〜アニメ『マリア様がみてる』第3話「月とロザリオ」感想 |
-- 040122-- |
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■■マリア様に抱かれて■■ |
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ロサギガンティアは聖様ロサギンガンティアアンブゥトンは志摩子さんロサフェティダは江利子様ロサフェティ |
ダアンブゥトンは令様ロサフェティダアンブゥトンプティスールは由乃さんロサキネンシスは蓉子様ロサキネン |
シスアンブゥトンは祥子様ロサキネンシスアンブゥトンの獲物は祐巳さん繰り返すロサギガンティアは聖さ |
よっし。 |
準備完了。 |
今宵は「マリア様がみてる」第三話について、お話させて頂きましょう。 |
ちなみに今回の日記のタイトルは、マリア様にだかれて、ではなくて、いだかれて、ですのでよろしく。 |
それでは、さっそくいってみましょう。 |
うーん。 |
どうしようもなく体が震えてしまいました。ブルブル。 |
そしてなぜかどことなく現実感が失われていくような、なんだかそういう感覚が、 |
私を捉えて離しませんでした。 |
幻想的という訳ではなく、ただそこにあるものをそのままの形で表わさないでいる意志、 |
そういうものがアニメの映像から伝わってきた故の、「目の前」の現実からの乖離感覚。 |
なんですかねー、とってもほわーっときちゃうんですよね、今回は。 |
ぼけーっと画面の中を見つめているうちに、いつのまにやら物語が終わってしまったというような。 |
それはつまり、なにかの「物語」がそこにある、という事を私が今回のお話から読みとらなかったから、 |
あるいは、今回のお話はむしろストーリー性などどうでもよいのかもしれない、ということ。 |
うん、マリみてってやっぱりそう。 |
というより、私はそうみてますしそう感じてます。 |
一場面一場面の美しさ、それの絶え間ない連続、これなのですね。 |
その一場面一場面はストーリーという観点からすれば、なんてことはない連続にしか見えないですが、 |
しかしそれぞれを各個ごとに受け取っていくと、もう。 |
もう、これはたいへんです。美しすぎて。 |
美しくて、優しくて。 |
その私が受け取った感覚を、少し考えてみようと思います。 |
といいますか、そんなに語ることは無い訳でして。 |
聖様(ロサギガンティア=白薔薇様)の優しさ、というものがまず冒頭に出てきて。 |
聖様は祐巳さんにすぐにしなだれかかるように抱きついてくるおかたですけれど、 |
その仕草とともにその語られる言葉そのものにも、相手に対する抱擁性を持っています。 |
抱擁とはなにか。 |
優しさの発露、という事なのですけれど、 |
相手に対する興味を示しながらも、そこからちょいっと離れてみたり、というそういう距離の取り方、 |
あるいは距離の移動行為、それが「抱擁」の一形態だと私は思います。 |
すっと近づいて、私は貴方の側にいるよと耳元で甘く囁いてみながら、 |
かつその手で背中をそっと押して自分は一歩離れて、 |
そして離れたところからもちゃんと貴方の事を見ているよ、という移動。 |
相手の側に居ることで相手に肌のぬくもりを伝えて、 |
そして相手から離れることで、相手に自分の視線の暖かさを伝えて。 |
こういうようにして描いた軌跡の醸し出す空間に包まれる事をこそ、 |
私はまさに「抱かれた(いだかれた)」状態のひとつってことにしています。たぶん。 |
うん、そう。 |
そしてその範をさっそく示してくださいましたのが、他ならぬロサ=ギガンティア。 |
茶目っ気たっぷりの仕草で祐巳さんをからかいながらも、 |
しかしいつのまにかすっと祐巳さんの背後に忍びより抱きつき魔と化します。 |
このとき、抱きついて接近すると同時に聖様は実は抱きつきながら離れてもいるのですけどね。 |
甘く囁きかけた聖様の言葉と仕草に、祐巳さんが特に恥じらう事も無いのはそのためでしょう。 |
どこか確実に相手と一線を画しているのですね。 |
でもそれでいて、どこか完全には絶対に離れてはいかない予感がひしひしとする。 |
近くにいながらにして、どこかからすべてをちゃんと見ていてくれる視線の予感の満ちる空間。 |
聖様の作る抱擁空間は、まさにそんな感じなのです。 |
なにいってるか訳わからなくなってきましたけど。 |
で、第三話のMVPは祐巳さんだよねー、って思った訳で。 |
MVPがなんの略かは適当で。 |
で、聖様は祐巳さんのアシスト役って感じでした。 |
うん。 |
今回マリア様に甘く囁かれて見つめられ抱かれたのは、祥子様。 |
あー、もう、ちくしょう、いいなぁ、これ。 |
色々と問題を抱えておられます祥子様の側に、すっと入っていった祐巳さん。 |
祐巳さんには、一歩離れて見守るなんて芸当はできないけれど、 |
でもまさに今祥子様がなにを見なにに苦しんでいるかを我が身に染み込ませてひとつになる事はできる。 |
近寄れるそのギリギリの距離まで、祐巳さんは祥子様の側に向かっていく。 |
祥子様と同じ立場に偶然立てた事も手伝い、 |
祐巳さんは祥子様に自らの肌のぬくもりを伝えることができたのですね。 |
聖様とは違う、祐巳さんの抱擁の仕方です。 |
徹底的に相手と同化することで、相手と運命を共にする。 |
それはつまり、相手とひとつになることで相手の孤独を癒していながら、 |
それは同時に相手から、相手とは離れているという「他人」という存在を奪ってしまう事もある同化。 |
誰かがすぐ側に居ないと孤独を感じてしまうけれど、 |
でもすべてが自分の目の前だけのものになってしまったら、それもまた孤独。 |
自分とは相容れない、つまり確固とした彼我の線引きをしてくれる存在が居ないと、 |
全部が自分の中に収まってしまうということで自分の外にあるすべてを失い、孤独になってしまう。 |
が、今の祥子様は側で甘く囁いてくれる人が居ない。 |
というより、祥子様はそうしてくれる人を、今まさに望んでいるのです。 |
祥子様にとっては、自分の外に広がる世界はただ冷たいだけで、 |
だから例えば聖様などが、その世界の立場に立って暖かい視線を送ってあげたとしても、 |
祥子様にとっては、そもそも今は意味が無いのです。 |
祥子様には、もう既に痛いくらいに自分の外側に広がる世界はあって、 |
そしてそれは冷たさという実感(男嫌いの問題とか)をもって、確かに存在しているのですから、 |
自分とは相容れない、しかし確実に其処に居る世界としての他人、としての聖様の抱擁は、 |
だから祥子様にとってはまさに歴然とした冷たさとしてしか感知されないのでしょう。 |
聖様は祥子様のことがちゃんと好きなのですけれど、ですから抱きしめてあげることが出来ないんですね。 |
聖様の「優しさ」は、祥子様には不適格で、なおかつ仇となる可能性もあるのです。 |
そのあたりの事をたぶん聖様はよくご存じなのでしょう。 |
そして聖様曰く、他のみなさんもきっとご存じの事なのでしょう。 |
そうして、だからこそ聖様は祐巳さんに目星をつけたのじゃないかな、と思う訳です。 |
冷たい世界の向うから、すっと祥子様の側にやってきてくれる祐巳さんなら、 |
祥子様を暖めて差し上げられるのじゃないかと。 |
うん、そうだよなぁ。 |
そして祥子様は祐巳さんに救われるんですよねぇ。 |
祥子様に見合った抱擁の流儀を従えた祐巳さんだからこそ、為し得たこと。 |
祐巳さん、グッジョブ! (親指を立てながら) |
聖様、ナイスアシストです (泣きながら) |
と、こんな感じで抱擁の薔薇が咲き乱れているので御座います。 |
その様は美麗にして慈愛に満ちているのです。 |
皆様それぞれに他の方々の存在を泣きたくなるほどに気遣っていて、 |
皆様それぞれにそれぞれの優しさの動機、抱擁の流儀をお持ちになってもいる。 |
まさに抱擁博覧会の様相を呈していて、といいますか優しさの園と言いますか。 |
それはどうでもよいんですけど、うん。 |
聖様や志摩子さんの抱擁の流儀は、祐巳さんには出来ないし、その逆もまた然りなのです。 |
ですから、祐巳さんが志摩子さん達を羨んでいるように、志摩子さんも祐巳さんを羨んでいる。 |
そういった互いへの憧れ合いというものもまたひとつの華を添えていて、もううっとり。 |
ひとりひとりがひとりであろうとせずに、ひとりひとりが繋がっていこうとして、 |
ゆっくりと、そしてとてつもなく優しい空間を協力し合って現出させていっている。 |
そして皆様の優しい関係の空の上では、マリア様が微笑んでいて。 |
その中で輝くそれぞれの「薔薇」を、そうして私に魅せてくれたのが今回のお話。 |
あの魅せ様が、アニメという素晴らしくそれに適した技法で顕わされたこと、とても嬉しく思います。 |
と、こーなってくると小説も読みたくなる訳ですけれど、アニメはアニメ。 |
アニメにはアニメにしかない凄いモノがありすぎてむしろ有り余っていて追いつかないくらいですので、 |
小説は当分オアズケ。 |
みなさん、そこのところよろしくです。 |
特にネタバレとかネタバレとか、あとネタバレとか。 |
うん、アニメが好きでほんとーに良かったです・・(泣きながら) |
それでは、今宵のお話はこれにてお終い。 |
みなさん、ごきげんよう・・・・ぐす ←まだ泣いてる |
魔術師の工房に行く |