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◆◆◆ -- 2011年6月のお話 -- ◆◆◆
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-- 110630-- |
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■■ アニメの季節 5 ■■ |
ごきげんよう、紅い瞳です。 |
あんまりにも暑いので、前置きは無しの方向で。 |
今回は、前期アニメのまとめ感想のラストを飾らせて頂きます。 |
まどマギ感想です。 |
いよいよです、ここまで書くのを渋って逃げ回っていましたけれど、もう限界です(ぉぃ) |
なにを書こうどう書こうかと悩むから、書けないのです。 |
全部書く。 |
書くままに書き続ける。 |
ありがとうございました。 (微笑) |
と、その前にこれだけは一応やっておきます、もう7月も目前ですもんね。 |
来期アニメの視聴リストを記します。 暫定版。 |
月: (銀魂’) ・ 夏目友人帳参 ・ ゆるゆり |
火: 神様ドォルズ ・ 猫神やおよろず |
水: いつか天魔の黒ウサギ ・ (日常) |
木: うさぎドロップ ・ NO.6 ・ バカとテストと召喚獣にっ! ・ まよチキ! |
金: 神様のメモ帳 ・ BLOOD-C ・ ダンタリアンの書架 |
土: ロウきゅーぶ! ・ R-15 ・ (デッドマンワンダーランド) ・ (シュタインズゲート) |
日: (青の祓魔師) ・ ぬらりひょんの孫千年魔京 ・ 異国迷路のクロワーゼ ・ (花咲くいろは) |
:全22作品 ()付きは前期以前よりの継続作 |
かつてないほど多いですけれど、今回はお勧めされた作品とか前期継続作も結構加わっておりますし、 |
甘めなチョイスの作品もありますので、最終的にはほどほどの数に落ち着くと思っております。 |
たぶん。(微笑) |
ちなみに、「日常」は「夏目」と被ってしまい、夏目が放送局ひとつのみなので、月曜放送のTVKから |
水曜放送の東京MXに移籍して観る予定です。 内容・・同じよね?(当たり前だ) |
他の作品同士もバッティングしているのがありますけど、まぁ、なんくるないさー♪ ←最近好きな言葉 |
そしておそらく、来期は「夏目」の連続感想を書くと思います。 |
ぐ・・他にも色々書きたいこと山積みなんですけど・・・まどマギSSとか・・・ちょっと挑戦してみる(ぉ) |
ということで、よろしくお願い致します。 |
その他の現時点での私の注目作は、「うさぎドロップ」、「神様のメモ帳」、「異国迷路のクロワーゼ」 |
辺りが有力で御座います。 |
それでは。 |
改めまして。 |
前期アニメのまとめ感想ラストを飾ります、「魔法少女まどか☆マギカ」の感想をお送り致します。 |
◆ |
魔法少女まどか☆マギカ: |
どうして、私達は、他人のために自分を犠牲にすることが出来るのか。 |
私はながらく、その問い方に疑問を感じてきた。 |
犠牲にすることが「出来るのか」? |
なにそれ、なんだかそれ、自分を犠牲にする事が、さも難しく、そして大切な事みたいな言い方じゃん。 |
自分を犠牲にするのは、自分を捨ててるからってだけだろーが。 |
ふつふつ。 |
怒り。 |
はぁ・・・ |
なんだろなぁ・・ |
今なんか、足をどーんと投げ出して、わーって感じで思いっきり寝転びたい気分。 |
なんでこんな私、誰かのためにとか、なにかのためにって思ってたんだろ。 |
それはとても、とても強い衝動だった。 |
確かに誰かの事を考えて、その人のためになりたいと、真摯に誠実に考えてきたのは事実だし、 |
その事に対して誠意を以て、ずっと考えてきたのも事実。 |
それは、揺るがない。 |
そして同時に、そこで満足して終わってしまったら、それは自己満足にしか過ぎない、本当はただ |
私は自分のために他の人を利用しているだけで、ほんとはその人のことなんてどうとも思っていないんだ、 |
なーんて。 |
そんな、罪悪感。 |
やりました。 |
きっちりがっちり、その罪悪感を積み上げて、追求して、誠心誠意、他者のことを想いました。 |
なにが、本当に誰かのためにこそ、頑張れているといえるのか。 |
つまり。 |
他者第一。 |
徹底的に、他者のためにあるとはどういう事か、それを追求していたということ。 |
それはさながら哲学のようであり、そしてそれはさながら、底無しの泥沼のような衝動。 |
キリなんてある訳が無く、キリも無く、永遠に永久に、なにが他者のためにあるといえるのか、 |
という追求の積み重ねの中にだけ、その答えはあった。 |
他者。 |
他者。 |
他者。 |
ぜんぶ、他者。 |
他者のために徹底的に突き詰めて尽くす事が出来る、その私ならきっと褒められる認められる、 |
そんないやらしい利己的な自分をこそ狩り出して、それを処刑する敬虔さの中にこそ。 |
真実の、私の居場所を見出そうとしていた。 |
それは、異端審問官の悦びだ。 |
まさに、魔女狩りだ。 |
徹底的に。 |
自分を。 |
排除する。 |
駆除する。 |
削除する。 |
殺し尽くす。 |
狂気 |
なんだろう。 |
なんなんだろう、この情熱は。 |
なんだろう。 |
この自分に対する、絶望的な悪意は。 |
ああ |
これは、さやかちゃんだ |
あの徹底さには、心底震えた。 |
無論。 |
恐怖で。 |
魔法少女さやかに狩られる、魔女のさやかが恐怖で竦んでいる。 |
ほむらちゃんが、まどかちゃんに依存しているとも言えるほどに、あそこまで尽くして護ろうとすればする |
ほど、最悪の魔女たるワルプルギスの絶叫は、その生存力を増していく。 |
不思議だねぇ・・ |
最初はほんとうに、それこそ、一番最初のまどかちゃんのように、みんなちょろっと、幸せな毎日の行き |
先のひとつに、その毎日を守れたら、みんなと一緒に生きられたら、そんな程度の、ささやかな想いしか |
無かったはずなのに。 |
それは、自らの命を振り捨てるほどにして求めるような、そんな呪いのような願いでは無く、 |
誰もが当たり前に抱く、ひとつのささやかな贅沢としての祈りにしか過ぎなかったはずなのに。 |
そうだよねぇ・・・杏子ちゃんはただただ、みんなのことをそっと祈れる、みんなの幸せを願える、 |
そんな優しい神父様たるお父さんのことが、好きだっただけなのに。 |
それは、自分自身の存在証明とは、なんの関係も無いはずのものだったのに。 |
不安。 |
ひとりが、怖い。 |
『誰も未来を受け止められない。』 |
すべては、そこから始まっている。 |
自らの存在証明を、自ら果たすことが出来無いゆえに、それを他者に求めようとする。 |
精神的自立が必要な成長の過程で、私達は、実に多くの誘惑に冒されてしまう。 |
誰かのために。 |
それが出来れば、あなたは一人前、あなたの事は私達が認めてあげる。 |
これは堪らない、誘惑。 |
そして、その誘惑に乗り、ひとつのミッションとして、誰かのために尽くそうとする、その自分の中の恐怖 |
政治が開始される。 |
さやかちゃん然り、ほむらちゃん然り。 |
それは尽きせぬ地獄の世界の始まり。 |
次々と殺され粛正されていく、自分。 |
正義の味方たる魔法少女の如くに自分の中の魔女達を狩り立てていく。 |
たったひとりの、魔法少女だけしか受け入れられない世界。 |
すごいよねぇ・・恐ろしいよ・・ |
自分の中には、沢山の自分がいる。 |
他者の価値観上の善悪とは一切関係無く、実に無数の自分達が、この心と体の中には生息して |
いる。 |
それを、狩り立てる。 |
駆り立てる。 |
たったひとつの、衝動のために。 |
誰かのために。 |
その誰かのためになる自分だけを認証し、それ以外の自分を抹殺し押さえ込んでいく。 |
誰かのためになる自分だけが認められる、そんな世界観しか抱けない、貧弱な自己。 |
自己受容ということを、その小さな世界の文脈の中でしか行えない。 |
バラバラ。 |
たったひとりの独裁者の下で、無理矢理従わされているその無数の自分達が、大人しくそれで |
済むはずが無い。 |
弾圧すればするほど。 |
抵抗は、増す。 |
死にたくない。 |
死 に た く な い |
当たり前な話ですよ。 |
バラバラですよ。 |
一見、独裁者というたったひとりの自分によって統一されているように見えるけれど、その支配の下 |
でなんとか生き残っている抵抗勢力者達が、その統一に心から力を貸すことなんて、死んでも |
あり得ない。 |
バラバラ。 |
そんな一極支配の、私という国が強いはずが無い。 |
富国強兵の基本は、一部のエリートの育成では無く、国民すべての能力の底上げにこそある。 |
自己犠牲心逞しい、敬虔な魔法少女たる、そのたったひとりの自分だけをいくら育てたとて、 |
絶対的な国力の成長は、全く見込めない。 |
むしろ、圧倒的な抵抗勢力の醸成がはかどるだけ。 |
バラバラ。 |
さやかちゃんやほむらちゃんの、その自分という世界が多いに乱れていたことを、私は心底感じた。 |
魔法少女による独裁で疲弊し、魔法少女しか生存を許されないその国は、もう国とは呼べない。 |
そして。 |
だからこその、まどかちゃんによる、魔女の認証だったのじゃないかなぁ。 |
『絶対に、今日までのほむらちゃんを無駄になんてしないから。』 |
これは、独裁者としての「魔法少女ほむら」の認証では無く。 |
魔法少女も魔女も、その他あらゆるほむらちゃんを含む、ほむらちゃん全部を認証したもの。 |
だから無論、魔法少女も、その存在を認証される。 |
これは、とてつもなく、大きいことなんだよねぇ。 |
なにしろ、魔女を認めようとして、魔法少女を排除しようとすれば、今度は魔法少女が抵抗勢力に |
転じるしか無くなるんだから。 |
誰だって、今までの自分の努力を無駄だなんて思いたくないし、思った時点で、そう思われた自分は |
、統一統合された、自分という国から外れてしまう。 |
それはそれで、全くのその自分という国の損失、いやいや大損失だ。 |
魔法少女にも、魔法少女なりの国を想う心はあった。 |
大事なのは、それだ。 |
だからこそ、そうしてまず魔法少女自身が、認証されることによって、今度はその魔法少女こそが、 |
自分の中の魔女を認証してあげることが出来るようになっていく。 |
呪うのは、怒るのは。 |
とっても、苦しいんだよ。 |
魔法少女が、自分を弾圧することで懸命に生き延びてきたように。 |
魔女も、呪いを怒りをぶちまけることで懸命に生き延びてきた。 |
もう、自分を傷付けたり責めたりしなくていいんだよ。 |
もう、呪ったり怒りをぶつけたりしなくていいんだよ。 |
涙が止まらぬよ、私は。 |
魔法少女が認められ、そして、魔女が魔法少女こそに認められたとき。 |
魔法少女が魔女を弾圧しなくて済むようになり、その御陰で魔女がもうなにも呪わなくて済んだとき。 |
その自分という国は、世界は統一される。 |
すべての自分がその生存と、感情と、存在価値を認められた国。 |
その国力は、それまでの比では無い。 |
魔法少女と魔女が、互いの存在を認め合い、力を合わせたとき、そこに、ひとりで立って歩くことが |
出来る、そんな幸せな自分が現れる。 |
最終回で、魔法少女ほむらがひとり荒野を歩き、魔獣と戦うシーン。 |
ほむらちゃんの背から伸びた羽は、あれは魔女の羽。 |
ひとりは、嫌。 |
そのとき、強大化の一途を辿るのは、魔女を駆逐しようとする独裁者の魔法少女。 |
そしてその魔法少女が権力を振るえば。 |
より増大するのは、魔女の力。 |
そのとき |
『がんばって』 |
そんな声がきこえたら |
その声に、うん、と。 |
魔法少女と、魔女と、そして。 |
その他のすべての自分が、心の底から頷けたら。 |
心の底から頷けるほどに、すべての自分を愛せたら。 |
ひとりで、戦える。 |
だって、独りじゃないもの。 |
私には、こんなにも沢山の、私がいるんだもの。 |
魔女の溢れる生命力のままに、空を翔ぶ、魔法少女ほむら。 |
そして。 |
ほむらちゃんの胸の中に広がった、あのがんばっての声は。 |
それは、まどかちゃんという、他者のものでは無く。 |
まどかちゃんと出会い、まどかちゃんを好きになった、そんなほむらちゃん自身の声。 |
その新しい自己を、これまでの無数のほむらちゃんの一員に加えることが出来ている。 |
他者からの認証を求めず必要ともせず、自己認証と自己受容を行えるようになった、 |
ひとりの大人のほむらちゃんが、そこにはいました。 |
それが、この「魔法少女まどか☆マギカ」という作品がイメージする、現代の私達が歩むべき、 |
幸せな人生という名の、成長の軌跡なのだと。 |
そのように、この作品を捉え、語っている、その私を、この作品と出会ったことで、私は新しく手に入れる |
ことが出来ました。 |
そうだねぇ。 |
そこにはもう、魔法少女も、魔女も、そしてまどかさえも無いんじゃないかなぁ。 |
それも、私。 |
魔法少女、魔女、まどか、それらが別個の枠組みを持って自分の中に存在しているからこそのバラ |
バラ感、そしてだからこそ、まどかちゃんが魔女を消し去ったというのなら、つまり、魔法少女も、そして |
「まどか」という名の他者そのものも、ほむらちゃんの中から無くなるのじゃないかな。 |
全部、私だ。 |
それが、統一、あるいは統合と私は呼ぶ。 |
私の中にいるまどかと、私の外にいるまどかちゃんは、別モノよ。 |
他者というのは、あくまで私の外にいるまどかちゃんのことにしか過ぎない。 |
私の中に、そしてほむらちゃんの中にいるまどかは、それはもう、他者じゃ無い。 |
それは、私だ。 |
ほむらちゃん自身だ。 |
他者であるまどかちゃんに縋らず、囚われず、そしてまどかちゃんのせいにせず。 |
私という、ほむらちゃんという、まどかのような「自分」のために生き、そしてその責任を負う。 |
ほむらちゃんは、それがごっちゃになっていたんだね。 |
ほむらちゃんの中に、「他者」としてのまどかがいて、んで、その他者に奉仕しちゃってた訳でしょ?、 |
しかもそれはあくまでほむらちゃんの中にしかいないまどかな訳だから、ほむらちゃんの外にいるまどか |
ちゃんとは違うから、ほむらちゃんはいつまで経ってもその外にいるまどかちゃんの横には立てない。 |
そしてなにより、辛いのは、ほむらちゃんの中に、まどかという「他者」が存在してる、って事なんだよね。 |
これはきついぞぉ、死ぬほどきついぞぅ、まどかのためにまどかのためにまどかのためにぃーっ!、って、 |
どんどんと肥大化していくほむらちゃんの中のまどかのために、奉仕するレベルががくんと跳ね上がって |
さ、マジ死ぬからそれ、つーかまどかちゃんマジで引くわそれw |
だから、それを解消するためには、ほむらちゃんの中にいるそのまどかが、それがほむらちゃん自身に |
編入、そなわち、わかりづらい言い方すると、まどかという名のほむらちゃん、になればいいんですね。 |
魔法少女のほむら、魔女のほむら、そして、まどかなほむら。 ・・・わかりづらいなぁw |
んで、そうやってまどかを自分化(?)することによって、実は、ほむらちゃんの外にいる、バリバリリアル |
なwまどかちゃんとの間に、明確な線引きが出来るようになるんですね。 |
私の中にいるまどか、と、私の外にいるまどか、では、本人がどう意識して努めても、なかなか区別 |
するのは難しい。 |
だから、まどかっぽい私、と、私の目の前にいる鹿目まどか、という認識に変われば、その区別はかなり |
容易に、そしてはっきりと行われやすい。 |
そしてそれが出来てこそ、初めてほむらちゃんはまどかちゃんの横に並んで立つ事が出来るんじゃ |
ないかな。 |
私達が、他者を、他人の存在を認識するというのは、そういうことだけを言うのだとも私は思います。 |
これまただから、最後にほむらちゃんの中に響いたまどかちゃんの声は、あれは、やっぱりほむらちゃん |
自身の声なんだろうなぁ、ほむらちゃんもそれを深く自覚したからこそ、ひとりで戦えるようになったんじゃ |
ないかなと。 |
あれがもし、神様なまどかとかw、まどか的概念(?)みたいな、そんなほむらちゃんの中にいる「他者」 |
としてのまどかの声なのだとしたら、私は全然感動しないし、この作品を評価は出来無いかな。 |
つーか、それだったらこれまでの作品となんも変わらんもの。 |
で、今のこの私の言い方が、私の中のまどマギと、私の外のまどマギをごっちゃにしてる訳でww |
私の外のまどマギ、まぁわかりやすく言えば、まどマギ作った人にとってのまどマギが、それがどういう |
ものであろうと、それは私の中のまどマギ、いいえ、私がまどマギと出会ったことによって、新しく |
作り出した、まどマギっぽい私は、それぞれ別モノなのですよね。 |
なのに今、その線引きを無視して、作品の評価云々を口にした訳です、うん確信犯ですよ・・ |
たぶん。(ちょw) |
つまり、重要なのは、私にとって、このまどマギという作品がどう映り、どう感じ、そしてどう語りたいか、 |
と思ったか、ということなんですね。 |
それがある意味、私が自分に対して負うべき唯一の責任というか。 |
あー、まどマギという他者としての作品に対して負うべき責任は、ひとつもありませんけどね、まぁ |
せいぜい著作権に気をつけるくらいかとw |
うーん、そう考えると、この作品がアニメファンなりオタクなりに提示されたということは、非常に面白い |
ことでもありますねぇ、なんかネットなんかだと、そういう評価に関する責任の所在が、無茶苦茶に |
なってる気がしますしね、ほら、なんかこういう「見方が正しい」的なさ、そういうのあるじゃん?、 |
人それぞれに色々な見方があるって言ってる人に限って、実はほんとは頑なだったりすること多いん |
ですよね、それはやっぱり頑なさを否定するための反動的なてかそれ私だー!(頭抱えてwww) |
まぁつまり、私が言いたかったのは、ていうか随分前から言わせて頂いておりますけれどw、自分の |
アニメの見方感じ方に自信と責任持って観やがれこのやろう、ってことです。(やさぐれ禁止w) |
まぁうん、なんか豪快に話が横道に逸れてしまいましたけどw、なんつーか、やっぱり私としては、 |
ほむらちゃんの成長のプロセスが一番がいーんと魂に響いた感じなのよね。 |
他者から自分へと、そのほむらちゃんの想いを移行させることが出来た、そのプロセスの語り方が実に |
丹念で精密で、そして実に挑戦的だったのがもう、痺れてしびれて。 |
なんてか、ほむらちゃん自身の語り口の、その奥にがっしりと隠され、そして何重にもして押し込められて |
いる、そのほむらちゃんの魂が、死にたくない、生きたい、幸せになりたいって叫んでるのがさ・・ |
それが、まどかちゃんに尽くして荒れ狂ってる、そのほむらちゃんの叫びの裏に確実に打ち付けてあって。 |
そうだよねぇ・・・まどかちゃんに尽くして、まどかちゃんのためを想っている、その魔法少女な自分こそ |
が最も自分の生きる力を抑圧してるのだものねぇ、ほむらちゃんは満身創痍以前に、自分の本来の |
力の何分の一も出せないまま、その状態で死力を尽くし続けていたんだものねぇ・・・ |
だってほむらちゃんは、ほむらちゃんの中の「魔法少女ほむら」の力しか発揮出来てないんだもの。 |
凄まじいよ・・ひどすぎるよ・・・ほむらちゃんは真っ黒になって、魔法少女ほむらに全てを注ぎ込んで、 |
それであそこまでの事をやり続けやり遂げて・・すごいよね・・魔法少女の力だけでよくもまぁ・・・ |
その ほむらちゃんの必死の形相に共感して、でも・・それ以上に・・どうしようもない空回り感も感じて・・ |
そして、そこから、そんなどうしようもない状況自体からこそ、絶対に絶対に抜け出そうと足掻き続けて、 |
絶対に魔法少女に屈しない、魔女なほむらちゃんの叫びがさ・・共感以上のなにかだよ、これ(溜息) |
で、その抑圧の主犯である魔法少女ほむら自身も・・・実はそうしなければならない理由があってさ |
そうして、自分の中の自分を殺しまくって、自分の本当の力の何分の一の状態であんなにまで |
頑張って、きっとそうすることで得られる成果では無く、そう「し続ける事」自体で、なんとか、魔法少女 |
も魔女も含む、すべての自分を丸ごと殺そうとする、「なにか」と戦い続けていたんだよね。 |
魔法少女ほむらは、他の自分を抑圧しながらも、その「なにか」から自分達を必死に守っていたんだね。 |
自分を抑圧し弾圧するという、その「方法」で自分を守ることしか、ほむらちゃんは知らなかったのだから。 |
まさにトカゲの尻尾切りというか、生け贄というか。 |
でも、そうして尻尾を傷付け続ければ、やがて・・・ |
まどマギというのは、つまり。 |
ほむらちゃんが、己が身を裂くのをやめて、自分が本当に戦うべきものと向き合っていく物語。 |
ぶっちゃけ、ほむらちゃんにしろさやかちゃんにしろ、彼女達があそこまで命懸けでやっていたことは、 |
それはすべからく、「アピール」なんだよね。 |
杏子ちゃんの罪悪感の持ち方なんかも、まさにそう。 |
自分のことを責め、そして他人のために尽くせる。 |
そんな私を、認めて。 |
人間として、受け入れて。 |
娘として、ひとりの女の子として、愛して。 |
だから、己が身を裂く。 |
己の血で咲かせた花を、捧げる。 |
これってさ |
ああ そうだよ |
自分のこと |
信じてあげられなかった、ってことなんだよ |
おおばかやろう。 |
私がこういう話に大号泣するのは、無論悲劇のヒロインぶりに共感したり陶酔したりするからじゃ無い。 |
そうして自分の身を切り刻み続ける、そんな自分に対する、激しい怒りを感じている、そういう、 |
自分の中に確かにいる、いいえ、ちゃんと、ちゃんと生き延びていてくれた、魔女的な私を、 |
心底愛しているからなのよ。 |
魔女は・・・ただ信じて欲しかっただけなのよ |
魔女は悪く無い。 |
生きたいだけなんだから。 |
それを、魔法少女は、「みんな」のためになれないからって言って、魔女を信じず、魔女を虐げ、 |
そして魔女を否定出来る魔法少女の自分だけを、みんなに認めて信じて貰おうとした。 |
魔法少女は、魔女を信じられなかった。 |
ほむらちゃんが、まどかちゃんを信じられずに、まどかちゃんの未来を背負おうとしたように。 |
そう |
魔法少女は、魔女を守るためにこそ、魔女を虐げていた。 |
「悪い子」にお仕置きをして、そうしてその子を「みんな」に受け入れて貰えるような子に、しようとした。 |
そしてそれを、「みんな」にアピールした。 |
魔女はただ、自分らしく生きたいだけだったのに。 |
魔女はただ、魔法少女な自分に信じて貰い、愛され、求められれば、それだけで幸せだったのに。 |
魔女こそ、ひとりを生きる才を秘めた、無限の可能性なのに。 |
魔法少女は、その魔女の生命力を、信じられなかった。 |
魔女を受容出来ず、そして、「みんな」に依存した。 |
なにより |
そんな魔法少女の弱さを、魔女こそが助けてくれるはずなのに。 |
そして、だから。 |
同時に、そうして他に生きる方法を知らなかった、そんな魔法少女にこそ。 |
私は深く、共感する。 |
生きたい。 |
悪いのは、魔法少女では無く。 |
他に生きる方法を知らない、という問題そのもの。 |
ずんとくる。 |
その問題が悪いのであって、その女の子が悪いことなんて、決して無い。 |
だってその魔法少女は、魔女を愛しているのだから。 |
生きたい。 |
そこに。 |
魔女と、そして魔法少女が和解出来る、唯一の道が拓けてくる。 |
生きたい。 |
自分を、生きたい。 |
それが、魔女が、そしてなにより魔法少女自身が、それぞれ求めていたもの。 |
それは、他の誰とも共有出来ることでは無い、自分達だけの絆。 |
誰かに救って貰えることなどあり得ない。 |
自分を救えるのは、自分だけ。 |
その自分を救う共犯者は、自分の中にこそ、無数に存在し、そして無限に存在し続ける。 |
自分の外にいる他者は、それをアシストして助けてくれるだけだもんね。 |
あー・・やっばい、わかるなぁ・・わかりすぎますよ最近 |
魔法少女にこれだけ私が共感するのは、魔法少女と心中したいからじゃ無い。 |
希望。 |
そう |
生きたいと、果てしなく祈り続け、そして、自分の身を刻み続けながら、その向こうに隠されている、 |
自分自身の深い問題と向き合い、絶対に諦めずにそれを乗り越えていこうとする・・・ |
そんな彼女達に、私がどうしようもなく、心震えたから。 |
希望を持つことがいけないだなんて、ほんともう、一体なんの話だよって感じ。 |
ひとり |
孤独 |
それを受け入れ、そして自ら変わっていくことの道を歩もうとしていく、そのすべての私達を否定する、 |
ただそれだけのものと、私は、私達は戦っていく。 |
そして、その自覚の下でなら、いくらでも他者に依存したり、絶望したり、呪ったり叫んだりしても、 |
それは全然問題無いんじゃないかなぁ。 |
全部、必要だった、ただそれだけだよ。 |
必要が無くなれば、ふっと、手を離す。 |
魔法少女の共依存的自己犠牲も、魔女のはっちゃけも、だから受容可能になる。 |
やー・・杏子ちゃんの、あの最後の最期まで生きようとしたあの感じ・・・涙止まらないよ・・ぐすん |
そしてさ、最期の最後で、一見するとお父さんに縛られて、お父さんへのアピールとしての「祈り」を |
見せたようなあれも、実はそういうアピールの皮を被って、その下で本当の他者への想い、純粋な |
さやかちゃんを想う気持ちに至れていたんじゃないかなぁって・・・・・・・・ちょっともう泣き死ぬぞこれw |
つまり、自分が自分を生きる手段、道具としてアピール的なものを使えたというか、それも受容出来た |
、ということなんですね。 |
別の言い方をすると、それまで他者へのアピールとしてそれらのものに支配されていたことから脱却 |
出来た、或いは自分がそれらのものを自分で使うという自覚が持てた、という感じかな。 |
その差は、果てしなく、大きい。 |
魔法少女の力に支配され、振り回され、ただ己の身を裂き続け、他者に幸せを願う自分から。 |
魔法少女の力に支配され振り回され、己の身を裂き続ける自分を自覚し、それをも受け入れ |
自分で幸せを祈る自分への変容。 |
それは |
絶望から、希望への変容。 |
いや、むしろ絶望から手を離して、希望を受容することでそれは為し得たのかな? |
本当のほんとうに、自分が希うものと向き合うのって、それを諦めることの何億倍も勇気がいるからね。 |
期待する事と信じる事は違う、と最近私よく言ってますけどさ、絶望っていうのは、なにかこう、こう |
あらねばならないという型にはまったものだけに価値を置き、それを手に入れる事でしか幸せは訪れ |
ないし自分の存在価値は無い、というところに生まれるのだと思う。 |
それってつまり、たったひとつの自分の形にしがみつき、そのたったひとつの自分に見合うものを手に入れ |
たり、それを与えられたりすることを、期待しているってこと。 |
信じるっていうのは、それとは真逆のことでさ、求めるものは不定形だし、自分の形も数も無数でさ、 |
とにかくなにを手に入れられ与えられ、手に入れられなく与えられなくとも、そして自分がどういう自分 |
になろうとも、全部受け入れて、その中で必ず、そう、どんな形かもわからないけれど、きっと幸せに |
なれると、そういうことを言うのだと、私は深く思う。 |
それが、希望ってことであるのだとも。 |
ぶっちゃけ、自分の中には、魔法少女と魔女どころか、もっともっと凄まじい数の自分がいる。 |
というか、瞬間瞬間で、同時に複数の自分が存在する。 |
調子が良いとき悪いとき、そういうときにもほんとこまめに自分というのは切り替わってる。 |
その自分を、ひとりひとり、全員全部、認めて、そして信じて任せることが出来たら・・・ |
それは、それはとても豊かなことだと思う。 |
でも、私達はそうしてひとりひとりの自分を認めて、信じて任せることが出来無いような、そう、単一の |
自分による単一の目的を果たすことをあまりに要求され、そしてその要求に応えることの中にしか |
自分の居場所を作ることが出来無い世界の中に生きてきたものだから、必然、自分が貧しくなって |
いくことを止められない。 |
自分に期待せざるを得ないんですよね。 |
それはとっても辛い。 |
そりゃ過労死とかしちゃうでしょ、ガチで。 |
自分の中のひとりひとりの自分と向き合い、そしてその時々の自分に任せて、そしてその結果どうなろう |
とも、その責任を自分で負う。 |
それが自分を信じるという事であり、自由という事でもあり、そしてそれが一番本当の意味で、 |
らくちんな生き方なんだと思うなぁ、つか最近私なるたけそうしてるよ。 |
うん、自分の中の、たとえば魔法少女とかさ、そのひとりだけが全部背負い込んで、全部ひとりで |
やってくとか、キツすぎるでしょ。 |
それにそれって、その人の能力のほとんどを発揮出来ていないってことにもなる訳だし。 |
うーん、まどマギ観てるとさ、その辺り、強烈に、そして鮮烈に迫ってくる。 |
確かに魔法少女自体の能力は高いかもしんないけどさ、その能力って、大体が他者の価値観上 |
価値あるものを手に入れるための能力、ってのに特化してる気がするのよねぇ、で、自分自身も |
その魔法少女にしがみついてるから、しぜん、自分のほんとうの欲望に、その他者の欲望を上書き |
しちゃって、その自分が本当に純粋に求めているもの、すなわち、他者になにも押しつけられず査定 |
もされず阻害もされない状態でなら素直に求められるもの、というのが完全に見えなくなってしまう |
のよね。 |
それはもう、自分の欲望、気持ちのすり替えが起きちゃってるわけで、しかもそれに気付いてないとか、 |
これはもう地獄の循環でしょ。 |
ひとりが、怖い |
他者が、怖い |
全部そこなんだよね、つまり。 |
つまり、極論というか、本質を問えばというか、それって要するに、自分が自分であり、自分には |
自分の欲望がありそれを叶えて生きていく、という自己責任を放棄してるってことなんだよね。 |
んで、逆に自分の欲望を叶えていくなんて、そんな自分勝手なこと出来る訳ないし、そんなこと |
やってたらこっちの身が保たないだの仲間はずれになるだの、ええい、こんにゃろう、それって全部、 |
要するに人のせいにしてるってことだろが! |
ほむらちゃんにしろ、さやかちゃんにしろ、そうだね、さやかちゃんがわかりやすいね、さやかちゃんの、 |
本当に純粋な欲望って、それは一見上条君とお付き合いしたい、ってことに見えるけど、でも |
もっと深いとこにあるのは、ただたんに、上条君のヴァイオリンの演奏を聴きたかった、ただそれだけなのに、 |
それなのにまぁ上条君と付き合うだの付き合わないだのの、そんな恋愛ごっこな話にしちゃってさ、 |
なに?、上条君のヴァイオリン聴くには恋人になんなきゃ駄目なわけ?、で、しかもその上今度は |
自分は上条君に相応しくないだのこんな体を愛して貰える訳ないだの、挙げ句の果てには自分には |
彼を好きになっていい資格は無いとか、ああもう、ちょっとこっちこい、説教してやる!(詢子さん風にw) |
つまり、今のこのさやかちゃん的な考え方って、全く逆に、自分こそがそう思ってるんだよね、周りというか |
世間がさやかちゃんにどういう価値観を押しつけようが、その通りに生きないと受け入れてくれなかろう |
が、んなもんさやかちゃんがさやかちゃん自身を認めて受け入れていけば、全然どうでもいいっていうか、 |
もっと言えば、「世間」とか「みんな」なんてものが実は全くの幻想なんだ、ってことがわかってくる。 |
さやかちゃんの中にいる、魔法少女さやかこそが、自分をガチガチに縛り付けてるだけなんだよ。 |
その魔法少女の姿を、「世間」とか「みんな」という形にして、世界に映し出して見てるだけ。 |
常識とか空気とかも、みんな全部そうね。 |
だから、魔法少女と、そして自分の真の欲望を知る魔女が和解すれば、なんのことは無い、 |
この世界で自分のままに生きる自分を守り支えていける、自立した自分へと成長出来るんだよね。 |
他者はもう関係無いっていうか、さいっしょからなんも関係無いってことがわかるだけだね。 |
そして |
その自分の中の魔法少女と和解するために、最も必要なのが。 |
自分の中の独裁的な魔法少女の魔の手に全く屈しない、 |
そういう、自立した幸せな人達との出会いにあるのだと、私は感じています。 |
なぜって |
そういう人と出会った私の中に、そういう人に良く似た私が新しくひとり、生まれるから。 |
ほむらちゃんの髪を新しく彩る紅いリボンと |
そして新しく手にした弓に、その幸せな出会いで生まれた新しいほむらちゃんを感じました。 |
無論、現在自分の中の魔法少女と向き合い、和解に向けて頑張っている人との出会いもすごく |
共感させて貰えるし、全く逆に、魔法少女に囚われまくって、自分どころか他人まで査定してくる |
人との出会いも、あーもう魔法少女ひとりで戦うなんてやめたっ、と、実感とそして自覚させて |
くれるという意味でも、大切ではありますね。 |
もっとも、そういう人にこそ、その強力な魔法少女に支配されながらも、着々と内なる魔女を育んで |
いるというのなによりも感じられて、むしろその人にこそ最も深い共感を覚える今日この頃の私でした。 |
がんばって |
そのまま魔法少女のままに身を滅ぼすレベルで頑張り続ければ |
きっと |
あなたの中の魔女が、なにかをやらかしてくれるから |
あなたを |
信じて |
だから |
魔法少女のそれまでの頑張りは、無駄になんかならないよ |
だって |
魔女を育ててくれるのは、魔法少女なんだから。 |
はい。 |
という感じで、まどマギという作品の恐るべきテーマ性と、それを咀嚼して作品の中で表現する |
力の圧倒的さに感動している私で御座います。 |
私的にこの作品を正当に評価するとしたら、まさにそこなのですよね。 |
もっと読み込めば、もっともっと色々な隠喩の解読が出来るのですけれど、お時間です。(笑) |
まぁうん、もうちょっと表情と情景で語る、という要素も欲しかったところですけれど、逆にそれを抑える |
ことで、テーマを隠喩として表現することが純度高く画面に出てこれたのかなとも思いますので、 |
まぁいいかw |
ということで、すっかり言いたい放題しているうちに、こんな長くなってしまいましたけれど。 |
まどマギ、万歳。 (真顔) |
言いたいことはまだ山ほどありますが、この辺りでひとオチつけさせて頂きましょう。 |
ま、残りはSSの方で、ガンガンやらせて頂く予定です、結構時間かかっちゃうとは思いますけれども。 |
最後に私から、この詩を魔法少女まどか☆マギカと出会った、すべての人に贈ります。 |
フレデリック・パールズの、「ゲシュタルトの祈り」です。 |
|
~ 私は 私のために生きる |
~ あなたは あなたのために生きる |
~ 私は あなたの期待に応えるために この世に生きているわけじゃない |
~ あなたも 私の期待に応えるために この世にいるわけじゃない |
~ 私は 私 |
~ あなたは あなた |
~ でも 偶然が私たちを出会わせるなら それは素敵なことだ |
~ たとえ出会えなくても それもまた同じように素晴らしいことだ |
つまり、私はこういうことが言いたかったのだよ、ふむふむ。(ぉぃw) |
と、いう感じで、今回はおしまいで御座います。 |
お疲れ様でした。 |
それでは、また。 |
ごきげんよう。 |
◆
◇
-- 110617-- |
|
|||||||||||||||
■■ かくめいっ! ■■ |
誕生日のお祝いに、友人から |
フィギュアを、 |
頂きました。 |
・・・・。 |
フィギュアってどうやって保存すればいいの? |
冷蔵庫に入れておけばだいじょうぶ? |
それとも冷凍庫? |
べつに常温でもいいの? (微笑) |
◆ |
確かに言った。 |
言いました、私は。 |
はい、わたくしこと紅い瞳は、リアルで現在親交のある友人の中で、唯一のおたく人に、 |
私はけいおん好きなんだよねぇ、特にゆいちゃん、可愛いんだよねぇ大好きなんだ♪って、 |
はっきりと、言いました。 |
おたく的ノリではっきりとぶっちゃけました。 |
以前に私がけいおんを勧めた友人は、非ヲタで、オリコンだかなんだかで高順位取った曲の元の |
あにめってどんなん?、というスタンスだったものですから、ここぞとばかりにおたく臭を抜いた感じで |
お勧めしたものですけれど。 |
おたくの友人の方には、確かに、確かにわたくし、唯ちゃん萌えですと申し上げました。 |
そうしたら。 |
唯ちゃんが、我が家にやって参りました。 |
ど、 ど う し よ う |
◆ |
オタクである事をカミングアウトして生きてこうかな、などと言うだけは言っておいて、全然まったく進展 |
の無いくせに、おたく友人にだけ密かに堂々とおたく宣言をして、調子に乗っていた私に、鉄拳制裁。 |
もとい、フィギュア制裁。 |
あのときの私の大混乱ぶりと言ったら、もうなんだか・・・なんだったんでしょうね (溜息) |
正直、唯ちゃんのフィギュアを目にした瞬間に、一瞬で陥ちた私は不動のおたくさんな訳なのですけど、 |
その後すぐにこれどうしようどうしたらいいんだろう、頂いた物をまさか押し入れにしまっておく訳にも |
いかないし、これは飾るよね?、飾るしかないよね?、というか、あ、ありがとうほんとに嬉しいよ(ぺこり) |
、だのに、どうしよう、どうしよう、あ、冷蔵庫に入れとく? (混乱) |
ちなみに私、大混乱に乗じて、おそらくこのサイト始まって以来、初めて誕生日を公開した気が |
するのですが、というか今現在こうしてぶっちゃけてる訳ですけれど、13日です、6月13日でございまし |
た、星座は双子座、誕生花は紫陽花の他いくつかで御座います、結構私的に日付も星座も花も |
気に入っているのでございます、ええ、なぜこんな事を今ぶっちゃけるかと言いますとね。 |
フィギュアに躍らされているからです。 (混乱) |
こりゃいい日記のネタになるわい、いひひ、とか余裕こいているかと見せかけて、実際には今まで |
喋っていなかった誕生日を明かす事になる事にすら頓着出来無いくらいに、舞い上がっているのです |
ね、誕生日のプレゼントに人生初フィギュアっておい、というツッコミに威力が感じられないくらいに、 |
小躍りしているのですね。 |
ぶっちゃけ、どうしようどうしようと言いながら、普通に部屋に飾っている私がここに約一名。 |
・・・。 |
なんかほんと、オタクとかどうでもよくなってきた。(ぇ) |
唯ちゃん見てたら、なんだ、ほんとに好きなんだな私、うん、なんかfigmaというシリーズで出てる |
フィギュアなんですけど、いくつかレビュー見てたら、よっぽどプラモとか苦手な人じゃなきゃ簡単に |
組み立てられますとかあって、え?、フィギュアって組み立てるものなの?、みたいな衝撃で、 |
で、実際に見たら、ギターのバンドの取り付けやら表情シールの貼り付けやら、スタンド(?)の設置 |
とか、それにポージングとか、もうわけわかんないっ! |
・・・。 |
プラモとか苦手とかいうレベルじゃないくらいにわけわかんない私レベルの人には、結構しんどかった |
ですけど、こうして書いてみるとたいした事全然無いはずなんですけど、こういう組み立て系のは |
ほんとに些細なものでもむしろ頭がテンパって、私無理、これ無理だから、みたいな感じになって |
しまったりして、最終的に自分がそこそこ納得出来るポージングまで作って飾るまでに、30分以上 |
かかったりして、ってぇほんと不器用ってレベルじゃないゾこれ! |
・・・・。 |
つーか、ほんとに好きなのな、私、ふつうならこれ、途中で投げ出すレベルなのに(ぉぃ)、 |
普通に最後まで完成させて、飾っちゃって・・・・・ |
お気にのコンポの横にちょこんと置いて、これまたお気にのけいおんのCDを聴いていたら、 |
なんか普通に涙が・・・・・ |
紅い瞳さんが、新しい人生の扉を開いたようです。 |
見事にフィギュアの世界に |
やべ、なんかこれ、他の子達も欲しくなってきた、五人揃えて飾りたくなってきた! (陥落) |
うん、まぁこういうなんていうのかな、自分が新しい趣味を見つけて、そちらに歩き出すための、 |
その一歩の切っ掛けとしての、誕生日プレゼントというのは、なんだかとても良いものですね。 |
実際、フィギュアの世界にはこんな事も無ければ、興味が向く可能性は低かったですしね。 |
友人には、感謝しております。 |
|
友人の誕生日には、友人に新しい扉を開かせるなにかを贈って差し上げたいと思っています。 |
お酒飲める人なのに、なんか妙に遠慮して飲まないから、いっそ酒器セットでも贈ったろか。 (マテ) |
それは、まぁ、いいとして。 |
さて |
どうしよう (問題は、非ヲタの友人知人がウチに来たときどうするか、です。) |
◆ |
ちなみに、他の非ヲタの友人達とは、互いにまた歳をひとつ・・、みたいなしんみりな感じで、 |
プレゼントのぷの字も出ませんでした、ちっ。(ぉぃ) |
てか、いや歳取るのまだ私だけなんだけど・・なんであんたらまで歳取った気になってんの・・・・ |
そしてひとりだけ歳を取った、私からの私への誕生日プレゼントは、誕生日当日にUpした文章です。 |
誕生日に絶対に間に合わせるって密かに頑張ったもんね♪ |
そして、その頑張った私に、お酒を、おひとつ。 |
まだ飲んでないんですけどね。 |
今夜 |
頂くのですけれどね。 (ごくり) |
あと、ペンダントも、おひとつ。 |
ルビー(っていってもシンセティック)が入ってるのなんですけどね。 |
・・・。 |
なんか、今年の誕生日はやり過ぎだ、私。 (色々な) |
でも とってもたのしかったです |
ありがとう (感謝) |
おまけ: |
先日より、私が以前サイトで感想を書いたり書かなかったりした、私の大好きなアニメのひとつ、 |
「愛してるぜベイベ★★」がCSでの再放送を開始しました。 |
この作品は、お母さんが夫を亡くしたショックと気疲れから、五歳の娘ゆずゆちゃんを置いて蒸発 |
してしまい、お母さんのお姉さん一家が引き取ることになり、ゆずゆちゃんの従兄弟にあたる結平君が |
ゆずゆちゃんお世話係に抜擢され、悪戦苦闘をする、というまぁひとくちで言ってしまえば、 |
疑似親子モノです。 |
でまぁ、久しぶりに観たわけなのですけれど、号泣。 |
・・・。 |
でまぁ、久しぶりに観たわけなのですけれど。 |
号泣。 (ガチなので二回言わせて頂きました) |
・・・なんかさ、ゆずゆちゃんの健気さとかさ、そういう「良い子」なとこって、それってつまり、 |
今改めて見ると、「良い子」をやらなくちゃいけないほどに、その子が追い詰められている、って事なんだ |
よねぇ・・ |
だから、あまりの健気さにほろっときちゃうのは確かなんだけど、それってかなり、恐ろしい。 |
健気さそのものを見てしまうあまりに、その奥にあるものから目が逸れちゃうっていうか、健気さが賞賛 |
され奨励されて、結局その子は「良い子」をやり続けなくちゃいけなくなる、というか。 |
今回は、そのゆずゆちゃんの健気さの奥にある、その必死に生きようとして、無理矢理「良い子」さを |
見せようとしてしまうことこそに、涙がどばーっと・・・・どばーっとね、きたんですよ。 (泣) |
子供のみせる健気さとかって、それって全部いわゆるひとつの適応にしか過ぎなくって、逆に言えば、 |
親とか周囲の人は、その子の健気さを見たら、その子がそうしなければならない問題が発生している |
と思ってすっごい気をつけなくちゃいけないんだよね。 |
問題は、子供に、では無く、親や周囲にこそ発生している、というのがポイント。 |
それを勘違いして、ゆずゆちゃんいい子だねぇ、そうそう、がんばれ頑張れ、なんて励ました日には、 |
というかその日から、ゆずゆちゃんは自分を生きられない「良い子」ちゃんとしてしか、この世に存在を |
認めて貰えないと思うしか無くなっちゃうよねぇ。 |
子供の「良い子」は、つまり全く逆に大人の、良い子に拘る「悪い大人」ぶりを反映してるんだよね。 |
子供が健気さを必死にみせてまで自分の存在を認めて欲しいって思ってるってことは、それすなわち、 |
それだけ親が周囲の人が、その子の存在を認めていない、という証拠でもある。 |
そして、健気さをみせたから、「良い子」だから認められた場合、それは良い子でなければ認められない |
ということになってしまって、そのままのその子の存在は認められないことになってしまう。 |
うーん・・・なんかこれ・・・久しぶりに観たけど・・・・胸に突き刺さり過ぎますね・・(溜息) |
良い子や健気な子がいると、つい褒めて抱き締めたくなっちゃうけど、それはつまり、その大人の側の |
価値観を、大人側が堅持してその中でしか生きられないからこそ、それを子供にも押しつけてるって |
事でもあるんだよね。 |
なにより、自分自身もそうして育てられ、育ってきたのだろうし。 |
無論、誤解の無いように言い添えておきますけれど、良いことを子供がすること自体が問題なんじゃ |
無くって、それの度が過ぎたり、本来なら泣いたり怒ったりするような場面でさえ、それを我慢して |
良い子であろうとすることがまずい、ということですけれどね。 |
こういった場合、その子云々よりも、まず周りの人がそのことに気付き対応を変えていくことで、 |
子供はがらりと素直に変わると思います。 |
子供に良い子さを求めず、しかし良い子で無くともぎゅっと抱き締めてその存在を認証してあげる |
環境が出来れば、そもそもその子は無理に良い子をやらなくても済むのですからね。 |
で、そうしてほっとひと息つけたその子が、嬉しいときに、楽しいときに、そっと。 |
そう、そっと、良いことが出来たら・・・・・ |
こんなに嬉しいことはないヨ、あたしゃ ←涙でぐしゃぐしゃになりながら |
そして、ゆずゆちゃん自体は、良い子になりつつも、その上でしっかり泣いたり怒ったり拗ねたりしてくれる、 |
とってもすごい子なので、ほんともう、愛してるぜ、ベイベ。(なに) |
私からのお勧め作品で御座います♪ |
でまぁうん、こういうの最近のマイテーマなので、どんぴしゃだったのよ。 |
これは親子の問題だけじゃ無くて、社会と個人の関係に於いても言えることなんだよね。 |
みんなが、ひとりひとり自分を安心して生きていける社会って、どんなのかなって言われたら、 |
それはやっぱり、取り決められた価値観に沿って生きていくことでしか、個人の存在や価値が否定され |
たり貶められたりしない、ということがきちんと問題視されている社会なんじゃないかなぁ、うん。 |
同質的な社会の場合は特にそういう事が無視され公然と行われるからね、社会内での価値観の |
相対化が行われにくいからさ。 |
で、結局そういう社会が物凄い生きにくい社会になるのは、極めて当然のことだよね。 |
この頃は私、そういう辺りをかなり強めに意識して、自らの存在の認証と価値を、まず真っ先に |
他者に委ねたりせずに、まずはきっちり自分自身で認めてあげて、それこそ不動の自信を築いて |
いくことで、その結果、自分が社会に引きずられることが無くなることで、しぜんにそういう人達の |
集まりとして社会が再構築されていければいいな、なんて思っていたりします。 |
そうやって自分で自分を認めることが出来、他者の存在と価値観を尊重出来る、そういう「大人」 |
同士が出会える場所としての社会を、紅い瞳は今年の誕生日をひとつの機として求めていきたいと |
考えています。 |
昨今では、大震災に於ける「がんばれニッポン」の連呼の問題とか、あとは国旗国歌の強制云々 |
にも通底するものがありますし、うん、まぁ。 |
どうぞ、紅い瞳を今後ともよろしくお願い申し上げます。 (ぺこり) |
◆
◇
-- 110613-- |
|
|||||||||||||||
■■ 漆黒に咲く紅はただひとつ祈りて ■■ |
円らな重心が、覆い被さってくる。 |
押し拉がれ、肉片の堆積へと変えられていく。 |
引き伸ばされた吐息が見える。 |
首筋に停滞する汗の重みさえ、胸の深奥に割り込んでくる。 |
胸を打つ音は、地響きを立てて四方の指先に辿り着く。 |
震動。 |
小刻みに深く穿たれた泥血が、這いつくばりながら微細に駆け回る。 |
右へ左へ |
上へ下へ |
天穣の淵へ |
どこへも放出されずに巡り続ける血溜まりが、冷たいシーツの上で凝固する。 |
紅い影 |
手 |
足 |
頭 |
胸 |
腹 |
髪 |
血 |
血 |
青白く痩せた風が、視線を甘く掠めていく |
血溜まりを縁取る肉片の群れが、天井に押し潰され、鋳固められていく |
その血肉と白い天井を、遮り繋ぐその風が、ひとつひとつ造型を施していく |
丹念に |
無情に |
この体を象っていく |
まどろむ |
覚醒が遠い |
けれど、もう、その蒼白な風は体を駆け巡り、吹き溜まり悪寒を垂れ流す血の咆哮を、操り始めている |
そろそろね |
目が開く |
見たことの無い光が広がり、そして |
終わりへの一日が、また始まった。 |
++ |
まだ生きている |
そよぐ 歌 |
死んじゃえ |
何度夢現の中で叫んだことだろうか。 |
何度その叫びが、消えていったことだろうか。 |
その絶叫を語り、言葉として世界に刻むには、あまりにも私は弱すぎた。 |
どうしてこうなんだろう私は、という自己嫌悪が生まれるほどの余裕は無かった。 |
私なんて、どこにもいない |
会いたかった |
淫らに揺れる 孤独な |
誰か |
それはおよそ乙女の描く、夢物語。 |
でもどこかそれは遠く、視界の外。 |
まどろむ |
重い |
体が重みで出来ている。 |
まるでベッドに縛り付けられるようにして、ずっとそこで生きている。 |
生きて、いるの? |
そんな疑問を認識として持てるほどの希望は無かった。 |
ずっとこのまま、と呟くままに、ずっとこのまま、生きてきた。 |
心臓の病気になって入院したのは、ここ半年。 |
血潮の疼きが犇めく冷たい闇。 |
半年と聞くと膨大な時間のような気もするけど、でも実際には半年なんて・・・ |
半年なんて・・・そんなの・・・・ |
この十四年間に比べたら・・・・ |
遠く 遠い |
夢の果て |
重い |
心が重みで出来ている。 |
体をバラバラにされてベッドに閉じ込められているような、そんな感覚に囚われていられたのは、 |
むしろ僥倖だったのかもしれない。 |
逃げる必要も無く、必然的にそうしてなにもせずに、すべてを諦めることが出来ていたのだから。 |
入院して、ベッドで身動きひとつ出来無い間、なにも考え無かった。 |
これが 私なんだ |
中学生の、この人生で一番楽しいかもしれない半年間を、こんなことで駄目にしてしまうのかな、 |
なんて、そんな呟きは、随分と他人行儀なお世辞だった。 |
私の胸の水底を満たす、闇よりも深い紅が、こんなにも渦巻いているというのに・・・ |
それを糊塗する、様々な綺麗で鮮烈な物語が、淫らに安息の音色を奏で続けているというのに・・・ |
よくも・・よくもそんな・・・ |
どうして |
堪え性の無い |
正直な誰かが |
嗤う |
わらう |
呟きがまばらになっていく。 |
私は、一体なにがしたいんだろう。 |
私は・・私は・・・ |
叫びを紡ぎ 紡いで 落としていく |
まるで、憑き物を祓うように |
何処に? |
どこに、行っちゃったんだろう。 |
- 退院して、初めて登校した日 |
なにかを期待して なにかを恐れて |
私は狼狽えた。 |
ここは、どこ? |
私は、人が好きなのかもしれない。 |
ほんとかな? |
おそるおそる、尋ねる。 |
そっと、声に出してみる。 |
ききたくない なにもいわないで |
ばさばさと、まるで巨大な鴉の羽ばたきが、耳元に打ち付けられるかのように |
はずかしい |
どうしてみんな 私に声をかけるの? |
私はみんなが好きかもしれないのに |
緊張する |
指先に力が籠もる時間を、数えてしまう |
どうしよう どうしたら |
殺したい 私を |
殺されたい 誰かに |
消えて なくなりたい |
それでも |
胸の奥の眼差しは 止まらない |
私を殺そうとする光は、すべてそれで掻き消されていく |
さらさらと 始めからなにも無かったかのように |
闇が灯る |
みんなが私から離れたとき、ほっとした |
どっと 重力が解けていく |
そのやさしい解放が、私の心を掴む |
鹿目・・さん |
あなたが私を解放してくれたの? |
いいえ 胸の中のなにかが手を離しただけ |
私はみんなが嫌いなわけじゃないのに |
好きでありたいだけなのに |
そして それ以上に。 |
-- も う い や |
でも鹿目さんに助けられたのよ・・ね? |
ほっとした・・のよね? どうしたらいいのかわからないことから、解放されたのよ、ね? |
鹿目さんが、私を助けてくれ・・た |
でも私はそれで、みんなの仲間入りをするチャンスを、逃してしまったのかもしれない。 |
教室の床が、足下から1センチ離れて、落ちていく感触。 |
底は見えているはずなのに 地に足がついているはずなのに |
床のずれだけは 止まらなくて |
あのときもうちょっと頑張って、みんなの質問に受け答えして、もっと明るく笑って、もっと楽しくしてたら・・ |
冗談のひとつでも言えたら・・・・ううん・・・なにかひとつでもちゃんと喋れてたら・・・・・ |
焦燥 |
と |
底知れない 安堵 |
真っ赤に吠える |
不安 |
ああ・・どうしよう・・・ほんとにこれでよかったの・・? |
鹿目さんにズルズルと引きずり込まれていく感覚。 |
そして同時に、鹿目さんにズルズルと引き上げて貰った感覚。 |
私は、みんなが好き? 嫌い? |
ちがうわ・・・そんなんじゃ・・・ |
わたしはただ・・・・ |
わたしはただ・・・人と話すと緊張しちゃって・・恥ずかしくなっちゃって・・ |
でも、みんなとはお話したくて・・・好きとか嫌いとかじゃなくて・・・・ |
待って・・・行かないで・・・・・・でも・・・ |
戻って、来ないで |
胸を締め付ける血の重みが、首筋の力を抜くようにして、込められた言葉をそれと共に奪っていく。 |
虚脱 そして 絶望 |
みんなが離れていって、ほっとしたのは私。 |
それは私の責任。 |
鹿目さんに助け出されて、鹿目さんと歩き出したのは私の選択。 |
だから私は・・わたしは・・・・ |
みんなとは・・・・ |
だってみんなが・・・・・ |
首を絞める真綿が、首筋を裂いて深紅に染まる |
誰も私のこと、馬鹿になんかしていなかったのに。 |
でも私が・・最初に・・・ |
罪悪感。 |
悪いのは私。 |
上手くみんなの前で話せない私が悪いの。 |
上手くみんなの前で話せないという自分のことを、ちゃんと説明出来無い私が悪いの。 |
わかってくれる人達は、いたはずなのに・・・・ |
私は・・・私はなんにもしないで・・・・甘えて・・・ |
なんにもしなくても一緒にいてくれた、鹿目さんに・・・ |
ああ どうしよう |
悪いのは私なのに |
なのに私は みんなのせいに・・ |
こわい |
なにがこわいのかわからないけど・・ |
鹿目さんにありがとうございますと言った私は、なにひとつ感謝の気持ちなんか持てなかった |
罪悪感 |
私のありがとうとごめんなさいは、おんなじ意味。 |
駆り立てられる |
なに・・なんなの・・・ |
駆り立てられる |
駆り立てる |
すべてを込めて 引き裂く |
言わなくちゃ |
なにを? |
|
- 私がごめんなさいを言うときに、本当に悪いことをしたとは、感じていないってことを? - |
|
ひたすらこわい |
罪悪感は、そのこわさから私を守ってくれるだけ。 |
ごめんなさい |
それは、ただの免罪符。 |
ごめんなさいとありがとうをひたすら繰り返して、私は自分を守るだけ。 |
その時 胸の奥は その水底まで すべてを凍結させる |
罪悪感 |
そのことだけは、本当に悪いことをしていると、なぜか思う。 |
思わずにはいられない。 |
思わなくてはならない、とは言えないだけ。 |
きっとその罪悪感も、私の底知れない恐怖からの逃避。 |
私がほんとうに謝らなくちゃいけないのは、誰? |
それが 恐怖の 正体 |
◆ |
名前を褒められた。 |
ほむら。 |
かっこいいね、と鹿目さんは言った。 |
ほむら。 |
私は、ほむら、って言うんだ。 |
初めて知った気がする。 |
初めて、本当の焔に身を焼かれた気がした。 |
私は、鹿目さんにかっこいいと言われた、ほむらって人になれるのかな? |
この身を焦がし、血を焦がし、すべての形を灰燼に帰して |
その灰から作り直すことは、出来るかな |
くるしかった |
どくどくと、いやな音を立てて、私の胸が暴れていく。 |
私の重心が、胸の奥の血溜まりに帰還していくように |
活き活きと 暴れ出す |
せっかく名前を忘れていたのに |
どうして思い出すのよ |
どうして褒められて、嬉しがっているのよ。 |
嬉しがっているのは、誰? |
なにを、嬉しいと感じているの? |
私は ほむらという名前のことが、好きだったの? |
ほむらという名前を褒めてくれた人は、今まで誰もいなかった。 |
呼ばれること自体、ほとんど無かった。 |
私も、自分の名前が恥ずかしかった。 |
だから |
私自身も、恥ずかしい奴なんだ。 |
そこまでは思いたくなかったからこそ、きっと私は自分の名前を自分の名前として認識しなかったのかも。 |
私は、ほむらなんかじゃないわ。 |
私は、誰でもないのよ。 |
私なんて、いない。 |
だから、恥ずかしいという感覚を感じるだけで、いられた。 |
そうなのかもしれない。 |
ほむらという名前を褒められた。 |
焔が私の体の外で、あくまで外で、猛っている。 |
私の内の血に染まる紅と、その激しい焔に猛る紅の恐ろしさは、別次元の生き物同士だった。 |
私は、名前負けするかもしれないと答えた。 |
- つまさきに 力が籠もる |
- 胸の 血に 縋る |
同時にそれは、名前と一緒に共倒れはしたくないと、思っていたからなのかもしれない。 |
私にとって、褒められるのと貶されるのは同じ意味だった。 |
誰もいない。 |
私にはそもそも、褒められたり貶されたりする対象なんか無いんだから。 |
そう思えば、楽だったから。 |
私に、背負わせないで。 |
私の名前を。 |
私の |
私を |
たったひとつの 私の |
名前 |
泣き叫ぶ泥血が、血餅を突き破り、鮮血となって瞳の裏側に零れていくのを |
私は |
確かに 感じていた |
私が怖かったのは、私だったのかもしれない。 |
私が褒められるということは、私が、褒められた私を生きなくちゃいけなくなるということ。 |
褒められると |
嬉しいから |
貶されると |
悲しいから |
感情 |
感情に支配されるのが、怖い。 |
ううん |
感情を使って生きなければいけない事が、怖い。 |
ほんとは |
感情が欲しかったのに |
ベッドに縛り付けられたままの私 |
ベッドに縛り付けて貰えたままの私 |
欲しいこと したいこと 一杯あったのに |
どくどくと鼓動を押し流すようにして、鮮烈に咲き乱れる紅い花の群生を感じるままに |
こわい |
でも |
恐ろしいこの子達と一緒に生きられるように なれたら |
諦めたくなかった |
諦めるなんて、絶対に嫌だった |
なのに |
ううん |
だから |
私は |
それが こわかったのよ |
どうして諦めないのよ |
どうして・・どうして・・・・っ |
突き動かされる |
殺されるかのようにして逃げ回る |
淫らに肌を内から食い破り、破滅へと追い込む深紅の鬼が、私を駆り立てる。 |
止めなくちゃ |
死にたくない |
鹿目さんに褒められた日から、私は自分の衝動に染まって頑張ってしまった。 |
ほむらになろうとした。 |
私の肌を焼き焦がす、紅い焔になろうとした。 |
私の胸を引き裂く、紅い血と抱き締め合いたかっただけなのに。 |
殺される |
私を内側から羽交い締めにして、そのまますべてを奪っていく |
残るのは きっと |
私の名前だけ |
私はただ あなたと一緒に生きたかっただけなのに |
暖かい血で満たした、この体で愛しく生きたかっただけなのに |
もし |
それで私が勉強出来てしまったら |
それで私に運動が出来てしまったら |
私は |
私では無く |
ほむらになってしまう |
怯えている |
ほむらになってしまう事に では無く |
ほむらになろうとして、私を殺そうとする、私の中の紅いあの子達のことが。 |
やめてよ、どうして死のうとするのよ! |
私に勉強を、スポーツを諦めさせたのは、私自身。 |
病み上がりの、病弱少女の私に、私をしがみつかせたのは、私。 |
私が・・ |
私が半年前に、心臓の病気で倒れたのも、それも私自身の仕業なのよ。 |
私は、私の心を守るために、いつまでも諦めようとしない真っ赤な私を、諦めさせた。 |
でも |
殺せなかった |
鮮血に濡れる瞳から、ついに零れ落ちたその涙が |
点々と紅く染めた、この小さな眼鏡のレンズの中の世界を |
私は |
必死に生きている |
◆ ◆ |
+なにもできない |
+どうすることもできない |
その私を救う私の言葉が、呪いも祝いも生み出さずにそこにいた。 |
死んじゃおっかな |
生きてても仕方ない |
自らと自らの観る世界を呪詛するその言葉が、なぜか私自身を祝福する。 |
私は感じる |
恐々として、そして |
喜々としている |
諦めないで いてくれてたんだ |
本当に私が求めているものを見つけるまで 私の代わりに生きてくれてたんだ |
私は ただ |
私を 生きたかった |
|
・・・・ |
もう いやだ |
私は空虚 |
なぜだか、空虚 |
それがとっても悔しくって、悲しくって、私はとっても欲張りな子供になった。 |
あれも欲しいこれも欲しい、あれもやりたいこれもやりたい。 |
あれもこれも、欲しがらねばならない。 |
あれもこれも、やりたいと思わなければならない。 |
それはもう、とこしえに続く怒りに満ちたものだった。 |
無欲で諦めに満ちた自分の事が大嫌いで、なんとかしてそこから抜け出したかった。 |
諦めるなんて、嫌。 |
頑張りたい。 |
私は、なんにも得られない可哀想な女の子なんかじゃないわ! |
私がなにも欲せずに諦めたようにそのままいようと、生き続けようとする事を、呪っていたわ。 |
嫌で、嫌だった。 |
なにかになにかを奪われた一生を送るかもしれない、そんな自分の未来像とずっと戦っていた気がする。 |
私は、私の事が大嫌いだった。 |
でも |
じゃあ |
それなら私は、一体なにがそんなに欲しかったのだろう |
私はただずっと、諦めと戦っていた。 |
そしていつしか、諦めと戦うこと自体が目的となって、諦めずに済むのなら、なんだって求めるようになった。 |
・・・・・それが・・ |
それが・・・私の心に重い傷を負わせた・・ |
私は子供の頃、無邪気で、元気で、とても明るかった。 |
でもどこか必死で、縋るように、でもきっとなにかを決意したかのように、ひたすら笑い続ける子だった。 |
笑うことで、私のこの貧相で虚無に満ちた世界を、豊かに出来ると信じているかのような。 |
そうだった、と思う・・・正確にいえば、あの頃のことはよく覚えていない |
必死に己が身を裂き、それで咲かせた彼岸花に、微笑みかけるような。 |
それは覚えていること自体が苦痛であるような、そんな凄惨な記憶。 |
そしていつの頃からか、私はその私と断絶した。 |
笑って、求めて、戦って、自分と、必死に |
休まることなく 安らかなることなく ずっと |
その傷だらけになって、真っ赤に足掻く女の子に、私は真っ黒な覆いを被せた。 |
このままじゃ、死んじゃうよ。 |
気付いたら、わたしは今の私になっていた。 |
絶対に諦めない子から、絶対に諦めない自分を絶対に諦める私に。 |
こわかった |
私の中に、それでも居座る不屈の子供が。 |
闇よりも紅く笑うあの子達が。 |
もう嫌 |
なにが、嫌なのかすら、わからない |
どうして・・ |
どうして諦めてくれないの・・・ |
どうして、諦めることしかできないの・・・・ |
重かった |
私がなにもかもを諦めずに、ひたすら欲し続けることが |
悲しかった |
私がなにもかもを、ひたすら諦め続けることが |
どうすることも出来ずに、今、私は鹿目さんと出会った。 |
私が出会いたかったのは、この人? |
私はなんにもできない |
人に迷惑ばかりかけて なんにもできなくて |
みんなのために なにも・・・ |
で も 死 に た く な い |
私の中のなにかが、舌なめずりも鮮やかに嗤う |
それなら、みんなのためにこそ、頑張ればいいんじゃない? |
疼く |
あれだけ張り巡らせた、私の中の法の網をかいくぐり、その天使とも悪魔とも似付かない化け物が。 |
嗤う |
私は大嫌いだったはずの、無欲で諦めに満ちた空虚な私の番犬になって、 |
必死になにかを求め続けて血みどろの戦いを繰り広げる子供を取り締まる、そんな私の胸の奥が。 |
疼く |
鹿目さんは、魔法少女だった。 |
みんなのために頑張れる、みんなのために頑張っていい、そういう存在。 |
夢みたいな現実、そして私と鹿目さんだけの世界。 |
みんなのために頑張れる、そんな鹿目さんのためになら。 |
鹿目さんやみんなの事を想い、思い遣り、その関係の中に生きる私になら、私は。 |
頑張って良い、と判子を押せる。 |
押して、しまった。 |
私が自分の欲するままに頑張る事には、許可が下りない。 |
だから、誰かの欲するままに頑張る事なら、大丈夫でしょ? |
頑張る。 |
諦めない。 |
透き通る、体。 |
興奮が続いていく。 |
輝くままに、燃え上がるように。 |
漆黒の装いで隠蔽した血糊が、轟々と叫びながら身を焼き尽くす焔を纏って。 |
魔法少女ほむらの名が、私の目の前に降りてくる。 |
欲しい。 |
胸の奥が抉られるほどに。 |
欲しい。 |
死んだら 終わりなのに |
鹿目さんが、私の目の前で人生を終えた。 |
鹿目さんのためになら、頑張れるって思ったのに。 |
鹿目さんが死んじゃったら・・私・・・ |
私は鹿目さんのために、生きて頑張ってきたのに・・・ |
ああ・・違うのね・・・・ほんとうは・・わたし・・・・ |
鹿目さんに、死んでなんか欲しくなかった・・・ |
私はただ、魔法少女になりたかっただけなのに・・・ |
鹿目さんは、私。 |
私がなれるかもしれない、いいえ、なりたかった魔法少女。 |
みんなのために頑張れる、そんなほむらに、私は・・・ |
魔法少女が死んじゃったら・・・私は・・・ |
なにを求めればいいっていうのよ! |
私は! 諦めたくなんてない!! |
でも |
でも! |
死んだら 終わりなのよっ! |
私が死んで欲しくなかったのは、一体、誰? |
鹿目さんの背に、一体私はなにを見たの? |
こわい |
だめだよ |
どうして私は、死にに行こうとする鹿目さんを、止めようとしたの? |
どうして私は、みんなのために、頑張ろうとして戦いに向かった鹿目さんを、止めようとしたの? |
『 私なんか助けるより・・・あなたに・・・生きてて欲しかったのに・・・っ 』 |
- あ な た っ て
- |
|
- 誰 ? - |
わらう |
ないている |
もう |
わかっているでしょ |
なのに |
わたしは |
それでも諦められなくて |
なにを? |
誰も最初から 諦めてなんていないのに |
魔法少女に、なってしまった |
◆ ◆ ◆ |
魔法少女になった私の能力は、特殊で、そしてあまりに貧弱だった。 |
時間を止める魔法。 |
時間を繰り返す魔法。 |
時間を繰り返せば、何度でも失敗をやり直せるし、時間を止めることが出来れば、 |
その瞬間になにをすればいいのかを考え、準備することが出来る。 |
でも、それだけ。 |
武器は、なにも無かった。 |
特別な知恵や知識が、得られた訳でも無かった。 |
私は、ただの無能な女の子のまんま、そのまま魔法少女になった。 |
どうしよう、だなんて、それでも全然思わなかった。 |
鹿目さんのために、みんなのために、私は一生懸命頑張りたい。 |
その一心で、私はなにも出来無い私を置き捨てて、なにかに向けて挑みかかっていった。 |
- それは 命を賭けた精一杯の 背伸び |
足首が軋む。 |
全身の潤いが吸い取られ、つまさきに押し込められていく。 |
爆弾を自作しているとき、心がねじ曲がりそうだった。 |
どうして私だけ、武器を自分で作らなくちゃいけないんだろうと、その憂鬱な呟きは消えないまま、 |
でもやるしか無いという言葉ひとつでそれをねじ伏せ、片付けた。 |
自作っていっても、それは結局は爆弾という物の力を借りているだけで、私自身の力である魔法では |
全然やっぱり戦えないのよね。 |
私、魔法少女になっても、誰かの力を借りなくちゃ、なんにも出来無い。 |
そしてその自嘲をねじ伏せるために、私はひたすら戦い続けた。 |
鹿目さんのために、みんなのために。 |
足手まといにならないように。 |
ひたすら爆弾を作り続けた。 |
爪に火を灯すように、想いをすり減らすように、ただひたすら。 |
それ以上に、決定的になにかを損ないながら。 |
爆弾だけでは、一緒に戦ってくれる他の魔法少女の子達に迷惑がかかるので、私は色々と危険を |
冒して、他の武器を収拾して回った。 |
やくざ屋さんの事務所に忍び込んだこともある。 |
なにをやっているんだろうとは、もう思わなかった。 |
必死。 |
溶けるように、ひび割れるように、どこまでも、果てしなく。 |
なにかに、想いをぶつけて。 |
潰れて飛散する、私の想いの欠片を銃に込めて、ひたすら撃ち続ける。 |
鹿目さんが、褒めてくれるから。 |
みんなのために、戦えるから。 |
小さな世界が、大きく拉げていく。 |
鹿目さんの笑顔に支えられた私のなにかが、貪欲に叫び散らす。 |
喜んで、いるの? |
それともまた、嗤っているの? |
私はただ、鹿目さんに抱きつかれて、嬉しかった。 |
なにもこわくない |
それはまるで 監獄の隅で朽ちていく 揺り籠の中のよう |
それでも、鹿目さんは死んだ。 |
私がただずっと、鹿目さん達に守られるだけじゃ、駄目なんだ。 |
私が、私が、守らなくちゃ! |
もうなにもみえない |
鹿目さんが動けなくなったら、他のみんなが戦えなくなったら。 |
私が、やるしかない。 |
そこに選択の余地は無い。 |
無いように、した。 |
鹿目さんのために、みんなのために。 |
それは、祝福だった。 |
とてつもない、祝いだった。 |
ひとりひとりの姿が、鮮烈に胸に飛び込んでくる。 |
笑顔、涙、苦悶、私を想ってくれる気持ち。 |
奔流というにはあまりにそれは穏やかで、せせらぎというには、それはあまりにも、蠱惑的だった。 |
私の十四年の人生に、何度も繰り返した魔法少女の経験をプラスして、全身全霊で考え尽くした、 |
鹿目さんへの、巴さんへの、美樹さんへの、佐倉さんへの、私の責任感。 |
一体私は、どれだけの努力をしたのだろうか。 |
一体どれだけの距離を走ってきたのだろうか。 |
鹿目さんのために、みんなのために。 |
魔法少女になる前とは比べものにならないくらいに、沢山のことが出来るようになった。 |
すべてと 引き替えに |
虚ろな私の魂を、みんなが埋めていく。 |
その恍惚とした充実感は、とある絶望の問いを響かせる。 |
じゃあ |
私の、居場所は? |
私は、何処にいれば、いいの? |
私のなかに |
私 だけが いないよ |
全部 壊しちゃおっかな |
もう何度目なのかもわからない、鹿目さんの死を前にして、私は呟いた。 |
ああ |
いつのまにか |
私の居場所 |
ここだけになっちゃってる |
鹿目さんへの想いの中だけに 私は |
昏黒に包まれ往く 紅い闇 |
鹿目さんのために流す私の血が、辺りを包んでいく。 |
私と、鹿目さんを繋ぐ、紅い絆 |
私と、鹿目さんを縛る、紅い鎖 |
楽園、そして、地獄。 |
どちらも私の淫らな血によって彩られ、支配されている。 |
- わたしは 鹿目さんを支配して |
鹿目さんに支配されたいだけ |
真っ赤に溶けて |
ひとつになってしまいたい |
そこにはもう |
私も 鹿目さんも 誰もいない |
ただ すすり泣く 誰かの叫びだけが 聴こえて |
呪い |
もう わかっているはずなのに |
私の中の紅い化け物達は、魔法少女の漆黒の皮を被って、暴れ放題に散っていく。 |
私は日々、死んでいく。 |
私は死ぬために、諦めずになにかを求め続けていた。 |
まどか、まどか、まどかぁーっ! |
助けを求めていたのは、最初から他ならない、ただひとりだけだったのに。 |
私は、その助けを呼ぶひとりの叫びをすり潰して、その隅の小さくて残酷な世界だけを生きていた。 |
まどかのために、みんなのために。 |
それでも・・・ |
『 繰り返す |
私は何度でも繰り返す。 |
同じ時間を何度も巡り、たったひとつの出口を探る。 |
あなたを、絶望の運命から救い出す道を。 』 |
まどかの泣き顔に、一体私はなにを、そして誰を観ていたというの? |
まどかの魔法少女姿に、一体私はなにを、求めていたというの? |
私はひたすら戦い続けた。 |
誇り高く、そして執念を以て戦い続けた。 |
まどかを救うために。 |
諦めなかった。 |
諦めないで、いてくれた。 |
『ほんとうの気持ちなんて、伝えられるわけ無いじゃない。』 |
そうよ・・ |
私は・・・ |
私の中の私と・・・ずっと違う世界を・・・ |
それでも諦めずに、まどかを追って戦い続けたのは・・それは・・・・ |
私が誰を救おうとしていたかなんて、明白だった。 |
そしてそれを感じてしまう事が、私には禁じられていたのだった。 |
私は、人を守ることを見捨てて、自分を守ることを・・・許せなかった |
だから私は、その私の感じたこと自体と、戦わなければいけなかった。 |
自分を守ろうとする私と、みんなを守るために、戦え。 |
ええ、そうよ。 |
悔しいことにね、悲しいことにね、私はその私を禁止する私の番犬になることしか、出来無かったの。 |
私は・・・私を虐げた・・ |
でも同時に・・・ |
私を、守りたいという気持ちはなんとか生き残った。 |
生き残って・・くれた・・・ |
でも私に、私を守ることはどうしても出来無かった。 |
でも、私は |
守りたいという気持ちを守ったのよ! |
私の感じたものを禁止する私に潜入して、取り入って、スパイのようにして。 |
だから・・・ |
だから、守りたい、という気持ちだけを助け出して、そして・・・ |
まどかを、みんなを、私が守る目的に据えて代入したのよ。 |
守りたい、助けたい、救いたい |
それはきっと、私の本当の願い。 |
私は、絶対に・・・・誰かを・・ |
助けたい、守りたい、救いたい |
ズレていく |
どんどん どんどん どんどん どんどん! |
決定的にズレていくのを感じているのよ!! |
いったい私は誰を救おうとしているのよ!!! |
その答えを知り抜いているくせに、どうして私はその答え通りにできないのよ!!!! |
この恥知らず!!!!! |
でも! |
諦めるわけにはいかないのよ! |
救いたいというこの気持ちだけは、絶対に守り切らなくちゃいけないのよ!! |
けれどそうして戦い続ける限り、恐ろしい連鎖は続く。 |
もしここで私が立ち止まれば、戦いをやめれば、それは私がすべてを諦めてしまうことと同じ。 |
動詞だけが一致し、目的語のズレたこの構造を打ち破れないままに、破滅的な戦いを続けていく。 |
そしてそれ自体が、私自身によって仕組まれた、私の殺害計画。 |
私は諦めない。 |
絶対に希望を捨てない。 |
まどかを、救ってみせる。 |
そして・・ |
その希望を捨てない限り・・・ |
私が一番、いいえ、唯一救いたかった、誰か、を、永遠に救うことは出来無い。 |
私が諦めていないのは、ほんとうは・・・・ |
このどうしようもない連鎖の構造を断ち切り、その先にいる誰かを・・ |
でも |
どうすることもできなかった |
ひとつ |
戦うたびに |
私が救うべき誰かは |
血の海に沈んで 死んでいく |
まどかを救うための戦いを、ひとつ、重ねるたびに |
唯一救いたかった誰かの魂が、ひとつ、削られていく |
祝えば祝うほど |
呪いは増していく |
人の幸せを願えば願うほど・・・ |
私は 深い絶望を湛えた 紅い監獄の淵に沈んでいく |
どうしてよ |
一体いつから どこから間違えていたのよ |
私は絶対に、ワルプルギスには勝てない。 |
なぜなら・・ |
最悪の魔女、ワルプルギスは、最愛の呪いの権化なのだから。 |
ワルプルギスの絶叫は、私の魂の絶叫。 |
私の魂による、私への弾劾。 |
私が私の中の紅い魔女を、どんな理由があろうとも虐げ続け、受け入れるのを拒否し続ける限り。 |
私は |
死ぬ |
紅い呪いをまどかに吐き付けて、巻き付けて、縛り付けて、自分の首を裂いて |
未来なんか あるわけがない |
私が・・・ |
まどかを想い、まどかのために戦えば戦うほど・・・・ |
まどかに込められる、血みどろに熟れた呪いは増大して・・・・ |
繰り返せば・・繰り返すほど・・・ |
私は・・・わたしは・・・・どうして・・・ |
気付けば、グリーフシードが漆黒に染まりかけていた |
ええ、そうよね・・・当然よ・・ |
私は・・ |
まどかのために、みんなのために頑張れる、そんな自分に祝福が与えられると思っていた。 |
その祝福を求めて、ひたすら頑張った。 |
本当に正直に言えば、ええ、そういうことなのよ。 |
自分の幸せのことなど一切考えずに、ただまどかの幸せを願おうとも、それは全く同じこと。 |
身を削り、魂をすり減らし。 |
まどかに祝福された。 |
嬉しかった。 |
また褒められたい。 |
認められたい。 |
まどかを守りたい。 |
でも |
その祝福が、私の魂を抱き締めたことなんて、ただの一度も無かったのだから |
|
嘆き |
それは嘆きの漆黒だった - |
私は初めから、真っ黒に染まった魔法少女だったじゃないの。 |
全く釣り合ってなんかいなかったのよ。 |
人のために、誰かのために、ひたすら。 |
そうすることでしか、祝福を自分に与えられない。 |
いいえ、それが祝福なんだと思い込んでいた。 |
私は、誰かのために頑張れなければ、自分を祝うことが出来無い。 |
誰かの存在無しには、私は幸せを感じられない。 |
もっと もっと もっと私に祝福を 頂戴 |
どんなことをしても、どんなにしても、それは絶対に満ち足りることの無い、暗黒。 |
どんなに格調高く黒を飾り、それを凜として纏っても、その闇の本質は贖えない。 |
もう嫌だよと泣き崩れるまどかを見つめる、その私の瞳は罪で大きく歪んでいた。 |
あなたは私が絶対に守ってあげる! |
あなたを守れるのは、私しかいない! |
私は、まどか無しにはいられない私と、私無しにはいられないまどかを作ろうとした。 |
それ自体がもう 果てしない呪い |
そしてそれは |
まどかと そして |
私への 罪 |
- 黒の中で 胎動を重ねる 紅 |
人の幸せを願うことで、幸せになれることなんてあり得ない。 |
幸せだから。 |
自分が既に幸せだから、だから、人の幸せを願うことに初めて意味があるのに。 |
自分で幸せを感じることが出来ていない私が、人の幸せを願えば・・それは・・・ |
私が 、人の幸せにしがみついて、私自身を遺棄しているのと、同じ。 |
ええ、そうよ。 |
漆黒の魔法少女ほむらの、最大にして最奥、そして唯一の罪は・・ |
自分を幸せにする責務を恐れるがゆえに、自分の幸せを捨ててまで人の幸せに尽くすという、 |
最も恥ずべきにして、最も忌むべき欺瞞にあるのよ。 |
私のまどかを守ろうとした必死さは、私が私から逃げる必死さに被せたものなのよ。 |
そしてそれは。 |
私が、最も憎んだ空虚な私の、陰謀。 |
私が |
私の幸せのために頑張れたことなんて |
私が |
私自身を祝福したことなんて |
結局、一度も無い |
そして・・・ |
そして・・・・ |
なによりも、その虚ろな私の番犬たる、魔法少女ほむらを嫌悪していた、私は・・・ |
ずっと・・ずっと・・ |
私がまどかを真実守ろうと思った、それよりもさらに深いところにある理由は。 |
私が、まどかに深く憧れていたからこそ、だったのよ。 |
誰かの幸せのために戦えるまどかに、では無く。 |
己を幸せにするという責任を自ら果たしているまどかにこそ、私は真実なりたかった。 |
私は、自分自身を受け止め、自分自身を幸せに導ける、そんなまどかのことが・・・ |
私は、自分を背負いたかった。 |
- 私達に 唯一 たったひとつ 与えられているその願いを |
絶対に 絶対に叶えたかった - |
私の魂は、本能は、無意識は、真っ直ぐに、その私だけに、ずっと手を伸ばして・・・ |
なのに、私はその私を放り出して・・ |
逃げ出して・・・ |
人のことを想い、考え、気遣い、思い遣り、そんなの・・・そんなの全部・・・・・ |
それがどれだけ清冽で、清らかで、そして慈愛に満ちている物語だとしても |
逃げてるだけじゃない! |
それは、自分から逃げて他人に逃げ込む事を支えるための、淫らな手管にしか過ぎないのよ! |
それこそ! |
無責任の極みよ! |
人のためを想うという口実で、人を利用しているだけよ!! |
私は・・・・卑怯よ・・・・ |
わたしは・・だから・・ |
私がまどかを祝えば |
放り出された私はまどかを呪う |
いいえ |
まどかにすがりつく、私をこそ、断じて呪う。 |
『私がやってきたことは・・・結局・・』 |
わたしは・・・・ |
私は・・・・・・・・・ |
どうしても・・ |
私にでは無く・・・ |
まどかに・・・ |
それでも手を伸ばすことを・・・やめられない・・・・ |
私を幸せにしてくれないまどかを・・・呪って・・・ |
そうしてしまう自分のことに・・・罪悪感を・・ |
いいえ・・ |
むしろその罪悪感をこそ口実にして・・・ |
私は・・ |
潔く、けれど震えながら、こめかみに銃口を突き付ける私を・・・・・・止められない・・・・ |
駄目・・・・ |
だめよ・・・・・・やめて・・・・・っ |
魔法少女になろうとするまどかに叫ぶ私の向こう側に |
生きようと 必死に足掻き続ける私の姿が はっきりと みえた |
それなのに・・ |
それでも・・・ |
どうして |
どうして |
くやしくて |
かなしくて |
なさけ なくて |
わたしは |
|
わたしを しあわせに出来ないの? |
まどかのために必死に頑張ってきた私の努力が、全部無意味だったとしても、それでもいい |
いいえ |
もしかしたら、私のしてきたこの無意味な間違いの連続も、本当はそれが私に取れる唯一にして、 |
そして最善最高の方法だったのかもしれない。 |
間違いをも経由しなくては突破できないほどに、私の地獄は想像以上に強大だったのだと気付く。 |
だからそれはもう、間違いとは言えない。 |
私にとってそれは、きっと必要なものだったのよ。 |
私の懸命さは、始めから本物だった。 |
真紅を孕んだ漆黒が、啼いているのがみえた。 |
杏子が美樹さやかに殉じて死んだとき、私は怒りに震えながらも・・ |
そうよ・・・誰かのために死ぬなんて、そんなの自分からの逃避だってわかっても・・・ |
杏子も・・そうだったのよね・・・ |
杏子はそれでも・・・最後まで・・・たとえ死に逃げ込んでしまう自分を抑えられなくても・・・ |
最期まで・・・・逃げ出してしまう自分の中で・・・生きようと・・・必死に・・・・ |
今なら・・・どうしようもなく・・・わかるわ・・・・ |
私はきっと・・・ 私が本当に救いたかったのは誰かを自覚するために・・・いままでこんな無茶を・・ |
病弱少女の、魔法少女の、魔女の、そのすべての私が命を懸けて・・・ほんとうに |
私は、ただ ほんとうに |
笑顔を・・・ |
私の・・・・心からの幸せを・・・観たかっただけなのよ! |
|
私 を |
絶 望 か ら 、 救 い 出 し た か っ た の よ ! ! ! |
+ 『 約束するわ |
絶対にあなたを救ってみせる |
何度繰り返すことになっても 』 |
ここまできても |
それでもまだ・・・ |
ずっと とおく・・ |
どうしても |
届かないの ね |
真っ黒に押し潰されていく視界の中で |
愛しくて堪らない私の紅い子供達が、泣きながら祈りに伏していた |
ごめんね |
ごめんね |
わたし |
わたし |
ずっと |
ずっと懸命に |
どんなことをしたって |
どんなになったって |
あなた達を |
最後の力を振り絞って |
涙に乗せて この子達を・・ |
ごめんなさい |
わたしは もう |
いや |
いや |
あきらめたくない |
死にたくない |
しあわせに なりたい |
- わたしは |
ただ |
まどかと いっしょに |
その祈りが |
私に |
◆ 『』内文章、アニメ「魔法少女まどか☆マギカ」より引用 ◆ |
◆
◇
-- 110601-- |
|
|||||||||||||||
■■ 中継ぎ陣 ■■ |
ごきげんよう、紅い瞳です。 |
えっと、前回の日記で、次の更新は前期アニメのまとめ感想にするかもと書きましたけれど、 |
予定を変更させて頂きます。 |
前回にも一応言っていた他のものを書き始めてしまいましたので、そちらを優先させて頂くことにしました。 |
今回はそれが書き終わるまでの中継ぎ、ということでプチ更新させて頂きます。 |
ということで、今回はそろそろ来期アニメにもちょこっと触れておこう、というか、一応現時点で探りを |
入れてみてヒットしそうなものをちらほらと見繕ってみました。 |
それと、また読書リストを追加、というオマケ付きで今回は〆させて頂きます。 |
んでは。 |
ほんとちょろっとですけど。 |
△=面白くなったらいいなのレベル |
○=期待しているレベル |
◎=なにがなんだかわからないレベル |
○ 夏目友人帳
参: ・・観るに決まっておろう |
◎ ゆるゆり: ・・ゆるくて百合なら、当然 |
○ 神様ドォルズ: ・・なんとなく |
◎ うさぎドロップ: ・・疑似親子とかって久しぶりキター |
△ NO.6: ・・最近ノイタミナが当たり気味なので |
△ BLOOD-C: ・・CLAMP |
◎ ダンタリアンの書架: ・・私の趣味 |
◎ 神様のメモ帳: ・・岸田メル画キャラのストライク率の高さは異常 |
△ バカとテストと召喚獣
にっ!: ・・義理 |
◎ 異国迷路のクロワーゼ: ・・異国で和服とか大好きです。(告白) |
◎ いつか天魔の黒ウサギ: ・・語呂いいな語呂 |
○ 猫神やおよろず: ・・ケモミミ+神様は鉄板 |
◎ ぬらりひょんの孫
千年魔京: ・・そりゃあね、羽衣狐ですよ |
どうやら来期は、なにがなんだかわからないシーズンになりそうです。 (微笑) |
次。 |
ついでですので、今期分を参考までに。 |
△=楽しめているレベル |
○=ハマっているレベル |
◎=わけがわからなくなっているレベル |
△ 銀魂’ ・・歌舞伎町四天王編に期待 |
◎ 日常 ・・全員レベル高いなぁ |
○ 戦乙 ・・なごむ |
○ C ・・男の子復権 |
○ あの花 ・・・上に同じ |
△ 緋弾 ・・ヤンデレ復権 |
△ 電波 ・・先が読めない |
○ まりほり2 ・・もっとかな子君は正直になっていい |
○ Aチャン ・・この作品はこれでいい |
△ ゴシック ・・ヴィクトリカ |
◎ DD ・・閣下の姫様への親愛ぶりが愛しすぎる |
△ デドマ ・・飽きそうで飽きないヘンな魅力 |
△ シュタゲ ・・やっと主人公のかわいさがわかってきました |
△ 花いろ ・・これはもう成長とかいらなくね? |
◎ アスロテ ・・やっぱり今期一番真面目に深い |
◎ 青の ・・OPが今の私には燃え過ぎる |
きっと来期も、なんだかんだで今期のように程よく落ち着くかと思われます。(微笑) |
次。 |
読書リスト。 |
西尾維新 「刀語 悪刀・鐚」 |
和田竜 「のぼうの城」 |
童門冬二 「廃県置藩」 |
近藤雅樹 「霊感少女論」 |
まだ前回記した本に未読のものもあるのですけれど。 |
どんまい。 |
それでは、今回はこの辺りにて。 |
ごきげんよう。 |