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◆◆◆ -- 2010年3月のお話 -- ◆◆◆

 

-- 100330--                    

 

         

                                ■■ 空気替え模様 ■■

     
 
 
 
 
 ごきげんよう、紅い瞳です。
 
 もうそろそろ四月だというのに、花も冷えるような寒い日が続いておりますが、
 皆様如何お過ごしでしょうか?
 
 
 さて、私はと言いますと、ソラノヲトが最終回を迎えまして、
 ひとつ大きく区切りがついているところで御座います。
 区切りと、そして。
 始まりの、準備の完了。
 ソラノヲトは、以前にも書きましたように、まさに今年度を締めくくり、そして、
 今年を始めるに相応しい、実に素晴らしい作品になりました。
 私はもう、なんと申しますか、目どころか眉の辺りくらいまで見開かれてしまったような、
 まさにどどんと衝撃を受けて揺り動かされていくような心持ちで御座います。
 現在最終回の感想を一旦書き終え、そしてエピローグとして改めて最終回及びに
 ソラヲト自体を見つめ直すものを書いているところなのですけれど、なんともはや。
 なんともはや、気分が上々なので御座います。
 あ、そういえば、ソラヲトのサントラも、実は購入しておりました。
 発売日に即買いに行ってきておりました、残り一枚になっておりました、まさかまさか、
 ここまでソラヲトのサントラに人気があるとは思っておらず、あぶないところで御座いました、
 でもほんとにもっと人気があったなら、一枚たりとて残っていなかったであろうな、
 というのはこの際気にしない項目のうちに入れておきましょう。
 で、サントラを聴きながらこうして書いているのですけれど。
 
 胸が 熱く 熱く 締め付けられるよう
 
 アニメが、また一段階、私の中で深まっていくのを感じていました。
 ああ、生きるって、生きてるって、楽しいなぁ、あったかいなぁ。
 スペインのとある街をモデルにしたという、そのセーズの街の、煌びやかで落ち着いて、けれど、
 誰もがそこで楽しく生きている、その息吹こそをなにより感じられる音楽。
 幻想さなどどこにも無い、生活の瑞々しさそのものが、なによりロマンチックに醸し出されていく。
 ソラヲトの真髄は、まさにここに極まれり。
 ソラヲトはそこから始まり、そしてそこからまた始まっていく。
 その感触、いえ、この感触こそが、何度でも新しく、
 私をアニメの中に素晴らしい命の息吹を感じ取りに行かせてくれるので御座います。
 
 
 それでは、本日も始めさせて頂きましょう。
 本日のお品は、いよいよ始まる四月からの新番組についての、ちょっとした言及と、
 そして、続々と最終回を終えていく、今期の作品の各感想を始めさせて頂こうと思います。
 それでは。
 
 
 
 
 ◆
 
 ではまず。
 四月開始の新番組を抜き出して、ちょっと色々注目点や印象などを書いてみましょう。
 
 
 真・恋姫†無双〜乙女大乱〜
 前二作とも不安定ながらも最終的には存在感を獲得しているところからして、今作もほぼ間違い
 無くほどほどに色々挑戦して、ほどほどに引っかき回して、それなり以上のものをみせてくれるのでは
 ないかと期待出来てしまう感じがします、ってなんか一騎当千とコラボとか意味わかんないんですけどw
 三国志の武将を萌えキャラ化して、そのキャラが確立出来ているので、今度こそそろそろ本格的に
 三国の争いというか政略的な事にも、その萌えの手を伸ばしていって欲しいところ。
 あくまで恋姫らしく、徹頭徹尾臆することなくやりきってくれることを望んでおります。
 そういう意味では、この作品はまだやること一杯あるんですよね、っていうか下準備をして原作ゲームの
 宣伝みたいな感じで終わるかと思ってたら、なんか人気出て続編出て、宣伝だけじゃ終われなくなって
 きて、しゃあない、本気出すか、みたいなにノリになってよねw

 
 会長はメイド様!
 文武両道の完璧な会長は、実はメイドさんだった!
 ・・・要するにお堅い会長さんがメイドさんのバイトしてるのがバレるバレないの話みたいだけど、
 それの な に が 問 題 な の ? というツッコミを思わず入れてしまったのでチョイス。(ぉぃw)
 だって、生徒会長とメイドの二重生活がどうなる、ってどうもなりませんがなww
 男子八割で女子二割の元男子校の共学校に於ける女子の肩身の狭さ、そしてそれを打開するべく
 奮闘する会長さんが、その男にこびるようなメイドさんのバイトしてるのがバレるいうのはそれはやばいと
 いえばやばいんだけど、ならメイド以外のバイトすればいいじゃんとおもっても一応事情があるのだろうけ
 ど、それを超えて、なんだろうこの違和感は。
 メイド姿くらいサービスで魅せられるくらいに余裕持ちなさいよ会長さん!(ぉぃ)
 ていうかまぁ、テーマ的にはそういうことなんじゃないかなぁ、男に突っかかってるだけじゃ、それも一種の
 男の掌のうちみたいな、ツンデレですかみたいな、んで、秘密を知ったひとりの男とどうにかなるみたいな、
 まぁ形式としてはそうなっていくのだろうけど、逆に今、それからなにをどう描き出していくのか、それは
 注目ですね、たんにそういう物語の形式に萌えるだけじゃ、もう満足できぬよ!

 
 いちばんうしろの大魔王
 設定勝ちww根は善良で社会のためになることを志にしてる好青年が、やること悉くが勘違いと
 誤解の連続により魔王的になってしまうとかww大爆笑wwwこれは期待できすぎるww
 しかも当人は弁論の才能があるにも関わらず、その才能がある事自体もまた周囲に警戒させる
 対象ってwww逃げ場無いやんwww
 これはもう周囲との絡みが命というか、どんだけ主人公の行動が裏目に出続けて、それを周囲が
 どこまでそれを悪解釈出来るか、これはひとつギャグモノとしてまずは突き抜けてみて欲しいですね。
 その上で、そういうどうしようもない現実の中で、主人公はその己の魔王としての在り方と共に、どう
 己の志と向き合っていくかとか、そういうものも描き出していくとなかなか面白そうですね。
 個人的にはいわずもがな、学園一のマドンナで生徒や教職員からも信頼厚いけど裏ではがっつり
 学園を支配しようとしてる悪女な江藤不二子というキャラに注目。主人公と絡むとどうなるのか、
 どうズッコケさせてくれるのか、今から楽しみな♪

 
 Angel Beats!
 最初ストーリー&テーマを読んだとき、?、って思った。
 なんだろ、書いてあること自体にはすごく興味があるんだけど、なんだか、その書いてあることを、
 そのまま映像にしてしまいそうな予感というか、そういうのがあって、最初はチョイスしなかったんだよね。
 設定だけを消化していくだけのような、そしてその中でおきまりの台詞をそのまま言わせるだけというか、
 なんというか、「文字」なような。
 そこそこ長年アニメみてると、そういうのなんとなくわかるんですよねぇ。
 ・・・・・。
 という風に、ふつうにあっさりと呟いている私をぶん殴りに私はやってきました!(ぇぇww)
 正直、設定的に色々凝っていそうなこの作品は確かにそれに囚われてそれで終わってしまいそうだけど、
 でも、それはイコール視聴者もそれに囚われる、とはならないはずで、なのに囚われて駄目そうなこれ、
 とか言ってる私を私はぶん殴りにやってきました!(二回目w)
 この作品をどう観ていくか、作品の中で描かれる「文字」に囚われずまたそれのせいにせず、どうやって
 自分なりのテーマをみつけ、そして自分なりに感じて考えていけるか。
 この作品はオリジナル作品らしーじゃないですか、ならなおさらですよ、この作品に「色」をつけるのは、
 他ならない、私達視聴者自身なのですよ♪
 そうですねぇ、敢えていえば、キャラとキャラの、その間の空間に潜むなにか、それを見つめると、なにか
 みえてくるかもしれませんね。 (意味不明)

 
 薄桜鬼
 ぶっちゃけ、これで四月から感想書いてみたいんですけど。 (ぉ)
 なんかトップの土方さんにぐっときちゃって、なんかこう、薄刃がすっと水の中からもたげられてくるような、
 守りたいものとか鬼とか桜とか刀とか、あーなんか、今一番私がキてるものなんですよねぇ、だけど
 生きてるみたいな、生きてるからこそ鬼というか刀というか、なんかこう、悲哀とか苦しみとか絶望とか、
 そういうんじゃない、なんていうのかな、静かに戦う者の色気みたいなね、そういうのがこう、宵闇の中の
 、薄明かりのその向こうにみえる濃い影の、その中で乱れるしだれ桜みたいなね、なんだこのたとえは、
 なんかこう、ぞくっとするよりも遙か手前でね、すっと、こっちこそが完全に凍っている自分を感じてしまう
 ようなね、吸い付くような身を刻むような、その冷酷な熱度を感じたいというかね、なんかカッコイイとい
 うか、なんだろ、惚れ惚れしちゃうよりも、そっと同情してしまうよりも、なんかこう、そういうのが憚られる、
 んや、絶対に出来無い、孤独ささえ感じない、そういうなにか屹立した青白い光みたいな、そういうの
 をこう、ね、感じながら月明かりのしたでぞっくりと書いてみたいなぁ、っていうか。
 ・・・・ほんと、感度上がってくると私はなに言うかほんとにわからんね。 (溜息w)
 絶大な人気を集める作品らしーし、私もそのみなさんの気持ちにちょっと片足突っ込ませて頂いて、
 ちょっとだけなんだからね、ほんとちょっとよ!、とか言いながらずぶずぶと泥沼にはまっていく、そんな
 四月以降の私の姿がもしあるようでしたなら、そのときは是非、このようにお声がけくださいませ。
 まぁ、落ち着け、と。 (ほんとな)

 
 WORKING!!
 ふつうに、適当に、まぁ、遊んでくれてたら、それみてほっと息をつけたら。
 他にはもう、なにもいりません。 (微笑w)
 ていうかキャラ紹介のフツーにいい加減な感じが気に入りました!!
 なんだろ、あんまし語ることないっていうか、期待しなくても観られそうというか、あんましこれを受け付け
 ないという自分を予想出来無いので、まぁ観ますよ、観るでしょうとも。
 まぁ敢えて期待するとしたら、キャラ個別の話にしないで、常に全員を絡ませるというか、そういうお祭り
 な楽しさをのんびりこんとやって頂けると、ひだまり的なはなまるちっくな後継感が得られて、私としまして
 は少々嬉しいかもしれません。
 べつに、物腰の柔らかいドSとかに超反応してたりとかしてません、しません、するかよ!
 
 

 
 荒川アンダー ザ ブリッジ
 えーと、勝ち組エリート青年と、自称金星人ホームレス少女の不器用な恋を河川敷あたりで
 他の電波系な人達とのコメディと一緒にちゃんぽんしたらどうなるか(意訳)、ですか?
 ・・・・・・・これはちょっと、美味しそうじゃないですか(ぉ)
 ていうか他の電波な人達が、村長(カッパの着ぐるみ)、星(星)、シスター(♂)とかもうね。
 頑 張 っ て く だ さ い 。 (あくまで褒め言葉)
 もう思うさまに滅茶苦茶やってください、どこまでもアホをやってください、とっても期待しております。

 
 閃光のナイトレイド
 正直、未だにアニメノチカラ第二弾だから、という理由で見ようとしてる私の根強さをなんとかしたい。
 こういう、リアル系なシリアス系なアクションモノって、下手するといわゆる「大人の鑑賞に耐え得る」とか
 「考えさせられるアニメ」とかそういう色々駄目な系統に走りやすい傾向があるので、だから逆にアニメ
 ノチカラに期待した分だけがっかりするのが怖い・・かといって、じゃあ、今更ノワール系の耽美的な感じ
 に突き抜けられてもなぁ、いうか・・・
 要するに、私がこの作品になにを求めているのかわからないくせに、なにかを求めていることだけは
 確かなのが曲者なわけで。
 けど逆に、今挙げたリアル系シリアス系アクションモノによくある、俺って現実の厳しさ知ってるぜぃお前
 らにそれ教えてやるぜみたいなくだらないお説教モノと、単純にそういうの全部捨ててただただひたすら
 現実を生きる悲哀と絶望の感触を描き出す系の、つまりそのふたつの系統では無い、なにか全く
 新しいものを、今までこのふたつに大別されるしか無かったこのジャンルの作品にもたらして欲しい、
 それこそアニメノチカラでしょ、と、あ、すとんと私の中に今、綺麗に落ち着きました。(ぇw)
 まぁソラヲトと比べて、コンセプトはわかりやすいけどテーマが見つけにくい感じがするんですよね、個人的
 にはソラヲトと同じ感じに攻めて欲しいことなきにしもあらずですけど、でも全くべつの攻め方やり方で、
 アニメの可能性を広げていってくれる方が嬉しいので、うん、これはちょっと期待させて頂きます。
 場合によっては、感想書くかもしれませんし、書かないかもしれません。 (微笑)

 
 迷い猫オーバーラン!
 そうそう、こういう可愛さを待っていたのよ。(ぉ)
 子猫みたいな可愛さ、これですね、萌えっていうか、萌え萌えですね☆
 ・・・まぁたんにトップ絵にやられたってだけの話で、中身はそうじゃないのかもしれませんけどね、
 全然猫っぽくないのかもしれませんけどね、これは久しぶりに私の萌えセンサーがぴぴんと・・・
 ・・・・折れちゃえよ、そんなアンテナ。 (まぁまぁ)
 うんまぁ、興奮気味な私は一発引っぱたいて大人しくさせといて、ええまぁ、確かに可愛いは正義と
 いうか、なんだろ、キャラデザとして可愛いいうのはよくあるんですけど、この作品をみつけたとき、
 なんかこう、デザインとしてだけの可愛さじゃ無くて、これがこうちょこまかと動いて話して、そうしたやりとり
 が可愛いような、見てて楽しいような、そういう感じを受けたんですよね。
 可愛いけど、これは好きな可愛さかな、だからもうそれで勝ちというか(ぇぇ)、ヘンにシリアスな話とか
 されても私は困るといいますか(ぇぇぇ)、逆に可愛いだけじゃないんだからねっ、みたいなそんなツンデレ
 なシリアスいらないいうか、あんたはあんたでもう存在自体が可愛いのよ!、なでなで、みたいな、
 そんなもう、ね・・・・・・・・
 前略 お父さんお母さん
 私もこうして、自分の趣味を全開で話せるようになりました。
 でもキャラ個別について喧々囂々とこのコが最高とかまでは言わない、言えない、そんな分別も
 持ち合わせるようになりました。
 私は、(この作品が四月から観られるなんて)幸せです。

 
 RAINBOW 二舎六房の七人
 小栗旬。
 や、役者ではさりげに一番好きいうか、それが声優挑戦とか、それが一体どんなものになるのか、
 実はすごくどきどきと楽しみにしてる作品。
 や、私はアニメ作品はプロの声優じゃ無きゃいけないその理由が、てか小栗旬?どうせ商業目的だろ、
 というだけなら全く反対ですし、それ以上にプロの声優にしかアニメの「ちゃんとした」演技は出来無い
 いう発想が、もうアニメの枠組みを狭めてるいうか、「プロの声優のモノ」になっちゃってて、声優が作品
 に大きな影響を与えるのは確かですけど、でもその声優は決して主じゃないですからね、というか、
 そもそも「演技」ってなによ、って話なんですよね、何人かの監督がプロの声優に限界を感じてるという
 ことも言ってますし、さもありなん、ですよね。 まぁ同時にプロにしか出せないものもある訳ですが。
 うん、いったい、小栗旬という声優が、どんな影響を作品に与え、そしてどんな「効果」が出るのか、
 それを純粋に見極め、そして味わってみるのが、一番本質的なことだと思います。
 「下手」というのは、それはプロの声優の「演じ方」を基準にしてるだけのものですから、あまり意味は
 無いと思いますし、棒読みだとしても、それが棒読みだからどうこうじゃ無く、その棒読みが作品的に
 はどうなのか、ということが、最重要でしょうしね。
 って、作品とはあまり関係の無いことを喋ってしまいました、ごめんねw

 
 けいおん!!
 ええまぁ、私としてはなにも心配してませんにょ?
 まぁ普通に、けいおんやったらいいんじゃないのかな?
 まぁ、そろそろ音を楽しむことの内に、音を磨く楽しみも出てきたら、さらに面白くなるんじゃないかな。
 一期では音を楽しむ自由さとのんきさとハッピーさがよーく出てて、それ自体に打ち込む熱さもすっごく
 感じられたから、だからこの二期ではどどんと大きく音楽モノとして打ち出していってみても、私は全然
 心配してないにょ?
 ・・・・や、だって私唯ちゃん派ですし、なんかあの子が自由さとのんきさとハッピーさを忘れることなんて
 絶対無いですし、それを充分感じて頑張れてる澪ちゃんなんかがさらに頑張れば、もうなんか、
 ハッピーな上手さが音楽になって生まれてきそうでさ・・・なに言ってんのかわかんないですけどさ・・(ぉぃ)
 ・・・・どっちかっていうと、ほんとにガチで心配してないんですけどね、なんかもう一人前っていうか、
 だからちゃんとやっていけるのかなあの子達、というより、むしろなんかこれからどんな親孝行してくれるの
 か楽しみで、捕らぬ狸の皮算用ばりに勝手に海外旅行の計画とか立てて浮かれてたりとか、いつその
 旅行計画表を渡してお願いね☆っていうか、その機会を窺っているというか、なんかもう。
 大人しく、待っとけ。 (はい)

 
 裏切りは僕の名前を知っている
 べ、べつにタイトルに惹かれたってわけじゃないんだからねっ!
 ち、ちがうわよ、裏切りがどうこうとか、そんなんじゃないんだからっ!!
 ・・・・。
 えー・・まぁ、突っ込む気も起きないので、先にいきます、自分で言っといてなんですけど。
 先、行きます。 (はい)
 相関図の真ん中(?)が男じゃなく女だったら、これヴァンパイア騎士な感じだし、主従関係いうたら
 パンドラハーツだし、んで、どっちの作品も面白かったからチョイス。
 というか、それを基本にして、さらにその上でこの作品のなんか中二的な凝ってる設定が、お、って
 思ったから、という感じかな。
 どっちかというと、その設定がどう動くのか、という設定自体への興味の割合が大きいかも。
 んで、パートナーがどうとか、LOVELESS的にもなりそだし、割と結構興味津々。
 耽美的な感触もその辺りで上手く煌めかせていってくれると、これはなかなか味のありそな作品に
 なるかもしれません。
 ・・・でもなんか、キャラデザ的にあんまし色気あるのもカッコいいのも可愛いキャラも見当たらない
 っていうかなんかみんな似てない?(ちょw)
 これも場合によっては、感想書くことになるかもしれませんし、(以下略)。

 
 さらい屋五葉
 原作は、リストランテ・パラデイーゾのオノナツメ。
 正直、リスパラ繋がりでチョイスしたのは否めないのだけど、でも同時に、時代モノが観てみたかった、
 っていうのも大きいですね。
 リスパラのあの枯れてるようなそうでないような、その感じがどう出るのか、なんか公式サイト見ると、
 枯れてるいうよりすっごい淡泊な絵面みたいですけどw、それが、さらい屋という紛れも無い誘拐集団
 が刻んでいく物語の中で、どう色がついてどういう熱度になっていくのか、むしろその白紙な感じの
 スタート感が、ほう、という感じを抱かせてくれたので、やっぱりチョイス。
 
 
 
 という感じです。
 こうして書き出してみると、なかなか四月からは楽しいアニメライフを過ごせそうな予感がしております。
 割と期待しております。
 それで、感想ですけれど、今のところはまず、書く、という前提で始めていってみようとは思っています。
 薄桜鬼辺りにまずトライして、それがどうしても駄目なら他の作品で、という感じで。
 
 
 
 さて、長くなってしまいましたけれど、ラストひとつ。
 今期アニメの各作品の感想です。
 何回かに分けて、すべての作品に言及していってみたいと思います。
 本当はここで今期最後まで視聴した作品のリストを記しておきたいところですが、
 まだ最終回を終えていない作品、及びデュラララやハガレンのようにもしかしたら今期で放送が終了
 しない可能性のある作品もありますので、それはいずれすべて確定したのちに掲載したいと思います。
 ということで、基本的に感想は最終回を終えた順に書いていきます。
 ソラノヲトに関しては、まだ連続感想の方も終わっていないので、後に回させて頂きます。
 
 では、今回は長くなってしまいましたので、「とある科学の電磁砲」のみ感想を書かせて頂きましょう。
 
 
 
 とある科学の電磁砲:
 面白く、無くはない。
 面白いんだけど、面白いだけで。
 ええと、この作品はなにがやりたかったのかな、とひとつ問えば、色々とやりたいことがあって、だけど、
 それを全部個別に特化させる前に、全部ひっくるめて、そしてそれを全部全力な「遊び」に使った、
 みたいな、そんな感じがする。
 なんか結局題材とかテーマとか、んなもんどうでもいいしなんでも良かったけど、でも取り敢えず
 かき集めて寄せ集めて豪快にぐるぐるかき回したら、なんか気持ちいいものが出来そうだったんで、
 今は反省している、みたいな。
 ・・・。
 正直、どう語っていいのかわからない、というのが正直なところ、ほんと正直に。
 色々とよそ様では分析されてるけど、まぁ大体私もそういうのは同意なんだけど、ええっと、この作品って、
 ほんとそれだけで終わりっていうか、なんていうか、ジェットコースターのクオリティを色々と数字的に
 説明してみせて、まぁ、そんだけいうか、いやこれどんなスペックだろとジェットコースターはジェットコース
 ターだもの、そのジェットコースターに乗りながら、わーわーきゃーきゃー言いながら、なんかテーマ的な
 ものを読み上げてる感じで、なんかこう、乗り切れないんだけど、ジェットコースター自体にはがっちり
 乗り込んでて。
 べつにノリで強引にねじ伏せた、って感じはしないのよね、この作品は、この作品はこれでいいっていう
 か、こういう楽しみというかエンタメというか、けど、けどさぁ。
 なんか、納得いかない。
 「とある魔術」との兼ね合いがどうこうとか、だからヒロインの成長には限度があるとか、スピンオフだから
 どうこうとか、それはどうなのよいうかね。
 確かに構造的にそう分析出来るけど、でもそれだけで納得できるものなの?いち視聴者として。
 んー、個人的にはさ、これまた確かにこういうテーマとかそういうのも全部豪勢にぶっ込んでジェットコー
 スター的な「愉しみ」に変換するというアニメ作品自体の存在は、アニメの幅を広げるものとしてアリ
 なのだけどさ・・・・・でもこの作品の中で描こうとしていたモノが、それじゃ収まりつかないっつーか・・
 しかもよく考えると、この作品のテーマ自体が、いまいちよくわからない。(ぇー)
 それがなんだか・・・
 
 ちょっと 悔しい
 
 なんていうか、理想論的なものを、愛と勇気と友情で乗り切りました、正義は勝つ、みたいな、
 まぁ形はどうあれそういう結論に達する作品て、それだけで距離を置かれがちな傾向があるけど、
 この作品はそこを逆手にとってさ、なんていうか、そういう結論を、如何に距離を置かれないようにするか、
 という観点で、それで、色々と豪快なエンタメ的なものを持ち込んで、ひとつの愉しみにしちゃってて・・・
 それが、なんか悔しい。
 論理的じゃ無い。
 卑怯。
 結局、この作品が受け入れられるのは、その理想論的中身では無くて、それを覆うエンタメ的な部分
 であってさ、そのエンタメ的部分が、方便としての「おまけ」の範囲を超えてる気がするんだよね。
 サービスならいくらでもしていいけど、それが本気っていうのは、ちょっと、ねぇ・・・
 だってこの作品、非常に単純な勧善懲悪モノになっちゃってんじゃん、基本的に。
 なんていうか、御坂達の言ってる事自体は正しいけど、そういう正しいことが言いたくても言えない人
 への理解と、そして逆になぜ自分達がそういう事が言えるのかという洞察が、基本これ、無いのよ。
 だからこれ、この作品の楽しさ面白さは愉しまれても、御坂達の理想というか思想自体の言葉は、
 全く軽んじられて顧みられないじゃないかなぁ。
 御坂達の手前勝手な「人間像」をよく描いているといえばそうだけど、でもその事に便乗して、御坂達
 が言っていることそれ自体が貶められていく感じがして、なんか。
 なんか、悔しい。
 基本的に、御坂を中心とするコミュニティの範囲が、繋がりの範囲が、狭い。
 うん、御坂お姉様と黒子変態のイチャラブな雰囲気を愉しむには良い作品だけれど、でも逆に、
 御坂達が、それこそ自分達とは形式の違う、しかし根底にある想いは同じ人達との連帯の可能性が
 それによってすっぱりと断たれてる気がして。
 木山せんせいを回収したくらいじゃ、全然足りないよ、だって木山せんせいは。
 
 善人じゃん。
 
 悪人をも回収して繋がっていく、そうじゃなきゃ、この作品の含有するテーマは日の目を見ないよ。
 
 まぁ確かに、そういう意味で確かに御坂お姉様の豪快だけど潔癖な感じに惚れ惚れするのもまた、
 全く逆の事実として個人的にはあるんですけどねww
 
 
 
 
 
 
 という感じで、今回はここまで。
 残りはまた次回以降にて書かせて頂きましょう。
 それでは。
 
 
 
 
 
 
 
 
 

 

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                                 ■■ 空 の 音 2 ■■

     
 
 
 
 
 
 
 
 
 『 炎の乙女は命を守る・・・・後はお任せします・・カナタさん』
 
 
 

〜ソ・ラ・ノ・ヲ・ト ・最終話・ユミナの言葉より〜

 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

 
 
 
 

 
 
 
 
 
 

静かなくらいに

 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

大きい

 
 
 
 
 

 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 なんだろう。
 なんだかすごく、ずっと色々、わからなかった気がして。
 みんなひとつの遠景で、遠くて、なんだかちょっと、絵に描けてしまいそうな。
 電話。
 向こうから声がする。
 ローマの大軍がやってきた!
 なんだろう、この感じ。
 怖いのかな? たいへんなのかな?
 たいへんだぁっ、ってちょっと小さく驚いてみて、そしたら一瞬、周りの空気が冷たくなって。
 あれ?
 みんな、厳しい目をしてる。
 厳しく怒ったり、笑ったり。
 なんだろう。
 クレハちゃんが、あんなに落ち着きが無いのは、初めてじゃないかな?
 フィリシアさんが、あんなに怒ってるのも、やっぱり初めてじゃないかな?
 ノエルちゃんが、あんなに泣いてるのも、うん、初めてだよ。
 不思議。
 色々、びっくり。
 よくわからなくて。
 でも、空気が奮えてて。
 フィリシアさんをじっと見つめる、そのクレハちゃんの顔が、迷ってるのがみえて。
 クレハちゃんはとっても優しくて、だから、ほっとけなくて。
 どうしたらほんとに、みんなをほっとかなくて済むことになるのかって、きっと一生懸命に考えてる。
 でもきっと、それ以上に、不安なんだよね。
 フィリシアさんはあんなに怖い顔してるのに、目が・・・・震えてた・・
 だから自分が頑張らなきゃいけないのに、って、クレハちゃんは思っているのかな。
 緊張、してる、クレハちゃん。
 
 ちょん
 
 触っただけで、クレハちゃんは、あんなに大袈裟に驚いて。
 
 いつも通りで、いいんだよ。
 だって私、嬉しいもん。
 
 
 
 
    みんなで   誰かを守れるって
 
 
 
 
 

 『炎の乙女は、命を守る。』

 
 
 
 
 なんかね、クレハちゃん。
 私、ずっと、おかしいな、って思ってたの。
 炎の乙女達って、なんだか、とっても悲しいな、って。
 その悲しみを、ただ悲しいと思ってるだけで、ほんとにいいのかな、って。
 悲しい思い。
 炎の乙女達は、その悲しい思いこそを、守りたかったのかな?
 クレハちゃん。
 クレハちゃんは、とっても優しいよ。
 そして、優しくて、とっても優しくて、どこまでも底が知れないほどに優しくて、だから、どうしたらいいのか、
 すぐにわからなくなっちゃって。
 気付いたら、優しさをどうやって守ったらいいのか、どうやったら本当に優しく出来ているといえるのか、って
 そういう事に囚われちゃう。
 クレハちゃんは、ほんとにすごいよね!
 全然それでも諦めなくて、それでずっと頑張り続けてて。
 私ね、クレハちゃんには怒られちゃうかもしれないけど、私はクレハちゃんのしてくれること言ってくれる
 事なら、なんだって、優しく感じられるよ。
 だって、どんな言葉も行為も、それは全部、クレハちゃんの優しさから発せられてる事なんだもん。
 うん・・・わかるよ・・・クレハちゃんのいうことも
 そうやって、私達のために頑張ってくれるクレハちゃんが、私は大好きだよ♪
 
 だから
 
   私も やらなくちゃって
 
 
 
 砦の乙女達。
 悲しくて、悲しくて、なんだか、優しい気持ちって、悲しいだけなのかなって。
 なんだろ、みんな、ひとりで、守っちゃう。
 不思議。
 フィリシアさんが怒ってて、ノエルちゃんが泣いてて、クレハちゃんが緊張してて。
 なんだか、それが全然、普通だなぁ、って。
 上手く言えないけど、なんだかみんな、頑張ってるだけじゃいけない、ってことがよくわかってて、
 それで、なによりもね、頑張ってるだけの自分と、向き合ってて。
 頑張り方、って、あるよね?、やっぱり。
 私ね、クレハちゃん。
 私達の中で、一番上手く頑張れてるのが、リオ先輩だったんだなぁって、おもうの。
 先輩は自分のこと不器用だって言ってたけど、私にはそれなのにあんなに色々出来て、しっかりしてて、
 トランペットがあんなに上手くて、そして皇女殿下として飛び立っていって。
 たぶんほんとに、先輩は不器用だったのかもしれないけど。
 でも、そこまで出来るようになったんだ。
 すごいよね!
 だから私は、リオ先輩を、とっても、とっても、信じてる。
 だって、リオ先輩は特別な人でもなんでも無い、私達のよく知ってる先輩なんだもん!
 そしてね、フィリシアさんも、ノエルちゃんも、きっとそうして、誰かを、なにかを信じてる。
 みんな、ちゃんと出来無い、不器用で、ままならない、そんな自分の中にね、きっと、器用に確かに
 結果に結びつく努力が出来る、そんな自分の姿を思い描いてて。
 それを信じて、頑張ってるんだよ。
 音。
 クレハちゃんの音。
 フィリシアさんの音。
 ノエルちゃんの音。
 そして、リオ先輩の、音。
 私ね、クレハちゃん。
 
 
 
  音が、救ってくれることなんて。
 
 
   音が、戦争を止めるなんて、思ったこと無いよ。
 
 
 
 
 
 
 救うのは
 
 戦争を止めるのは
 
 
 
   その音をきいた
 
 
        私達自身なんだ、って
 
 
 
 
 
 

そのために

 
 
 
 
 

空の音は

 
 
 
 

あんなに真っ青に輝いてるって 思うの

 
 
 
 
 
 ほら、アーイシャちゃんが、自分の優しさのまま、自分の囚われていた紋章を脱ぎ捨てたよ。
 だって、ノエルちゃんが、ノエルちゃんがあんなに苦しんで、あんなに泣いて、そして、あんなに笑顔で、
 アーイシャちゃんの手を握って。
 アーイシャちゃんの目の前に、そのノエルちゃんが、今、ほんとにいて。
 そのノエルちゃんは、見えない死神を作って、沢山のローマの人達を殺した、そんなお化け。
 そのお化けを背負った、そのノエルちゃんが、アーイシャちゃんの前にいて。
 アーイシャちゃんは、殺戮者のノエルちゃんを許すことなんて、絶対に無いし、怨みだって捨てて無い。
 でもね。
 私は、わかったんだ。
 確かに。
 アーイシャちゃんの目に宿る、その紅く揺れる怨みの炎こそが、死神の紋章を背負ったノエルちゃんを
 赦したって。
 だって・・
 だって・・・・
 アーイシャちゃんが、ノエルちゃんに優しくしたいって、そういう気持ちになれる自分を、
 絶対に捨てなかったんだもん!
 アーイシャちゃんがノエルちゃんへの怨みを捨てないのは、アーイシャちゃんが、殺戮を、人を殺すことを、
 そしてなにより、人を敵としてだけ見て、そして、人への優しさが消されてしまうことを、絶対に許したく
 ないからなんだよ。
 殺戮への怨み、うん、戦争への、怒りだよ。
 アーイシャちゃんは、人が、人間が、ノエルちゃんが大好きだから!
 だから、死神を、殺戮を、戦争を怨むんだよ!
 ノエルちゃんを赦すから!
 戦争を、許さないんだよ!
 もう、戦争なんか、嫌だよ。
 
  怨むべきは、憎むべきは、戦争だよ。
 
 
 
 アーイシャちゃんの怒りは、戦争そのものへと、向かったんだ。
 私には、戦争で親しい人が死んだこと、無いんだ。
 私の住んでた村は、おじいちゃんとおばあちゃんばっかりで、うん、確かにそのおじいちゃんおばあちゃん
 達の知り合いの中には戦争で死んだ人も沢山いるけど・・
 私自身は、直接、その人達のこと、知らない。
 私は、戦争を、知らないの。
 だから、アーイシャちゃんの怒りが、私には、ほんとのところはわからない。
 うん。
 私は実戦経験も無いし、今までずっと幸せで、悲しいことも苦しいことも、たぶん、クレハちゃんや
 ノエルちゃん達と比べて、ずっと、少なかったし、とっても恵まれてた。
 だから私は、憎しみも怨みもね、ほんとはよくわからない。
 でもね。
 でもね、クレハちゃん。
 私には・・・
 
 
 幸せな、大切な、あったかくて、柔らかくて、泣きたくなるほど嬉しくて楽しい。
 
 そんな毎日が、世界が、あったの。
 
 
 私は、そのすっごい生活を、守りたいの。
 
 大好きだから!
 
 
 怒りや憎しみや怨みだけじゃ、やっぱり戦争は無くならないよ。
 アーイシャちゃんは、ノエルちゃんのことが好きになれて、優しい気持ちの大切さを知ってるから、
 だから、戦争への憎しみに染まることだって出来るんだよ。
 優しさの嬉しさを、あったかさを、楽しさを知らなくちゃ、やっぱり嘘だもん。
 だから私のこの想いは、アーイシャちゃん達の怒りと、ひとつになって、力を合わせることが出来る。
 私にはそれに、しっかり叱ってくれるクレハちゃんがいるんだもん。
 私は怨みとか怒りとかよくわからない、けどクレハちゃんがそれをちゃんと教えてくれるんだもん、
 私はもう、とっても、嬉しくて、なんだか・・・・どこまでもいける気がするよ
 
 
 
 炎の乙女。
 ずっと、私の中で、引っ掛かってた。
 なんでだろう、ほんとうに、私には炎の乙女達が、みんなバラバラにしかみえなくて。
 みんな、ひとりずつ、優しや、怨みに、ばらばらに染まるだけで・・・・
 一緒に、みんなで、力を合わせてる感じが・・・しなくて・・・・
 悲しくて・・・・悲しくて・・・・・・堪らなくて・・・・・
 どうして、その悲しみに尽くした乙女の事に、涙を捧げて感謝することしか、私達には出来無いんだろ。
 どうして・・・乙女達を、助けられなかったんだろ・・・・
 ううん・・・乙女達と・・一緒に戦えなかったんだろ・・
 
 
 
 私達は  一体   なにがしたいんだろう
 
 
 
 炎の乙女の伝説。
 街で暴れる悪魔に攫われた砦の乙女達。
 乙女達はなんとか悪魔の首を切り落として脱出するも、悪魔の首は炎を吹き上げる。
 このままでは街も燃えてしまう、だから燃えさかる首を乙女達は抱き締め、街の人達は乙女に水を
 かけ続けた。
 なにか、おかしいよね。
 悪魔って、なんだったんだろ。
 悪魔だって、生きてるのに。
 迫害されて、受け入れられなくて、だから怒り狂って、暴れ回って。
 それなら、首を切り落とされたって、死ぬ訳にはいかないよね。
 悔しいよね、悲しいよね。
 乙女達もまた、その悪魔の怨嗟に染まって、悪魔を倒した英雄として、処刑されちゃった。
 乙女についた憎しみの炎ごと、水に流して消してしまえって。
 街の人達は・・・それを悲劇物語として語り継いで・・・それで・・・・・
 それで・・・いいの・・・?
 おかしいよ・・
 そんなんじゃ・・・・・悪魔の紅い怨みは晴れないよ・・・
 悪魔だって、生きてるのに。
 炎にまかれたって、乙女達は生きてるのに。
 
 
      命  なのに
 
 
 
 
 ローマでは、炎の乙女の伝説は、こう語られていた。
 罪にまみれた人間達を滅ぼすために舞い降りた天使が、傷ついて砦の乙女達に匿われて。
 傷つき紅い血を流す天使を抱き締める乙女達。
 それを知った人々が火を放ち、乙女達は炎にまかれ、天使は息絶える。
 そして遂に天の軍勢が訪れ人々を滅ぼそうとしたそのとき。
 乙女達が助けた天使に貰った金の角笛を吹き鳴らし、天の軍勢は退き、人々は助かった。
 
 『うん、なんか納得出来たんだ。』
 
 
  私は
 
     この世界が好き
 
        生きてることが
 
                    命が
 
         みんなが 大好き
 
 
          だから、世界を終わらせたくない
 
 
               世界を終わらせるのは
 
 
                 世界を
 
 
                   命を好きだっていう
 
 
                      その自分の想いのままに
 
 
                       戦えない
 
 
 

私達自身だから

 
 
 
 天使だって、生きてる。
 私達だって、生きてる。
 天の軍勢が、私達を滅ぼそうとしたのは。
 私達が、生きるということを、命を、守ろうとしなかったから。
 天使を、命を守った砦の乙女達が、だから、みんなの、人間の命を守ることになるのは当然だよ。
 天の軍勢が、人間を滅ぼす理由が、無くなっちゃったんだから。
 音。
 音がきこえる。
 命の音が、紅い怒りと怨みと憎しみに染まりながら。
 あんなに真っ青に、響いてる。
 
 ううん
 
 
 
 
 −

 
   音
   小さな音
 
 街のせせらぎ
   暖炉の炎が ぱちぱちと揺らぐ音
 
 晴れると どこまでも手が届かなくなるような 真っ青なセーズの街の空
 
 綺麗
 
 ガラス細工が とんとん って 転がりながら広がってく
      ノエルちゃんが楽しそうに タケミカズチとお話してる
      クレハちゃんが 顔を真っ赤にして フィリシアさんに抗議してる
 今日だって ほら
             私達のために頑張ってくれてる クレハちゃんが 懸命に 泣いてる
 音
 音
 
 涙が零れる 音
 
  雨の日は 燦々と 空気が湿って あったかい
 びっちょり濡れて お風呂に入ったら 爽やかに肌が 音を奏でてく
 いこう って ノエルちゃんが言ってるよ
 いこうよ クレハちゃん
 
 私達と一緒に
 
 みんなで  命を守ろうよ

 
 −
 
 
 『行くわよ、私のあなた達!』
 
 
 +
 
 フィリシア隊長の音。
 すっきり。
 みんながひとつになって、ひとりひとり、自分の役割を頑張って。
 ひとりじゃどうにもならない、だけど、ひとりで全部なんて、出来っこ無い。
 私のあなた達、かぁ。
 うん、そうだよね、私のみんな、じゃあ無いんだよね、もう。
 ひとりひとり、みんなお互いに、自分を感じてる。
 フィリシアさんは隊長だけど、隊長は隊長っていうひとつの役割にしか過ぎないんだよねぇ。
 全部自分で背負い込んで、全責任を負う必要なんて、どこにも無い。
 私達だって、そう。
 私は、第1121小隊の、ラッパ手。
 ラッパ手だけで、戦争を終わらせられるわけなんて、無い。
 ラッパを吹いただけで、終わるわけない。
 いっぱい、いっぱい、必要なこと、あるもん。
 でも、じゃあ、ラッパ手が、その必要なこと全部、やればいいの?
 ひとりで?
 たぶん
 それが
 その言葉が
 
 
   戦争を 終わらせないんだよ
 
 
 自分は、第1121小隊所属、ラッパ手の空見彼方二等兵であります!
 私は、ラッパ手として、戦争を終わらせるための仕事をします。
 だから、吹きます。
 私の、音を。
 空に届けと どこまでも響けと
 みんなを、信じて。
 みんなも
 
 きっと
 
 きっと
 
 自分の 役割を 果たしてくれるって 信じてるから
 
 
 
 もう しかたないことなんて  ないんだって
 
 
 
 だって・・
 
 
 
 
 
 
 

 
 
 
真っ暗
 
 
今がいつなのかわからない
 
息が苦しくて どきどきして
 
頭の中
真っ白
 
震えて 奮えて
私も 空気も
がっちがち
 
私に出来るのかな
未熟で 全然駄目で
リオ先輩に全然及ばない
へたくそで
 駄目駄目で
ほんとに
なんにもわからない
 
怖い
 
 
なのに
 
どうしてだろ
 
 
みんな
 
きこえる
 
緊張してるのに
だから
全部
いっきに
 
きこえる
 
 
なんにも
目を逸らすことなんて 無い
怖くて
恐ろしくて
いてもたってもいられない
なのに私は
耳を澄ます必要が無いくらいに
全部
きこえて
 
きこえてるよ
 
みんなの
 
 
命の音
 
 
大きく息を吸う
胸に
少しだけ
冷たい空気が凍みる
だけど
胸は
あったかく
膨らんで
お腹からすっと
力が
吹き上げて
 
想いのままに
 
感じるままに
 
音が
 
本当に 響きたいように
 
そっと
 
 
 
 
 
なにも無い
 
 
 
 
 
 
ただそのままに
 
 
 
 
 
 
 
 
そらのおと
 
 
 
 
 
 
 
私は聴く
 
 
空の音を
 
 
 
 
生きたい
 
 
 
生きてるって
 
 
 
 
 
 
こんなにも
 
 
 
嬉しいんだね♪
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 私の、沢山のあなた達の、音がきこえる。
 空の音を胸に吸い込んで、すっと、感じて。
 戦いたくない、でも、戦わなくちゃ。
 嫌だなぁ、せっかく平和になったのに、戦いたくねぇなぁ。
 ああ、まったくだ、だが仕方ないだろう。
 そうだなぁ。
 でもなぁ。
 やだなぁ。
 ほんとうに、やだなぁ。
 空の音をきいて、みんな素直になれて。
 うん。
 だから。
 ここからが、私達の、あなた達の、ほんとの戦いで。
 リオ先輩。
 リオ・和宮・アルカディア、だって。
 お姫様だ!
 真っ赤な戦車に乗って、そうして、真っ白な服をきて。
 そして、真っ青に、輝くように。
 私達の、想いを、言葉に、して。
 
 
 
 
 
 

『 我が父たるヘルベチア大公、ならびにローマ皇帝の名に於いて告げる。
 

講和は成った。
 

戦うことは罷り成らん!
 
双方速やかに陣を解け!
 
 
これは勅命である!!』
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 みんな、大喜び。
 だって、戦争が終わったんだもん。
 誰も死ななくてもいいんだもん。
 やったー! やったよ、クレハちゃん!
 きらきらと きらきらと みんなの笑顔が輝いて
 あ! 
 軍曹殿!
 ずっと
 ずっと 列車に揺られて
 少佐殿のバイクに揺られて
 時告げ砦にきて
 そうして、今、戦争が終わって。
 
 紅い橋の向こうに街があって
 その上に 青い空があって
 その空の下 紅い橋を渡って
 リオ先輩が
 帰ってきて
 どきどき
 ああ リオ先輩が
 帰ってきた!
 
 嬉しくて 嬉しくて
 
 
 ずっと 私達の世界が 果てしなく続いているのを感じました
 
 
 
 
 
    ああ
 
      不思議
 
 
 
 
 

 

 
 
 

ほんとうに

 
 
 
 

一番欲しい願いって

 
 
 
 
 

叶うんですね♪

 
 
 
 
 
 
 
 

『 お 帰 り な さ ー い っ ♪ 』

 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 * え、えっとぉ、リオ先輩が帰ってきてくれて、まだまだ色々嬉しくて、だ、だから、あの、えっとぉ・・・
   ちょっと、あんたちゃんとしっかり話しなさいよ! まだ、やるんでしょっ!
   そうねぇ、私もちょっとお話してみたいことあるし。
   ボクはべつに、アーイシャからの手紙を訳すので忙しいから。
   あ、みんな、ご、ごめん、ええと、そう、うん、まだ色々お話したくて、その、だから、
   ええと、
   あと一回、お付き合いくださいっ!
   来週くらいには!、出来ると思います!
   待ってて、くださいね!
 
   まぁ要するに、エピローグよ、エピローグ。
   まったく未練たらしいったらありゃしないわよね、ほんと。
   とか言って、クレハちゃんだってリオ先輩が帰ってきて嬉しくて、まだはしゃぎ足りないくせに♪
   ちょ、カナタっ、べ、べつに私はそんなんじゃないんだからねっ!

 
    ・・・・・・・。 ←にやにやとみつめる隊長と整備士と、大きく溜息を吐く先輩
  
 
 
 
 
 
 
 
 
 *ということで、感想の完結まであと一回、よろしくお願いします。
   敢えて今回は、いくつか書くべきことを書きませんでしたし。 そうするのが必要な事でもありましたが。
   Finを刻むのは、そのときにて。
  
 
 
 
 
 
 
                              ◆ 『』内文章、アニメソ・ラ・ノ・ヲ・ト」より引用 ◆
 
 
 
 
 
 
 
 

 

-- 100325--                    

 

         

                                  ■■ 空 の 音 ■■

     
 
 
 
 
 
 
 
 『ありがとう、クレハちゃん。
 
   今までずっと、私達のために反対してくれてたのよね。』
 
 

                            〜ソ・ラ・ノ・ヲ・ト ・最終話・フィリシアの言葉より〜

 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 悔しくて、悔しくて。
 
 私、ホプキンス大佐のこと、わかるんです。
 だって、悔しいじゃないですか、今の世界がこんな風になっちゃって。
 大昔は、もっともっと色んなことが出来て、もっともっともっと、人がいて物があって。
 なのに、私達はこんなんで、それで、それで・・
 そのまま、小さくまとまっちゃって、それで良しとしちゃって・・・
 こんなんでいいわけ無いのに、もっともっと、やらなくちゃいけないこと、出来るものはあるのに・・・・
 ほんとに、滅茶苦茶ですよ。
 なんかもう、なんかもう。
 
 どいつもこいつも、世界が終わるってところからしか、始まってないように見えて。
 
 俺はやれる、まだやれる。
 大佐はきっと、そうだったんでしょう。
 自分の可能性を、人間の可能性を貶められたまま、それで終わるなんて、堪らない。
 すごく・・・・・すごく・・・わかるんです
 私は・・
 誰にも・・・・私以外の人達にも、そんな投げやりな、諦めたことをして欲しくなかったし・・・
 させたく、なかったんです。
 だから、私が頑張って、みんなが諦めずに済むように、私に出来るものはなにかを懸命に探して・・
 大佐もきっと、最初はそうだったんじゃないでしょうか。
 隊長。
 大佐は、殺戮を好む人という訳じゃ、無いんじゃないでしょうか。
 私には、あの人はただ、旧時代のように、文明を栄えさせ、技術を進歩させる、そういう、人間の力
 を、知恵をちゃんともっと活かせられる、そんな充実した世界を生きたかっただけのような気がします。
 戦争はただ、そういう技術を最も活性化する場であり、また手段であっただけ。
 悔しかった、のだと思います。
 きっと大佐は・・・・・
 たぶん・・・
 煙たがられていたのかもしれません。
 潔く、大人しく慎ましく生きるのが美徳とか、そんなの怠けにしか大佐には見えてなくて、だからきっと、
 私みたく、もっと若いときは周りの人達にぎゃんぎゃんと噛み付いていたのかもしれません。
 そんなんじゃ駄目だ、俺達はまだやれるんだ。
 俺達には、あんなに素晴らしい、過去の栄光があったじゃないか。
 同じ人間である俺達に、出来無いはずが無い。
 やろう、やればまだ出来るんだ。
 
 私は、全くそれと同じことを、この砦に来てから、ずっと隊長達に言い続けてきました。
 
 わかるんです。
 もう、ほんとうに、悲しいくらいに、そして、ちょっぴり・・・・
 嬉しいくらいに、わかるんです。
 こういう人が、まだちゃんといてくれたんだ、って・・
 でも同時に、わかるんです。
 その諦めない想いがやがて、怒りへと変わっていくってことが。
 大佐は優しい人です。
 クラウス少佐と同じように優しくて、そしてたぶん・・・
 大佐は少佐より、強くて、そして弱かったんだと思います・・・
 大佐はただ・・
 高度な生活を生きるために頑張り合える、そんなみんなとの生活が欲しかったんです。
 誰も、諦めないで済む世界です。
 でもみんなはそれに応えてくれなくて・・・それどころか、蔑むような愚か者を見るような目で・・・・
 きっと大佐は、恐ろしくなったんじゃないでしょうか。
 このままこうし続けていても、やがては、大佐自身の諦めない心も、周りの人達によってこそ消されて
 しまうかもしれないと。
 強烈な、自己保身の発生。
 俺が諦めたらどうなるんだ。
 諦めたら、そこで終わりです、みんなとの、昔のような豊かな生活を取り戻すことも永劫に出来無くなる。
 みんなのために、それが同時に、みんなに消されないために。
 だから大佐は、ああなってしまったんだって、私は思うんです。
 今ではもう、周りの人間は馬鹿にしか見えないんだと思います。
 俺がなんとかしなければ、という思いが、俺だけがなんとか出来る、へと変わってくんです・・・
 自己中心的、利己的。
 一見、そう見えます。
 でも、中身は違う。
 大佐はただ、豊かな世界を取り戻したいだけ。
 他の誰のためでも無い。
 
 みんなの、ために。
 
 
 その想いを絶対に守り切るために
 
 大佐は、すべてを敵として、戦い続けているんです
 
 
 
 すべてが  敵
 
 
 
 大佐が愛した
 
 人が 人間が 
 
 
 いなくなってしまったんです
 
 
 
 
 
 
 

 

 

 

 

 
 
 

 
 
 
 
 +
 
 
 空気が真っ白に透けている。
 地響きが壁に塗り込まれて、ずっと息を潜めてる。
 どかどかと軍靴の音とそれは共鳴して、なにかをがちゃりと開ける、そのチャンスを待っている。
 なによこれ、これがきな臭いって感じなの?
 もう始まってるのに、もう作戦は始まってるのに、そこからまださらになにかが始まるような予感が・・・
 奮えているのに、そこでひっそりと震えが止まらなくなっていくような・・・・
 隊長が大佐の頭に銃を突きつけたときに。
 え? 、っておもったんです。
 隊長なら、薄々やるかもしれないって思ってた。
 思ってたけど、思ってただけで。
 アーイシャを匿う作戦は、大佐の部隊が砦を接収した時点で、ほぼ失敗。
 でもまだ隠し切れる可能性はゼロじゃ無い、あの部屋はなかなか見つけにくいって・・・
 そう思っていたら、発砲音がして。
 がちゃりと、ドアが開いて、ローマ兵を確保したという声が入ってきて。
 そのときの、大佐の声に、大佐の返した言葉に・・・
 ああ・・
 これは・・・・隊長は・・・・なにもしないはずは無いなって・・・
 思ってたけど、思ってただけで。
 
 え?
 
 隊長が、いつもの隊長の、ちょっと厳しいときの、その顔のまま、大佐に銃を突きつけてて。
 日常が、日常のまま、突如、終わってしまった感覚。
 今にも微笑み出しそうな、そのフィリシア隊長の厳しい顔を見つめながら、私はずっと、その隊長の
 顔が解けて、優しく笑顔になるのを、ずっと待ってるだけで。
 気付いたら。
 大佐は柱に縛り付けられて、私達は反逆者の汚名の札で部屋のドアを閉じてしまっていた。
 隊長の顔は・・・・
 優しく、滲んでた・・・
 笑って、いなかった
 なんだか、隊長が、すごく、すごく、安らかに緊張しているのが見えた。
 アーイシャが一命を取り留めたのを確認して、ノエルが泣き出したときの、その肩を抱く隊長の、
 その笑顔は・・・・・・笑っていなかった・・・・・・・ううん、今までみた、どの隊長の笑顔とも違ってた
 ほんとうは、全く逆に、私達は今まで、隊長のほんとうの笑顔を見たことが無かったんじゃないかって。
 これが、これこそが、隊長の隠してた、ほんとの笑顔だった。
 そのほんとの笑顔のまま、一瞬で、大佐を睨み付ける隊長の形相が・・・・・
 なんだか、羨ましかったんです。
 私はさっきからずっと、現実感を失ったまんまです。
 私はいつもみたく、小さく笑って、小さく喜んで、小さく怒って、小さく考えて・・・・・
 なんだろ、いつもと変わらない・・・・
 ううん・・・・私は・・・ずっともう・・・それしか無かったんだって・・・
 全然、緊張が無いのよ。
 極限のはずなのに、なんだか、ちょっと演習してるときと、ほとんど変わらない気分。
 私が・・・・・
 
  
    私が  しっかりしなくちゃ   いけないのに
 
 
 
 隊長の笑顔と怒りの形相にも、ノエルの恐れと執念にも。
 そして、カナタの完全に鎮まっている様子にも。
 私は全然、届かない。
 なによ・・・あんた達・・・・いつもはそんなじゃ無いのに・・・だらしないくせに・・・・・
 私だけが、いつもリオ先輩の次にきびきびしてる私だけが、今この瞬間に一番浮ついてて・・・・・・
 なんなのよ・・・みんな・・・・なんでそんなに・・・・
 不安
 なにかが私を押し留めていました。
 私はなにかを我慢していました。
 きっと。
 今日この日まで、ずっと。
 私は、大佐が柱に縛り付けられて、アーイシャの件の取引材料として扱われながら、朗々と唱え続け
 る、一個の軍人としての言葉に、かすかに頷いてました。
 私は全然、この人に対して怒りもなにも感じませんでした。
 軍人として当然のことをしている人に対して、私は如何なる非難の眼差しも持ち得ませんでした。
 だから、個人的に丁重に扱うつもりでした。
 けど。
 隊長は、違っていました。
 隊長の怒声は・・・
 軍人のそれを、超えるものでした。
 軍人を超えたなにかが、軍人に守られる民衆の嘆きでは無い、確実に強いなにかが、その手にする
 銃の引き金をあっさりと引いていました。
 大佐は・・・・軍人として当然のことをしていましたが・・・・当然のことをしているだけでした
 私と。
 同じだったんです。
 この砦の中の、この薄く紅い光の灯された、この部屋の中で、それは全く。
 存在感の無いものでした。
 私は・・・
 怖かったんです
 人に向けて、銃を撃つなんて。
 理由無しには・・・・
 ううん・・・
 
 理由のせいにしなくては、絶対に撃てなかったんです
 
 なのに・・・
 隊長は、私を一人前の兵隊としてみていました。
 私は覚悟なんて欠片も出来て無いのに。
 出来て無いからこそ、覚悟覚悟と叫んでいただけなのに。
 それなのに、隊長は、その私を取り込んで、どんどん進んでいっちゃって・・・・
 じわじわと、部屋の中の影が、私の足を染めていきました。
 私は、その隊長の恐ろしい眼差しに囚われて、そしてそのまま・・・・
 大佐の話を、怖いなって。
 その怖いなと思う感覚は、私のものなはずなのに。
 私はそれを、隊長の怒りの文脈の中でしか、感じることが出来無かったんです。
 ずるずる。
 私は私の恐怖と嫌悪で大佐の話を聞いてるはずなのに、どこか完全に、ただお話としてきいてるだけ・・
 私だって・・・
 怖いのに・・・・
 嫌なのに・・・・・
 戦争なんてしたくないのに・・・・人が苦しむのも、人を殺すのも・・・・・
 隊長の魔力が、その私の想いを、この部屋の影の中で飼い殺しにしていく。
 駄目。
 駄目よ、飲まれちゃ駄目。
 これは、隊長の感覚。
 これは、隊長の言葉。
 ちゃんと、しっかりと、私が自分で・・・・・・
 
 
 
 
 
 
 

駄目だった

 
 
 
 
 
 
 
 
 私は・・・リオ先輩になれない・・・
 リオ先輩に憧れて、ずっと頑張ってきて、リオ先輩みたいに隊長にずけずけと物を言って、やらなければ
 ならないもの、出来るものをしっかりとこなして、どんどん、どんどん、世界を広げていって・・・
 私が、頑張らなきゃ、いけないのに。
 私は・・・なのに・・・・
 大佐みたいにもならなかった・・・・
 ううん・・
 なれなかったのよ・・
 あんたのせいよ・・・・・・
 カナタ、あんたのせいなんだからねっ
 私は・・・・
 大佐の話が、大佐が、軍人としておかしくはないかと、その粗探しばかりしていて・・・
 実際、大佐の理屈は、確かに軍人として、兵隊として、国民の平和を守るという意識からはかけ離れ
 ていて・・・
 大佐個人として、みんなの、人類の栄光のためにと孤軍奮闘してるのは、悲しく嬉しくなるほどわかる
 けど、でもそれはそれで、私達は一個の軍人であり、だから・・・だから・・・・・
 私は・・・なにをしてるんだろ・・・・
 大佐を肯定したいのか、否定したいのか、どちらにも関わらず・・私は・・・・
 軍人というものに、兵隊というものに、とても、拘っていたわ。
 それらがきっと・・・・
 私が銃を撃つ・・ううん
 私が、私の想いを守り切るための、その理由になるから・・・・
 その理由が無ければ・・私は・・・・・
 なのに・・
 なのに・・・・
 
 あんた達の、その真剣な顔が・・・・・
 
 
 
 私はね・・・・
 尊敬・・・・してるのよ・・・
 ううん・・・・・
 すごいなって、そんな言葉すら消えてしまうほどに・・・
 隊長の、あの深く、深く、確かに完全にブチ切れてる感じ。
 リオ先輩が隊長を信頼しているのがなぜかって、どうしようもなくわかっちゃったわよ。
 あのノエルが、あんなに泣きじゃくって、震え上がって、小さな子供みたいにわーわーと、なのに、なのに、
 あの子は・・・ずっと、ずっとこの部屋に居続けて・・・・
 ノエルの求めるものがなんなのか、凄まじすぎて、私は頭が下がりすぎるわよ。
 それに・・・
 あんたは・・・・・
 静かに・・・・すっと・・・・・真剣に笑って・・
 すごすぎるのよ、あんた達。
 もう信じられないくらいに、生きてるわよ。
 私はもう、あんた達の側にいるだけで、びりびりと震えるのよ。
 馬鹿みたい、ほんと私って馬鹿みたいよ、あんた達の上辺だけを、上辺だけとわかりつつそれだけを
 見続けて、でもそれはその上辺の中になにが潜んでるかわかってるから、それが怖くて・・・
 あんたを馬鹿にする私ほど、みっともないものは無いわ。
 私は、あんた達の凄まじさに怯えて・・・なのに・・・・
 なのに・・・・
 とっても・・・とっても・・・・・頼っているのよ!
 私は・・・・・
 
 
     あんた達に、期待してるのよ!
 
 
 
 ノエルが・・・なんか私の知ってる以上に天才らしいあの子が、なんであんなに人間を愛してるのか・・
 なんで、大佐みたいに、すべてを敵にして馬鹿にして虚仮にしたりしないのか・・・
 それはね、きっとノエルが、みんなのすごさを、本当に知ってるからよ。
 自分の見据えた、自分の視線上の、その先を行ってるという、そういう先人としてのすごさしかノエルが
 他人に見つけなかったら、きっと大佐みたいになってたかもしれない。
 ましてや、旧世界の技術の結晶たるタケミカズチをあんなに整備して復活させてるノエルなら、
 大佐以上の過去の栄光信者として戦争狂になってたっておかしくない。
 でもノエルは・・・
 知って・・たんだよね・・・
 人の・・・人間の優しさを・・・
 そして、それと向き合い、守り続けている、とってもすごい人達が、この世界には当たり前にいるって・・
 
 ううん
 
  すべての人間が
 
 
      そうして 必死に 懸命に 戦ってるんだって
 
 
 ノエルが人を愛するのは、そうだから。
 あったりまえよ! 私にそれがわからないなんてこと、ないんだからねっ!
 私達は、生きることを、諦めたくないだけなんだからっっ!
 そんなに、そんなにすごくて、そんなに愛おしいことなんて無いんだからねっっ!!
 私は・・・大佐のこと・・・すごく良くわかります・・・
 誰だって、みんなの幸せを願い、優しい気持ちに生きるのが一番だって。
 だから・・・たとえ・・・人を殺してでもって・・
 私は・・ずっと・・・・ずっと・・・・勝手でした・・・
 独り善がり、でした。
 みんなのために、みんなのために、そうして、私の価値観によって描かれた幸せを押しつけて・・・
 私はそれが、ほんとうにみんなのためになるって・・・信じて・・・・・
 でも・・・・でも・・・・・・・
 
 
 
  『そんなの勝手よ! 我が儘よ! 自分の判断で勝手なことしてどうするの!
   私達は、兵隊なのよ!!』
 
 
 
 でも・・・でも・・・・っ!
 なら諦めてもいいの?!
 私は・・・だって・・・・わかってるのよ・・みんなは私みたいに、きびきび動きたいわけじゃないって・・・
 でも・・・でも・・・・・・みんなが・・・みんなが・・・・・・・・ほんとうに・・
 ほんとうに望んでいるのはなにかが、私にはどうしてもわかっちゃうのよ!
 優しさを!
 愛おしさを!
 諦めて、全部拘らなくて、どうでもいいやって、しかたないで済ますなんて!
 そんなの、
 絶対に、おかしいじゃないですか!!
 誰だって、絶対にそんなこと、望んでなんていないじゃないですか!
 隠さないでよ!! 逃げないでよ!!
 悲しくて
 悔しくて
 私は・・
 私は・・・大佐みたくに・・・
 でも私は・・
 信じてた
 私が・・・軍人に・・・兵隊に拘るのは・・・・きっと・・・
 私に・・・私に、命令してくれる人を、存在を、求めていたからなのよ。
 私は、私の信じるみんなのほんとうの幸せに・・・・・・・・・・・・・・・・・自信が無かったのよ!!!
 勝手な、独り善がりなものであるんじゃないかって、ずっと私は自分に問い続けて・・・
 何度も、何度も、諦めようとして・・もう、独りで誰にも求められないまま、認められないまま終わっても
 それでいいわ・・・って・・・・問えば問うほどに・・・・潔く・・・みんなの上辺だけの要求に応えて・・・
 それが人間なんだって・・・・・そして・・・・・軍隊は・・・・そういうものでもあって・・・・・
 ああ・・
 私・・・・
 
 どうしたらいいのか
 とっくの昔に
 わかんなく なってた
 
 
 なのに
 
 動く
 
 口が
 
 体が
 
 きっぱりと
 
 あやふやなままに
 
 
 隊長も
 
 ノエルも
 
 カナタも
 
 すごいまんま
 
 私はどんどん置いていかれて
 私はどんどん毅然と身を退いていく
 いやよ 嫌だよ
 私だって
 誰にも死んでほしくない
 けど
 私
 私だって
 『行ったらもう、絶対後戻りは出来ませんよ。それでもいいんですね。』
 やめて。
 後戻り出来無いのが、一番怖いのは、私。
 だけど、やめないで。
 私だって、私だって、アーイシャが・・
 でも
 でも
 私は・・
 頷かないで
 頷いて魅せてよ
 
 
 
 

++ 『ならもう、私は言うことは無いです。』

 
 
 どうすれば いいの
 
 

++ 『好きにしなさいよ。』

 
 
 私は
 
 私は
 
 
    わからなくて  けど
 
 
  どうしようもなく
 
   わかってて
 
 
 

 

 
 
 
 
 

ああ

 
 
 
 
 
 
 

− 音 −

 
 
 
 
 
 

やっぱり

 
 

あんたは

 
 
 
 
 
 

『 誰かが

 
 
 
 
 

−     世界はもう終わりだと言ってました     −

 
 
 
 

でも私

 
 
 
 
 

−     この世界が好きです     −

 
 
 

この街が好きです

 

ここにいるみんなが大好きで

 
 
 
 

+      諦めるなんて出来ません。 』      +

 
 
 
 
 
 
 

あんたは

 
 

そうよ

 
 
 

確かに

 

私と初めて出会ったときから

 

ずっと

 

そう言っていたわ

 
 
 

私だって

 
 
 
 
 
 

私 だって!

 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
『 私 だって  
 
 
同じ年頃の子が
 
 
 

                   拷問とか

 
 
 
                                  嫌に決まってますっ
 
 
 
 
 
でも
 
リオ先輩がいなくて
 
 
ノエルも カナタも
 
ゆるゆるだし
 
 
 
 
 
だから!
 
 
 
私 
 
 
 
頑張らないと 
 
 
 
って 』
 
 
 
 
 
 
 
 
 カナタ・・
 あんたは・・・そんな私まで・・・・・・好きだって・・・大好きだって・・・・・
 
 隊長は・・・そんな私に・・・ありがとうって・・・・ごめんって・・・・・
 
 
 
   なら
 
   なら私も!
 
  ゆるゆるなあんた達を、ほっとけるわけないじゃないっ!
 

 
 私は・・
 私は・・ずっと・・・
 私の、私自身の、ほんとうの想いの、それ自体への想いから・・・逃げてた・・・・
 私だって・・・隊長や、ノエルや、カナタみたいに、優しさや愛しさと向き合いたいのに・・・
 向き合いたいのに・・・・向き合えなくて・・
 だから・・・私じゃなくて・・・・
 他の人に・・・・他の人には・・・・ちゃんと向き合わせよう・・って
 ゆるゆるでも・・いい加減でも・・・・隊長達は・・・私の何倍もしっかりしてるって・・・わかってるのに・・
 私は・・・・隊長達に・・・・・此処に・・居させて貰ってる・・・だけ・・で・・
 私だけ・・・・・
 私だけが・・・・・・
 
 私の、ほんとうの想いと、向き合えて、なくって。
 
 ごめんなさい
 私は・・・今までずっと・・・・みんなに・・・しっかりしろって・・・
 そう言い続ける・・・それだけで・・・居場所を・・・得た気に・・・・・なって・・・・
 だから・・・
 私の言葉を聞かずに、どんどん、みんな・・・・先へ行くって決まったら・・・
 私は・・・・もう・・・・なにも・・・・・・
 隊長・・隊長は・・・頼りないなんて・・・無いです・・・・・ただ私が・・・弱かっただけ・・・・・
 だから・・・だから・・・・
 隊長・・・・・いいですか・・・私・・・・・まだここで・・・・・
 この砦で・・・この部隊で・・・・
 
 軍人として
 兵隊として
 頑張って、強くなるために、生きてもいいですか?
 
 カナタ・・
 私は、完敗よ。
 私がビリっけつよ。 最年少よ!
 なんにも出来無くて、どうしようもなくて、けど、なんにも出来無いまま、どうしようも無いままでいること、
 それだけは絶対に嫌で。
 それだけでは、諦めない、諦めないことだけは出来るようになりたいって。
 頑張って、頑張って、耐えて、苦しんで、苦しんで、でも、でも。
 ずっと・・・・空回りで・・・・独り善がりで・・・・
 ノエルの・・・・アーイシャの前で流した・・・あの涙の前じゃ・・・・・もう・・・
 結局最後まで私は、空回りのまんま、誰も動かせなくて・・・誰も止められなくて
 なのに、みんなは・・・ちゃんと・・・・・私無しで、すごい勢いで、動いたり、止まったり・・・
 すごいわよ、惹かれるに決まってるでしょ、あんた達がいるから私はこんなに・・こんなに頑張れて・・・
 私は・・・それでも・・・ 
 あんた達に・・・・すがりたい訳じゃ無いって・・・・それでも・・・それでも言うわよ!
 
 
 
 
   私にしか    出来無いことが    あるはずなんだから!
 
 
 
 
 誰も気付かない、自分でも気付かない。
 そんな幸せが、まだまだ一杯あるのだとわからない、そんな・・・・
 そんな人達のために、私は・・
 私は、幸せの可能性を、拓きたい。
 世界は終わらないって、私はこんなに、わかってるんだもん!
 今は、びくびくしながら、泣きながら、カナタ、あんた達についていくことしか私は出来無いわよ。
 あんた達が
 
 隊長が
 カナタが
 ノエルが
 行くって言うんなら
 
 
 
 私は絶対に、意地でもついてくんだからっ!
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 あれ?
 なんで私、こんなにムキになってんだろ?
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 あ
 
 そっか
 
 
 
 
 
 
 
 
 私
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 戦争を
 
 
 
 
 
 
 
 一番
 
 
 一番
 
 
 
 
 
 憎んでたんだっけ
 
 
 
 
 
 
 
 
 

 
 
 
 
 
 青い光
 
 
 
 
 
 
 空の音
 
 
 
 
 

 
 
 
 
 
 
 
 
 父さん 母さん
 ごめんなさい
 
 みんな戦争で 不幸に なったのに
 
 父さんが英雄だから 母さんが英雄の父さんを愛したから
 
 その愛しいお話に頼って
 
 
 
 私は
 
 こんな簡単なこと
 
 
 わからなくなってたんだ
 
 
 
 
 
 
 停戦を宣言する、リオ先輩に投げられた歓声が、やっと・・・・
 
 
 やっと
 
 
 
 
   私を・・・・
 
 
 
 
 
   
 
 
 
 
 
      カナタ
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

あ り が と う

 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 まぁ、ほんとに嬉しかったのは、先輩が砦に帰ってきてくれたときなんですけどね、
 
 
  ってぇ、ノエルーっ! 抜け駆けしてんじゃないわよーーっ!!
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
                                     ・・・以下、第二部に続く
 
 
 
 
 
 
                              ◆ 『』内文章、アニメソ・ラ・ノ・ヲ・ト」より引用 ◆
 
 
 
 
 

 

-- 100322--                    

 

         

                              ■■ ぐだぐだスキルアップ ■■

     
 
 
 
 
 三連休はどうしたの?、とかきかない、いわない。 (挨拶)
 
 
 改めまして、ごきげんよう。
 きかなくてもいわなくてもわかる事は敢えて話題にしません。 空気読め。
 ということで、すっきり開き直ったところで、書いておかねばならないと個人的に勝手に規定している
 事を、本日はお話していこうと思います。
 ソラヲトと、刀語のお話です。
 なんかこう、今一番しなくちゃいけないと思っているのが、そのお話だったりします。
 今週は、色々お疲れ様でした、私。
 
 
 ではそういうことで、ぐっちゃりと。
 
 
 
 
 
 ◆
 
 
 
 うーん、なんというか。
 ソラヲトの感想を書くのは、思いの外、難しくて。
 いえ、難しいというより、書きたくない、あるいは、なかなか上手く書けない、というか。
 筆が滑らなくて引っ掛かる、というより、もう出だしからして、なにかこう。
 なにかこう、膜に覆われているというか。
 なんだろ。
 私自身が、突き抜けられていないような。
 書けることは書けるのだけれど、それがこう、なんか、なんか違うなぁ、足りないなぁ、というか。
 なんだろう、私が感じているものと、私が書き出したものに、なんというのかな、大きな熱度の差が
 あるというか。
 
 私は、この作品を観て、一体なにを書きたいんだろ。
 
 書きたいこと自体は、わかってる。
 だけど、その書きたいことを、そのまま自分の言葉を使って、そのまま書いてるだけのような、
 無理矢理書かされているだけのような・・
 なんだか、こう、作品の「言葉」を使って書くことが出来無いような・・・・・
 なんだろ。
 一歩、一枚分、距離があって。
 書き切れない。
 書いても、書いても、なんだか同じ円周上にいないような、もう見えてるんだけど、隣に、すぐそこに
 見えてるんだけど、それをみつめてそれの周りをぐるぐる回っているだけのような、近づいたり離れたり、
 なんなんだろう。
 よく、わからなくて。
 なんでだろ。
 ソラノヲトという作品は、あれなんですよね、感想対象として、夏目友人帳以来の、続編作では無い
 作品であって、だからその作品としての感触が掴めなくて当然よね、とか、そんなことを・・・・
 そんなことを平気で思ってる私は、なんなんだろう。
 不思議。
 そう思っているのに、なぜか。
 
 なぜか、ソラヲトは、安心する。
 
 なんだろう、この感覚。
 ほんとに、灰羽のときの感覚に似てる。
 灰羽も続編作じゃ無くて、初めて出会った作品で、右往左往、試行錯誤、だけどこう、なにか私の
 中のなにかと繋がっていて、だからなんとしてもちゃんと書きたいんだけど、なんだか逆になに書いても
 それはちゃんと作品と繋がっているみたいな・・・・
 へんな感じ。
 あの、新しい感触が、また来たような。
 うん
 
 新しい
 
 なんかこう。
 自信失ってて、私。
 なんかこう、こう言うのもなんだけど、色々わかってきて。
 なんかみんなすごいなぁって、なんかこの間の感想でフィリシアさんの気持ちすごくわかっちゃって。
 どんだけ今まで私、はったりかましてたんだよって、なんか、現実みえてきた、っていうか。
 でもね。
 それってさ。
 私がそうなることってさ。
 予想してたんだよね。
 随分前から、私がこれからどんどんと色んなことをもっと経験していって、理解していって、そうなったら
 きっと、私は今みたいに好き放題に理想論なんか語れなくなるだろうって。
 でも、だからこそ、今、理想論を言うことに意味がある。
 なぜなら、その理想論は。
 そうして、自信を失って、自分に出来無いことを人に要求するのはやめようとか、身の程を知ろうとか、
 なんかこうわかったような気になったときにこそ、それを失わずに改めて向き合うために、前もって用意
 してあるものなんだから。
 理想論を言えなくなったときにこそ、理想論を言える人に、私はなりたい。
 そしてきっと、そのときそういうことが言えるのは、かつて純粋に言えていたときの、その理想論そのものの
 価値を、なにより知っているから。
 べつに理想論じゃ無くてもいいけど、ていうか理想論って言葉あんまし良くないね、そういうのが言えなく
 なるときって、それってつまり、自分自身の問題というか、なんていうか、経験積んで、苦労して、
 色々と、そういう理想論やなんかの、それ自体のほんとの厳しさを怠ける技術を獲得したからなんだ
 よね。
 私は今、そう。
 まさに今、そう。
 いろんなことがわかってきた。
 ひどいこと今まで言ってたんだなぁ、って思うこともあるし、どんどん人の気持ちも、なにがどういう仕組み
 で出来てるのかとか、まぁ、あんまし言いたくないけど、人並みに常識を身につけてきたというか。
 や、違うな。
 常識自体は昔からわかってた。
 敢えて具体的なことは言いませんからね、本質的な話がしたいので。
 でね、だから、常識の、実感、なのかな、そういうのがもうすごい速度で得られてきて。
 でもね。
 
 だから、なんですよね。
 その実感って、なによ?
 
 自信無くしてるくせに、妙に私最近、偉そうなのよね。
 なんていうか、私はわかってる、苦しさも痛みもわかる、身の程弁えて、だから身の丈に合ったことを
 言ってくし、それでいいんだって。
 アホか。
 自信を無くせるほどに、私は色々わかってきた、と。
 自信は過信であったことを知ることこそ、ほんとうの自信に繋がる、と。
 アホかと。
 現実わかってきた、これが現実だよね、と。
 アホ。
 怠けてるだけじゃん、完全に。
 結構前からそうだったけど、なんか最近そういうの、さらにいっきにきてて。
 なんか妙にね、この頃実は私、ストレスいう言葉を使うようになってきててね。
 なんだろ、なんだかすごく、私、傲慢になってきてるというか、謙虚とか弁えとかいう、そういうものに
 染まることを主眼にしているというか、なんかこう、なにも言えなくなってきてる自分を肯定し始めて
 いるというか。
 なんか妙に、自分はこんだけやることやってんだから、あれもこれも許されて認められて当然みたいな。
 アホかと。
 
 
 私は、なんで紅い瞳なの?
 
 
 なんかねぇ。
 なんで私がこうやってサイトでぺらぺらとのべつ幕なしに喋りまくってるかって言ったら、そりゃああなた、
 ほっといたらなにも喋らなくなって、自分の身の丈の範囲で言えることだけしか言わなくなって、
 謙虚だの弁えだの、気遣いだの思い遣りだの、そういうの全部、自分がしなければならないものから
 逃げるための口実として使って、出る杭を打ちまくるというか、とにかくひたすら等身大である自分を
 肯定するだけになっちゃう。
 だから、私はサイト作ったのに。
 まぁ、そう言い切るのはちょっと大げさなんだけどさ、ただ今なんというか、ソラヲトと出会って、なんかこう、
 なんかこう、思い出したというか。
 や、思い出したというか、やっと、今という未来のために頑張って遺した大切なものを、やっと今、掘り当て
 たというか、ていうか埋めてあったの忘れてたというか、完全に昔予想していた通りのアホな頑なさに
 囚われちゃってて、まぁ、ほんとうに、この人は駄目な子です、ほんとうに。
 今、このときに、理想を、志を言えなくて持てなくて、どうするの。
 かつて私は、こういうときにこそ、一番大切なものと何度でも向き合える、そういう自分になりたいという、
 そのなによりな野望を以て、色々と好き勝手言っていたのにさ。
 てか、あの頃には知らなかったことわからなかった事を知ることわかることが出来るようになった上で、
 さぁどうなるか、一体どんなにすごいものがみえてくるか、そのためにこその私の言葉だったのにさ。
 なんつーか、哲学とかってさ、プライドの建て方、って感じがするんだよね。
 正直、今の私が自信が無いことは、ほんとのこと。
 自信が無いことを謙虚さと捉える事に、私はやっぱり、今もこうして確かに、プライドを感じない。
 全然、カッコ良くない。
 だって、わかるもん。
 考えて、感じて、私の中の組み上げられてきた哲学やらなにやらが、ていうかあんたカッコ悪いって。
 自分的には、私もだいぶしっかりしてきた、とかのんきに思ってるのにですね。
 ソラヲト観てて、なんか、こう。
 
 
 ぶちっ
 
 と、きた
 
 
 ソラヲトの感想書いてて、なんか、こう。
 
 
 ぐさっ
 
 と、きた
 
 
 私がサイト始めて、アニメの感想書き始めたのって、私史上最大の出る杭なのよ。
 ありえないっつーか、紅い瞳と私って正反対っつーか、なんかもう必死だな(微笑)みたいな。
 ほっときゃ出る杭打ちまくりな等身大万歳な私が、どうしてもぶっ潰せないのよね、このサイトって。
 それはなんか、良心の呵責とかそんなじゃ無くて、完全に潰しにかかってるんですけどね、これがまた、
 全く歯が立たない。
 ていうか、紅い瞳が、根強すぎる。
 こんなに本気に殺しにかかってるのに、紅い瞳の奴、なんか全然死ななくて。
 すごいな、って。
 ぶっちゃけ、紅い瞳って、私がこうありたいと思っている、そういうすべての人間像が、私の中になにか
 を芽生えさせた、まさにその波紋みたないなものだと思うのよ。
 なんつーか、ソラヲトでいうカナタ的っていうか、んで、こうしてぬけぬけと恥ずかしげも無く自分のことを
 肯定的に自画自賛的に言っちゃえるのがフィリシアさん的いうか、ていうかこれ書いてるの紅い瞳です
 からね、私は紅い瞳ですからね、そこんところ滅茶苦茶でよろしくお願いしますね。 (微笑)
 うん、なんか・・・
 私は、もう初めっから、わかってる。
 私は自分を信じてる。
 紅い瞳が死んでくれなくて、サイトが潰れてくれなくて。
 
 
 私は 涙が止まらなくなる
 
 
 
 紅い瞳は、私を裏切らないどころか、裏切りまくり。
 
 
 必ず、裏切って、くれる。
 
 
 ソラヲトはなんかこう、ずっと涙が止まらない。
 アニメのストーリーそのものを楽しんだり萌えたりすることが出来るようになってきて、ああ、逆に、ひとりの
 人として、ひとりの人の想いの顕現したものとしてのキャラのことが、見えなくなってたんだなぁ私、
 っていうか。
 そりゃソラヲトはぐだぐだだもの、ストーリーラインとかかなりぐだぐだいうか中途半端いうか、お世辞にも
 どこかで賞を頂くような作品じゃあ無い。 まぁ実は伏線回収とかはすごいですけど。 さりげにすごい。
 でも。
 この作品って、個人的には好きで、なんなら賞をあげたいって思う人は、たくさんいるんじゃないかな。
 だって、カナタがいいもん、クレハちゃんが励ましたくなるもん、リオ先輩超カッコいいもん、フィリシアさんは
 頑張ってるし、ノエルちゃんは可愛いし、なによこれ、こんだけキャラ視点で語れる数が多い作品て、
 初めてじゃん。
 灰羽ですら、まともに語れるのはラッカとレキさんだけなのに。
 ていうか。
 
 みんな、等身大じゃん。
 
 なのに
 等身大のまんま
 
 それから突き抜けようと、少しずつ、少しずつ頑張ってるんだもん
 
 やっば、また涙出てきた。
 この間のノエルちゃんとフィリシアさんのこと、わからないなんてこと、無いよ。
 無いはずが無い。
 あんなもん、なんの経験も積まなくたって、なんの勉強も苦労もしなくたって、誰にだって絶対に、
 そう、絶対に「わかってる」ことじゃん。
 経験積んで勉強して苦労したからわかるっていうなら、それはそれがわかったんじゃなくて、自分の
 経験と勉強と苦労そのものを噛み締めてるだけ。
 そんな文脈から見下ろしたものを「わかった」という、そんな自分を私は全然認めない。
 経験なんて、いらね。
 や、いるけど、関係無いっつーか。
 哲学ってそもそも、そういうもんだし。
 なんか、カナタが燦然と輝いてる。
 カナタという本質を、ノエルちゃんもフィリシアさんも見つめて、そして向き直ってく。
 単純明快。
 すっごい、そのまんま。
 ソラヲトは、そうなんだよね。
 だからこそ、難しい。
 経験でも、勉強でも、苦労でも、常識でも、現実でも、誤魔化せない、目をそらせない。
 ほんとうの、こと。
 逆にいえば。
 
 
 その、ほんとうの、誰もが最初からわかっている事と、改めて向き直る。
 
 そこから生み出されていく、その生活の瑞々しさをこそ、この作品は作りだそうとしてる。
 
 
 てか、それが今、私がこのソラノヲトという作品を使って、やろうとしてること。
 
 
 つかまぁ、感情なわけです。
 哲学って言葉はあんまし好きじゃないんですけどね、へんな限定生むしさ、ただ他に適した言葉が
 見つからないのでしょうがなく使ってるいうか、まぁいいや、なんていうか、私の哲学の主題というか
 対象って、むしろ感情なのよ。
 ていうか、私の胸に聞けば、答えは最初から全部そこにあるし。
 だけど私は弱くてヘタレだから、それをそのまま受け止めることが出来無くて、色々欺瞞やら韜晦やら
 正当化やら保身やら理屈やら、そういうの使って形にして受け取る。
 だから、それを読み解く、というかね。
 ぶっちゃけ、ソラヲトは感情MAXっていうか、なんか逆に、いろんな現実とか常識とか、そういうものが
 紛れも無い、自らの胸に溢れる、感情という「ほんとうのこと」から逃げるための、人間の悪知恵って
 感じになってて、結局リオ先輩にしろクレハにしろ、むしろ常識派なそのふたりがものすごくだから、
 それに向き合って立ち向かって頑張ってて。
 そして、そのふたりこそ、最初から「ほんとうのこと」と向き合い続けてる、カナちゃん達の凄まじさを
 肌で感じてるんだよね。
 そして、そのためにこそ、そういう自分達の悪知恵、すなわち、感情という「ほんとうのこと」から目を背け
 たいという、その自分達の想いもまた、ひとつの感情だということを実感してく。
 なぜ、感情を否定するのか。
 なぜあなたは、あなたが正しいと考えるその論理を採用するのか。
 なぜあなたは、理想論を青臭いと言って切り捨てるのか。
 感情なんて、それこそいくらでも矛盾するもの同士が同居してたり、滅茶苦茶だったり、もうすんごいよ。
 でも、それが矛盾してるとか滅茶苦茶だと思うのは、そうとしてしか読み解けない、そのあなたの言葉
 あるいは論理のスペックが低いからってだけ。
 
 ま、そんな感じ?
 なんかもう次回で最終回だけど、ていうか今夜放送ですけど、え?もう今夜? あああ(以下落ち着け)
  明日辺り観て感想書きましょう、書きますよ、書からいでか。
 あー、なんか、重い。
 あー、なんか、くる。
 自信無いとか言ってる、そう言える自分にこそ自信を蓄えちゃってる今の私だと、あー。
 きっついわ。
 けどなんか。
 逆に、嬉しい。
 汝自身を知れって言葉があるけど、それって、自分の相対的位置、つまり自分は他の人と比べて
 なにも出来てないんだなぁみんなすごいんだなぁ、という事を受け入れてそこから始まっていく、
 という自己同一の事じゃ無いと思うんだよね、ソラヲト観てるとさ。
 結局それって、自分を他人に投影してるというか、他人のすごさを認められる自分すごい、っていうか、
 結局それって自分の事しか知らないのと同じで、形を変えた無知な気がするし。
 そこには、なにも無いと思う。
 や、あるにはあるんだろうけど、それだけじゃ、足りない。
 私は、足りないな。
 逆に言えば、その無知であることを知れというか、たぶんソラヲトはそこからずっと始まって、そして、
 ずっと続いてく作品なんだなぁと思いました。
 んー、なんか上手く書けないけど、この作品はなんかこう、すごいなぁ。 (ぉぃ)
 
 
 
 
 
 でね。
 
 刀語  千刀 鎩:  アニメ「刀語」第三話、感想。
 なんというか、不思議だなぁって。
 なんで私ってこんなにムキになってるんだろ。
 迷彩殿を観てると、なんかこう、わかるというか、でもどうしようもない、けどどうしようもないと言っている
 自分自身は確かに此処にいて、なのにどうしようもないと言うことに、あれだけの事を為してきて。
 不思議。
 心身共に追い詰められてきた女達を守り癒す。
 そのために千の刀が必要。
 女が力で身を守り、そして誇りを手にする。
 それが、逆にいえば、その力と誇り無くしては、女は女でいられないという矛盾を生む。
 刀が無ければ維持出来ぬ、男のように、男と張り合わなくては生きていけぬ、それ自体がもうおかしい。
 迷彩殿は、そのことに気付いてた。
 でも、それに気付いても、どうにもならない。
 曰く、それが現実だ、と。
 しかし、この上無く、おかしい。
 なんのために戦うのか。
 その理由無くしては戦えぬというのなら、戦いなどやめてしまえばいいと、まにわにの三人目は言ってた。
 女達のために戦う?
 違う、ちゃんと迷彩殿は、自分のためにも戦うと言っている。
 でも、それは同じこと。
 戦うのに、なぜ戦う理由が必要なのか。
 なぜ迷彩殿は、おのが修めた千刀流を、ただの技術だと言い切るのか。
 迷彩殿が、これみよがしに、しかし、すがるようにして、はったりをかます姿に深く感じる。
 哀れみを誘う作戦失敗だのなんだの、本気で七花を籠絡する気なら、あんなネタ晴らしはしないし、
 逆にそのネタ晴らしそのものが、強くなにかを求めていることを証す。
 迷彩殿は、戦いたい。
 女達も、守りたい。
 けど、女達を守るために戦うことは、したくない。
 戦いは戦い、守りは守り。
 なのに、それぞれ別個であることが儚く苦しく、どうしてもそのふたつは結びついてしまう。
 結びつくことで、本当はその戦いも守る行為のどちらもしたくは無い、という己の本性を満たしてくれる。
 どちらかつかず、迷うことそのものに、意味がある。
 
 迷彩殿は言う。
 七花に言う。
 迷わないのは、それもひとつの怠慢ではないか、と。
 その通り。
 けれど同時に。
 迷うこと自体を目的にした時点で、それもまたひとつの怠慢と化す。
 
 それが、千刀・鎩の毒。
 
 千刀は、一本の刀への執着を捨てることを主旨とした刀。
 戦場にある刀はすべて、己のもの。
 けど、それは同時に、刀自体への執着はより増す結果となる。
 一本の刀への執着を捨てることで、刀そのものへの執着を薄れさせたような安堵感を得ることが出来る
 、それゆえに、千本の、つまり刀という得物自体は必ず必要であることは正当化される。
 刀そのものを不要とする、虚刀流とは似て非なるもの。
 では、刀とは、なにか。
 女を守るために、刀を守る戦いに身を投じるとは、一体どういうことなのか。
 迷彩殿は、千刀流を修めた。
 それがすべてと信じて、そして裏切られた。
 それを、ただすべてと信じた己に非があると考え、ゆえに、千刀流をひとつの道具として見、そうする
 ことで、その道具を扱う己こそをすべてとした。
 その己が、なんのために戦うのだろうか。
 女達を守るためか、自分のためにか。
 なにか。
 違う。
 迷彩殿が、お前はなんのために戦うのかと問うたとき。
 七花は、とがめのためだと即答した。
 俺は、とがめの刀だからな、と。
 なんだろう、この違和感は。
 迷彩殿の表情の温度が下がる。
 私は・・・・刀になれなかったのだな・・・
 刀は道具では無い、千刀流も無論、そう。
 刀は、千刀流は、あくまで、心。
 それを持ち修めるもの、自身。
 
 『 刀 は 持 ち 主 を 選 ぶ 、 た だ し 斬 る 相 手 は 選 ば な い 。』
 
 『千刀鎩はあんたを選んだ、俺がとがめを選んだように。』
 
 剣心一如。
 あんたは刀の持ち主なのかい?
 俺には、あんたが刀にしか見えないんだけどな。
 そんなに、戦いたがっているのに。
 あんたは、千刀流当主じゃないのか?
 迷彩殿は、女達を守りたいという、その「刀」こその持ち主であって、戦場の刀を支配する千刀流の
 持ち主では無い。
 迷彩殿は、千刀流当主という、紛れもない、刀自身。
 あんたに、あんたの持ち主はいるのかい?
 迷彩殿が、本当に求めていたのは、迷彩殿を使役してくれる、持ち主の存在そのもの。
 いや、千刀流当主の迷彩殿を使いこなす、その敦賀迷彩その人を見つけたかった。
 迷彩殿が千刀流を道具として扱っていたように言っていたことこそ、ブラフ。
 道具としての刀自身になることが出来ていないのに、どうしてそれを使えるだろうか。
 七花は、あっけらかんとしている。
 まるで、すべては刹那の酔夢のように、なんの拘りも無い。
 それは、大切なものが無いということとは、違う。
 
 『うん、いいんじゃないか。俺は俺でちゃんと戦うからさ、あんたはあんたでちゃんと戦えよ。
  いい勝負になりそうじゃないか。』
 
 あー・・
 この感覚、今までずっとわかんなかったんですよねぇ私。
 や、忘れていただけなのかもしれないけれど。
 戦うことと、守ることは、べつのこと。
 迷彩殿を見ていると、それがひとつのことになってしまっているのがよくわかって、逆に七花をみると、
 それが完全に分離しているのが見える。
 はぁ・・どっちかひとつじゃ無いってわかってたくせに、それをひとつのものとして考えるか、べつべつのものと
 してちゃんとひとつひとつやってくか、その問いに傾ける力が不足してたなぁ、私も。
 私もどうやら、だいぶ千刀鎩の毒にやられていたようです。
 だって、迷彩殿の静かな必死さがわかるもの、そしてその自分の姿だけはよく見えていて、なんとか
 その姿を打開してくれる人を求める感じとか、どうしようもなく感じちゃう。
 うん・・
 持ち主は、刀を選ばない。
 ただ、刀を用いて斬るものを選んだのみ。
 そして、選んだ瞬間に、もうそれ以上の選択肢が発生しても、それは選ぶ対象にも迷う対象にもなら
 ない。
 つまり、己が斬る相手を選ばない刀自身となる。
 逆かな。
 最初から、私はもうわかっている。
 自分がなにをしたいのか、なにを本当に求めているのか。
 だけど、ただそれだけで終わってしまうのも悲しい。
 だから、探す、迷う、拘りを求める。
 けれど本質的にはもう、決まっている。
 斬る相手を選ぶ必要など無い。
 それだけであることが悲しく、だからその刀を用いる持ち主を求める。
 けれど、刀であることに、変わりは無い。
 それはそれぞれ、べつのこと。
 ってなんか説明すると違うなぁ、なんか違う。
 なんだろ、どう書けばいいんだろ。
 
 んー、たとえば、私は死ぬのが怖い。
 というか、まだ死ぬ訳にはいかないっつーか、まぁ、色々やりたいことやるべきこと、守りたいもの守るべき
 ものがあるからね。
 だけど同時に、死なんか全く恐れていない、一心不乱になる自分がいることもわかってる。
 だから、なんていうか、七花と立ち合ったときの、あの迷彩殿の感覚がすごくわかるというか。
 全然死を恐れていないし、ひとりの剣士としての胆力は一流。
 や、胆力と言うと違うかな、ひとつの境地に達してるいうか。
 だから余裕もあるし、油断も無い。
 けど、ここで一心不乱に、千刀流の使い手として、一個の「刀」になってしまったら・・・
 あの子達は、どうなるんだ。
 途端に、死ぬのが怖くなる。
 いや、死ねなくなる。
 それが、剣士として死ぬことの怖さとは、全然べつのものなはずなのに、それが同じものだと誤認して、
 だから・・・
 殺し合いを、選ばなくなる。
 つまり、刀のくせに、如何に殺し合いにならずに済むかを選んでしまう。
 もし、私が死んだら・・・あの子達は・・・・あの子達は・・・
 七花は、あっさりと、その迷彩殿が囚われた毒に、光を与えるんだよね。
 勝てば、いいんじゃないか?
 俺がおもうに、千刀流が、千刀というのはあくまで方便で、ほんとうは刀に拘ることも無かったんじゃ
 ないのか?
 戦場にある武器は、なにも刀だけじゃ無いって話さ。
 あんたがあいつらのために死ねないっていうんなら、俺を倒せばいい話じゃないか。
 或いは、君主危うきに近寄らず、だっけか?、最初から俺達を山に入れなければよかったはずだ。
 それだって、立派な、あんたの守りたいもののために使う、得物なんだろ?
 あんたには、ちゃんといるじゃないか。
 あんたの、持ち主が。
 あいつらを守るために、あんたは戦う。
 死ぬことを考えている暇なんか、無いとおもうんだがな。
 
 自分のためにも、なんて。
 
 言ってる暇も、無いんじゃないか?
 
 迷彩殿がうだうだと自分語りをしてる間にも、虚刀流当主の鑢七花は、ただ純粋に、千刀流に
 勝つ戦法を考えていた。
 勝てなかったらどうする?
 そういえば、考えたこと無かったな。
 俺は馬鹿だからな、先のことなんて考えられないんだよな。
 でも、七花はだからこそ、今この瞬間に生きていることの実感度が、圧倒的に深い。
 負けたら、それまで。
 命を懸けるって、本当は、そういうことなんだろな。
 私はまだまだ全然、「今」に臨んでない。
 迷彩殿が、最初の一本、すなわち迷彩殿という刀自身を手にする持ち主になって戦った、あの姿に。
 私は・・・
 
 ぞっとするくらいに、鎮まってしまいました。
 
 
 
 覚悟、なんて言葉、ただのひとつも使わずに語れちゃいましたよ。
 そうなんだよねぇ、どうも私にとって「覚悟」という言葉が、最も深い毒のひとつなのかもねぇ。
 負けたら終わり。
 勝つためにこそ、絶対に勝つためにこそ。
 刀を、力を、知恵を、磨いてく。
 そう出来る自分のことを、あっさりと信じている。
 いや。
 
 絶対に勝ち続けると深く確かに信じているからこそ。
 それに応えるためにこそ、頑張るのだろな。
 
 
  『俺が負けていたら、約束通りあいつに鉋と鈍を渡していたのか?』  by 七花
 
    『いや・・その・・・私はそなたが負けることなどありえんと・・・だから』  by とがめ
 
 
 
 
 
 そ り ゃ ー 頑 張 っ ち ゃ う よ な !  (はいはい)
 
 
 それは七花だけじゃなくて、とがめもまた、同じなんよね。
 七花が戦い続けているからこそ。
 とがめは、でっかく、高く、カッコいい奇策を描き続けるのでしょうね。
 ・・・まぁ、普通に七花戦わせてるだけで、まだほとんどなんにもしてない気もしますけどね、あの人ww
 
 
 
 うん、なんとなくソラヲトと刀語を私が合わせて観て感想書いてる意味がわかるかなぁ、わからんよね、
 というオチ。
 
 
 
 
 
 はい。
 一切セルフツッコミ無しで、恥ずかしげもなく堂々と書きましたよ。
 
 
 さぁて。
 これを読み返す明日の私の顔色は、赤かな?、青かなぁ?   ←死んだ魚のような目をしながら
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

 

-- 100320--                    

 

         

                                  ■■ 雪解けの音 ■■

     
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 『 待ってください! 
 
   リオ先輩はこれ以上誰も不幸にしたくないからって、だから、自分の出来る事をするって。
 
   そのために行ったんじゃないですか!  なのに・・・
 
 
   嫌です・・私・・・・・みんな同じなのに・・みんな一緒なのにっ!』

 
 
  

              〜ソ・ラ・ノ・ヲ・ト ・第十一話・第1121小隊 空深彼方二等兵の言葉より〜

 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 白い足跡 どこまでも
 遠く 青い雲が 小さく 太く 固まって
 
    強いなぁ   たいへんだなぁ
 
 
 どうしようかな 歩こうかな どうしようか
 大きく息を吸ったなら 肩はどきんと痛くなる
 さくっ さくっ
 やっぱり空が止まってる
 髪が揺れて どこまでも
 こんなに雪を踏んで歩いても 全然足が濡れないね
 がっちり頑丈に足下固めて ずしずしと あったかい
 白い息 立ち止まる 綺麗な雪 真っ白に
 でも 色は 違うんだ
 白の下の緑 白にかかる青 白に立つ黒 点々 点々
 かさかさと触れるコートの中の軍服が 肌に優しくて 明るくて
 影 大きくて さぁーっと 光が閉じて 通り過ぎて
 
  『なんかクレハちゃん、ちょっとリオ先輩っぽいかもって♪』
 
 りんりんと 高鳴って
 クレハちゃん あんなに泣いたのに 泣きながら 立って
 ゆっくりと 染まるように クレハちゃんの背中が 涙であったかく 凍っていって
 なんだか ほんとに リオ先輩みたい
 泣きたいのに 泣いてるのに ぐっと凍って固まって いつでも雪解けの春を信じてる
 涙と 雪
 同じだね
 クレハちゃんと リオ先輩への想いが ひとつになって
 
 −− 響いてる
 
   溶けながら 固まっていく    音
 
 リオ先輩の 胸に届く その想い
 雪が降って 真っ白に降って こんなに一杯 一杯
 きっと リオ先輩のところには 一粒も雪は降ってないんだよね
 みんなぜんぶ 空に届けと 音に乗せて
 さくっ さくっ
 耳を通って そのまま届け 雪を踏む音
 リオ先輩の胸の中に この音を 届けて
 クレハちゃんは ちゃんと リオ先輩の雪を歩いてます
 
 
 
 その雪の中で
 ローマ兵の女の子をみつけました
 
 
 
 ローマ兵って 怖いなって 腕の紋章を見るまで忘れてて
 まさか こんなところに あの怖い怖い人達がいるなんて
 でも それはたぶん 嘘なんですね
 本当に ローマ兵という文字が見えなければ 怖さなんて わからなかった
 ただの 冷たく凍り付く 女の子
 きっとなにかを 誰かを 守るために兵士になった ひとりの女の子
 私と同じで 私と違う 理由と 動機と目的で 生きている女の子
 敵?
 なんでだろう それは怖いお話の中の ただそれだけのお化けでしか無くって
 だから そんな怖いお化けが ほんとにいるなんて あり得ないと思ってて
 お話の中の存在です だから いるわけ無いって
 だから ローマ兵の紋章を見たときの怖さって あのお話を聞いて震えたときと 同じものでした
 あの紋章をはがしたら だからその子は ぽんと 私達の目の前に現れるのかなぁって
 お化けがほんとにいた?
 ちょっと 違うんです
 お化けの話を久しぶりにきいた そんな感じでした
 怖いのは だから そのローマ兵の紋章 だけでした
 怖い 怖い とっても怖い お化け話の詰まったその紋章が 怖くって
 普通の 女の子
 ううん
 きっとその子も 私達の腕の紋章に 震えてて
 リオ先輩
 どう おもいますか?
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 そうねぇ、リオだったらどう思うでしょうねぇ。
 私には正直、わからないわ。
 どっちも、言いそうな気がして。
 クレハちゃんのように、私達は兵隊だと言って、あのしかめっ面をさらに厳めしくして言いそうだし、
 カナちゃんみたいに、でもほうっておく訳にはいかないと言うかもしれない。
 でもね、その両方のどちらにも共通している事はね、きっとリオはそのどちらの場合も、とてもとても、
 とてもとても悩んで答えを出すと思うの。
 そしてね、カナちゃん。
 
 私は、そのリオがどちらを選択するのだろうって、想像して、それに頼ることをやめられないの。
 
 『ねぇリオ・・・・あなたならどうする・・・?』
 
 
 今のリオなら、ほぼ間違い無く、この私達と同じ女の子を守ることを選ぶでしょうね。
 私も、その想いは同じ。
 でも・・・・
 だから・・・気になって、仕方がなくなるの
 以前のリオだったら、私達だけで無く、カナちゃん達のためにもと口実を使って、あの女の子を大人しく
 司令部に突き出すことを、苦渋の決断ながら選ぶはずだって。
 それに・・・頼ってしまうのよ・・・私は・・・
 リオがいたときは、リオこそがその自分の展開する口実にしがみついてそう言ってくれたからこそ、
 私はそのリオの口実を暴いて、そしていやらしくねちねちと、ほんとにそれでいいのかしらね?うふふ、と、
 そういうことが言えていたわ。
 そしてリオはそんな私の態度にイライラしながらも、そのイライラの影響を受けて、受け続けて、そうして、
 今のように、すべてを守るためにとこの砦から先へと進めていけたの。
 じゃあ・・・・そのリオがこうして私の目の前からいなくなってしまったら・・・・
 
 
 私は誰に、この女の子を守らなくてほんとうにいいの?、と
 いやらしく、微笑んでみせればいいのかしらね?
 
 
 私は、私に微笑んでいるわ。
 リオに言ってリオにやらせたのなら、私だって、私に言って私に色々やらせるのは当然の事だもの。
 まさか、自分では出来もしないのに、ただ好き放題リオに言っていたなんてこと、無いわよね?
 だから私は、微笑んでいるの。
 私がするべきことは、決まっているもの。
 
 ずるずると ずるずると、後退していったわ。
 
 駄目ね、私は本当に。
 リオの存在の重要さを、ほんとの意味で私自身、わかっていなかったようね。
 私には・・・・難しかった・・・
 敢えて・・・
 敢えて・・・・・
 言うわね、カナちゃん。
 
 
  人には、向き不向きというものがあるわ。
 
  だから人は、ひとりでは生きられないし、だから、互いに繋がり助け合って生きていくのよ。
 
 
 リオは、私の不向きな部分をとても大きく補ってくれる、そういう存在だったのよ。
 私がそれこそ、リオの意志を継いで、リオの代わりに、私の苦言によって変われたリオのように、
 あの女の子を守り、かつカナちゃん達も守るという事を選択して、こうして頑張ってみたけれど、
 ふふ、本当に、情けないことに、私は最終的には全部自分で責任を負って、結局・・・
 結局、力づくになってしまうしか無いの。
 私はね、カナちゃん・・・・・
 とっても、とても、罪深いほどに、不器用なのよ。
 全部、自分で背負い込んでしまうのよ、そうする自分を正当化してしまうのよ・・
 だから・・・自分に出来無い事を他人に要求することを・・・恥ずかしいことだと・・・戒めてしまうの・・
 私は、ずっとそうだったわ。
 そして今も、それは・・・
 だから、器用になろうとしていたのよ。
 人に頼れるようにと、恥ずかしさに囚われる事こそを戒めて、恥も外聞も捨てて、リオに頼ったわ。
 リオにいやらしく微笑んで、勝手に無理難題を押しつけて、そうしてリオが歯を食いしばってその私の
 不埒な要求の数々を背負って、そうして大きく成長していってくれるのが・・・嬉しくて・・・・
 
  私は・・・・ほんとうは・・・・リオみたいになりたかったのよ・・
  不器用なのに・・・・不器用さを器用に乗りこなしていくようになる・・・リオみたいに・・・・
 
 
 だから・・・・
 リオに、賭けてしまっていたわ。
 この土壇場で、この一番大事なときに、最も私達の今までのことが問われる状況で・・・・・
 私は、すべてを守るためにこの砦から出て、ひとりの皇女として行動して、その成果を出してくれる・・・・
 そのリオに、ずっと、ずっと、いやらしく、微笑み続けて・・・・・
 間に合わない・・・
 私はただ、リオがローマとの和平を成立させて、あの女の子の身柄を安全に引き渡せる状況になる
 まで、待っていただけ・・・・
 リオに、置いて行かれる気がした。
 私はリオがいなくちゃ駄目なのよ、と、その叫びを口実にして、なにも考えずに、隊長命令として、
 そして隊長の責務として、あの女の子を司令部に引き渡せばいいと・・・・
 拷問されるのは間違い無いのに、それを尋問と言い換えて、少しでも罪の意識を減らそうと・・・
 拷問されるとわかっていながら、それでも突き出すその罪を丸々背負う、その覚悟を持っている、
 ひとりの兵士として立派なクレハちゃんに、私は負けているわ。
 私は、その罪の意識をクレハちゃん達に負わせたく無いという口実を以て、拷問を尋問と言い換える
 だけ。
 覚悟なんか、出来無いのよ。
 いつまで経っても。
 私はただ、いつも、決心するだけ。
 捨て鉢になるための、決心だけ。
 私はほんとうに、あの女の子を守りたいのかしら・・・
 私はただ・・・
 
 自分を 守っているだけ・・・・よね・・・・・・
 
 
 
 カナちゃん。
 ノエルちゃんはね、あの見えない死神の製造に関わっていたのよ。
 そしてね、それが、ノエルちゃんの生き甲斐だったの。
 ううん、違うわ、殺戮そのものが生き甲斐だなんて、そんな事じゃ無いわ。
 ノエルちゃんはね、褒められたのよ。
 その殺戮兵器を作ると、褒められて、認められて、受け入れられて。
 詳しくは私も知らないんだけれど、かなり軍では認められていて、優遇されていたようよ。
 みんな、ノエルちゃんの周りには、ノエルちゃんに優しい人ばかり。
 まさに褒められて育ったのね。
 旧時代の遺物を発掘して、復元して、再生して、そして兵器として改良していく。
 嬉しかったでしょうね、自分が必死に頑張って作ったものを、笑顔で喜んでくれる人達に囲まれるなんて。
 私は軍に配属されるまでの、アカデミー生としての頃のノエルちゃんの事は知らない。
 アカデミー始まって以来の秀才だったというらしいけど、それだけだったら、そのアカデミーにいたときに
 周りにどう接しられていたかはわからないものね。
 でも、軍に配属されて、実績を残していけば、みんな・・・
 みんな、そのために、ノエルちゃんを認めていくものね・・・
 アカデミーの頃にどんなにつらいことがあったとしても、軍に入ってからのノエルちゃんは、幸せいっぱい、
 だったはずよ。
 望まれて、喜ばれて、そしてそれが、みんなのために、この国を守ることにもなって・・・・
 ノエルちゃんの笑顔が、私にはよく思い描けるわ。
 私にも、少しだけ経験あるもの・・・
 ノエルちゃんが作った兵器は、人を殺すものでは無かった。
 ノエルちゃんが作ったのは、恐ろしい敵を倒すものだったわ。
 ノエルちゃんがみんなに求められる、そのためのもの。
 そして、そのみんなのためになにかしてあげられる、そのためのもの。
 ノエルちゃんは、みんなが、ううん。
 ノエルちゃんはね。
 
 
  他人が、他者が、好きなのよ。
 
   人が、人間が、大好きなの。
 
 
 じゃあ、もし、そのノエルちゃんが。
 その誰かに喜ばれて、そしてその誰かを喜ばせてあげたいと想っているノエルちゃんこそが。
 その誰かを。
 誰か達を。
 人を。
 殺しているのだと、ノエルちゃんが知ったら・・・・・
 ホプキンス大佐。
 殺戮を目的にしているような、とても恐ろしい人。
 そして、ノエルちゃんを最も褒め、最も認め、そしておそらく最も愛した人。
 そう、殺戮兵器を生み出し続ける、その道具として。
 ノエルちゃんは、自分の作り出したものが、敵という紋章を背負った、紛れも無い普通の人達を次々
 と殺していくシーンを見てしまったようなの。
 それ以来、ノエルちゃんは笑わなくなった。
 いいえ・・・・笑えなくなってしまったのよ
 ノエルちゃんが大好きな、ただの人達を、ノエルちゃんは殺し続けていた。
 つまり・・・ね・・
 ノエルちゃんが大好きな人達への、その大好きという気持ちが、その人達を殺していたの。
 ノエルちゃんは、敵を憎んでも、人は憎んでなんかいなかったのに。
 大好き、だったのに。
 殺しちゃったのよ。
 ずっと。
 喜々として。
 喜んで貰えると信じて、実際喜んでいる姿を嬉しくこそばゆくあたたかく感じながら。
 
 殺した
 
 
 ノエルちゃんにとっては、殺したのは敵なんだから仕方が無い、なんて口実は無意味だった。
 そんなもので誤魔化せるほど、ノエルちゃんの人間への愛は、浅くも弱くも無かった。
 絶望的に塞ぐノエルちゃんに、きっと周りの人達はその口実を以て慰めようとしたのでしょうね。
 ホプキンス大佐なんて、その彼の持てるすべての能力を以て、ノエルちゃんを立ち直らせようとしたの
 でしょうね。
 敵なんだからしょうがない、いや君はむしろ誇るべきだ、云々。
 地獄・・・・よね・・
 なのに・・
 ノエルちゃんは・・・・・・・・
 諦めなかったのよ。
 私はね、カナちゃん。
 ノエルちゃんが笑えなくなったのは、それでもまだ、ノエルちゃんが人を愛しているという事を捨ててない、
 ってことなんだって、ずっと感じていたの。
 人のためになりたい、人に優しくしてあげたい、喜ばせたい、助けたい、暖めてあげたい・・・
 ノエルちゃんの笑顔を封じていたのは、人を殺してしまった事への罪悪感だけじゃ無いわ。
 ノエルちゃんはなにより、ほんとうに、自分の笑顔を大切に想っていたから、なのよ。
 敵なんだから仕方が無い、殺してしまった人達のためにも塞いでいる訳にはいかない、笑わなくては
 いけない、生きていかなくてはいけない、そういう・・・そういう・・・・
 そういう、一番では無い想いに、笑顔を託すことなんて、絶対にしたくなかったからなのよ。
 またいつかきっと、純粋に、素直に、そのまま暖かい気持ちになれるときのために、ノエルちゃんはその
 笑顔を隠して、そして、必死に守り続けていたのよ。
 絶対にその笑顔を託せるものと出会える日が来ると・・・・ずっと・・・ずっと信じて・・・・
 そしてノエルちゃんは、タケミカズチと。
 カナちゃんに、出会ったのよ。
 
 そして
 
 あの 敵の   女の子と  出会ったのよ
 
 
 
 怖くて
 
 恐ろしくて
 
 弾けそうで
 
 
 だから
 
 
 ノエルちゃんは
 逃げなかったのね
 
 自分の中の
 優しくて
 暖かくて
 ほんとうに大切な気持ちから
 
 そして
 
 ノエルちゃんの、一番の、笑顔から
 
 

   ノエルちゃんの、思わず抱き締めてあげたくなるような、あの笑顔は

自らの罪を贖える事の歓びなんかじゃ無いわ。

 

あれは

 

自分の笑顔に素直になれたことの

 

雪解けの音なのよ

 
 
 
 
 
 +
   +
 
 
 
 火を焚いて あったかくして だけど溶けなくて
 指が 赤黒くて フィリシアさんは凍傷だって
 たいへん 指がなくなっちゃうって!
 どうしよう どうしよう
 手を触って 足を触って 部屋をあったかくして 
 そうしたら 涙が出てきた
 でもそれは 目の中で 凍っちゃう
 ノエルちゃん
 ノエルちゃんの目の中で 涙が疼いてる
 『ボクに任せてっ』
 絞り出すように 押し潰すように
 叫ぶ
 ノエルちゃんが 叫んだまま 溶けていく
 消えていきそうな なのに 消えるのと同じ量だけ
 雪が降る
 降り積もるノエルちゃんが 深々と暖まっていく
 轟々と 燃えるように 触ったら 指が裂けてしまいそう
 なのにそれは いつものノエルちゃん
 ノエルちゃんが優しいこと みんな知ってるもん
 ノエルちゃんが溶けて ノエルちゃんが凍っていく
 あったかく 凍って 凍るのは 溶けるためで
 ノエルちゃんの顔に張り付いていた紋章が 外れただけ
 よかったね ノエルちゃん そんな呟きは どこか遠く空の上
 フィリシアさんと クレハちゃん ぴりぴりと 光る音がする
 白く伸びる青い光が 部屋一杯に落ちている
 その女の子 アーイシャちゃんが どんどん落ちてくる
 ノエルちゃんが それをひとつひとつ 頬摺りしながら拾ってく
 クレハちゃんが ひとつひとつそれをめざとくみつけて 睨んでく
 フィリシアさんが すっとなにかを考えてく
 
 
 『目、覚めた。 良かった。』
 
  あったかい  音

 
 『この子はこの小隊で保護します。』
 
  きれいな  音

 
 『知りませんからね! どうなっても。』
 
  大きな  音

 
 『アーイシャちゃん、時告げ砦へようこそ♪』
 
 楽しいね 優しいね 明るいね
 
 
 ノエルちゃん 笑顔が とっても 膨らんで
 いつものみんな ひとりじゃない ノエルちゃん あったかいよね
 感じる 感じるよ
 ノエルちゃん 震えてる 滑るように 笑うように 小刻みに
 嬉しくて 怖くて なのに もう 止められなくて
 止めても いけないって 前に 前に 転がりながら 必死に 一歩を
 アーイシャちゃんに あーんて ノエルちゃんと一緒に
 ノエルちゃん 一生懸命に ふーふーってして 食べて貰えて
 『ローマ語、勉強しておけば良かった。』
 言葉がわかれば
 怖さが全部 紋章だって お話だって わかるのに
 気付いたら 誰もがみんな お話の中のお化けになってる
 優しさだって 笑顔だって 気付いたら お化けの気まぐれにされちゃったり
 違うよ 優しさは あったかさは そんなんじゃ ないよ
 
  『音は、響くんだよね。ローマもヘルベチアも、おんなじに。』
 
 
 
 
 
 
 
 そうねぇ。
 そうなのよねぇ。
 ヘルベチアにも、ローマにも、家族や親しい人を戦争で亡くした人達は大勢いて、どこにでもいて。
 私だって、大好きだった隊長や先輩達を・・・・
 それは、ローマの人達も、同じだもの。
 だから、その怨みや悲しみを水に流せ、っていうのは、やっぱり違う。
 だって、怨みや悲しみがあるのは事実で、その怨みや悲しみを見定めなければ、相手の事などわかりは
 しないもの。
 私達に都合の良い、怨みも悲しみも無い、ただそれだけの、なにも無かったことになっている、そんな人
 なんて、この世には存在しないわ。
 戦争だけに関わらず、私達はみんな、様々な事を通して繋がって、影響しあっているもの。
 当人に悪気があろうとなかろうと、よかれとおもってやったことだろうとそうでなかろうと、あるいは、
 なにもしていないつもりであろうとなかろうと、そんな事は関係無いわ。
 私達は、この世界に存在しているだけで、ただそれだけで、無限に影響を与え合い、そしてその中に。
 
 無数の物語を生み出し続けている。
 
 様々な紋章を、互いに刻み合いながら、ね。
 でもね・・・
 でも・・・・だからこそ、なのよね
 そうした紋章を刻み合い、恐怖と怨嗟の物語を綴り続ける、そうした、紛れも無い、私達自身が、
 こうして生きて此処に存在していることを感じる。
 怨みや悲しみがあることは事実。
 これは絶対に、水に流さない。
 だから、だから。
 優しさも愛もあることも、また事実。
 これも決して、闇に葬ったりしない。
 それぞれ、別のことなのよね。
 ローマもヘルベチアも、互いに憎み合っているし、そして同時に、それでもひとりひとりの人として、
 優しい気持ちを守りたいと思っているのも、また事実。
 そして守り切れなくて、どちらか一方に振り切れてしまう人が、たくさんいるだけ。
 リオはきっと、その事に気付けるでしょうね。
 もう、気付いているかもしれないわ。
 だから、怨みに徹することは自ら優しい想いを向けたい隣人の存在を絶つ事になるのがわかるだろうし、
 逆に優しさに徹するだけではまた新たな怨みを生み出すことに貢献してしまうのもわかるはず。
 
 
          私は・・・・・
 
   リオ・・
 
 
 
 
 私も、ローマ兵を殺したわ。
 でも・・・ノエルちゃんみたいには・・・・なれていなかったの
 私はただ、ヘルベチアを守るために、隊長達と生きるために、そのために、ただ敵として、ローマ人を
 殺していたの。
 ローマ人は私達と同じ人間だってわかっていながら、なのに私は、ほんとうはわかっていなかった。
 もし、隊長達が・・・・・
 カナちゃん達が・・・・・
 ローマ兵だったら どうするのかしら
 戦場なんだから、自分の命を守るために、私ならそれでも撃つ。
 たとえ隊長でもカナちゃん達でも、私を殺しにきたのなら、迷い無く、殺すわ。
 でも・・・
 だから、わからなくなっていったのね・・・・
 どんどん、どんどん、なにもかもが、私を殺すかもしれないという恐怖に染まっていくの。
 敵の斥候兵ひとりを匿ったところで、私が即死ぬ訳じゃ無い。
 なのに私の中では、あらゆる可能性が拾い上げられ、そして一切の迷い無く、斥候兵を匿うべきでは
 無い、という結論を正当化してしまう。
 それが、軍隊。
 でも、私は人でもあるのよ。
 クレハちゃん、私達は確かに軍人よ。
 そして同時に、ひとりの人間よ。
 戦争は、仕方なく、しているのだということを、絶対に忘れないで欲しいの。
 そして、その仕方なく、が、多くの人をほんとうに殺しているのだということも、知っていて欲しいの。
 しかたない、しょうがない、確かにそれはそう。
 だけど、それはほうっておくと、どんどんと他のものを巻き込んで、気付いたときには、なにもかも、
 しかたないしょうがないものに支配されてしまう。
 私は、戦争なんかしたく無いわ。
 軍隊の中で、それはタブーよね、おそらく最高の。
 でも。
 人としては、絶対に捨ててはいけない、最も大切な想いよね。
 そして、その想いを守るのは、他ならない、私達自分自身。
 それは、それだけは、誰も守ってはくれないのよ。
 
 
  でも。
 
  そうして、自分の大切な想いをひとりで守っているのは。
 
  あなたひとりだけじゃ、無いわ。
 
 
 軍隊は、人としての想いをひとりで守らなくてはいけない、という恐ろしい状況を癒してくれる、
 そういう麻薬でもあるの。
 なにも考えずに、すべてを正当化して、自分が人を殺して怨みや悲しみなどの、その一方に振り切れる
 事を許してくれる、そういう場でもあるの。
 人は怨みに落ちたとき、人を殺したくなるわ。
 それでも消えない、人への優しい気持ちが恐ろしいあまりに、ね。
 私も、不安だった。
 世界が終わってしまう、その噂が、怖かったわ。
 ひとりじゃ、いられなかった。
 ひとりで、ひとりの世界を守ることが出来無かった。
 私は、悲しかった。
 なのに、世界が終わってしまうかもしれないのに・・・
 生きていることが、嬉しかったの。
 その悲しさと嬉しさが、私の中に同居して、その両方を守りながら生きることが・・・・怖かったのよ
 どちらか一方にしてくれる、そういうものが欲しかったのよ。
 隊長達と一緒に戦えたとき、私は、世界が終わるという悲しみを忘れていられたわ。
 隊長達が死んで、そうしたら、私は生きることの嬉しさから逃れることが出来たわ。
 嬉しさだけ、悲しみだけ。
 軍隊は、それの繰り返し。
 いいえ。
 そういう、あくなき人間の弱い心が、軍隊というものを生み出し、そしてそれを必要とせずにはいられなく
 なるのよ。
 
 リオ・・・
 
 
  ううん
 
 
 カナちゃん
 
 
 クレハちゃん
 
 
 
 私は、だから、こうして今も軍隊に居続けているの。
 私は、弱いわ。
 だから、此処にいる。
 居続けて、居続けて。
 やがて・・・
 
 弱いまま、不器用なまま、強く、器用になっていくために、私は此処にいるのよ。
 
 軍隊の中で
 終わる世界の中で
 
 人として
 ひとりの 私として
 
 幸せに 生きるために
 
 
 ほんとうの 一番の 雪解けの笑顔の音を きくために
 
 
 
 私は、私の優しい気持ちが大好きよ。
 だから、人を殺したくないし、戦争もやめさせたいの。
 そしてね、私は世界の終わりも受け入れようと思うの。
 だって、私は、世界が終わったということを、もう何度も感じてきたもの。
 大切なものが奪われて、無くなって、殺されて、そのときの悲しみと怨みは、ほんとうなんだから。
 その悲しみと怨みを私は捨てないわ。
 捨てないからこそ、世界の終わりを、私は信じるわ。
 そして。
 私の、私の中の優しい気持ち、人を想う感情、笑顔。
 それも、ほんもの。
 ほんもので無いものなんて、なにひとつ無い。
 だから。
 世界は、何度でも終わる。
 だから。
 世界は、何度でも終わるために、何度でも、始まっていくの。
 その終わりと始まりを繰り返す、その世界は、消えないのね。
 
 私は弱い。
 おまけに不器用。
 全然駄目よね、日頃偉そうなことを言っていても、いざというときには大した事は出来ないの。
 そしてあっさりと、何度でも諦める。
 所詮私に出来ることなんて、この程度だって、しかたないんだって。
 ひとりだけ、勝手に、そうして、諦める。
 私は、自分に出来る事だけに拘って、自分のしなければならない事から目を背ける事は嫌いだった。
 でも今は。
 リオを見送って、そして、この窮地の中で。
 私は。
 
 
 
 
 
 私の出来る事を、まだ全然。
 
 極めていないことを、知ったわ。
 
 
 
 
 私に出来る事はまだきっとあるはずよ。
 その探索が、捜索が、必死な足掻きが失われていたことに、ようやく。
 ようやく、私は気付いたわ、ノエルちゃん。
 私に、私達に出来ること、いますぐ出来ることって、私達が思っているより、圧倒的に多いのね。
 まだ私も、ノエルちゃんも、自分の全力を、出せてなんていないのよ。
 私達にはまだ、限界を語る資格なんて、無かったのよね。
 ノエルちゃん・・
 あなたのその笑顔は、まだまだこれからどんどん、深まっていくわ。
 だから・・・
 ノエルちゃん・・
 もっと、もっと、苦しみなさい。
 もっと、もっと、もっと、あなたがローマの人達にしたことの凄まじさを知りなさい。
 あなたの中にあり続けている、その恐怖は、ただあなただけのもの。
 手前勝手な、あなただけの、お手軽な罪悪感にしか過ぎないのよ。
 ローマの人達からしたら、あなたはただ勝手に都合良く苦しんでいるだけ。
 あなたが苦しんでも、ローマの人達の怨みや悲しみを癒せるわけ、無いでしょう?
 いいえ。
 それ以前に、あなたはローマ人が受けた苦しみと絶望の、そのほんとうのところをなにもまだ、知らない。
 
 向き合いなさい。
 甘えないで。
 もっと、もっと、地獄を味わいなさい。
 
 
 それは
 
 あなたがやらなければならないもの、なんかじゃ無いわ。
 
 それは
 
 あなたに、出来るものなのよ。
 
 
 あなたがそれだけ苦しむということは、それだけあなたに求めるものがある証拠だもの。
 ノエルちゃん。
 あなたは、赦されたい、のじゃ無いのよね。
 あなたは、ローマの人達に赦されて、そして心の安寧を得たい訳じゃ無いのだものね。
 ローマの人達に復讐されて、身を刻まれて、それを以て贖罪と為して良しとするのじゃ無いものね。
 向き合いなさい。
 あなたを
 信じなさい
 あなたの 求めるものを
 ローマの人達のために
 あなたが殺した人達のために
 遺されて今も苦しんでいる人達のために
 そしてなにより
 ノエルちゃん
 
 あなたの  人を愛する そのなによりも 最も深い 最高の 一番の 欲望のために生きることを
 
 
  愛し続けて頂戴
 
 
 
 
 私はあなたのその笑顔を守るために、諦めないわ。
 辛いわね、空気がびりびりして、初めて自分が震えを押さえていることに気付いたわ。
 ホプキンス大佐はやっぱり一筋縄でいかないみたい、私の甘さだけを思い知らされたわ。
 もう、心が折れそうよ。

 でも
 
 ふふ
 ノエルちゃん、忘れないで。
 クレハちゃんも。
 私達には
 
 カナちゃんが、いるのよ
 
 
 
  私達が 守りたいカナちゃん
 
  そして

 
  誰かを守りたいと想う その私達の想いを守ってくれる、第1121小隊ラッパ手、空深彼方二等兵が

 
  あんなに空の音を奏でているわ

 
 
 
 〜 ひとりじゃ ない 〜
 
 
 
 
 『悩む必要なんてありません! 私達はヘルベチア軍人です。』
 
 
  その通りよ クレハちゃん
 
 
 
 だから
 
 だから
 
 
 
 言うわ
 
 
 
 
 
 
 
 

『これより、第1121小隊長として命令を下します。
 

 
 

なおこの命令は私の独断であり、全責任は私が負うものであることを宣言しておきます。
 

いいわね、みんな。』

 
 

 

 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
                              ◆ 『』内文章、アニメソ・ラ・ノ・ヲ・ト」より引用 ◆
 
 
 

 

-- 100316--                    

 

         

                                 ■■ ぐだぐだスキル ■■

     
 
 
 
 
 ・ごきげんよう。 (挨拶)
 
 
 ・今週が忙しさのピークなので、遂に恒例の箇条書きモード発動です。
 
 ・今週っていうか、ぶっちゃけ今日が天王山っていうか今夜が峠。
 
 ・死ぬ。
 
 ・ごめんチャット無理、今日こそ無理。
 
 ・火曜出たら木曜休んでいい口実を、木曜出たら火曜休んだ言い訳が成立するというか不文律が、
  管理人の中にのみ発生しているスパイラル。
 
 ・スパイラルとか言ってごめんなさい。
 
 ・忙しいとか言ってごめんなさい。
 
 ・まぁそれは置いといて。
 
 ・特に書くことないのですが。
 
 ・ソラヲトとか
 
 ・刀語とか
 
 ・すげーって言うくらいです。
 
 ・ていうか、ソラヲトと刀語はセットで見てくと色々と昇華出来たりします。
 
 ・面白い。
 
 ・反駁あってこその面白さ。
 
 ・SあってのM。
 
 ・半分冗談です。
 
 ・それくらいしか書くことないってことです。
 
 ・そもそも箇条書きでアニメ語れっていう方が無理なんです。
 
 ・私は悪くない。
 
 ・悪くないよ。
 
 ・まぁそれは置いといて。
 
 ・ほんとうに他になにもないのですか。
 
 ・あー
 
 ・えー
 
 ・なんだっけ
 
 ・あ、そうそう。
 
 ・だから、今月今宵のお楽しみの刀語感想は延期です、って報告するのでした。
 
 ・無理、無理だから、ほんとうに無理だから。
 
 ・だからたぶん来週な、来週まで待ってな。
 
 ・あーあと、刀語のサントラって出るん?
 
 ・むしろソラヲトの曲より好きなのだけれど。
 
 ・でもどーせ、毎回変わるEDはまたDVDのおまけなんでしょうね。
 
 ・化物語もそうだったし。
 
 ・どうせなら、西尾維新原作モノの音楽集作っちゃえよ。
 
 ・あ。
 
 ・それで思い出しました。
 
 ・CD、作りました。
 
 ・前に言ってた奴。
 
 ・気に入った曲をダウンロード購入したりして、一枚のCDに焼いただけなんですけど。
 
 ・自分なりに収録順を考えてやったりして、楽しかったです。
 
 ・ていうか恋愛サーキュレーション欲しかったのに。
 
 ・DVDの特典としてのみに収録の曲ですか。
 
 ・ダウンロード販売もレンタルもCD販売すらしてませんか。
 
 ・DVD? 買いませんよ。 買うものか。
 
 ・負けんぞ。
 
 ・この人にデレは訪れるのでしょうか。
 
 ・まぁ、そんな感じです。
 
 ・終わり。
 
 ・ぐだぐだですね。
 
 ・ですね。
 
 ・ごきげんよう。
 
 
 
  *今回の執筆所要時間: 約15分
 
 
 
 
 
 

 

-- 100313--                    

 

         

                            ■■ わからないを生きる音 ■■

     
 
 
 
 
 『  たとえ どんなに 遠く離れていても
 
    音は 響く
 
       音は 響いて
 
           そして 伝わる から 』
 
  

                          〜ソ・ラ・ノ・ヲ・ト ・第十話・リオとカナタの会話より〜

 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 馬鹿げてる。
 馬鹿げてる。
 なんでそんなみんな馬鹿なんだ。
 どうしてそんな事が出来るんだ。
 いや、どうしてそんな事がしたいんだ。
 わからない、嫌だ、そんなのは許せない。
 
 
 母様はずっと男を待っていた。
 待って、待って、待ち続けて、そのまま死んだ。
 姉様は、自分の優しさに溺れて死んだ。
 なんでだ、なんでなんだ。
 それが、それが、その私の嘆きが、置いていかれた私の気持ちだけから出たものとは言わせない。
 なんで、なんで母様は、姉様は・・・・・・・自分から・・そんな・・・・・
 私にとっては、誰かのために死ぬということは、欺瞞以外の何者でも無かった。
 母様も姉様も、その愛と優しさを向けた相手のために死んだのでは無く、間違い無く、圧倒的に、
 その愛と優しさそのものへの自分の想いのために死んだのだから。
 嫌だった。
 なにかもう、どうしようもないくらいに、嫌だった。
 誰かのためにと言って、その誰かのせいにして死ぬ奴なんて、私はどうでもいい。
 でも・・・
 誰かのためにと言う、その自分の想いへのぬくもりだけに終始した、その人の事が、許せない。
 私は・・・・
 母様と姉様に・・・・・ずっと・・・・・・・ずっと・・・・・・怒っていた・・
 好きだったのに・・・・私だって・・・母様と姉様のことを・・・・・・
 母様と姉様には・・・もっと・・・・もっと・・・・・沢山のものをみせてあげたかったのに・・・・
 その事の中には、私の成長も、無論入っていた。
 私は、嬉しかったんだ。
 母様とふたりだけの生活が。
 私が、なにも出来無い子供であることが。
 私には、努力の才能があった。
 いや・・・
 なにもせずにはいられない、という、凄まじい渇望があった。
 だから、私はなにも出来無いただの子供である自分を嫌悪し、絶対になんとかしてみせると足掻き、
 そして、一歩ずつ、着実に色々なものが出来るようになっていった。
 その様を、母様がにっこりと嬉しそうに眺めている、それが、私の幸せだった。
 こうして日々成長していく自分の姿を魅せる事が出来るなら、なにも出来無い子供な私を受け入れる
 事も、可能だったんだ。
 なにも出来無いからこそ、なにかが出来るような可能性があったんだ。
 嬉しかった。
 私が、母様を微笑ませることが出来て。
 そして、なにより。
 
 
  〜 私に、母様を幸せにしてあげられる、その可能性を、みつけられて
 
 
 
 退屈だった。
 私の生まれた村は、静かで、美しくて、ただそれだけだった。
 その静けさと美しさを求める者達の訪いのために存在している、そんな村だった。
 その中で、母様は父様を待っていた。
 来るはずも無いのに。
 行き止まりだった。
 地獄だった。
 母様は恨み言ひとつも言わなかった、嘆き悲しみすらしなかった。
 父様の訪問がある事を信じてなど、いなかった。
 父様の訪問がある事を信じている、その自分の事しか、信じていなかった。
 幸せ、だったんだ。
 母様は、もう、幸せだったんだ。
 私は・・・・・・・
 
 それが、地獄だったんだ。
 
 悔しくて、悔しくて、悔しくて、悔しくて、ああ、どうしようもなく、悔しくて・・・・・・
 母様・・・
 母様はもっと幸せになれるのに・・・
 幸せは・・ひとつじゃないのに・・・・・
 母様の・・・世界は・・・・・・・もう・・・・・・たったひとつだけに・・・・なっていたんだ・・・
 父様に、あの男に出会った瞬間から・・・・・・
 恋、なんだよな・・・・・・いや・・・・もうそんな甘いものでは無くなっていた・・・
 なにをしても、駄目だった。
 ごくごく普通の、優しくて、思い遣りもあって、生きていくために必要な事はなんでも出来て・・・
 なんの不自由も無く、ときには苦しみもあり、でもそれから抜け出すことも出来て・・・・・
 なのに。
 うっすらと、母様は父様に支配されていた。
 いや。
 母様の、父様への想いに、母様は完璧に囚われていた。
 その想いに心中した、その世界の終わりの中に、母様はずっと生きていた。
 私は・・・・・
 そんな母様を・・・・・・・・・・ほうっておくことなど、出来無かった!!
 母様のその幸せを認めることしか出来無いなんて、許せなかった。
 母様・・・母様・・・・・みて・・・・・私をみて・・・・・・
 私は、必死だった。
 私のことなぞ、顧みたことは無かった。
 母様に、ただ幸せになって欲しくて、なのに・・なのに・・・
 私の成長は、全部、ただ、母様の終わっていく世界の慰みにしかならなくて・・・・・・・
 私には、母様が既に幸せであることを認めないための、なんの口実も道具も無かった。
 疑いようが無かった。
 母様は、確実に、幸せだった・・・
 だけど、だけど・・・・・・・・・歪だった・・・・・・
 母様・・・母様・・・・・・
 
 
 
 
 
 鬱々として、動けない。
 姉様・・・
 姉様が初めて母様と私の家に来てくれた日の事を、私はほとんど覚えていない。
 もう昔から、私が生まれたときから姉様は、私の前に居たような、そんな錯覚が私の記憶。
 私に、失いかけていた希望を、再度与えてくれた人。
 私はそのとき初めて、私自身にも幸せがあることを教わった。
 姉様に褒められる、その私自身が嬉しかった。
 この人に褒められるために、認められるために、私は一生懸命にトランペットを習った。
 そうして、ひとつずつ上手く吹けるようになっていく、その私の姿を母様に魅せてあげられる事も嬉しかった。
 でも・・・同時に・・・・・不安だった
 母様は・・・・本当は・・・・・私に付き合ってくれてるだけなのかもしれない・・・・と
 母様は最初から・・・・私の成長なんて・・・・・なんとも・・・・・
 自分の幸せを見出したときに、それに気付いた。
 母様は、私を心配していただけなのではないか、と。
 そしてそれは・・・・私も同じだったのではないか・・・と・・
 私はずっと、母様を心配していただけだった。
 ずっと、ずっと・・・・・・私は・・・・・・母様の幸せを想う、その私の想い自身を嬉しくは思っていなかった
 姉様は、なにも言わなかった。
 微風のような人だった。
 悲しかった。
 微風なのに、この人は私の姉様なんだ・・・・
 母様は違うのに、父様は同じで、だから半分同じ血が流れていて・・・・なのに・・・・・
 なのに・・・・姉様は、私と母様の家族じゃ無かった
 腹違いの姉、というのが私にはただの言葉にしか過ぎなかったのに、この人は私の姉様なのに・・・・・・
 完全に、他人だった。
 姉様は、ほんとうに、優しい風だった。
 風でしか、無かった。
 私はこんなに、姉様として慕っていたのに。
 姉様は、ただ優しさで、誰にも振りまく優しさに、「妹のため」というラベルを貼ってかまってくれてただけ・・
 家族じゃ・・・無かったんだ・・・・あの家には・・・・・・・姉様も・・・・・・・・父様も・・・・・・いなかった・・
 複雑だった。
 こんなにあの人に褒められて嬉しいのに、この人が姉様であって姉様では無いということが・・・・・
 ただ悲しかった
 その姉様が、赤の他人のなにも出来無い子供を助けて代わりに死んだと聞いたとき・・・・・
 
 
  私は、ほっとしたんだ
 
 
 
 姉様は、あくまで腹違いの姉で、家族じゃ無くて、優しさの奴隷で、他人として他人のために死んだ。
 姉様なのに姉様じゃ無い、という葛藤から、私は解放された気がしたんだ。
 悲しかった、だけど、ほっとした。
 罪悪感は無かった。
 姉様が死ぬだいぶ前に、母様は死んでいた。
 私はなぜか、姉様が死ぬまで、母様の不在を感じてはいなかった。
 不思議だ・・・母様が死んだときは、ただ悲しくて、悲しくて、すべてが終わってしまったようで・・・
 なのに・・・・なぜか姉様が死んだときに、私は初めて、親しい人の死に悲しみ以外のものがあると・・・
 いや・・・・・母様のときにもあったはずのそれが、そのときは失われていたことに・・・気付いたんだ・・
 私は、母様が死んだときにも、ほっとしていたはずだ。
 私は苦しかった、それから解放された、だからほっとしていたはず・・・・
 だが、私のその苦しみは、カタチを変えて、姉様への想いに継承されていたんだ・・・・
 ほっとする間も無かった。
 そして・・・・・
 今・・・・
 母様と良く似た、マダムと出会い。
 そのマダムの、不幸な幸せの最期に立ち会って。
 私は。
 今。
 
 
 
 どうしたらいいのか、わからなくなっていた。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
   ・・なにも出来無い子供が姉様を殺す
  ・・なにも出来無いくせに姉様を慕い姉様に希望を見出した我が儘な子供が姉様を殺す
 ・・姉様 殺した  私が   我が儘で
      ・・なにも出来無いくせに
  ・・なにも出来無いくせに なにか出来るようになりたいという欲望に駆られた小さな獣
 ・・だから子供は嫌なんだ
  ・・嫌だ なにも出来無いのは嫌だ
    ・・でも なにも出来無いまま なにも求めなければ 誰も殺さない
 ・・殺したくない 姉様を殺したのは私
          ・・私は ひとり  死んでしまいたい
  ・・母様
        ・・嫌だ
    ・・母様みたいになりたくない
      ・・母様
  ・・どうして死んでしまったの
      ・・どうして私みたいにならないの
     ・・姉様
 
   姉様
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 ◆
 
 混乱。
 なにを言っているのだろう、私は。
 縷々と自分の想いを読み解いてみたところで、そんなものはすべて嘘っぱち。
 私は、もう、とっくの昔にわかっていることなど無くなっていたはずなのに・・・・
 それなのに・・・・わかったと言えるものを作って、重ねて・・・・それを隠れ蓑にして・・・・・
 なにもわからないことが、どうしようも無く、私に押し寄せていた。
 マダムが死へと走り出したとき、私はそれを追った。
 死なせてはいけない、絶対に、絶対に、死なせるもんか!
 思い出に逃げるな、幸せに逃げるな、思い出は、幸せは、ずっと先に続いてるんだ!
 だが、走り続けるうちに、私の力は抜けていった。
 もう嫌だ、追いかけるのは。
 そういう想いも確かにあった、もうどうでもいい、もうどうでもいいんだって、確かに想っていた。
 だが・・・・・・・
 それは、あっさり消えて。
 私は、全くカタチを変えて、諦めなかった。
 これで、いいんじゃないだろうか。
 いや、いいも悪いも無い、考えること自体が、必要なものじゃないんじゃないか。
 不思議な感覚だった。
 私は・・・・逃げていた
 迷い、迷い、行き止まり。
 でも、そうして迷ってばかりである事は責めても、それだけだった。
 混乱の極み。
 今こうして、此処に立っているのに、マダムの死と向き合っているのに。
 混乱、混乱、なにもわからないのに。
 
 なのに、立って、歩き出していた。
 
 いいだろう。
 わからないのなら、わかるまで考えてやる!
 わからない、わからない、わからない!
 感じているものを閉ざして、純粋に言葉で考える。
 私は・・・母様が・・・・
 なんだろう・・・よく考えると・・わからない・・
 ひとつの幸せに逃げ込むことが、そんなに悪いことなんだろうか
 悪い悪く無いの話じゃ無く、私はただそれが嫌だっただけだ。
 諦めろ、運命に身を委ねろと、ただ押しつけられるのを否定はしたが、では、それが押しつけでは無く、
 自ら能動的に選んだものだとしたら・・・・・
 いや・・・・だからこそ・・・・能動的に選んだものが、そのひとつの幸せであることが嫌だったんだ・・・・
 わがまま、だったのだろうか、私は・・
 母様があくまで自分の意志でひとつの幸せに身を委ねることを選んだのなら、私はそれを変えることに
 勤しんではいけなかったのだろうか・・・・・
 私は・・・・ひとりは嫌だった・・・
 それは、寂しいからとかそういうことじゃない・・・・・・・・
 私は、ほっとけなかったんだ・・
 
 
 
     可能性が   こんなに豊かなのに    こんなに優しいのに
 

                  こんなに人がいるのに
 

        こんなに暖かくて    こんなに幸せ      こんなに こんなに  眩しいのに
 
 
 
 ひとりだけで終わってしまうことが、嫌だったんだ。
 私は、私がいた村は好きだった。
 静かで、美しくて、一個の絵画のようだった。
 だが、それはそれだけの話であって、私は絵の中の家を愛するだけで終わりたくなど無かった。
 私は、欲張りなんだ。
 もっと大きな町に行ってみたかった、もっともっと、私の知らない、世界の豊穣と出会いたくて。
 それが贅沢だというのなら、私はその贅沢を為すためにこそ、必死になりたかった。
 頑張って、学んで、働いて、戦って、守って、考えて、感じて。
 私の力は、知恵は、想いは、そのためにこそ、使いたかった。
 そして・・・・それを・・・・・・・そんな豊かな世界を、母様にも与えたかったんだ
 私は・・・・・この世に生まれたことが、なによりも嬉しくて・・・
 こんなに素晴らしい世界が・・・・・私に与えられたなんて・・・・・・
 それを与えてくれたのは、他ならない、母様だったんだ。
 そして、姉様は、さらに、さらに、私の世界を深めてくれた。
 私に、私の幸せを与えてくれた。
 姉様に、私にも与えられるものをあげたかった・・・
 母様の、姉様の、ひとつだけの幸せを、私がそうすることで、否定して貶すことになるのだろうか?
 私は、恐ろしかったんだ。
 私が、母様と姉様のために懸命になるたびに、その私こそが母様と姉様のひとりの人としての想いを
 汚す事にはならないだろうか、と。
 げんに、そういう風に言っている者達は多数いた、そうしてひとりひとりが全部ひとりで背負って、そして
 そのまま誇り高く死んでいけばいいと・・・・・・・・・・・
 
 
 私は、それが、許せなくて
 
 こんなに、世界は豊かなのにっ
 
 
 
 
 
 
 静かに
 静かになっていく
 私は激せば激すほどに、冷えていった。
 私ががなり立てているときは、むしろ私は大丈夫だった。
 私は・・・どんどん、静かになっていった。
 まるで、あの私の家のように、小さな水を湛えた湖のように。
 考える。
 考えれば考えるほどに、言葉に囚われていく。
 なにも見えない。
 いや。
 私は、考え切る事が出来ない。
 だから。
 考え切ろうと想った。
 考え切らねば。
 考えに、囚われてしまう。
 私は再び、マダムを追いかける私の疾走の中に戻った。
 マダム、あなたは・・・・・・なんなのだろう
 私が、来るかもわからない男を待ち続けてそのまま死ぬのは不幸だと敢えて言ったときに、
 どうしてそれが不幸だと言えるのかいとあなたは言った。
 自分の指を、いじりながら。
 私はそのとき、愕然として気付いたんだ。
 マダムは、わかっているんだ、それが、確かに不幸だという言葉で綴られるものだということを。
 マダムは、そしてもう、その言葉を語り切っているのだ、と。
 マダムに迷いは無かった。
 だが、その語り切った、不幸という物語は確かにマダムの胸の中にあったんだ。
 それを、感じるために、いや、感じているからこそ、マダムはその小さくしわがれた指を撫でた。
 わかってる、わかってるよ、それで、いいんだよ、と。
 私は、駄目だった。
 カナタみたいに、泣き叫べ無かった。
 私は、マダムと同じ人間だった。
 おそらく・・・・・・・私は・・・・・・・母様と同じ・・・
 泣けなかった。
 考えてしまう、考えずにはいられない、考えて、考え切って、その悲しみという名の物語を背負って・・・
 
 
 私は、絶対に、前を向いて歩くことを諦めない
 
 
 
 母様とマダムは、きっと、そうだったんだろう。
 
 
 
 
 
 
 
 ◆
 
           揺れる 
 
                      迷え
 
                                     ◆ 
 
 
 
 
 
 この街に来て。
 私はそれが、行き止まりだと思っていた。
 私の住んでいた村とは違って、賑やかで、明るくて、なにより沢山のものが満ち溢れていて。
 いても立ってもいられずに、町中を探検して回った。
 静かに、厳かに、音を、たてずに。
 炎に身を焦がしながら、ただひっそりと黒い空を見上げる乙女のように。
 下りだった。
 なぜだろう、どんなに喜々として歩き回っても、新しいものと出会っても、私の歩は下へ、下へと、
 ずっとずっと下っていった。
 下り、降り、そして、行き止まりの絶景に辿り着いた。
 なにも、感じなかったんだ。
 私はそのとき、始まりも終わりも無くなっていたよ。
 私は、鬱々としていた訳じゃ無い、むしろ喜々としていたんだ、なのに、静かだった。
 激しすぎて、激しすぎて、ひっそりと闇のように鮮やかに怒りを湛えて・・
 母様と一緒にあの光景を見ても、おそらくそれは同じだっただろう・・・
 ああ・・・・
 私は・・・・・
 母様が・・・・・・私との生活を・・・・・ほんとうは・・・・・・ほんとうに・・・・幸せに受け取っていたことを・・
 知らなかったのだから・・
 
 
 迷い、迷い、迷い続け、それは果てることの無いままに、行き止まりに辿り着いた。
 折り返したくない。
 戻りたくない。
 
 私はただ、それが、折り返すしか無いという意識しか無いことが。
 戻るしか無い、道を間違えたら正しく歩み直すしか無い、そういうのが、どうしようも無く嫌だったんだ。
 
 
 私は、間違えるのが怖かった。
 ああ・・・・・間違えてしまったものは・・・・否定され・・消されてしまうと・・・思っていたから・・・
 私は・・・・
 私は・・・・・・・・・
 この街に来て・・・・・・・この街で・・・・・・・・・絶対に捨てられないものを・・・手に入れた・・・
 だから・・・・だから・・・・・・絶対に捨てないためにも・・・・・
 私は・・私がこの街に来たことを、道を間違えたのだとは、絶対に思いたくなかった。
 間違っていたら・・・・迷った末に、折り返し地点たる行き止まりに辿り着いた事になってしまうから・・・・
 そうしたら・・・私はこの街で得たものを・・・否定してしまう・・・・・
 こんなに・・
 こんなに・・・・・・・
 
 
 
 

幸せなのは

 

ほんとうなのに

 
 
 
 

だから

 
 

私は

 

この街に

 

しがみついてしまったんだ

 
 
 
 
 この街を、行き止まりにしているのは、他ならないその私だった。
 母様は・・・・
 母様は・・・・・・私のことを・・・・・・愛していた・・
 嬉しくて・・こそばゆくて・・愛しくて・・・・なにより大切な・・・・・
 絶対に捨てられない・・・そして・・・・・なにより・・・きっと・・・・・ありがたいものだったんだ・・
 母様にとっての私は、どうしようもないほどの、豊かさの象徴だったんだ。
 それは・・・私がこの街で得たものと、私が今、カナタ達の姿に感じているものと、同じだった
 
 母様は
 
 私を産んだことを、間違っていたと思っていただろうか
 
 私はほんとうに
 
 カナタ達と出会ったことを、間違っていたと思っているだろうか
 
 
 ああ、間違いだ。
 大間違いだ。
 母様には、父様がいた。
 父様の事を絶対に諦める訳にも、捨てる訳にもいかない、それは・・・それは・・・・
 母様だけにしか出来無い、母様が果たすべき、最も母様が欲しているもの・・・
 それを差し置いて、私との愛しい生活に命を捧げる訳にはいかない・・・・
 いや
 
 私との生活が、私への愛が
  なにより
   本物だから
    その幸せがあるから

 
 母様は、父様への想いに生きられたんだ!
 
 
 母様が、私を産んだのは間違いだ。
 母様にとっては、父様を想い続ける事こそに、それを絶対に捨てられないという、その母様自身の
 正しさを刺激するものを感じていたんだ。
 父様を想い続ける悲劇の物語、それが母様の正しさの正体だ。
 そして・・・母様は・・・・
 私を・・・・娘の私の存在を・・・・絶対に・・・否定なんか、しなかったんだ!
 母様は、そして、自分の正しいと想うことからも逃げなかったんだ!
 母様は、父様を愛し続ける、母様にしか出来無い事のために、それを絶対に諦めないためにこそ、
 私を利用したんじゃ無い。
 逆なんだ。
 私との生活を、私への愛を捨てられないと確信出来たからこそ、父様への愛も絶対に捨てないと
 決めることが出来たんだ。
 私はこの街に来て、カナタ達への想いに縋り付き、私にしか出来無い、私が絶対に捨てることの出来無
 い想いを無視してしまった。
 私はカナタ達との生活を選ぶ、だから、どちらが正しいか間違っているかの選択しか迫らない、
 父様を名乗るあの男にずっと叛き続けていたんだ。
 正しいも間違いも無い、私はただ、カナタ達を選ぶ、と。
 それはただ、私がカナタ達との生活を、間違っているという、行き止まりだと言う自信が無かったからだ。
 間違いを、生きる自信が無かったからだ。
 
 ああ
 
 
  カナタ
 
    お前は・・・
 
 
 
 
 

         −− 『私、よく道に迷います


 

− でも、迷うのは好きです −


 

いいじゃないですか、迷っても、行き止まりでも


 

                        だから私は・・先輩と出会えたんです!』 −−

 
 
 
 
 ああ・・・・そうだ・・・
 私は・・・・お前達と出会った・・・・出会えたんだ・・・
 母様も・・・・父様を想う・・想い続けるだけの孤独な世界の中で・・・私に・・・・会えたんだ・・・・・っ
 姉様・・
 あの人は粛々と運命を受け入れていたのでは無かった・・・
 あの人はただ・・・・色々な人と出会えて、そして、だから・・自分にしか出来無い・・・
 自分が正しいと思える事に、己の命を懸けることが出来たんだ。
 嬉しかったんだ・・・
 その自分が正しいと思える事を全うすることが、その出会えた人達のためにもなれることが・・・・
 姉様・・・
 姉様は・・・・・後悔していませんか・・・・
 私は・・今・・・・・・
 
 
 この世に生まれてきた事を、なにより後悔しています。
 
 
 だからこそ
 
 
 
 なにより、諦めません
 
 
 
 
 
 その後悔している事全部含めて、私が生きることを
 
 
 
 私はなにもわからない。
 わからない、わからない、わからなくて。
 混乱する。
 後悔なんてなにひとつしていないはずなのに、今こうして、後悔していると言ったことで・・・
 なにか
 完全に
 晴れた気がするんだ
 間違いでも、後悔していても、私は私の選んだ、その信じた道を行くよ。
 私には、未だに王位継承権を持つ、皇女としての自覚は無い。
 私には、ただ、母様と、姉様と、カナタやクレハやノエルやフィリシア達との世界があるだけだ。
 だが。
 私には、父様もいる。
 そして・・・
 私は・・・・・・姉様のように・・・もっと、もっと、誰かのためにと想える、その私の想いに生きてみたい
 そのための、皇女としての、私が私にはあるんだ。
 その私として、その私にしか出来無い事を、私はやるよ。
 それが正しいことだと、私はずっと昔、姉様の、その姉様の瞳から受け取っていた。
 私はそれを忘れない、忘れてない、捨ててない、捨てる、ものか!
 私は正しさを捨てない。
 誰のためでも無く、私のために。
 私の、幸せのために。
 私の幸せを願ってくれた、誰か達のために。
 だから、行くよ。
 私は、行く。
 第三皇妃として迎えられるとしたら、人質同然、辛い日々と運命が待ち受けていることだろう。
 だが、行く。
 私はそこでも迷い、また行き止まりに行き着くかもしれない。
 でもそこでもきっと、出会いがある。
 だから行く。
 
 行き止まりを、求めて。
 
 出会いを、求めて。
 
 みんな、繋がっている。
 
 それは、カナタ、お前達が教えてくれたんだ。
 
 だから私は、私と他の人達との繋がりを、さらに求めていくよ。
 
 向こうでもきっと、私は人の輪を広げていくよ。
 
 
 
 
      私は
 
           正しいことも
 
                      間違ったことも
 
 
 

決して

捨てないぞ

 
 
 
 
 正しい道を選びながら、間違いの道を歩くよ。
 そしていつでも間違いの道から逸れて、正しい道を行くよ。
 どの道も、繋がっている。
 正しいも間違いも無い、なんて、もう言わない。
 ふふ、元々私は、善悪をきっちり分けるタイプの人間なんだ、それでいいんだ。
 そして、間違えたら、戻らなくてもいいんだ。
 進めば、いいんだ。
 行き止まりの先にも、正しい道が広がっている。
 そしてそれは・・・・・
 私が元々歩いていた道の正しさと・・・・繋がっている・・・・
 母様のことが・・・今なによりもわかる気がした・・・・
 母様も・・・マダムも・・・・ただの一度も諦めること無く、前を向いて先に進み続けていたんだ
 私達との生活も捨てず、愛しい人への想いも捨てず・・・・
 だから・・・
 母様も・・・・マダムも・・・・・・・・・・・全部私達と繋がって・・・・・・
 
 
 なんにも捨てず、
 
 そして、わからないままに、生きていたんだ
 
 
 
 
 
 −   音
 
 
 
 音が聞こえる
 
 
 
 私は お前達が好きだ
 この街が好きだ
 母様も姉様も大好き
 なにも諦めたくない
 だから
 考え続けた
 なにも捨てたくない
 だから
 考え続けた
 
 音
 
 諦めたかった
 捨てたかった
 辛くて
 もどかしくて
 なのに
 諦めようと 捨てようとする
 そのたびに
 悲しい
 音が
 響いていた
 
 でも
 
 その音こそが
 
 
 
        絶対に
 
 
              捨てることなど出来無い
 
              諦めることなど出来無い
 
 
 
   目に映るすべてが、ただ本当のものであることを、深く、圧倒的に照らし出していた
 
 
   世界は 終わらない
 
   終わってなんか くれない
 
 
 この空の下では、すべてが現実
 私が皇女であることも
 そして
 私が第1121部隊のラッパ手であることも
 すべて 現実
 人質同然として敵国に嫁いでいくその悲劇の物語だけで、私の現実を覆える訳が無い。
 この空の下にいる限り
 私が、カナタと、クレハと、ノエルと、フィリシア達と繋がっている現実を消すことは出来無い
 辛いだろうな
 いっそ囚われの不遇な皇妃として、めそめそと部屋に閉じ籠もってやりたいと思っても
 きっと
 カナタの吹き鳴らす、あの空の音が、そんな私をぶちのめすのだろうな
 クレハは、がっかりするだろうな、そんなあいつの顔はどこにいても見たくないな
 ノエルは・・・・・またトイレで一日寝てたりしないよな・・・・・・いやしてるか
 フィリシアは・・・・・・・ちぇっ、なんだよまったく、またそんな意味ありげに笑いやがって・・
 怖いな
 恐ろしいな
 あいつらからは、絶対に逃げられそうにないな
 
 だから
 
 ああ
 
 
 
   その恐怖に充ち満ちた、その現実が、私を一歩、前へと、先へと進めさせてくれたぞ
 
 
 
 

 

 

 
 

母様

姉様

現実は
変わっても
消えないんですね
 
世界はどうやら
終わらないようです
 
母様と姉様を感じます
姉様
私は姉様の遺志を継ぐ訳ではありません
私は あなたに願われた 私のほんとうの幸せを求めにいきます
わかりません
それがどこにあるのか どう手に入れるものなのか
でも
わかることがひとつだけあります
それは
たとえ今もう既に その本当の幸せが私の中にあるのだとしても
それを越えて
それを愛するがゆえに
その先の それ以上のものを、私はあらゆる手を使って求めていくということです
考えて
迷って
わからないを生きて
 
 
 
音がする
 
 
 
姉様の音が
カナタの胸に響いている
私とカナタはそして出会った
 
 
 
『いつか去る場所だと、そう思ってた。
 
でも今は、真剣にここを離れたく無いと思う。
 
だからこそ、私は行かなきゃならないんだろう。
 
 
私なら出来る。
 
 
私にしか、出来無い事が、あるから。』
 
 
 
 
 
 
 
 
 
・・・ 『 カナタ 私は、お前の良い先輩でいられただろうか?』 ・・・
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 『さよならを言うつもりは無い。』
 
 わからないこと沢山だ。
 だから、響く。
 わからないわからないと、うごめき、囁き合う、その私達がいる限り。
 音は、想いは、届く。
 ああ
 私は、やる気だぞ。
 この国の人達のために、私は絶対に、なんとかしてきてみせるぞ。
 なにしろ、私はお前の先輩なんだ、カナタ。
 お前に色々と偉そうなことを言った手前、是が非でも、偉い事をやってみせるからな。
 今まで、言ったからにはやらねばならないという事が怖いあまりに、卑屈な事も随分と言った気もするが、
 その分、取り返してきてやる。
 向こうに行っても、ああ、カナタ。
 
 
 私は、リオ。
 お前の良い先輩で居続けることを願う、誇り高く、そして素直になれない意地っ張りな、和宮梨旺だ。
 
 そして、カナタ、お前のように素直になれたらいいと思っている、そんな私だ。
 
 
 どこにいても それだけは 変わらないさ
 
 
 
 
 じゃあ、行ってくるからな、みんな。
 
 
 
 
 
   母様
 
       姉様
 
 
 
 

行ってきます

 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 その前に、あの男を、父様を、一発ぶん殴っていきたいものだな。
 さすがに無理か・・・・・・・・いや、やるか
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
                              ◆ 『』内文章、アニメソ・ラ・ノ・ヲ・ト」より引用 ◆
 
 
 
 
 
 

 

-- 100310--                    

 

         

                                 ■■ げんじつとうひ ■■

     
 
 
 
 
 ただいま現在、とても忙しくててんてこ舞です。
 ごきげんよう、紅い瞳のくせに忙しいとか言ってる紅い瞳です、ごきげんよう。
 
 いえ、なにをそんなに自虐な事を言っていますかといいますと、それはもう自分を苛めたくなるくらいに
 ストレス溜まってるというか、現在紅い瞳史上十指に入るくらいに忙しくて、それがまた紅い瞳史上
 五指に入るくらいにやりたくない事をやっている状態でして、はい。
 もう嫌、もう嫌だから、誰か止めて、トドメ差して、あいよ了解、と自分になにか切れ味の鋭いものを
 振り下ろしそうなくらいな状態でして、はい。
 はい。
 普段忙しさに慣れていない奴は、ちょっと忙しくなったくらいでこのテンパりようです、みっともないですね。
 まぁやりたくない事なだけであって、失敗してもそれほど周りに迷惑かける事じゃ無いのが幸いなんです
 けど、でも私的にはやりたくない誰かトドm(中略)状態な訳でして、もう、もう、もう!
 
 
 爆発寸前です。
 
 
 ・・・・。
 紅い瞳でもストレス溜まることってあるんだーてかストレスってなに?美味しいの?、とか言った人、
 ちょっとあとで職員室までいらっしゃい。
 ・・・・。
 でね。 (一息)
 今日はストレス解消しようかなーって。
 現実逃避しようかなーって。
 ・・・・・・。
 
 お願い、させてください。 (懇願)
 
 自分のサイトの日記上でなにを懇願しているんでしょうかこの人は、みたいな以前に、お前ストレス
 解消はともかく現実逃避なんて毎回してるだろーがな感じではありますけれど、なにかこう、自分から
 やると決めてやるときは、なんかちょっと人様の許可を頂きたいというかですね、まぁね、その。
 ・・・・・ほんと、テンパってるなぁ。 (溜息)
 
 ということで(どういうこと?)、今日はもう滅茶苦茶支離滅裂、いつも以上に頭の中に浮かんだものを
 そのままロクに調整もせずに移植して、拒絶反応が起きようとなんだろうとぐだぐだうだうだとしょーもない
 事を書き連ねさせて頂きます、具体的には段落つけずにおまけに「。」も無しで
 一気に書きます。
 なにを、ってあなた。
 アニメのことを書くに決まってるじゃ、ないですか。 (微笑)
 
 
 
 *痛々しいっていうかなに言ってるか自分でもわからない感じですので、よろしく
 
 
 
 

◆    ◆

 
 
 

 そりゃまぁソラヲトがすごいんだけどさ、ていうか今回の話はもう涙ぼろぼろでさ、ていうかまたひとつ

 私がソラヲトを使って書きたいことと自分の感情が一致したっていうか、まぁあれだよね、ソラヲト感想は
 いまひとつ私の感情と一致させる事が出来無くてそのせいで筆のノリが悪かったんですけどさ、今回は
 クレハでがつーんとやられちゃってまぁ涙でぐしょぐしょですよ、もし手書きで書いてたら原稿用紙破れて
 ますよ涙で、ていうか涙で濡れた手でパソの配線いじって感電したいですよ落ち着け私、でまぁその
 自分の事を素直に全部言うことの大切さを否定する意味での見栄というのは、これは私が否定して
 いきたい代物で、でも私は逆に見栄自体は肯定すべきものだと思っていて、じゃあどうしよということで
 結構その辺りで止まってたんだけど、やっぱりソラヲトに於けるクレハって私に非常に近くて、なんか、
 ああそうかって、私自身見栄を好きでいながら純粋に否定してるとこがあって、で、その否定に対して
 脊髄反射的に反応するからこそ、全部素直に全部言うことの大切さを否定する意味での見栄に走っ
 ちゃうのかというか、あーそっかって、見栄だろが素直だろが、それがなにによって為されているのかが
 大事なことで、そういう意味でなら見栄は充分肯定可能なもので、見栄もひとつの素直な自分の
 気持ちなんだよねーみたいな、むしろその自分の気持ちとしての、感情としての見栄を含めた感情を
 捉えていかなければ意味ないんだよねーみたいな、じゃないと、素直さが感情で見栄が理屈みたいな、
 そういう意味で見栄が素直という感情を否定するための理屈として成立しちゃうっていうか、あーだから
 実はそういう構造も薄々感じてるから、そうした理屈として感情を否定するものとして見栄が成立して
 いる事の違和感の中から、本物の感情としての見栄を見つけようとしてるのか、あれ?、そういえば
 全部自分の事を素直に言うのって元々はそうしたい感情なんだよね?、それを正当化するためにこそ
 全部自分の事を素直に言うことを理屈的に正しいものとして考えてきたけど、それが逆に素直さこそが
 肯定すべき理屈で、で、それによって否定されるただ感情だけの見栄というものを否定していたんじゃね
 ?、あーなんかわかってきた、そっか、感情も理屈もそれぞれ肯定されるものと否定されるものの
 二種類ずつ持たした訳か私は、だからもう単純な素直さか見栄かの二項対立じゃー無いんだね、
 あーなんかわかってきたんだけど、こうして後付けで説明するとかえって余計わかんなくなってきたっていう
 かクレハ一人称で書いてるときの自分の気持ちが一番わかってるっていうかやっぱ私は説明下手な
 おかしいなリアルだと人様に説明するのは恥ずかしながら得意な自負があるのにな、どうも文章での
 説明は駄目な、なんでだろ、まぁいいや、でね、なんつーか、ヴァンパイアバンドがいまひとつ私的に
 しっくりこないっていうか、ぶっちゃけあのミナ姫が好きになれないっていうかなんか違うよねっていうか、
 ソラヲトと対極というか、なんか大人な事を言ってるだけの子供っつーか、なんのための見栄なのか素直
 さなのかというか、結局なにかを主体的に変えていくためのものとしてそういうものが使われていなくて、
 ただなんていうかおおざっぱに言えば自分を見て欲しいだけというか肯定して欲しいだけというか、なん
 かそういう意味で広い意味での欲が浅いというか、もっと言えば馬鹿というか、あまりに自分の欲する
 ものに対して自覚が足りないというか、やたら厳しいこととか覚悟めいたことを言ってるけど、それって
 全く逆に厳しさを受け止める事も覚悟する事も出来無いからやたらそう言ってるだけのようで、なんか
 これは駄目よねぇ本末転倒だよねぇって感じがして、ただ悲しみと嘆きだけが伝わってくるだけというか、
 じゃあその悲しみと嘆きをどう使っていくのとか、それがただ破壊的厭世的な感触しか無くて、そういう
 意味では、希望とか志が無いよねぇみたいな、うん、あんたただ悲しみと嘆きを受け止めて欲しいだけ
 じゃんみたいな、で、受け止めてくれた人のためにとかっつって、その人のせいにして自分から逃げてる
 だけっつーか、あるいは自分に向き合ったとしても、その人ありきというか、なんか、なんか違うなぁって
 いうか、さっきから違う違うしか言ってないあんたが違うっつーか、たんにソラヲトとの比較でしか見てない
 よな私、ただ、逆にこの作品が私の今見据えている命題をより浮き彫りにしてくれた事は確かで、
 そして最近のハガレンのぐいぐいくる熱さに引き込んでくれるのは、まさにこの作品との対比があるから
 で、ていうかハガレンってこんなにきたっけ?、なんか第一期よりすごくなってきてるんですけど、ていうか
 エドってあんなに主体的だったっけ?、どっちかっていうとミナ姫的な受動タイプで厳しいこと言ってるだけ
 のイメージがあったけど、なんか最近のエドは妙にカッコいいというか色っぽいというか、その柔軟な
 強さに磨きがかかってきたっていうか、私的にハガレン最強タッグのリン・グリードコンビとタメを張れるよう
 になってきてるっていうか、なんかエドがグリードの手下になったときの、あの静かに沸き起こる興奮は
 なんだろって、もう毎週実はかなり楽しみにしてたりして、あ、リンとグリードは強欲っつーかめちゃくちゃ
 主体的だから好きよ、好きというかすごいっつーか、それこそ希望だし志ってことでしょうみたいな、
 全部引き受けてやんぜみたいな、それを己の欲望として完全に自己と同一させてるのがすげーっていう
 か、むしろこういうタイプこそ私は尊敬出来るっていうかね、むしろこういう人の元で働きたいみたいな、
 あーほんと私は二番手指向だよなー、そうそう、好きなのは一番手タイプなのにね、お気楽極楽全部
 だいじょうぶだよーみたいな、或いはハルヒみたいな破天荒なタイプ、そういう一番手タイプに移入して
 一人称な文章書くのは得意だけど、でも私自身はそれを好きだからこそ助けるタイプみたいなんだよね
 やっぱり、ソラヲトでいえば好きなタイプはカナタとかフィリシアさんだけど、私に近いタイプはクレハあるい
 はリオ先輩だったりするんですよねってノエルはどうしたー!、大丈夫、この間のダンゴムシ突いて感動
 したり寝ぼけてカナタの指にしゃぶりつくノエルちゃんは可愛かったから大丈夫だ!、ていうかまぁよく
 考えたらみんなそんなもんか、私って一応ボケキャラ扱いだけどたぶんそうだとおもうけどスベッてばかり
 だけれど私は元気にボケていますけど、でも私の基本は実はツッコミだったりするんだよねたぶん下手
 だけど、ていうかたぶん私はボケもツッコミ両方下手な鬱だ死のう、でね、まぁあっさりと話題を変更する
 のだけれど現実逃避するのだけれど、ってこんなふうに言ってたら改行しなかったり「。」をつけなかったり
 することにあんまし意味がないっていうか、まぁいいや、でね、まぁなんか最近君に届けが失速気味
 っていうか慣性というか、あれ?、なんか爽子は可愛いけどその可愛さが深まってくだけで爽子自身の
 深みが出てないんじゃない?、なんかこう、回り道しすぎというか、ぶっちゃけ爽子が私達の側から
 離れちゃってるというか、私達の爽子になってないっていうか、なんかアイドルになっちゃってる気がするの
 よね、可愛い可愛い可愛いからOKみたいな、なんか応援する余地が無いっつーか、ただテレビの前
 で見てるだけっつーか、成長してるんだけどそれがなんか数値的にしか見えないっつーか、ああ上手く
 言えないな、なんだろ、もっとこう爽子自身に哲学させるっていうか、今現在爽子は処世術を学んで
 言ってるだけっつーか、なんか感動が人並みっつーか、感動してる自分自身への眼差しをそろそろ
 きっちり描いて考え出していかんと、なんかこう、終わっちゃったネ、とぽつりと呟いてそれで終わりに
 なっちゃいそうで、やだよそんなの、この作品に大傑作って言いたい私の気持ちをどうしてくれんのよ!、
 とまぁ色々とお怒りな私のために、デュラララとかひだまりとかがあんだろなぁ、デュラララは静雄がいい
 ね平和島静雄が、平和でも静かでも無いブチギレ暴力男の、ほんとの平和さと静けさが、こう、
 ぐっと胸の奥の水底に波紋を投げかけるというか、あとセルティの可愛さもいいんだけど紀田正臣が
 いいよねやっぱり軽薄おちゃらけ男の持つ誠実さ、の中に見える密やかな渇望、みたいなのがさぁ、
 デュラララは久しぶりに男性陣がいい味出してるっていうか、ちゃんと主人公してるっていうか、なんか
 こう、みんなそれぞれ異質なんだよね、それこそ爽子みたいにさ、で、もう一通り処世術も学んで感動
 して、そういう自分を捉え直しにかかってるっていうかさ、なのに誰ひとり絶望してないっていうかさ、
 すげーっていうか、自分だけの、なんて肩肘張る必要も無い、しっかりと自分の世界を構築し深めて
 いってる様が圧巻というか、だから君に届けをこの作品の激しさに対する清涼剤として、あの頃は感動
 する事の嬉しさがあったなぁみたいな、そういうアホな作品にして貰っちゃ困るっていうか、ぎゃー、どうし
 てもそこに行き着くのね、誰かなんとかして、というか、むしろそういう確実なという形容詞が似合うほど
 の清涼剤としてひだまりがあるっていうか、や、あれはやっぱ半端無いわ、清涼剤すぎる完璧だわ確実
 に癒されるわこれ、なんか直でひだまり荘に住みたくなるもんね、もうなんか顔面の表情が弛緩する
 限りに緩み切って毎週見てますよ人様にはお見せ出来無い顔ですよ怖いですよあなた、ていうか
 なずな氏萌え、まずいこれはガチでほっとけないタイプ、ガチで私も色々手伝ってあげたくなりますよ
 手伝ってあげたという男子諸君の気持ちわかりますよ、そしてひだまり荘の面々の、なずな氏のペース
 にも挑戦してみようっていうスタンスに共感ですよ、誰もなずな氏置いてかないのがいい、あのひだまり
 荘の完璧な癒し空間、いや、癒され空間は非常にそうやって自分だけの場所から他の人達の場所
 への連絡路がきっちりしてるからこそっていうか、ああやって同じアパートでフランクに行き来できるゆった
 り感が、そういう私達の現実の人間関係に還元されて感じられるっていうか、そうなんだよねぇ、
 私なんか他者への理解はあるつもりでいるけど、逆にわざわざ他者への理解が大事だっていうのは、
 デフォルトだとそうしない、つまり自分だけの一直線な狭い世界しか無いからなのであって、なのに
 ひとりはやだ、みんなのことわかりたい繋がりたいっていう私の欲求はすんごくて、だからなんかこう、
 ひだまりにはがつんとやられちゃう、そうだよねぇ、他の人の世界が隣に当たり前にちょこんと座っていて
 こそだよねぇ、私の視野狭窄しがちなその視界は、同じような視野狭窄してる人の視界と、それぞれを
 隔てるその部屋の壁を共有してるんだよね、っていうかまぁその、なんていうか、ええと、あ、そうだ、
 お隣さん、お向かいさん、斜向かいさん、なにそれ、そうやって壁はあっても繋がってる、ご近所さん、
 だからぽっと歩いて気軽に会いに行ける、私達のひだまり荘がここにあるっていうかね、まぁそんな感じ
 で、まぁそういう意味ではバカテスもそんな感じに近いかなぁ、結構変人同士が少なくともひとつの
 コミュニティの中ではご近所付き合い出来てるっていうか、ただ逆にそれゆえにそのコミュニティの外に
 対しては閉鎖的というか、あの学園の教育方針っていうかあの理事長はほんとにあんな馬鹿なの?
 まぁ閉鎖的なのはそれはひだまりもそうと言えばそうなんですよねぇ、ひだまり荘という限定を想定した
 上でのゆったり感ではありますからね、まぁそのことを踏まえてどうやってひだまり荘そのものの範囲を広げ
 てくか、ってことが実はあの作品のテーマな気がするんですけどね、でまぁバカテスで言えば私は霧島
 翔子一沢なんですけどねヤンデレは好きですねヤンデレに引きずられる彼氏君も好きですね要は
 あのカップルが好きですねそれがなんだと言われたらそれが萌えと答えざるを得ないところなのですけれ
 どね、あのカップルが出るとボルテージが一段階上がるのも私の中では事実なので御座るよ、でね、
 コミュニティという意味では、とある科学も外せないっていうか、ただこっちの場合は格差とかそういう
 テーマ主体な気がするんだけど、その掘り下げが滅茶苦茶中途半端というか、逆にいえば視聴者に
 考えさせるという良い意味ではそうなんだけど、ただ全体の引力としては、それはちょっと勿体無いと
 いうか、逆に視聴者に考えさせる事で、あのコミュニティ自体の暖かみが生きてこないというか、なんか
 いつでも瓦解しそうな、なんだろ、理屈的にはあの面々が一緒にいることはわかるんだけど、同時に
 どうして一緒にいられるのかわからないという情動が常に控えてる感じなのね、御琴のあの完全上から
 目線は、確かに他の人達を奮い立たせる言葉にはなれど、コミュニティの維持としては不釣り合いとい
 うか、ただ逆に強い言葉を言いながらも、その言葉自体が己の不安から出ている、その御琴自身の
 弱さが、もっともっとあの作品の中で叫ばれて、そしてそこから他のキャラ達の叫びがリンクしてくと、
 そこにこそあのコミュニティのぬくもりを交えた、私達視聴者の見方に意味が出てくる気がするっていうか、
 そういう意味ではサンレッドって奇跡的に破壊的にそういう感じというか、あれはもう暖かいどころか
 火傷するくらいに熱湯っていうか、あの正義の味方と悪の結社が同じ街に普通に住んでて普通に
 対戦してて普通に馴れ合ってたりキレたり嫌み言ったりレッドさんはかよ子さんほんとに好きだったり、
 なんかもうコミュニティという言葉さえいらない感じがするんだよね、あの人達は、一応ご近所付き合い
 としてのルールはあるけど、誰もそのルールの正当性に命なんかかけてなかったり、逆に命をかける
 ほどの理由そのものを痛々しく描いたり、ていうかそもそも正義の味方の存在意義が無いに等しいし、
 悪の結社は世界征服する気全然無し、逆にそういうものがでも少なくともそれぞれ名目としては大切
 に扱われて、そしてなにより楽しまれているという点で、これは社会風刺というかアイロニーとしてかなりな
 傑作になってるというか、や、そういう名目を真面目に誰もやっていないという意味じゃ無く、そもそも
 名目っていうのはそういう楽しむためのものなのに、お前らなにやってんのよ、みたいな意味ででね、
 で、銀魂がやっぱりその道では王道というか最高作というか、わかってるというか、なんか終わりがみえて
 きてより攻撃的になってるのが爆笑なんですけど、そういうの全部お楽しみにしてるっていうか、銀魂
 ってなによりそういう意味でほんとに弁えてるんですよね、いわゆる弁えろという言説そのものが、どれ
 ほど弁えていないことなのかを、笑いと涙でおもいっきり示してるっていうか、三月いっぱいで放送終了
 みたいだけど、これはもう歴史に残る作品だよねっていうか四月からまたやってくださいな、と未練たら
 たらな上に全く諦めていない私でも、どう対応していいのかわからないままずるずるきてるのが、
 おおかみかくしだったりするんですけどどうしてこうなった、あれ?第一話のときはあんなにホラーとして
 かなりな感じだったのに、蓋を開けたら、蓋を開けたままなにもせずにいて、そのままお鍋の中のお料理
 が冷めちゃったみたいな、えーと、なんかこの作品結局なにもやってないよね?、いっこうにお料理お皿
 に盛りつけてないよね?、なんか始まって、始まったままというか、動き出さないうちに終わっちゃうという
 か、なんかツッコミどころすらみつけられない状況なんですけど誰かこの作品の楽しみ方教えてください
 、で逆に楽しみ方がわかり過ぎて逆に困ってるのがはなまるだったりするんですよねっていうか園児が
 可愛すぎて可愛すぎて可愛すぎるんですけどええとこのまま可愛がってみてるだけでいいんでしょうか私、
 ていうかそれ以外になにも無いっていうか、あるんだけど可愛さ以外もう目に入らないっていうか目に
 入れたくないっていうかむしろあの子達を目に入れたいっていうか全然痛くないっていうかそういう私の
 行為自体はもう充分痛々しい訳なのですけれど、でも可愛いんだもん、もう見てるだけで楽しいって
 いうかはにゃーんていうか、なんだろ、この作品の描き方動かし方は神業ですね、アニメの子供が
 こんなに可愛かったのたぶん初めてじゃ無いだろか、子供と何時間遊んでても私は平気だもの、やー、
 もー、可愛い!、飽きない!、この子達の愛くるしさは最高!、このひよこ可愛さが堪らない!、
 もうこの作品に対しては可愛い以外は言わないことに今決めました、あとなんだっけ、あ、そだ、
 おまもりひまり忘れてたてかくえす様がヤンデレからツンデレへジョブチェンジしたのが衝撃だったって
 いうかわかるようなわからないようなわかるような、べつにおかしくはないんだけど、なんかちょっとくえす
 様諦めたよね?、なんかちょっと逃げたよねみたいな、てかくえす様の疎外感というかだから頑張らな
 きゃいけないとかそういうのすごいわかるし、なんかひまりとのバトルのときとかすっごい胸が熱くなった
 っていうか、病んでるんだけど止まらないんだけど、病まずにはいられないノンストップじゃなきゃいけない
 みたいな、切実感と孤独感、あーなんか、その辺りがあっさり全部くえす様の胸のうちに収納されちゃっ
 たという意味で、あのツンデレ化は激しく微妙というか、一旦保留というか、や、あのヤンデレっぷりは
 九割九分九厘まで演技じゃ無くて本気でしたでしょうし、その残りの一厘で踏み留まってヤンデレは
 演技ですのよって言い切ったというか、なんかこう、なんかこう、がきんとむしろ私の胸の中でなにかが
 折れた音が聞こえたというか、でも同時にその音が自分の最も求めるものを呼び覚ましたというか、
 あのクエス様の演技は九割九分九厘まで本気であるからこそ意味があったというか、くえす様はひとり
 で全部背負わざるを得ない自分が嫌でひとりは嫌でだからゆうとを求めて、だけど自分と共に歩くに
 はそれなりの覚悟必要で、だから試したというか、殺す気は無かったけど刺す気はあったとか言って
 ましたしね、あー、なんかすっごいわかるっていうか、超挑発的な試験だった訳ね、なのにゆうとは断固
 として0点とり続けて、あまつさえそれに誇りを持つような・・・・そりゃ刺すよゆうちゃん、まぁなんか上手く
 説明出来てませんね私、そんな難しいことじゃないはずなのにおかしいな、まぁなんていうか、くえす様
 に限らずあの作品はひまりを筆頭にして、そういう他者との繋がりの求め方をひとりひとり研鑽しつつ、
 同時に互いに凌ぎを削り合ってるところが最高に面白いのね、まぁ女同士遠慮も容赦も無いから、
 非常にすっきりするというかね、なんか、みなさんゆうとへの自分の思いよりも、ゆうとを想う目の前の
 ライバル達への思いの方があって、そしてそれが良く描かれてて、だからおもしろいなーゆうか、あの
 コミュニティが面白いというか、互いに切磋琢磨というか色々な意味でチェック機構が働き合っている
 というか、なんか変な言い方だけど、健全な男の奪い合いだなーってなんかそういうことを思った
 今日この頃でした、まる、あと化物語はつんでれさーびーすで刀語はちぇりお☆
 
 
 
 
 *大変お見苦しい読み苦しいものをおみせして申し訳ありませんでした。 なんだこれ。
   ていうかこれほんとまとめて書いた意味無かった、無かったよごめんみんな。 なんだこれ。
 
 
 
 
 ◆
 
 おまけ。
 来期アニメチェーック。
 来期はなにがあるのでしょうか。
 リストアップしてみましょう。

 
 ・真 恋姫†無双〜乙女大乱〜
 ・いちばんうしろの大魔王
 ・薄桜鬼
 ・WORKING!!
 ・荒川アンダーザブリッジ
 ・閃光のナイトレイド
 ・迷い猫オーバーラン!
 ・RAINBOW -二舎六房-
 ・けいおん!!
 ・裏切りは僕の名前を知っている
 ・さらい屋五葉
 

 
 多 い よ う な 少 な い よ う な 。
 や、例年の私の視聴数からすると少ないんだけど、当初見込んでいた数よりは思ったより多かった、
 と言いますか、っていうかほんと結構あるなこれ。
 そんなにアンテナの感度良くした訳じゃ無いんだけど、ぽつぽつと色々引っ掛かってきたの拾い上げたら
 こんなにきた。
 やー、来期はけいおんと恋姫くらいだと思ってたんだけどな、まぁ、良かった、のかな? (ぉぃ)
 
 んじゃま、今日はこんな感じで。
 忙しいんで、ストレスも解消したんで、ええ。
 
 これから現実逃避してくる。
 
 ではごきげんよう。 (まてい)
 
 
 
 
 
 
 
 
 

 

-- 100306--                    

 

         

                            ■■ 幸せの音のカタチの話 ■■

     
 
 
 
 
 『 まぁ、待て。 丹精して育てたもんってのは、命と同じくらい可愛いもんだよなぁ。』
 
  

                          〜ソ・ラ・ノ・ヲ・ト ・第九話・クラウス少佐の言葉より〜

 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

こつん

 
 
 

こつん

 
 
 
 
 
 
 
 
 

幸せの音がする

 
 
 
 
 

色んなカタチ

 
 
 
 

同じものなんてひとつもない

 
 
 
 
 
 

なのにそれは全部

 
 
 
 
 
 
 

どこかでみたなにかと おんなじだ

 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 私はさ、見栄を張ってもいいと思うのよ。
 そりゃあね、あんたみたいに全部素直に話すことは大事よ、でも、それって結構辛いのよ。
 私だって結構ズバっと言う方だけど、それはあんたのそれとは違って、言える事しか言ってないのよ。
 言いたくても言えない、言わなきゃいけないってわかってるのに、言えない。
 全部素直に話す事を許さないのは問題だけど、全部話せない事を認めない事も問題じゃない?
 私だって、言い訳なんてしょっちゅうしてるわよ。
 場合によっちゃ、言い訳しなきゃいけないって思ってるわよ。
 
 私ね。
 孤児だった。
 
 私だって人間よ?
 孤児ったって、木の股から生まれてきた訳じゃ無い。
 ちゃんと、お父さんとお母さんから生まれてきた。
 だけど、今はいない。
 私がほんの小さなときから、ふたりはいない。
 私はだから、父さんと母さんの事を覚えていない。
 でも、知ってはいるわ。
 どういう人達だったのか、沢山、沢山ふたりを知ってる人達から話を聞いたわ。
 お話の中で、父さんは英雄だった。
 すごい すごい!
 信じられないくらいに、私は嬉しかったのよ。
 そして母さんは、その父さんが名誉の負傷をして入った病院の衛生兵で、ふたりはそこで結ばれたの。
 もう、胸があったかく、そしてなにより熱くなってしまう。
 いっぱい、いっぱい、父さん達の話を聞いたわ。
 人によって語り方は違うし、ときには誇らしく父さんを褒め称えながら、ときには憎々しげに怨みを込めて
 罵ったり、そしてさらにはときには、初めて聞く話や、今まで聞いた話と矛盾するような話を語ったり。
 私に色んな父さん達の話を教えてくれた人達の、その言葉と想いと記憶の中から飛び出てくる、
 その私の父さんと母さんのぬくもりが、私をめいっぱいに、幸せにしてくれたわ。
 嬉しくて、嬉しくて、いつでも私は父さんと母さんの話に囲まれて育ってきたわ。
 どの話も、形は違っても、だから、私にはみんな、等しく大切なもの。
 
 けど、ね。
 というか、だから、なのかしらね。
 私は、頑張った。
 父さんを憎んだり妬んだりしていた人達はいたわ。
 でも私は、その人達の話さえ、好きだったの。
 憎まれたり、妬まれたり、そういうのも父さんが生きていた証しだもん。
 けど。
 私が・・・・
 私が情けなくて、だらしなくて、そのせいで・・・・・
 そのせいで、父さん達が悪く思われてしまうのは・・・・・・怖かった
 孤児だから・・・親がいない子はろくに育たなくて当然、やっぱりね、って、そう言われるのが怖かった
 だって、私が駄目な子呼ばわりされたら、父さん達は駄目な子の親になっちゃうじゃん。
 私は、あのワーデンベルクの撤退戦の英雄の娘なのよ?
 それが・・・・みんなに後ろ指さされて・・・・それで生きてくなんて・・・
 そんな中で・・・父さん達のお話だけを抱えて・・・ひとりで生きてくなんて・・・・・
 嫌・・・・・そんなの・・・・・
 私は、父さんと母さんが、私を愛していたかどうかすら、覚えてないの。
 私はさ、父さんと母さんが、私になにを与えて、なにを託してくれたのかすら、わからないの。
 それは、それだけは全部。
 私自身が、語らなくちゃ、いけないことだったのよ。
 
 
 
  父さんと 母さんは
 
  きっと
 
     ううん 
 
  絶対に
 
 
    私の幸せを祈ってくれてたのよ
 
 
 
 
 
 胸が張り裂けそう。
 怖いやら、苦しいやら、やっぱり恐ろしいやら。
 父さんと母さんが、いない。
 私の頑張る姿を、父さんも母さんももう見てくれない。
 そして・・・
 私が幸せになっていく姿を・・・・・・・・・父さんと母さんに・・・・魅せてあげられないのよ・・・
 悲しくて・・・・悔しくて・・・・・・・・どうしようもなくて・・
 父さん・・・・母さん・・・・・
 昔ね、父さんをとても憎んでいる人がいたの。
 その人自身はとてもいい人だったから、私が父さんの娘だって知っても、娘だからという理由で私を
 嫌ったりはしなかったし、そして私がその人が父さんの事を知っている事を知って、無邪気に話を
 せがんだときも、嫌な顔ひとつみせずに、優しくね、色々と話してくれたの。
 なんの誇張も貶めも無く、ただ淡々と。
 私はそのとき、まさかこの人が父さんを怨んでいるなんて、話を聞く前は勿論、話をきいてもなお、
 わからなかったのよ。
 完璧な、語り部だったのよね、あの人は。
 でもね。
 私だって、いつまでも子供じゃ無かったわ。
 段々とね、その人が父さんの事を憎んでいるっていうことは、薄々わかっていったの。
 ええ、よく考えたら、周りの人達は誰も、その人が私の父さんを怨んでいるって事を、私に教えてくれた
 事はその頃はなかったのよ。
 周りの人達の口からそれをきいたのは、随分とあとになってからね。
 きっと色々気遣ってくれていたのよね。
 そう、だからね、私はね、自力で、その人の憎しみに気付いたのよ。
 なんだろう・・・最初は、すごく怒っていた気がする
 なんでそんなに淡々と語れるんですか、どうしてあなたは憎い相手の娘にそんなに優しくするんですか、
 って、随分といらいらしてて、そして実際何回か問い詰めたこともあった。
 私は・・・あのとき・・・・・・悲しかったのよ
 全部、言って欲しかったの。
 だって・・私はその人の事、好きだったのよ・・・優しくて、強くて、馬鹿みたいに誠実で・・・
 そしてなにより・・・・私のこと・・・信じて貰えてないって・・・おもったから・・・・
 どうして、その人が憎い奴の娘にこんなに優しく出来るのに、その当の娘の方が父を憎んでいたその人を
 嫌うことが出来ようか、って。
 私だって、関係無いのよ、私は私、父さんは父さん、そしてその人はその人だったもの。
 いえ、むしろ、愛と憎しみの差はあれど、その人と私は父さんに対してとても深い想いを抱いている
 ことはおんなじだったんだもん。
 だから、敢えて叫んだの。
 なんで私の事憎まないんですか、って。
 わかってたわよ、その人がほんとに私のこと憎んでなんかいないって。
 でも・・・・父さんに対しては・・・・・・ほんとうに、とてつもなく憎んでいたのよ
 私は・・・・・・嬉しかったのよ・・・・・・・その人のその憎しみの中に、確かに父さんがいたんだもん
 だから、その人にも、叫んで欲しかった。
 君の父親のことが憎くて堪らないんだ、って。
 めいっぱい、めいっぱい、憎しみを込めて語って欲しかったのよ。
 
 でも、その人は、出来無かったのよ。
 
 
  怖かったのね        私に嫌われることが
 
 
 
 私は
 泣き続けてた
 あの人が、いじらしくて・・・・なのに当の私こそ、なにもしてあげられなくて・・・
 それどころか、私はその人を問い詰めて追い詰めてばかりで・・・・
 私はあの人が私のためでは無く、あの人自身の私への想いのために、身動き出来なくなってるのを
 知ってるからこそ、それを打開しようとしていたのに・・・・あの人はそれについてこれずに・・・ひとりで・・・
 どうすればいいのか、わからなかったわ。
 あの人も、私も、互いにわかった風に悟り切った風に、己の信じるままに行動しているように見せ合い
 ながら、その実、ふたりともどうしていいかわからずに、ただおろおろするだけの自分を隠しているだけ。
 なのに・・・
 その隠し合いが、見栄の張り合いそのものが・・・・互いの相手への想いを示してて・・・・・
 このままじゃいけない・・・
 でも・・
 
 
  このままでも 幸せを感じられなければ やっぱり嘘じゃない
 
 
 
 
 ・
 
   ・
 
      ・
 
 
 
 
 
 ねぇ、カナタ。
 私は、見栄を張るのが、好きよ。
 そりゃあね、疲れるわよ?、骨が折れるわよ?
 私は孤児だもん、その分だけ見栄を張らなきゃ駄目だもん。
 でもね。
 それって、悲しいのよね。
 ううん、悲しいだけ、なのよね。
 私はいつだって、父さんと母さんのことを想ってる。
 時々、悲しくて涙が止まらなくなる事だってあるわ。
 そしてときには・・・・孤児だから頑張らなくちゃいけないってことが、それ自体の事が悲しくなるのよ
 なんでだろう、私はどこかで、父さんと母さんがいないっていう事自体を幸せに受け取ることが出来て
 無いのよ。
 私は、見栄を張ることに誇りを感じてるのに・・・
 私は、孤児であることすら嬉しいはずなのに・・・
 悲しくて 悲しくて もう  悲しくて
 でもね。
 やっぱり私はね、見栄を張るのが好き。
 正直、今なんにも考えずにあんたにべらべら喋っちゃった事を後悔してるわ。
 私はあの人と違って、相手に嫌われる覚悟を以て自分の事を素直に言ったわ。
 つまり、見栄を張らなかった。
 それを、後悔してる。
 私は、全部自分の事を素直に言わなきゃ、物事を解決出来無いって、そう思うしかないの?
 私は逆に・・・自分の事を素直に全部言わなきゃなにも解決出来無いって決めつけることで、
 本当は、私の中の見栄への愛情と向き合うことから逃げてるだけなんじゃないかって・・・・
 私は、ほんとなら、自分に言えることしか言えない。
 その事から、私は・・・・逃げてる
 だから無理矢理、自分に言えること以上の事を言ってしまうの。
 私は、見栄を張るしか無いのに、その事が怖くて・・・・そのことが・・・・・・悲しくて
 だから、だから私は・・・・見栄を否定して、素直に言えないはずの、自分の全部を語っちゃう
 私はあの人の前で、ずっと、ずっとそうだったのよ。
 正直、あんたに初めて会ったとき、私はあんたに嫉妬した。
 私みたく無理矢理じゃ無く、ほんとに素直に自分の事を語れるあんたにね。
 私にはわかってた、素直に自分の事を語れる事の、その本当の大切さを。
 だから、だから、見栄を張るのは良くないって・・・・・・・
 
 でも、それは違った
 違うに、決まってるわ
 
 カタチが、違うだけなのよ
 
 
 
 
 
 
 クラウス少佐。
 私、わかってました。
 いえ、少佐があの話にきいた英雄、砂漠の狼、ミラクルクラウス少佐じゃ無い、ってことじゃ無くて。
 はい。
 少佐って、私が想像していたよりも、随分気さくで、優しい方なんだなぁって。
 だから、私は元々強くて逞しい、そういう圧倒的な英雄としての砂漠の狼に憧れていましたけど、
 実際にお会いしてからは、気さくで、でもカッコ良くて、でも気取らない優しい、そのクラウス少佐にこそ
 憧れていたんです。
 私にとっては、それが、ミラクルクラウス少佐だったんです。
 だって、少佐は少佐です、それを見る人によってその英雄像の語り方は違いますでしょう?
 ある人にはとてつも無い戦闘の鬼で、砂漠の狼で、ある人にとっては心優しく尊敬出来る上官だったり。
 私は、そういう物語を背負っている、その少佐に憧れていたんです。
 こんなに優しくて、でも砂漠の鬼という一面もあって、だから私はそのお話からみえてくる少佐のお姿に
 も同時に憧れていたんです。
 ええ、だから・・
 そりゃあ、少佐が、ただ同姓同名の、まったくその語られた人とは別の人だったと気付いたときは、
 驚きました。
 でも・・・
 それってただ、私の目の前にいらっしゃる、優しくて、尊敬出来るその方から、砂漠の狼という物語が
 抜けただけの話なんです。
 残念、ではあっても、嫌いになるなんて、軽蔑するだなんて、とんてもありません!
 それに、今残念って思わず言っちゃいましたけど、す、すみません、で、でも・・
 でも私は、逆に、新しい物語を少佐から頂いたんです。
 わ、私のために・・・少佐は・・・・・カッコいい砂漠の狼を背負った少佐を演じてくれた、そんなとっても
 素晴らしい方だって、そういう、そういう・・・・わ・・わ・・・私だけの物語を与えてくれました!
 そして少佐は・・・・少佐は・・・・・・
 
 
  あのピンチの中、私を必死に守ってくれた、私の英雄なんです!
 
  全く新しい、ミラクルクラウス少佐の誕生です!!
 
 
 
 私のために・・・クラウス少佐も・・・そしてリオ先輩も私達のために、見栄という名の物語を紡いでいって
 くださってるんです
 私・・・感動しました・・
 少佐の優しさって、とっても深いところで、少佐の意志に根差しているんだって
 教会の子が無茶して嵐の中、育てた茄子を守ってたとき、私にもわかってました。
 この子が他の誰かのためにこんなに必死になってるって、がむしゃらに、がむしゃらに、愛してくれる
 誰かのために、必死に・・・
 だから。
 だから、私は、その子を守りたかったんです。
 その子も私と同じ、孤児でした。
 そして、孤児は、周りに迷惑かけないように、しっかりと生きなくちゃいけないんです。
 私はそのことをよく知ってますし、だから、その子の、その誰かへの想いを守るためにも、こんな無茶
 しちゃいけないって・・・・だから・・・・・
 だから、怒ったんです。
 でも・・・・
 
 
 
  少佐は 褒めたんです
 
 
 
 
 

褒めて

 
 

くれたんです

 
 
 
 

孤児を

 
 
 
 
 
 

私達の想いを

 
 
 
 
 

あったかく 撫でてくれたんです

 
 
 
 
 
 
 
 
 私の命と同じくらいに、私達の見栄は大切なもの。
 父さんと母さんの産んでくれた、この私達の心と体を育てて、育てて、めいっぱい育てて。
 それより大切なものなんて、この世にありません。
 私達は、見栄で出来ています。
 私は・・・・見栄を張れるのが・・・・嬉しいんです
 大切な、大事な、私の大切な、父さんと母さんの娘を、私を育てられることが・・・嬉しくて・・
 でも・・もう・・・私達には・・・・それを魅せてあげられる・・見て貰える人が・・・いなかったんです
 少佐・・・・
 
 
 
 

 『死んだ親父さんの代わりに、俺がしっかり守ってやる!』

 
 
 
 
 
 
 ああ・・・
 
 少佐・・
 
 
 
 
 
 
   『やっぱりあなたは、私の憧れの人です・・・♪』
 
 
 
 
 
 
 
 父さんは、英雄でした。
 私はその物語を聞くのが好きでした。
 そして私は、少佐の、砂漠の狼の話を聞くのが大好きでした。
 私は・・・英雄が、大好きなんです!
 だって、私は父さんが大好きでしたから!
 私は英雄の父さんが好きです。
 そして勿論、今でも砂漠の狼が大好きです。
 そして、そして・・・・
 
 私を守ると言ってくれて、そして本当に助けてくださった、私の英雄が大好きです!
 
 カタチは違っても、それはどこかでみたなにかと同じ。
 父さんのぬくもりが、世界中の、たくさんの英雄物語から染み出てきます。
 父さんを愛した母さんの想いが、私には今、とっても熱く広がっています。
 みんな、繋がってる。
 ひとりじゃ・・無い・・
 カナタと、ノエルと、無邪気におかしく喋って、遊んで、毎日がとっても、楽しいです。
 憧れの先輩と一緒に、尊敬出来る隊長の下で働けて。
 そして時々そんな様子をあの英雄の少佐が見に来てくれる。
 
 お父さん
        お母さん
 
 
 
 
             私はこんなに  幸せになっちゃったよ
 
 
 
 
 父さんと母さんがいなくても、父さんと母さんとおんなじ音が響いてる。
 ううん
 この間の・・フィー・・なんちゃらだったっけ? あのときに、父さんも母さんもいるんだって・・・・・
 幸せ
 私の見栄が、英雄物語に繋がってる。
 全部自分の事をさらけ出して話さなきゃいけない。
 でも、同時に。
 全部自分の事を隠して見栄を張らなきゃいけない。
 私の宝物。
 砂漠の狼、ミラクルクラウス、ウルフヘッドのタトゥー。
 その写真が、私の宝物。
 その写真に写っているのは、クラウス少佐かもしれないし。
 私の父さんかもしれない。
 そして。
 なんだかとてつもなく大きなものを隠してるようなリオ先輩かもしれないし。
 見栄を張る、この世界のすべての人達の姿なのかもしれない。
 私は、その人達の本音を見つめつつ・・・
 その本音を、建前からこそ、発掘してみたい。
 自分のすべてを言えない、口下手な人の、その人の必死な見栄からこそ、私はその人と向き合いたい。
 見栄は・・・英雄の物語は・・・
 
 
  私達に贈られた、大切なプレゼントなんだもん。
 
 
 
 
          − 音
 
 
 
 

ひびく

 
 
 
 

うそもほんとうも

 
 
 
 

みんな 大好き

 
 
 
 
 

見栄を張っても

 
 

全部素直に語っても

 
 

 

 

みんな 繋がってるんだ

 
 
 
 
 
 
 
 少佐の頬に、父さんと同じに名誉の傷が刻まれる。
 ウルフヘッドのタトゥーが、またひとつ。
 またひとつ、私の幸せを豊かに繋いでく。
 そして、これからまた。
 新しい、ミラクルクラウスの物語が始まるんですね!
 
 少佐・・・ありがとうございました
 そして・・
 
 ありがとう、ございますっ♪
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 ってぇ、あんたなによその顔、ち、違うわよ、す、好きとかそんなんじゃあ・・・ってカナタ待ちなさーいっ!
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
                              ◆ 『』内文章、アニメソ・ラ・ノ・ヲ・ト」より引用 ◆
 
 
 
 
 
 
 

 

-- 100303--                    

 

         

                             ■■ その猫は止まらない ■■

     
 
 
 
 
 二月は忙しいとか言っといて全然忙しくなかったと思ったら今きた急にきたあとハッピー雛祭り! (忙)
 
 
 ということで、ええとすみません、ごきげんよう。
 前置きもそこそこに、今日はつばさキャットの感想だけですすみませんマジ時間無いヨ!
 
 
 
 つばさキャットその四、全体で第14話の感想です。 ネット配信。
 もう感想が遅くなったことは謝らないんだからねっ! ←土下座しながら
 さて、と。 こほん。
 つんでれさーびーす。
 ・・・。
 うん、今回はですね、非常に「読み解き」甲斐のあるお話ですね。
 メインキーワードは、「ツンデレ」と「化け物」ですね、これは。
 うーん、相変わらず化物語は突き抜けた高揚感というのにいまひとつ欠けてはいるんですけど、
 その分だけアニメというものを使って、徹底的に語り倒してやろうという気概は万丈で、逆にこっちが
 それを全部読み解いてやるぜ!、と高揚してくるような、そういうものがやっぱりすごいよネ。
 ていうか、語り倒すって言っても、わかりやすく説明している部分はほとんど布石のようなものばかりで、
 その字面通りに受け取ると、それ自体がひとつの「囚われ」を発生させるんですよね。
 で、大概阿良々木君がそれに引っ掛かる訳でw
 ヒロイン(プラス忍野w)達が巧妙かつ、なにより必死に仕掛ける罠の数々に阿良々木君は引っ掛
 かってる訳で、阿良々木君がわかったような事を言うと、必ず誰かは笑うんですよね、あ、引っ掛かっ
 たって、泣きながら。
 今回のこのつばさキャットは、これまでの話で一番その度合いと深度のある回だったと思います。
 それを読み解く事が、阿良々木君のわかった風な顔をぶん殴るのが、今回のお話の醍醐味なんじゃ
 ないかなぁと、もう観てるうちからうずうずと感じてました、わたしゃww
 
 でまぁ、なにからどう読み解こうか、と。
 まずは、まぁ、我らが戦場ヶ原様からですか、一番怖いしw
 まずぶっちゃけ、戦場ヶ原様はなにをしたいのか、という切り口で見てみると、自分の彼氏を自分の
 元に取り戻したい、という思い以上に、意地でも阿良々木君がなにに「囚われ」、どんなにアホな
 事をやっているのかを思い知らせたい、そういう阿良々木君をひとりの人間として成長させたいと
 思っているんですよね。
 阿良々木君に惚れてはいますし、そのアホっぽい純粋なだけの優しさに参っているのも事実。
 けど、それだけでは、無い。
 戦場ヶ原ひたぎは、限りなく誇り高い女。
 あの電話のシーンでも、真っ向から阿良々木君をまず真っ先にぶちのめしますしねw、まるっきり
 夫の帰りを待つ貞淑だけど愚かで、でも確実に夫に愛されている確信はあるから、敢えてその貞淑
 な妻を演じる、なんて気はさらさら無い。
 そんな卑怯なこともみっともない事も、戦場ヶ原ひたぎはしないんですね。
 ぶっちゃけ、彼女は彼氏の優しさが好きだけれど、その彼の優しさは正常には機能してない、
 つまり「病気」なんですね。
 その事をほうって自分だけが愛されている感覚と彼を愛している感覚だけに溺れるつもりは毛頭無い
 ですし、なにより彼女はそうしてしまうことが、なにより彼を失ってしまうことになることを肌で感じてる。
 阿良々木君の現状の優しさを受け入れるだけなら、戦場ヶ原ひたぎは、やがて彼を失ってしまう。
 だから最後のツンデレサービスは、かつてない皮肉でもある訳です。
 彼に帰ってきて貰わなくちゃいけないのは当然。
 でも、わかっているわよね?、阿良々木君。
 「ただ」で帰って来れると、思っていないわよね?
 ただなにも考えずに、いつも通りにお節介のお人好しぶりを発揮して、「対症療法」だけを施して
 帰ってくるような真似したら、それこそ羽川さんに「色々」と託された私が承知しないのだから。
 戦場ヶ原ひたぎに、羽川翼のことがわからないなんて事は無い。
 今回の件は羽川さんに関係があるのね?と阿良々木君に確認したときの、あの「あ?」という一瞬の
 表情がすべてそれを物語っていますよね。
 
 言ってみれば、現状、阿良々木君は女の敵。
 でもひたぎは、だからその阿良々木君側について、「女」を裏切るつもりは毛頭無い。
 
 そういう意味で、ひたぎは阿良々木君を独り占めする気は無いのでしょうね。
 彼の恋人というポジション自体は勿論ひたぎの物でしょうけれど、しかし同時に、友人というポジション
 の存在を消すつもりも無く、また、その友人のポジションに甘んじながら、その中で悶々と彼をおもうも
 ちゃんと弁えてもいる、けれど当然それがストレスになっている、その羽川翼という人間の事を、
 戦場ヶ原ひたぎはちゃんと認めているし、また求めてもいるんですよね。
 それは、恋人のポジションを譲る譲らないの話とは、なんの関係も無いこと。
 その辺りを、阿良々木君は全くわかってない訳でw
 たとえば現在、阿良々木君は委員長こと羽川翼に憑いたストレスの権化、障り猫を引っ込めさせ
 ようとして、そのために必要な吸血鬼、忍野忍を捜索中なのだけれど、でも阿良々木君の頭の中
 では、既に羽川翼のために、では無く、羽川翼のためにも、という形に変更して、忍を探し回って
 いるんですよね。
 忍の事が、気になるから。
 『どちらを優先すべきかなんて明白なのに。』
 そりゃひたぎさんは溜息つくよ、羽川さんが報われなさすぎよ。
 委員長ちゃんのために忍ちゃんを探しにいくはずじゃあ、無かったんだっけ?阿良々木君。
 忍野がビルの屋上から手を振っていたシーン、あれよく見ると、障り猫が縛られていた場所、下に
 いた阿良々木君からも見えてるはずなんですよね、で、もうそのときに障り猫は抜け出していた訳で、
 なのに阿良々木君はそれが見えているはずなのに、「気付かなかった」んですね。
 せっかく忍野が手を振って気付く機会を与えていたのにね。
 阿良々木君、君は一体、なんのために忍ちゃんを探しに行っているんだったっけね?
 逃げた障り猫と忍ちゃん、どっちを「優先」して探すかなんて、明白なのに。
 なのに阿良々木君ときたら、障り猫がいない事すら気付かないんですからねぇ。
 見えてるのに、目の前に障り猫の不在が見えているのに、それなのに今君はなにをしているんだい?
 
 阿良々木君は、自分の優しさに「囚われている」だけ。
 
 だから自分の矛盾的行動に気付かないんですね。
 そして、あろうことか、自分でも気付かないうちに欺瞞的言動に走る。
 そこを、実は障り猫が突いてくる。
 障り猫の「誘導」で、阿良々木君は見事に忍ちゃんを探す事を肯定し続けるんですね。
 隣に、障り猫がいるのに、逃げ出してきた障り猫がいるのに。
 なんという、皮肉。
 そりゃ、戦場ヶ原様も頭が痛いですよw、充分今自分の彼氏がなにをやっているのか想像出来てし
 まいますもんね。
 だから、ひたぎさんは言う訳です、敢えて。
 『投げ出せる訳無いじゃない、羽川さんが窮地であればあるほど、私はこの役目を果たさねばならない。』
 羽川さんを窮地に追いやり続けているのが、まさに阿良々木君自身。
 そして阿良々木君の事だから、本当に「成り行き」次第で、羽川さんに靡くことは必定。
 彼氏の友人としての羽川さんを傷付け、恋人としての私を裏切ることもしようとしていると、阿良々木君。
 
 あなたは、あなた自身で気付かなくちゃいけないわ。
 
 そう、そのためにこそ。
 
 
 『ねぇ阿良々木君。阿良々木君はいつも通り阿良々木君のやり方を貫けばいいわ。
  私はいつも通り、私のやり方を貫くわ。』
 
 阿良々木君は見事にいつも通り「都合良く」解釈して、安心して無邪気に勝手に優しさに振り回され
 るといいわ。
 だから私も。
 いつも通り、私のやり方通り、そんな阿良々木君を殺しにいくわ。
 ・・・・・。
 これぞ、戦場ヶ原様www
 単純に、なんのかんのとツン的な事言っても、最終的には俺の事信じて待ってくれてるんだな、
 あいつはほんと、「できた」女だよ、まったく、とかにやけ顔を秘めた決意顔を阿良々木君がみせれば
 みせるほどに、戦場ヶ原様の世界で一番怖い「デレ」が発動する訳でwww
 つまり、そういうことなんですね。
 戦場ヶ原様をツンデレとして見なして自分のモノとしてしまう、それが阿良々木君の囚われであり、
 その境地から出てくるだけの優しさなんて、そんなものは、彼の根源にある本質的な優しさをかえって
 阻害するだけのもの。
 その本質的な優しさを見抜き求めたひたぎとして、これほど腹立たしいことは無い、けど、そうして阻害
 するモノがあるということは、すなわちちゃんと阻害されつつも本質的な優しさは確かにあるという事を
 感じることが出来る。
 だから、ちゃんと帰ってきなさいね、という、ひたぎの本当の本音も、あの大嘘つきなwツンデレサービス
 にも含まれているんですね。
 
 
 そうねぇ、つまりさ。
 ひたぎも委員長ちゃんも、ツンデレなんですよね。
 「ツンデレ」とはなにか。
 これは、阿良々木君側からみれば、実に可愛いもの。
 なんのかんの言っても、お前は俺のこと好きなんだよな、と、その結論としての好意を盾にして、その
 ひたぎさん達の発する「なんのかんの」を骨抜きにしてしか受け取ろうとしない。
 ひたぎさん達にとっては、その「なんのかんの」があってこその、阿良々木君を好きということに意味が
 あるのにさ。
 全部、認めて欲しい。
 本音は勿論、建前も、含めて。
 つまり、ツンも、ですね。
 ツンというのは、デレの引き立て役な訳が無いし、逆に引き立て役として勝手に楽しむのは、それは
 阿良々木君の論理。
 だからひたぎさんにしろ委員長ちゃんにしろ、その発する「ツン」自体に大きな意味がありますし、
 そして同時に、その事に気付いて欲しいからこそ、敢えて、デレを盛大に魅せる訳ですね。
 それがそのまま阿良々木君に都合良く楽しまれるモノになってしまう危険性を受け入れて、それでも
 敢えて。
 ツンデレを、サービスする。
 そして、ひたぎさんも委員長ちゃんも、そのツンデレという自分で播いた種の責任を取る覚悟は
 びんびんに張り詰めるほどにしてあるんですね。
 ただし、責任の取り方は、普通じゃない。
 というより、より自覚的。
 種をまいた以上、阿良々木君を傷付けてでも苦しめてでも、絶対に彼に花を咲かせてみせるわ。
 
 戦場ヶ原様はもとより、今回、障り猫を発現させた委員長ちゃんにこそ、その覚悟の熱度を感じる。
 
 逆にいえば、花を咲かせるためにこそ、種をまいているんですね。
 そこにはくだらない潔さも引き際の美学も無い。
 ただ花を咲かせる、そのために何でもする。
 さらに逆を言えば、たとえば委員長ちゃんが身を退くにしても、そこに花を感じるためには、その前に
 やらなくちゃいけない事が、しっかりとある。
 それが、障り猫。
 今回、言ったんですよね、障り猫をしてご主人はお前の事が好きなんだにゃと、阿良々木君に。
 ひたぎさんも委員長ちゃんも、徹底してツンデレをみせて、けどそれはその「ツンデレ」の意味を、
 阿良々木君に自分で気付いて欲しいというところから出てきてますし、特に電話での戦場ヶ原ひたぎ
 のその狡猾で覚悟に満ちたツンデレぶりは、もはや一個の芸術のよう。
 あれ、あそこでツンデレに引っ掛かってにやけた人多数かもだけど、でもたぶん確実にそれだとひたぎ
 さんに殺されるよねwwみんな逃げてーwww
 あれほんと、容赦無いものね、完全にツンデレですもの、全力で甘い罠を仕掛けてますもん、
 しかもああいう言い方したら、絶対阿良々木君引っ掛かってにやけるもの現ににやけてたものww、
 そして、ひたぎさんは阿良々木君がでも必ずその罠に気付いて自力で抜け出してくれると信じても
 いながら、しかし彼女は信じて待つだけの子供でも無い。
 だから、全力で彼を殺してでも気付かせるんですね、自分の仕掛けた罠のすべてをハイレベルな暴言
 を交えてww次回最終回でそのひたぎさんが出陣する前に、阿良々木君は勝負を決めたいところww
 ていうかそうじゃなきゃ殺されるwww
 
 
 
 で、まぁ、「化け物」とはなにか、って話なんですが。
 うん、ぶっちゃけ言ってしまえば、「ツンデレ」も「化け物」なんですね。
 まぁ、障り猫のあの「説明」が、実に端的にツンデレ的に化け物を語っているというか。
 や、「化物語」というタイトルはほんとびしっとくるタイトルですよ、ほんと。
 で。
 
 障り猫は、化け物、という概念。
 だけど、障り猫は、其処に「いる」。
 
 アニメ「もっけ」の感想でも色々書いたことと繋がるんですけどね。
 これはつまり、
 
 戦場ヶ原ひたぎは、ツンデレ、というサービス。
 だけど、戦場ヶ原ひたぎは、其処に「いる」。
 
 ってことです。
 現実、っつーことです。
 障り猫が、概念としての化け物を語りながら、現実に其処に存在してる。
 阿良々木君にとっては、障り猫というのはあくまで概念な訳ですね。
 で、概念として語られる障り猫の「自分語り」に聞き入って、概念としての障り猫を理解してく。
 そして。
 それが、罠にはまるということ。
 囚われてるんですね、その「語り」としての障り猫に。
 そしてその罠に障り猫がはめてる訳で。
 あの阿良々木君が障り猫のおっぱいに興奮するところwも、あれはエナジードレインという自分の力に
 気付いていないという姿を障り猫は思いっきり演じてますしね、胸押しつけたときの視線と、エナジー
 吸ったときに目を閉じてましたし、たぶんそういうことなんだと思います。
 
 で。
 障り猫はなにがしたいのか、と言ったら、阿良々木君に弁えさせようとしてるんですよね。
 人間と、怪異は違う。
 けど、それは当然の話であって、そしてそれだけでは無い。
 その事に気付かせるために、敢えて、化物という「概念」の部分を強調したんですよね。
 忍の話にしてもそうで、わざわざ吸血鬼と人間の違いを強調した。
 で、そうして概念としての自分達怪異の存在を語れば語るほど。
 
 そうやって、語っている障り猫が、確かに其処に「いる」事を、鮮明に伝えていくんですね。
 
 人と怪異は違う。
 だがそれは、存在の顕れ方が違うというだけの話にゃ。
 怪異は、怪異という「種族」でもある。
 色んなモノの顕れとして発現し、いろいろな概念として語ることも出来る。
 けどにゃ、人間。
 俺達は、イコール概念、って訳じゃ無いにゃん。
 俺達は、化物という概念を背負っている、存在にゃ。
 それはつまり、ツンデレという概念を背負っている、戦場ヶ原様の姿をして、なによりもあの画面の中で
 先行して語られていることなんですね。
 人間も、人間という概念を背負っている、存在にゃ。
 あの忍とかいう吸血鬼も、その背負っている吸血鬼という概念が無くなれば、ただの子供にゃ。
 げんに今、お前が側にいないとそのただの子供は、吸血鬼にすらなれないんだにゃ。
 
 
 おい人間。
 
 その子供を、ずっと、ほっぽりだして、次々に俺達追っかけてれば、そりゃー家出もするんじゃないかにゃ?
 
 
 忍を、イコール概念として、吸血鬼としてだけ捉えていれば、そりゃー忍がなに考えてるかなんて、
 そんなんわかるはずも無い。
 だからたとえ概念としての吸血鬼の習性だのなんだのを勉強したって、それは全然トンチンカン。
 忍野が弁えてるのは、そこなんですよね、知識学識は、ただ概念それ自体の理解であって、その
 概念を背負っている、存在するという「怪異」そのものの理解にはまるで繋がらない。
 戦場ヶ原ひたぎをイコールツンデレとしてだけ捉えていれば、いつか必ず殺されますww
 そして、障り猫は、そうしてひと噛みしたんですよね、阿良々木君を。
 慣れる、というのは、阿良々木君が怪異を自分が「学べばいいだけ」の概念として、自分の「モノ」
 にしてしまうことなんですよね。
 阿良々木君の中にもいい加減怪異観みたいなものは出来てるでしょうけど、でも、それで怪異を
 語り自分のモノにしているなら、人間、それはひと噛みしとかなきゃいけないだろうにゃ。
 そして、逆にいえば、この化物語という作品は、そういう、概念という「存在」を描き出しているんですね。
 だから障り猫をただ概念として読み解き捉えるだけなら、この作品の罠にはまる。
 その役を、全力で阿良々木君がやってるんですよねw
 
 
 
 で。
 
 
  誰もが忘れてるでしょうけど。
  
  阿良々木君も、吸血鬼、なんですよね。
 
 
 
 吸血鬼、とはなにか。
 阿良々木君は自分の事を「鬼」、と言ってました。
 吸血鬼とは、血を吸う鬼のことです。
 つまり、「吸血」という概念と、その概念を背負う「鬼」という存在で出来ている。
 だのに、阿良々木君は実は、「鬼」というものもまた、概念にしちゃってるんですよね。
 そして、阿良々木君は自分を、イコール概念としての鬼、としてしか感じられていない。
 つまり、阿良々木君が、此処に「いない」。
 阿良々木君は、阿良々木暦という概念しか自分に感じていなく、その阿良々木君暦という、
 吸血鬼という概念を対象化して背負っている、その存在としての自分が無いんですね。
 だから、やたらと彼女達の罠に引っ掛かるんです。
 そして、一番戦場ヶ原ひたぎがどうにかしたい、と思っているのは、実はそこなんでしょうね。
 吸血鬼なんだろうとなんだろうと、阿良々木君、あなたはあなたでしょう。
 それは自分が吸血鬼であるという事を否定する事とは、違う。
 この作品に、怪異が、現実に其処に存在している意味が、そこにある。
 逆に、明確にその阿良々木君の表面的な成長をこの作品が描くのは、それのもっと奥にある、
 本当の意味での彼の成長の本質を、敢えて隠すためのもの。
 それも、自分で気付いてこそだとは思わないかしら?、阿良々木君。
 まったく、阿良々木君ときたら対症療法対症療法って、そんな事ばかり、そりゃあ僕もそうだよねぇと
 頷いてみせたものだけれど、でもそれはあくまで怪異の概念の部分についてはそうだと言っただけで、
 誰もあの色ボケ猫や忍ちゃんが、それだけで出来てるなんて言った覚えはないんだけどね。
 忍野の話は、一番重要なところを常に隠す話法で成り立っていますし、逆に敢えて一部分だけを
 取り出してことさらわかりやすく絵解きをしてみせることで、それが全部だと阿良々木君に錯覚させる
 ように仕込んでいるものです。
 対症療法に拘るのは、根本治療から逃げてるからだろう?、阿良々木君。
 君以外のほぼ全員、あのツンデレちゃんはもとより、委員長ちゃんだって、必死に根本治療を見つめて
 頑張っているのに、ああ、君ときたら、一体、どんなザマだい。
 最初、忍の不在を知ったときに、阿良々木君は忍をただの子供だからと心配してましたよね?
 あれと、後半で猫に気付かされたときの忍の「子供」さは、全然意味が違うんですよね。
 最初のは、忍が吸血鬼という概念を持つ存在であることを無視した、人間と同じ子供としてみたもの。
 後半のは、忍が吸血鬼という概念を持つ存在であることを認識し、そしてその概念が揺るがされている
 状態の吸血鬼の子供、としてみたもの。
 
 そう。
 その子供の吸血鬼として、忍ぶは確かに其処にいる。
 それが、現実だよ、阿良々木君。
 
 
 はぁ、ひたぎさんと委員長ちゃんの苦労が偲ばれますよw
 障り猫の誘導は、実に効果的なモノでした。
 当然、その忍の現実が阿良々木君にみえてくれば、委員長ちゃんの現実もみえてくる。
 障り猫とはなにか。
 それは、障り猫という概念を背負う、あの障り猫という存在自身であると同時に。
 俺はな、人間。
 当たり前の話なんだがにゃ、俺はご主人のストレスの権化。
 つまり、ご主人の背負っている、ストレスという概念そのものでもあるんだにゃ。
 その構造が、まざまざとあの語りの中から見えてくるんですね。
 委員長のストレスそのものである障り猫が、その己のことを語るということはすなわち。
 委員長のストレスを語ること、そのもの。
 
 『いやにゃ、人間。
   俺のご主人、 お前のことが、好きなんだにゃ。』
 
 最初から、俺は俺の姿をお前に見せてたにゃ。
 なのに人間、お前は俺を放り出して、吸血鬼を探しに行ったにゃ。
 最初から、俺にきけば、答えなんてすぐだったにゃ。
 俺はご主人のストレス、ご主人の欲望、そしてそれを満たすためにこうしているにゃ。
 馬鹿はお前だにゃ、人間。
 お前はただ、対症療法に逃げただけにゃ。
 吸血鬼にエナジーを吸われたって、それはそれだけのことにゃ。
 今回もそれで上手くいくかもしれないし、いかないかもしれない。
 いや、前回上手くいったのは、そもそもエナジーを吸わせたからじゃないのかもしれない。
 人間、お前は、俺のことをなにも知らないにゃ。
 ご主人のことも、なんにも、知らないにゃ。
 知ろうとすることを放棄して、お前はただ、吸血鬼を探しにいっただけにゃ。
 あの吸血鬼だってお前に見つかって連れ戻されても、またいつか出ていくだけにゃ。
 人間。
 お前にすべてが解決出来ると思うのは驕りだがにゃ、解決出来るものと出来無いものを見分ける力
 を養わずして、勝手に解決出来無いと思うことを増やしていくのは、無分別もいいとこだにゃ。
 ご主人の親の問題は、無論お前にはどうすることも出来無い問題にゃ。
 だから、ご主人の鬱憤を晴らすために暴れた俺に付き合って、バトったあの九日間は、それでいいんだ
 にゃ。
 それしか出来無かった、のじゃなく、それ以外は全部ご主人が引き受けるべき事だったにゃ。
 だがにゃ。
 お前は、そういう構造を認識して、駆けずり回った訳じゃ無いにゃ?
 今回の件は、お前は、それしか出来無いという対症療法で済む話だと思うかにゃ?
 お前は、逆にゃ。
 前回の件は、それしか出来無かったと悔い、そして今回はそれを受け入れてそれしか出来無くても
 仕方無いと勝手な事を言ってるにゃ。
 あべこべにゃ。
 それはひとえに、人間、お前の分別が無いからにゃ。
 弁えていないからにゃ。
 
 それがお前の、お前の中の一番すごい優しさを腐らせているんにゃ。
 
 忍の事を絶対に守り見捨てないと言った、その阿良々木君の優しさという名の誠実さに、ひたぎも
 委員長ちゃんも惚れている。
 それがあるからこそ、ふたりとも諦めないんですよね。
 そして、その阿良々木君の魅力を、彼自身が全く認識していない事が、彼女達には辛いですし、
 またそれをそのまま「可愛さ」として萌えるだけの魅力として自分のモノとしてしまうことを、彼女達は
 それでも選ばない。
 ほんとに、好きなんだよね、ひたぎも翼も、彼のことが。
 そしてその想いは、同じものでは無いけれど、確かに阿良々木君の誠実な優しさと繋がってもいる。
 そういう意味で、彼女達は、その阿良々木君の誠実さに見合う女になりたいんですよね。
 だから阿良々木君の魅力を手つかずにしてそのまま愛でて、あとは全部自分達で背負ってしまうとか、
 そういう事は戦場ヶ原様を筆頭にして、絶対にしないんですね。
 だから、阿良々木君がそういう彼女達の想いを無視して。
 
 自分勝手に、全部自分ひとりで背負って、自分だけ傷ついて、死んでも守るとか。
 そんなことは、絶対に、許さない。
 
 死んでも守ると言ってくれたことが、なにより嬉しい。
 だからこそ、あなたをひとりで死なせるような事は、絶対にあなたにはさせないんだからね。
 それが、彼女達の誇り。
 それを、今回のこのつばさキャットその四が、鮮烈に描き出していました。
 あの障り猫の、凄まじい名演技が、すごかった。
 そして、その障り猫の向こうに深く垂れ込める、委員長ちゃんのもの凄い決意が、凄まじかった。
 うん、これはもう、なんていうか、委員長ちゃん反則でしょw二人がかりは反則ですww
 そして、なにより。
 
 その羽川さんに託されたものを、私はますます投げ出せなくなった訳ね、阿良々木君。
 
 だからますます、危機感がすごいのよ、阿良々木君。
 
 そうね、「ほんとうに」、いい文化祭にしたいわね。
 
 「ちゃんと」帰ってこなかったら許さないんだからー。 (棒読み)
 
 
 
 
 
 あと真宵の誤植と撫子の絵面のあざとさと撫子自身の確信犯ぶりのギャップ萌えを差し置いて。
 神原後輩に、拍手。
 あの人はほんと、阿良々木君以外からの電話にどう対応してるんだろwwwww遊びすぎだwww
 
 という感じです。
 むー、やっぱり久しぶりに書くとびしっと書きたいこと表現出来無いですねぇ、ごちゃごちゃだw
 次回最終回は三月中に放送されそうですので、また近いうちにお会い致しましょう。
 うん、今回も面白かったので、最終回にも大期待です。
 
 んじゃ、今日はこれにて。
 ごきげんよう。
 
 
 
 
 
 
 
 

 

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