〜アニメ『マリア様がみてる』第2話「胸騒ぎの連弾」感想

 

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■■マリア様、襲来■■

     
 

 

 
 
 マリア様襲来、といいますか祥子様襲来なのですけれど。
 ごきげんよう、みなさん。
 今宵はマリア様がみてる第二話について、お話させて頂きましょう。
 
 前回、学園の有名人である祥子様にスール(姉妹)宣言されてしまった祐巳さん。
 しかし憧れの祥子様が祐巳を選んだのは、別に祐巳が気に入った訳だからではなかったのです。
 祥子様が好きだからこそ、そんな形で側にいさせて貰うのは耐えられない祐巳さんは、
 思わず断ってしまいます。
 そして、今回、静かに燃える祥子様による祐巳さん捕獲作戦が開始されました。
 
 祐巳さんとスールの契りを結べないと、学園祭でシンデレラ役をやらされてしまうのでそれが嫌で、
 そしてもちろん、祐巳さんにあっさり断られた事も手伝って、
 祥子様はかなり本格的に攻勢を仕掛けます。
 祥子様の「お姉様」にしてロサ=キネンシス(紅薔薇様 覚えられました♪)こと蓉子様曰く、
 「祥子はね、根が真面目だから」だそうですから、なりふりなど構わない事想像に難くなく、
 祥子様は色々な手を使って祐巳さんに接触を図ってきます。
 さりげなく顔を見せたり、離れていったかと思うと引っ張っていったり、
 ピアノの連弾をしてみたり、劇の練習につれていったり、
 他の女性と踊っている祐巳さんを睨み付けてみたり。
 静かなる闘志というような、そういう澄ました顔をしながら策略を巡らしている冷酷な祥子様、
 今回はところせましと大活躍でした。
 自信満々に誰憚る事無く、しかし一見上はあくまで上品で、
 でも狙った獲物は逃がさない狩人の視線で祐巳さんをじりじりと追い詰めていきます。
 その様は狡猾にして大胆。
 祐巳さんが祥子様を振った、という噂を流したのも祥子様かもしれません。
 ま、そうではなくても山百合会のどなたかからの出所である事は確かでしょうけれどね(むしろ本命)。
 そして祥子様のさりげなさぶりというのは、これは常套的なことですが、
 本当のさりげなさが過分に混じったさりげなさなのですよね。
 すべてが祐巳さん捕獲のための意図的な行為で彩られているのじゃないのです。
 基本的には素の状態で接して、時折狙い澄ましたかのように祐巳さんの胸に刺さる矢を撃ち込んだり。
 大嘘つきになる資格は第一に正直者である事、という感じですね。
 祥子様はその事が生来備わっていられるおかたなのでしょう。
 まぁ、みなさんそんなものなのでしょうけれど♪
 
 それに対する哀れな子羊・祐巳さんはといいますと、
 あんまり祥子様が攻勢に出ていられる事に気づいていないご様子。
 あらあらまぁまぁ、という感じ。
 すっかり戸惑って祥子様にいいように追い詰められてしまいます。
 しかしところどころでなぜかうまくかわしていたりもするのです。
 祥子様との連弾の際にわざと間違えて離れてみたり、
 劇の稽古場からも飛び出してきたり。
 なにげに祥子様の思惑から外れた行動をとったりしています。
 といいましても、別に祐巳さんは祥子様の思惑を読んだからそうした訳でなく、
 ただ自分の気持ちに問いかけて、自分がしたいことをしてしたくないことをした結果偶然そうなった、
 そういうだけのようでした。
 祥子様が唇をお噛みになっている姿が思い浮かんでくるようで微笑ましいのですけれど、
 しかし祐巳さんもおかわいそう。
 でも私はむしろロサ=キネンシス(紅薔薇様 蓉子様)とロサ=ギガンティア(白薔薇様 聖様)、
 このお二人の立場に近いところで立って見ていました。
 祥子様と祐巳さんのバトルってたいへんに面白いわねっていうかもっとやれ、という感じです。
 嘘です。いえ、半分嘘です。
 あのお二人のお姉様がたも、楽しがって色々と姑息で狡猾な手段で茶々を入れていましたが
 それと同時にもちろんお二人への心遣いもお忘れになっている訳ではないようで、
 その辺りの案配が微妙に美しくコラボレイトされていて、私はもううっとりでした。
 特にロサ=ギガンティアこと聖様などは、その様軽やかにして華麗、
 道化にして親愛の情に溢れた先輩たるそのお振る舞いに実に際だったものを感じました。
 やっぱり私は白薔薇様がお気に入りのご様子です。
 
 そのような感じの流れでお話が進んでいくと、
 最後に祐巳さんはついに泣いてしまいます。
 あーあ、泣かせちゃったかー、と聖様あたりは軽く言ってそっと抱きしめてあげたりするのでしょうけど、
 泣きじゃくる祐巳さんのまわりには、狼狽えている一年坊と、消えない祥子様の執念のみでした。
 あー・・ほんとうにかわいそうな祐巳さん。
 けれどこれくらいならまだまだ、というところですか。
 祥子様も次回予告で過激に叱咤なされていましたが、
 別の意味でもまだまだこれからというところ。
 例えば、まだまだお姉様方のイジメはこれからとかいう意味で。
 お姉様方からすれば、些細なお遊びでかつある程度祐巳さんへの配慮もある余裕のイジメなのですが、
 しかし祐巳さんからすれば致命傷に至りかねないかなりキツイ仕打ちとなっていく可能性も御座います。
 なにしろ、お姉様方って普通にどこかぬけてますし。
 自分たちの描いた綺麗な絵図面に酔いしれてるうちに祐巳さんをどこかに置き忘れて、
 あらまぁたいへんどうしましょう?(余裕の微笑)とか言いそうですし。
 下級生のたいへんさ、重ね重ねお察し申し上げます。
 
 それで、そんな優しさに満ち溢れた(でもちょっとぬけてる)お姉様方の中にあって、
 唯一冷たい「攻撃」を祐巳さんに仕掛けてくる祥子様。
 もちろん悪意があってのことではなくて、その真面目さ故に自分の目的達成だけにしか目がいかなく、
 結果祐巳さんの「気持ち」というものへの配慮という優しさが欠落している祥子様。
 そのあたりの余裕の無さが、山百合会で祥子様が少し浮いている原因でもあるようですね。
 真面目であるということは、余裕の無さに繋がるのですね。
 そういう意味で、また別の形で少し浮いている志摩子さんは余裕はあるようですね。
 今回のお話において、志摩子さんにはMVPを差し上げます。聖様も捨てがたいですけれど。
 志摩子さんはおしとやかでお静かな方ですけれど、
 しかし自分の意見をはっきりと持ちかつはっきりと表明できるかた。
 そしてとても優しい人。
 祐巳さんが置かれている状況をちゃんと理解して、同じ位置に立って助けてあげ、
 決してお姉様方のようにからかったりはしない。
 それは真面目であるから、というよりはたんにそういうお遊びをしないだけ、という感じなのでしょう。
 だから優しいのだけれどちょっと羽目を外しすぎるお姉様方からは、少し距離を取っているのです。
 祥子様はそうではなくて、たぶんそういうこと自体おわかりにはなっていない、
 というより考えてみたことすら無いのかもしれない。
 たぶん、志摩子さんが祥子様のスールにならなかったのは、そういうところに原因があるのかもしれません。
 羽目を外しても、ちゃんと周りをみて配慮を振りまく白薔薇様とのタッグのほうが、確かに合っています。
 お互いが求め与え合うものも、なんとなく一致する感じも致しますしね。
 具体的にいうと、
 聖様がボケで、志摩子様がツッコミをそれぞれ担当し合うという事。
 
 と、こうなってきますと、一番気になるというところではもちろん祥子様がその筆頭にあります。
 真面目、という言葉で表わせるその無邪気な冷酷さ、
 そして誰よりもなにかを求めているけれどそれが得ることが出来ないせつなさ、
 そういう感覚が祥子様の周囲を囲む世界からどっと押し寄せてきます。
 祥子様の場合は、なにかを求めているという事に気づいているのかどうかさえわからないほど、
 その微笑は強靱で、ますます祥子様の存在が気にもなります。
 その祥子様の事を、実に明確に切り出して祐巳さんの前に大胆に出して説明してみせた、
 祥子様のお姉様である蓉子様の大嘘つきっぷりにもさらに興味が涌いてきます。
 蓉子さんの祥子様評はおそらく間違ってはいないのでしょうけれど、
 でも決定的に核心を意図的に省いた説明だったように思いました。そりゃそうですよね。
 ・・・紅薔薇姉妹も捨て難くなって参りました。
 
 色々と楽しいこと、興味深い事、そして美しいこと盛りだくさんのマリみてです。 
 私はすっかりハマってしまって、もうたいへん。
 大した内容もまだ書いていないのに、もうこんなに字数が重なってしまいました。
 まだ2話なのに、既に大量の要素がばらまかれていて、いくら語っても語り尽くせない感慨。
 映像的な美しさなども、まだまだまだヘタレな私の拙い言葉で表現していきたく思います、これからも。
 もちろん内容のちょっとした(本当にちょっとした)分析などもしていきたいです。
 ガンスリみたく、キャラ別の感想も書けたらいいなぁ、なんて思っています、いずれ。
 なにはともあれでも、今はマリみてを見ているだけで幸せです。ほんとです。
 あまり感想が良く書けなくてもあまりがっかりしないのです、今。ほんと。
 ほんと、珍しいです、こういうのは。
 そしてね、今回は特にこのお言葉には痺れました。
 というか、むしろ他の言葉はどうでもいいみたいな。
 
 聖様: 「祐巳ちゃん『へ』っとか『あっ』とか『えっ』が多い」
 
 
 
 なぜ私がこのセリフに反応したのか、どなたか教えてくださいませんか?
 
 
 
 
 
 それでは、今宵はこのあたりでお開きに。
 みなさん、ごきげんよう。
 
 
 

 

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