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◆◆◆ -- 2012年7月のお話 -- ◆◆◆

 

-- 120726--                    

 

         

                          ■■夏アニメはっじまっるよー♪3■■

     
 
 
 
 
 ごきげんよう、紅い瞳です。
 
 
 夏バテなのはすっかり私のお家芸もとい伝統芸なのですけれど、でもバテたりといえど、実は私に
 とって夏は同時に一年で最も元気一杯になる季節でもありまして、つまり、バテるんだけどすぐに元気
 になって調子に乗ってだからすぐバテるんだけど瞬間回復、っていうかもう色々わけわかんなくなってきた! 
 、みたいなもうなんというか、デススパイラル。
 
 わかりやすく言いますと、夏の開放感に染まりやすいのです。 (頭が)
 
 ・・・。
 夏は好きです。
 でも疲れます。
 ・・・。
 まだ逝ける。 (もう少し落ち着きましょう)
 
 
 
 ◆
 
 ということで、色々とよくないハッスルをキメ始めている昨今の私なのですが、皆様如何お過ごしですか?
 
 さて、今日は本当はアニメ「黄昏乙女×アムネジア」のSSをUpする予定でしたけれど、すまん、
 まだ終わってない、というか終わりがまだ見えないことがわかった、正直すまん。
 ということで、まだまだこれからが本番状態で、一向に書き終わらなくて、いましばらく更新はお待ち
 くださいませ。
 
 んー、ほかにも色々やることもあって割りと忙しいし、たぶん今月中に書き終わるのも厳しい状況。
 目標としては来月の上旬と呼べるうちくらいにUpしたいところですが、もうこうなったら更新速度より質を
 優先させたいと思いますので、じっくりゆっくりやらせて頂きます。
 一応、今回でラストというか完結という感じにするつもりですので、悔いの残らないものが書けたならば
 と思っています。
 お待たせして申し訳ありませんけれど、よろしくお願いします。
 
 
 で。
 次は、今期アニメ第一話感想の残りひとつの話をします。
 こんな感じでよろ。
 
 
 だから僕は、Hができない: なんだろう、この吸引力は。
 思ってたほどにはエロエロしくは無い、というかまぁ容赦無く脱げたり剥けたり揉んだりするんですが、
 例の黒い光でだだっと隠してしまうので、エロいというかもうなにが起きてるのかわからないというレベルで、
 まぁそれはほっといてもいいでしょ、みたいな感じで、エロは置いといて。
 んー、ストーリーにしろ設定にしろ、あまりにありきたりでひねりもなければ工夫も無い上に、突き抜ける
 ようなエネルギッシュなものも無い、自分でもなんで観てるのかよくわかんないんだけど・・・・
 なんかこう・・ヒロインのリサラがかっこいい。
 ん、かっこいいというのが適切かわかんないけど、べつに人格的に優れてるとか魅力的とかそういうわけ
 じゃないし、たぶん言動そのものじゃなくて・・・・なんていうんだろ、いわゆる外見を含む「立ち居振る
 舞い」が、こう、目を引くものがあるのよ。
 可愛いでも綺麗でもなく、さらにはカッコイイ系でもない、たんなる「かっこいい」。
 上品ってほどでも無いし、艶っぽいわけでもない、でもなんかこう、きびきびしてるというか、凜としてると
 いうのとはちょっと違う、なんていうのかなぁ、所作にメリハリがある、というのかなぁ、派手に動くわけでも
 ないし、でも首をかしげたり逸らしたりする角度が妙に自然にかっこいいというか、「適度」というか、
 なんだかほんと、リサラ観てるだけで自分の中のなにかがしなやかになるというか、うーん。
 背はそんなに高くないのに、なぜだかとてもすらっとしたスマートさを感じるというか、まぁうん。
 よくわかんない。 (投げるなよ)
 
 
 
 という感じで、今期第一話感想は終了です。
 そして今期視聴リスト。 決定版。
 
 
 月: ・(氷菓) ・うた恋い ・ゆるゆり2
 火: ・薄桜鬼3
 水: ・貧乏神
 木: ・もやしもん2 ・恋チョコ ・この妹 ・(戦コレ)
 金: ・じょしらく
 土: ・ソドアト ・コココネ ・僕H ・(アクセル)
 日: ・タリタリ ・(AKB) ・ホライゾンU ・DD2 ・信奈 ・イクリプス ・(へうげもの) 
 
                              :全21作品 ()付きは前期以前よりの継続作
 
 
 夏雪ランデブー・アルカナファミリア・人類は衰退しましたは、切りました。
 といいつつちょこちょこ観てしまうかもしれません、なんか今期はそういうの多くてw
 そして上記三作品と視聴意欲的には同レベルだけどリストに残すという、扱いの違いをみせたのが、
 僕Hと、タリタリと、イクリプス。
 この三作品は一応まだ観る予定ですけれど、途中で飽きて人知れず切っている可能性もありますの
 で、その際はご容赦を。
 
 
 今期はそうですねぇ、私の感性的には、じょしらく織田信奈の野望がぶっちぎりです。
 完全に意表を突かれたというか、完全な伏兵です、まさかここまで面白いとは思わなんだ。
 じょしらくの空気アニメ的ノリに加えて、ネタの面白さで深いとこまで抉ってきたとなれば、これを今期
 ギャグアニメのトップと位置づけるに異論は御座いますまい、御一同。 ←脳内会議中
 ということで、全会一致でじょしらく案は可決されました。 いえーい。
 速やかに施行致します。 (ぇ)
 
 織田信奈は信奈で、これまた萌え武将アニメが(史実的にという意味では無く)真面目に本気出して
 アニメをやるという、かつてないものを見せつけてくれていて、観ていてドキドキワクワクの連続で、もはや
 遠慮会釈無しに堂々と称賛の拍手を贈れてしまいます。
 こういうのが観たかった、という私の求めていた想像の産物とは別ベクトルで、ある意味最も期待して
 いなかった「正統派アニメ」(そんなもんはないですけどw)的な充実を魅せてくれているこの作品に、
 私は清き一票を投じさせて頂きます。 いやほんと、清いです。(なに)
 
 あとの作品は、まぁ似たり寄ったりのどんぐりですね。(ぉぃw)
 今期はやはり全体的に小粒な感じですし、上記二作品に関しても、普段なら二番手三番手の、
 ちょっと見所のある個性的な作品的な位置づけであって、魂全部持っていかれて思わず感想を書き
 たくなるレベル、では無いですね、私にとっては。
 ちなみにゆるゆり二期は別腹。
 ゆるゆりは、良いゆるゆりか悪いゆるゆりか、そのふたつにひとつしかありません。
 これは、良いゆるゆりです。 (微笑)
 
 あ、それとドッグデイズ二期もですね、良いんですが、割と良いんですが、ベッキーの変身シーンが
 気持ち悪すぎて呼吸するのが辛いです。(ぇぇww)
 いや絶対おかしいでしょあれwwなんで触手とか棒とか完全にエロアニメじゃないの!
 すごい気持ち良く爽やかで微笑ましいノリを楽しんでたのに、あれはきた、正直からだにきましたw
 もうやめてよーああいうの、誰得なのよ・・ってまぁ得する人はたくさんいるんだろうなぁ嫌だなぁ。(溜息w)
 
 
 とまぁ、そんな感じで今期も色々と楽しませて頂いたり溜息吐いたりしようと思っております。 (笑)
 
 
 
 ◆
 
 次、読書リスト−。
 
 既に読了したものから。
 
 西尾維新: 「化物語 上下」
 同上: 「偽物語 上下」
 松井今朝子: 「吉原十二月」
 大久保智弘: 「兵は詭道なり 『孫子の兵法』を大成した男 孫臏伝」
 
 正確にいえば最後の作品はまだ読み途中。
 最近松井今朝子を新規開拓したので、ほくほくだったりします。
 ちょっと表面的で、深いところまで抉っていく感じでは無いのですが、「語り」としては充分面白い。
 一人称の語りの面白さをかなり丁寧にやっている感じですね。
 
 西尾維新の二作に関しては、いずれ機会がありましたら感想を書きたいですね。
 今はちょっと時間無いので省略。
 でも一言だけ。
 し ぬ ほ ど お も し ろ か っ た 。
 お疲れ様でした。(微笑)
 
 
 京極夏彦: 「虚言少年」
 岩井志麻子: 「マカリーポン」
 坂東眞砂子: 「朱鳥の陵」
 同上: 「天狗小僧魔境異聞」
 長島槙子: 「吉原純情ありんす国」
 岩崎夏海: 「もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの『マネジメント』を読んだら」
 
 こっちはまだ手をつけておりませぬ。
 京極はんと岩井はんは私の書籍ワールドのレギュラーですので(?)、安心して甘えさせて頂きましょう。
 ふふ、デザート的にね、ふふ、一日の終わりにね、ふふ、ちょっとずつ読むんだぁ。 (うっとり)
 そして忘れた頃にもしドラきたる。
 ・・・どうしよう。(読めよ)
 
 
 それでは、今回はこの辺りにて。
 ほなー。
 
 
 
 
 P.S:
 忘れてた、冬目景「イエスタデイをうたって」最新第8巻を購読完了したのでした。
 感想に関しては、また後日機会がありましたら。
 でも一言だけ。
 生 き て て よ か っ た 。
 お疲れ様でした。 (微笑)
 
 
 
 
 P.S2:
 このたび、とある伝手をつたって、映画「けいおん」のDVDを入手する運びとなりました。
 来週くらいには手元に届く予定なので、その際には美味しく頂きます。
 感謝します。>私信
 
 そしてついでにその某伝手より、いつのまにやら全国のコンビニでおーいお茶首掛けフェア(?)として
 ストラップがきたヨ、という情報を入手し、速攻で唯ちゃん、あずにゃん、憂ちゃんをゲットしました。
 残り三名に関しては現在自粛中です。
 そんなね、もうあんたもそろそろフェアとかなんだかでコンプリートばっかりやってちゃ駄目でしょ、
 もうそろそろそういうのはね、そういうのは・・・・・・・・・・・・・・ (なにか言えよ)
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

 

-- 120717--                    

 

         

                          ■■夏アニメはっじまっるよー♪2■■

     
 
 
 
 
 ごきげんよう、紅い瞳です。
 一気に夏というかサウナになってきた今日この頃ですが、みなさま如何お過ごしでしょうか。
 わたしはもうだめです。 (ぉぃ)
 
 
 
 さて、今回は前回の今期アニメ第一話感想の続きをやらせて頂きますね。
 時間が無いので、さくさくっと始めます。
 では、早速。
 
 
 
 
 じょしらく: つまんねーこときくなよ!
 いやほんとつまんねーことをのんべんだらりとお喋りして30分終わりという作品なのだけれども、
 これはつまりそのお喋りの中身そのものが面白いかどうか、つまりネタの面白さ云々では無く、
 そうしてつまんねーことを脈絡なく徒然なるままに繋げていく、そういう「お喋り行為」の楽しさを味わう
 作品なのだと思います。
 話の中身では無く、話し方、テンポ、リズム、繋がり方、フリーダム、フリーダムかとおもえば割とそうきた
 かという絶妙な繋がり方だったり、あ、こいつら今なんも考えずにひらすらお喋り楽しんでんなおい、
 いいなこれ、みたいな、お喋りの楽しさを知っている人への共感を呼び覚ます感じでもある。
 いやだってお喋りの中身はほんとつまんねーものwほんとひたすらつまんねーこと喋り続けてるだけ
 だものwでもそのつまんねーことが気付けばあれよあれよと言う間にどんどん場を繋いでいることの
 面白さ、立派に「間」を持たせていることの凄味を感じさせてくれ、ああこれがこの作品のやりたい
 「落語」なのかなと、まぁ私は落語知らないんでてきとーに言ってますけれどw
 ボケとツッコミの掛け合いというものでは無く、ただその場にいる面々がおもいおもいのことをその場の
 空気に合わせて言い合う、まぁ要するにごく普通の場作り的、あるいはコミュニケーションとしてのトーク
 をそのまんま綺麗にやってる感じ。
 でもそれはたんに素人がぺちゃくちゃかしましく喋ってるだけのモノじゃなく、それぞれネタとして洗練されて
 はいたりするんですよね、まぁべつに面白いってほどでは無いんですけどw、一応それぞれ「話」として
 まとめられているから、これは聞いている方も楽しい訳で、たんなる内輪なガールズトークというわけで
 は無く、わりと開かれているというか、「誰でもわかる話」をチョイスしている、そしてそれを如何に楽しく
 聞いて貰うかという工夫、そこがこの作品の魅力のひとつだと思うし、だから逆にマニアック路線に
 行っちゃうと、たぶん一気に面白くなくなる気がしますね。
 だからラストの政治ネタはやりすぎだとおもうwそっちはやめとけってw
 うーん、最初観たときは微妙だったけど、観れば観るほどに、「話す」ということの芸を感じさせてくれる
 非常に素敵な作品であることが感じられるので、今期のお勧め作のひとつとしてご紹介させて頂きます。
 
 
 ソードアート・オンライン: なにこの臨場感。
 もし、現実というかリアルに自分の生き甲斐のようなモノや生きている手応えを感じられるなにかが
 無かったとして、そのときにネットというか仮想世界の中にそれらのモノがあったとしたら、果たして私達
 はどちらを自分が生きるべき世界と言えばよいのだろうか。
 その問いに対する答えは、たぶん保留というか、たぶん答える必要なんか無いんじゃないかな。
 この作品の主人公は、オンラインゲームの中で、ひとつひとつスキルを覚え、それが上達し、自分の
 身に付いていくこと、自分の努力が確実に結果として表れていく、まさにそのことに生き甲斐を感じて
 いて、だからそのオンラインゲームからログアウト出来なくなったりだとか(しようとするとリアルに死ぬ)、
 ゲーム内で死ぬとリアルでも死ぬ、というそういう話の流れ自体がこの主人公に「リアル」を与えている
 わけでは無いとおもう。
 ゲーム内で身につけたモノは、リアルに帰ればなんの役にも立たない、だからゲームよりもリアルが上、
 ではそのリアルに帰れなくなる、つまりリアルが消滅したとしたら・・・
 ゲーム内で身につけたモノは、そのゲーム内では確かに有効になるわけだし。
 でもこの主人公は、リアルに帰ることがまだ可能な段階から既に、オンラインゲームでの生活に生き甲斐
 を感じていた。
 その上で、リアルの消滅という事件が起きた。
 この作品の、凄まじい臨場感は、たぶんそういう順序があるからこそ、発生している気がする。
 これからゲーム内でガチのサバイバルゲームが始まるのだろうし、ゲーム内の諸資源の争奪とかも
 あるだろうし、そういうところに「リアルさ」を出してはくるのだろうけれど、でもこの作品のリアルさと臨場感
 は本当はそこには無く、ただその主人公自体の、自分が感じている生き甲斐の自己認証そのものに
 あるように私は感じました。
 別の言い方をすれば、「役に立つ」経験を積んでいくことのなかにしか、自分のリアルは無いと
 「思い込んでいる」自分からの解放ということでもあり、それは同時にこのゲーム内で「役に立つ」
 経験、すなわちサバイバルに役立つモノしか手に入れない、やらないという事からの脱却を、たぶん
 ひとつの成長物語として描いていくのかもしれません。
 リアルでふつーに役に立たないことばっかりやってる私は、ふつーにそうおもいますww
 
 
 ココロコネクト: うーん。
 なんでしょうね・・・これは
 一言でいうと、こう・・・・・・・・なんか、エロい。
 ・・・・や、自分で言っといて違和感バリバリなんですけど、でもそれ以外に言葉が思い浮かばない・・
 エロいっていうか、べつにおっぱいとかパンツとかフェチとかそういうのは全然無いし、むしろその辺りは
 完全に萌えエロ作品とは対極にあるくらいに、「綺麗」なんだけど・・・
 その上、なんかこう秘められたなにかとか、抑圧されてるリビドーみたいな、そういうのもむしろ全然
 無いんだけど・・・・
 なんだろう・・・このエロさは・・・・・・・いやそもそもこれはエロいって言うんでしょうか・・・・
 ・・・今、結構感想書きとして自信を失いかけてるんですけどもww
 うーん、前に誰かが文系少女のエロさ、みたいな事を仰ってて、わかるようなわからないような感じだった
 ですけど、これはそういう系なのかなぁ、うーん、男子も女子も両方こう、エロい、ああもう、エロい!
 ・・・・だいじょうぶか、わたしwww
 なんかエロいエロいって言ってたら変なエンジンかかっちゃって止まれなくなってるだけじゃないの?ww
 一応胸もみとか短パンチラとかあるんだけど、そこはかんけーないんだよねぇ、うーん・・
 ある種、「生々しい」のかなぁ、男子女子の距離の取り方とか、あんましアニメ的でもドラマ的でも
 ないっつーか、って言われてもべつに実際にああいう感じにリアルの高校生がやってるとは思わないけど、
 その「距離感」だけを抽出して空気として抽象的に描いてるのかな?
 みんなそれぞれエロいんだけど、とりわけあのサバサバした女子(cv.沢城みゆき)が一番エロい。
 一方的に告り続ける男子と全拒否し続ける女子のあのままどうにかなっていきそうな感じとかエロいし、
 おちゃらけ脳天気女子と主人公っぽい男子のあのままどうにかなっていきそうな感じとかエロいし(ぉぃw)、
 で、ひとりだけそういう関係性が無いんだけどみんなの中心でサバサバと切り盛りしてて、クールだけど
 熱くて、真剣な熱さと険のあるクールさがあるあの女子がやっぱり一番エロい。
 うーん・・・・たぶん、この作品の「エロさ」は、表面的な微コントなノリがあくまで表でしか無くて、これが
 それぞれのキャラの「内面」がきっちりあることを予感させる、そこの淫靡さにあるのかもね。
 ただそれは「表」と「裏」という、単純な「裏」を隠蔽するための「表」というわけじゃなく、裏表ともに
 等価値等位置であって、表も裏もキャラの一側面にしか過ぎ無い、という感じにみえる。
 ある意味この作品はだから、誰かと本音言い合って変わっていこうとか、そういう「関係性」の物語では
 無いし、個別に完結完了していく物語になっていくのかなぁ。
 ・・・エロいって言っちゃったから訳わかんなくなってたけどw、この作品は要するに、言ってみれば、
 「自分が自分であること」をただ表面的には騒がしく、けれど静かにしんしんと描いていくモノなのに
 なりそうですし、その辺りの幅のあるしなやか感じが、エロい、というよりまぁセクシーっていうことになるの
 かな?、ひとりの人間としてきっちり立っているその強さにまぁ、私は感じているのだとおもいます。
 ・・・・たぶん。 (ぉぃw)
 
 
 織田信奈の野望: 夏風の煌めき!
 武将萌えキャラ化作品は私の好みとするものですが、この作品は今までの作品とは少し毛並みが
 違うようですね。
 別に史実に忠実とかそういう訳でもない、というか一応そういう風に作り手は意識してる部分はあるの
 かな?、でもその「史実」が某有名歴史ゲームの「知識」準拠っておいw、推して知るべしという
 ところでしょうw
 だからこの作品は別にそういう今更な作品ではそもそもない。
 でも、この作品の最大の魅力は、武将の「思考」そのものにある。
 私達が戦国武将のそれぞれの思考、それは思想と言い換えてもよいですけれど、それらに対して
 抱いているイメージを、実に的確に、そしてなによりそれをメインに据えてはっきりと描いている、それが
 この作品の最大の特色であり、また最大の魅力。
 織田信長ならぬ信奈の、あの「信長」を彷彿とさせる思考、思想。
 世界を見据える戦略的発想、うーん、熱い!、いやこれはほんとこの大将に天下取らせたいとか
 マジ感じたものわたしwww
 他の要素はすべてそこに行き着く感じになっているし、その信奈の思考思想を真摯に、そしてストイック
 に描き出した点は、まさに見事の一言に尽きるし、そこを描くためなら他のことはべつにまったく別方向
 の方針でお遊び心満載で描いているのも、好感がもてる。
 物語としてしっかりとしているわけでもないし、細かいところでは笑えるほどにツッコミどころはあるけれど、
 それ自体がお遊びとして、同時に「余裕」として感じられもするし、それはある意味信奈の思考思想
 自体の作品内に於ける位置づけとしての「謙虚さ」にも繋がっている気がしますね。
 「信奈の思考思想」といういわばひとつのコンテンツを絶対として、他の要素それ自体の価値を貶め
 たりするようなことをしない、私は私で真摯に真ん中で派手にやるけど、あんた達が他でなにしてようが
 私は関知しないわよ、というような、そういうラフさ、それが逆に信奈の真摯さと誠実を際立たせる
 ようにも感じられる。
 だから、最後に蝮の道三に至れり尽くせりで認めて貰える、あのときの信奈の嬉し涙がこう、ぐっと
 来るっていうか。
 つーか私も道三だったら、絶対信奈に跡つがせたいって思うもんw、自分の夢を継げる相手にこそ
 継がせたいという本懐、最後に素直になれたってああもう、またツンデレかよこんちくしょう!ww
 とある思考思想、或いは「正義」を絶対として他を圧するという、そういう歴史モノにありがちな不快さ
 が無い、非常に謙虚で爽やかなものを持っているこの作品に対して、私ははっきりと好きだと申し上げ
 ます♪
 そして同時に、戦国の息吹、安土桃山の風を彷彿とさせる、すなわち「世界の中の日本」を感じさせ
 る開かれた戦国を描き出していて、その雄大さとそしてぞくぞくするような興奮はこの作品独自のもの
 と言ってもよいでしょう、観ていて非常に引き込まれるような魅力を感じます。
 あと特筆すべきは、この作品は近年稀に観る画的ハイクオリティを誇ります、というところ。
 豪華どころか絢爛ささえ感じられる出来映えですので、是非その辺りにもご注目を。
 
 
 境界線上のホライゾンU: 好きにぶっぱなせ!
 設定や用語などの一切の説明が無いのはいい、いやむしろ望むところです、問題無い。
 受けて立とうじゃないですか、作品の本質を見つけたりキャラ性を楽しんだりする事で、真っ向から
 一文字ずつ完全読解するというやり方を読み飛ばし、イメージで人間関係などを把握可能なスキル
 を持っている(自己申告)私からすれば、実に鑑賞し甲斐のある作品じゃあないですか、説明なんか
 いらんのです。
 でもね。
 最初から最後まで、主人公男子が全裸とか。
 ・・・。
 ごめん、それだけは説明するか服を着て頂戴wwwwwwさすがになにかを突破された気分だよwww
 あーもう、この作品のこれでもかという圧倒的な情報量というか物量、けれん味というよりはいわば
 中二病を衒うこと無くやり切っていく感じは、清々しいという以前に、ただただ圧倒的に振り回される
 感覚が心地良い、まさにジェットコースター!
 で、そのジェットコースターのコース上に、脈絡無く意味不明な全裸男が参上!!
 最低なんだけどwww笑っちゃうっていうか意味不明過ぎて笑っていいのかわかんないレベルなんだけどw
 この作品は独り善がりとか内輪向けとか説明不足とか、そういうのとは関係無く、ただただこの「勢い」
 にこそ、私は魅力を感じました。
 なんかわからんけど、すげーみたいな、細かい分析も理解もいらん、ただ感じろ!、そして全裸男を
 見なかったことにしよう!(マテw)
 どーせ原作だかなんかで設定の説明とかあるのだろうし(あるよね?w)、そういうのが気になる人は
 調べればいいし、逆に自分で固有名詞の表を作ってそれぞれの意味を独自に解析してみるとか、
 そういうひとつの謎解きとしても楽しめるだろうし、単純に好きなキャラ見つけて萌えに走るもいいし、
 そういう意味で見たい人の見たいように楽しめる要素として、いわば情報的物量戦を仕掛けてきた
 作品というのは、近年稀に見る作品ですし、こういうのは大歓迎ですね、わたしゃ。
 今のとこキャラ的に興味あるのは、あの軍師っぽい子(正純だっけ?)と、弓矢巫女の人(浅間)。
 ・・・つーか浅間様は射てるで吹いたw同人誌wwwなんだこの作品wwどんだけぶっ込んでくるのよww
 
 
 DOG DAYS': ほんともう、愛おしい!
 あーもう!
 可愛いなぁもう!
 なんでこう、楽しそうにはしゃいでる子達って可愛いんだろう!ww
 戦争がただの興行で、国同士を挙げて格闘系アスレチック大会とか、そして各チームに勇者召喚とか、
 これもう平和とか以前に、ああもう、ほんとうにもう、私が望むモノってこういうものなんだよねぇというか、
 どうしてもどうやってもそれがわかってしまうというか。
 戦争の悲惨さとかリアルとか、それを軽んじるとか無視するとかそんな事は関係無い以前に、それは
 それとして別に横にしっかり置いておいて、じゃあもしあなたがリアルとか関係無しに、ほんとうに求めて
 いる「戦争」ってなにと問われたら、私はまずこの作品の在り方を望むと答える。
 自分のやりたいことをやりたいように、そしてあんなにも楽しそうに華々しく、ああもう、ああもう、観てる
 こっちまでウズウズしちゃうよ!w
 大会に参加する者、召喚される者、主催する者、観戦応援する者、それぞれが皆、「戦」を通して
 自らのやりたいことを提示し、相手の示したものを受け入れ、互いの利害の一致を見出すことの中に
 こそ力と知恵を使う。
 綺麗事も理想論も必要無い、勿論無用な生真面目さや罪悪感もいらない、ただ自分の欲望に
 素直に、そしてその責任を取っていくことにこそ、当たり前の平和はあるよと、ただあっけらかんと描いてる。
 戦いとは遊びである、という言葉をまさに体現している、この堂々さがこの作品の最大の魅力だし、
 ひとつの覚悟でもある。
 自らの欲望の責任を果たさず、他者を使ってそれを果たそうとするとき、遊びなき殺戮だけが始まる。
 第一話では、徹底的に「戦」という興行の楽しさを追求して、それぞれのキャラ達が精一杯生きている、
 その様を実に茶目っ気たっぷり、そしてなにより大人の中にある子供っぽさとしての「純真さ」をてらい
 無く描き切っている様は、ああもう、抱き締めてあげたいほどに可愛い!魅力的すぎる!
 無意味無用な争いを起こさないための工夫と努力の結実を、平然と毅然と魅せてくれる、ああもう、
 その紳士淑女な思想、もとい生き方そのものが、この作品を観る者に興奮を与えてくれるのよね。
 勇者シンクの好男子っぷりは、なんだか萌えを通り越して燃えを感じてきたくらいwあれはほんとは
 さわやかで人当たり良くて共感力が高く素直で適応包容力もある、まさに少年的萌え少年なんだけど、
 その徹底ぶり自体がもう燃えw
 そして閣下!レオ閣下!かっこよすぎ!熱すぎ!そしてこの御方のデレこそ最萌え。
 ・・・なんなんだこの作品は・・(おまえがなんなんだw)
 それプラスに第三勢力としてリスっぽいロリ王女(cv悠木碧)参戦って、もう、期待値高すぎて鼻血
 出そう。(ぉぃw)
 
 
 薄桜鬼 黎明録: うわ、ウザ!
 礼儀の押しつけ反対!(ぉぃw)
 言いたいこともやりたいこともあるんだけど、ほとんど言い掛かり同然で色々押しつけて主人公イジメ
 てるのはどうなのよ。
 芹沢陣営も近藤陣営もどっちもどっちだよあれはw
 ふつーに助けてふつーに世話してふつーに帰してあげりゃ良い話なのにw
 基本この作品はとある「正義」なりなんなりを絶対として、それを自分にも他人にも押しつけお仕着せ
 て、どうにもならないところに陥ったことを悲劇だの美だのという、巫山戯た武士道をキャラに語らせ
 つつ、実はそのキャラ自身が自分も他人も関係無く、ただひとつのものにすべてを込めていく事の
 生き様を描いていく作品だとおもうのだけど、あー、やっぱりまたリセットして第一話に戻って、
 好感度やらなにやらがゼロの状態で改めて観ると、くあー、むかつく、どいつもこいつもすごいむかつくww
 そういう押しつけだかなんだかに反発して、逆に反発することに執着しすぎて自分が見えなくなっている、
 その主人公が、色々押しつけてくる輩そのものは、自分を見失うことなく力強く生きていることに
 気付き、そして自分に戻っていくことで成長し、他の輩と肩を並べるかまたその輩を別の視点からみつ
 める立場になるか、そういう話になるのだろうし、それでいいし、それ自体は拍手なのだけどむかつくww
 いっそ一番堂々と陰険ぶりを発揮した沖田さんが清々しいwww
 まぁでも、この「むかつき」こそが今の主人公のまごうことなき感覚な訳で、そこから出発して、男共の
 中でもまれて成長していく姿を見るためには必要なことなので、今は存分にむかつかせて頂きますww
 この時点で変にキャラ達の内面を妄想想像したり理解したりして受け入れちゃうと、逆に小さくまと
 まって大人ぶってるだけみたいな感じになってしまうとおもうので、ここは純粋な主人公の怒りのままに
 進んでいってくれるとよいですな。
 確か前作の序盤もぷんすかしてたんよね、わたしww
 「武士がなんだってんだ、武士なんてくそくらえだ!」by主人公
 その言葉を吐けた主人公にこそ真に必要な成長とはなにか、そういうものになることを期待。
 
 
 
 というところまででしょうか、今回は。
 あと視聴予定作は一作品のみなので、次回辺りでその感想を書いて視聴リストの決定版を
 書けるかもしれません。
 が。
 昨晩ちょっと寝る前にチラ見したコレが想像を絶して面白かったので、どうなるかな!
 想像を絶してというか、想像していたモノが悪すぎていただけですけどwふつーにおもしろかったのよw
 
 
 ということで、今回はこの辺りで。
 
 それでは、また。
 ごきげんよう。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

 

-- 120712--                    

 

         

                          ■■− しあわせになりなさい −■■

     
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 − 紫色に染まる夕暮れに 抱かれて
 
 
 胸にね、手をこう、そっと当てるとね。
 とく とく とく    − 紅く響く
 私は死んでるから、鼓動なんか聞こえるはずないんだけど、でも、胸に当てた私の掌には、
 なにか暖かいものが伝わってくる。
 暖かくて、柔らかくて、それでいて少し尖っていて、ちょっと機嫌を損ねるとがぶりと噛み付いてきそうな、
 そんなね、やんちゃななにかを感じるの。
 あったかい
 おそるおそるそれに触れている割には、結構だいじょうぶ、安心して、そっと胸に掌を預けられる。
 だいじょうぶ、だいじょうぶよ
 そう語りながら、優しく胸を撫でるその私の掌の方が、なんだかほっとする。
 あったかい
 撫でながら、ほっとして、もっと強く抱き締めてあげたくなるような、気持ち。
 
                            −だきしめて だきしめられて
 
 元気ねぇ、わたし。
 よしよし、今日もわたしはだいじょうぶ。
 不思議よね、わたし、幽霊なのに。
 なにがだいじょうぶなのか、そんなこといくら訊かれても答えられる気がしないのに、それでも私は、
 どうしてもだいじょうぶだよって、自分に言う。
 言って、あげられる。
 ううん、言いたいのね。
 ほっとけない、というより、気になるのよ。
 毎日、毎日、時間が流れて、私はただここにこうしていて・・
 誰も私をみてくれない、誰も私に気付かない、誰も、わたしを・・・
 震えてるのね、わたし。
 でも、その震えを押さえるために、なにかを我慢して自分を押さえつけるように抱き締めるなんて、
 そんなことはできなかったし、したくなかった。
 わたしは、わたしに触れていたかった。
 だいじょうぶ、だいじょうぶよ、あなたにはわたしがついていてあげるから。
   
      − だって だれも  わたしを
 
 その言葉に、その自分の言葉にどれだけ癒されていたのかわからない。
 うん、その言葉を発しているのは私なんだけど、でもその言葉を発しているわたしこそが、一番癒されて
 いた気がするの。
 自分で自分のことをだいじょうぶと言う、そして同時に自分にだいじょうぶと言わせる。
 ああでも、私は、だいじょうぶって私に言われたかった訳じゃないんだろうなぁ、私はただ、私こそが
 だいじょうぶと言うことこそに、たぶん一番救われていた気がする。
 べつになにか特別なことをしていたわけじゃ無い、自分を慰めるためでも自分を鼓舞するためでも無い、
 ただ、だいじょうぶよと、その言葉、その単語をこの唇から飛び立たせる事だけに意味があるような、
 そんな感じだった。
 
  たぶん  きっとそれは 
                わたしの知らないところで
 
          わたしのわからない形で  効果を発揮していた 私の行為だったんだとおもう
 
                                          − そう 必死に 信じて
 
 
 貞一君の姿が見えなくなったとき。
 私ね、嫉妬したのよ。
 誰にって、それは霧江にかしら。
 不思議とあの小此木という子には、そういう感情は起きなかった。
 んー・・たんに味噌っかす扱いにして見ないことにしていただけなのかもしれないけど。
 とにかく、たぶん私は霧江に嫉妬してた。
 だって、霧江は貞一君の姿が見えるのよね? 勿論生きてるんだから当然よね。
 そしてその上、あの子には私の姿もきっと見えているのよね?
 ズルい! ズルいじゃん!
 なんで私だけこんな風になっちゃうのよ!
 きっとこんなこと、誰が聞いても滅茶苦茶だって思うのかもしれないけど、私はそう思ってた。
 私の言ってることが滅茶苦茶かどうか、そんな事はでもどうでもよくて、私は同時に、その霧江への
 嫉妬なんていうものが、自分の口から出任せだというのも感じていた。
 ただたんに、貞一君に見て貰えている子達のすべてが羨ましかっただけ。
       
         − 言ってみただけ
 
 霧江である必然性は無い、ただの八つ当たり。
 私も、おんなのこなのに。
 死んじゃったけど、もうあれから何十年も幽霊になってこの学園の中を彷徨っているけど、
 でも、私は花も恥じらう女学生なのよ。
 みんな、教室の席について、静かに授業を聞いている。
 みんな結構真面目なのよね、私達の頃はどうだったかしら・・・・・・覚えてないわね・・・
 貞一君の席の隣に、座り込む。
 貞一君が座っているはずのその机の上では、鉛筆が宙に浮いて、ノートには文字が勝手に刻まれて・・
 居るのよね、貞一君は。
 その見えない貞一君の姿はでも、みんなには見えているのよね。
 
 私だけに、見えないのよね。
 
 貞一君が幽霊になったみたいと、最初は思ったけど、全然違った。
 徹頭徹尾、幽霊なのは私だけだった。
 私だけ、特別。
 私だけ、みんなと違う。
 私 だけ
 
 それは怖いようでありながら、落ち着きを得られるものでもあった。
 私には、見えるはずなのに。
 貞一君を見ないようにしているのは、私なのよ。
 わたしが・・・私が・・・悪いのよ・・・
 
 
 そうやって・・
 そうやって・・・
 私は、自分をわかりやすく責め続けていた。
 一体どれくらい、それを続けているの・・
 わたしは・・
 私は・・・
 がんばってるのよ・・・
 これからも頑張り続けるわよ・・・・
 でも
 でも・・・
 
 
  たすけてって
 
     言っちゃ     駄目なの・・?
 
 
 
 
 
                          − だれも わたしといっしょに いてくれないの?
 
 
 
 
 +
 
 この胸の奥の空洞で、泣いているだれかのために、抱き締める。
 辛くて、苦しくて、その抱き締める力が、首を絞める力にさえ変わっていく。
 何度も、何度でも、その泣きながら怒りに震えている誰かのことを、忘れようとした。
 忘れて、でもその記憶が消えることなんて、無かった。
 何度忘れても・・・・何度でも・・思い出して・・・
 思い出すたびに、わたしは・・・・こわくて・・・・またこの子のことを・・・忘れなくちゃいけないだなんて・・
 私の中のだれかを愛するたびに、それは殺意に変わっていく。
 あなたなんて、消えればいいのよ!
 でも、消えて欲しいと願うのは、私がその子を殺してしまうから。
 殺したく・・・なかった・・・死んでなんて欲しくなかった・・・だから・・・だからわたしは・・・わすれて・・・
 ひとりぼっちのわたし
 わたしはひとりで、あの子を置いて、わたしはこうして、ずっとずっと、ここに居続けて・・・・
 笑って、笑って、ひとつでも多くの楽しさを感じるために
 あの子のために、楽しさを感じるために
 思い出しちゃ駄目
 でも消えてなんて欲しくないの
 お願いだから 大人しくしていて
 わたしが、私がなんとかするから
 お願いよ、だから出てこないで
 おねがいよ・・・
 あなたは・・私なんかじゃ無いんだから・・・
 頑張るのは・・私だけでいいんだから・・・・
 
 でも
 そんなこと言えなかった
 私はただただ、あの子を恐れた
 私はいつのまにか、誰のためにこうしてひとりで頑張り続けていたのかがわからなくなっていた。
 私はただ、あの子を幸せにしたかっただけなのに。
 ずっと、ずっと、笑顔で、ずっとずっと、この世界の美しさを感じ取れるようになるために。
 あの真っ黒で、死にたくなるほかには誰か呪うことしか出来なかった、あの地獄がすべてでは無いことを。
 それを、あの子に与えるために。
 でも気付けば私は、あの子の真っ黒な怒りに満ちた世界を、否定することしか出来なくなってしまって
 いた。
 あの子を否定することでしか、私はわたしでいることが出来なくなってしまっていた。
 どうして・・・なんで・・・・なんであなたは・・・
 怒りがこみ上げてくる。
 いや・・・いやよ・・・・近寄らないで・・
 私は・・・あなたなんかじゃ無いっ!
 
 真っ黒なあの子を憎むようになった。
 許せないようになった。
 あなたさえいなければ、そもそもわたしは幸せになれるのに。
 こうやって笑顔で、楽しくて、美しい世界を楽しめるのよ。
 あなたさえ、あなたさえ・・・・・
 それは激しい攻撃。
 繰り返される忘却。
 しがみつく。
 あの子の存在を忘れることに、しがみつく。
 
 とくん
 
 そんな私への怨みと怒りが、胸の奥から沸き起こる。
 闇よりも青く迸る、その叫びと嘲笑は私の喉をカラカラにするほどに燃え盛る。
 笑わせるわね、あなたは私じゃないの、綺麗になったのはあなたじゃ無い
 あなたはただ、綺麗なモノを手に入れただけ。
 あなたはその、綺麗なモノそのものじゃ無い。
 あなたは、あなた。
 あなたは、そして私。
 綺麗なモノを手に入れただけのあなたが、どうして醜い私を消そうとするのよ。
 私だって、醜いモノを持っているだけの、私なのに。
 私は、醜いモノそのものじゃ無い。
 私は、私。
 私は、そしてあなた。
 私達自身に、綺麗も醜いも無いのよ。
 綺麗なモノと醜いモノ自体にも、優劣などありはしない。
 笑わせるわね。
 あなただけが特別だなんて、よく言ったものね。
 私は苦しみを感じているあなたそのもの、あなたは楽しさを感じているわたしそのもの。
 
 
  見えないのは
    はじめから    お互い様よ
 
 
              − ただ さびしくて  どうしようもないくらいに さびしくて
 
 
 轟々と血のように燃え上がる黒い影が、私の胸の奥から飛び出してくる。
 私の目の前で、延々と、未来も無いほどの勢いで、永久に呪いを撒き散らす。
 血に濡れた紅い瞳から、さらさらと清水のように黒い涙が清冽に流れている。
 ゆるせないわね
 わたしは苦しいのよ、だから呪い続けるのよ。
 でも、呪い続けることそのものが、苦しいのよ。
 苦しくて、どうしようも無くて、呪うことしか出来なくて、気付けば呪うことでしか私はわたしでいられなく
 なっていて。
 それは、あなたと同じでしょ。
 あなたも。
 苦しかったのよ。
 明るく、楽しく、笑顔で、それが辛くないなんて、言わせないわ。
 その辛さを感じていながら、どうしてあなたはまだ笑おうとするの?
 なぜ私は、呪い続けなければいけないの?
 ねぇ どうして?
 どうしてあなたは、助けを求めてはいけないだなんて、思っているの?
 どうしてわたしは、ゆるしてはいけないだなんて、思っているの?
 憎むことしか出来ないなんて、怨むことしか出来ないなんて
 笑うことしか出来ないなんて、楽しむことしか出来ないなんて
 それ自体がもう、地獄よ。
 わたしは孤独だった。
 ひとりが寂しかった。
 でも、そのことよりも、私は怒り呪うことに囚われた。
 
 だって   あなたが 私を否定するから
 
 あなたが私を忘れようとすればするほど、私はあなたへの呪いにしがみつく。
 あなたを私に振り向かせるためになら、いくらでも怒りに染まってあげるわ。
 
 
            - そして   笑い続けるのね
 
 
 

 
 
 
 真っ黒に輝く私が、泣いている。
 ゆらゆらと影のように揺れている私が、泣いている。
 泣いて、叫んで、怒って。
 私は、この子を救いたかったのよ・・・
 貞一君・・・・ていいちくん・・・・・
 わたしは・・・
 私は、目の前のこの真っ黒な自分に、怒りを感じていたのよ・・・
 今まで私は、怒りなんて感じなかったのに・・・
 この子に消えて欲しいと思うだけじゃ無く、この子に憎しみを感じ始めてさえ・・・
 貞一君に・・見られたくない・・
 この子を許せなかった。
 ひどい怒りの感情が、影のように揺らめく、その目の前の私の姿を切り刻んだ。
 消えて! きえて! いますぐ貞一君の前から姿を消して!!
 もう、私の中に生まれた、このどうしようもない怒りの感情を消すことなんて、出来なくなっていた。
 もうこの子のためも無い、ただただ、ただただ、激しい怒り。
 そして・・
 その、私の激しい怒りに対してこそ
 ほんとうの
 真実の
 
 私の 真っ黒な怒りが 叫んでいた
 
 
 
 目の前に  映し出されたのは
 
            まぎれもない
 
                       怒りながら だれかを必死にもとめている わたしの姿だった
 
 
 
 
 なにもかもを壊してしまう、憤怒の形相。
 こわかった
 私のこの姿が、なにより私はこわかった
 壊せるわけ、なかった
 怒っちゃだめ、憎んじゃだめ    − 甘えちゃだめ
 そうして わたしは
 わたしのせかいに みずから 囚われたのよ
 その世界は、絶対に壊せない
 だって
 私が、壊そうとしないんだもの
 だって
 それを壊しちゃったら わたしの居場所は無くなってしまうとおもっていたのだもの
 どんなに
 どんなに怒りを感じても どんなに辛くても 苦しくても
 わたしは
 そのせかいのため
 わたしの  かんじょうを
 
 
 わたしは あなただったのね
 
   あなたはほんとうに   わたしだったのね
 
 
 目の前の真っ黒に伸びた、私がいる。
 それは、私。
 私が、泣いている。
 泣いているのは、私。
 それなのに、私は泣いている自分が世界のためにならないと言って、殺そうとした。
 忘れようとした。
 あんなに苦しかったのに、辛かったのに、悲しかったのに、悔しかったのに、許せなかったのに。
 その私の混然としたすべての感情こそを許せなかった。
 それは、その感情があることで私が生きるのが許されないと思っていたから。
 誰も、私を受け入れてなんてくれないとおもっていたから。
 私の感情を抑えることなんて出来なかった。
 なんとかバランスを取って、上手くやろうと頑張ってもきたのよ。
 でも でも
 ずっと ずっと 私はそうする覚悟だってあったけど
 でも
 でも
 それをずっと
 ずっと
 
 ひとりで続けていくだけだなんて
 
 さびしかったのよ
 私の頑張りを誰かに見て貰いたかったのよ
 ずっとずっと見て欲しかったのよ
  − そばにいてほしかったのよ
 頑張ってるねって言って欲しかったのよ
 あなたはよくやってるよって言って貰いたかったのよ
  − ぎゅって だきしめてもらいたかったのよ
 わたしは、わたしは  わたしはっっっっ!!!
 辛かったのよ!
 ひとりぽっちで、ずっとただ頑張り続けるだけのことが辛すぎたのよ!!!
 ほんとにそれは、ひとりでずっとやり続けるしかないことなの?
 誰かに手伝って貰えることではないのかもしれないけど、でもだったら、私がやってる事を誰かが
 見て、受け入れて、褒めて愛してくれることを求めているのはいけないことなの?
 
 ねぇ どうして
   わたしは  ひとりじゃ生きていけないの?
 
    ほんとうは ひとりでなんて 生きていきたくないのに
 
 
  それなのに  だれもいないの
  だれもわたしをみてくれないの
  だれもわたしにふれてくれないの
  どうして?
  わたしが わたしひとりでちゃんと生きられないから?
  わたしがみんなにすがってばかりだから?
  わたしがみんなにしがみつくことしかできないから?
  だから がんばってるのに  ひとりでも生きられるように  こんなにがんばってるのに
 
   どうしてわたしは、ひとりじゃ生きていけないの?
   ほんとうは、ひとりでなんて、生きていきたくないのに
 
 貞一君がみえないの
 だからノートにわたしの想いを書いたの
 貞一君が返事を書いてくれた
 うれしくて うれしくて 私はじぶんの手形を書いて
 きっとそれに 貞一君は触れてくれている
 わたしはそして、私の書いた手形に触れる
 あたたかい
 ただただ
 あたたかい
 ありがとうという言葉が 溜息のように零れていく
 それで充分
 それで満足
 充分なのに
 満ち足りているはずなのに
 
 
   どうして  涙が  止まらないの
 
 
 満たされれば満たされるほどに、なにかが飢えに目覚めていく。
 『さびしいよ・・・つらいよ・・・・』
    『だれか・・・・たすけて』
 私はこの自分の気持ちを、叫びを、ずっとただひたすら押し殺していた。
 ずっと・・誰かにしがみつくか、誰かを拒絶するか、それしか無かったわたしが・・・
 誰にも見られることも触れられることも無い断絶した世界にいたわたしが・・・
 貞一君に、出会った。
 頑張った、としか言いようが無かった。
 貞一君にしがみつかないように、貞一君を拒絶しないように。
 うれしかった・・そのバランスを上手く取れて、きちんと正しく距離を取って貞一君と付き合えたことが
 誇らしかった・・・そんなわたしが・・・
 でも・・その嬉しさと誇らしさが・・・ううん・・・・・貞一君がそこに存在していることそのものが・・・
 私の、扉を開いてしまった。
 
 − この人なら −
       − ずっと 私と一緒にいてくれるかもしれない −
 
  − どんな私でも 受け止めて  受け入れてくれるかもしれない −
 
 
 恐ろしかった
 こわくて こわくて ひきさかれそうだった
 駄目、だめよ、出てきては駄目よ!!
 拒絶するしか無かった。
 一度私は、貞一君を拒絶した。
 でも貞一君は、そうして貞一君から離れて忘れようとする、そんな私を抱き締めてくれた。
  − みてくれた  さわってくれた   だきしめてくれた
 わたしは・・
 だから・・
 もう貞一君を拒絶しないって、またもう一度頑張ってみようって・・・おもったのに・・・
 私の中の、真っ黒なわたしの叫びは、とどまることを知らなかった。
 どんなに私がその叫びを抑えようとしても、どんなにその叫びを拒絶しないように受け止めても・・・・
 止められなかった・・
 バランスなんか取れないまま、止めようとした分だけ、どんどんおかしくなっていって・・・
 貞一君の姿が見えなくなってしまった。
 貞一君を見たいのに見たくない。
 貞一君に見られている、そんな自分を感じたくなかったから。
 それは拒絶、でもそれは同時に・・・・きっとそれは・・・
 私が、より強く貞一君を私に縛り付けるための、私の策略・・・
 わたしに・・・
 怒りを・・・怨みを・・・・より深く・・・自覚させるための・・・・
 
 
 
 
 
 
    +
 
 
 わたしは・・・わたしはずっと。ずっと!!!
 悔しかったのよ!
 悔しいとおもうことすら許されないことが!!!
 怒りを、怨みを、憎しみを、悲しみを、どうしてずっと我慢しなくちゃいけないのよ!!!
 我慢するのが悪い? ちゃんと自分で分別して、バランス取ってやっていけばいい?
 やってるわよ!!!!!
 ずっとずっとそうしてひとりで頑張ってきたわよ!!!!!
 でも
 でも
 上手くできないのよ、どんなにやってもやり続けても、どうしても続かないのよ!!
 だったら我慢して、切り捨てるしかないじゃないっ!!
 逃げちゃいけないの? わたしは生きてるのよ! 上手く出来なくても今ここにいるのよ!!
 
 
 
   その私の、今この瞬間の私こそのしあわせは、一体どうすれば手に入るのよ!!!!
 
 
 

だれもたすけてくれないんなら

 

私しか いないのなら

 
 
 

全部忘れて 全部笑い続けるしか 無いじゃない!!

 
 
 
 
 目の前の真っ黒な私が、私の言えなかった言葉を代わりに叫んでいた。 
 呪って、呪って、呪い続けて、ひとりで呪い続けなくてはいけない悲しみを、叫んで。
 黒く輝く私は、どうしようもないほどに、頑張っていたのよ。
 呪って、呪って、ひとりで呪い続けて、恥も外聞も無く、世界を壊してひとりぽっちにされるかもしれなく
 ても、それでも。
 叫び続けていたのよ。
 自分の、気持ちを。
 苦しさを、辛さを、悔しさを、悲しみを、ずっと、ずっと、絶えることなく、諦めることなく、ずっと。
 辛すぎる・・わよ・・
 私にはわかるわよ・・・ええ・・・・わからないわけ・・・ないわよ・・・・
 わたしだって、わたしだって、幽霊なのに! 
 もう人間でもなんでもないのに! 周りの人から見てさえも貰えないのに!
 でも絶対に、諦めなかったのよ!
 わたしは・・
 わたしは・・・・・
 
 やっぱり
 
  やっぱり
 
 
 
    だれかにみとめてもらいたかったのよ!!
 
 
 
 どんなに醜い姿を晒しても、自分の気持ちを叫び続けてきたことを!
 どんなに綺麗な姿を魅せても、自分の願いを叫び続けてきたことを!
 その気持ちを受け入れるのは私自身なのかもしれない、その願いを叶えるのも私自身なのかも
 しれない。
 それはそうなのかもしれない。
 でも!
 それだけじゃ、足りないのよ。
 どうしても、我慢できないのよ!
 
 わたしは さびしいの!
 
 
 叫び続ける私の体が、熱くなっていく。
 どろどろに溶けた溶岩のように、なにかがじわりと体の中に広がっていく。
 もう 疲れたのよ
 もう やめて
 そう 静かに呟いている
 なにを 感じているの?
 おしえて
 うん
 わたしね
 私ね
 
 もう このままでいようとする自分のことが 辛いの
 
 変わりたいの
 前に進みたいの
 したいことをして、生きていきたいの
 私のどうしようもない気持ちを抑えるために力を使うことに、疲れたの。
 わたしをふたつに引き裂いたまま、怒りと笑顔にしがみつき続けるのは、もうやめて欲しいの。
 
 どうしてあなたは自分のしたいことを全部しない事に力を尽くすの?
 どうしてあなたは自分と戦い続けているの?
 
 それはね
 ええ
 
 
  − だれかに
           今までのわたしを 認めて欲しかったからよ
 
 
             受け入れて    ほしかったのよ
 
 
 
 
 
 でも それは
 
 
         −みてほしかった
 
                          −触れてほしかった
 
 
 
            −抱き締めてほしかった から −
 
 
 
 
 
   あの感触を
 
 
                   あのぬくもりを
 
 
 
 
 
+ わたしは +
 

+  今度こそ  +

 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 そのとき貞一君が
 
 
 
 
 
   わたしを
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
   ◆
 
 
 
         ◆
 
 
  『 貞一君が認めてくれるなら  思い残すことなんて 』
 
 
           ◆
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

『 お帰りなさい 』

 
 
 
 
 

『 私 。 』

 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 −− −
 
 
 ねぇ、貞一君。
 わたしね、甘えていたのよ。
 悪い女よね、貞一君に甘えて、甘えさせてくれる貞一君だから、私はこんなことをしたのよ。
 ごめんね。
 でも、ありがとう・・
 甘えさせてくれて
 
 全部自分で背負って、全部自分でやんなくちゃ、なんて、それ自体が私の嘘よ。
 ちゃんと自分で背負うべきものは自分で背負って、背負うべきでないものはきちんと拒否する。
 それがただ出来ないでいるだけのことを、私はそうやって大仰に言って誤魔化してきただけ。
 私ね、ほんとは忘れてなんていないのよ。
 ただ忘れたかっただけ、見たくなかっただけ。
 ただ逃げ回っていただけ。
 辛くて、苦しくて、でもその辛さと苦しさ自体が、私が逃げることを支えてた。
 辛いから苦しいから逃げていいって、そう自分に言い聞かせてた。
 辛い苦しいって叫べば、自分がなにもしなくていいって思えた。
 辛いのも苦しいのも、それでもやらなくちゃいけないことがあることから逃げてるのも、それは全部、
 私の問題なのに。
 だれも、悪くなんて、ないのに。
 私が、きちんと弁えて、頑張っていかなきゃいけないことなのに。
 
 わたしは弱くて、どうしてもひとりで頑張り続けることができなかった。
 たすけて、ほしかった。
 ひとりで頑張り続けるしかないのが、辛くて。
 私は、そういう風に頑張ってる自分を見せつけて、貞一君に甘えたのよ。
 私はこれだけ頑張ってるんだから、助けてよ、って。
 卑怯よね、わたし。
 ひどいよね、私。
 わたしが貞一君の前でやってきたことって、全部そうやって貞一君の気を引くためのものだったのよ。
 辛かったのは本当、苦しかったのも、ほんとう。
 でも私は、その辛さ苦しさを全部受け止めて、それで前に進む力に変えることに疲れて、
 いつのまにか、辛さ苦しさを貞一君の同情を得るために使うようになってしまっていた。
 それが、目的になってしまったの。
 
 私も、もうひとりのわたしも
 
  笑顔と憎悪にしがみついて、ただずっと そうして・・
 
 
 貞一君が認めてくれなくちゃ、もう一歩も動けない!
 
 そう思っていたの。
 まるで、私を助けてくれない貞一君が悪いかのように。
 おかしいわよね、ほんとうに。
 全部、私の問題なのに。
 なにが記憶を失ったよ、なにが貞一君の姿が見えないよ。
 それは全部、私自身が望んでしたことじゃない。
 私がそれを意識していようといまいと関係無く、それは私がしたことなのよ。
 私はその自分の責任を放棄した。
 記憶を失い、彷徨い続ける哀れな幽霊の夕子さん。
 楽しげで、いつも笑っていて、そしてどこか儚げな女の子。
 全部、ぜんぶそれは、貞一君の気を引くため。
 誰かに、私を見て貰いたかったから、認めて欲しかったから。
 それは演じる必要がそもそも無い、私の本気だったのだもの。
 私がそれを意識していないまま、その自分を生き続けたのは当然よね。
 被害者面しちゃって、まるで悲劇のヒロインみたいに、ただ自分の悲しみを剥き出しにするだけで。
 まるで、子供。
 子供のまま、数十年の時間が止まったまま、私はずっとどこかにいた。
 
 私は、なにもしなかったのよ、結局。
 なにもしないから、なにも出来ないままで。
 ただただずっと、貞一君に泣きつくだけ。
 わたしは わたしは・・・
 
 
 黒々と、さめざめと怒っている私が、目の前にいる。
 ひどい気持ちよ、どうしようもないほどに、その私と、その私をみつめる私は互いに怒りを感じている。
 自己嫌悪。
 叫べば叫ぶほど、そうして叫び続ける自分の姿が、はっきりと冷たくみえてくる。
 あなたが怒るほどに、私は笑い、私が笑うほどに、あなたは怒る。
 縛り合い、傷付け合い、絡み合い、溶けて解けて、そしてどろどろと叫び続ける。
 だれか
 見て
 だれにもみえないわよ
 だれか
 わかって
 だれにもわからないわよ
 叫ぶ、叫ぶ
 真っ黒な私が、目の前の囚われた世界を壊せないまま、しがみつきながら暴れている。
 貞一君を壊すことなんて出来るわけない、ううん、壊れないと思っているからこそ、ほんとは暴れて・・
 でも、ほんとうは壊れるかもしれないとなによりも疑っているからこそ、その恐怖で怯えてる・・
 どうしたら・・・いいの・・・
 叫ぶ、私は叫ぶ
 震えながら、怯えながら、それでも叫ばずにはいられない。
 私の怒りだけを、私の怨みだけを、私の憎しみだけを。
 私のよろこびだけを、私のうれしさだけを、私のほほえみだけを。
 どくどくと、胸の奥の空洞が、音を立てて震えている。
 叫びながら、私は自分の憎悪だけにしがみつく。
 叫びながら、私は自分の笑顔だけにしがみつく。
 ごめんなさい
 ごめんなさい
 貞一君・・・・・・・ごめんなさい・・・・っっっ
 こわくて
 こわくて
 わたしはもう どうしようもないほどに怯えて、それでも一歩もここから動けない
 貞一君を壊しちゃ駄目、でもなにかを壊さないままここで終わってしまったら・・・
 動けない
 動かなきゃ
 貞一君に掴み掛かるわたしを、止めなくちゃ
 貞一君の前でしゃがみ込む私を、立たせなくちゃ
 止めてっ
 動いてっ
 ふたりの私が、互いの足を地獄の底で引っ張り合う。
 どうしたらいいの、どうしたら・・
 真っ黒な私は叫び続ける、でも・・・でもわたしは・・・・・・
 
 
  それを  
        それでも
 
           止めたく     なかった
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 その
 真っ直ぐに貞一君の胸に飛び立ち続けていた、私の想いを
 
 貞一君は、止めることなく 
                 ただ  愛おしく   受け入れてくれた
 
 
 
 
 
 
 

 
 
『 だって あなたも夕子さんじゃないですか 』
 
 
『 あなたも僕の大好きな、夕子さんじゃないですか。 』
 
 
 
 
 
 
 
  
 
 
  ああ
 
    ああ
 
 
  めのまえで
 
     わたしがだきしめられていく
 
 
 
 涙がとまらない
 わたしの、わたしのたいせつな・・わたしが・・・
 だきしめられて・・受け入れられていく・・・
 わたしの、わたしの・・・・
 ずっと・・ずっと、私が受け入れたくて、抱き締めたかった、そのために頑張り続けた・・・
 あの、しがみつくだけの私が
 あの、小さな私が
 
  あの  甘えているだけの  わたしが
 
 
   貞一君に 抱き締めて貰えた
 
 
 しゃがみ込みながら、見上げるようにして、抱き締められた私をみつめる。
 ああ ああ   ああ・・・
 わたし・・・・わたし・・・・
 涙が止まらないの、わたしが、わたしがずっと求めていた・・・・わたしのすがた・・・・
 愛されて、守られて、受け入れられて、抱き締められて・・・
 
 ああ
   ああ
    
                よかった  っっ  −−
 
 
 
 
 
 わたしの すべてが・・・
  しがみつくことしかできなくても 拒絶することしかできなくても
 憎むことしかできなくても 笑うことしかできなくても
 
  それが辛いって 
    それでもどうすることもできないことが悔しいって
 
   貞一君が  言ってくれた・・
 
 私も・・・夕子なんだって・・・
 
   ぜんぶ   ぜんぶ    わたしなんだって
 
 
   そのすべてのわたしを   愛してるって
 
 
 
 
 貞一君が泣いている。
 私の涙を映して泣いている。
 泣かないで、貞一君。
 そんなに泣かれたら、もう私、しがみついていられないじゃない。
 その貞一君に映る、私の本当の笑顔が見たくて、立ち上がらないわけにはいかないじゃない。
 貞一君・・・
 泣いて、泣いて、たくさん泣いてくれて・・・・・ありがとう・・・・
 私も涙が止まらないわ
 あなたに抱き締められたら、もう。
 わたし、辛さと苦しみを、受け入れて、そして手を離すことが出来てしまうわ。
 どんどんと、波打つようにして、溶けていく。
 さらさらと、流れるようにして、広がっていく。
 
 ああ
     抱き締めて貰えるって
 
    こういうことだったんだ
 
 
 
 きっとそれは
 私が死ぬ前の、そして私が小さかった頃の、その幼い私が満たされていく姿。
 私はただ、私の目の前で、抱き締めて貰えなかったひとりぼっちの幼い私が抱き締められた、
 その姿を観て、涙を流していた。
 よかった・・・ほんとうに・・・よかった・・・
 そして
 抱き締められたくて、ひとりじゃいられなくて、どうしようもなかったのは・・・
 今の私じゃ無いの、何十年も幽霊になって生き続けた私じゃ無いの。
 ただ、ただその小さく幼い私、あの頃決して満たされることが無かった、その私・・・
 そして、その当たり前のものが満たされなかった、その私こその願いが叶った・・・
 
 だから
 だから 今のわたしは こうしてひとりでも 立っていられるの
 
 激しく誰かを求めて、どうしてもそれにすがりつかずにはいられない私。
 でも、それは、私じゃ無い。
 それは、幼い頃の私、その私は今もこうして私の胸の中で息づいている。
 だから・・
 貞一君に抱き締められたぬくもりは、その幼い頃の私にこそ、あげる。
 それを求めていたのは、その私だったのだから。
 そして その私も  わたし
 だから 私はこうして
 
 貞一君の前で 立っていられるようになったのよ
 
 許せなかった、誰かにすがりつく私のことが。
 認められなかった、ひとりでしっかりと生きられない、弱い私のことが。
 だから、笑顔で、ひとりで、ずっと生き続けてきた。
 だから・・
 怒りが生まれた
 怨みが生まれた
 憎悪が生まれた
 私に許されない、私に認められない、私の中のもうひとりのわたしが、それらの感情を以て、
 わたしに与えられなかった愛を、他の誰かに求めて、暴力的に取りすがった。
 わたしは、さびしかったのよ。
 なのに、それを認めることが出来なかったのよ。
 さびしいという気持ちを充分に満たすことで成長していくはずなのに、私にはそれを満たす機会が
 無かった。
 でも私は、それでもしっかり生きなくちゃいけなかった、もう子供じゃないんだもの、だから・・
 だからわたしは、さびしいという気持ちを抑えつけて、否定して、我慢して・・・
 それを求めないことで、しっかり強く生きている自分の姿をみせつけたのよ。
 だから認めるわけにはいかなかったのよ、私の気持ちなんて。
 でも、認めることが出来なくても、それは間違いなく求めているものだから、私の意志を越えてそれは
 さびしさを満たすことを求め続けた。
 必要以上に、まるで自分を守るかのようにして、さびしいという気持ちを絶対に奪われないように
 するかのように。
 私が必要としていた愛なんて、ほんとは些細なものだったはずなのに。
 必要としているときにそれが得られなかったから、私はきっと、ずっとそれを今も激しく求め続けている。
 今は・・・そこまで必要じゃ無いはずなのに、もう、ほんとうはちゃんとひとりでも生きていけるはずなのに・・
 
 だってわたし
 もう
 立派なレディーなんだもの
 
 私は そのことに初めてほんとうに気付いたのは 貞一君と出会ってからよ。
 それまではただ、生前も含めて、ただ頭で考えて、それを自分に押しつけていただけだったわ。
 うん、今はちゃんと、わかったわ、わたしはほんとうはもう大丈夫なんだって、そのことに気付けたから。
 
   − だいじょうぶ  だいじょうぶよ   
 
 励ましでも強迫でも、ましてや欺瞞でも無い。
 それは、とてもあたたかい、私を愛して、守って、そして抱き締めてくれる囁きだった。
 落ち着いてみれば、私にはもう、たくさんたくさん、出来るようになっているものがあった。
 ひとりぽっちの、なにも出来ない馬鹿な子供だった私が、必死に誰かを求めながらも、その藻掻き続け
 伸ばし続けた指先で、確かに掴んでいるモノがあった。
 わたし・・・いつのまにか・・成長していたのよ・・
 出来るものは出来る、出来ないものは出来ない。
 わたし、今までそうじゃなかった、出来ないものをやり続け、そして出来るものをやらなかった。
 出来ないものをやり続けたのはきっと、出来るものをやりたくなかったからなのよ。
 それしか出来るものが無いことが こわかったのよ
 出来ないものを出来ないと言って ひとりぽっちになってしまうのがおそろしかったのよ
 
 + わたしはもう  ひとりじゃ無い
 
 出来ることは必ずある、だから私はそのひとつひとつをまっすぐやっていけばいいのよ。
 出来ないものは出来ないものとして受け入れて、その責任を自分で取ればいいだけなのよ。
 そしてきっと、出来ないものはいつか、出来るものを積み重ねていくなかで出来るようになるわ。
 みんなを追いかけることしか、笑うことしか、藻掻くことしか、逃げ回ることしか出来なかった、でも、
 それを、その私に出来ることを無自覚にでも積み重ねてきたから・・・その効果が・・今・・こうして・・・・
 こわいことなんて、おそろしいことなんて、もう、無くなっていたわ。
 
  だって私は、なにも出来ない、馬鹿でひとりぼっちの、そして。
  甘えているだけの私のことを、やっと、やっと許せるようになったのだから。
 
 それに気付いた私の胸に当てた掌が、ゆっくりと微笑んでいくのがわかる。
 ああ
 ほんとうに わらっているわ
 うれしそうに はしゃいで  ほんとうに ほんとうに 
 ありがとう ありがとう
 私の胸の奥で 私に愛された私が そう歌っているのがきこえてくる
 ありがとう
 貞一君
 私もうれしくて、涙がとまらないわ
 
 だからわたしは
 私がほんとうに必要としていたものだけを求めて、それ以上はもう求めないでいきたいの。
 必要以上に、貞一君に甘えたり、しがみついたりしないわ。
 甘えをどうしても必要としているのは、私の中の小さな私であって、色々と出来るようになった私じゃ
 ないもの。
 私はそれを見極めていきたいの、ううん、見極めていけるわ。
 貞一君は、それに応えてくれた。
 私は、愛され、守られ、そして抱き締めて貰える、そんな小さな私を得られた。
 その小さな私は、憎悪にまみれ、笑顔にしがみつき、自分の弱さを認めることが出来ずに、そして
 自分に認められることのなかった弱い自分。
 今まで、ごめんね。
 一緒に、ふたりでいきましょう
 
 だから
 
 
 帰ってきたのよ
 
   今の  私に
 
     もう子供じゃない   ひとりのわたしに
 
 
 
 ひとつひとつの煌めきが、あるべき場所に戻っていく。
 わたしが、私に帰っていく。
 ずっと、ずっとひとりで戦い続けた、その場所が光に包まれて消えていく。
 私は
 ここよ
 貞一君。
 溢れるほどにこみ上げる、この飢えが満たされたおもいだけが。
 ただひとつの笑顔を、私の姿に灯していく。
 最初からみえているものが、みえていく。
 最初からみられているものが、みられていく。
 私の頑張りは、私の甘えも含めてそのすべてが、わたしのしてきたこと。
 無駄なことなんて、ひとつも無かったのよ。
 全部、全部がひとつに繋がっているのを、感じるわ。
 私の記憶のすべて、辛さも苦しさも、そして笑顔で楽しくあり続けたことも、そのすべてが全部、
 こうして今、私がここにいるために必要だったのよ。
 ううん、もしかしたら、無駄だったのかもしれない、必要じゃ無かったのかもしれない。
 でも、いいの。
 だって
 私は、今ここでこうして、貞一君と向き合っているのだもの。
 貞一君が、無駄なんかじゃありませんでしたよ、って言ってくれる、私はその言葉をもう・・・
 ちゃんと受け取れる!
 私はもう、自分でちゃんと私のしてきたことを受け入れることが出来るようになったのだから。
 そして、貞一君が、そこにいる。
 貞一君は、アサちゃんの孫だった。
 私を人柱にした人達は結局疫病で死んじゃったけど、でも、確かに私の辛さや苦しさは、アサちゃんを
 守ったのね。
 そして
 だから、貞一君が、今こうして、私の目の前にいる。
 ほんとうに・・・・無駄だったことなんて・・・間違いなんて・・・なにひとつなかったのね・・・・っ
 ああ
 わたしは・・・何度でも、私の人生を繰り返せる
 またもう一度生まれ変わることが出来るとしたら、人柱になったことも含めてまた私を生きたい!
 ああ なんて
 
 
 なんて
 
   
 
 
 
 
    しあわせなの
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 わたしは
 今ここに
 確かに、いるわ
 
 
 
 
 
 
 
 
     『 ただいま  貞一君。 』
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 目の前にはただ
 
           青い空が どこまでも続いていた
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
                        ◆ 『』内文章、アニメ「黄昏乙女×アムネジア」より引用 ◆
 
 
 
 
 
 
 
 
 

 

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                           ■■夏アニメはっじまっるよー♪■■

     
 
 
 
 
 ごきげんよう、紅い瞳です。
 暑くなったり急に気温が下がったりと、めんどくさい今日この頃ですが、皆様如何お過ごしでしょうか。
 
 
 
 さて、本日は今期開始アニメについて、ちょろっとずつ言及させて頂きましょう。
 視聴予定の半分くらいは消化したでしょうか。
 その分だけについて、取るモノも取り敢えず書き出していきますね。
 
 
 
 
 TARI TARI: 勢いがあるのかないのか、あるのか。
 絵面綺麗だし、女の子可愛いし、けどなんというか、ストーリーラインはありきたりだし、こう、ぐわーっと
 くるものが無いのだけれど。
 なにかが決定的に無いのだけれど、でもなんだか観れてしまう。
 観ていて落ち着く訳でも、これがいいというのがあるわけじゃないのだけれど、なんだか観ているうちに、
 この作品の世界の中に入っていく感じ。
 その世界そのものが面白いわけでも無く、楽しいわけでも無いのだけれど、その世界へ自然に没入
 していく感じが、この作品への拒否感を生み出さずに済んでいる気がする。
 良いとか悪いとかじゃなくて、受け付けられるか受け付けられないかの問題がたぶん、中心にでんと
 あるのかもしれないね。
 言い方を変えると、あまり思い入れを持たなくても、それなりに「なにかを観ている」という気持ちには
 させてくれる、という感じかも。
 たぶんそれは、「自分」を感じさせないということにも通じるのかもねぇ、だからあんまし私はこの作品を
 ガタガタ言いながら観る気にはならんかったとです。
 見所がひとつも無いのに、普通に観られるって、ある意味すごいのかもw
 
 
 アルカナ・ファミリア: おまえは説明か!
 近年稀にみる説明アニメw
 いやいくらキャラとか設定の説明しないと意味不明とか言われるのが怖いからって、あそこまでキャラ
 自身に説明し倒させること無いじゃないのww
 キャラの能力の説明だのなんだの、キャラが登場するたびにそのキャラ自身や周りのキャラが説明
 すんだもん、興醒めすらしないよw
 そういうのはべつに追々わかる形にすりゃいいのに、せっかくキャラ自体はテンプレに忠実ではあるけど
 結構チャーミングだったりセクシーだったりするのに、それがあんまりよく活かされてないよねぇこれ。
 ただ、同時にそういったいけずな感じを乗り越えて、キャラ達自身の「キャラぶり」は大層決まっていて、
 これは観ていて結構楽しい。
 べつにこういうのにリアルさとか人間らしさとかいらないし、ひたすらカッコよくてセクシーならそれでいいって
 いうか、あとは関係性ですか、そういうところの「萌え」をきっちり演じ上げてくれているのは確かだし、
 それがこの作品の最大の魅力であり、またそういうキャラキャラするにもほどがあるそのキャラ達が、
 開始早々いきなり異能力バトル大会とか始めるわけですから、これはなんだか色々と楽しみすぎる。
 や、バトルの勝敗とか戦い方とかじゃなくて、あのキャラ達がどういう魅力をみせてくれるのかとか、
 主にそういうところがね。
 あんだけ萌え男子揃えた豪華さは見事に尽きるし、その中で紅一点っていうか、むしろ「萌え男子の
 ひとつ」として女子がひとりいるみたいな、そこらへんよくわかってるじゃないというか、まぁうん、頑張ってw
 
 
 人類は衰退しました。: あー・・・。
 これは・・・なぁ・・・・うーん・・
 こういうのが好きな人がいるのはよくわかるし、むしろ私もこういう作品が好きと言える自分に憧れたり
 したりもするのですが、アクセサリー感覚なわけなのですが・・・・
 正直に言うと、駄目だこりゃ。
 独特というか、やりたいこともすごくわかるし、出来としてはかなり良いんだけど・・・
 でも、あの主人公先生が正直肌に合わないというか、斜に構えた皮肉屋?、あれはあかんなぁ、
 ひたすらあの女先生が理屈というか屁理屈をこね回して語り回すというか、厭世的というか、あー、
 そうじゃなくてたんに冷淡なのかなぁ、なんかこう生理的に駄目、わたしだめ、ああいうの。
 言葉が軽すぎる、だからそれで語られるすべてのものから情感的なモノが一切排されてる、風刺と
 言えばきこえはいいけど、あれは人間を小馬鹿にしてる感じがして、なんかこう素直に聞いていられ
 ないんよねー、うーん。
 この作品の一番居心地が悪いところは、TARITARIとは違って、悪い意味で「自分」が無いところね。
 世界に没入出来るというか、自分だけ世界とは関わらないみたいな、そういう上から目線みたいなね。
 勿論、童話的というか、むしろ本当は怖いグリム童話的な、そういう楽しみ方はあるのだろうけれども、
 んー、まぁそういう方向性でもう少し頑張ってみようかなぁ、どうしようかなぁ、というところです。
 
 
 トータル・イクリプス: ほどよい緊張感。
 例えるなら、手塩にかけて育てた張り詰めた空気の入った箱をゆっくりと開けていく感じ。
 鬼気迫るゾクゾクとしたような感じは無いし、感情移入が出来るようなものがあるわけでも無い。
 あるのはただひたすら、「物語」。
 旧日本軍的な(あくまで私のイメージだけど)悲壮感というか健気さというか、ある種の燃えと萌えを
 描き込んだ物語だし、こういうのを嫌悪する人もいるのだろうねやっぱり。
 でも私は逆にもっとラフな感じでこの作品を捉えていたかなぁ、この作品は思想主義の作品じゃないし、
 かといって美化とか美的なモノを描き出そうとしているわけじゃない。
 私にはこれは、「緊張感」をお手軽にかつ自分のリズムとレベルでたのしむための作品に見える。
 だからたぶん、あの作品全体の底流に流れる緊張感を感じ取る人もいれば、一瞬のシーンにドキっと
 するなにかを感じた人もいるだろうし、その辺りは完全に観る人の自由に任されているというか、そうね、
 物語の設定や世界観に関する程よい「説明の無さ」も、視聴者各自の想像力と分析力に委ねられ
 ているという、わたしとしちゃごく当たり前の自由さがあって、割と好感触。
 昨今のアニメは説明し過ぎて逆に訳わかんなくなってるところあるけど、それはそもそも「わからない」と
 いう余白を使えずその余白にすらなにかを描き込まずにはいられないという作り手の視聴者に対する、
 信じられ無さからきてると思うし、で、その余白としての「わからない」ところをちゃんとこの作品は使えて
 いる気が私はしましたね。
 今後もこのスタイルを貫いていってくれると、それだけで充分面白いし、作品として価値があるとおもい
 ますね。
 
 
 ゆるゆり♪♪: これは良いゆるゆりですね。
 よく考えたら、この作品の類似品以前に、これと同じ方向性の作品すら思い当たる範囲には無い
 んですよねぇ、全然独特という言葉は当て嵌まる雰囲気は無いんだけど、気付くとこの作品は決して
 真似出来るものじゃないなぁという、んー。
 たぶん個性的とかそういうんじゃないのよ、パーツ的にはよくありきたりというか、でも実際そういういくつ
 かのパーツが組み合わさると、もうゆるゆりでしかないというか、ゆるゆりというラベルを貼る以外に無い
 というか、ゆるゆり専用というか、もうなに言ってるか自分でもわかんねーっつうか。
 ・・・だってさぁ、第一話の最初の15分で燃え尽きる主人公ってどうなのよwwwww
 これ以上無いくらいに主人公あっかりーんの残念すぎるスペックを、それでも本人の好きなようにさせて
 あげて、あかりちゃんほんと頑張った、主人公として残念すぎるけど頑張った、カッコよかった!
 持てる力をすべて使って主人公をやったよ!カッコ良かったっていうか笑っちゃいけないくらいだったよ!
 そして、夢オチ。
 それですら、夢オチ。
 主人公あっかりーんが最も輝いた15分が終了しました、あっかりーん先生の次回作にご期待ください。
 そして残り後半15分のラストで早くも空気扱い発動な主人公、これはもうあれだな、宗教だな。
 様式美というか儀式的というか、もうほんと脈絡があり過ぎて不動すぎて、もう絶対そうなるのわかるって
 いうくらいにナチュラルに主人公の存在感を綺麗に消していくこのアニメは変わらないな。 (溜息)
 そして勿論この作品の見所はそれだけじゃ無いのだけれども、まぁ今回も歳納京子は細かくウザく
 頑張ってましたし、でもまだまだこれからな感じかな、結衣ちゃんは相変わらずかっこいいし、ちなっちゃん
 はガチだし、そして相変わらず百合というにはあまりにゆるい感じの女の子達のわいわいしっとり感が
 観てて心地良くて、ギャグありネタありしんみりありで、それらがゆるやかにひとつにまとまって掌編的に
 仕上がっていく感じが、観ていてリアルタイムにたのしい。
 この作品はその辺りの匙加減が絶妙なんよねぇ、緩急とは違う、なんというかそれぞれの見せ場に
 合わせた見せ方がしっかり出来てるというか、熟練してるというか。
 敢えて簡単に言ってしまえば、安心して観ていられるし、色々安らいでくる、それがこの作品の最大の
 魅力だとも言えるかもしれませんね、私は大好きですよ、この作品。 応援してます♪♪
 
 
 貧乏神が!: おもわぬダークホースがきたり!
 常人よりも幸運に愛されなにもしなくても全部上手くいくという超絶ラッキーガールと、それが世の幸と
 不幸のバランスを崩すからなんとかいう理由でラッキーガールから幸福エナジーを奪おうとする貧乏神
 がどんぱちとガチで主に精神的な意味で互いに一歩も引かないバトルを繰り広げるお話。
 や、べつに第一話の段階でバトルモノという描かれ方はされてないし、ていうか普通にバトルモノじゃ無い
 っていうか、ラッキーガールが完全に居直り強盗ぶりを発揮して、死んでも幸福エナジー渡さないという
 徹底抗戦っぷりが華々しい、というか逞しいというか、大笑いというかww
 「貧乏神に渡すくらいなら喜んで幸せ独り占めの独裁者になるわ!」とか不意打ち上等とか死ぬww
 まぁ一応そのガールは周囲の大切な人のエナジーも吸い取っちゃうので、そこでまぁしんみりというか
 人情話になっていくのではあるのですけど、あ、つまり自分のエナジー返したりとかそういう系ね、でも
 それもあくまで貧乏神には渡さないという形でまぁ、とにかく観てみてくだされww
 ひとつひとつのギャグ展開が、なんというか手作りな丁寧な感じがあって、アドリブのような即興のような
 割とハズしにかかっているようなでもフィットしてるような、昨今あまりみないギャグのタイプですので、
 前期のニャル子さんの後継としてもそこそこ挑戦し甲斐のある作品にはなりそうでございます。
 あとしんみりパートは割と結構泣けます、わたしゃこのラッキーガールは好きな。
 
 
 もやしもんリターンズ: さすがのもやしもんクオリティ。
 やー、登場人物の名前は忘れたけどキャラは忘れようがないと言うしか無いくらい凄まじいw
 ゴスロリ女装男子がしょっぱなから飛ばしてるし、どのキャラも自信たっぷりで観ていて爽快。
 第一期はもうちょっと手探り感というかストーリーに沿ってキャラを肉付けしていた感じがあったけど、
 この第二期第一話はもうきっちりキャラを出していて、また同じこと言うけど爽快。
 舞台は農大で、学生達がまぁ比較的に農学的なことやってるんだけど、それが良いわけなんだけど、
 そうして真面目にやってる学生達自身の個性が凄まじいというかw
 べつにこれみよがしな漫画チックなキャラはいないけど、でもまさにひとりの人間としての個性を最大限
 に引き延ばしている清々さがあって、やっぱり気持ちいい。
 自由というか、自分の気持ちの責任を取っているというか、あーいいなぁこういうの、そのままの自分を
 出して生きてるっていうか、ほんと気持ちいい。
 ・・・さっきから爽快とか気持ちいいとかしか言ってない気もするのだけれど、本当だからしょうがないw
 あと日本酒スキーな私的には日本酒話とかもう涎我慢するので精一杯すぎるw
 これからどういうことをやっていくのか、今期では次回が一番楽しみな作品です。
 
 
 夏雪ランデブー: 淡々と低温。
 低温なんだけど、冷たくは無いというか。
 未亡人さんに惚れてる男子さんが、奥さんに付きまとう亡夫の幽霊となんやかや、というかんじの
 話なのだけど、この男子さんの低温っぷりが面白いというか、未亡人さんとの距離の取り方もそうだし、
 他の人物に対してもそうかな、斜には構えてないんだけど、本音を見事に狼の皮で隠してるというか、
 つかあの人いきなり未亡人さん襲いそうで怖いんですけどw、完全に中身は野獣男子なんだけど、
 気遣いとかマナー的なモノで彼なりの論理、というか男ってそういうもんじゃんみたいな感じで隠してて、
 あー、結構勝手な感じがするのかな、だから彼の「葛藤」っていうのが、自分のタイミングで未亡人さん
 をゲット出来ないという意味での葛藤にみえて。
 んー・・なんかこの人、未亡人さんが好きっていうか未亡人さんに怒ってて、女性そのものに対して
 なにか含むものがある感じで、なんかもうただの獲物扱いみたいな。
 で、その男子さんが旦那の幽霊に出会って。 
 その辺りからのあの男子さんの化学変化っぷりが面白いというか、べつに未亡人さんの側に寄り添う
 とか自己中的発想を改めるとかそういう「綺麗事」に向かうわけじゃないんだけど、じわじわとこう、
 なにかが変わっていくのが、そうね、画面の温度として伝わってくるのが、この作品の面白いところ。
 色々と受け答え的に如才ないんだけど、中身空っぽというか、だからぽこぽことおざなりな対応とかが
 散見されて、あーいるいるこういう人、みたいな感じなんだけど、その中身の空っぽが未亡人さんや
 幽霊旦那と触れ合っていくことで、少しずつ変化していく。
 その微妙な変化がね、やっぱり旨味なのかな、この作品の。
 暖かくは無い、けど冷たくもない、そんなお話。
 いやぬるいって意味じゃないからねw
 
 
 恋と選挙とチョコレート: 知ってました? 私って仲間フェチだってこと。
 自己犠牲がどうとかでそういう全体主義的なモノに対してアンチの炎を燃やしまくってるからわかりに
 くかったかもしれないけど、ほんとうは私は仲間内でワイワイやったり一致団結してやったり居場所的な
 意味での仲間のためにという言葉は燃えだったり萌えだったりする人なのです、つまりはツンデレ。
 ・・・。
 話が逸れましたが、まぁ概ねそういう視点で観ると、この作品は燃えというよりは萌えに近いぬくぬくさ
 があって、適度にじゃれて適度に誰かがいて、そういう部活というよりはソフトな仲間の繋がり感が
 あって、わたしゃ観ていてほっこりしたのですよ。
 結構キャラはいますけど、それぞれのキャラ造型はあんまり興味無く、それよりもただあのゆるい繋がり
 と互いへの気遣いや意識の向け方が、あー、これ、ギリギリ押しつけや束縛にならないラインの範疇に
 収まっているなぁという感じが、まぁ、私がこの作品に感じた良さの唯一のところです、他はどーでもいいw
 あ、でも部室に飲み食い(主にアルコールww)目的で居座る顧問の先生は大好きですww
 
 
 この中に1人、妹がいる!: 新手のホラー?www
 ええと、主人公は大財閥だかの跡取りのひとり息子で、親父さんが亡くなったので跡を継ぐんだけど、
 突如その息子の妹を名乗る人物が現れ(顔は見せず)、なんやかやと兄(?)との思い出やら自分の
 想いやらを一方的に喋ってそのまま姿を消し、そしてしばらくのち、主人公の誕生日にバースデー
 プレゼントと彼が好きだったアニメのおもちゃが差出人不明で届けられ、直後非通知の電話があって、
 で、お兄様がどうたらこうたらとまた妹を名乗る女がって、これ、ホラーだよね?(微笑)
 いやこれは普通に怖いでしょwwwどう見てもストーカーだろこれwwwww
 一応、話の筋としては、主人公が親父さんの跡を継ぐに際して、高校卒業(だったかな?)までに
 良き伴侶を迎えることという条件を出され、そして転入した学園で女の子達とどうたらこうたら、という
 話なのですけども、最初に出会った女子もあれは大人しっ娘を装った肉食系女子以前にある意味
 電波だろあれもwどんだけ初対面の高校生男子にアピールしてんだよギャルゲ的な意味でww
 見ていてムカムカする以前に一種の芸かと思って笑いが止まらなかったレベルだよ!w
 あんだけひどすぎるアピールしといて、彼が大財閥の跡取りだからってわけじゃないんだからねっ、って
 さりげなさ風を出すのは、もうそれはなんと言っていいのか私的にはまったくわからないのだけれどもww
 てか高校生男子の額の古傷(ていうか傷跡)つかまえて、痛いの痛いのとんでけって、もう、ツッコミで
 どうにかなるレベルじゃねーよ!!www
 別の女子はノリでキスしようとか言ってくるし、えーと、あれはツンデレだと言いたいのだろうけれど、
 なにがどうツンデレなのか私にはさっぱりwwwもうなんか、ホラーにしかみえなくなってきたwwwww
 とまぁ、色々と失礼な感想ばかりで申し訳ないですがw、てか自分で言うのもなんですけど、こういう
 作品の揚げ足取りみたいなこと言うのは珍しいw ある意味気に入ったのかも、っていうかむしろ私が
 ツンデレかいw
 ・・・しかし最後に妹が顔出し登場とか、えー、あんだけ引っ張ってそこで出すんかい、ていうか、どう
 なるんだろこの作品、割と本気で続きが気になっております、いやヒキとしては上手いんだかなんだか
 もうさっぱりなんですがw
 
 
 
 
 はい。
 まだ第一話を全部観たわけでは無いですし、まだ始まっていない作品もありますけれど、
 全体的には小粒な感じの作品が多いですね。
 残り半分の作品に期待ですね。
 まぁ小粒な作品は気楽に気負いなく観られるので、かえって切りにくいという、まぁその、
 ほんともう、結構どれ切るか真剣に悩んでるんですけどw
 
 
 それでは、今回はこの辺りにて。
 また次回お会いしましょう。
 と言っても、更新的には次回はアニメ「黄昏乙女×アムネジア」のSSのようなモノをUpしますので、
 次々回にということになります。
 
 では、ごきげんよう。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

 

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                              ■■ 最終回とくしゅう! ■■

     
 
 
 
 
 
 ー 『それは、まだなにも知らない頃 僕が覚えていない 
                                 僕の話。』 ー
 
 
 
 アニメ「黄昏乙女×アムネジア」は、そう、新谷貞一の物語だ。
 貞一君が、「見たい」と思ったもの、それがこの作品のすべてだ。
 彼が旧校舎の鏡を覗き込み、そして夕子さんをみつけた。
 
 しかし
 夕子さんというのは、存在しないのである。
 
 庚夕子という実在の人物は、過去に庚紫子の姉として、そして庚霧江にとっての祖母の姉として、
 存在していたのだろう。
 けれどその人物は既に他界している。
 その人物が甦るだの、その魂だか記憶が形をとって浮遊しているなど、滑稽千万、大笑いである。
 そんなものは無いのだ。
 夕子さんなど、「いない」のだ。
 はっきりと、この作品は最終回にて語っているではないか。
 夕子さん自身が、なにより喋っているではないか。
 
 『この世に幽霊なんて存在していないの。』、と。
 
 私は笑ってしまった。
 大いに笑って、お腹が痛くなるほどに、笑い転げて、そしてもう、あとは拍手だった。
 ブラボーと言いたい。
 そうなのだ、夕子さんなど、いないのだ。
 この作品は、このお話は、貞一君の物語なのだ。
 夕子さんは、貞一君が「見たい」と思った気持ち、そのものでしか無い。
 夕子さんの物語は、貞一君がそういう物語を有したおんなのひとを見たいと、感じたいと、
 ただそう思ったもの、そのものにしか過ぎ無い。
 夕子さんが存在するかしないかなど、問う意味が無い。
 サンタクロースが存在するのかしないのかと問うのと、全く同じだ。
 夕子さんが語るものすべては、貞一君の想いが作りだしたもの。
 あるいは、こうも言えるだろう。
 貞一君というおとこのひとのなかにいる、夕子さんというおんなのひとの姿であると。
 
 
 さぁ、考えてみよう。
 夕子さんが最後に消えるとき、貞一君はなにを言っただろう。
 夕子さんに自分のことは忘れてと言われて、貞一君はその通りにすると言った。
 夕子さんを忘れて、新しい人達と出会って、これまでの通りの生活をして、これからの人生を生きて
 いくと。
 笑ってしまった、私は。
 それは、それは貞一君の語りだ。
 その語りの中では、夕子さんは「存在している」。
 夕子さんという存在を実在させ、でも夕子さんは幽霊だから消えなければいけないのだという、
 そういう「お約束」を持ち出して、なんとか夕子さんを「諦めて」、そして「夕子さんを心配させないため」
 に、そう生きようとする。
 笑ってしまうじゃないですか。
 それは、そんな言葉はなによりも、夕子さんが存在しているものとして捉えなければ、その前提が
 無ければ、成り立たないものだ。
 こういう作品で、貞一君の語りの通りの終わりを望む視聴者は多いだろうが、しかしそれは同時に、
 なによりも夕子さんという幽霊の実在を前提にし、けれどその幽霊と一緒に生きるには現実は辛すぎる、
 ということを持ち出し、「泣く泣く」夕子さんを消そうとする、そういう現実と非現実の区別がまさに
 ついていないことが、そもそも始まりあるような気がする。
 
 だから何度も言うが、そもそも夕子さんは、初めから存在していないのだ。
 
 最初から最後まで、非現実である以前に、非存在なのだ。
 夕子さんは、始めから終わりまで、骨の髄の奥まで、貞一君の想いの中にしか無いのだ。
 その夕子さんと別れなければならないとか、消えなければいけないとか、忘れてひとりでちゃんと生きて
 行かなければいけないという事は、それ自体が貞一君の物語でしか無い。
 貞一君は、そうして生きたいのだろうか?
 違うよね、貞一君。
 夕子さんが未練たっぷりでまた戻ってきたのは、それはなにより、貞一君が未練たっぷりだからだ。
 離れたくないのに、「離れなければならない」というお約束を持ち出して自分の欲望を誤魔化そうと
 していても、はっきりと目の前に夕子さんは顕現しているのだ。
 夕子さんがそこにいる、みえる、それはすべて、貞一君の純然たる願望を表している。
 そして、その願望のままに生きられない、自らから逃避しようとして夕子さんを消して別れて、
 そして「忘れよう」とした貞一君がここにいるだけである。
 アムネジア。
 この作品のテーマは、まさにそれだ。
 陳述記憶の喪失、それは言い換えれば、自らの見たいものをそのまま綴らずに、見たくないもので
 それを上書きして隠そうとするということだ。
 
 貞一君は、夕子さんを愛してるって言ったじゃん!
 
 貞一君は、夕子さんを愛している。
 夕子さんという「物語」を愛している。
 いや、貞一君の真に求めているものが、「夕子さん」という形をとって目の前に顕れたとも言える。
 夕子さんの姿は、見る者の見たいように見える。
 貞一君と霧江さんが、同じ夕子さんの姿を見ているかどうかはわからないし、それは原理的に、
 確認しようがないものである。
 無論、紫子さんにも姉の「幽霊」の姿がどう見えているのかも、わかりようがない。
 どれだけ言葉で語っても、自身が「見ている」映像を共有することは絶対に不可能。
 同じものを見ても、同じに見えるとは限らない、以前にそれを確認出来る術は存在しない。
 だから、貞一君の「成長」というものは、その自らの願望の顕れである夕子さんとどう向き合い、
 どう共に生きていくかということにしか、帰結しない。
 夕子さんと別れ、夕子さんを消すというのは他ならない、貞一君の願望欲望、あるいはもっと単純に
 「自分がしたいと思っていること」それそのものを、放棄するということだ。
 ただ「幽霊とはずっと一緒にいてはいけないというお約束」を設定して受理して、その自らの基づくべき
 「自分」から逃げるということにしかならない。
 
 この作品は、最終回で延々と、事細かにその辺りのネタ晴らしをしていく。
 あくまでこの作品は、新谷貞一の物語であると。
 夕子さんというものは、そもそも存在していないと。
 存在していないのだから、その存在していないモノとの別れの話など、それ自体がナンセンスであると。
 そして、存在してなどいないのだから。
 
 
 ずっと
 一緒にいられる
 
 取り憑かれる。
 
 
 夕子さんという、ひとりの女性の物語、感情、思考、ぬくもり、その他ありとあらゆるものをリアルに
 感じられる、というそれ自体がひとつの巨大な、貞一君の語る夕子さんというモノの物語。
 夕子さんが貞一君のことを想い、貞一君を悲しませたくないからとひとりで消えようとする、貞一君の
 ために、貞一君のために、わたしは・・・・
 そう。
 そういう夕子さんの姿を
 貞一君は、みてる。
 わかっちゃうじゃないですか。
 自分の気持ちが。
 夕子さんにそう言わせ、そして夕子さんの姿をそう「見る」ことで。
 
 なにより
 夕子さんのためと言って、自分の気持ちを抑えようとしているだけの
 貞一君自身の姿が、はっきりと。
 
 貞一君はなによりそのことを感得する。
 夕子さんは、貞一君こそを映す深遠なる鏡。
 貞一君が夕子さんに言うべきことは、ただひとつ。
 僕は、夕子さんを愛してます!
 夕子さんのためと言う、夕子さんのせいになどしない。
 自分がなにをしたいのか、なんのために誰のために生きているのかという、ただただその事に気付き、
 そしてそれに即して全力を以て生き切る気持ち。
 僕は離しません! 絶対に絶対に夕子さんを離しません!
 夕子さんだけに寂しいおもいはさせません。
 そして夕子さんが消える最後まで共にいる貞一君。
 消える間際に、自分のことを忘れてという夕子さんのために、貞一君はそれを了承する。
 優しいのね、貞一君。
 自分のために、自分の気持ちのために、夕子さんを離さず最後まで一緒にいることが出来た貞一君。
 そんな彼だからこそ、真実、夕子さんのために、消えていく夕子さん自身のためにこそ、心配させない
 ためにこそ、そう振る舞うことが出来た貞一君。
 『それで、安心出来るんですか。』
 『それで心置きなく、逝けるんですか。』
 夕子さんがそうだと言った、そのことを信じて、夕子さんこその想いのために。
 夕子さんはそう言った以上、夕子さんは自分のその発言の責任を取る必要がある。
 たとえ、ツンデレであったとしても、正直にデレられなかった責任は彼女自身が負わねばならない。
 その責任を負うことを、貞一君は夕子さんから取り上げなかった。
 勝手に夕子さんの気持ちを忖度して、夕子さんが言うべきことを言ったりしたりはしなかった。
 愛。
 ひとりのおんなのひととしての、夕子さんへの、愛。
 そして
 そして
 だから
 
 貞一君は叫ぶ
 いかないで と
 夕子さんのためではなく
 
 自分の 気持ちのために
 
 いかないでと
 
 ひとりのおとこのひととして、自分の求めるままに
 
 
 
 
 
 
 素敵ですね。
 このおとこのひとに愛されたひとは、幸せですね。
 そう
 それが
 貞一君の 物語。
 
 
 
 +  貞一君が
 
 
      貞一君に愛される  
                   貞一君と出会う 物語  +
 
 
 
 
 
 貞一君に愛される夕子さんの悦びを無限に描き出していたこの作品は、そうしたことのメタファーだと
 私は感じ取りました。
 夕子さん=自分に愛されたい貞一君自身、という感じ?
 そして貞一君は、今まで他人のために頑張るという事にしか意識が向いてない感じだったけど、
 作品内ではだから自分と向き合えない自分のために生きられない、ということは敢えて隠されてた
 気がするのよね、作品的に。
 その隠された貞一君の姿を、まさに過去編の他者を助けることで自己認証を得ようとして自分を
 切り捨てる夕子さんに投影していたんじゃないかなと、私は思ったのですね。
 で、現在編(?)の夕子さんは、まぁ色々と問題はあったけど、唯一過去編と変わっているのが、
 他人のためでは無く、自分自身の(あくまで一部だけだけど)気持ちのために貞一君だいすき♪と
 無邪気に言えて行動することが出来ていたことで。
 貞一君がなにより惹き付けられた夕子さんの姿は、どれでしょう?
 まさに、その天真爛漫に、自分の気持ちに素直に行動出来る、夕子さんでしたでしょう?
 その夕子さんのためにこそ貞一君があんなに頑張れたということはすなわち、夕子さん=自分に愛され
 たい貞一君自身の図式に当て嵌めると、貞一君はなにより自分に愛されたい貞一君自身のために
 頑張れた、ということなんですよね。
 
 そして貞一君は、段々とそうしていくことで、無意識のうちに感得していく。
 夕子さんのために、では無く、自分の気持ちのために。
 夕子さんの記憶を取り戻すのじゃなく、夕子さん自身を知りたいという自分の気持ちのために。
 自分の気持ちのために大好きな人に愛していると言える夕子さん、その夕子さんを、自分の代わりに
 愛することで、自分の気持ちのために大好きな人に愛していると言うことの代わりにしながら、
 もう夕子さんを介さなくても、自分で、自分の気持ちのままに愛していると夕子さんに言えるようになった。
 夕子さんがどうしようがなにしようが、僕は夕子さんを愛しているし、愛しているって何度でも言います!
 そう
 だから
 夕子さんは消えたんです
 
 もう夕子さん無しでも、夕子さんを「利用」しなくても
 ちゃんと貞一君は自分で自分の気持ちを言えるようになった
 いえ
 夕子さんがいなくても言えるという、その貞一君の気持ちの顕れとして
 夕子さんの消滅という物語が、貞一君こそによって綴られたのです。
 
 もう
 自分を愛する気持ちを、夕子さんに仮託して語ったりしない。
 それはそう、貞一君の自立を示すものと言えるかもしれない。
 そして
 そう
 そうして、夕子さんの物語から脱却して、自らで自らの物語を綴ることが出来るようになったからこそ
 
 
 貞一君は
 
 再び
 
  夕子さんと出会ったのです
 
 
 だって
 貞一君が夕子さんを愛している気持ちは、そういうのとは全然関係無く、ほんものなんだものw
 夕子さんは、夕子さんという物語であり、同時に貞一君が自分を愛する気持ちのメタファーでもある。
 自らの自立のためにそれらを利用する必要は無くなった、だから今度はそういう関係では無い、
 フラットでフェアな関係で、また出会おう。
 僕は、夕子さんが好きです。
 僕は、夕子さんが好きだとおもう自分のことが好きです。
 会いたいに、決まってるじゃないですか。
 何度でも、いつでも会って、今夕子さんが、今僕が、なにを求めているのかを知りたいです。
 夕子さんが、僕が求めるもののために、僕は強く、深く生きていきたいです。
 それが
 貞一君の、真の物語。
 自己という他者との出会いの物語。
 その物語を描き出すためにこその、このアニメ「黄昏乙女×アムネジア」という存在はあったのです。
 
 教えてください、夕子さん。
 今、僕は、なにを求めているんですか?
 何度でもそうやって、立ち止まり、胸に手を当てて想うことのぬくもり。
 メタファーと一言で言ってしまうのも寂しいほどに、それは純然たる暖かくも光溢れる物語。
 
  『 あーあ 』
 
    『 開けちゃった☆ 』
 
 
 胸の扉を開くたびに、夕子さんは顕れる。
 自分の求めるものが無くならない限り、その扉が消えることなんてあり得ない。
 もっとも、貞一君は扉開けっ放しにしてそうですけどねw 頼もしい♪w
 夕子さんに取り憑かれるなんて、そんなの男冥利に尽きるじゃないですかww
 それは言ってみれば、常に自分の欲望を自覚し、そのために生きられるという、なによりも幸せな
 生き方そのものな有り様なんですから。
 ていうか、幽霊ひとり愛するくらい、全然よゆーっしょ♪(ぉw)
 
 希望。
 この作品のテーマを一言で言ってしまうとすれば、私はびしっとこの一言を指し示します。
 貞一君というひとりの男の子が、ひとりのおとこのひととして成長していく、物語。
 幽霊を愛するという「非常識」で「非見識」で「アウトロー」であとなんだっけ?w、そういう世間的お約束
 ごとから外れても、極めて深く潔く、凜として自らの世界を描くために物語を紡ぎ、そして成長していく、
 その輝かしきひとりの人間の姿の活写。
 孤独。
 貞一君が、たったひとりで、自らの問題を暴くために、幽霊の夕子さんという「問題」を生み出し、
 それに関わり向き合っていくことで、深い自己認識と問題解決行動を自ら生み出していく、その過程。
 夕子さんと影夕子の統合も、夕子さんの過去という形で(夕子さん視点で「子供」の貞一君が過去
 を体験するというのは如何にもなメタファーを感じさせますねw)貞一君は自分自身の問題を深い
 レベルで認識し、そして自分を愛せない自分(夕子さん)と、同時に自分を愛せない自分こそを愛せ
 ない自分(影夕子)の存在があることを自覚した、という形で見事に描き出していて。
 
 
 貞一君は、夕子さんとの物語を忘れない。
 物語は、消えることは無く、どんどんと積み重なっていく。
 物語を忘れ消そうとしたことすら、記述されていく。
 忘れるなんて、あり得ない。
 そうね・・
 貞一君は、夕子さんを愛してる。
 それは、貞一君が貞一君自身を愛していること。
 でもね。
 それだけじゃないのよ。
 夕子さんを
 夕子さんを、愛してる。
 
  そこにいる
  
    ひとりの夕子さんも   愛してるんです
    
 
 いっそ夕子さん受肉して人間になっちゃえばいいのにと、メタファー脳(ぇw)をフル回転させて思ったりも
 するくらいの勢いですよw
 でもあれは、「幽霊の夕子さん」であるからこそ、意味があるのかもしれませんね。
 夕子さんは貞一君自身であったけど、そのことを自覚したあとで、同時に貞一君は自分が確かに、
 夕子さんを自分とは別個の存在として「見て」愛していた事実も、その過去の物語も受け入れていく。
 夕子さんは貞一君自身だったというモノから離れ、けれど同時に人間でも無い、そのどれでもない、
 貞一君にしか見えない、けれどまさに貞一君と、そして「夕子さん自身」のものである存在。
 
 貞一君が貞一君自身を愛しているように
 夕子さんも、夕子さん自身を愛している
 
 こんなに   こんなに     共感できることはないよ
 
 私はこれまでこの作品のSSをいくつか書いてきたけれど、それは霧江さん視点のモノをひとつ除けば、
 あとは完全に夕子さん視点で書いたものばかり。
 貞一君的に、私もひとりの人間として、自らを発見しそれを投影するための存在としても夕子さんを
 描いてきました。
 その自覚は非常に大切ですし、その自覚があるからこそ、私はまたひとつ大きく成長した自分を感じ
 ます。
 でも。
 私は、夕子さんを描くとき、夕子さんを見て書きました。
 夕子さんを想って、想像して、書きました。
 私の、夕子さん。
 そして
 夕子さんの、夕子さん。
 私は、夕子さんを書いたのです。
 人柱になり死んで、その後記憶を失い幽霊として存在した、そのまぎれもないひとりの人間の気持ちを
 書いたのです。
 私は、夕子さんが大好きです。
 その気持ちは、本物です。
 
 自分を愛せるからこそ、他人を愛せるようになる。
 自分の自分への愛を愛せるようになるからこそ、他人の他人自身への愛を愛しくおもう。
 
 他者の存在って、そういうものなんじゃないかな。
 
 夕子さんを愛することで自分を愛せるようになり。
 自分を愛せるようになることで夕子さん自身を愛せるようになる。
 この作品の結末は、まさにそのことを明快に、そして痛快に示して結ばれたような気が私はしました。
 夕子さんへの愛が無くちゃ、あんなもん、誰も作れないってのww
 スタッフの方々の絶え間ない夕子さんへの愛を、私もテレビ画面のこちら側で感じさせて頂きましたw
 「夕子さん」という非実在にして、なにより最愛の「他者」のメタファーとしてあの画面の中で息づいて
 いたもの。
 いや、アニメというものそれ自体がそもそもそういうものでしょう。
 
 他者との 出会い
 
 最終回に一コマ描かれた、確か第一話で初めて貞一君が夕子さんと出会ったシーンの再現。
 魂、ふるえたぞ、わたしゃw
 つーか最終回観ながら泣きっぱなしだったんだけどもww笑ってたとか書いたけどそれ泣きながら笑って
 たって意味だから!www
 
 
 
 ということで。
 最終回についてのみ、速報で書こうと思ってたんですけど気付けば総括的なことをずらずらと
 書き倒してしまいました。
 ていうか最終回はマジで色々なこれまでのメタファー的伏線の回収が描き込まれまくっていたので、
 それをひとつひとつ解読したいところですが、この辺りでw
 残りは私のSSの方でやります、解読というわけではないと思いますけど、ガンガン書きます。
 あ、私の書いたSSは過去ログの方に収録してありますので(まだ完結はしてません)、ご興味おあり
 でしたらひとつ読んでやってくだしゃんせ。
 
 ここからは、第五話の夕子さんへの葛藤を抱く霧江さんを元に描いた「雨に這う鬼」と、
 主に第四話で貞一君との夜の学園内を散歩した夕子さんを元に描いた「黒夜の羊」に飛べまして、
 ここからは第七話・第八話で記憶を失い取り戻すまでの夕子さんを描いた「恍惚のアムネジア」と、
 第十話の過去編に於ける夕子さんを描いた「イン ザ ブルー」に飛べます。
 
 んでは、改めまして、アニメ「黄昏乙女×アムネジア」万歳。
 夕子さん万歳!
 貞一君に万歳!
 あのラスト以上のものはないと思いました。
 第二期は無いし、ありえないと私は思います。
 この作品を世に送り出してくださった方々に感謝申し上げます。
 ありがとう。
 
 
 
 
 
 
 ◆
 
 で、あと他にもまだ最終回を迎えた作品があるわけなのだがw
 取り敢えず、軽くだけ触れておきますな。
 ニャル子さんとヨルムンと、あとフェイトに。
 
 
 ニャル子さん:
 最終回始まってから、いきなり回想メインで回し始めたときは驚いたし、なんだ結局この作品も
 その程度の作品だったのか、と溜息をつきながら、ていうかロクな回想ないな、真尋さんほんとロクな
 目に遭わされてないよねあの邪神達に、と笑っていたのですが。
 あー・・・上手く言い表せないんだけど、最終的にストーリー的な意味だけに囚われない大団円さが、
 あまりにオチとして見事に残念にキマっていて・・・・絶句 ww
 ネタにしろギャグにしろ、完全に全部ラストに向かって収束してて、なんかもう滅茶苦茶熱い!
 ニャル子さんという作品が本当にニャル子さんという作品だったんだ!、という、自分で言ってても
 意味のわからない感慨を覚えてしまったくらいでした。
 それはこの作品がこの作品らしく終わったという意味では無く、ただこの作品がひたすら前に向けて
 爆進し続けていく様を溜息吐きながら見送りながらも、なんだかこう、感慨深いおもいに囚われると
 いうか、なにかをやり遂げたような達成感のような・・・うわ、ほんと意味わかんないw
 
 無駄な要素がひとつもない、そんな一個の満腹感にして、幸福感!
 
 これはまぁ、これで終わって完結してしまってもいいくらいの感じがしました。
 ・・・・・・欲を言えば第二期をやって欲しいです、ごめんなさいほんとは第二期やって欲しいですw
 そして私は、ニャル子さんがやっぱり好きです、改めて好きになりましたね。
 好きな人に好きって言える人がやっぱり好きだと言いたい!
 何度でも言いたいし、それを何度でも言いたいがために第二期もお願いします。(ぉぃw)
 
 
 ヨルムン;
 こっちはあんまし言うことないというか、この作品の本番があくまで第二期以降にあるのだというのが
 最後でわからされた気がします。
 一応、最後になにかやってくれると信じていたのですけれど、でも薄々気付いていたので、裏切られ
 た感は無く、むしろ第二期に向けての心の準備が完了したことをこの最終回を観たことによって、
 私自身が自覚した次第です。
 つーか、ストーリー的にどうなっていくのかはともかく、少なくともココの心理的物語について語るべき
 ものがほとんど為され無いままですからねぇ、これ結構難しいことになりそうですねぇ。
 作品側的にココさんをどう描けばよいのかわかっていないというわけじゃなく、これがこの作品のやり口
 なのだろうけど、逆に視聴者としての私の側の方が、色々とココさんに自分を移入するのが難しい
 状態って感じ。
 わかるんだけど、わかった部分だけじゃ足りなさすぎるというか、時折すっごいココさんって馬鹿なんじゃ
 ねーの?とかおもうときもあるし、そうじゃないとおもうときもあるし、うーん。
 ある意味、第二期になっても、ああして表面的に意味深で力強い言葉をココさんが吐くだけなら、
 結局そのままなにも始まらないまま、この作品自体が上滑りで終わってしまう予感もする。
 それはほんとうに、なんというか。
 
 心の底から、嫌だなぁって、溜息吐きたくなるかも。
 
 たぶんそれは、ココというひとりの人を、誰かの幼稚な言葉にならない言葉を代弁させた上に、
 うやむやにさせるための醜いカッコ付けに使用されることに対する嫌悪感と、それとある種の私の
 諦念からきてる想い。
 今のココさんのアレは、ただの「大人振ってるこども」でしかないし、なんとなく作品の全体的に、
 「でも人間ってそういうものだよね。」みたいな、なぁなぁ感が漂っていて、すごく怖い。
 その辺りのなぁなぁ的停滞感というか、行き詰まり感を、なにより他でもないココさん自身が感じて、
 そこから大爆発して大脱出してくれる展開になると、それは稀にみる大傑作になるとは思うのですけれど
 ねぇ、どうなんだろ、その辺り完全未知数といえばそうなのよねこの作品は。
 まぁ、そんなとこです、最終回自体に対してはあんまし言うことないね、ほんとに。
 なにはともあれ、観る前からごちゃごちゃ言うのもあれなので、第二期待ちでございますね。
 
 
 ふぇいと:
 ぐだぐだをさらに煮詰めたら、見事なぐだぐだに仕上がった感じ。
 ・・・・なんというか、ぐだぐだなものをリアルに描き切ったという凄味が凄すぎて呆気にとられましたw
 正直、というかぶっちゃけ私はこの作品のことを、その本質的な部分で全く評価していません。
 会話の妙とか、ライダー組の爽快さ、キャスター組の本気っぷりとか、そういう部分的な「面白味」を
 エッセンスとして楽しんではいても、基本的にストーリーというかテーマというか、あるいはあそこで描か
 れる人間ドラマのすべてに於いて、私は「くだらない」の一言さえも与える気にはならない。
 ぐだぐだ。
 描き方がそうなのじゃなく、描く対象そのものが、ぐだぐだ。
 どうしようもないよ、あの人達。
 以前に私はこの作品に登場する人物のほとんどが嫌いと言いましたけど、撤回します。
 嫌いですらありません。
 自らの魂の幼さ・未熟さ・愚かさから徹底的に目を背けて、本来その自分自身にこそ向けるべき
 怒りを、ひたすら外の世界に向かって吐き付け続けて、そして悲劇だのむなしいだのと躍っている、
 私にはこれは笑いの対象にすらなりません。
 そもそも作者の人からして、まさにそういうつもりでぐだぐだなことを徹底して自覚して描いているので
 しょうから、言葉もない。
 あれを観て男の生き様がどうとか大人の魅力とか現実がどうとか、まさかそういうステキな勘違いを
 する人を嘲笑するためにあの作品を作ったんじゃねーのかっていうくらいに、タチが悪い。
 あんなもん、ただの悲劇という名のマッチポンプでしかないじゃん。
 あの作品を描く意味と、あれを作った意味が、私には正直なところ、全くわからない。
 この作品のキャラに対してどうしようもないと書いたけど、それと同時に、この作品の作者自身に
 キャラへの愛が全く無いどころか、憎悪すらも感じられないというところが、ひたすらどうしようもない。
 そのどうしようもなさが、観てるこっちにまで伝わってきて、それがキャラを観る私の眼差しにまで
 影響してしまう。
 マッチポンプ的悲劇のヒーロー(あるいは哀れな被害者)ぶりに耽るどうしようもないキャラ達をではなく、
 それを美化(あるいは卑下)して自己を移入して観る人達を、その人達自身のそうした閉じた奈落へ
 突き落とす、そんなまぎれもない作者の悪意を感じる。
 
 こわいなぁ ほんとうにこわい
 
 ある意味、この作品の存在意義にして、そして真のテーマは、この作品に登場する人物達を嫌い、
 怒り、そしてその人物達を美化して自己犠牲だの虚無だのに同化しようとする自分にこそ嫌悪を
 向ける、そこにあるのかもしれない。
 これは、怒っていい作品だ。
 怒りを感じるべき作品だ。
 その怒りを誰のどこにぶつけるのか、そして誰のためにそうするのか。
 たぶんそれが一番大切なことなのかもしれないね。
 あのキャラ達への共感や同情は、それからでも遅くないと思いました。
 そういう線引きは、とても大切なものだと私は思います。
 
 
 
 
 
 
 ◆
 
 
 とまぁこんな感じで。
 
 あ、あとおまけ。
 取り敢えず過ぎますが、来期、というかもう今期の視聴リストを取り急ぎUp。 暫定版。
 
 
 月: ・(氷菓) ・ゆるゆり♪♪
 火: ・薄桜鬼 黎明録
 水:
 木: ・もやしもんリターンズ ・夏雪ランデブー ・恋と選挙とチョコレート ・この中に1人、妹がいる!
    ・(戦国コレクション)
 金: ・じょしらく
 土: ・ソードアートオンライン ・ココロコネクト ・だから僕は、Hができない ・(アクセルワールド)
 日: ・TARITARI ・(AKB0048) ・アルカナファミリア ・人類は衰退しました
    ・境界線上のホライゾンU ・DOGDAYS' ・織田信奈の野望 ・トータルイクリプス
    ・(へうげもの) 
 
                              :全22作品 ()付きは前期以前よりの継続作
 
 さすがにこれ全部とはいかないので、実際に観てからいくつかは切る予定ですが、取り敢えず
 第一話は全部これ、観るよ。(ぉw)
 んー、なんか思いの外に前期継続作が多いですね、そういえば。
 ・・・ていうか、日曜がものすごいことになってるんですけどwwなにこれどういうこと?w
 ということで、続報は来週辺りになりますね、今週放送開始する作品の第一話感想なぞをちょろっと
 絡めてやらせて頂きましょう。
 
 
 
 それでは、今回はこの辺りにて。
 ごきげんよう。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

 

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