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◆◆◆ -- 2011年9月のお話 -- ◆◆◆
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-- 110929-- |
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■■ 友は生きていく ■■ |
『 みえることを疎ましく思ったこともあった。 |
けれど、その御陰でこんなにも沢山の出会いを貰えたんだと、 |
今は、素直にそう思える。 |
大切な友人達。 |
今の俺にとって、人も妖も等しく、かけがえの無い。 』 |
〜夏目友人帳 参 ・最終話・夏目貴志の言葉より〜 |
ひとつひとつ、歩を重ねているようで、それは本当は、前に進むとか進んでいないとか、 |
そういうものじゃあ無いんじゃないかな。 |
成長とか、進歩とか、なんだかそういう言葉が、俺達を動かしているような気がしていたけど、 |
ほんとうはただ、俺達はずっと同じ場所を、ずっとずっと回り続けているだけなんじゃないだろうか。 |
俺は |
そのことが、嫌じゃ無い。 |
今は、だけれども。 |
昔 |
俺は、自分のことが嫌いだった。 |
嫌いだったから、その嫌いな自分を変えたかった。 |
だから、俺にとって、前に進むとか、成長とか、そういうのは、なんだかとても希望に満ち溢れている、 |
夢のような言葉だった。 |
今の自分を変えたい、と思うことで、未来には、今とは違う自分がいると、そう信じることで、或いは、 |
信じることが出来たからこそ、俺は、その今の自分に耐えることが出来たのだと思う。 |
今が、辛かったから、だから、その今が嫌で嫌で仕方が無かったから、未来の自分を望んで、 |
そこに辿り着くまでの道を歩むことが、前進だとか成長だとか、そういう風に俺の中では言い表されて |
いた。 |
− 嫌いだった |
仲間外れにされ、嘘吐き呼ばわれされ、いつもひとりぼっちで、寂しいおもいをし続けた。 |
その寂しさを受け入れることが出来ずにいたから、俺は、その寂しいおもいをせずに済むことを選んだ。 |
変わろう。 |
俺が |
妖怪がみえるだなんて言わなければ |
おかしなことを言ったりしなければ |
俺が、そういうことを言わずに済むように、我慢出来るようになれれば |
俺は、寂しいおもいをせずに済む。 |
それが、成長なんだ、大人になるということなんだ、と。 |
じゃあ |
俺が |
寂しいおもいをしても構わないと |
仲間外れにされても、嘘吐き呼ばわりされても、いつもひとりぼっちでも、大丈夫だと思えていたのなら。 |
俺は、変わろうだなんて、思っただろうか? |
俺の中に、ずっと積もり続けていた、そのおもい。 |
俺は、俺なんじゃないか? |
その俺が、ずっとこの世界の中を生き続けている、そこに価値の上下なんか無いんじゃないか、って。 |
成長なんて、前進なんて、そんなものは無い。 |
あるとしたら、それはただの結果論にしか過ぎない。 |
俺が |
今の、この瞬間の俺を楽しみ続けることが出来るというのなら、それはそれだけで充分なことだ。 |
なにかが欲しいとおもい、そのために色々と力を尽くしたり知恵を巡らしたりすること、それ自体も既に |
楽しく受け止めることが出来たのなら、それらの努力を指して、成長だとか前進だとか言う必要は、 |
そもそも無いんじゃないのか? |
変わらなくちゃ |
変わりたい |
その言葉が、ずっと俺を脅し続けていた気がする。 |
それはすべて、俺が俺であるということを受け止めることが出来無かったからこその、その不安から |
紡ぎ出されてきた言葉なのだと、今はおもう。 |
なにかを、楽しめるようになりたい。 |
そうだ・・ |
俺は、楽しくなかったんだ。 |
ひとりぼっちだったから。 |
仲間はずれにされて、そうしてひとり遊びに興じていても、いつも俺の中には仲間外れにされているという |
意識があって、それが原因でずっとなにをひとりでしても楽しめなかった気がする。 |
誰かがいてくれないと、楽しめない。 |
だから、自分がなにかを楽しめるようになるために、俺は誰かを求めていたのかもしれない。 |
そして、その誰かのために、頑張ってしまう。 |
誰かを、俺に、惹き付けるために。 |
それはもう、楽しさなんかじゃ無くなっていたよ。 |
そこにあるのは、ただ、俺が俺ひとりで楽しむことが出来無い、誰かに依存するしか無いという、 |
その事実だけだった。 |
ひとりでいることに、耐えられない。 |
俺が、俺であることを受け入れられない。 |
もし、成長だとか前進だとか、そういうものがあるのだとしたら、俺はただ、ひとりでいることに耐えられ、 |
俺が俺であることを受け入れる事が出来、そしてひとりでも楽しむことが出来るようになることなのだと、 |
思う。 |
ずっと |
ずっと |
俺は |
それだけを、目指して生きてきたのかもしれない |
自分では意識してはいなかったけれど、俺はそうして、自分の現実を受け止め受け入れることを |
必死にしようとしていたのだと思う。 |
それは、自分が目の前の人達の中に入っていくために、やらなければならないことをひとつひとつこなして |
いく、ということを成長だとか前進だとか言う言葉で実行していくことを指しているのでは無く、 |
俺には、俺の世界があるということを受け入れ、そしてその中で俺の人生を生きていくことだけに、 |
力を、知恵を注いでいくという、俺だけにしか出来無いことをやらねばならないという、そういうことを |
指して言う現実のことだ。 |
俺は |
その現実から、逃げたくなかったんだ。 |
その結果が |
こんなにも沢山の |
友人を |
俺に与えてくれたんだ |
もし俺が、あのままみんなに受け入れられることを目指して、そのために嘘吐きと言われないためにこそ、 |
自分の見ているものを否定したりとか、みんなのために頑張り続けることを続けていたとしたら、 |
きっと俺には、ただのひとりも本当の友人なんか、出来無かったとおもう。 |
そうだな・・ |
もし出来るとしたら、それは、共にそうしたみんなに受け入れられていく事を至上命題にし、そして |
その中でのし上がっていくために切磋琢磨し合う、そういうライバルだとか、或いは同盟者としての戦友 |
くらいのものなのだと思う。 |
俺は・・ |
たぶん、そういう関係しか無いのだと、友人とは友達とはそういうものなのだと、ずっとずっと思い込んで |
いた気がする。 |
それは・・ |
きっとたぶん、世界を共有している関係なんだ。 |
個別の世界を形成し、自己と他者は分化している存在なんだという現実を受け入れずに、ただすべて |
がひとつの世界の中に閉じ込められ、その中でのすべてを共有することで、その現実から目を逸らす |
ためにこそ、競争したり協調したりする。 |
そしてそれがすべてなんだと、思い込む。 |
俺に妖がみえる力が備わっているのは、ひとえにその実態を、俺に知らせるためのものなのだと思う。 |
今、俺が向き合っている世界だけが、それがすべてでは無いのだと。 |
ああ |
俺は、妖が見えるという、絶対的に他者の世界とは隔絶分離している、その個別の世界とも、 |
否応無く向きあってきたんだ。 |
今は |
それをすごく、感謝している。 |
誰に、と言えば、誰になるんだろうな。 |
俺自身に、なるのだろうか。 |
今までずっと、俺に、俺の世界があることを知らせ続けてくれて、ありがとう。 |
そしてきっと |
その俺自身への俺の感謝の言葉こそが、俺に、俺の世界の住人達との出会いを与えてくれた。 |
楽しいな、先生。 |
俺が、俺の世界をちゃんと生きている感覚がするよ。 |
妖のいる、この世界。 |
俺はそれを受け止め受け入れ、だから俺は、その世界にこそしっかりと居場所を得られた気がする。 |
それは、他の誰かが受け入れてくれるとか受け入れてくれないとか、そういう事とは全然関係が無い。 |
俺にはもう、俺を受け入れてくれた家族がいる。 |
だから、俺はもう、誰かに受け入れて貰うために、必死になる必要は、無いんだ。 |
勿論、まだ俺の中ではそうしたことをしてしまう力が発生し続けているけれど、俺はもう、その力の |
いいなりにはならない。 |
なぜなら |
俺には |
生きたい世界があるのだから。 |
俺と同じように |
自分の世界を、目一杯生きている人や妖達がいるのだから。 |
それぞれの世界を生きている、その俺達が出会う。 |
それが、こんなにも楽しいだなんて。 |
誰も俺の世界を否定しない。 |
俺も誰の世界をも否定しない。 |
そういう出会いの場に、俺は受け入れられたんじゃ無い。 |
この出会いの場を作ったのは、俺、なんだ。 |
自分の世界を生きることが出来た俺だからこそ、今こうして、此処にいるんだ。 |
成長なんて、変化なんて、前進なんて、関係無い。 |
この宴は、生涯続く。 |
人間と妖、その寿命の長さは全く違うけれど、こうして出会ったのだから、その出会いを楽しめばいい。 |
出会うメンバーの顔ぶれは変わったとして、俺が、俺自身がこの会の中にいることは、俺の生涯変わら |
ない。 |
それは、他の妖達にとっても同じだろう。 |
この会は、俺達のそれぞれの世界が交わった場所に出来たもの。 |
それぞれの、それぞれのための、会。 |
この会のために、それぞれが生きている訳じゃ無い。 |
お互い、ただ、好きで参加している。 |
嫌になれば、行くのをやめればいい。 |
参加しなければ死ぬ訳でも無し、存在を否定される訳でも無い。 |
勿論、ルールなんて無い。 |
この会に参加するから、成長するとか、そんなことも無い。 |
ただ |
楽しいから |
ただただ |
生きているから |
いいな 先生 |
こういうのは |
得られるものがあれば得ればいいし、無ければそれもまたそれで良し。 |
得なければいけないとか、意味が無いとか、そんなのは、もう、いいんだ。 |
一期一会。 |
その連続が、ただずっと、続いていくんだろうな。 |
最近だから |
俺は |
俺のことが |
少しだけ |
好きになったよ |
出会い |
その出会いの中に生まれる俺は ただ そのまま生きればいい |
もしその俺が嫌なら、その俺を変えるのでは無く |
ただ 新しい出会いの中に生まれる、新しい俺を受け入れていけばいいんだ |
そうだな |
良い関係を結ぶために努力するよりも、嫌な関係を断ってひとりになる勇気の方が、ずっと。 |
ずっと、大切なことだったんだ。 |
ひとりになって |
また新しい出会いを、そしてそこから新しい関係を築いていく。 |
自由だよな、そういうのって。 |
目の前にある関係に捕らわれて、それが自分のすべて、自分の世界になってしまっていた俺にとって、 |
それは本当に、清々しい解放感だった。 |
俺にとっての成長とか前進という言葉は、目の前の固着した関係の中で、その囚われの中で、 |
俺がより良く生きるためのものでしかなかったんだ。 |
俺は、俺が嫌いだった。 |
だから自分を変えるための努力をする事で、成長して、より良い自分になりたいと思っていた。 |
そうしなければ、自分を好きになれないほどに。 |
俺の世界は狭く、険悪で、そしてそれしか無い人間関係に閉じていたんだ。 |
新しい出会いの中に広がっていく世界を見つければ、だから、そもそも自分を変えるための努力なんて、 |
辛いおもいしか無い世界に執着して、そこに適応することなんて、そんな成長なんて、いらなかったんだ。 |
自分が変わりたいと思ったとき |
それは |
自分の世界を変えたいと感じていることを、示しているのかもしれない。 |
他人を変えることは出来無い。 |
だから |
その人から離れて、新しい人と生きればいい。 |
付き合う人を変えればいい。 |
そのままの自分を肯定出来る、そういう付き合いが出来る人と、出会っていけばいい。 |
きっと |
きっと俺は、みんなに仲間外れにされてひとり遊びしていたとき、そこに楽しさを感じることが出来無かった |
のは、誰かと一緒じゃないと楽しめないからでは無く、そのままの自分を自分で肯定することが出来無 |
い状態だったからなのだろう。 |
逆に言えば、そうして自分を自分で肯定する事が出来る、そういう人間関係が築ける世界の中で |
なら、俺は。 |
きっと |
ひとり遊びを、いや、自分の世界の中で俺が求めているもの、欲しているものを手に入れるために、 |
頑張ったり、努力したり出来るようになりたいと、そのために力を注げることが出来るようになるのかも |
しれない。 |
そこで初めて、成長とか前進という言葉が、俺の世界で有効になるのだと思う。 |
ずっと わからなかった |
俺がほんとうに欲しいものが、やがて、わかるようになってくるのかもしれないな。 |
ありがとう |
みんな |
楽しかったよ。 |
俺 |
頑張れそうだよ。 |
自分の気持ちのままに |
それを、自分で否定しないように |
そして |
なにより |
俺が、自分で相手に伝えなかったおもいの責任を、自分で取ることが出来ていけそうだよ。 |
俺は、妖がみえる。 |
俺は、まだ、北本達に、塔子さん達に、その事が言えない。 |
言わないのは・・・言わずに、北本や塔子さん達がそのことを知らない事で、俺が感じることのすべては。 |
俺の、責任なんだ。 |
言えないことで苦しいのは、俺の問題なんだ。 |
そして勿論、それを言うことが出来無いという問題があること自体は、俺のせいなんかじゃ無い。 |
誰も、悪くなんて、無い。 |
だから、他人を恨むことも、そして、自分を責めることも、もう俺には必要無いんだ。 |
言おう。 |
話そう。 |
伝えよう。 |
俺の力のことを。 |
そして、言えるようになるまでの苦しくて孤独な時間を、俺はちゃんと引き受けて、背負っていこう。 |
言えなくちゃ駄目だとは思わない。 |
でも、言わなくていいとも思わない。 |
ただ言えるようになるために、俺はこれから |
ゆっくりと |
生きていきたい |
そして |
だから |
言わなくても、言えなくても、今こうして |
彼らと一緒にいることだけの中にも、ちゃんと楽しみがあることを、見つけることが出来たんだ。 |
ああ |
どうしてなんだろう |
こんなに 体が軽くなったように感じているのに |
今 踏み出した一歩の重みが、こんなにも、しっかりと感じられるのは。 |
俺が 歩いていくことが |
俺が 生きていることが |
こんなにも |
楽しいだなんて |
ありがとう |
みんな |
先生 |
『守ってやるさ。 |
弱いお前が呼ぶのなら、しょうがないねぇ。 |
しょうがない、気に入ったんだから、しょうがないさ。 』 |
ああ |
俺は |
もうちゃんと |
自分のことを伝えることが 出来ていたんだ |
『 いつのまにか、こんなにも多くの妖と知り合っていたんだな。 』 |
また |
一緒に 遊ぼうな |
じゃあ |
行ってきます。 |
〜 夏目友人帳 参 了 〜 |
◆ 『』内文章、アニメ「夏目友人帳 参」より引用 ◆ |
◆
◇
-- 110927-- |
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■■ あきあにめりすと ■■ |
ごきげんよう、紅い瞳です。 |
えーっと、夏目の感想とか裏でこっそり書いてるまどマギのSSの事で頭が一杯っていうか破裂寸前 |
なので、他のこと書くのを忘れていましたっていうか、忘れました。 (ぉぃ) |
ということなので、えー・・まぁ、取り敢えず来期のアニメの視聴リスト(暫定版)と、個人的な注目作 |
をメモさせて頂きます。 |
それ以外については書いてる余裕無いっていうか、今期アニメもぼちぼち終了しておりますけれど、 |
そのまとめ感想も、もうちょいお待ち頂きたく。 |
あーほんと時間ある時はずっとまどマギ書いてるよどんだけ書けちゃうの? ←ちょっと心配になってきた人 |
月: 君と僕。 侵略!?イカ娘 戦国☆パラダイス-極- 未来日記 |
火: たまゆら〜hitotose〜 ちはやふる |
水: |
木: WORKING’!! 僕は友達が少ない UN-GO ギルティクラウン |
金: ラストエグザイル-銀翼のファム- |
土: C3-シーキューブ- 真剣で私に恋しなさい!! |
日: Fate/Zero ベン・トー 機動戦士ガンダムAGE |
暫定過ぎるほどに暫定ですけど、あと今期よりの継続作がなにかなのかとかも把握してなかったりとか |
してますけど。 |
で、注目作。 |
面倒くさいので、わかりやすく順位付け。 |
1: 侵略!?イカ娘 |
2: たまゆら〜hitotose〜 |
3: UN-GO |
4: ギルティクラウン |
5: 君と僕。 |
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イカ娘に関してはもう楽しみ過ぎて逆にスルーしてもいいくらいな勢いに、好きが高じて訳わかんなく |
なっております。
第二期もよろしくお願い申し上げます。 |
たまゆらは、ARIA系のゆったりとした癒しアニメな感じが期待出来ますので、その辺りでいってみようと |
思っています。
もうなんかゆったりしてるだけでいい。 |
UN-GOは坂口安吾の、明治を舞台にした安吾捕物帖(だったかな?)を原作にして、舞台を近未来 |
に変えたって、おーいどこの巌窟王? 坂口安吾は個人的に好きな作家ですし、巌窟王も好きですし、 |
堕ちよ生きよとかしびれるので、割と楽しみにさせて頂いております。 |
ギルティクラウンは、LOVELESS系の感じでふたりの関係性がどうのこうのがくんずほぐれずに絡み |
合って、罪とか犠牲とか血とかああもうあんたほんとそういうの好きな!、というかそういうイメージを |
勝手に抱いているので詳しく公式サイトを見てはいなかったりする私はほんと鼻血噴き過ぎて死ねば |
いいと思う。 (溜息) |
君と僕は、まぁほのぼの日常系という感じで、まったりほのぼのとやってくださればそれでいいです。 |
|
それとランク外で、シーキューブや未来日記辺りが色々と個性的な面白さを出してくださると、 |
うん、なかなか良いシーズンにはなりそな予感がします。 |
んじゃ、今回はそういうことで。 |
ごきげんよう。 |
◆
◇
-- 110922-- |
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■■ 友に必要な家族 ■■ |
『
貴志君、気に入らない所だったら、いつでも旅立っていってもいい。 |
でも今は、静かに落ち着いて考える場所が必要だ。 |
うちは静か過ぎるくらいなんだ。 |
うちに来なさい。 』 |
〜夏目友人帳 参 ・第十二話・藤原滋の言葉より〜 |
ずっと長い間、待っていたのかもしれない。 |
誰かが、俺を求めてくれることを。 |
ずっと、ずっと、ただそれを待つためだけに、生きているのかもしれなかった。 |
生きるために、生きた。 |
自分の居場所を奪われないために、自分になにが出来るかを考える前に、もう体は動いていた。 |
迷惑をかけないように |
心配をかけないように |
ひっそりと |
びくびくと |
卑屈に |
お荷物にならないように、その事に細心の注意を払いながら、必死にしがみついていた。 |
お願いですから、僕をここから追い出さないで、と。 |
その場所は、全く安住の地なんかじゃ無いというのに、それなのに、まるでこの場所が世界で |
一番の場所なんだという顔をしながら、俺は卑屈に頭を下げて生きていた。 |
苦しいのに、こんな場所になんかいたく無いのに、この場所しか無かったからこそ、絶対にそれを |
失うわけにはいかないと。 |
この場所が、今俺がいるこの居場所が欲しい訳じゃ無いのに。 |
俺は |
ずっと |
俺の欲しくないものを、守り続けて生きていた |
どんなに頭を下げて、どんなに迷惑をかけないようにしてみたところで。 |
どんなに、俺があの人達のために頑張ったって。 |
それで、この場所が安住の地になる訳じゃ無い。 |
人を変えることなんて、出来無い。 |
むしろ、俺がそうやって卑屈に振る舞い、あの人達の俺への態度を変えさせようと、俺を求めるように |
変えようとする行為自体が、あの人達にはより不快に感じられていたことなのかもしれない。 |
ずるずると、それでもどうすることも出来無いままに、日々が過ぎていく。 |
それなら、自分で切り拓くしか無い。 |
今はまだ無理でも、いずれ働ける歳になれば、俺はどこへだって行けるし、誰とだって会える。 |
だから、今はそれまで我慢するしか無い。 |
でも |
ほんとうにそれは、我慢していれば、大人になれば、なんとかなることなのだろうか? |
うっすらと、そして膨大な不安に押し包まれる。 |
大人になっても、俺はなにも変わらないのじゃないか? |
働いて、お金を貯めて、じゃあ俺は本当にそれでどこにでも行けるようになるのだろうか? |
誰とだって会いに行けるようになるのだろうか? |
そもそも、そういう問題なのだろうか? |
今が、問題なのじゃないだろうか。 |
未来というのは、今の延長だ。 |
今の俺が、どんなに頑張ったって、それは今の俺をひたすら繰り返すことの積み重ねにしか過ぎない。 |
自分で切り拓くしか無いと、俺は今までそう思ったことが一度も無かったとでも言うのだろうか? |
いや |
俺はずっと |
そうしてきたじゃないか |
必死に、無茶苦茶になって、生き延びてきたじゃないか。 |
それこそ、俺が自分で切り拓いてきた道なんだ。 |
俺は最初から、自分自身の力で、たったひとりの力で、ここまで生き抜いてきた。 |
なのに、そう声高に叫べば、それを責め批判し、否定する人達に押し潰されて生きてきた。 |
おまえは一体誰のお陰でこの家にいられると思っているんだ? |
おまえが通うその学校の学費を出しているのは誰だ? |
おまえが生きていられるのは、誰のおかげだ? |
そして |
おまえひとりで生きられていると思うなんて、思い上がりだ |
おまえの事をおもっている人達がどれだけいて、その人達にどれだけおまえは助けられていると思っている |
ええ |
そうですね |
その通りです |
僕は |
みなさんの御陰で、こうしてここにいられるんです |
ありがとう |
ございます |
そうして俺は |
俺がどれだけ必死にここまで、ほんとうに必要な助けを一切得られないままに |
たったひとりで、それでも諦めずに、凄まじい執念で生き延びてきたかを |
その |
なによりもすごい自分のことを |
自分でも |
否定してしまう |
そして俺は |
その絶望的な世界の中を |
ひとりで |
生き続けていた |
幸か不幸か |
夏目家には、親類縁者が沢山いた。 |
両親が亡くなってから、俺はその人達の間をたらい回しにされてきた。 |
ほぼ全員、いい顔をしなかった。 |
最初こそは、世間体を気にしたり、あるいは本当に両親を失った俺に同情して、笑顔で迎えてくれた |
人達も何人かはいたけれど、それも時間の問題だった。 |
俺は |
この人達に求められていない。 |
求められているのは、その人の世間体を良くするための俺と、その人の同情心を満たすための俺だ。 |
だから俺は、その人達の要求そのものを満たすための、そんな俺でなければいけなかった。 |
そうしなければ |
俺は |
この家を追い出される |
誰の助けも得られなくなる |
そういうものだった |
まるで、飼い犬のようだ |
俺のためと言って、俺に学校の成績の向上を求め続けた人や、俺のためと言って、勝手に俺の進路 |
を決めようとした人達もいた。 |
もっともっと、細かいところに及ぶほどに、この言葉は俺を取り囲んでいた。 |
俺のため。 |
その俺のためという、その人達の助けだけが、俺を生きさせていた。 |
それは静かな地獄だった。 |
俺が妖を見てしまい、そのことでその人達に迷惑をかけてしまったとき、それを受け入れてくれた人は、 |
全くの皆無だった。 |
ああ |
これは、いけないことなんだ。 |
妖というのは |
見えてはいけないことなんだ |
俺の、ため。 |
親類縁者達は、血の繋がりという名の下に、俺を支配する口実を手に入れていたのだろう。 |
そして、それを嫌々やっているのだという態度で、すべてその責任を俺に転嫁した。 |
俺だって |
俺だって |
好きであなた達の世話になってる訳じゃ無い!!! |
誰も |
俺のことを、求めてなんて、いなかったんだ。 |
なんなんだろう |
なんなんだろう、ほんとうに |
怒りがこみ上げてくる。 |
それを必死に押さえ付けようとすればするほど、その怒りは深々と胸に突き立っていく。 |
あの人達は・・ |
自分達と同じで、自分達と同じように生きる者しか、求めないんだ。 |
自分と他人が違うものなんだということを、根本的に理解していないんだ。 |
俺は、あの人達の欲求を満たすための道具なんかじゃ無い! |
その道具として用を為さないなら、この家から出ていけ? |
自分ひとりの力で生きていけ? |
あんたらなぁ! |
あんたらの言う助けって、自分の欲求を満たすための投資かなにかなのか? |
投資する価値が無ければ、俺はここにいちゃいけないのか? |
ひとりで寂しく、戦い続けなければいけないのか? |
もう |
嫌だ |
こんな人達と、もう、一緒にいたくない! |
もう、こんな人達と一緒にいるために生きるなんて、したくない!! |
俺は |
俺を求めてくれる人と生きたい |
ただそこにいて欲しいと、一緒に住んで欲しいと、願ってくれる人達と |
そういう |
家族が、欲しいんだ |
それでも俺には、染みついている。 |
ここに、いなくちゃいけないんだ、ここにしがみついて、なんとかして生き残らなきゃいけないんだ、と。 |
そのおもいが、俺の、俺の願いを打ち消してしまう。 |
感謝しなきゃ、両親のいない俺を引き取ってくれるあの人達に感謝しなきゃ。 |
あの人達の御陰で、俺は生きていられるんだ。 |
それ以上を、望んじゃ、いけない。 |
そしてまた、汲々として、閉じ込められる。 |
いや |
自分で自分を、閉じ込める。 |
迷惑かけちゃいけない。 |
みんなのためになにかしなくちゃいけない。 |
俺が此処にいるためには、そういうことをしなくちゃいけないんだ。 |
俺は |
俺は・・・ |
ただ |
俺と暮らしたいと |
ただ俺そのものを求めてくれた、藤原夫妻と出会えたのに |
それでもまだ、俺はそうして閉じ籠もってしまうんだ |
でも |
俺にはもう、みえている。 |
俺の望みが |
塔子さんの、ほっとするような笑顔が、俺の胸に灯りをつけたことが。 |
ほんとうだろうか。 |
それは、ほんとうに俺がみているのだろうか? |
妖怪じゃないだろうか? |
それを決めるのは・・ |
俺だ |
俺は、俺の願いを、叶えたい |
俺は、俺の見ているものを、守りたい |
誰にも、そして俺にも、それを否定させちゃいけないんだ! |
それなのに |
俺は |
俺が悪いんだ |
みんなは悪くない |
俺が |
俺がしっかりしないから |
だから・・ |
そうして自分を責める言葉から、逃れられない。 |
でも |
そうだ |
俺が向き合うべきは、その言葉なんだ |
俺は、俺の願いを叶える |
それこそ |
俺が |
俺こそがやるべきことなんだ! |
俺は |
藤原夫妻の元に、行きたいんだ! |
いつか |
きっと |
藤原さんのところから、旅立つその日まで。 |
お願いします |
俺 |
俺 |
『 行きたいです 』 |
『 藤原さんのところへ、行きたいです。 』 |
『 お願いします・・ 』 |
『 お願い・・・しますっ 』 |
そうだ |
俺はそうして、藤原夫妻と出会ったときに、ちゃんと自分で決めることが出来ていたんだな、先生。 |
俺のいたい場所に、行くために。 |
俺の |
欲しいものを、守るために。 |
そのためだけに、頑張れたんだ。 |
戦えたんだ。 |
そうか・・・ |
俺は・・ |
今までいた場所で俺を養っていてくれた人達には、迷惑をかけたくない、のじゃなく。 |
ただ |
迷惑かけてはいけないという、ただそれだけの事だったんだ。 |
迷惑をかけたら、その場にはいられなくなるのだから。 |
だから |
俺が、自分の居場所をそこに見つけることが出来たとき、俺は。 |
堂々と、自分のかけた迷惑を受け入れられる。 |
自分の居場所に行くためになら、迷惑を勇気を以てかけられる。 |
その自分を許せていたんだ、あのとき俺は。 |
そしてだから。 |
自分のいたい、その本当の居場所を与え |
俺を、俺そのものを求めてくれる、藤原夫妻には |
心から |
迷惑をかけたくないと、そう思っているんだ。 |
迷惑をかけても |
ここにいていいのだと、言ってくれたのだから |
塔子さんと滋さんは |
本当の意味で、自分で考えて、自分で選んで、そして自分で決めてよいことにしてくれた |
自由な選択肢を 今いる場所以外に、俺が生きられる場所を・・ |
なんの脅しも制約もかけずに、無条件に、ほんとうに俺のことを・・・ |
『 こわい |
でも |
いきたいんだ 』 |
行くんだ!! |
迷惑って、なんなんだろうな。 |
誰も、迷惑をかけようと思ってかけてなんか、いやしないだろうに。 |
俺だって、そうだ。 |
俺はただ必死に、自分の問題を解決しようとして頑張り続けていただけだ。 |
その俺の行動が、他の人にとっては奇異に映ったからといって、或いはその人達の価値観上に於いて、 |
悪いこととか俺のためにならないからと言って、それを迷惑だとか、心配だとかいう言葉で括って |
良いものなんだろうか。 |
それって |
俺を、 |
ものすごく、侮辱していないか? |
俺の事は、俺にしかわからない。 |
俺は俺の専門家のようなもので、だから俺は俺の問題に対して、最も有効で確実な解決方法を |
編み出し、そして研鑽を重ねている。 |
その俺の、個人の問題を普遍化することなど、本質的には出来無いんだ。 |
他の人から、俺は頑張っていないように見えても、それは俺にとって必要な頑張り方だったりする。 |
たとえば、足の骨が折れている人がいて、その人がなにもしなかったら、その人は怠けていると言うの |
だろうか? |
その人にとっては、無理して足を動かす方が、かえって悪化させてよりなにも出来無くなる、だから、 |
それが治るまでなにもしない、という選択は、極めて真っ当なことだろう。 |
俺のしていることやしないこと、そのすべてに意味があり、そしてそのすべてが俺にとって必要なものなの |
だと、思う。 |
すべては、俺の求めるものを得るために辿る経過なんだ。 |
俺は |
きっと |
その俺が、俺のために編み出した、最も有効で最も確実な方法で自分の問題にひたひたと迫って |
いく以外のことは、本当はやってはいけないんだ。 |
他の人と同じことをする必要が、どこにあるのだろう。 |
他の人から見てまともだと思われる人間になる意味が、どこにあるのだろう。 |
もしそれが必要なのだとしたら、それは、そういったものを無理矢理俺に押しつけてくる人達しかいない、 |
そんな地獄の中を生き残り、なんとかして自分の道に戻るための、そのサバイバルスキルとして、 |
ということなのかもしれない。 |
俺が見据えるべきは、なにか。 |
ただの一度も、ブレたことなんて、無い。 |
これまでの十数年間、俺は。 |
ずっと |
ずっと |
ほんとうに曲がらずに、俺の求めるもののために、生きてきていたんだ。 |
自分の手で |
自分の力で |
まごうことなき、俺自身の意志で。 |
卑屈になっていた俺ですら、その俺の真っ直ぐな意志の中だった。 |
嬉しいよ、先生。 |
ずっと・・・・ほんとうに・・自分のために頑張れてたんだな・・ |
そして、俺が求めているのは、そうして自分の道を歩むことが、それこそが人生なのだという事を理解し、 |
そして、互いにそれを尊重し合える、そういう人達との関係なんだ。 |
俺は、その関係を求める以外の事は、もうしなくていい、という以上に、もうしてはいけない。 |
そう自分に禁じることで、なにかが赦された気がする。 |
自分で、自分のなにかを、認めることが出来た気がする。 |
自覚 |
自分が |
自分の求めるもののために、生きているということ |
生きていいんだということ |
生きるべきなんだ、ということ |
そのことを自覚することが出来た時点で、俺は同時にそれまでの卑屈な自分のことも認めることが |
出来、そしてこれからでさえも、自分の求めること以外のことを、してしまってもいいんだ、それもまた |
そのときを生き延びるためには必要なことなんだからと。 |
許せる。 |
なにも、悪いことなんて、間違ってなんて、いなかった。 |
ありがとう |
そう呟いた俺の目の前には、暖かい塔子さんと滋さんの笑顔が広がっていた。 |
生きたい |
生きることが 楽しみで仕方がない |
ここまで |
生き延びてきた俺に |
ありがとう |
自分がたったひとりで、自力で自分の道を切り拓き続けていたことを散々否定され、 |
自分自身でも否定してしまう中で。 |
それでも |
自分をどこかで信じて |
生き延びてきた自分に |
信じてくれて |
ありがとう |
その言葉を |
俺は俺自身に言われたような気がした |
そうしたら |
やっと |
やっと |
俺のおもいが |
誰かのためにというおもいが |
その誰かに 届いた気がした |
私達を選んでくれて、ありがとう |
塔子さんと滋さんのその言葉が |
なにより一番 |
嬉しかった |
◆ 『』内文章、アニメ「夏目友人帳 参」より引用 ◆ |
◆
◇
-- 110915-- |
|
|||||||||||||||
■■友が友であるために■■ |
『 いつも上手く伝えられなくて、ごめん。 |
怖いとか、不安とか、そういうのは難しくて。 』 |
〜夏目友人帳 参 ・第十一話・夏目の言葉より〜 |
氷牢が溶けて、辺りを水浸しにするようにして、雨が降る。 |
滝のように降り注ぐ雨粒の、一体なにがそれを溶かしたというのだろう。 |
雷が鳴り響く。 |
どこか遠くで、なにかがひとつ終わる。 |
いつもと同じ道 |
いつもと、違う道 |
・ |
・ |
妖怪がみえる。 |
はっきりと、見えるんだ。 |
それは、あまりにもはっきりと見え過ぎていて、たとえばそいつが人間と同じような格好をして、 |
同じような顔をしていたら、俺にはそれが、人間であるかどうか、判別がつかない。 |
俺以外の人には、そもそもそんなものが見えていないのだから、判別する必要すら無いものが、 |
俺には見えている。 |
そして、どうみたって、人間では無い姿をした妖怪も、はっきりと俺には見えている。 |
なにがほんとうで、なにが嘘なんだ。 |
これが、俺の現実なんだ |
その現実を受け入れるとは、一体どういうことなんだろう。 |
俺は、苦しい。 |
苦しい、の一言に尽きる。 |
だけど、そもそもそんな苦しみは、誰にも理解されない。 |
なぜなら、他の人には、みえないのだから。 |
他の人は、他の人と同じものがみえているのだから。 |
いや |
或いは、こう言う人もいるだろう。 |
同じものが見えている人なんて、ただのひとりもいない、と。 |
皆、実は全く違う世界をそれぞれ見ているんだ、と。 |
それは確かにある一面に於いては正しいことなのかもしれない。 |
だが。 |
少なくとも、それは俺にとっては、正しいことでは無いと、今ははっきりと思う。 |
俺は、苦しい。 |
俺には、他の人の見えないモノが見えていて、それが他の人にも見えているのか見えていないのか、 |
判別が出来無いくらいに、それらのモノがはっきりと見えていて。 |
とても、とても辛い。 |
その事実は、いや、俺のその気持ちは本当なんだ。 |
他の人達だって同じものなんか見えてやしない、だなんて言葉で、その俺の気持ちを否定したところで、 |
それこそただの欺瞞にしかなりはしない。 |
むしろ、その俺が苦しいという現実から、目を逸らしているだけの事にしかならない。 |
俺は、苦しい。 |
そのことを、俺ははっきりと、認められるようになった。 |
他の人との比較無し、に。 |
妖怪とのトラブルにもよく巻き込まれる。 |
俺から進んで関わってしまうことも、多い。 |
そのたびに、辛いおもいをして、そしてそれは誰にも理解されないことで、誰にも認められない苦しみ |
なんだと、そう感じて、さらにもっと、辛くなる。 |
その辛さを耐え抜くと、俺は強くなれるのだろうか? |
なにかが、違う気がしていた。 |
もしその辛さが、俺にとって必要なもので、そしてその辛さを全部引き受けて、ひとりで強く生きていく |
しか無いと思うのなら、その俺の辛いとか、苦しいという気持ちは、一体なんのために俺から発せられ |
たというのだろう。 |
辛いというのは |
苦しいというのは |
助けを 必要としているからなのじゃないか? |
辛さそのものを、苦しさそのものを必要とするなんて、おかしいんだ。 |
辛い苦しいと、俺は、俺の中に迫っている、あるいは潜んでいる危険を察知して、俺自身にこそ |
それを知らせているんだ。 |
辛さという信号を、苦しさというシグナルを。 |
その信号を、シグナルを積み重ねる事自体が、俺を強くするなんて、あり得ない。 |
それは、危険信号を無視して、自分に潜み迫る危険を回避することなく、全部抱え込む、 |
ということだ。 |
そんな満身創痍な強さなんて、俺は。 |
いらない。 |
欲しくない。 |
俺はその危険を回避するためにこそ、その信号をシグナルを読み解き、それを癒さねばならない。 |
助けが、欲しい。 |
そのための努力こそが、俺には唯一必要なことで、そして誰かに助けを求めることの勇気がいるんだ。 |
その事から逃げるための、危険との真っ向勝負なんて。 |
たったひとりの戦いなんて、俺は。 |
もう、したくない。 |
俺は |
自分の苦しみを癒して、誰かの助けを得て。 |
そうして、改めて、俺と向き合い、俺の現実を生きていきたいんだ。 |
ああ |
俺ひとりに出来ることなんて、俺の現実でさえ、そんなに沢山は、無いんだ。 |
田沼と多軌。 |
俺は、ふたりに自分のことを話して、とても楽になれた。 |
自分の苦しさを、自分の辛さを自分自身で認めることが出来るようになった俺は、その苦しさを |
辛さを否定することなく、しっかりとふたりに話すことが出来た。 |
ああ |
そうなんだよな、先生。 |
話していて、わかったんだが、たぶん、俺の苦しみや辛さそのものを、理解して貰うことはそれほど |
重要な事じゃ無いんだ、って気がした。 |
この苦しさや辛さは、俺にしかわからない。 |
俺が理解して欲しかったのは、田沼達には理解出来無いかもしれないけど、とにかく苦しんでいて |
辛さを感じているんだ、ということそのものなんだ。 |
田沼や多軌は、俺が苦しんでいることを、辛さを感じていることを、否定しなかった。 |
俺は、だから、自分の苦しさや辛さを、そして俺にはなにがどう見えているのかを話すだけで、癒された。 |
聞いて貰えるだけで、よかったんだ。 |
そして田沼と多軌は、自分達に出来ることなら手を貸すと言ってくれた。 |
その言葉だけで充分とは、俺は言わない。 |
俺はひとりで全部を背負うつもりは、もう無い。 |
だから、俺は、田沼と多軌に出来ることを、頼んだんだ。 |
その分だけ、俺は楽になれたし、田沼と多軌が関わってくれているという事が、俺にしかわからない、 |
俺にしか出来無いことに力を注ぐことに集中する事を、俺にさせてくれたんだ。 |
田沼と俺。 |
今回はふたり同時に問題を抱え込んだ。 |
互いにそれぞれが抱えた問題を話し合った。 |
話せば、すごく楽になって、そして、話して貰えないと、なんだかもどかしい。 |
俺と田沼は、お互いにその両方を経験し合った。 |
俺は・・・ |
少し、勘違いしていたのかもしれない |
田沼が抱え込んだ問題を、田沼が俺に話してくれなかったとき、俺はひどくもどかしかった。 |
だが、そのもどかしさを元手にして、田沼に無理矢理話させようとしたり、詰ったりするのはおかしい |
気がして、心のどこかで俺は、それは田沼の問題だからと、一線を引いてしまっていた。 |
それ自体はたぶん、間違ったことじゃないのかもしれない。 |
田沼には、田沼にしかわからない田沼にしか出来無い事があり、その事について俺がどうこう口出し |
する事は出来ないし、そもそも俺が感じていたもどかしさそのものは、俺自身の問題なのだから。 |
そして |
だから |
勘違いしていた |
俺がもどかしさを感じていたのは、事実だろう? 先生。 |
だからそれは、否定してはいけないことなんだ。 |
もどかしいから、なんとかして田沼のためになれることはないかと考えるのは、それは俺自身が考える |
ことであって、それすら田沼の責任にするのは、おかしいことだ。 |
俺は、田沼を助けたい。 |
その俺の気持ちの責任を取るのは、俺であって、その事自体は田沼に口出しするべきではない、 |
ということで否定してはいけないことなんだ。 |
俺は、俺の勝手で、田沼を助けたいとおもい、そして田沼のために行動する。 |
そして、それが田沼のためにならないと、田沼自身が言うのなら、俺はその行動をやめるんだ。 |
田沼自身が助けてくれと言った事と、俺自身が田沼を助けたいと思ったことは、別のこと。 |
だから、それぞれを尊重する必要があるんだろう。 |
俺は、田沼が必要で無いとはっきり言ったことに対しては、なにもしてはいけないが、けれど同時に、 |
田沼は俺が田沼を助けたいと思い、なにかしら行動を起こそうとする事自体を否定してはいけない。 |
その辺りのことを、俺はかなり混乱して理解していた気がする。 |
俺は田沼を助けたい。 |
でももし、田沼が助けはいらない、あっちに行ってくれというのなら、俺は心配しながらも、様子を |
見守るだろう。 |
だけど、もし田沼が、そのまま俺から遠いところに離れていったとしたら、その理由も語らぬまま、 |
そうなってしまったとしたら。 |
俺は、どうしただろう。 |
以前は、なにがどうであろうと、とにかく田沼を追いかけて、田沼に心配かけるなとかみんな心配してる |
とか、そういった説教のひとつでもして、田沼を責めたりしたかもしれない。 |
それが、田沼のためなのだから、と。 |
そして、今回の件の前までは、逆に、田沼が俺から離れていくのを選んだのだから、その田沼の |
選択を尊重して、俺は田沼を追ってはいけないと、俺は自分の気持ちに蓋をして田沼から離れていく |
自分を選んだだろう。 |
そう |
自分の気持ちの責任を取らずに、田沼のせいにして |
田沼にとって田沼が大事なものであるように、俺にとっても田沼は大事な存在だ。 |
どちらかでは無く、どちらも大切で、尊重されるべきものなんだ。 |
田沼が自分で選んだことを俺が否定して、俺にとっての田沼の大事さを説いて、それを押しつける |
事がおかしいように、俺にとっての田沼の大事さを田沼が否定して、田沼にとっての田沼の大事さを |
説いて、それを押しつけるのもおかしいことなんだ。 |
それぞれが行動すべきは、それぞれの気持ちのままに。 |
そしてその互いの行動が、互い自身にとって大切なものであることを、否定してはやっぱり駄目だ。 |
田沼は俺の大事な友人だ。 |
だから、田沼が自分の身を危険に晒すような行動を取るのが悲しいし、させたくないと思う。 |
俺は、その俺のおもいを、気持ちを否定しない。 |
そして、それを田沼に押し付けたりもしない。 |
だから俺は俺の勝手で、そして、田沼の邪魔にならぬよう、俺に出来ることを、田沼のためにしたいと、 |
そう思うんだ。 |
そして、俺はやっぱり怒るだろう。 |
いや、怒っていいんだとおもう。 |
どうして 俺になにも話さずに、どこかに行ってしまったんだ、と。 |
話さなければ、なにもわからないじゃないか、と。 |
俺のもどかしさの、その中心にあるのはきっと、そのことなのだろう。 |
わかることと、わからないことがあることさえ、話さなければ、判断のしようが無い。 |
どれが俺に出来て出来無いことなのか、どれが田沼だけにしかわからない事なのか、それもそうだ。 |
尊重のしようが無い。 |
そして、それは俺の気持ちを、丸ごと否定されてしまったようなものなんだ。 |
悔しいな。 |
それは、俺が田沼に関わる事が出来ないとか、田沼に助けを拒否されるとか、そういうことが、 |
という訳じゃ無い。 |
その悔しさは、田沼が俺の気持ちを無視して、まるで俺に田沼と同じように感じるようになれと、 |
そう田沼に言われた気がするからのものだろう。 |
俺には、田沼の気持ちを、全部わかることなど出来無い。 |
だから、田沼と同じように感じることなんて、出来やしない。 |
俺は俺で、田沼は田沼だ。 |
それを侵して、俺が自分の思い通りに田沼が助けを乞わない事に腹を立てる事は、田沼が俺の |
気持ちを無視して田沼の思い通りに俺を行動させようとする事と、同じことだ。 |
俺が自分の思い通りに田沼に助けを乞わせようとするとき、きっと田沼は、俺が感じた、田沼が俺の |
気持ちを無視して田沼の思い通りに俺を行動させようとする事に対する怒りと同じものを、抱くだろう。 |
だから |
自分の思い通りに相手が動かないときに感じる怒りと |
相手の思い通りに自分が動かされようとしているときに感じる怒りは |
別物なんだ。 |
俺は田沼を理解したい。 |
俺は、田沼に理解して欲しい。 |
けれど、理解そのものでは無く、きっと大切なのは、理解したい理解して欲しいとおもう、その気持ち。 |
だから、俺はその気持ちのままに、動くことが出来るようになった。 |
そして、だから、少しでも俺は、田沼のことを理解出来るように、そして俺のことを理解して貰えるように、 |
頑張ることも出来た。 |
田沼も、きっとそうなのだと思う。 |
理解しなければ駄目、理解されなければ駄目、そういうのはもう、やめよう。 |
そうしないと、俺はずっと、俺の苦しみや辛さを否定する人達に対しても、自分を理解させようとしたり、 |
その代わりに相手を理解するための努力をしてしまったりするだろう。 |
俺は、苦しいよ、田沼、多軌。 |
そのことを認めてくれたから、俺にとってこのふたりは、大切な友人なんだ。 |
だから俺は、俺の苦しみや辛さを否定する人達に拘ることから、いや、その人達に拘る自分から、 |
すっと |
手を離そう。 |
俺には |
俺の苦しみや辛さを認めてくれる人がいる |
ずっと、理解されないことに感じていた苦しみは、実はきっと、俺に苦しみがあるという事自体を認めて |
欲しいという、その渇望があることを示すためのものだったんだろう。 |
だから、理解を求めて、自分の事を言葉を尽くして相手に説明して、説得したりする努力そのもの |
では、決してその大元にある渇きを潤す事は出来なかったんだ。 |
理解を求めて、俺の苦しみや辛さを全部理解して、そうしてくれる人はきっと、俺と同じ世界を、 |
そして気持ちを持ってくれるのだと。 |
俺と、同じになって欲しいというおもいの顕れで。 |
そしてそのおもいは、たぶん、俺が、みんなとは違うことで受けている苦しみがあることを認めて欲しい、 |
つまり、みんなとは違う俺が、そのみんなとは違う俺として生きていることを認めて欲しいと。 |
そういう、ほんとうの俺の心の叫びこそを、引き出すためのものだったのだと思う。 |
ああ |
そうか |
俺は |
俺であることを、認めて欲しかったんだ。 |
それが認められず、みんなと同じでなければ認められない中で、みんなとは違う異端として排斥を |
受けていた俺だからこそ |
みんなと一緒になりたいと思ったり |
逆に |
みんなの方を、俺と一緒にしようとしたり |
そのために、俺は自分がみんなと同じであることを説明しようとしたり、逆に俺の正しさを説き、 |
みんなにも俺と同じように感じたり考えたりするようになって欲しいと願い、そう行動していたのかもしれ |
ない。 |
だから |
違うんだ |
俺が |
俺であるということを |
そのまま認めてくれる人がいてくれた時点で |
もう |
そんな馬鹿みたいなことは、する必要が無くなっていたんだ |
俺の苦しみを辛さを認めてくれない人に構うのは、もうやめよう。 |
その人達が俺のためだというその優しさを俺に向けてきても、俺はもう、それを背負わない。 |
俺は |
俺が俺であるということを認めてくれた人達と、共に生きたい。 |
そして、その人達のために、生きていきたい。 |
そうか それが |
仲間 というものなのかもしれないな |
語り合いたい。 |
心の奥に仕舞い込まれていた、俺の気持ちを。 |
それは言葉にするのが難しいほどに、堅く閉じられている。 |
いや |
逆なのかもしれない。 |
俺の言葉の方こそが、俺の気持ちを語ることにその言葉を使わせないように、頑なになっているのかも |
しれない。 |
俺の言葉は、ただずっと、俺の苦しみを、辛さを、隠すためだけに使われていたのだから。 |
難しいはずだ。 |
これからひとつ、ひとつ。 |
田沼や、多軌、そして仲良くなった妖怪達と一緒に、自分の気持ちを言葉にして伝えられるように |
なっていこう。 |
ああ |
そうだ |
俺は |
ひとりで生きたいわけじゃない |
そう思っていたのは、随分ともう、昔のことだ。 |
そして |
俺が、人と、妖怪と関わってきた事の中には、苦労だけしか無かった訳でも無い。 |
楽しいことも、嬉しいことも、沢山あった。 |
それも、事実なんだ。 |
でも、その事実を分厚く隠蔽してしまうほどに、俺の苦しさや辛さは俺が語ることが出来無いことで、 |
増幅してしまっていた。 |
楽しいことなどなにひとつ無かったと、そう笑顔の下で思うことしか出来無くなるほどに。 |
だから。 |
自分の苦しさや辛さを認めて貰えたとき、きっと俺は。 |
自分の感じてきた、楽しいこと嬉しいことについても、嘘や虚勢無しに、ほんとうの笑顔で語れるように |
なるのかもしれない。 |
自分の苦しさや辛さを語れないからこそ、嘘と虚勢としての笑顔ばかりみせてきた俺だから・・・ |
もし そうなれたら |
どんなにか 幸せなことだろう |
そして、その幸せを信じることが出来るようになった俺なら、きっと |
もっと |
もっと |
この俺の人生を、確かに生きていくことが出来るようになるのかもしれない |
人生って、ほんとうに、壮大なんだな、田沼 |
・・・さすがにそんなこっ恥ずかしいことは言えないよ、俺は |
◆ 『』内文章、アニメ「夏目友人帳 参」より引用 ◆ |
◆
◇
-- 110908-- |
|
|||||||||||||||
■■ 友の休憩 ■■ |
夏目友人帳参第十話の感想は、省略させて頂きます。 |
次回に続く内容だった上に、私の体調が優れないのが理由です。 |
今回の夏目と同様、目に違和感があるんですよね。 |
目の奥から頭に抜ける感じで痛みが広がって、頭痛に繋がるみたいな感じで。 |
えっと、呪われた?(笑) |
ということで、次回第十一話の感想の際に、まとめて感想は書かせて頂きます。 |
よろしくお願いします。 |
今回はおまけも無しの方向で。 |
それでは。 |
◆
◇
-- 110906-- |
|
|||||||||||||||
■■ なぜだか大和魂 ■■ |
久々恒例の、箇条書きツアー。 |
タイトルは本当になんでだか、そんな感じに。 |
・たぶん夏バテ。 |
・いきなり来て、いきなり去っていって欲しい。 |
・今年はウナギ食べていないけれど、去年はウナギ食べたけど夏バテだった。 問題無い。 |
・台風一過、雨が降った。 傘なんて無い。 |
・行方不明者捜索願いの屋外放送で、「身長は○○くらい、髪は爆発。」 あ、髪は白髪か。 |
・爆発で思い出したけれど、前回のゆるゆりの爆友は面白かった。 |
・女教師×女生徒会長というのはありです。
まぁ教師の方は爆友とか言ってましたが。 |
・ちなみに爆友というのは、一緒に爆発する友達のことです。 私も募集中。 |
・そしてゆるゆりはどこまであっかりーんをイジり倒せば気が済むのか。 徹底的にやって欲しい。 |
・ちなみに私は歳納京子派。
ええ、あんたはやっぱりそうでしょうとも。 |
・ダンタリアンの書架はハル&フランベルジュ萌え。 |
・ええ、あんたはやっぱりそうでしょうとも。 |
・クロワーゼでは断然アリスお嬢様派ですし、うさぎドロップではりんママ派だったり。 |
・ぬらりひょんの孫第二期では、総大将(初代)が惚れ惚れ過ぎてご飯が進んだりします。 |
・総大将の珱姫への告白っぷりに痺れまくりとか、まったく、あんたはまったく。 |
・あのふたりの組み合わせは私の中ではベストカップルのひとつになったかもしれない、ご馳走様。 |
・ちなみに珱姫もど真ん中。
こういう人大好き。 |
・萌え対象が多いのは良いことです。 |
・アニメの話ばかりですけれど、アニメの話を一番したいのは事実です。 |
・もうアニメと一緒に死ねばいいとおもう。 |
・そういうことなので、一言ずつ今期アニメについて。 |
・銀魂’ −もうちょっとこう、笑いを凝縮させてもいいような。 基本的には合格点なのだけれども。 |
・日常 −爆笑の連続を期待してしまうけれど、たぶんそうしたらこれは日常では無くなってしまうね。 |
・夏目参 −あれ?最初の勢いどこいった? |
・ゆるゆり −主人公(あっかりーん)の存在感を消すためにここまでやれるアニメは今まで無いぞ。 |
・神ド −なんだかずっと面白い。
特に萌えるキャラはいないのだけれど。 |
・いつ天 −ごめんなさい、密かに切ってました。 ごめんなさい。 |
・花いろ −色々飽きてきたというか、もういい加減ぐだぐだ過ぎじゃありませんこと? |
・うさドロ −だいきちがいちいちりんママをこっそり引き合いに出して比べてるのがイラっとします。 |
・6 −あれよあれよという間にお話が進んで、設定的に意味不明になってません? 森の民てなによ。 |
・まよチキ −男装執事のデレが素早すぎて毎度ついていけない点を除けば、なかなかに面白い。 |
・ブラッド −・・・これホリック?
ホリックとリンクしてるよね? これオリジナル作品じゃなかったっけ? |
・ダンタリアン −ハル&フランベルジュ萌え。
それ以下はあってもそれ以上は無い。 |
・ピンドラ −毎回切るか切らないかを考えているけれど、毎回切らない方を選択し続けてます。 |
・ロウきゅ −ここまで堂々とロリコンじゃ無いことを証明しようとするロリコン作品はこれまで無かった。 |
・神メモ −これはさ、要するに全キャラに魅力が全く無いのがすべてな訳よ。 どうしようも無いです。 |
・シュタゲ −基本的に私はタイムリープとか時間を繰り返すモノに共感しない事を今更思い出す。 |
・青の −なんかもっとこう・・・あるでしょ? |
・ぬら孫2 −京都編の総大将(初代)が好き過ぎです。 これに惚れない私を私は知らない。 |
・クロワゼ −アリスお嬢様は取り敢えず置いといて、カミーユお姉様の自由とはなにかを分析中。 |
・魔乳 −今期一の癒しアニメになるとは、誰が予想しただろうか、いや誰が予想出来るかそんなもん。 |
・一言ずつと限定されれば、こんな感じになります。 |
・それにしても、なんつー数見てんだあんた。 |
・ちなみについでに、次は来期アニメをチェック。 |
・侵略!?イカ娘 −よしきた、どんとこいこい。 |
・WORKING'!! −ウチとこでは、キッズステーションになるのかな。 |
・たまゆら〜hitotose〜 −ARIAっぽい感じでよろしくお願いします。 |
・ちはやふる −競技カルタのお話なんですって。 |
・僕は友達が少ない −こんなに共感を覚えるタイトルはなかなか無いぞ。
しくしく。 |
・ラストエグザイルー銀翼のファムー −さぁ私を楽しませてみせろ! ←何様 |
・機動戦士ガンダムAGE −見るか見ないか見るか、見ないか、どうしよう。 |
・UN-GO −坂口安吾読者としてはドキドキせざるを得ない。 |
・ギルティクラウン −このところノイタミナは色々わかってきたようだね。
よしよし。 |
・Fete/Zero −本編(?)は以前途中挫折したので、リベンジ。 |
・ベン・トー −設定的な斬新さを買って、トライ。 |
・真剣で私に恋しなさい!! −基本剣道少女属性はありますので。 ←はにかみながら |
・君と僕。 −君と僕ですから。 |
・未来日記 −ヤンデレクイーンがいらっしゃるとの報を受けましたので。 |
・C3
-シーキューブ- −デザインと色彩感覚が私にドンピシャなので。 |
・とまぁ、こんな感じで来期も絶好調だなおい。 |
・さりげにまどマギ熱とかも上がってきてるのだよ。 |
・今さりげに例のまどマギSSを執筆中なのですよ。 MPが減っていく音が聞こえるよ・・・。 |
・改めて本編を見返しているのだけども、この作品は細かいところにも色々見所があるよね。 |
・魔女のシーンとか、ああいうひとつひとつの背景との繋がりの中にある抽象がどうたらこうたら。 |
・舌噛んだ。 |
・というわけで、色々発見につぐ発見をしていたら、書く方がおろそかになったというか、これどうしよ。 |
・書きたいことも書こうとしていることもわかっているのだけれど。 |
・なんだろう、この書いても書いても書き終わらない感覚は。 ひー。 |
・先は長い。 |
・ということで。 |
・今回はこの辺りということで。 |
・ごきげんよう。 |
◆
◇
-- 110901-- |
|
|||||||||||||||
■■ 友を守るのは誰 ■■ |
『 守りたい者達に、守られていること。 |
だから、慣れないことを積み重ねて、進んでいく。 』 |
〜夏目友人帳 参 ・第九話・夏目の言葉より〜 |
一歩ずつ。 |
なぜだろう、それがすごく遠く感じるのは。 |
ゆっくりと、着実に、自分の速度で歩いて行きたいのに。 |
どうしてだろう、こんなに焦ってしまうのは。 |
ひとりだけ遅れがちになり、みんなに後ろを振り返られたときの、そのみんなの目を見ることが出来無い。 |
目を逸らす。 |
そして、走り出す。 |
追いつけた。 |
なぜだろう。 |
この胸の苦しさは。 |
みんなが笑っている。 |
俺が追いついて、みんなの中で歩いている、よかったな、よかったねと、俺を迎えてくれる。 |
さぁいこう、いこうよ。 |
みんなまた、歩き出す。 |
最初の一歩の距離が、また俺だけ、足りない。 |
十歩も歩けば、その差は歴然だ。 |
焦る。 |
追いつかなくちゃ。 |
そうしてまた、追いつく。 |
みんな、暖かく迎えてくれる。 |
また、遅れる。 |
今度はひとり、俺の方に向かって戻り、一緒に歩いてくれた。 |
嬉しいような、悔しいような。 |
駄目なような。 |
俺はその人に感謝しながら、薄く体に絡みつく罪悪感を元手にして、一層歩く速度を上げていく。 |
追いつくんだ。 |
俺と一緒に歩いてくれた人のためにも。 |
そうして、みんなに追いつく。 |
その人も、みんなに追いつく。 |
なぜだか俺は、ふたり分、疲れていた。 |
そして、速度を上げた分だけ、疲れていた。 |
目的地に着き、みんなが楽しげに軽やかに遊んでいるとき、俺はぐったりと座り込んでいる。 |
木陰を見つけ、みんなが遊んでいる様を、じっとみつめている。 |
俺は、これでいいんだ。 |
これが、幸せなんだ。 |
誰も、俺を見捨てない。 |
誰も、俺を馬鹿にしたりしない。 |
でも |
なんだろう |
この苦しさは |
どうしてだろう |
こんなに 涙が止まらないのは |
+ + |
幸せだと、何度自分に言い聞かせただろうか。 |
そしてそのたびに、一体何度、涙を流しただろう。 |
その涙の意味だけとは、俺は向き合えない。 |
きっとこの涙は、幸せの涙なのだと、そう思うことで、俺は明日を生きる力を得ている。 |
夜、灯りを消して、布団に入り、そして・・・ |
なぜ、こんなにも胸がかき乱されるのだろう。 |
どうして、こうやって毎晩、力を込めて俺は幸せなんだと言わなければならないのだろう。 |
そうしないと、俺は明日を生きられない。 |
明日を、走り切ることが出来無い。 |
今日は、懸命に走って、歩いているみんなに追いついたところで力尽き、結局みんなとは遊べず、 |
ひとりだけ木陰で休んでいた。 |
だから、明日は、明日こそは、ちゃんと走り切り、そしてその後もみんなと楽しく遊べるよう、頑張ろう。 |
その |
積み重ね |
胸が疼く |
なにかが、積み重なり、折り重なり |
いつかどうしようもなくなってしまうのではないかという |
直感 |
一生は、一回しか無い。 |
俺の力には、限りがある。 |
俺は・・ |
俺が、みんなに追いつくために、力を使い過ぎていないだろうか。 |
俺は、みんなに追いついた後も、無理して楽しく遊ぼうとするために、どんどんと力を使っては |
いないだろうか。 |
俺は、こう信じていつも眠りにつく。 |
そうやって、人の何倍も頑張り、努力すれば、きっと俺の力の総量は鍛えられて上がるはずだ、と。 |
苦しめば、苦しんだ分、強くなれる、と。 |
俺はそう自分に言い聞かせながら、ただひたすら、みんなに追いつこうと、日々戦っている。 |
緊張の日々。 |
油断出来無い毎日。 |
俺は |
俺のままでは、いけないのだろうか |
俺がこんなに頑張ってしまうのは、あるいは自分を鍛えて成長しなければならないと思っているのは、 |
もしかしたら、俺が、俺自身を受け止め、肯定することが出来無いからなのかもしれない。 |
俺は、俺じゃない、別のなにかになりたいのか? |
俺にとっての努力や頑張りは、そのひとつの変身としての成長のためにあるのだろうか? |
もしそうなら、俺は・・・ |
俺は、毎日、毎日、自分のことを否定しながら、生きているということなのだろうか。 |
俺は、変わりたいのか? |
そう思ったとき、俺にはどうしようもなく、はっきりとわかることがある。 |
ああ |
もし |
俺が変わりたいと心底思っているのなら |
きっと |
そのとき |
妖怪の姿を見ることは出来無くなるのだろう、と。 |
俺は、俺でありたい。 |
俺は、俺でいたい。 |
ただ、それを認めて生きたい。 |
それが、自他ともに認められないと、俺がそうどうしようもなく認識しているからこそ。 |
俺は、妖怪を見る。 |
俺の魂が、俺が俺であるという事が、俺と妖怪を出会わせた。 |
俺は、妖怪達を見ないような、そういう「普通」の人間に「変わりたい」か? |
俺は、みんなと同じような、そういう人間に「成長したい」のか? |
違う |
違うんだろう |
俺は |
変わりたいなんて、思っていない。 |
俺は、自分を否定なんてしたくない。 |
俺は、今、確かに妖怪達との出会いを、慈しみ、そして受け入れ、楽しんでいる。 |
なぜだろう、無理が無いんだ、妖怪達といると、とても楽で、そして・・・ |
俺が、俺でいられるんだ。 |
でも、どうして俺だけ妖怪が見えてしまうんだ、と思うと、駄目なんだ。 |
妖怪を、否定してしまうと、俺は、俺でいなくなる。 |
俺は、変わろうとしてしまう。 |
だから |
俺は、北本達に、妖怪のことを話せないんだ。 |
◆ |
俺が田沼と多軌に限って、妖怪の話が出来るのは、それは、そのふたりがなんらかの形で、 |
妖怪と関わった経験があるからだ。 |
だから俺は、妖怪の話が出来るし、なにより妖怪が見える自分のことを、恐れずに話すことが出来る。 |
北本達は、全くそういうものと関わったことも無い。 |
だから、話せない。 |
どうしてだろう。 |
そう自分に問いかける。 |
耳を澄ましてみる。 |
俺は・・ |
もし、北本達に俺の力のことが知られたら、それで俺が避けられてしまうようになるかもしれない事が |
怖いのだと、最初は思っていた。 |
でも、実際付き合い続けて、北本達がそんな人間ではないというのを、少しずつ感じ始めていく |
うちに・・・ |
俺は、本当はただ、自分のままに、自分の速度で歩いていくことが、怖いだけなんじゃないかと、 |
そう思うようになった。 |
本当は、俺は・・・ |
自分だけになってしまうこと、ひとりになってしまうことが、怖いわけじゃ無いのじゃないかって・・・ |
俺は、北本達に妖怪の話をしたら、北本達に俺が嫌われるということよりも、北本達に迷惑が |
かかるような事があるかもしれないから、絶対に話してはいけないと思う。 |
でも・・・それは・・・違うんじゃないか・・ |
文化祭があった。 |
俺は、すごく楽しみだった。 |
北本達と、田沼達と、みんなで一緒に楽しくなにかがやれる。 |
そしてなにより、俺自身が、楽しめる。 |
そのためにだったら、俺は、いくらでも頑張れる気がした。 |
それは、他の人に追いつくとかどうとか一切関係の無い、自分の速度で、歩いた分だけ楽しめる、 |
だから沢山歩いていきたい、俺の速度のままに、どんどん、どんどん。 |
その頑張りは、きっと俺にとってよいことなのだと思う。 |
無理が無い、なにより、自分がしたいと思う事を叶えるためだけにあるのだから。 |
でも俺は・・ |
一番、それを恐れていたのかもしれないと、ふと思った。 |
妖怪の話をしたら、北本達に迷惑がかかる? |
じゃあ、なぜ俺は、田沼達には話をしたんだ? |
田沼達が俺の話を理解してくれたとしても、迷惑はかかるんじゃないか? |
矛盾している。 |
迷惑かけるのが嫌だから、という理由でなら、俺は田沼達にも話すはずが無い。 |
だが、俺は思い切り、田沼達には話していた。 |
なぜだ。 |
それは。 |
俺が、妖怪の事をなにも知らない、そんな北本達に話して |
そうして、北本達との関係が変わるかもしれない、その俺を生きるのが、怖いからなんじゃないか? |
迷惑云々は、言い訳にしか過ぎない。 |
田沼達には、話しても俺との関係は変わらないし、この関係を深めていきたいと切に思えている。 |
しかし、北本達に話せば、彼らがそれを受け入れようと、受け入れまいと、関係そのものは、 |
確実に変わる。 |
きっと、そう、きっと北本達は、俺を受け入れてくれて、そしてたぶん、俺を助けるために色々と奔走 |
してくれたりするかもしれない。 |
そう・・ |
俺こそが、そうした北本達こそを、受け止めることが出来無いんだ。 |
妖怪の存在を知らない、そして俺の力を知らない北本達。 |
その北本達と一緒にいるときの俺は、そう・・北本達と同じ、妖怪とは関わりの無い、 |
普通の人間なんだ |
俺は、つまり、その普通の生活をまだ生きたがっているんだ、北本達に妖怪の話をせずにいれば、 |
隠し通せば、その生活が出来るように思っているんだ。 |
そして、その隠し通すための技術を磨き、そして普通の生活を生きるために頑張り、そして成長 |
しようと自分を変えていこうとする。 |
自分を変えようと思うとき、そこには必ず、欺瞞が発生する。 |
それが、自分が既に変わっていることを受け止められない、俺には、どうしてもわかってしまう。 |
北本達を、俺は守っているんじゃ無い。 |
俺は、ただ北本達と一緒に普通に生きている、その俺を必死に守っているだけだ。 |
北本達を守れるのは、北本達自身だけだ。 |
それは、俺にも言える。 |
俺を守れるのは、俺だけだ。 |
そして、俺が真実守りたい俺は、どれなんだ。 |
北本達と一緒に普通に生きている、その俺を俺は守りたいのか? |
俺は、その俺が自然に変わっていってしまうのが恐ろしくて、その変化を止めることが出来る、 |
そんな自分を創り、育て、そして鍛え成長させようとしているだけだ。 |
成長しない自分を維持するための力を生み出せる、そんな自分に成長させようとしているんだ。 |
そんなものは・・・ |
もう・・いやだ・・・・ |
俺が妖怪を見るのは、事実なんだ。 |
それが、俺なんだ。 |
その俺を受け入れる事が出来ないとき、俺の変化は、俺の成長は止まる。 |
俺の人間関係も、ずっと変わらずに、固定されたまま終わってしまう。 |
変わっていいんだ。 |
変えるのでは無く、変わっていく自分を受け入れよう。 |
変えなければなにも変わらない、のじゃ無い。 |
人は、人間は、なにもしなければ、どんどんと、自然に変わっていく。 |
自分を受け入れ、受け止めれば、人はどんどん成長していく。 |
逆に、自分を受け入れず受け止めないからこそ、それで済むための自分に変わろうと、変えようとする。 |
欺瞞だ。 |
俺は |
俺を受け入れ、受け止めることが、ただ出来無かっただけなんだ。 |
ずっと変わらないままで、いたかった。 |
そして、その言葉の見栄えの悪さから、だから変えよう変わらなければいけないという言葉の名の下、 |
俺は、ずっと変わらないままでいられる俺に、変わろうと、変えようと、必死に努力したんだ。 |
俺は、ただずっと、北本達と、普通に、みんなと同じように、なにげない日常を生きたかった。 |
妖怪が見えて、それで色々と面倒に巻き込まれて、そのことで北本達に心配かけたり、手を煩わせ |
たりすることで、彼らと普通の穏やかな時間を生きられなくなることが、嫌だった。 |
すべてを、自分ひとりで背負おうとした。 |
それを背負える俺になれるよう、俺が頑張り、成長すればいいと。 |
北本達から、俺の秘密を守り通すことが出来れば、俺は・・・ |
ずっと このままでいたい |
そんな俺を、叩き壊すために だから俺は、俺に妖怪をみせたんだ |
俺は |
生きたい |
生きて、みたい |
北本達に、俺が妖怪を見ることが出来る力があるという事を話して、そうして、今までとは |
違う関係が、俺と北本達の間に出来る世界を。 |
ただ、きっと、それだけだったんじゃないだろうか。 |
その世界を生きる勇気が持てなかった、のでは無く、ただ。 |
その世界を生きたいと、実感を以て思えるためのところに、まだ到達していなかっただけなんだ。 |
俺は、なにも悪くなかったんだ。 |
歩いていれば、どんなに遅くても、歩いていれば、それはこうして、至れたところなんだ。 |
努力も頑張りも成長も、必要無い。 |
なにもしなければなにも変わらない、ということは、無い。 |
なにもしなければなにも変わらない、と思うこと自体が、変化を、歩みを止めてしまうんだ。 |
なにもしなくていい。 |
俺の歩みを、邪魔しちゃいけない。 |
明日を、楽しみにして、暖かい布団にくるまって寝るだけで、それで充分なんだ。 |
明日の俺を |
明日の俺が、受け入れ受け止めてくれることを、信じて |
そうだな・・ |
自分のことは、自分で守る、それはそうだけれど、でもそれは、他人に守られてもいる自分、も、 |
その自分で守る自分のことの中に入っているんだろうな。 |
北本達の事は、北本達自身が守る。 |
俺が妖怪のことを話し、それでどうするかは北本達が決めることだし、そしてその事で変わっていく |
俺との関係を生きるのも北本達自身。 |
そして同時に。 |
その中で |
北本達が、なにを守り、どう守るのか。 |
それを決めるのも、実行するのも、北本達自身。 |
そうして動き始めた北本達のためになら、俺にも出来ること、してもよいことはあるんだろう。 |
『 ひとりでは、なんにも出来無かった・・・ 』 |
『 人とは、そういうものだろ。 』 |
『 でも、なにかが見えかけたよ。 |
すごく 勇気が出ること。 』 |
ああ・・・そうなんだ・・・先生 |
俺はきっと・・ひとりで全部やろうと・・・・全部ひとりで・・・ |
結局それは、俺が俺という唯一無二の存在を受け入れることが出来ていないからこそなんだと、 |
今は逆に思う。 |
俺が俺という唯一無二の存在であることを受け入れ、受け止めることが出来ていたのなら、 |
俺はその俺のままにどんどんと歩みを進め、そして変化を受け入れることが出来ていたはずだ。 |
だがそれが出来なかったからこそ、俺は、「変化しない」俺というものを創り出し、それを守れる俺に |
なるためにこそ、そういう俺に変わろうと、自分を変えようと努力し続けていたのだろう。 |
誰かに、なにかに、自分が勝手に変えられてしまうことに、ずっと脅かされていた。 |
俺はただ |
俺のままに、俺の力で、自然に変わりたかった、そのことをこそ、守りたかったんだろう。 |
そのために、無理矢理変えさせられてきた自分を、まず停止させるために、「変化しない」俺を |
作り、そこに自分を入れたのかもしれない。 |
その器としての、防御壁としての俺を育て、鍛え、成長させてきたんだ。 |
だから、俺が守るべきは、その器の中の俺で・・ |
そして、成長するべきも、器の俺では無く、器の中の俺なんだ。 |
器を磨き続けるだけなら、その中の俺は、ずっと未熟なままだ。 |
誰にも話せず |
誰かに自分のことを話して、そうして変わっていくその誰かとの関係を受け止められない |
人とは、きっと |
そうやって、自分のことを話して、どんどんと変わっていく誰か達との関係を受け止め、そして受け入れて |
いくことの中にこそ、その本当の、魂の成長を得ることが出来るんだろう。 |
それを阻害するものは、たぶん成長という名を被った、ただの見栄にしか過ぎないんだ。 |
だから |
安全に、なりたかった。 |
安全に、安心して変わっていける居場所が欲しかった。 |
無理矢理に強引に変えられる事の無い、成長を強いられない、そんな時間を生きたかった。 |
そのための、出会いだったのかもしれない。 |
俺は、俺を守りたい。 |
自然に、自分の速度で歩いて行く、俺を。 |
ああ |
きっと |
その俺を守ってくれる |
そんな人達と、妖怪達を、俺は求め、そして見つけたんだろう |
俺の歩みを、支えてくれる人。 |
俺を支えるために、俺のところまで戻ってきてくれた、その人の歩みを守るのは、俺じゃ無い。 |
俺は、その人に支えられている、その俺のことを守ればいい。 |
その人のことは、その人が守る。 |
そして |
俺が支えを必要としないとき、そのときもし、その人が誰かの支えを必要としていたら、そっと。 |
俺が、その人を支えてあげられたら・・・ |
きっと その人を支える俺の手は、誰にも縋らない、そんな逞しいものになっているのかもしれないな。 |
まぁ おまえのその逞しい手とやらは、えのきパンチくらいしか出来んがな。 |
・・・反論出来無いのが、ほんとに悔しいな・・・ |
◆ 『』内文章、アニメ「夏目友人帳 参」より引用 ◆ |