るろうに剣心星霜編を頑張って紹介する
 
 
 
 
 
 
 ここでは、るろうに剣心 星霜編の紹介をさせて頂こうと思います。
 まだこの作品を見ていない方にも読んで頂くために書きましたので、
 この文章に限りネタバレはしないことにしました。
 この紹介文を読んで、貴方がるろうに剣心星霜編を観てみたいなと思えたら良いな、そう思います。
 
 さて。
 この星霜編というのは、和月伸宏の原作コミック「るろうに剣心-明治剣客浪漫譚-」の、
 いわば続編にあたるアニメです。
 原作コミックのほうの紹介は、ここではちょっとする余裕が御座いませんので、
 ぜひなにも考えずに、コミックスを買うなり立ち読みするなどしてお読みになってみてくださいませ(笑)。
 るろうに剣心は、まずこのコミックスが大元にあり、
 それを純粋に(アニメオリジナルストーリーを含む)アニメ化したテレビ版アニメと、
 テレビ版アニメでは描かれなかった原作の人誅編の前半をアニメ化したOVA「るろうに剣心 追憶編」、
 そして人誅編後半を含む回想シーンと、原作の15年後の世界を描いた「星霜編」、
 これらの作品で構成されています。
 他に完全オリジナルストーリー(原作の設定を無視してはいないみたいです)の劇場版もあります。
 
 私としましては、まずなにより原作をお読みになっていただきたいです。
 最初から最後まで。
 テレビ版は私は数話しか、劇場版は一度も観たことがないのでなんとも申し上げられませんが、
 原作を読み終わりましたならば、是非是非「追憶編」、殊に「星霜編」は観て欲しいです。
 両作品とも、原作とはニュアンスやストーリーの細部等が割と違っているのですが、
 それゆえに、原作者和月伸宏が原作で描けなかったモノが、そこには確かに描かれています。
 原作の明るいノリは無く、
 ただひたすらるろうに剣心(以下るろ剣)という作品が持っているテーマのみを描ききった、
 とてもとても素晴らしい作品です。
 
 星霜編は、薫、神谷薫の視点、いいえ、薫の物語です。
 自分の罪と戦い苦しみながら生きる剣心を、ずっと側で見続けた薫。
 その薫は、剣心と自分との関係をどう捉え、どう自分が生きていこうとしたのか、
 そして、薫という人間がなんだったのか、それを徹底的に描いたお話がそこにはあります。
 原作では、なにかと主人公の剣心の影に隠れてしまって、
 彼女の姿が断片的結果論的にしか現れませんでしたが、星霜編ではまさにそれとは逆。
 剣心の姿は薫を通してしか、この作品では語られません。
 そういう意味では、剣心ファンの人には物足りないかもしれませんが、
 薫ファンにはたいへん貴重な作品となるでしょう(笑)
 薫の時々刻々と変化していく表情を観てみてください。
 絶望に苛まれ、虚ろな目を漂わせ、それでも心からの美しく優しい笑顔の薫を観てみてください。
 たぶん、星霜編を見終わったとき、貴方は薫という存在がどういうものだったのか、
 そしてるろ剣という作品が、実は薫なしでは語り得なかったということに気づくことが出来るかもしれません。
 そして。
 おそらく貴方は「作品理解」というもの以上のモノも、きっと手に入れられることでしょう。
 剣を捨て、でもそれからも戦い続けた15年。
 剣心と薫。
 二人とも、15年分変わりました。
 原作のラストのイメージを、作品の15年後にまで抱いていると、軽くあるいは非常に失望します。
 でも、それは15年もの月日を抜かして私たちが15年目の二人をみるからそうなだけで、
 しかし、15年間分の二人を見続ければ、納得いく変化だと、私は想いました。
 そして、その見えざる15年間を想像させるに充分足る演出はなされていると思います。
 変わってしまった部分だけをみてると、それは理解できないかもしれない。
 でも、それが理解できなければ、この作品から得られるのは原作ファンとしての失望しかないでしょう。
 
 映像的に、この作品(追憶編もそうでしたが)は非常に素晴らしいものがあると思います。
 躍動感に溢れ、肉感的なキャラ。
 そしてなによりも、どこまでも追求された感のある人物の表情。
 情感豊かな、というよりはぞっとするなにかを鬼気迫る感触で表してくるあの顔。
 ぞっとするほどの笑顔。ぞっとするほどの怒りに満ちた額。ぞっとするほど美しい涙を流す瞳。
 それは必ずしも、現実の人間の表情を正確に模写したという意味でリアルかと問われれば、
 はいそうです、とは言えないかもしれません。
 ですが、それはまさに「情」を表すと言う意味においては、もの凄くリアルであると言えます。
  表情の「意味」が全面に押し出され、それが命を得たかのように存在感を示す。
 それはやはり、アニメというものの醍醐味でしょう。
 音楽的にも、ただならぬものを感じます。
 青空や紺碧の海といったどこまでも続く「外」への広がり、
 そして陰影たっぷりの人物達を取り囲む「内」への広がり。
 そういった壮大さと奥深さを、的確に無音の合間合間に盛り込むことでその効果を劇的に出しています。
 はっきりいって、私は星霜編は音楽がかなり重要な位置を占めていると思います。
 だって、ほんと体が震えるもの。思わず泣いちゃったし(笑)。
 ラスト近辺の「感動」を表すのに、音楽無しじゃいけませんですよ。
 ほんとに、凄いです。
 ああ・・サントラ欲しい〜(笑)。
 
 そしてなにより、お話の中身です。
 このお話は、こういうのもなんですが、考えながらみるより感じながら観てください。
 そして、思いっきり泣いてください。
 貴方の感受性の凄まじさを感じて泣きながら観てください(笑)。
 私はもう、泣きっぱなしでした。
 考えるのは貴方が「わからなかった」ところだけにして、あとは感情に委ねちゃいましょう。
 物語自体は、非常に辛い物語です。
 わかりやすくいえば、とても暗い。
 でも、その暗さの中に蠢く人間の想いや信念、
 そして暗さの向こう側にある光り輝く「なにか」を感じてみてください。
 私は、見ようによってはこの星霜編は人生を変える作品になると思います(ぇ)。
 陳腐な表現を何度も繰り返して済みませんけれど、
 ほんとうにこの作品は凄い。そして泣けます。
 というより、泣く事の素晴らしさに気づけます。
 
 なんだか、紹介文というにはほど遠い抽象的な文章になってしまいましたが(笑)、
 私が星霜編をみなさんに強く勧めている、ということはわかって頂けたとは思います。
 この作品は、見所がたくさんあって、そしてそのたくさんの見所がたったひとつのところに集約していきます。
 それは、「涙」。
 薫の儚げで力強い所作、剣心の優しさの中に悲しみを秘めた笑顔、魂を揺さぶる言霊と音楽。
 そういったものが、それぞれ観る者の今まで生きてきた人生と響きあう。
 その結果として、観るものは涙を流す。
 
 貴方も、一緒に泣いてみませんか?
 ←ヘンなキャッチフレーズ作っちゃいました(笑)
 
 
 それでは、中途半端では御座いますが、これにて星霜編の紹介を終わりとさせて頂きます。
 皆様が原作を読み、追憶編・星霜編を観、
 そして私の渾身の駄作(?)「桜涙 壱〜最後ノ一枚」を読んでくださる日が来るのを、
 心よりお待ちしております。
 
 
 追記:
 星霜編は上・下2巻の全2話で構成されています。
 無論DVD・VHSも発売中です(通常版)。
 この他に上下巻を繋げて一つにして、さらに新作パートをも加えた「特別版」も販売されているようです。
 詳しくは、るろうに剣心公式サイトをご覧くださいませ。 →
 それと、ケーブルテレビのアニマックスで、8月31日に「追憶編」「星霜編」を一挙に放送するようです。
 アニマックスに加入している方は、是非この機会に観てみてくださいませ。
 加入してない方は・・・・ビデオ・DVDレンタルしてきた方が、今から加入するより早くて安いです(笑)
 
 
 
 
 

 

でぐち