過ぎて、幸せすぎて、あまりにもそれと向き合い、それを背負う責任が重すぎて。
 だから、千年も、二千年もかけて、その恐ろしい光から身を守るための術を営み続けたんだよね。
 そうして、身を守る自分の美しさこそを、綺麗に飾り付けることの、その文化を培って。
 だから頭がとてもいい。
 欺瞞、韜晦、あらゆる言葉と力が交錯するこの文化は深く、強い。
 私は、この文化が好き。
 すっごい技術だと思うもん、むしろ私に滅茶苦茶リンクしてる。
 ていうかまだまだ、私の知ってるものなんて僅かな部分にしか過ぎないし、もっともっと、この文化は果て
 しなく、そして罪深いものなのでしょうね。
 
 でも。
 
 その中で、そうした文化そのものと、向き合ってきた人達を含んでいるからこその、この文化の真の価値。
 
 囚われるだけじゃ無い。
 囚われながら、ぼろぼろになりながら、もう滅茶苦茶になりながら。
 或いは完全に囚われて、綺麗に心身を調えて、この文化の鬼となりながら。
 それでも漏れてくる、圧倒的な希望の光に晒される、「自分」を感じずにはいられない。
 その光から逃げ回り、立派に飾り付けた部屋に閉じ籠もりながら、或いはその部屋から這い出て、
 着の身着のまま悪戦苦闘を続けながら、さらには今度はそうして見上げた部屋こそを眩しく光に
 奪われながら。
 それでもこうして、私も、そしてこの文化の中に生きる多くの人達も生きている。
 この文化を愉しみながら、囚われながら、この文化にこそ苦しめられながら。
 そのすべてを抱えながら、やがて一歩ずつ、それを越えていく。
 それが、変化。
 人の営みそのものこそ、文化。
 私がこうして、自らの足掻きなり囚われなりを書き記し言葉にしていくこと。
 それが、文化。
 

 
  −−  私が  此処に生きていることの 証拠
 
 
 
 日本文化が、日本文化で無いことなんて、端っから、無いんですよ
 
 
 
 
 
 
 まぁぶっちゃけ、私達はもっともっと、私達が今生きている此処のことを知る必要があるってことっすね。
 なにを犠牲にして、なにを踏み台にしてあり、そして、なによりなにを隠して生きているのか。
 私はただ、此処の豊かさを生きたいだけよ、実際。
 もっともっと、幸せに、楽しく、陰惨に、辛苦に悶えてめっちゃ堪らないくらいに。
 際限なんて無いし、際限なんて、いらない。
 際限が欲しいのなら、それは際限が無いことが怖いから。
 際限が無いってことは、つまり無限の可能性があるってことなのに、勿体無い。
 逆に、際限が無い事が怖いからこそ、可能性なんて無いていうかあまったれんな、とかいう欺瞞に
 走る訳ですよね。
 甘ったれてんのは、どっちよ。
 それは、この国の、この土地の、いえ。
 この世界の豊かさと、そして。
 此処に存在する事の幸せに対して、ということ。
 
 とまぁ、そう言い切るためにこそ、今日も私は私の中に潜り込んで、ロースペックでたわけな私を発見
 してぐだぐだになる訳ですw
 そういうどうしようも無い私をひとり見つければ、少なくともあと百人はもっと駄目な私が私の中には
 いるはずですしw、際限なんか無いっしょ。
 でもだからこそ、際限の無いほどに極悪な自分を日々発見して、それと向き合っていくからこそ、
 やば、なんかこいつ好きになってきたほっとけなくなってきた、なんとかしたいな、なんとかしようと、
 そうやって、じゃあどうしてこういう駄目な私はいるんだろ?なにが原因なんだろ?と、そうやってひとつ
 ひとつまた向き合っていけるし、それ以上に、なんとかするためにはどうしたらいいのかが、いつも必ず
 ひとつのものに繋がってみえていく。
 それが、希望。
 ひとりも、ひとつも、ほっとけない。
 ほっとかなくては成り立たないと言い張るその私は、なぜいるのか。
 そういう「自分」しか、いないから。
 そして私は、その自分こそを変えていく。
 ほっとかなくては成り立たない、それ自体を変えてくんよ。
 そのために、私はものを書く。
 希望と向き合うためにこそ、私は私こそを変えていく。
 私が私を変えていくからこそ、希望は常に圧倒的に私の空で輝いている。
 
 そして、私達の根源的な不安は。
 
 私達が、私達であるということ。
 
 変えられない。
 私達が、私達であることは、変えられない。
 私は、「私」。
 これは不変のこと。
 けど。
 私の、「自分」は変えられる。
 私が「私」という唯一無二の存在である事は変えられなくとも、「自分」というどのようにして存在して
 いるかという自分像としての自分は変えられる。
 そのズレが、不安。
 変えられないのに、変えられるなんて。
 変えたくても変えられないのに、変えなくてはいけないなんて。
 ズレている。
 私には、「私」と「自分」のふたつがある。
 それでだいぶ、変わる。
 変わらないものなど無い、という「自分」の覚悟が、ちゃんと。
 絶対に変わらないし、という「私」の幸せと安心と繋がっている。
 だから。
 変わらないものなど無い、絶対に変えてやるという勇気が。
 絶対に私が私である事は変えられないんだという孤独を生きる私達に、力を与えてくれる。
 
 
 
 本日は 日本という国に生きるすべての人達のために書かせて頂きました。
 
 勘違いしないでくれよな、あんた達のために書いたんだからな。 (某刀語の主人公風に)
 
 
 
 
 ◆
 
 あー、指痛い指冷たい。
 ということで、あーなにやってんの私、文体とか言葉使いの話とかどこいったの、ていうか全然綺麗な
 言葉使ってないじゃん、あんた結局いつも日本語の乱れが素晴らしい出来じゃない、とかいうと、
 また、日本語の乱れ?、なにそれ、まるで「正しい日本語」じゃなきゃいけないみたいな感じじゃない
 か、とかまたずらずらと語り出しそうですので。
 やめ。
 うー、普通にソラヲトのことでも書いておけばよかったー、ていうかソラヲト感想もなんかこういまいち良く
 書けないっていうか、私がなにを書きたいのかが分かるだけで、そこからの発展が無いっていうか、
 あー、もうお話半分終わってるのにまだソラヲト感想の形がみえてこないってあんたヤバすぎでしょう、
 とか、あーもう。
 やめ。
 
 
 
 刀語  斬刀 鈍:  アニメ「刀語」第二話、感想。
 まぁその、なんだ。
 面 白 す ぎ だ 、 ば か も の 。 (褒め言葉)
 七花ととがめの夫婦漫才がもうキレキレで大好きで萌えで、あとなんか変態プレイやってましたけど
 あれなんですかね?でももっとやれで、そしてとがめが刀収集の旅の報告書を活劇仕立てにして色々
 書こうとしてる様とか、あーなんて言ったらいいんでしょ、萌え。 ・・・だから私駄目なんですよね
 最近自分の中の欲望をちゃんと語ろうとする作業がおろそかになりすぎていうかあんた枯れても知らん
 よいうか、まぁでも七花ととがめにきゅんきゅんきたのでまだ平気ですよていうか、萌え。
 ・・・・アホは置いといて。
 
 で、まぁ、なにが面白いって、まず今言ったような広い意味での萌えを元手にして、そのままなんかこう、
 全部に繋がってるというか。
 ぶっちゃけ今回の対戦相手、宇練銀閣が良い。
 良いっつーか、さっきまで私が語ってたような事とダイレクトに繋がっててさ、わかるんだよねぇ銀閣の
 哀しみというか、覚悟なんてどうでもいいやというその欠伸の中にこそみえるものが、こう、じじーんと
 来てさ、それでも七花にそれがお前の限界かと言われて、ちゃんとカチンときてるに、自分の韜晦を
 やめたらもうなにも守るものが無いっていうか、ぶっちゃけ銀閣にとっては、その「韜晦」自体がもう
 守ることになってて、それが最高に。
 そう。
 最高に、悲しくて。
 そんなに大層なものを望んじゃいないさ、この国だって、もう元には戻らないくらいわかってるさ、だがな、
 せめてその俺の儚い夢でも俺の戦う理由にしなきゃ、俺はもう、此処に座っていることすら出来ない
 のさ。
 弱く、弱く、弱いゆえに、俺は強いと言わねばならずに、ついぞ強くなる機会を失った男。
 そしてそれを隠すためにこそ、己は強くなどないさと嘯いてみせる。
 銀閣の独白は、そもそもすべて韜晦です。
 守るものが無ければ俺は戦えない、生きられない、という己の姿こそを隠した。
 守るべきものが無くなってしまった、だから紛い物の守りもの、つまり銀閣の場合、それこそ「どうでもいい
 」先祖伝来の斬刀鈍を代わりに抱き締めた。
 そして鈍が守るべきものでは無いことはすぐに暴かれ、そして最後に本当は自分が守りたいものは
 それでは無く、かつて美しかった今は砂漠化したこの国だったと吐露する。
 でも、それは哀しみであって、悲しみじゃー無い。
 銀閣が悲しかったのは、守るべき国が無くなってしまったことでは無く。
 そうして、国なり刀なり守るべきものが無ければ戦えぬ、そしてそうである己を変えるための戦いに
 身を投じることが出来無かった、その本質的な弱さにこそある。
 それは、七花が守るべき者としてとがめを自分の背に置きながら、それを思い切り踏みつけて攻撃に
 転じた、その七花の姿そのものが物語っている。
 
 すごい
 
 ああ、守るべき者は大事さ。
 だが、そのために戦うってんなら、それが剣を持つ剣士の限界なんだろうよ。
 壁として蹴飛ばすために、七花はとがめを守ると言っただけ。
 しかもそれを思わせぶりに確信犯で七花は言ったと認めてますから、処置無しでしょう?(笑)
 そして。
 だからこそ。
 なんのために、とがめを蹴飛ばしたのか、なんのために適当に嘘まで吐いてとがめをときめかせてまでw、
 七花は戦ったのか。
 それは。
 無論。
 とがめを、守るため。
 愛してるぞ♪、とがめ。
 この七花の白々しさに、大乾杯ww
 そして。
 
 
 『なるほど、前向きだ。  
   
   だから俺はあんたに惚れたんだ。』  by 虚刀流七代目当主 鑢七花
 

 
 七花がとがめを守る理由は、ただ。
 とがめが、生きるためにどんな手を使ってでも諦めないから。
 私は生きるためになら、本懐を遂げるためになら、いくらでも韜晦でも欺瞞でも吐いてやろう。
 そのために、私はお前との物語を煌びやかに綴るのだ。
 いや、そのために、綴る言葉があるのだ。
 そして、意地でも諦めぬために、楽観的かつ狡猾な物事の解釈をするのだ。
 そりゃ惚れるよね。
 私も、惚れました。 とがめ萌え。 (結局)
 あとさりげにあのバトルとか好き、あの銀閣の間合いとしての小さな部屋の在り方とか、結構この作品
 て絵で色々やってますよね。
 色彩というか風合いもなんか良し。
 これはいよいよ楽しみになって参りました。
 
 
 
 
 という感じで、今日はおしまい。
 はー、疲れた。
 では、また。
 
 
 
 
 
 
 

 

-- 100211--                    

 

         

                           ■■ この銃口が音を吹くまで ■■

     
 
 
 
 
 『撃ちたきゃ撃ってみろ。
 
   もっとも、その前にこいつが火を噴いて、今度は帽子の台に風穴が空くだろうがな。』
  
 

                          〜ソ・ラ・ノ・ヲ・ト ・第六話・リオの言葉より〜

 
 
 
 
 
 
 
 
 夕陽が落ちてくる。
 染みるように、嘗めるように、体の中に侵入してくるように。
 じとじとと汗ばむ昼の日差しが、激しくがなり立てている。
 こつこつと響かせる靴音が、心地良い。
 
 頭が痛い。
 
 頭痛。
 それは慢性的に続いている。
 慣れた・・・訳では無いはずなんだが・・・・しかし・・
 しかし、顔に埋まる力が、その痛みで以て引き出され、今日の私の生きる力になるのを感じている。
 なぜだろうか。
 自分でもなにをしているのか、よくわからない。
 激しい衝動に身を任せている訳でも無く、なにかをくっきりと諦めている訳でも無い。
 だがもう、昼だ。
 昼なんだ。
 べつに今目覚めた訳で無く、もう何時間も前にカナタの下手糞な起床ラッパは聴かされている。
 そのときからずっと、意識が無い。
 ・・・・・いや、それは冗談として、だ
 実際、こうして今、段々と体が開かれていくような、日差しの中に溶け出していくような感覚・・・
 その中に、私は、時告げ砦のリオは居た。
 もう日が暮れるのか・・・
 まだ太陽は空のど真ん中で暑苦しく輝いているというのに、なぜか夕暮れの影を偲んでいる。
 
 じりじり
 
 照り付ける熱射が生む汗の重みで、歩けたら・・
 後退する。
 けれど退く場所は無い。
 ならば前進するのみか?
 背水の陣はしかし、とっくの昔に突き破られていた。
 みるも無残な有様で、かつて私が腰を据えていたその陣幕は、その存在を響かせている。
 戻る場所は無い。
 戻る場所無きがゆえに、先に往くしか無いはずなのに・・・
 なぜかその戻るべき場所は、無残なものとして、はっきりとそうして残っていた。
 退く場所はある。
 けれど、そこに退くことが出来ない。
 退く訳には、いかない。
 だからせめて、その場所を消そうとする。
 背に負う轟々たる瀑布の中に、その陣を沈めてしまおうとする。
 そういう、私がいる。
 ぐるぐる。
 今日も一日、その膨大な渦の中に、私はいる。
 
 
 
 〜 〜
 
 変わらず、熱い。
 情熱的に黒衣に身を沈め、冷酷な銃身に火を委ねる。
 犯罪・・・らしいな
 いや、らしいな、と自然に言えてしまえる自分が不思議なんだが・・・
 カルヴァドスの密造。
 リアリティに欠ける話なんだが、まさにそれを私達こそがやっている。
 不思議だ、ああ、不思議だ。
 並べた酒瓶を睨み付けながら、私はずっとそうして、やはり睨み付けていた。
 不思議だ。
 私自身への眼差しは、無いんだな。
 ふっと、微笑んでしまう。
 自嘲しつつ、けれど不思議なこのふわふわとした感じが、いっこうに地に着かない。
 なんだろうな、最高で国家反逆罪になるかもしれないような罪が、まぁ実際はそこまではいかない
 だろうが、だが、そうして罪を犯してまで生き抜いてやるという、そういう気負いがな、無いんだ。
 やはり、不思議だ。
 不思議なこの感覚を、不思議と思うことすらも、本当は無い。
 クレハにしろフィリシアにしろ、私がこういう事に手を染めるなんて意外だと言っていたが、それは少し
 勘違いが過ぎる話だ。
 そもそも私は、野良猫だ。
 上の奴らが自分達の利益のために布いた法政に、ただ唯々諾々と従順に従うような腰抜けじゃ無い。
 私は厳格ではあるのかもしれないが、しかしなにを厳格に行うか自体の選択を、自ら放棄する事など
 した覚えは無い。
 犯罪が犯罪であるというだけで戒める事など、そもそも私にはあり得ない。
 私は私のルールに於いて厳格なだけで、私の納得していないルールに関しては、そもそも厳格以上
 に反抗の牙を剥く。
 と、そう考えている私こそが・・・・おかしかった・・・
 いや、クレハ達はおそらく、たんに私がそんなリスキーな事をすること自体を意外と言っただけなのだろう。
 そういう意味では、私は確かに、慎重派だし、フィリシアほどに大胆な事はしない。
 つまり、納得しないルールになにも考えずに従うつもりは無いが、しかしその理由だけで無闇に反抗する
 ほど、私は無鉄砲でも、また無欲でも無い。 まぁフィリシアの場合は強欲から出た大胆さではあるが。
 わざわざ致命的なリスクを背負わなくても、まだまだやりくりのしようはあるし、まだまだまだ、我慢し
 粘れる余地はあるし、そういう事を見つけ出し実行する事にかけては、私はフィリシアよりも上だ。
 だが・・・・
 
 
    それでは、カナタに給料を出せないんだ。
 
 
 
 不思議と遡る。
 カナタが砦に来る前から、私は密造に荷担していたし、主体のひとりとなっていた。
 が、すべてはカナタの給料のためだったのだと、あっさりと言い切れる。
 自分のためのご褒美。
 カナタはその言葉の違和感を乗り越えて、自らを大切にする。
 そうすることで、他の者達の、その者自身の自分を大切にすることになるからだ。
 カナタが自分にご褒美を与えることで、私もまた、自分自身と向き合える。
 そして同時に、カナタが自分を大切にすることによって、私が大事にしている、そのカナタがちゃんと
 カナタによって大切に想われ守られていることを感じられた。
 カナタが楽しそうに、初任給を抱えて、田舎の家族への土産を指折り数えながら、自分の欲しいものも
 目を輝かせて思い巡らしているのを見ていると、私はぞくぞくとする。
 私は・・・カナタのその笑顔が曇るのが・・・・なにかを耐えようとして我慢してしまうその顔が・・・嫌だ・・
 カナタが笑えないのは、私のせいなんだ。
 それは自虐でも私がなんでも抱え込んでしまおうとする事でも無い。
 私は、なんのために生きているのか。
 誰かを守るために生きている。
 という、そういう私の意識のためにこそ、生きている。
 そして、そういう意識を得るためには、なによりも、誰かのために生きるという目的意識が重要だった。
 所詮はすべて自分のため、カナタの笑顔をみたいという、その自分の欲求のためだ、という目的意識
 では、たぶん私は、その欲求を満たすことは、実は、出来無いんだ。
 情けは人のためならず、とは、それは結果論にしか過ぎない。
 人にかけた情けは、周り回って自分に返ってくる、だからそれは自分のため?
 違うな、そんな意識で、私は私の欲求を満たせることなど無いんだ。
 情けは人のためにならない、情けをかけるだけでは、それだけではその人のためにはならない、だから
 ときに厳しくもする、それが、その人のためになると信じているから。
 その人のためにこそ。
 その意識だけが、私の欲求を満たしてくれる。
 そして。
 だから私は、その私の欲求を満たすためにこそ、人に厳しくもするんだなんて、絶対に、思わないんだ。
 自分のために、なんて、絶対に・・・・・
 
 
 
 
 
 
    頭が   痛い
 
 
 
 
 
 
 フィリシアの、あの憎たらしい笑顔が、今日は無い。
 フィリシアはただ意外そうに、私の行動を追認するだけ。
 本当に、意外なんだろうな。
 私が進んでこんなリスキーな事をするだなんて、挙げ句の果てには今日は、こんなマフィアの真似事
 までして、絶対にそんな事はしない、いや、そんな事が出来無い私を、如何に挑発して扇動するかが、
 フィリシアのいつもしている事なのだからな。
 フィリシアは、疑問に思わなかったのだろうか?
 やっと私の言っていることをわかってくれたのね、と思ってくれたのだろうか?
 だとしたら、少し嬉しくて。
 とても。
 悲しいな。
 私は・・・・まだ駄目だったんだ・・・
 いや・・・もっと駄目だった・・
 笑って・・・くれないんだな・・・・・
 私は・・・・・カナタのためをただおもっていて・・・・
 そして・・
 私自身と、やっぱり向き合えていなかったんだ。
 カナタは自分のために自分へのご褒美を求めて街に飛び立ったというのに、私はこんな・・・
 ただただカナタを守りカナタの笑顔を見るためだけの、その私の欲求のためだけに・・・・
 ・・・。
 おかしいな
 ずれている。
 私は・・今・・・・・なにかおかしいことを言った
 私は今、自分の欲求のために動くことなんて絶対に無い、そう最終的に思う自分は、結局のところ、
 カナタのように自分へのご褒美を挙げることを、否定する事をやってしまっているじゃないか、と、そう嘆く
 つもりだった。
 なのに今、私はこう言った。
 カナタを守りカナタの笑顔を見るためだけの、その私の欲求のためだけに、カナタの笑顔を守っていたと。
 全然、問題無いじゃないか。
 カナタを守ること、そうして得られる自己満足の欲求こそが、私へのご褒美、ということで、ちゃんと
 辻褄は合っているじゃないか。
 それなのに・・私は・・・・・・
 なぜこんなにも・・・・苦しいんだろうか・・
 
 
 
 − 私の背中の、遙か向こうで、金色の笑顔が、一瞬だけ火を噴いた。
 
 
 
 
 
 クレハ、私からすれば、お前の反応こそ、意外だった。
 私が、カナタには気取られるなと、ある意味とても理不尽な事を言ったのに、その事自体には異を唱え
 なかったお前に、私はずっと驚いていた。
 お前なら真っ先に、なんでカナタには教えないんですか、甘やかさないでくださいと、怒鳴り込んでくる
 のは確実だと思っていたんだ。
 クレハもノエルもカナタとは同年代、いやお前などはカナタよりも年下だ、なのにそのお前にはこんなに 
 危ないことをさせて、カナタにはやらせないどころか知らせもしない、だなんて、理不尽にも程があるよな。
 それに・・・・
 なによりそうすることが、カナタのためにならないんじゃないですか、と、お前がそうやってがなり立てるのを・・
 私は・・・・ほんの少しだけ・・・・・ずっと・・・・待っていたような気がする
 ああ・・・現実を知ることは大切だ・・・・
 それに・・・・これじゃあ、カナタが恐れている味噌っかすという事にカナタをしているのと同じだ・・・
 だが、お前は、クレハは、なにも言わなかった。
 あまり密造の件を隠す事自体には真面目では無かったが・・・・積極的に批判的な意味でカナタに
 給料の出所を暴き知らせるつもりは無いようだった・・・
 いや・・・お前は・・・
 むしろ・・・
 熱い日差しがそよぐ。
 汗がじっとりと肌に黒衣を吸い付ける。
 変わらない実感。
 戻ってくる現実感。
 お前は・・
 
 
   自分の、カナタの笑顔への想いを、隠すつもりは無かったんだな
 
 
 クレハは、カナタの笑顔の大切さを、知っていた。
 カナタのためになるかどうかでは無く、クレハはずっとカナタを想っていた。
 だからおそらく、カナタに密造の事がバレようがどうだろうが、カナタの笑顔そのものを大切にしている
 だけなんだ。
 あいつは今日、誇らしげに給料の出所をカナタに喋ろうとして、ノエルに口を塞がれた。
 クレハにとってはまず、こんな辺境の砦で給料がスムーズにそのまま支払われる事なんてあり得ない、
 と疑問を持てて、真実を解き明かしたという誇りがある。
 さもしいといえばそれまでの誇りだが、しかし、その誇りがこそ、見事にカナタの笑顔を保護することに
 役立っていた。
 密造に関われるのは、その存在に気付けた者だけの、崇高な資格なんだよな?、クレハ。
 無論。
 それだけじゃ無い。
 そんなものは、クレハにとって建前でしか無い。
 けれどその建前は、その建前を打ち立てるほどに守りたい、自分の本音があるからこそだ。
 クレハの本音は、カナタの笑顔を大切におもうこと、そして、カナタと同じく、現実がどうだろうとなんだろう
 と同じく笑顔で楽しめる、そのクレハ自身を大切にしたいこと、それだけなんだ。
 
 + ああ
 
 
     そうか      +
 
 
 私は・・・
 必死に、カナタを守るだけだった。
 密造の件を隠すだけだった。
 必死に。
 必死に。
 嫌々ながらの嫌だとおもう自分を、その自分を、カナタのためにと言って、撃ち殺しながら。
 いや・・・
 そうして、カナタのために頑張れる、その自分のためにこそ、私は、それに反する私を殺し続けていた。
 私は、私のために、私を撃ち続けていた。
 私はノリノリにみえたか?、クレハ。
 なら、成功だ。
 私も自分はノリノリだという思いになれていたしな。
 頭痛は、深まっていたが。
 ・・・。
 ノリノリな私など、私が私にお仕着せた、私の一部分にしか過ぎなかった・・・
 私は・・・・・ノリノリな私など・・・・・
 それは、私がこの仕事をこなすこととは、別のことだった。
 嫌々ながらも、文句を垂れながらも、それでも零れる笑顔を楽しみながら・・・・
 それが、私の、本当の、全部だったんだ。
 なのに、嫌々な自分を押し殺し、これみよがしにノリノリさを振りまきながらの私なんて・・・・
 そして、その私のうらぶれた笑顔にこそ、私は傷ついていった。
 クレハは、ノエルは、フィリシアは、普通に、ごくごく普通に、楽しんでいた。
 ノエルに至ってはあやうくトリガーハッピー状態だ、しばらくあいつには銃器は持たせないようにしなくては。
 
 関係、無かったんだよな、実際。
 
 カナタが気付こうと、気付かなかろうと。
 これはひとつの、宝探し。
 カナタが、ドキドキハラハラな、カルヴァドスの密造という裏のステージを見つけられるか、どうか。
 私はただそれを、危険だというだけで、犯罪だというだけで、そしてなによりそういう事に囚われて苦渋
 に満ちた仕事にしかならないというその私の思い込みだけで、そのイベントからカナタを隔離した。
 
 ・・・怖かったんだ
 
 もし、カナタがこの砦の秘密を知って、笑顔でいられなくなってしまったら、と。
 そして・・・
 私は・・・そうして・・・カナタの笑顔に依存してでしか、自分の笑顔に向き合えていないという事実が・・
 怖かった。
 こんなに暑いのに、寒気がする。
 カナタの笑顔を見たときのぞくぞく感が、背筋を冷たく舐め上げる。
 クレハが小さく興奮している。
 楽しくて、どきどきして、そしてちらちらと私の表情を窺っている。
 先輩も、楽しんでくれてますか・・・・そんな顔だった・・・
 まったく、お前は・・・・
 それは、私が言わなければいけないことだったのにな。
 厳しさだけを、苦しさだけを思い描いて、そしてそれをお前達には与えまいとして、結局はなんだかんだ
 で全部自分で引っ被って、そしてさらには・・・
 その全部背負った苦しみを、ちゃんとお前達にも背負って貰わなければいけないんだな・・・と・・
 そう自分が言い出さなければいけないというおもいと、その前にお前達が一緒に背負いたいと言って
 くれるかもしれないというおもいと・・・・・・・
 
 
  全部、苦しみしか、無かったんだな、私は結局。
 
 
 自分だけが背負おうがお前達にも背負って貰おうが、それが苦しみだってんなら、同じじゃないか。
 私は上官として、先輩として、失格だ。
 『値段も味わいの内よ。』、か。
 おまけに値下げもしない、か。
 フィリシア・・・・そういうことか・・
 私は、苦しみを受け入れて、それを和らげることしか無かった。
 苦しさを値切る事しか、無かったんだな。
 苦しさの無い笑顔の価値が軋むのは、当然だった。
 苦しいからこそ楽しめる。
 苦しくても、楽しめる。
 苦しくて当然。
 だから苦しさを乗り越えて、そのまま楽しく生きる。
 それは苦しさを値切る事でも、苦しみを捨てる事でも無い。
 そうだよな・・・・クレハとノエルだって不安だろう・・・・当然だ
 バレたらただじゃ済まない。
 なのに、あいつらは、それをスリリングさとして、既に楽しんでいる。
 ああ・・・
 この砦は、財政的に、もうとっくに限界だ。
 軍からの支給を待っていても、ジリ貧だ。
 まだ節約出来るし延命も出来る。
 私はそうする技術に多少なりとも秀でているし、我慢強さには自信がある。
 だが・・・
 フィリシアは・・・・・
 そして、クレハとノエルは・・・・・・
 我慢出来る余力があるうちに、攻勢に出たんだ・・・
 密造に対するスタンスと方向性が、私とあいつらとでは、違っていた・・・・
 私にとって密造は、あくまで最後の手段だった。
 それが、無理矢理随分と早い段階でやらされる事になっただけだった。
 私は・・・・この件に関する主体者には・・・・・・ほんとうはなっていなかったんだ・・・
 フィリシア、そしてクレハとノエルにとっては、酒の密造は、最後の手段でも玉砕覚悟のものでも無い、
 ただの生きるために当然のことだった。
 
 そう
 
 
 自分達で 生きるための
 
 
 
 そもそもこのカルヴァドスの密造は、代々砦の乙女達に受け継がれてきたものだったのだから。
 
 
 
 私達は軍人である前に、ひとりの人間である、なんて話じゃあ無い。
 私達は軍人であり、かつ全くひとりの人間でもある、という当然の話だった。
 私はただすべてを軍人である私によって覆い被せて、ひとりの人間である私から目を逸らし続けていた。
 私の描く苦しみは・・・私の悲哀は・・・ただ・・・・・その軍人としてだけの私のものだった
 ひとりの人間である私から見れば、その苦しみや悲哀は、ただ生きる事の豊かさの内にしか過ぎない。
 楽しくなきゃ、嘘なんだ。
 苦しくても、悲しくても、それでもこうして生きている、その生そのものが、丸ごと、楽しいはずなんだ。
 楽しくないというなら・・・楽しめないなら・・・・それは・・・・
 まさに私が、私の一面によってだけ、私を覆い隠し支配しようとしているからだったんだ。
 なにより、私の頭痛に歪むこの笑顔こそ、私が軍人としての苦しみに囚われている証拠。
 そして私が・・・
 そうして・・・・軍人という私の僅か一面にしか過ぎないもので私をすべて覆おうとした・・・
 その私の・・・・孤独の顕れだった
 そして・・私は・・・
 
 その孤独感を紛らわすために。
 
 苦しみを、共有しようとした。
 
 苦しみを、守ってしまったんだ
 
 
 
 
 
 
 このカルヴァドスは、かつて母が好きだったものだ。
 母が自分へのご褒美として、愛してやまなかった酒だった。
 私も、あの綺麗な酒瓶が好きだった。
 まるで液体状の宝石の詰まった魔法のボトルだった。
 だからよく私は、その中身の入ったままの酒瓶を撫で回し、抱き締めて悦に入っていた。
 母の愛する酒。
 綺麗だった。
 嬉しかった。
 私と、このお酒。
 どっちが好き?
 母は優しく、私を抱き締めてくれた。
 私はそうして、母の愛する酒瓶を愛しく抱き締めながら、母に愛しく抱かれるのが好きだった。
 私も、もし母に、この瓶と私とどっちが好き、と訊かれたら、思い切り母に抱きついただろう。
 その母との思い出と愛が詰まった酒。
 私は・・・その酒を守りたかった訳じゃ無い
 私は・・・
 私は・・・ずっと・・・・・ずっと・・・・
 
 
 
 この愛しい酒瓶を、誰かと共に愛しく抱き締め合いたかったんだ
 
 
 
 〜 風がふたたびそよぐ
 
 
 
 
 自分へのご褒美、か。
 私は、カナタの笑顔を守りたい。
 そして私はそのために、酒の密造行為を隠す。
 さぁ、見つけられるものなら、見つけてみろ。
 バレても構わない、けれどだから。
 だから、バレないような面白い仕掛けを楽しく飾り付ける。
 そしてカナタは、まるでそのことに気付かない。
 気付かなければ、それでもいい。
 気付かなければ、その分だけカナタがその楽しいイベントを取りこぼしたというだけ。
 それは、カナタの責任、なんだろう?、クレハ。
 逼迫した砦の財政を支えるために密造を行っている、というのが現実であれば、そのことを隠して独り占
 めしようとしている、その私達がいるこの部隊もまた、現実。
 その現実と、そのすべての本当と向き合ってこその、カナタの笑顔の価値。
 そして、そのイベントがあろうとなかろうと、私達にもまた、そうしてそのイベントに全く気付かない、その
 素直で間抜けで、そして幸せな女の子が目の前にいるという現実が、確かにある。
 どうするかは、私達次第。
 私達の、責任だ。
 私達には、その密造という裏イベントだけで無く、その密造を隠した上でも成り立っている、この日常
 という表のイベントが確かにこうしてある。
 私にとって、このカルヴァドスは、母との繋がりを示すものである以上に、私が此処にこうして存在し、
 こうして様々な表裏合わせたイベントと向き合う生活の中で生きていくための、とても大切な宝石。
 そして、なにより。
 
 
 私が、この世界の中で豊かに、楽しく生きていくためにぶっ放す
 
 幸せの弾丸
 
 
 
 クレハ、ノエル、フィリシア。
 私は、お前達とこうして母の愛した酒を共に造れて、幸せだ。
 この酒を売って得た富が、私の体に染み渡る。
 なにものにも支配されない、なにもののせいにもしない、厳然たる、私達の生きる力。
 そして。
 カナタ。
 私は、お前からこうして母の愛した酒を隠すことが出来て、幸せだ。
 お前とこうして宝探しゲームが出来ること自体の歓びが、私の心で澄み渡る。
 
 
 
  お前達が 其処に いる
 
        そのことが  もう
 
 
 

『私は信じないな。 最初から決められたり、与えられたりするのは大っ嫌いなんだ。』

 

ああ 嫌いだ

なにも知らずに のほほんと幸せを享受するだけの奴なんて

なにも知らずに 生きていけると思うな

そう思う私が 撃つ

撃つ

あいつはああいう奴なんだと カナタを諦め受け入れようとするだけの

私を撃つ

 

情けは人のためならず

 
 

だが

 

撃ちたければ撃てばいい

 
 
 

『ただ、そうだな。』

 

『誰かの生み出した偶然が、巡り巡って、他人の人生を大きく変える事はあるのかもしれない。』

 

 

 
 
 お前達が其処にいるからこそ、私は色々と幸せに変わっていける。
 だが。
 お前達が其処にいることで変わっていくだけなんて、あり得ない。
 お前達が・・
 
 お前達が其処にいることで変わった、その私こそが、私を変えてもいくのだから。
 それが人が生きるということ、なんだろうな。
 そして・・・
 そうして、生きている私が此処に存在するだけで、目の前のお前達を変えていき・・・
 そして、そうして変わったお前達自身がまた、お前達を変えてもいく。
 そして・・
 そして・・・・・
 
 変わり合った私達同士がこそ、なにより、互いを深く、豊かに変えていく。
 
 その豊かさこそが、私達の生きる力を、私達自身からこそ引き出していくのだろうな。
 
 そして・・・・
 
 
 
 
 



 

 

『人は生きてゆくのです。

 

たとえ大事な人と別れて、そのときは死ぬほど辛いおもいをしても、

 

それでも私達は生きていく、生きていけるのです。

 

その逞しさは悲しく、そして、愛おしい。』

 
 
 
 
 
 
 
 ったく、これだから、教会の奴らは嫌なんだ。
 本当のことを、ほんとうにそのまま言いやがって・・・まったく・・
 自分へのご褒美が、運命を感じたこと・・・だったか?・・・カナタ・・
 運命なんて言葉をぬけぬけと言う事は嫌いだが・・・
 ああ
 確かに私も、運命を感じたよ
 私が此処にいて
 カナタが、クレハが、ノエルが、フィリシアが其処にいて
 そしてかつて、母がいて
 みんな、繋がっている、それを運命というのなら・・・私は・・
 
 
 
 
   +++  この世界に 生きていたい
 
 
 
 
 
 犇めく頭痛が、ほぐれるままに、私を暖かく眠りへと誘ってくれた
 
 ああ 
      心地いいな
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 ・・・。  ← 寝ている先輩を発見して誰もいないのをいいことにうっとり寝顔を眺め続けるクレハ

 
 ・・・。  ← だらしない格好で寝ていたのでどんな顔して起きていいかわからずに寝たふりし続ける先輩

 
 ・・・。  ← その様子を覗き見してにやりと笑う整備士と微笑む小隊長

 
 ・・♪  ← もうひとりのラッパ手はお風呂です
 
 
 
 
 
 
 
 
 
                              ◆ 『』内文章、アニメソ・ラ・ノ・ヲ・ト」より引用 ◆
 
 
 
 

 

-- 100207--                    

 

         

                                  ■■ ひとこきゅう ■■

     
 
 
 
 
 はい、ごきげんよう、紅い瞳です。
 
 気付けばもう2月ですか、早いですねぇ、と、もう今日の日記を書く前からこう書き出すことを決めて
 いた私が、それ以下になにを書き出すかを考えていた訳でも無く、現在進行形で考えている訳も無く。
 はふぅ。
 なんだか日記的に、書くことにも一区切りついて、なにをこれから書いていくかも決まって、見事に
 落ち着いちゃった。
 前期のアニメ感想も一通り終わりましたし、今期はソラヲトの連続感想を書いていくって決まりましたし、
 そしたらやっと一息というか、さぁじゃあ、これからまたまったりといきましょうか、という手前で。
 はふぅ。
 
 
 ということで、今日はまったり以前になにも書きません。
 ・・・。
 もう既にこれだけ書いているのはご愛敬。
 そしてこれからちょっとだけご愛敬程度に書いて、今日は終わり。
 今日は、お休みです。
 あー、全然気分が乗らない。
 でも今日しかちょっと書く時間が取れないっていうか、明日は駄目だし、明後日からはソラヲトの感想
 書きたいし、ていうか昨日はバリバリ暇だったんですけどね、昨日書いとけば良かったんですけどね、
 ノリノリでまったり遊んでた分だけ後悔しています、日記分だけ後悔しています。
 ・・・・。
 駄目ですね、ほんとうに今日はなにも出てきません、褒めてもなにも出てきません、貶してもなにも
 出てきません、たぶん踏んだらぴしゃっといい音立てて潰れてくれると思います、ていうか潰れろ。
 なにを、言っているので、しょうね。
 
 
 
 ◆
 
 ということで(2回目)、今日はほんと駄目なので、適当にお茶濁して終わらせて頂きます。
 で、今回のお茶濁しタイトルは、ふたつ。
 前期アニメについてまだちょろっとと、あと、べ、べつに忘れてた訳じゃ無いんだからねただ書いてる暇が
 無かっただけなんだからねなお酒、の話です。
 
 まず、前期アニメのリスト。
 つまり最後まで観た作品のリストですね、最終版。
 感想書く前に記しとくべきだったのですけど、忘れてました。 あんた普通に忘れるよな最近。
 
 ・乃木坂2
 ・刀鍛冶
 ・真恋姫
 ・ささめきこと
 ・けんぷファー
 ・にゃんこい
 ・ダーカー2
 ・とある科学
 ・青い文学
 ・生徒会
 ・うみねこ
 ・あらし2
 
 まだ君に届けハガレンとある科学サンレッド2銀魂は放送継続中です。
 でも銀魂は三月一杯で放送終了みたいです。 鬱だ死のう。
 でももしかしたら三月で終了して、四月からまた開始するのかもしれません。 よし生きよう。
 前期については以上です、お茶濁しですので。 まだ負けてません。
 
 
 
 ◆
 
 前期についてたら今期についても言及したくなりました。
 今期はソラヲトで決まりです。
 これが言いたかった。
 あとははなまるが毎回楽しみです。
 これが言いたかった。
 あとデュラララも最初駄目かと思ったけど段々どんどん面白くなってきました。
 これが言いたかった。
 あと月一放送ですけれど刀語がすごいです。
 これが言いたかった。
 これ以上なにも出ません、繋がりません。 頑張ります。
 
 
 
 ◆
 
 あとお酒。
 年末年始、飲み過ぎでした。
 そしてそれを反省して、節酒に取り組んできた私ですが、普通にお酒飲んでいました。
 美味しかったです。
 二月の目標はダイエットです。
 体重を減らす?
 ノン。
 ダイエットが目標です。
 ていうか体重はだいぶいい感じに減りました、お陰様で。
 ていうかなんか楽しくなってきたんですけど。
 最近ダイエット行為自体に目覚めてきた私です、ごきげんよう。
 
 なにを飲んだか一部記憶が不鮮明で、まぁこれだけ経ってますしね、そして味とかそんなんもうみんな
 美味しかったでいいよと言わんばかりですので、ええと、覚えている物と覚えている事だけ書きます。

 
 ・純米吟醸 「黒部峡谷 幻の瀧」 あっさり風味。なんか抜けてる。
 
 ・吟醸生酒 「瀧鯉」 生酒なのに製造日が・・・あの店でもう二度と買わないんだからね!
 
 ・「蔵元の隠し酒 一番どぶ よそでは呑めぬここだけの限定品」 どぶろくじゃ無いらしい。
 
 ・純米吟醸 「しょうじょう 原酒」
 
 ・特別本醸造生原酒 「奥飛騨 無濾過 極寒しぼり」 今期ベスト。 味の充実度が半端無い。
 
 ・しぼりたて原酒 生酒 「八海山 越後で候」
 
 ・純米吟醸(山田錦100%) 「東洋美人」/ 絞りたてゲット。 ほんのり甘辛くて美味しい。
 
 ・神聖吟醸 「水のしらべ」 なに神聖吟醸って。
 
 ・特別本醸造生貯蔵酒 「秋田美酒 りんさくの花」
 
 ・本醸造 「加賀本造り」 店長お勧め。 なんか柔らかいアクがある。 ・・アク?
 
 ・「紅寿 久保田」/ 1500円で購入。・・・他のお店3000円近くしてたんですけど、なにこの破格。
 
 ・純米吟醸 「酔鯨」/ 文字通り、大海原で鯨がすいーっと。 ・・・・完全に酔ってたんですね
 
 ・特別本醸造生貯蔵酒 「高清水」/ 本醸造っぽい。 あまりに本醸造でした。

 
 あと前にもお話しましたけど、ワイン飲みました。
 ていうかどれが銘なのかよくわかんないんですけど、リゼルヴァとか、セレツィオーネ・オーロとか、
 キャンティとか2004年とか書いてありました、ラベルに。 ワインは初心者なのでさっぱり。
 ワンランク上のキャンティとも書いてあって、一応それで選びました。
 自分でワイン選んだのはこれが初めてでした。
 美味しかったです。
 なんかこう。
 美味しかったです。
 ・・・。
 
 あとは前々から飲もう思っていたラムを買いました。
 マイヤーズラムのプレミアムホワイトというやつです。
 これで大体メインな蒸留酒は飲んだ感じです。
 でもなんかこう、ラムは。
 美味しくなかったです。
 なんかこう。
 ・・・。
 
 あと、久しぶりにブランデーを飲みました。
 コニャックのカミュのV.S.O.Pです。
 久しぶりにそこそこ美味しいブランデーでした。
 カミュは結構オーソドックスな感じらしいですけど、こういう少し当たりの強めなのが私は好きです。
 あとあんましアルコール臭く無いし、まぁ私が安物のブランデーばっかり飲んでたからなのでしょうけれど
 ね、ていうかブランデー基本高すぎボーダー高すぎ。
 きっとほんとに美味しいブランデーは、もっとお高いものなのでしょうね、飲みたいな、飲もうかな。
 でもお財布が・・
 ・・・。
 
 
 やっぱりアニメとお酒の感想は新鮮なのが一番だということですね。
 
 
 
 
 おしまい。
 
 
 
 
 
 
 
 
 

 

-- 100204--                    

 

         

                              ■■ 最後方からみた音 ■■

     
 
 
 
 
 
 
 『いい加減気付きなさいよ。 あの人は黒いの。 真ーっ黒なの!』
 
   『え? 金髪だしお肌も白くって、素敵だよ?』
 
  『クレハわかってない。フィリシアは、そこがいい。』
 

 

〜ソ・ラ・ノ・ヲ・ト ・第五話・クレハとカナタとノエルの会話より〜

 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

 『どーん!』

 
 
 
 
 
 
 ・・・ 空が青い。 水の中。
 ・・・ 真夏。 暑くて涼しくて気持ちいい。
 ・・・ ほら、やっぱり空が青い。
 
 ・・・ まずまずね。
 ・・・ 今日の演習はなかなか気合いの入っていたものだったわ。
 ・・・ ! クラウス少佐がいらっしゃった!?
 
 ・・・ 暑い。
 ・・・ 疲れた。
 ・・・ 冷たい。
 
 
 
 
 
    青い空が深く垂れ込めるようにしてあり、大地はどこまでも空に届けとばかりに重く立っている。
    その狭間に満ちるようにして清流が爽やかに豊かに横たわり、風はどこまでも甘く吹き抜ける。
    大地の実りは鮮やかに、時折獣の影が飛び交い、山には世界の木霊が鳴り響く。
    今いる此処は、そういうところ。
 
 
  遙か彼方の、前線。
  少し前までは、戦争の真っ直中。
  そのときの様子を、鮮やかに思い描く。
  勇壮で、泥臭く、凄惨な、けれどなにより熱く思いのままに。
  最前線。
  戦争の華。
  名誉の住む場所。
  そして、最もおぞましく、最も生きていることを実感出来る場所。
  今いる此処は、そこから最も遠い、遙か後方の地。
 
 
 大昔、古代。
 その昔、もっともっと、この世界は栄えていた。
 けれどそれは、もはや残骸の果て。
 ノーマンズランド。
 ここから向こうに、人は住めない。
 最後方の此処から、ひとつ振り返れば、そこは不毛の大地。
 荒涼。
 地獄。
 いずれ此処もそうなるかもしれない場所。
 でも。
 その不毛の大地は、かつての栄華なる地。
 その時代の、その最も栄えた地。
 盛者必衰。
 ただそれだけ。
 いずれ此処も不毛の大地となり果てると感じたその想い。
 それは此処がこの時代の栄華の地であるということを、そのまま証す。
 いずれ滅び往くからこそ、この地は今、輝いている。
 
 
    歴史。
 時代。
    歴史。
 
 登り続けた山から見つめたその景色は、黄昏れていた。
 恐ろしい、怖い。
 けれど、それ以上に、なんだか知らない、生命感にそれは溢れていた。
 いずれ、此処もそうなってしまうのだろうか。
 ボクはそう考えた。
 『此処が、人の住む世界の果て。』
 ボクはずっと、その荒れ果てた砂漠の中に埋もれるものを、ずっと見つめ続けていた。
 ボクは・・滅びたかったのだろうか
 かつての時代の技術こそ最高のものだと思って、必死にそれを求め続けていながら、それはもう、
 滅びてしまったものだということもまた、わかっていた。
 もうその技術は、無い。
 その技術をなんとかして使おうとする、今のこのボク達の技術しか、此処には存在しない。
 もう一度、見つめた。
 なにも無い。
 その向こうに輝く、深紅の夕陽が、深く、ボクを支えてくれた。
 振り返る。
 ボクは此処にいる。
 一番後ろの、そのさらに後ろの前で、立っている。
 前を見据えながら、後ろを、背負いながら。
 
 
  負けたくない
 不毛。
  関係無い。
 
 嫌な感じ。
 だけど不思議と、寂しさだけを感じてく。
 ふっと、踵を返して、我にかえる。
 私にとって、ノーマンズランドは、立派な他国。
 誰もいない、けれど間違い無く、私達の国と境を接する、相手国。
 私達の砦は、私達の部隊は、この国境線を守るために存在する。
 最終ラインよ。
 そして、だから良く、私には、前線の姿が本当によくみえる。
 私が後ろに背負い守っている、このラインを意識している限り、私は常に前を見据えてく。
 前へ、前へ、攻め勝ってやるわ!
 前に行きたい、そう思っている私が此処にいる。
 此処にいてしかみえない、その前線の世界へ。
 なにをどうすればいいのか、此処からしか見えないものが、きっとあるんだから。
 この国境線を守る、その向こうに広がる、あの誰もいない、けれどいずれ私達もいく事になる・・・
 その不毛の大地を見つめながら。
 私は、誰にも負けたくない!
 
 
  綺麗。
 とは思わなかった。
  ただ。
 
 この世界は、もう本当に終わるしか無いのかなぁ。
 私は最初、みんな、クレハちゃんもノエルちゃんも、そう思っているのかとおもってて。
 だから、私はちょっとだけ、ほんのちょっとだけ、ムキになってた。
 だって、世界ってこんなに楽しいんだよ?、終わるわけないでしょう?、って。
 でも。
 ノーマンズランドを観て・・・・・私・・・
 世界に終わりなんて・・・・ほんとうに無いんだって・・・・
 圧倒的だったよ。
 ノーマンズランド、とってもすごい、存在感だった。
 私、ががーんってなっちゃって、なんかちょっと気後れしちゃったくらいに、おろおろして。
 どこかで、世界が終わるってことを私は意識してて。
 そして・・・その世界が終わるという私の意識があるからこそ、私は世界は終わらないって・・・
 私は、そうやって世界は終わらないってわざわざ言うことでしか、世界が終わることなんて無いっていう、
 その圧倒的な事実と、向き合えなかったんだ、って・・・・
 『歴史・・・なんですね』
 
 
 
 

『ただあなた達にはね、これをみて貰いたかったの。』


 

『これは、私達の先輩のサインよ。
 

砦の乙女は、みんな一度は必ずここにきた。
 

そして、この風景を、世界の果てをみたの。』

 
 
 
 
 
 
 フィリシアさん。
 私今日は、とっても、とーっても楽しかったです。
 あんなに重い物資を背負って山を登ったのは大変だったし、途中で荷物を置いてきて任務を達成
 出来なかったのは残念だったけど、でも、最後の目的地につくまで、とっても楽しかったです。
 だって、空があんなに青くて、緑がきらきらしてて、小川が冷たくって気持ちよくて、風がふわーって。
 監視台がお花達に囲まれてて、そうしてひとりでずっと見張っていてくれてて、なのに全然寂しくなんか
 無いよって言ってるみたいに、辺り一面に花が暖かく咲いてて。
 どくどく。
 感じる。
 『きこえる。』
 私の心臓の音が、隣で歩くクレハちゃんとノエルちゃんの足音が。
 
 
 『あ、お魚だー! ねぇねぇクレハちゃん、すごいねぇ、楽しいねぇ♪』
 
 『うん♪ ・・・ってぇ、ちゃーう!』

 
 隊長。
 カナタのお気楽気分はともかく、世界が終わるとか終わらないとかって、一体なんなんですか?
 なんだか、私には実感が無いどころか、一体それは何時の時代の話よって、そういう感じでした。
 それは全然、世界の果てとかいうノーマンズランドを見ても変わりませんでしたし、正直、もっと言えば、
 私はこれが私達の部隊が向き合う相手国かって、少しその自分の意識に実感が持てたくらいでした。
 なんだろ。
 カナタ達と任務して、まぁそりゃあ遊びみたいなもんでしたけど、でも、楽しかったのは事実です。
 あのふたりと一緒だったら、あのままノーマンズランドまで踏破しちゃえそうな・・って無い無いそれは無い
 一生懸命頑張って、遊びみたいな任務だって、任務は任務。
 それはどこでだって、おんなじなんじゃないかなぁって。
 私にとっては、その意識の方が、あの寂寥感溢れすぎな風景よりも、ううん、あの風景を見たからこそ、
 私は自分の任務をきっちり楽しくやりこなす事の価値を、改めて感じた気分でした、ってぇ、
 
 
 『んんー?』
 
 『せっかくだから。』

 
 フィリシア。
 『ノクター型監視装置は、完全ブラックボックス。 分解不可能。』
 たとえ故障していても、故障していると報告するしか無い。
 技術者として、これは辛い。
 一度壊れたら、もう、どうしようも無い。
 壊れたものを、壊れたものとして受け入れるしか無い。
 修理は不可能。
 終わった世界は、もう元には戻らない。
 でも。
 もしあの監視台が故障しても、ボクは今日の遠足を忘れない。
 またボクは、あの山に登って、ボク自身があの不毛の大地を見つめたい。
 あの監視台は、元々不要の物。
 ノーマンズランドには、誰もいない。
 でも。
 ボク達は、此処にいる。
 此処にいて、あの大地を、みつめてる。
 それはあの監視台も、同じこと。
 
 〜ボク達は、不要なんかじゃ、無い。
 

 
 +
  +
 
 
 
 カナタ: そうだよね、ノエルちゃん♪
      私達、こんなに楽しいんだもん、どんなに辛くたって、もしかして虚しくったって、それは変わら
      ないんだよね♪
 
 クレハ: ってぇ、虚しくなんか無いわよ! 誰がなんと言おうと私達は任務を続けるわよ!
 
 ノエル: 不毛。
 
 クレハ: なんですってぇ!
 
 カナタ: で、でも、なんか、私、フィリシアさんが今回なんでこういうやり方したのか、なんとなくわかるよ。
 
 ノエル: フィリシアはボク達に、自分のしている事に覚悟を持たせたかったのだと思う。
 
 カナタ: うんうん♪ 楽しくなきゃ、意味無いってことだよね?、ノエルちゃん♪
 
 クレハ: いーや違う! 絶対あんた達違うものみてるから!
 
 ノエル: 違っても、いい。 違って、当然。
 
 カナタ: 私とっても楽しかったけど、クレハちゃんとノエルちゃんとは違う楽しみ方だったのかもしれないし、
      でも、同じ楽しみ方じゃ無くっても、三人がそれぞれ楽しいって思えたんなら、それでいいんじゃ
      ないかなぁって。
 
 カナタ: え? あれ? なんか同じものみてる?
 
 ノエル: 微妙に違う。 ボクは見方以前に同じものを見なくても楽しめたならそれでいい、カナタは、
      同じものを見ているのにも関わらず見方が違っても楽しめたならそれでいい、と言った。
 
 クレハ: わ、わかるような・・わからないような・・・うーん
 
 カナタ: クレハちゃんは、あの監視台に刻まれてた、先輩達の名前を、どう見て、どう感じた?
 
 クレハ: 私は・・・なんかちょっと気が引き締まったっていうか・・単純になに落書きしてんのよっていうか・・
 
 ノエル: 単純。
 
 カナタ: だ、だから単純って言ったでしょ! わ、わかってるわよ、隊長が言いたかったことくらい・・・
 
 ノエル: なに?
 
 カナタ: それはその・・・・上手く言えないけど・・・・・
 
 ノエル: 馬鹿。
 
 カナタ: きーっ! あんた今まで遠回しな言い方してたから許してたけど、そんな直接的な事言って、
      今日こそは許さないわよ!
 
 ノエル: 遠回しになんて言って無い。 遠回しにしかきこえないクレハが馬k
 
 カナタ: すとっぷ、すとっぷ! クレハちゃんはクレハちゃんでいいでしょう?、単純だっていいと思うよ。
 
 ノエル: ・・・おー
 
 クレハ: あ、あんたに言われたくないわよっっ! ってぇ、ノエル!、あんたいい加減にしなさいよ!!
      はぁ、アホらしい、疲れたわ。 ・・・・・・・・ぁー・・きくぅー・・・
 
 ノエル: 温泉は、最高。 好き。
 
 カナタ: ・・・・・・・・わっ・・びっくりしたぁ  (お湯に顔を突っ込みながら)
 
 クレハ: ・・・あんた、いきなり寝てんじゃないわよ
 

 
 クレハ: で、なんだっけ? すっかりぐだぐだになっちゃったけど、さっきの話の続き。
 
 ノエル: ・・・・・・。
 
 カナタ: ・・・・え?  (ヤマモモを頬張りながら)
 
 クレハ: ・・そろそろ私もツッコミ入れるのに疲れてきたんだけど、まぁいいわ。
      で、えーと、隊長が今回の任務を与えた意味はなにか、って話よ。
 
 カナタ: えっとぉ、フィリシアさんは、なんていうか、楽しくやればいいよーって・・・あー・・美味しい
 
 クレハ: (スルーして) ノエルはどうなのよ?
 
 ノエル: カナタの言ってる事は、本質。
      正確に言えば、自分が感じる世界の楽しさの実感が、自分達の存在理由になるということ。
 
 クレハ: 世界が終わろうと終わらなかろうと、関係無いってこと?
 
 カナタ: えー?、世界は終わらないよぉ、だってこんなに楽s
 
 クレハ: (遮って) じゃあべつに、隊長は私達にノーマンズランドの風景なんか見せなくたって良かった
      んじゃないの?
 
 ノエル: 見せた事に意味がある。 あの風景を見て揺らぐような楽しさなら、それはボク達が持つべき
      楽しみでは無いし、その類の楽しさこそ、終わる世界と心中を遂げてしまうもの。
 
 クレハ: うーん、じゃあ覚悟ってそういうこと? あの風景みたいな世界の終わりを見て、ええと、
      その終わりを見据えて、一日一日をしっかり噛み締めて生きるっていうか、生きることの
      大切さを学b
 
 ノエル: 全然違う。
 
 カナタ: ぜんぜん違うよぉ〜。
 
 クレハ: 全否定!? ってなんであんたまで突っ込んできてんのよ! じゃああんたはどう思うのよ?
 
 カナタ: うん、なんていうか、生きることの大切さなんて、もう私達よく知ってるっていうか、だって、
      もう今日はこんなに楽しかったでしょ?、それ以上のものなんて無いし、だから、ノーマンズラン
      ドが世界の終わりの姿とか、今いる私達の此処もいずれそうなっちゃうとか、そう思ってても、
      今こうして楽しいことは事実だし、それに・・・・今日は楽しかったけど、苦しかったし大変だった
      し・・・だから・・・逆に言うとね、どんなに苦しくても大変でも、たとえ世界が終わっても、それと
      これとは全然違うっていうか・・
 
 ノエル: そう、仮に今のこの世界が終わりかけている、もしくはもう終わっているのだとしても、ボク達が
      楽しんでいるのは事実。 これは誰のお陰でも世界のせいでも無い、ボク達自身の手柄。
 
 カナタ: でもノエルちゃん、この温泉は、私達の先輩が遺してくれたものだって、フィリシアさん言ってた
      よ?
 
 ノエル: それもそう。
 
 カナタ: だから、私達自身の手柄っていうか、私達みんなの手柄っていうか・・・やっぱり、どんなに
      苦しくても辛くても、その中で楽しんで、そしてその楽しめたことを遺そうって思ってくれた人達
      がいたから・・・・・
 
 ノエル: ・・・カナタ・・・・そういうこと・・・だったんだ・・・・・あの監視台も・・そういう意味が・・・
 
 クレハ: あんた達、なんの話してんのよ・・・さっぱりわからないわよ、さっきから
 
 カナタ: クレハ、ボク達人間は、旧時代よりも、それよりも遙か昔から生きている。
      つまり、旧時代はおろか、今の技術よりも劣るものしか無かった、そんな原始の時代があった。
      今よりもひどい状況で、今よりも生物がいない時代もあって、それでも、その時代の人達は、
      或いは今のボク達と同じで、世界の終わりを感じていたかもしれない・・・でも・・・こうして・・・
 
 カナタ: うん、その人達が、ずーっと、諦めたのに諦めずに生きてきて、あーんなにすごい機械を作った
      んだよね♪
 
 クレハ: でもさ、今ちょっと思ったけど、その原始の人達って、その時代よりも良い時代っていうのをさ、
      知らないんでしょ? でも今の私達は、私達よりも良い時代を知ってる。
      そして、いろんな人が色々な頑張り方でそれを取り戻そうとしても出来なかった、その結果と
      して、今のこの時代がある。
      ずーっと、右肩下がり、だからもう、終わることからは逃れられないから・・・
 
 ノエル: そのずっとという期間は、原始の人達が原始の時間を生きていた期間より、全然短い。
 
 カナタ: それに、私達にはかつて良い時代があったってことを知ってるって事は、それだけですごい事
      じゃない?、戻るべき目指すべき姿がわかるってことだし、明確な目標というか、憧れというか、
      そういう夢の形が、とっても良くみえて、とっても鮮やかにはっきりとみえるんじゃないかなぁ。
 
 クレハ: だから、もうそういうあるべき姿に戻れない、だから過去を振り返らずに、歴史に習って同じ事
      を繰り返さないように・・・・
 
 ノエル: クレハ。
 
 クレハ: な、なによ。
 

 
 ノエル: 生きろ。

 
 
 クレハ: はぁ?? いきなりなに言い出してんのよ、あんた。 のぼせちゃったの?
 
 カナタ: 同じことを繰り返さないってことは大事だけど、それが大事だって力んだり気負ったりしてるのは、
      なんだか違うなぁって気がするなぁ。
 
 クレハ: それ、私のこと言ってんの?
 
 カナタ: ち、違うよぉ、だってクレハちゃんあんなに楽しんでたし、今だって、ほら♪
 
 クレハ: はー、温泉気持ちいい〜・・・・・・ってぇ、ちゃーう!
 
 ノエル: つまり、世界の果てから世界の終わりを見て、今いる此処がどういう場所かをしっかりと胸に
      刻み込んでも、それは大切だけど、大切だからこそそれに囚われずにそっと胸の中の中心
      からずらして、その胸の中の、世界の中心の此処から、前を、前線を見つめていくことが、
      なによりも一番大事、ということ?
 
 クレハ: あ、あんたにしては随分詩的な事を言うわね・・・ほんとにどうしたのよ今日は
 
 カナタ: うん、そうだよね♪ でもさ、ノエルちゃん。 そういう風な、覚悟みたいなものを決めていても、
      たぶんそれすらにも囚われずに、ぽーんと投げ捨てちゃってもいいんじゃないかなぁ。
      フィリシアさんは私達のそういう生活の大切さを教えてくれたんじゃ無くて、そういう生活その
      ものをこうして教え続けてくれてるんだと思うんだ。
 
 クレハ: それは・・なんとなくわかるわ・・・私も・・あの風景見て、あの風景そのものからなにかを
      学ぶことなんて無いし、そんなものに教えられるほど、私は私を失ってないし。
 
 ノエル: さっきと言ってることが矛盾している。
 
 クレハ; う、うるさいわね、べつにいいでしょ、私はたんに隊長がどういうつもりであの風景をみせたかった
      かって事をさっきは言っただけで、今のは私の気持ちよ。
      た、隊長の思惑なんて私には、か、関係無いって言ってるのよ!
 
 カナタ; でもフィリシアさんは、そういうクレハちゃんのおもいそのものが、あの風景をみたことで、
      もっとはっきりしたのなら、それで意味があるというか、それがあの風景が私達に教えてくれた
      ことそのものだったんだって、そう思ってるんじゃないかなぁ?
 
 ノエル; おそらく、そう。
 
 クレハ: じゃあ、あんたはどうなのよ?、カナタ。 あんたはあの風景見て、なにを感じたのよ?
 
 カナタ: 歴史なんだなぁ、って。 さっきノエルちゃんが言ってたけど、原始の昔から、旧時代から、
      ずっと、ずーっと私達は生きてるんだなぁって。
      そのときそのときの苦しみや悲しみを感じながら、もう駄目だっておもうことにあらゆる根拠さえ
      くっつけて怯えながらも、それでも懸命に生きて、その中でも、ああ、こうして自分の生を
      背負いながらも、ちゃんと楽しいこと見つけて、楽しくなれるんだなぁ、そういう自分をしっかり
      全部受け止めて生きてるんだなぁ、人間って、やっぱりすごいなぁ、ってそう感じたよ?
 
 ノエル: あの風景を見て、怖くは無かった?
 
 カナタ: ううん、すっごく怖かった。 隣にクレハちゃんとノエルちゃんがいてくれても、楽しい気分がまだ
      消えてなくても、とっても、とーっても怖かった。
      これが・・・
 

 

 カナタ・ノエル:
 
  現実なんだって・・・
 

 

 クレハ: ・・・・な・・なにしんみりとハモってるのよ・・・・らしくないわよ・・
 
 カナタ: でもね、それと同じくらいにね、
 

 

 カナタ:
 
  これも、現実なんだって♪ (ヤマモモを美味しく頬張りながら)
 

 

 ノエル; 同感。 美味しい。
 
 クレハ; ちょっと、あんた達さっきからどんだけ食べてんのよっ! 私の分残しときなさいよぉ!
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 フィリシア: どう?
 
 リオ: まだまだ、だな。
 
 フィリシア: ・・うふふ、美味しいわ♪ (ヤマモモを摘みながら)
 
 リオ: なんだよ、まったく・・・・
 
 
 
 
 
 
                            『だが、苦労した甲斐はあったな。』
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 リオ: それにしても、なんでクレハは漢字じゃ無くてアルファベットで名前刻んだんだ?
 
 フィリシア: そうねぇ、今回最大の謎よねぇ、そういうお年頃なのかしら。
 
 リオ: だな。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
                              ◆ 『』内文章、アニメソ・ラ・ノ・ヲ・ト」より引用 ◆
 
 
 

 

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